JP3967039B2 - 半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、104 〜1012Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現し、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が小さい半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に関する。本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、半導電性を活かして、例えば、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール、帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルトなどの電荷制御部材(半導電性部材)の少なくとも表面層を形成する樹脂材料として好適である。
【0002】
また、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、制電性、帯電防止性、塵埃吸着防止性などを活かした用途、例えば、電子部品包装材料(フィルム、袋、容器など)、壁紙、OA機器外装材、帯電防止の間仕切りなどの電荷制御部材として好適である。本発明において、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物とは、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が絶縁体と金属導体との中間に位置する体積抵抗率を有するものであることを意味し、より具体的には、104 〜1012Ωcmの範囲内の体積抵抗率を有することを意味する。
【0003】
【従来の技術】
電気・電子機器の分野において、体積抵抗率が104 〜1012Ωcmの半導電性領域になるように精密に制御された樹脂材料が求められている。例えば、電子写真方式の複写機やファクシミリ、レーザービームプリンタなどの画像形成装置(電子写真複写機、静電記録装置など)においては、帯電、露光、現像、転写、定着、除電の各工程を経て、画像が形成されている。これら各工程では、荷電制御のために、体積抵抗率が半導電性領域にある樹脂材料からなる各種部材が使用されている。このような半導電性樹脂材料には、体積抵抗率が所定の範囲内に精密に制御されていることが要求される。
【0004】
このような画像形成装置に装着されている帯電ロールまたはベルト、転写ロールまたはベルト、搬送ロールまたはベルト、現像ロール、トナー層厚規制ブレードなどには、少なくともその表面層が半導電性であること、具体的には、104 〜1012Ωcmの範囲内の所定の体積抵抗率を有することが要求されている。例えば、帯電ロールまたはベルトを用いた帯電方式では、電圧を印加した帯電ロールまたはベルトを感光体ドラムに接触させて、感光体ドラム表面に直接電荷を与え、一様かつ均一に帯電させている。現像ロールを用いた現像方式では、現像ロールとトナー供給ロールとの間の摩擦力により、トナーを現像ロールの表面に帯電状態で吸着させ、これをトナー層厚規制ブレードで一様にならした後、感光体ドラム表面の静電潜像に対して、電気吸引力により飛翔させて現像している。転写ロールまたはベルトを用いる転写方式では、転写ロールまたはベルトにトナーと逆極性の電圧を印加して電界を発生させ、該電界によって生ずる電子吸引力によって、感光体上のトナーを転写材上に転写させている。
【0005】
したがって、画像形成装置における帯電ロールやベルトなどの電荷制御部材には、適度の範囲の低い体積抵抗率を有することが要求される。また、その体積抵抗率は、均一であることが必要であり、場所的に体積抵抗率が異なると、高品質の画像を得ることができない。例えば、帯電ロールまたはベルトの体積抵抗率が均一でなければ、感光体表面を一様かつ均一に帯電させることができず、画像の品質が低下する。さらに、これらの部材には、環境湿度の変化によって体積抵抗率や表面抵抗率があまり変化しないことが望まれる。通常の使用環境下での湿度変化によって、電荷制御部材の体積抵抗率や表面抵抗率が大幅に変化すると、安定して高品質の画像を得ることができない。
【0006】
また、樹脂材料から形成されているOA機器の外装材や部品などは、塵埃やトナーなどを吸引すると、外観を損ねたり、故障の原因となる。電子工業における半導体デバイスやLCDなどの製造工程で使用される樹脂製の装置や部品、ICやLSIなどの電子部品を包装若しくは搬送するためのフィルムや袋、容器は、静電気の発生により塵埃を吸着すると、電子部品の品質を損なう。そのため、これらの用途、特にその表層材に使用される樹脂材料には、104 〜1012Ωcm程度の体積抵抗率を付与して、電荷制御性を持たせることが求められている。
【0007】
一方、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性、非粘着性、成形加工性などに優れているため、前記の如き各種帯電制御部材用の樹脂材料として好適である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂自体は、絶縁体であるため、従来より、ポリフッ化ビニリデン系樹脂やその成形品の電気抵抗を下げる方法として、(1)樹脂成形品の表面に有機系帯電防止剤を塗布する方法、(2)樹脂に有機系帯電防止剤を練り込む方法、(3)樹脂にカーボンブラックや金属粉などの導電性フィラーを練り込む方法、及び(4)樹脂にイオン電解質を練り込む方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、(1)の方法は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が非粘着性に優れているため、成形品表面を拭いたり洗浄したりすることによって、帯電防止剤が容易に脱落してしまう。(2)の方法では、有機系帯電防止剤として、界面活性剤や親水性樹脂を用いている。このうち、界面活性剤を用いる方法では、成形品表面から界面活性剤をブリードアウトさせることにより帯電防止性を付与する機構を採用しているため、温度や湿度などの環境の変化によって、体積抵抗率や帯電防止性が大きく変化し、しかも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の長所である耐汚染性が損なわれる。親水性樹脂を用いる方法では、所望の帯電防止効果を得るには、親水性樹脂を多量に配合する必要があるため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂本来の耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性などの物性が低下し、しかも、体積抵抗率や帯電防止性の湿度依存性が大きいという問題がある。耐汚染性や耐溶剤性は、電子写真方式の画像形成装置に配置される部材において、トナーが付着した際に、それをクリーニングする場合に求められる特性でもある。コロナ放電装置などを装着した画像形成装置は、オゾンを発生するので、耐オゾン性もその部材に求められる特性である。
【0009】
前記(3)の方法は、多くの分野で採用されている。例えば、帯電ロールや現像ロール、転写ロールなどのロール部材は、樹脂に導電性フィラーを練り込んだ半導電性樹脂組成物を芯金上に被覆して成形されている。しかしながら、樹脂中に導電性フィラーを分散させた半導電性樹脂組成物は、一般に、体積抵抗率の分布が極めて不均一で、そのばらつきは、多くの場合、数桁に上るものであり、実用性能上問題があった。また、導電性フィラーを用いて必要とされる半導電性の水準を達成するには、充填量を多くする必要があり、そのため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の成形加工性や機械的強度が低下したり、あるいは硬度が高くなりすぎたりするという問題が生じる。
【0010】
前記(4)のイオン電解質を練り込む方法は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がイオンの良導体であることが古くから知られていること(例えば、特開昭51−32330号公報、特開昭51−110658号公報、特開昭51−111337号公報、特開昭54−127872号公報)からみて、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に半導電性を付与するのに有効な方法であることが期待される。ところが、電解質として代表的な塩化リチウムや塩化カリウムなどの無機金属塩をポリフッ化ビニリデン系樹脂に練り込んだ樹脂組成物は、これらの無機金属塩がPVDFに僅かしか溶解しないため、体積抵抗率を1×1012Ωcm以下にするのは困難であった。また、過剰に添加した無機金属塩の凝集物がフィッシュアイの原因になるなどの問題があった。無機金属塩をポリフッ化ビニリデン系樹脂に充分に溶解させて凝集物の生成を防ぐために、混練温度を上げたり、混練時間を長くしたりすると、樹脂または電解質が分解して、成形品の機械物性や外観を損なってしまう。リチウム塩のような潮解性のある無機金属塩は、多量に充填すると、樹脂組成物が吸湿性を持つようになるため、湿度の変化によって体積抵抗率が大きく変化したり、ブリードアウトした無機金属塩の潮解物により成形品の表面がべたつくという問題が生じる。
【0011】
電解質の樹脂に対する溶解性を向上させるための方法として、特開昭60―177064号公報及び特開昭61―72061号公報には、プロピレンカーボネイトなどの極性溶剤を樹脂に含ませる方法が提案されている。しかし、この方法では、樹脂のヤング率が著しく低下したり、ブリードアウトした電解質と極性溶剤によって成形品表面がべたつくなどの問題があった。
【0012】
従来より、第四級アンモニウム塩を樹脂の帯電防止剤として使用する方法が提案されている。例えば、特開昭46−64989号公報には、第四級アンモニウム塩と樹脂とを有機溶剤に溶解した帯電防止コーティング材が開示されている。しかし、このコーティング材は、洗浄によって脱落し易く、長期間の帯電防止効果を持続するのは困難である。特開昭47−3835号公報には、第四級アンモニウム塩をポリオレフィンに練り込んだ帯電防止性シートが開示されている。しかしながら、この帯電防止性シートは、第四級アンモニウム塩が樹脂からブリードアウトすることによって帯電防止効果を発揮する機構であるため、温度や湿度などの環境変化によって、その導電性と帯電防止効果が大きく変化してしまう。しかも、ポリオレフィンのような極性の小さい樹脂中では、第四級アンモニウム塩がイオン化し難いために、表面抵抗率を下げることはできても、体積抵抗率は下げることができなかった。
【0013】
さらに、殆どの第四級アンモニウム塩、特にハロゲン化第四級アンモニウム塩は、熱安定性に劣るため、加工温度が220〜270℃と高温のポリフッ化ビニリデン系樹脂と混練して溶融成形すると、成形品に発泡や着色などの不具合が生ずる。熱安定性が比較的良好なイオン電解質の場合でも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の体積抵抗率を所望の半導電性領域にまで低減させるには、多量のイオン電解質を添加する必要がある。多量のイオン電解質を含有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を使用すると、成形品のヤング率などの機械的強度が低下したり、成形品表面にイオン電解質がブリードアウトしたり、成形加工が困難になったり、コスト高になるなどの問題があった。したがって、イオン電解質の添加だけで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の体積抵抗率を制御すること、特に1×1010Ωcm以下に制御するは困難であった。また、前記の如きイオン電解質は、カーボンブラックなどの導電性フィラーと併用しても、104 〜1012Ωcm、好ましくは105 〜1010Ωcmの範囲内で体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現せることは困難であり、環境湿度変化による体積抵抗率の変化を小さくすることも難しかった。
【0014】
また、多くの無機金属塩や第四級アンモニウム塩は、高湿度環境下でブリードアウトし易く、そのため、例えば、半導体デバイスの製造工程において、包装用や搬送用に用いられる制電性包装材料表面の金属不純物が製品の不良化の原因になったり、電子写真方式の画像形成装置に装着される転写ロールやベルトなどにおいては、樹脂中のイオン電解質量の減少によって、表面層の体積抵抗値が変化し、画質が低下してしまうなど問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、104 〜1012Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現し、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が小さいポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いて、シート、チューブ、シームレスベルト、ファイバー、容器、ロール、射出成形品などの半導電性樹脂成形物を提供することにある。
【0016】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に、テトラアルキルアンモニウム硫酸塩及びテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩と導電性カーボンブラックとを特定の配合割合で添加することにより、前記目的を達成できることを見いだした。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、半導電性領域の体積抵抗率を有し、場所による体積抵抗率のバラツキがなく、しかも所望の体積抵抗率を安定して精度良く発現させることができる。また、本発明の樹脂組成物は、凝集物やフィッシュアイの生成がなく、添加物のブリードアウトもない。さらに、本発明の樹脂組成物は、加工性が良好であり、一般の溶融加工法などにより種々の成形物に成形することができる。本発明の成形物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が本来有している耐熱性、耐薬品性、非粘着性、耐汚染性などの諸特性を高度の保持している。本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、式(1)
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、R1 〜R4 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R5 は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である。)
で表されるテトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)、及び式(2)
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、R6 〜R9 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である。)
で表されるテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩(B2)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩(B)0. 03〜10重量部、並びに導電性カーボンブラック(C)1〜20重量部を含有する半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる成形物が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂
本発明で使用するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)としては、フッ化ビニリデン単独重合体(すなわち、ポリフッ化ビニリデン;PVDF)、及びフッ化ビニリデンを主構成単位とするフッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好適なものとして挙げられる。また、これらポリフッ化ビニリデン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の中でも、耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性の観点からは、フッ化ビニリデンのホモポリマーであるPVDFが好ましい。柔軟性や引き裂き強度の観点からは、フッ化ビニリデンを主構成要素とするフッ化ビニリデン共重合体を単独で、あるいはPVDFとブレンドして使用することが好ましい。接着性を向上させるには、官能基を導入したフッ化ビニリデン共重合体が好適に使用される。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、アクリル樹脂や他のフッ素樹脂などのその他の熱可塑性樹脂を、本発明の目的を妨げない範囲内でブレンドしてもよい。
【0025】
第四級アンモニウム塩
本発明で使用するテトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)は、式(1)
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、R1 〜R4 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R5 は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である)
で表される第四級アンモニウム塩である。本発明で使用するテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩(B2)は、式(2)
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R6 〜R9 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である)
で表される第四級アンモニウム塩である。これらの第四級アンモニウム塩の中でも、安定性に優れることから、テトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)が好ましい。
【0030】
これらの第四級アンモニウム塩(B)において、R1 〜R4 及びR6 〜R9 におけるアルキル基の炭素原子数の合計は、4以上であり、好ましくは8〜30、より好ましくは12〜24、特に好ましくは15〜20である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの短鎖アルキル基を例示することができる。R5 及びR10がアルキル基である場合には、メチル基やエチル基などの短鎖アルキル基が代表的なものである。R5 及びR10がフルオロアルキル基である場合は、CF3 、C2 F5 などの短鎖フルオロアルキル基が代表的な物である。
【0031】
第四級アンモニウム塩(B)の具体例として、例えば、(C2 H5 )4 N+ 、(C3 H7 )4 N+ 、(C4 H9 )4 N+ 、(C5 H11)4 N+ 等の第四級アンモニウムカチオンと、CF3 SO4 -、CH3 SO4 -、HSO4 -、CF3 SO3 -、CH3 SO3 -、HSO3 -などの硫酸または亜硫酸を含むアニオンとからなる塩を挙げることができる。これらの第四級アンモニウム塩(B)は、2種類以上のアニオン及びカチオンを組み合わせた塩であってもよい。また、第四級アンモニウムカチオンが有する4つのアルキル基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらの中でも、テトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩が好ましく、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩〔(C4 H9 )4 N(HSO4 )〕が特に好ましい。これらの第四級アンモニウム塩は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
導電性カーボンブラック(C)
本発明で使用する導電性カーボンブラック(C)としては、例えば、導電性オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどを挙げることができる。これらの導電性カーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用する導電性カーボンブラック(C)の性状は、▲1▼DBP吸油量が通常100ml/100g以上、好ましくは100〜400ml/100gで、▲2▼平均粒径が通常1〜100nm、好ましくは10〜50nmで、▲3▼灰分が通常0. 2%以下、好ましくは0.1%以下であることが好ましい。ここで、DBP吸油量とは、カーボンブラック100g当たりに包含されるジブチルフタレートのmlを表す(ジブチルフタレートアプソープトメータにより測定)。平均粒径は、粒度(d50)を表す。
【0033】
導電性カーボンブラックは、成形品の外観を損なわないように、樹脂に対する分散性の良いカーボンブラックが好ましい。このような観点から、本発明で使用する導電性カーボンブラックとしては、アセチレンブラックが特に好ましい。
導電性カーボンブラックとしては、市販品を使用することができる。導電性オイルファーネスブラックとしては、例えば、キャボット社製のバルカンXC−72、バルカンPなど;ライオン社製のケッチェンブラックECなどを挙げることができる。アセチレンブラックとしては、電気化学工業社製のデンカブラックなどを挙げることができる。
【0034】
半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と第四級アンモニウム塩(B)と導電性カーボンブラック(C)とを必須成分として含有する樹脂組成物である。第四級アンモニウム塩(B)の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、0. 03〜10重量部、好ましくは0. 05〜8重量部、より好ましくは0. 1〜5重量部、特に好ましくは0. 3〜3重量部である。第四級アンモニウム塩(B)の配合割合が過小であると、添加による体積抵抗率低減効果が小さく、過大であると、樹脂の着色や加工時の分解発泡を生じることがある。導電性カーボンブラック(C)の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部である。機械的強度と耐電圧の観点からは、導電性カーボンブラック(C)の配合割合は、3〜6重量部が特に好ましい。導電性カーボンブラック(C)の配合割合が過小であると、添加による体積低効率低減効果が小さく、過大であると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の体積抵抗率が低くなりすぎたり、成形加工性や機械的強度が低下したり、あるいは、成形物の硬度が高くなりすぎたりするという問題が生ずる。
【0035】
第四級アンモニウム塩(B)と導電性カーボンブラック(C)の配合割合は、使用する各化合物の種類や要求される物性によって、前記範囲内で適宜定めることができる。第四級アンモニウム塩(B)と導電性カーボンブラック(C)を併用することにより、▲1▼樹脂組成物の体積抵抗率を通常104 〜1012Ωcm、好ましくは105 〜1010Ωcmの範囲内に制御することができる、▲2▼導電性カーボンブラックを単独で使用した場合に比べて、場所による体積抵抗率のバラツキがなく、しかも所望の体積抵抗率を安定して精度良く発現させることができる、▲3▼第四級アンモニウム塩の配合割合が小さくても良好な半導電性を示すため、イオン電解質に起因する凝集物やフィッシュアイの生成がなく、ブリードアウトもない、▲4▼これらの添加剤の配合割合を小さく抑えることが可能なため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が本来有している耐熱性、耐薬品性、非粘着性、耐汚染性などの諸特性を高度に保持させることができ、成形加工性も良好である、という顕著な作用効果を奏することができる。
【0036】
その他の添加物
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、所望により、その他の添加物を含有させることができる。その他の添加物としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、カオリン、フェライト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、石英粉末、黒鉛、無機顔料、有機金属塩、酸化金属などの粒状または粉末状フィラー;炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリ繊維などの繊維状フィラー;などが挙げられる。これらのフィラーは、本発明の目的を阻害しない範囲で使用目的に応じて適宜配合することができる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、例えば、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、有機顔料、無機顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、無機酸、有機酸、pH調整剤、架橋剤、カップリング剤などの汎用の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜配合することができる。
【0037】
樹脂組成物の調製法、成形法、及び用途
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の調製法には、特に制限がなく、好適な方法としては、例えば、▲1▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)の粉末またはペレットと、第四級アンモニウム塩(B)及び導電性カーボンブラック(C)とをミキサーなどの混合機で混合する方法、▲2▼各成分を混合機で混合した後、混合物を溶融押出法によってペレット化する方法、▲3▼各成分を、水または水と水溶性溶剤との混合溶剤に溶解ないしは分散させ、ミキサーなどの混合機で混合した後、乾燥し、得られた乾燥物を溶融押出してペレット化する方法、▲4▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と第四級アンモニウム塩(B)とを混合しペレット化したものと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と導電性カーボンブラック(C)とを混合しペレット化したものとを、ミキサーなどの混合機で混合する方法などが挙げられる。
【0038】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、プレス成形法、溶融押出法、射出成形法、溶液流延法、塗布法などの各種成形法により、各種成形物や被覆成形物に成形加工することができる。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)に第四級アンモニウム塩(B)及びカーボンブラック(C)を高濃度で含有させたマスターバッチを作成しておき、成形時に、各成分が必要な濃度となるように該樹脂で希釈してから成形加工することができる。
【0039】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物をシームレスベルトに押出成形する場合は、連続溶融押出成形法が好ましく用いられる。シームレスベルトの望ましい連続溶融押出成形法としては、1軸スクリュー押出機とスパイラル環状ダイスを用いて、ダイスのリップから直下に押し出し、内部冷却マンドレル方式によって内径を制御しながら引き取る方法等が挙げられる。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いてシートを製造する方法としては、1軸または2軸スクリュー押出機とTダイスとを用い、溶融状態の該樹脂組成物をリップから直下に押し出し、冷却ドラム上にエアーナイフなどにより密着させつつ冷却固化する連続押出成形法を挙げることができる。本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を溶融状態から固化させる際には、冷却温度を通常−30〜150℃、好ましくは0〜100℃の範囲内に制御することが望ましい。物性上の観点からは、0〜30℃が特に好ましい。
【0040】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、押出成形や射出成形によりロールに成形することができる。また、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物からなるチューブまたはシートを芯金上に被覆することにより、被覆ロールを得ることができる。溶液流延法や塗布法により、芯金上に樹脂組成物からなる被覆層を形成してもよい。このような被覆層は、芯金上に直接設けることができるが、必要に応じて、他の樹脂層及び/またはゴム層を介して設けてもよい。
【0041】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール、帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルトなどの電荷制御部材として好適である。本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子部品包装用の静電気防止フィルム、静電気防止容器、各種OA機器に使用される塵埃吸着防止部材、除電部材、導電部材などに好適に用いられる。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の成形方法は、特に制限されるものではなく、射出成形や溶融押出法などの公知の成形方法により、例えば、シート状やファイバー状に成形加工することが可能である。シートやファイバーなどは、加工後、さらに延伸や熱固定することも可能である。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、それ単独で使用してもよく、また、必要に応じて他の樹脂層などと複合化させて、積層シートや積層ベルト、複合糸などにして使用してもよい。
【0042】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、物性の測定法は、次のとおりである。
(1)厚み測定
成形物の厚みは、ダイヤルゲージ厚み計(小野測器社製、商品名:DG−911)で測定した。
(2)体積抵抗率
本発明において、体積抵抗率が1010Ωcm以上の試料は、リング状電極を有するレジシティビティセル(商品名:HP16008B、ヒューレットパッカード社製、内側の電極の直径26.0mm、外側の電極の内径38.0mm、外側電極の外径40.0mm)に荷重7kgでサンプルを挟み、内側の電極と対向電極との間に500Vの電圧を1分間厚み方向に印加したときの体積抵抗率ρV を抵抗測定器(商品名:ハイレジスタンスメータHP4339A、ヒューレットパッカード社製)で求めた。このようなリング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。
本発明において、体積抵抗率が106 Ωcm以上1010Ωcm未満の試料は、リング状プローブ(商品名:HRSプローブ、三菱化学社製、内側の電極の直径5.9mm、外側の電極の内径11.0mm、外側の電極の外径17.8mm)と測定ステージ(商品名:レジテーブルFL、三菱化学社製)との間に試料を挟み、約3kg重の圧力で押さえつけつつ、プローブの内側電極と測定ステージとの間に100Vの電圧を印加して、抵抗率測定装置(商品名:ハイレスタIP、三菱化学社製)で体積抵抗率ρvを求めた。このようなリング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。
本発明において、体積抵抗率が106 Ωcm未満の試料については、四探針プローブ(商品名:PSPプローブ、三菱化学社製、ピン間隔1. 5mm)と抵抗率測定装置(商品名:ロレスタHP、三菱化学社製)を用いて体積抵抗率ρvを求めた。このような四探針法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K7194を参照することができる。
【0043】
(3)平均値の算出
上記した厚みと体積抵抗率の測定では、これらの値を測定すべき試料の表面積1m2 当たり任意に選んだ20点を測定し、その最大値、最小値、平均値(算術平均)を求めた。
(4)体積抵抗率の湿度依存性
本発明において、リング状電極を有するレジシティビティセル(商品名:HP16008B、ヒューレットパッカード社製、内側の電極の直径26.0mm、外側の電極の内径38.0mm、外側電極の外径40.0mm)に荷重7kgでサンプルを挟み、所定の温度と湿度に調節した恒温恒湿槽(商品名:LH30−13M、ナガノ科学機械製作所社製)中で24時間放置した後、内側電極と対向電極との間に100Vの電圧を1分間厚み方向に印加したときの体積抵抗率ρV を抵抗測定器(商品名:ハイレスタIP、三菱化学社製)で求めた。このようなリング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。体積抵抗率は、相対湿度(RH)30%、50%、70%、90%の順に、各湿度環境で24時間調湿した後、測定した。
(5)表面抵抗率の湿度依存性
本発明において、リング状電極を有するレジシティビティセル(商品名:HP16008B、ヒューレットパッカード社製、内側の電極の直径26.0mm、外側の電極の内径38.0mm、外側電極の外径40.0mm)に荷重7kgでサンプルを挟み、所定の温度と湿度に調節された恒温恒湿槽(商品名:LH30−13M、ナガノ科学機械製作所社製)中で24時間放置した後、内側電極と外側電極との間に10Vの電圧を1分間表面方向に印加したときの表面抵抗率ρS を抵抗測定器(商品名:ハイレスタIP、三菱化学社製)で求めた。このようなリング電極法による表面抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。表面抵抗率は、相対湿度(RH)30%、50%、70%、90%の順に、各湿度環境で24時間調湿した後、測定した。
【0044】
[実施例1〜10、及び比較例1〜5]
表1に示す配合処方により、樹脂粉末と添加剤を混合機(川田製作所社製、商品名:スーパーミキサー)に投入して、回転数1000rpmで約5分間充分に攪拌混合した。得られた混合物を1軸スクリュー押出機(プラ技研社製)を用いて、ダイス温度240℃で直径約5mm程度にペレット化した。このようにペレット化した原料を1軸スクリュー押出機(プラ技研社製)を用いて、リップクリアランス0. 7mmのT型ダイス(ダイス温度240℃)に供給し、ダイスから溶融樹脂を押し出し、90℃の冷却ロールによって冷却して、厚み100μmのシートに成形した。配合処方と物性の測定結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
脚注:
(1)PVDF:ポリフッ化ビニリデン〔呉羽化学工業(株)製、KF#1000〕
(2)VDFP:フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体〔呉羽化学工業(株)製、KF#2300〕
(3)TBAHS:(C4 H9 )4 N(HSO4 )〔広栄化学工業(株)製〕
(4)KCl:塩化カリウム〔和光純薬(株)製〕
(5)AB:アセチレンブラック〔電気化学工業(株)製、商品名デンカブラック、DBP吸油量=190ml/100g、平均粒径(d50)=42nm、灰分=0. 06%〕
【0047】
表1の結果から明らかなように、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物(実施例1〜10)は、体積抵抗率が適度に低く、その場所によるバラツキも少ないものである。また、実施例1〜10の試料中に凝集物やフィッシュアイなどは観察されず、添加剤のブリードウトも観察されなかった。
これに対して、イオン電解質として塩化カリウムを使用した場合(比較例1〜5)には、導電性カーボンブラックと併用しても、体積抵抗率を充分に低減することが困難であるもの(比較例1〜3)や、体積抵抗率の分布が極めて不均一でバラツキが大きいもの(比較例3〜5)など、満足できる物性を得ることができない。しかも、比較例1〜5の試料には、未溶解のイオン電解質がフィッシュアイとして観察された。
【0048】
[体積抵抗率の湿度依存性]
実施例9で調製した試料を用いて、体積抵抗率の湿度依存性を測定した。結果を図1に示す。図1から明らかなように、本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から得られたシートは、体積抵抗率の湿度依存性が極めて小さい。
【0049】
[表面抵抗率の湿度依存性]
実施例9で調製したサンプルを用いて表面抵抗率の湿度依存性を測定した。結果を図2に示す。図2から明らかなように、本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から得られたシートは、表面抵抗率の湿度依存性が極めて小さい。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、通常104 〜1012Ωcm、好ましくは105 〜1010Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現することができ、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が極めて小さい半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が提供される。この半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いて、チューブ、シート、ファイバー、容器、ロール、各種の射出成形品などの半導電性成形物を得ることができる。
【0051】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、転写ロール、現像ロール、帯電ベルト、転写ベルト、除電ベルトなどの電荷制御部材の少なくとも表面層を形成する材料として好適である。ロール状部材としては、芯金上に直接または他の樹脂層及び/またはゴム層を介して、最外層にポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物層が形成されたものが挙げられる。また、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子部品包装材料(例えば、フィルム、袋、容器などで、保存や搬送用に使用)、壁紙、OA機器外装材、帯電防止の間仕切り、粉体塗装材の搬送チューブなどの各種電荷制御部材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9で調製したサンプルを用いて体積抵抗率を湿度との関係で示した図である。
【図2】実施例9で調製したサンプルを用いて表面抵抗率を湿度との関係で示した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、104 〜1012Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現し、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が小さい半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に関する。本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、半導電性を活かして、例えば、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール、帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルトなどの電荷制御部材(半導電性部材)の少なくとも表面層を形成する樹脂材料として好適である。
【0002】
また、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、制電性、帯電防止性、塵埃吸着防止性などを活かした用途、例えば、電子部品包装材料(フィルム、袋、容器など)、壁紙、OA機器外装材、帯電防止の間仕切りなどの電荷制御部材として好適である。本発明において、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物とは、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が絶縁体と金属導体との中間に位置する体積抵抗率を有するものであることを意味し、より具体的には、104 〜1012Ωcmの範囲内の体積抵抗率を有することを意味する。
【0003】
【従来の技術】
電気・電子機器の分野において、体積抵抗率が104 〜1012Ωcmの半導電性領域になるように精密に制御された樹脂材料が求められている。例えば、電子写真方式の複写機やファクシミリ、レーザービームプリンタなどの画像形成装置(電子写真複写機、静電記録装置など)においては、帯電、露光、現像、転写、定着、除電の各工程を経て、画像が形成されている。これら各工程では、荷電制御のために、体積抵抗率が半導電性領域にある樹脂材料からなる各種部材が使用されている。このような半導電性樹脂材料には、体積抵抗率が所定の範囲内に精密に制御されていることが要求される。
【0004】
このような画像形成装置に装着されている帯電ロールまたはベルト、転写ロールまたはベルト、搬送ロールまたはベルト、現像ロール、トナー層厚規制ブレードなどには、少なくともその表面層が半導電性であること、具体的には、104 〜1012Ωcmの範囲内の所定の体積抵抗率を有することが要求されている。例えば、帯電ロールまたはベルトを用いた帯電方式では、電圧を印加した帯電ロールまたはベルトを感光体ドラムに接触させて、感光体ドラム表面に直接電荷を与え、一様かつ均一に帯電させている。現像ロールを用いた現像方式では、現像ロールとトナー供給ロールとの間の摩擦力により、トナーを現像ロールの表面に帯電状態で吸着させ、これをトナー層厚規制ブレードで一様にならした後、感光体ドラム表面の静電潜像に対して、電気吸引力により飛翔させて現像している。転写ロールまたはベルトを用いる転写方式では、転写ロールまたはベルトにトナーと逆極性の電圧を印加して電界を発生させ、該電界によって生ずる電子吸引力によって、感光体上のトナーを転写材上に転写させている。
【0005】
したがって、画像形成装置における帯電ロールやベルトなどの電荷制御部材には、適度の範囲の低い体積抵抗率を有することが要求される。また、その体積抵抗率は、均一であることが必要であり、場所的に体積抵抗率が異なると、高品質の画像を得ることができない。例えば、帯電ロールまたはベルトの体積抵抗率が均一でなければ、感光体表面を一様かつ均一に帯電させることができず、画像の品質が低下する。さらに、これらの部材には、環境湿度の変化によって体積抵抗率や表面抵抗率があまり変化しないことが望まれる。通常の使用環境下での湿度変化によって、電荷制御部材の体積抵抗率や表面抵抗率が大幅に変化すると、安定して高品質の画像を得ることができない。
【0006】
また、樹脂材料から形成されているOA機器の外装材や部品などは、塵埃やトナーなどを吸引すると、外観を損ねたり、故障の原因となる。電子工業における半導体デバイスやLCDなどの製造工程で使用される樹脂製の装置や部品、ICやLSIなどの電子部品を包装若しくは搬送するためのフィルムや袋、容器は、静電気の発生により塵埃を吸着すると、電子部品の品質を損なう。そのため、これらの用途、特にその表層材に使用される樹脂材料には、104 〜1012Ωcm程度の体積抵抗率を付与して、電荷制御性を持たせることが求められている。
【0007】
一方、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、耐熱性、耐薬品性、耐汚染性、非粘着性、成形加工性などに優れているため、前記の如き各種帯電制御部材用の樹脂材料として好適である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂自体は、絶縁体であるため、従来より、ポリフッ化ビニリデン系樹脂やその成形品の電気抵抗を下げる方法として、(1)樹脂成形品の表面に有機系帯電防止剤を塗布する方法、(2)樹脂に有機系帯電防止剤を練り込む方法、(3)樹脂にカーボンブラックや金属粉などの導電性フィラーを練り込む方法、及び(4)樹脂にイオン電解質を練り込む方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、(1)の方法は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が非粘着性に優れているため、成形品表面を拭いたり洗浄したりすることによって、帯電防止剤が容易に脱落してしまう。(2)の方法では、有機系帯電防止剤として、界面活性剤や親水性樹脂を用いている。このうち、界面活性剤を用いる方法では、成形品表面から界面活性剤をブリードアウトさせることにより帯電防止性を付与する機構を採用しているため、温度や湿度などの環境の変化によって、体積抵抗率や帯電防止性が大きく変化し、しかも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の長所である耐汚染性が損なわれる。親水性樹脂を用いる方法では、所望の帯電防止効果を得るには、親水性樹脂を多量に配合する必要があるため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂本来の耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性などの物性が低下し、しかも、体積抵抗率や帯電防止性の湿度依存性が大きいという問題がある。耐汚染性や耐溶剤性は、電子写真方式の画像形成装置に配置される部材において、トナーが付着した際に、それをクリーニングする場合に求められる特性でもある。コロナ放電装置などを装着した画像形成装置は、オゾンを発生するので、耐オゾン性もその部材に求められる特性である。
【0009】
前記(3)の方法は、多くの分野で採用されている。例えば、帯電ロールや現像ロール、転写ロールなどのロール部材は、樹脂に導電性フィラーを練り込んだ半導電性樹脂組成物を芯金上に被覆して成形されている。しかしながら、樹脂中に導電性フィラーを分散させた半導電性樹脂組成物は、一般に、体積抵抗率の分布が極めて不均一で、そのばらつきは、多くの場合、数桁に上るものであり、実用性能上問題があった。また、導電性フィラーを用いて必要とされる半導電性の水準を達成するには、充填量を多くする必要があり、そのため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の成形加工性や機械的強度が低下したり、あるいは硬度が高くなりすぎたりするという問題が生じる。
【0010】
前記(4)のイオン電解質を練り込む方法は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がイオンの良導体であることが古くから知られていること(例えば、特開昭51−32330号公報、特開昭51−110658号公報、特開昭51−111337号公報、特開昭54−127872号公報)からみて、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に半導電性を付与するのに有効な方法であることが期待される。ところが、電解質として代表的な塩化リチウムや塩化カリウムなどの無機金属塩をポリフッ化ビニリデン系樹脂に練り込んだ樹脂組成物は、これらの無機金属塩がPVDFに僅かしか溶解しないため、体積抵抗率を1×1012Ωcm以下にするのは困難であった。また、過剰に添加した無機金属塩の凝集物がフィッシュアイの原因になるなどの問題があった。無機金属塩をポリフッ化ビニリデン系樹脂に充分に溶解させて凝集物の生成を防ぐために、混練温度を上げたり、混練時間を長くしたりすると、樹脂または電解質が分解して、成形品の機械物性や外観を損なってしまう。リチウム塩のような潮解性のある無機金属塩は、多量に充填すると、樹脂組成物が吸湿性を持つようになるため、湿度の変化によって体積抵抗率が大きく変化したり、ブリードアウトした無機金属塩の潮解物により成形品の表面がべたつくという問題が生じる。
【0011】
電解質の樹脂に対する溶解性を向上させるための方法として、特開昭60―177064号公報及び特開昭61―72061号公報には、プロピレンカーボネイトなどの極性溶剤を樹脂に含ませる方法が提案されている。しかし、この方法では、樹脂のヤング率が著しく低下したり、ブリードアウトした電解質と極性溶剤によって成形品表面がべたつくなどの問題があった。
【0012】
従来より、第四級アンモニウム塩を樹脂の帯電防止剤として使用する方法が提案されている。例えば、特開昭46−64989号公報には、第四級アンモニウム塩と樹脂とを有機溶剤に溶解した帯電防止コーティング材が開示されている。しかし、このコーティング材は、洗浄によって脱落し易く、長期間の帯電防止効果を持続するのは困難である。特開昭47−3835号公報には、第四級アンモニウム塩をポリオレフィンに練り込んだ帯電防止性シートが開示されている。しかしながら、この帯電防止性シートは、第四級アンモニウム塩が樹脂からブリードアウトすることによって帯電防止効果を発揮する機構であるため、温度や湿度などの環境変化によって、その導電性と帯電防止効果が大きく変化してしまう。しかも、ポリオレフィンのような極性の小さい樹脂中では、第四級アンモニウム塩がイオン化し難いために、表面抵抗率を下げることはできても、体積抵抗率は下げることができなかった。
【0013】
さらに、殆どの第四級アンモニウム塩、特にハロゲン化第四級アンモニウム塩は、熱安定性に劣るため、加工温度が220〜270℃と高温のポリフッ化ビニリデン系樹脂と混練して溶融成形すると、成形品に発泡や着色などの不具合が生ずる。熱安定性が比較的良好なイオン電解質の場合でも、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の体積抵抗率を所望の半導電性領域にまで低減させるには、多量のイオン電解質を添加する必要がある。多量のイオン電解質を含有するポリフッ化ビニリデン系樹脂を使用すると、成形品のヤング率などの機械的強度が低下したり、成形品表面にイオン電解質がブリードアウトしたり、成形加工が困難になったり、コスト高になるなどの問題があった。したがって、イオン電解質の添加だけで、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の体積抵抗率を制御すること、特に1×1010Ωcm以下に制御するは困難であった。また、前記の如きイオン電解質は、カーボンブラックなどの導電性フィラーと併用しても、104 〜1012Ωcm、好ましくは105 〜1010Ωcmの範囲内で体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現せることは困難であり、環境湿度変化による体積抵抗率の変化を小さくすることも難しかった。
【0014】
また、多くの無機金属塩や第四級アンモニウム塩は、高湿度環境下でブリードアウトし易く、そのため、例えば、半導体デバイスの製造工程において、包装用や搬送用に用いられる制電性包装材料表面の金属不純物が製品の不良化の原因になったり、電子写真方式の画像形成装置に装着される転写ロールやベルトなどにおいては、樹脂中のイオン電解質量の減少によって、表面層の体積抵抗値が変化し、画質が低下してしまうなど問題があった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、104 〜1012Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現し、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が小さいポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いて、シート、チューブ、シームレスベルト、ファイバー、容器、ロール、射出成形品などの半導電性樹脂成形物を提供することにある。
【0016】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に、テトラアルキルアンモニウム硫酸塩及びテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩と導電性カーボンブラックとを特定の配合割合で添加することにより、前記目的を達成できることを見いだした。
【0017】
本発明の樹脂組成物は、半導電性領域の体積抵抗率を有し、場所による体積抵抗率のバラツキがなく、しかも所望の体積抵抗率を安定して精度良く発現させることができる。また、本発明の樹脂組成物は、凝集物やフィッシュアイの生成がなく、添加物のブリードアウトもない。さらに、本発明の樹脂組成物は、加工性が良好であり、一般の溶融加工法などにより種々の成形物に成形することができる。本発明の成形物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が本来有している耐熱性、耐薬品性、非粘着性、耐汚染性などの諸特性を高度の保持している。本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、式(1)
【0019】
【化3】
【0020】
(式中、R1 〜R4 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R5 は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である。)
で表されるテトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)、及び式(2)
【0021】
【化4】
【0022】
(式中、R6 〜R9 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である。)
で表されるテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩(B2)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩(B)0. 03〜10重量部、並びに導電性カーボンブラック(C)1〜20重量部を含有する半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明によれば、前記半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる成形物が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂
本発明で使用するポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)としては、フッ化ビニリデン単独重合体(すなわち、ポリフッ化ビニリデン;PVDF)、及びフッ化ビニリデンを主構成単位とするフッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体を挙げることができる。フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が好適なものとして挙げられる。また、これらポリフッ化ビニリデン系樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0024】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の中でも、耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性の観点からは、フッ化ビニリデンのホモポリマーであるPVDFが好ましい。柔軟性や引き裂き強度の観点からは、フッ化ビニリデンを主構成要素とするフッ化ビニリデン共重合体を単独で、あるいはPVDFとブレンドして使用することが好ましい。接着性を向上させるには、官能基を導入したフッ化ビニリデン共重合体が好適に使用される。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、アクリル樹脂や他のフッ素樹脂などのその他の熱可塑性樹脂を、本発明の目的を妨げない範囲内でブレンドしてもよい。
【0025】
第四級アンモニウム塩
本発明で使用するテトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)は、式(1)
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、R1 〜R4 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R5 は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である)
で表される第四級アンモニウム塩である。本発明で使用するテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩(B2)は、式(2)
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R6 〜R9 は、互いに同一または相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基、または水素原子である)
で表される第四級アンモニウム塩である。これらの第四級アンモニウム塩の中でも、安定性に優れることから、テトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)が好ましい。
【0030】
これらの第四級アンモニウム塩(B)において、R1 〜R4 及びR6 〜R9 におけるアルキル基の炭素原子数の合計は、4以上であり、好ましくは8〜30、より好ましくは12〜24、特に好ましくは15〜20である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの短鎖アルキル基を例示することができる。R5 及びR10がアルキル基である場合には、メチル基やエチル基などの短鎖アルキル基が代表的なものである。R5 及びR10がフルオロアルキル基である場合は、CF3 、C2 F5 などの短鎖フルオロアルキル基が代表的な物である。
【0031】
第四級アンモニウム塩(B)の具体例として、例えば、(C2 H5 )4 N+ 、(C3 H7 )4 N+ 、(C4 H9 )4 N+ 、(C5 H11)4 N+ 等の第四級アンモニウムカチオンと、CF3 SO4 -、CH3 SO4 -、HSO4 -、CF3 SO3 -、CH3 SO3 -、HSO3 -などの硫酸または亜硫酸を含むアニオンとからなる塩を挙げることができる。これらの第四級アンモニウム塩(B)は、2種類以上のアニオン及びカチオンを組み合わせた塩であってもよい。また、第四級アンモニウムカチオンが有する4つのアルキル基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。これらの中でも、テトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩が好ましく、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩〔(C4 H9 )4 N(HSO4 )〕が特に好ましい。これらの第四級アンモニウム塩は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0032】
導電性カーボンブラック(C)
本発明で使用する導電性カーボンブラック(C)としては、例えば、導電性オイルファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラックなどを挙げることができる。これらの導電性カーボンブラックは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用する導電性カーボンブラック(C)の性状は、▲1▼DBP吸油量が通常100ml/100g以上、好ましくは100〜400ml/100gで、▲2▼平均粒径が通常1〜100nm、好ましくは10〜50nmで、▲3▼灰分が通常0. 2%以下、好ましくは0.1%以下であることが好ましい。ここで、DBP吸油量とは、カーボンブラック100g当たりに包含されるジブチルフタレートのmlを表す(ジブチルフタレートアプソープトメータにより測定)。平均粒径は、粒度(d50)を表す。
【0033】
導電性カーボンブラックは、成形品の外観を損なわないように、樹脂に対する分散性の良いカーボンブラックが好ましい。このような観点から、本発明で使用する導電性カーボンブラックとしては、アセチレンブラックが特に好ましい。
導電性カーボンブラックとしては、市販品を使用することができる。導電性オイルファーネスブラックとしては、例えば、キャボット社製のバルカンXC−72、バルカンPなど;ライオン社製のケッチェンブラックECなどを挙げることができる。アセチレンブラックとしては、電気化学工業社製のデンカブラックなどを挙げることができる。
【0034】
半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と第四級アンモニウム塩(B)と導電性カーボンブラック(C)とを必須成分として含有する樹脂組成物である。第四級アンモニウム塩(B)の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、0. 03〜10重量部、好ましくは0. 05〜8重量部、より好ましくは0. 1〜5重量部、特に好ましくは0. 3〜3重量部である。第四級アンモニウム塩(B)の配合割合が過小であると、添加による体積抵抗率低減効果が小さく、過大であると、樹脂の着色や加工時の分解発泡を生じることがある。導電性カーボンブラック(C)の配合割合は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部である。機械的強度と耐電圧の観点からは、導電性カーボンブラック(C)の配合割合は、3〜6重量部が特に好ましい。導電性カーボンブラック(C)の配合割合が過小であると、添加による体積低効率低減効果が小さく、過大であると、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の体積抵抗率が低くなりすぎたり、成形加工性や機械的強度が低下したり、あるいは、成形物の硬度が高くなりすぎたりするという問題が生ずる。
【0035】
第四級アンモニウム塩(B)と導電性カーボンブラック(C)の配合割合は、使用する各化合物の種類や要求される物性によって、前記範囲内で適宜定めることができる。第四級アンモニウム塩(B)と導電性カーボンブラック(C)を併用することにより、▲1▼樹脂組成物の体積抵抗率を通常104 〜1012Ωcm、好ましくは105 〜1010Ωcmの範囲内に制御することができる、▲2▼導電性カーボンブラックを単独で使用した場合に比べて、場所による体積抵抗率のバラツキがなく、しかも所望の体積抵抗率を安定して精度良く発現させることができる、▲3▼第四級アンモニウム塩の配合割合が小さくても良好な半導電性を示すため、イオン電解質に起因する凝集物やフィッシュアイの生成がなく、ブリードアウトもない、▲4▼これらの添加剤の配合割合を小さく抑えることが可能なため、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が本来有している耐熱性、耐薬品性、非粘着性、耐汚染性などの諸特性を高度に保持させることができ、成形加工性も良好である、という顕著な作用効果を奏することができる。
【0036】
その他の添加物
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、所望により、その他の添加物を含有させることができる。その他の添加物としては、例えば、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、カオリン、フェライト、チタン酸カリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ニッケル、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ガラス粉、石英粉末、黒鉛、無機顔料、有機金属塩、酸化金属などの粒状または粉末状フィラー;炭素繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維、チタン酸カリ繊維などの繊維状フィラー;などが挙げられる。これらのフィラーは、本発明の目的を阻害しない範囲で使用目的に応じて適宜配合することができる。
また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物には、例えば、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、有機顔料、無機顔料、紫外線吸収剤、界面活性剤、無機酸、有機酸、pH調整剤、架橋剤、カップリング剤などの汎用の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜配合することができる。
【0037】
樹脂組成物の調製法、成形法、及び用途
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の調製法には、特に制限がなく、好適な方法としては、例えば、▲1▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)の粉末またはペレットと、第四級アンモニウム塩(B)及び導電性カーボンブラック(C)とをミキサーなどの混合機で混合する方法、▲2▼各成分を混合機で混合した後、混合物を溶融押出法によってペレット化する方法、▲3▼各成分を、水または水と水溶性溶剤との混合溶剤に溶解ないしは分散させ、ミキサーなどの混合機で混合した後、乾燥し、得られた乾燥物を溶融押出してペレット化する方法、▲4▼ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と第四級アンモニウム塩(B)とを混合しペレット化したものと、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)と導電性カーボンブラック(C)とを混合しペレット化したものとを、ミキサーなどの混合機で混合する方法などが挙げられる。
【0038】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、プレス成形法、溶融押出法、射出成形法、溶液流延法、塗布法などの各種成形法により、各種成形物や被覆成形物に成形加工することができる。また、ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)に第四級アンモニウム塩(B)及びカーボンブラック(C)を高濃度で含有させたマスターバッチを作成しておき、成形時に、各成分が必要な濃度となるように該樹脂で希釈してから成形加工することができる。
【0039】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物をシームレスベルトに押出成形する場合は、連続溶融押出成形法が好ましく用いられる。シームレスベルトの望ましい連続溶融押出成形法としては、1軸スクリュー押出機とスパイラル環状ダイスを用いて、ダイスのリップから直下に押し出し、内部冷却マンドレル方式によって内径を制御しながら引き取る方法等が挙げられる。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いてシートを製造する方法としては、1軸または2軸スクリュー押出機とTダイスとを用い、溶融状態の該樹脂組成物をリップから直下に押し出し、冷却ドラム上にエアーナイフなどにより密着させつつ冷却固化する連続押出成形法を挙げることができる。本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を溶融状態から固化させる際には、冷却温度を通常−30〜150℃、好ましくは0〜100℃の範囲内に制御することが望ましい。物性上の観点からは、0〜30℃が特に好ましい。
【0040】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、押出成形や射出成形によりロールに成形することができる。また、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物からなるチューブまたはシートを芯金上に被覆することにより、被覆ロールを得ることができる。溶液流延法や塗布法により、芯金上に樹脂組成物からなる被覆層を形成してもよい。このような被覆層は、芯金上に直接設けることができるが、必要に応じて、他の樹脂層及び/またはゴム層を介して設けてもよい。
【0041】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、現像ロール、転写ロール、搬送ロール、帯電ベルト、現像ベルト、転写ベルト、搬送ベルト、除電ベルトなどの電荷制御部材として好適である。本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子部品包装用の静電気防止フィルム、静電気防止容器、各種OA機器に使用される塵埃吸着防止部材、除電部材、導電部材などに好適に用いられる。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の成形方法は、特に制限されるものではなく、射出成形や溶融押出法などの公知の成形方法により、例えば、シート状やファイバー状に成形加工することが可能である。シートやファイバーなどは、加工後、さらに延伸や熱固定することも可能である。本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、それ単独で使用してもよく、また、必要に応じて他の樹脂層などと複合化させて、積層シートや積層ベルト、複合糸などにして使用してもよい。
【0042】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。なお、物性の測定法は、次のとおりである。
(1)厚み測定
成形物の厚みは、ダイヤルゲージ厚み計(小野測器社製、商品名:DG−911)で測定した。
(2)体積抵抗率
本発明において、体積抵抗率が1010Ωcm以上の試料は、リング状電極を有するレジシティビティセル(商品名:HP16008B、ヒューレットパッカード社製、内側の電極の直径26.0mm、外側の電極の内径38.0mm、外側電極の外径40.0mm)に荷重7kgでサンプルを挟み、内側の電極と対向電極との間に500Vの電圧を1分間厚み方向に印加したときの体積抵抗率ρV を抵抗測定器(商品名:ハイレジスタンスメータHP4339A、ヒューレットパッカード社製)で求めた。このようなリング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。
本発明において、体積抵抗率が106 Ωcm以上1010Ωcm未満の試料は、リング状プローブ(商品名:HRSプローブ、三菱化学社製、内側の電極の直径5.9mm、外側の電極の内径11.0mm、外側の電極の外径17.8mm)と測定ステージ(商品名:レジテーブルFL、三菱化学社製)との間に試料を挟み、約3kg重の圧力で押さえつけつつ、プローブの内側電極と測定ステージとの間に100Vの電圧を印加して、抵抗率測定装置(商品名:ハイレスタIP、三菱化学社製)で体積抵抗率ρvを求めた。このようなリング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。
本発明において、体積抵抗率が106 Ωcm未満の試料については、四探針プローブ(商品名:PSPプローブ、三菱化学社製、ピン間隔1. 5mm)と抵抗率測定装置(商品名:ロレスタHP、三菱化学社製)を用いて体積抵抗率ρvを求めた。このような四探針法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K7194を参照することができる。
【0043】
(3)平均値の算出
上記した厚みと体積抵抗率の測定では、これらの値を測定すべき試料の表面積1m2 当たり任意に選んだ20点を測定し、その最大値、最小値、平均値(算術平均)を求めた。
(4)体積抵抗率の湿度依存性
本発明において、リング状電極を有するレジシティビティセル(商品名:HP16008B、ヒューレットパッカード社製、内側の電極の直径26.0mm、外側の電極の内径38.0mm、外側電極の外径40.0mm)に荷重7kgでサンプルを挟み、所定の温度と湿度に調節した恒温恒湿槽(商品名:LH30−13M、ナガノ科学機械製作所社製)中で24時間放置した後、内側電極と対向電極との間に100Vの電圧を1分間厚み方向に印加したときの体積抵抗率ρV を抵抗測定器(商品名:ハイレスタIP、三菱化学社製)で求めた。このようなリング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。体積抵抗率は、相対湿度(RH)30%、50%、70%、90%の順に、各湿度環境で24時間調湿した後、測定した。
(5)表面抵抗率の湿度依存性
本発明において、リング状電極を有するレジシティビティセル(商品名:HP16008B、ヒューレットパッカード社製、内側の電極の直径26.0mm、外側の電極の内径38.0mm、外側電極の外径40.0mm)に荷重7kgでサンプルを挟み、所定の温度と湿度に調節された恒温恒湿槽(商品名:LH30−13M、ナガノ科学機械製作所社製)中で24時間放置した後、内側電極と外側電極との間に10Vの電圧を1分間表面方向に印加したときの表面抵抗率ρS を抵抗測定器(商品名:ハイレスタIP、三菱化学社製)で求めた。このようなリング電極法による表面抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911を参照することができる。表面抵抗率は、相対湿度(RH)30%、50%、70%、90%の順に、各湿度環境で24時間調湿した後、測定した。
【0044】
[実施例1〜10、及び比較例1〜5]
表1に示す配合処方により、樹脂粉末と添加剤を混合機(川田製作所社製、商品名:スーパーミキサー)に投入して、回転数1000rpmで約5分間充分に攪拌混合した。得られた混合物を1軸スクリュー押出機(プラ技研社製)を用いて、ダイス温度240℃で直径約5mm程度にペレット化した。このようにペレット化した原料を1軸スクリュー押出機(プラ技研社製)を用いて、リップクリアランス0. 7mmのT型ダイス(ダイス温度240℃)に供給し、ダイスから溶融樹脂を押し出し、90℃の冷却ロールによって冷却して、厚み100μmのシートに成形した。配合処方と物性の測定結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
脚注:
(1)PVDF:ポリフッ化ビニリデン〔呉羽化学工業(株)製、KF#1000〕
(2)VDFP:フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体〔呉羽化学工業(株)製、KF#2300〕
(3)TBAHS:(C4 H9 )4 N(HSO4 )〔広栄化学工業(株)製〕
(4)KCl:塩化カリウム〔和光純薬(株)製〕
(5)AB:アセチレンブラック〔電気化学工業(株)製、商品名デンカブラック、DBP吸油量=190ml/100g、平均粒径(d50)=42nm、灰分=0. 06%〕
【0047】
表1の結果から明らかなように、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物(実施例1〜10)は、体積抵抗率が適度に低く、その場所によるバラツキも少ないものである。また、実施例1〜10の試料中に凝集物やフィッシュアイなどは観察されず、添加剤のブリードウトも観察されなかった。
これに対して、イオン電解質として塩化カリウムを使用した場合(比較例1〜5)には、導電性カーボンブラックと併用しても、体積抵抗率を充分に低減することが困難であるもの(比較例1〜3)や、体積抵抗率の分布が極めて不均一でバラツキが大きいもの(比較例3〜5)など、満足できる物性を得ることができない。しかも、比較例1〜5の試料には、未溶解のイオン電解質がフィッシュアイとして観察された。
【0048】
[体積抵抗率の湿度依存性]
実施例9で調製した試料を用いて、体積抵抗率の湿度依存性を測定した。結果を図1に示す。図1から明らかなように、本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から得られたシートは、体積抵抗率の湿度依存性が極めて小さい。
【0049】
[表面抵抗率の湿度依存性]
実施例9で調製したサンプルを用いて表面抵抗率の湿度依存性を測定した。結果を図2に示す。図2から明らかなように、本発明のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から得られたシートは、表面抵抗率の湿度依存性が極めて小さい。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、通常104 〜1012Ωcm、好ましくは105 〜1010Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく発現することができ、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が極めて小さい半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が提供される。この半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いて、チューブ、シート、ファイバー、容器、ロール、各種の射出成形品などの半導電性成形物を得ることができる。
【0051】
本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、例えば、電子写真方式の画像形成装置における帯電ロール、転写ロール、現像ロール、帯電ベルト、転写ベルト、除電ベルトなどの電荷制御部材の少なくとも表面層を形成する材料として好適である。ロール状部材としては、芯金上に直接または他の樹脂層及び/またはゴム層を介して、最外層にポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物層が形成されたものが挙げられる。また、本発明の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、電子部品包装材料(例えば、フィルム、袋、容器などで、保存や搬送用に使用)、壁紙、OA機器外装材、帯電防止の間仕切り、粉体塗装材の搬送チューブなどの各種電荷制御部材として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例9で調製したサンプルを用いて体積抵抗率を湿度との関係で示した図である。
【図2】実施例9で調製したサンプルを用いて表面抵抗率を湿度との関係で示した図である。
Claims (11)
- ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)100重量部に対して、式(1)
で表されるテトラアルキルアンモニウム硫酸塩(B1)、及び式(2)
で表されるテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩(B2)からなる群より選ばれる少なくとも一種の第四級アンモニウム塩(B)0. 03〜10重量部、並びに導電性カーボンブラック(C)1〜20重量部を含有する半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。 - ポリフッ化ビニリデン系樹脂(A)が、フッ化ビニリデン単独重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、及びフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のポリフッ化ビニリデン系樹脂である請求項1記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
- 第四級アンモニウム塩(B)が、式(1)においてR5 が水素原子であるテトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩である請求項1または2に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
- テトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩が、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩〔(C4 H9 )4 N(HSO4 )〕である請求項3記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
- 導電性カーボンブラック(C)が、アセチレンブラックである請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
- 体積抵抗率が104 〜1012Ωcmである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物からなる成形物。
- シート、チューブ、シームレスベルト、ファイバー、容器、ロール、または射出成形品である請求項7記載の成形物。
- 少なくとも表面層が半導電性ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物から形成された荷電制御部材である請求項7または8記載の成形物。
- 電荷制御部材が、電子写真方式の画像形成装置において用いられる帯電部材または除電部材である請求項9記載の成形物。
- 電荷制御部材が、電子部品包装材料、壁紙、OA機器外装材、帯電防止の間仕切り、燃料の搬送チューブ、または粉体塗装材の搬送チューブである請求項9記載の成形物。
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