JP2004083717A - 半導電性樹脂組成物、半導電性シート及び電荷制御部材 - Google Patents

半導電性樹脂組成物、半導電性シート及び電荷制御部材 Download PDF

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Abstract

【課題】半導電性領域の体積抵抗率を有し、体積抵抗率の場所によるバラツキが小さく、引張弾性率や引張破断伸びなどの機械的物性、耐熱性、難燃性、成形性が良好で、しかも白色を基調とする美しい色調の成形物を形成することができる半導電性樹脂組成物を提供すること。また、該半導電性樹脂組成物を用いて形成した半導電性シートなどの成形物、特に電荷制御部材を提供すること。
【解決手段】ポリフッ化ビニリデン系樹脂60〜98.9質量%、非晶性ポリエステル樹脂1〜30質量%、及びイオン性導電剤0.1〜10質量%を含有する半導電性樹脂組成物、該樹脂組成物を溶融成形してなる半導電性シート、並びに該樹脂組成物から形成された電荷制御剤。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導電性領域の体積抵抗率を有し、白色の美しい色調を有する成形物を形成することができる半導電性樹脂組成物、該樹脂組成物を溶融成形してなる半導電性シート、及び該樹脂組成物から形成された電荷制御部材に関する。本発明の半導電性樹脂組成物は、電子写真方式の画像形成装置やインクジェット方式のプリンターに装着される各種部材、塵埃吸着防止性の壁紙、OA機器外装材などの樹脂材料として好適である。
【0002】
本発明において、半導電性樹脂組成物とは、10〜1013Ωcmの範囲内の体積抵抗率を有する樹脂組成物を意味している。また、本発明の半導電性シートには、厚み250μm以上の典型的なシートだけではなく、厚み250μm未満のフィルムをも含まれるものとする。
【0003】
【従来の技術】
半導電性領域の体積抵抗率を有する合成樹脂成形物は、電荷制御部材として様々な分野で使用されている。その代表的な分野としては、電子写真方式(静電記録方式を含む)の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置が挙げられる。
【0004】
例えば、電子写真方式の複写機では、(1)感光体表面を均一かつ一様に帯電させる帯電工程、(2)パターン状に露光することにより、感光体表面に静電潜像を形成する露光工程、(3)現像剤(トナー)を付着させて、感光体表面の静電潜像を可視像(トナー像)とする現像工程、(4)感光体表面のトナー像を転写材(転写紙やOHPシートなど)上に転写する転写工程、(5)転写材上のトナー像を融着させる定着工程、(6)感光体表面の残留トナーを清掃するクリーニング工程、(7)感光体表面の残留電荷を消滅させる除電工程などの各工程によって、画像が形成されている。
【0005】
このような画像形成装置においては、前記各工程での機能を担うために、ベルト、ローラ、ドラム、ブレードなどの各種形状を有する多数の部材が配置されている。このような部材としては、例えば、帯電部材(例えば、帯電ベルト、帯電ローラ)、感光体ドラム(例えば、感光体層とそれを支持するためのベルト状またはローラ状支持体)、現像部材(例えば、現像ローラ、現像ベルト)、現像剤層厚規制部材(例えば、トナー層厚規制ブレード)、転写部材(例えば、転写ベルト、中間転写ベルト、転写ローラ)、クリーニング部材(例えば、クリーニングブレード)、除電部材(例えば、除電ブレード、除電ベルト、除電ローラ)、紙搬送部材などが挙げられる。ベルト部材は、通常、エンドレスベルトやチューブの形状を有している。ローラ部材は、ローラ状基体上に樹脂またはゴムの被覆層を有する被覆ローラである。
【0006】
前記各工程では、静電気または電荷を厳密に制御する必要があるため、各工程で使用される部材の多くは、適度の導電性を有することが求められている。例えば、帯電ベルトを用いた帯電方式では、電圧を印加した帯電ベルトを感光体表面に接触させることにより、帯電ベルトから感光体表面に直接電荷を与えて帯電させている。非磁性一成分現像剤を用いた現像方式では、感光体に対向して現像ローラを配置し、現像ローラとトナー供給ローラとの間の摩擦力により、トナーを現像ローラ表面に帯電状態で付着させ、これをトナー層厚規制ブレードで均一な厚みにならした後、感光体表面の静電潜像に対して電気吸引力により移行させている。エンドレスベルトを用いた転写方式では、エンドレスベルトにより転写材を搬送するとともに、該ベルトにトナーとは逆極性の電荷を付与して転写電界を形成し、クーロン力で感光体表面のトナー像を転写材上に転写している。
【0007】
このような各種部材の多くは、それぞれの機能を発揮するために、部材全体または少なくとも表面層が適度の導電性を有すること、より具体的には、半導電性領域に属する10〜1013Ωcmの範囲内の体積抵抗率を有することが求められている。これらの部材は、半導電性であることにより、電荷制御機能を発揮することができるため、電荷制御部材であるということができる。近年、このような電荷制御部材として、適度の導電性を付与した合成樹脂材料により成形されたものが汎用されるに至っている。
【0008】
インクジェット方式のプリンターにおいても、紙搬送部材(例えば、ベルト)等の電荷を制御することによって、紙の吸着、搬送、分離、付着物のクリーニングなどの各工程が実施されており、各種の電荷制御部材が用いられている。合成樹脂製の壁紙やOA機器外装材などでも、塵埃吸着防止のため、半導電性を有することが望まれている。
【0009】
電荷制御部材には、半導電性領域の体積抵抗率を有することが求められているが、その体積抵抗率は、該部材の場所によるバラツキが小さく実質的に均一であることが望ましい。例えば、体積抵抗率のバラツキが大きい帯電ベルトを用いると、感光体表面を均一に帯電させることができない。体積抵抗率のバラツキが大きい転写ベルトを用いると、感光体表面のトナー像を正確に転写材上に転写することができない。その結果、高品質の画像を得ることができなくなる。
【0010】
また、電荷制御部材には、高度の耐久性を有することが求められている。電荷制御部材がエンドレスベルトである場合には、2本以上のロールを用いて長期間にわたって駆動され、ローラ部材である場合には、高速回転させられる。そのため、電荷制御部材には、このような過酷な稼動条件に耐えるだけの十分な耐久性が必要とされる。機械的特性としては、特に引張弾性率と引張破断伸びが共に優れていることが望ましい。例えば、ベルトの引張弾性率が低すぎると、ベルトに歪みが生じて、耐久性が損なわれるだけではなく、中間転写ベルトの場合には、ベルト上に転写されたトナー像の歪みや色ずれの原因となる。電荷制御部材の引張破断伸びが低すぎると、柔軟性が不足して、異物の巻き込み等による割れが発生し易くなる。
【0011】
電荷制御部材は、高温雰囲気下で使用されることが多く、しかも電子写真複写機に装着されている電荷制御部材などは、100Vから数kVまたはそれ以上の高電圧が印加される場合があるため、スパークや加熱による引火の危険に曝されている。このため、電荷制御部材には、耐熱性と難燃性に優れていることが求められている。
【0012】
さらに、前記の如き諸特性に加えて、電荷制御部材には、白色を基調とする色調を有することが望まれる場合が多い。例えば、電荷制御部材が塵埃吸着防止性の壁紙、OA機器外装材などである場合には、白色の美しい色調であることが望ましい。フルカラー画像形成装置等における紙搬送ベルトや転写ベルトでは、該ベルト上または転写紙若しくはOHPシート上のカラートナー若しくはカラーインクの色調を確認するために、該ベルトの色調は、白色を基調とした色調であることが望ましい。
【0013】
しかし、合成樹脂に半導電性を付与するために、導電性フィラーとして汎用の導電性カーボンブラックを配合すると、得られる樹脂組成物が黒色となり、白色の半導電性樹脂組成物を得ることができない。また、導電性カーボンブラックを含有する樹脂組成物を用いて溶融成形した半導電性成形物は、場所による導電性のバラツキが大きい。
【0014】
そこで、本発明者らは、体積抵抗率の場所によるバラツキが小さく、環境湿度変化による体積抵抗率と表面抵抗率の変化が小さい半導電性樹脂組成物として、ポリフッ化ビニリデン系樹脂にイオン性導電剤であるアルキル四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩を添加したポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を提案した(特開平11−323052号公報)。
【0015】
上記のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物は、透明性に優れているため、白色の色調の成形物を得るには、該樹脂組成物の白色化を図る必要がある。透明な樹脂を白色化する方法としては、酸化チタンやチタン酸バリウムなどの白色無機顔料を配合する方法が一般的である。しかし、該ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物に白色無機顔料を配合すると、白色無機顔料がイオン性導電剤と化学反応を起こし易いため、混練時や成形時に樹脂の発泡や分解が生ずる。
【0016】
白色無機顔料の代りにシリカを配合する方法が考えられるが、シリカは、イオン性導電剤と化学反応を起し難いものの、ポリフッ化ビニリデン系樹脂と屈折率が近いため、前記ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物の白色化には適さない。
【0017】
また、白色無機顔料やシリカなどの無機フィラーは、配合割合や粒子の大きさによっては、ポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物を用いて形成したシートやベルトなどの成形物が脆化したり、成形物の表面が粗くなり過ぎることがある。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、半導電性領域の体積抵抗率を有し、体積抵抗率の場所によるバラツキが小さく、引張弾性率や引張破断伸びなどの機械的物性、耐熱性、難燃性、成形性(製膜性)が良好で、しかも白色を基調とする美しい色調の成形物を形成することができる半導電性樹脂組成物を提供することにある。
【0019】
また、本発明の課題は、このような優れた特性を有する半導電性樹脂組成物を用いて形成した半導電性シートなどの成形物、特に電荷制御部材を提供することにある。
【0020】
本発明者らは、前記課題を達成するために鋭意研究した結果、ポリフッ化ビニリデン系樹脂に非晶性ポリエステル樹脂とイオン性導電剤とを特定割合で組み合わせて配合することにより、白色の色調を有する半導電性樹脂組成物の得られることを見出した。本発明の半導電性樹脂組成物は、成形時に分解や発泡が生じることがなく、得られた成形物の引張弾性率や引張破断伸びも良好であり、場所による体積抵抗率のバラツキも極めて小さい。本発明の半導電性樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を主成分としているため、耐熱性や難燃性にも優れている。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(A)ポリフッ化ビニリデン系樹脂60〜98.9質量%、(B)非晶性ポリエステル樹脂1〜30質量%、及び(C)イオン性導電剤0.1〜10質量%を含有する半導電性樹脂組成物が提供される。
【0022】
また、本発明によれば、該半導電性樹脂組成物から溶融成形され、体積抵抗率の平均値が1.0×10〜1.0×1013Ωcmの範囲内にある半導電性シートが提供される。さらに、本発明によれば、該半導電性樹脂組成物から形成された電荷制御部材が提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
1.ポリフッ化ビニリデン系樹脂
本発明で使用するポリフッ化ビニリデン系樹脂は、フッ化ビニリデンのホモポリマー(即ち、ポリフッ化ビニリデン;以下、「PVDF」と略記)、及びフッ化ビニリデン単位を主構成単位とするフッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、結晶性ポリマーであることが好ましく、共重合体である場合には、他の共重合可能なモノマー(コモノマー)の共重合割合は、通常20モル%未満、好ましくは12モル%未満、より好ましくは10モル%未満であることが望ましい。結晶性ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、通常、α型結晶構造を有している。ただし、ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、例えばテトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩を配合すると、β型またはγ型の結晶構造となり易い。
【0024】
フッ化ビニリデン共重合体としては、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン共重合体が好適なものとして挙げられる。ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びフッ化ビニリデン共重合体は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の中でも、耐汚染性、耐オゾン性、耐溶剤性の観点からは、フッ化ビニリデンのホモポリマーであるPVDFが好ましい。柔軟性や引き裂き強度の観点からは、フッ化ビニリデンを主構成単位とするフッ化ビニリデン共重合体を単独で、あるいはPVDFとブレンドして使用することが好ましい。接着性を向上させるには、官能基を導入したフッ化ビニリデン共重合体が好適に使用される。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、それ以外の熱可塑性樹脂を本発明の目的を妨げない程度にブレンドして用いてもよい。
【0026】
2.イオン性導電剤
本発明で使用するイオン性導電剤としては、市販のイオン電解質型の帯電防止剤、イオン系の界面活性剤、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属、有機イオン電解質などが挙げられるが、これらに限定されない。イオン性導電剤は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の溶融加工温度に耐え得る程度の耐熱性を有するものが好ましい。イオン性導電剤の中でも、パーフルオロアルキルスルホン酸カリウム、パーフルオロアルキルスルホン酸セシウムなどのパーフルオロアルキル金属塩;アルキル四級アンモニウム硫酸塩(即ち、テトラアルキルアンモニウム硫酸塩)、アルキル四級アンモニウム亜硫酸塩(即ち、テトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩)が好ましい。
【0027】
テトラアルキルアンモニウム硫酸塩は、下記式(1)
【0028】
【化3】
Figure 2004083717
【0029】
(式中、R〜Rは、互に同一または相異なるアルキル基であり、Rは、アルキル基、フルオロアルキル基または水素原子である。)
で表される化合物である。
【0030】
テトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩は、下記式(2)
【0031】
【化4】
Figure 2004083717
【0032】
(式中、R〜Rは、互に同一または相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基または水素原子である。)
で表される化合物である。
【0033】
式(1)及び(2)で表される各化合物において、アルキル基の炭素数の合計は、好ましくは8〜30、より好ましくは12〜24、特に好ましくは15〜20である。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6の短鎖アルキル基が好ましい。フルオロアルキル基としては、CF、Cなどの短鎖フルオロアルキル基が好ましい。
【0034】
式(1)及び(2)で表される各化合物の具体例としては、(C、(C、(C、(C11などの四級アンモニウムカチオンとCFSO 、CHSO 、HSO 、CFSO 、CHSO 、HSO などの硫酸または亜硫酸を含むアニオンからなる塩を挙げることができる。これらの化合物は、2種類以上のアニオン及び/またはカチオンを組み合わせた塩であってもよい。また、四級アンモニウムが有する4つのアルキル基は、それぞれが同一であっても異なっていてもよい。これらの中でも、テトラアルキルアンモニウムの硫酸水素塩が好ましく、テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩が特に好ましい。
【0035】
3.非晶性ポリエステル樹脂
本発明で使用する非晶性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計(DSC)による熱分析で100〜300℃の範囲内に10J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を有するピークが検知されない本質的に非結晶性のポリエステル樹脂であることが好ましい。この結晶融解熱(ΔH)は、好ましくは5J/g以下、より好ましく3J/g以下、最も好ましくは実質的にゼロJ/gである。このように、本発明で使用する非晶性ポリエステル樹脂は、本質的に非結晶性であって、如何なる成形条件によっても結晶化しないものであることが望ましい。
【0036】
非晶性ポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などの熱可塑性ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分及び/またはジオール成分の一部を他の共重合成分で置き換えて、結晶性を低下または消失させたコポリエステルである。共重合成分の割合は、通常20〜50モル%、好ましくは25〜40モル%、より好ましくは30〜35モル%である。共重合成分の割合が低すぎると、ポリエステル樹脂に結晶性が現われたり、結晶性の程度が高くなり、半導電性シートなどの成形物の引張破断伸びや柔軟性が低下する。
【0037】
非晶性ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分とジオール成分との等モルの重縮合物である。各成分の共重合割合は、ジカルボン酸成分とジオール成分の合計200モル%を基準として算出する。例えば、PET樹脂を構成するジオール成分のエチレングリコール(EG)の一部を1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に置き換えて、EG70モル%とCHDM30モル%からなるジオール成分(合計100モル%)とした場合、共重合体中のテレフタル酸とEGから形成される繰り返し単位の割合が70モル%となり、テレフタル酸とCHDMとから形成される繰り返し単位の割合が30モル%となる。この場合、共重合成分であるCHDMの割合を30モル%という。
【0038】
共重合成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、キシリレングリコール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサジメタノールなどのジオール成分;イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸などのジカルボン酸成分;などが挙げられる。これらの非晶性ポリエステル樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
【0039】
本発明で使用する非晶性ポリエステル樹脂の中でも、ジカルボン酸成分がテレフタル酸を主体とするものであり、かつ、グリコール成分がエチレングリコール(EG)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)を主体とするコポリエステルが好ましい。より具体的に、本発明で使用する非晶性ポリエステル樹脂としては、1,4−シクロヘキサンジメタノールを共重合成分とする非晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体(PETG)であることが好ましい。PETGは、PET樹脂を構成するグリコール成分であるエチレングリコール(EG)の一部を1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)に置き換えたコポリエステルである。EGの一部をCHDMに置き換えて共重合させると、CHDMの共重合割合がある範囲内で結晶化度が実質的にゼロのコポリエステル(即ち、PETG)が得られる。
【0040】
非結晶性のPETGにおいて、グリコール成分中のCHDMの割合は、EGよりも少なく、好ましくは25〜40モル%、より好ましくは30〜35モル%程度である。これに対応して、EGの割合は、好ましくは60〜75モル%、より好ましくは65〜70モル%となる。PETGは、イーストマンケミカル社からEASTAR PETG6763(CHDM=31±3モル%)の商品名で市販されているものがあり、本発明では、この市販品を好適に用いることができる。もちろん、前記で定義した「DSCによる熱分析で180〜300℃の範囲内に10J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を有するピークが検知されない本質的に非結晶性のポリエステル樹脂」であれば、その他のグレードの市販品や合成品も使用することができる。
【0041】
4.半導電性樹脂組成物
本発明の半導電性樹脂組成物は、(A)ポリフッ化ビニリデン系樹脂60〜98.9質量%、(B)非晶性ポリエステル樹脂1〜30質量%、及び(C)イオン性導電剤0.1〜10質量%を含有する半導電性樹脂組成物である。
【0042】
ポリフッ化ビニリデン系樹脂の配合割合は、60〜98.9質量%、好ましくは67〜96.5質量%、より好ましくは75〜94質量%の範囲内である。ポリフッ化ビニリデン系樹脂の配合割合が小さすぎると、機械的物性、耐熱性、難燃性などの優れた特性が低下する。ポリフッ化ビニリデン系樹脂の配合割合が大きすぎると、白色の色調が損なわれる。
【0043】
非晶性ポリエステル樹脂の配合割合は、1〜30質量%、好ましくは3〜25質量%、より好ましくは5〜20質量%の範囲内である。非晶性ポリエステル樹脂の配合割合が小さすぎると、白色の色調を有する半導電性樹脂組成物を得ることができない。非晶性ポリエステル樹脂の配合割合が大きすぎると、引張破断伸びが低下し、さらには、各成分の分散性が不良となり易い。特に、非晶性ポリエステル樹脂の配合割合が大きすぎる樹脂組成物を押出成形してシートを製膜すると、該シートの幅方向(TD)の引張破断伸びが著しく低下して、流れ方向に裂け易くなる(即ち、シートが縦裂きする)。非晶性ポリエステル樹脂を特定割合で配合すると、実用的な機械的物性を保持しつつ、樹脂組成物が白色の色調を呈するようになる。樹脂組成物の機械的物性と色調とのバランスの観点からは、非晶性ポリエステル樹脂の配合割合を5〜10質量%の範囲内とすることが望ましい。
【0044】
イオン性導電剤の配合割合は、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%の範囲内である。イオン性導電剤の配合割合が小さすぎると、半導電性領域の体積抵抗率を有する樹脂組成物を得ることが困難になる。イオン性導電剤の配合割合が大きすぎると、イオン性導電剤が分散不良となり、樹脂マトリックス中に未溶解物が生じ易くなり、さらには、樹脂組成物の機械的物性が低下し易くなる。導電性と機械的物性とのバランスの観点からは、イオン導電剤の配合割合は、1.5〜4質量%の範囲内とすることが特に好ましい。
【0045】
本発明の半導電性樹脂組成物は、体積抵抗率(平均値)が通常1.0×10〜1.0×1013Ωcm、好ましくは1.0×10〜1.0×1012Ωcm、より好ましくは1.0×10〜1.0×1011Ωcmの範囲内の半導電性を示す半導電性シートなどの成形物を与えることができる。
【0046】
本発明の半導電性樹脂組成物には、本発明の目的・効果を損なわない範囲内において、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、カップリング剤、充填剤などを適宜添加することができる。
【0047】
5.樹脂組成物の調製方法、成形方法及び成形物
本発明の半導電性樹脂組成物を調製する方法としては、例えば、(1)各成分を一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダー等の混練機に供給して、溶融混練し、ペレット化する方法、(2)ポリフッ化ビニリデン系樹脂とイオン性導電剤とを含有するペレットと、非晶性ポリエステル樹脂のペレットとをブレンドする方法、(3)イオン性導電剤を多量に含有するポリフッ化ビニリデン系樹脂のマスターバッチ、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、及び非晶性ポリエステル樹脂をブレンドする方法などが挙げられる。これらの各成分やペレットなどは、成形時に成形機の中で溶融ブレンドしてもよい。また、混練機に投入する各成分は、予めブラベンダなどの混合機で良く混合しておくことが望ましい。
【0048】
本発明の半導電性樹脂組成物の成形方法は、特に制限されるものではなく、射出成形や溶融押出法などの一般的な溶融成形法により、例えば、シート、ファイバー、その他の成形品に成形することができる。成形後、さらに成形物を延伸や熱固定することも可能である。本発明の半導電性樹脂組成物は、それ単独で使用してもよく、また、必要に応じて他の樹脂層などと複合させて、積層シートや複合糸などにしてもよい。
【0049】
半導電性樹脂組成物を用いて半導電性シートを成形する方法としては、一軸または二軸スクリュー押出機とTダイを用いて、連続的にシート状に溶融押出成形する方法を採用することが好ましい。押出機には、樹脂組成物のペレットを供給することができるが、前述の混練機として一軸または二軸スクリュー押出機を使用する場合には、ペレット化することなく、押出機内で溶融混練した樹脂組成物を直接Tダイからシート状に押出成形することができる。また、押出機にイオン性導電剤を含有するマスターバッチと樹脂成分とを供給して、押出機内でペレットブレンドしてから溶融押出成形することもできる。
【0050】
半導電性シートの成形は、押出機の先端に取り付けたTダイから溶融状態の該樹脂組成物をTダイのリップの直下に押し出し、冷却ドラム上にエアーナイフなどにより密着させつつ冷却固化する方法を採用することが好ましい。半導電性シートは、通常、Tダイからシート状に成形されるが、環状ダイを用いて半導電性シートを直接シームレスベルトまたはチューブなどの形状に成形することもできる。シームレスベルトまたはチューブの望ましい連続的な溶融押出成形法としては、1軸スクリュー押出機とスパイラル環状ダイを用い、溶融樹脂組成物を該環状ダイのリップから直下に環状に押し出し、内部冷却マンドレル方式によって環状体の内径を制御しながら引き取る方法が挙げられる。
【0051】
本発明の半導電性樹脂組成物は、成形時に直接シームレスベルトやチューブに成形することができるが、それ以外の通常のシート状に成形した場合には、得られた半導電性シートを二次加工することにより、各種の電荷制御部材に形成することができる。その一つの方法は、半導電性シートの加熱シームによるエンドレスベルトやチューブの成形である。本発明の半導電性シートを加熱シームで接着してベルト状に成形する場合などは、シートの加熱個所(再溶融個所)は、一部分でもシート全体でもよい。
【0052】
本発明の半導電性シートは、他の素材から形成されたベルト状基体(例えば、ポリイミドフィルムからなるベルト)上に被覆することにより、積層ベルトに形成することができる。また、本発明の半導電性シートは、他の導電性シートや半導電性シート、あるいは絶縁シートなどと2層以上に積層してもよい。積層するには、界面を接着剤で張り合わせても、共押出により多層シートとして成形してもよい。さらに、本発明の半導電性シートは、ローラ状基体(例えば、芯金)上に被覆することにより、被覆ローラを形成することができる。半導電性樹脂組成物から形成されたチューブをローラ状基体上に被覆することもできる。
【0053】
本発明の半導電性シートや電荷制御材の表面は、用途に応じて、他の樹脂をコーティングしたり、金属蒸着したり、艶消し加工してもよい。ただし、白色の色調を利用するには、表面加工することなく使用することが好ましい。特に、本発明の半導電性シートを壁紙、OA機器外装材、間仕切りなどとして使用する場合には、白色の美しい色調を発揮する上で、表面加工することなく使用することが好ましい。
【0054】
本発明の半導電性シートの厚みは、用途に応じて適宜定めることができるが、通常20〜1000μm、好ましくは30〜500μm、より好ましくは40〜250μm、特に好ましくは50〜200μmである。半導電性シートの厚みが薄すぎると強度が低下し、厚すぎると柔軟性が低下する。
【0055】
本発明の半導電性シートの体積抵抗率(平均値)は、1.0×10〜1.0×1013Ωcm、好ましくは1.0×10〜1.0×1013Ωcmの範囲内に調整され、用途に応じて、この範囲内から所望の体積抵抗率となるように、各成分の種類と配合割合を調節する。即ち、本発明の電荷制御部材の殆んどは、半導電性シートを二次加工することにより製造することができる。また、壁紙やOA機器外装材などは、半導電性シートをそのままの形状で使用する。
【0056】
そこで、例えば、半導電性シートを現像ローラの被覆チューブ、感光体ベルト若しくはロールの被覆チューブ、除電ベルト若しくはロールの被覆チューブまたは除電ブレードとして使用する場合には、その体積抵抗率を好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωcm、より好ましくは1.0×10〜1.0×10Ωcmの範囲内に調節する。半導電性シートを紙搬送ベルトとして使用する場合には、その体積抵抗率を好ましくは1.0×10〜1.0×1013Ωcm、より好ましくは1.0×10〜1.0×1012Ωcmの範囲内に調節する。半導電性シートを転写ベルト若しくはロールの被覆チューブ、帯電ベルト若しくはロールの被覆チューブまたは帯電ブレードとして使用する場合には、その体積抵抗率を好ましくは1.0×10〜1.0×1013Ωcm、より好ましくは1.0×10〜1011Ωcmの範囲内に調節する。
【0057】
半導電性シートは、場所による体積抵抗率のバラツキができるだけ小さいものであることが均一な電荷制御機能を発揮する上で望ましい。半導電性シートが電荷制御部材として満足に機能するには、体積抵抗率の最大値が最小値の30倍以内にあることが必要とされるが、本発明によれば、表面積1m当たり任意に選んだ20点で測定した体積抵抗率の最大値が最小値の通常10倍以下、好ましくは1〜6倍、より好ましくは1〜4倍、特に好ましくは1〜3倍の範囲内の半導電性シートを得ることができる。このような半導電性シートの体積抵抗率に関する特性は、本発明の半導電性樹脂組成物を用いて形成された電荷制御部材の特性と一致する。
【0058】
電荷制御部材が例えば転写ベルトである場合、該ベルトが歪むと、ベルト上に形成されるトナー画像の歪みや色ずれの原因になる。そのため、半導電性シートは、十分に高い弾性率を有することが望ましい、また、ベルト部材は、異物の巻き込み等によって割れたりすることが無いように、適度な柔軟性を有することが望ましい。本発明の半導電性シートは、引張弾性率と引張破断伸びが共に優れており、上記要求に応えることができるものである。
【0059】
具体的に、本発明の半導電性シートは、引張弾性率が好ましくは0.7GPa以上、より好ましくは0.9GPa以上、特に好ましくは1.0GPa以上であり、多くの場合1.2GPa以上とすることができる。引張弾性率の上限値は、通常4.0GPa、多くの場合2.0GPa程度である。
【0060】
本発明の半導電性シートの引張破断伸びは、押出成形時の押出方向(MD)では、通常、実質的に測定限界である200%を超える高い値を示す。半導電性シートの横方向(TD)の引張破断伸びは、非晶性ポリエステル樹脂やイオン性導電剤の配合割合によって大幅に変動することが多く、その場合、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上である。非晶性ポリエステル樹脂及びイオン性導電剤の配合割合を選択することにより、横方向(TD)の引張破断伸びを50%以上とすることができる。
【0061】
本発明の半導電性樹脂組成物を中間転写ベルトや紙搬送ベルトとして使用する場合、色調は白を基調とした色彩が好ましく、白を基調とした無彩色が特に好ましく、白色が最も好ましい。色の濃さは、半透明であっても差し支えない。本発明の半導電性シート(電荷制御部材)の平行光線透過率は、通常70%以下、好ましくは50%以下であり、その下限は、通常5%、多くの場合10%程度である。
【0062】
したがって、本発明の半導電性シートや電荷制御部材は、通常、半透明のパール状の光沢を帯びた色調を呈している。また、本発明の半導電性樹脂組成物は、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を主成分としているので、該樹脂組成物から形成された半導電性シートや電荷制御部材は、耐熱性及び難燃性に優れている。
【0063】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。物性の測定方法は、以下の通りである。
(1)厚み測定:
成形物の厚みは、ダイヤルゲージ厚み計(小野測器社製、商品名:DG−911)で測定した。
【0064】
(2)体積抵抗率:
体積抵抗率が1.0×10Ωcm以上の試料については、リング状プローブ(三菱化学社製、商品名URSプローブ;内側電極の外径5.9mm、外側電極の内径11.0mm、外側電極の外径17.8mm)と測定ステージ(三菱化学社製、商品名レジテーブルUFL)との間に試料を挟み、約3kg重の圧力で押さえつけつつ、プローブの内側の電極と測定ステージとの間に100Vの電圧を印加し、抵抗率測定装置(三菱化学社製、商品名ハイレスタUP)で体積抵抗率を求めた。リング電極法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K6911に記載されている。
【0065】
体積抵抗率が1.0×10Ωcm未満、1.0×10Ωcm以上の試料については、印加電圧を10Vにして、体積抵抗率が10Ωcm以上の試料と同様にして体積抵抗率を求めた。体積抵抗率が1.0×10Ωcm未満の試料については、四探針プローブ(三菱化学社製、商品名PSPプローブ;ピン間隔1.5mm)と抗率測定装置(三菱化学社製、商品名ロレスタHP)を用いて体積抵抗率を求めた。四探針法による体積抵抗率測定法の詳細は、JIS−K7194に記載されている。
【0066】
(3)平均値の算出:
上記した厚み及び体積抵抗率の測定は、これらの値を測定すべき試料の表面積1m当たり任意に選んだ20点の測定点について測定し、その最大値、最小値、平均値(算術平均)を求めた。
【0067】
(4)引張弾性率及び引張破断伸び:
JIS K−7113に準拠し、幅10mm、長さ100mmの短冊型試験片を用い、引張試験機(オリエンテック社製、商品名テンシロンRTM100型)により引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で測定した。
【0068】
(5)平行光線透過率:
平行光線透過率は、へイズメータ(日本電色工業社製、商品名Σ80)を用いて曇価として測定した。測定方法の詳細は、JIS K−7105に記載されている。
【0069】
(6)示差走査熱量計(DSC)による熱分析:
示差走査熱量測定装置(メトラー社製、製品名DSC30)とデータプロセッサ(メトラー社製、製品名TC10A)とを用い、試料(ペレット)を下記条件により熱分析した。試料は、75℃で10時間コンディショニングした後、測定に供した。ファーストランにより、結晶融解ピーク温度と結晶融解熱(ΔH)を求めた。測定条件は、試料重量10mg、測定開始温度30℃、測定終了温度300℃、昇温速度10℃/分である。
【0070】
[実施例1〜4、比較例1〜9]
表1に示す組成の原料を一軸スクリュー押出機に供給して、リップクリアランス0.7mmのTダイからシート状に溶融押出し、直ちに30℃の冷却ロールによって冷却して、厚みが約50μmのシート(フィルム)に成形した。ただし、イオン性導電剤を配合する場合には、PVDFに所定量のイオン性導電剤を添加したペレットを予め作成しておき、製膜時に他の成分とブレンドした。結果を表1及び2に示す。実施例1〜4と比較例1〜2のシートは、パール状の光沢を帯びた白色の色調だった。比較例7〜9の配合処方の場合には、樹脂が分解、発泡してシートに成形することができなかった。
【0071】
【表1】
Figure 2004083717
【0072】
(脚注)
(1)PVDF:ポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学工業製、KF#1000)
(2)PETG:非晶性ポリエステル樹脂(イーストマンケミカル製、EASTER PETG6763;固有粘度=0.75、100〜300℃の間にDSC結晶融解ピーク温度なし。)
(3)TBAHS:テトラブチルアンモニウム硫酸水素塩〔(CNHSO;広栄化学製〕
(4)PETE:ポリエステルエラストマー〔東洋紡製、ペルプレンP90BD、DSC結晶融解ピーク温度200℃(ΔH=28J/g)〕
(5)Ny12:ナイロン12(宇部興産製、3035U)
(6)PET:PET樹脂〔クラレ製、クラペットKS−710B4、DSC結晶融解ピーク温度237℃(ΔH=62J/g)〕
【0073】
【表2】
Figure 2004083717
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、半導電性領域の体積抵抗率を有し、体積抵抗率の場所によるバラツキが小さく、引張弾性率や引張破断伸びなどの機械的物性、耐熱性、難燃性、成形性(製膜性)が良好で、しかも白色を基調とする美しい色調の成形物を形成することができる半導電性樹脂組成物が提供される。より具体的に、本発明によれば、白色を基調とする美しい色調で、かつ、10〜1013Ωcmの範囲内で所定の体積抵抗率を安定して均一に精度よく再現できる半導電性のポリフッ化ビニリデン系樹脂組成物が提供される。
【0075】
また、本発明によれば、このような優れた特性を有する半導電性樹脂組成物を用いて形成した半導電性シートなどの成形物、特に電荷制御部材が提供される。本発明の半導電性樹脂組成物は、半導電性シートに成形することが好ましい。本発明の半導電性樹脂組成物は、画像形成装置における帯電ロール、転写ロール、帯電ベルト、除電ベルト、転写ベルト、紙搬送ベルトなど電荷制御部材の少なくとも表面層を形成する半導電性樹脂材料として好適である。本発明の半導電性樹脂組成物は、インクジェット方式のプリンターにおける各種電荷制御部材としても好適である。さらに、本発明の半導電性樹脂組成物は、白色の塵埃吸着防止性の壁紙、OA機器外装材などの樹脂材料として好適である。

Claims (15)

  1. (A)ポリフッ化ビニリデン系樹脂60〜98.9質量%、
    (B)非晶性ポリエステル樹脂1〜30質量%、及び
    (C)イオン性導電剤0.1〜10質量%
    を含有する半導電性樹脂組成物。
  2. ポリフッ化ビニリデン系樹脂が、フッ化ビニリデンのホモポリマーである請求項1記載の半導電性樹脂組成物。
  3. 非晶性ポリエステル樹脂が、ジカルボン酸成分とジオール成分との重縮合物であって、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含み、ジオール成分として25〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールと60〜75モル%のエチレングリコールとを含む非晶性ポリエチレンテレフタレート共重合体である請求項1記載の半導電性樹脂組成物。
  4. イオン性導電剤が、式(1)
    Figure 2004083717
    (式中、R〜Rは、互に同一または相異なるアルキル基であり、Rは、アルキル基、フルオロアルキル基または水素原子である。)
    で表されるテトラアルキルアンモニウム硫酸塩、式(2)
    Figure 2004083717
    (式中、R〜Rは、互に同一または相異なるアルキル基であり、R10は、アルキル基、フルオロアルキル基または水素原子である。)
    で表されるテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩、またはこれらの混合物である請求項1記載の半導電性樹脂組成物。
  5. イオン性導電剤が、式(1)において、Rが水素原子であるテトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩である請求項4記載の半導電性樹脂組成物。
  6. イオン性導電剤が、式(1)において、R〜Rがブチル基で、かつ、Rが水素原子であるテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩である請求項4記載の半導電性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物から溶融成形され、体積抵抗率の平均値が1.0×10〜1.0×1013Ωcmの範囲内にある半導電性シート。
  8. 引張破断伸びが5%以上で、引張弾性率が0.7GPa以上である請求項7記載の半導電性シート。
  9. 平行光線透過率が70%以下で、色調が白色である請求項7記載の半導電性シート。
  10. 表面積1m当たり任意に選んだ20点で測定した体積抵抗率の最大値が最小値の10倍以下である請求項7記載の半導電性シート。
  11. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物から形成された電荷制御部材。
  12. 半導電性ベルト、半導電性チューブまたは半導電性ブレードである請求項11記載の電荷制御部材。
  13. ベルト状若しくはローラ状基体上に半導電性樹脂組成物の被覆層が形成された多層ベルトまたは被覆ローラである請求項11記載の電荷制御部材。
  14. 電子写真方式の画像形成装置またはインクジェット方式のプリンターに装着される半導電性部材である請求項11乃至13のいずれか1項に記載の電荷制御部材。
  15. 壁紙、OA機器外装材または間仕切りである請求項11記載の電荷制御部材。
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