JP2002249648A - 成形部材、エンドレスベルト、画像形成装置用ベルト及び画像形成装置 - Google Patents

成形部材、エンドレスベルト、画像形成装置用ベルト及び画像形成装置

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JP2002249648A JP2001177416A JP2001177416A JP2002249648A JP 2002249648 A JP2002249648 A JP 2002249648A JP 2001177416 A JP2001177416 A JP 2001177416A JP 2001177416 A JP2001177416 A JP 2001177416A JP 2002249648 A JP2002249648 A JP 2002249648A
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誠 森越
Norihiro Otsu
紀宏 大津
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法安定性に優
れ、溶融混合時の反応による物性劣化を抑えたエンドレ
スベルト等の成形部材と、このエンドレスベルトを用い
た画像形成装置用ベルトと、この画像形成装置用ベルト
を用いた画像形成装置が提供する。 【解決手段】 成分A;熱可塑性結晶性エステル系樹
脂、成分B;熱可塑性非晶性エステル系樹脂、成分C;
Ti系化合物、成分D;キレーター及び成分E;導電性
物質を、成分A/成分Bの重量比が1/99〜99/
1、成分A〜Dの合計に対するTi元素濃度が1〜10
000ppmとなる配合割合で加熱混練した後、成形し
てなることを特徴とする成形部材。この成形部材よりな
るエンドレスベルト。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性、寸法精
度、耐屈曲性及び引張破断伸びなどの物性に優れた成形
部材と、このように優れた物性を有する無端(エンドレ
ス)のエンドレスベルト及び該エンドレスベルトを用い
た、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、フ
ァクシミリ機等に利用される中間転写ベルト、搬送転写
ベルト、感光体ベルト等の画像形成装置用ベルト並びに
この画像形成装置用ベルトを含む画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来よりOA機器等などの画像形成装置
として、感光体、トナーを用いた電子写真方式や感光体
を用いずにトナーを直接エンドレスベルト上に転写させ
るトナージェット方式が考案され上市されている。これ
らの装置には継ぎ目の有無に関わらず感光体ベルト、中
間転写ベルト、搬送転写ベルト、転写分離ベルト、帯電
チューブ、現像スリーブ、定着用ベルト、トナー転写ベ
ルト等の導電性、半導電性、絶縁性の各種電気抵抗に制
御したエンドレスベルトが用いられている。
【0003】例えば、中間転写装置は、中間転写体上に
トナー像を一旦形成し、次に紙等へトナーを転写させる
ように構成されている。この中間転写体の表層における
トナーへの帯電、除電のために導電性のエンドレスベル
トが用いられている。このエンドレスベルトは、マシー
ンの機種毎に異なった表面抵抗率や厚み方向電気抵抗
(体積固有抵抗率)に設定(導電、半導電、絶縁)され
ている。
【0004】また、搬送転写装置は、紙を一旦搬送転写
体上に保持した上で感光体からのトナーを搬送転写体上
に保持した紙上へ転写させ、さらに除電により紙を搬送
転写体より離すように構成されている。この搬送転写体
表層においては紙への帯電、除電のためにシーム有り、
無しのエンドレスベルトが用いられている。このエンド
レスベルトは、上記と同様にマシーン機種毎に異なった
表面電気抵抗や厚み方向電気抵抗(体積固有抵抗率)に
設定されている。
【0005】図3は従来の中間転写装置の側面図であ
る。図中、1は感光ドラム、6は導電性エンドレスベル
トである。1の感光ドラムの周囲には、帯電器2、半導
体レーザー等を光源とする露光光学系3、トナーが収納
されている現像器4及び残留トナーを除去するためのク
リーナー5よりなる電子写真プロセスユニットが配置さ
れている。導電性エンドレスベルト6は、搬送ローラ
7,8,9に掛け渡されて、矢印方向に回転する感光ド
ラムと同調して矢印方向に移動するようになっている。
【0006】次に、動作について説明する。まず矢印A
方向に回転する感光ドラム1の表面を帯電器2により一
様に帯電する。次に、光学系3により図示しない画像読
み取り装置等で得られた画像に対応する静電潜像を感光
ドラム1上に形成する。静電潜像は現像器4でトナー像
に現像される。このトナー像を、静電転写機10により
導電性エンドレスベルト6へ静電転写し、搬送ローラ9
と押圧ローラ12の間で記録紙11に転写する。
【0007】ところで、電子写真式複写機等の導電性エ
ンドレスベルトの場合には、機能上2本以上のロールに
より高張力で長時間駆動されるため、十分な耐久性が要
求される。さらに、中間転写装置等に使用される場合
は、ベルト上でトナーによる画像を形成して紙へ転写す
るため、駆動時にベルトが弛んだり、伸びたりすると、
画像ズレの原因となる。また、トナーの転写を静電気的
に行うため、ある程度の導電性も必要である。
【0008】このようなエンドレスベルトは、トナー画
像を決定する重要部品であり、感光体、トナーとともに
3大重要部品の一つと考えられている。
【0009】そのため中間転写ベルトには次の〜が
要求される。 半導体領域にて所定の表面抵抗率と体積固有抵抗率
を有していること。 トナー離型性を有していること。 厚みが薄く均一であること。 機械的強度が強い(割れにくい)こと。 環境(温度,湿度)による抵抗値の変動が少ないこ
と。 低コストであること。 シームレスで真円なベルトであること。
【0010】また、近年のマシーンの高速印刷化に伴
い、ベルトを駆動する速度が速まり、ベルトの耐久性を
向上させる必要が出てきている。
【0011】特に、感光体を4つ並べたタンデム型の搬
送転写、中間転写ベルトやトナージェット用ベルトでは
高速で印刷できる点で注目されており、特に耐久性と画
像ズレが重要となっている。
【0012】現在までエンドレスベルトとしては、例え
ば、ポリアミド、ポリイミド、ポリフッ化ビニリデン、
エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリカーボ
ネート、ポリエステル等の樹脂組成物中に、アセチレン
ブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック等
のカーボンブラックを添加し、これを数十〜数百μm程
度の厚さに成形することで所定の電気抵抗率(表面抵抗
率、体積固有抵抗率)に設定したベルトを中間転写体用
ベルト、紙搬送とトナー転写を兼ねた搬送転写用ベルト
を得ていることが知られている(特開昭63−3112
67号公報、特開平5−170946号公報、特開平6
−228335号公報等)。
【0013】なお、エンドレスベルトの作製方法として
は次のような方法が考えられている。
【0014】(i) 回転成形法(又は遠心成形法とも表
現する場合がある) 円筒状金型の内周面に溶液を溶かした樹脂を入れ、金型
を回転させながら温度を加え、溶媒を半分以上揮発させ
てから金型の内部よりシームレス状のチューブを取り出
す工程と、別の円筒状金型の外部にシームレスチューブ
を装着し、温度を加えて熱硬化反応をさせる工程とから
なる(特開昭60−170862号公報)。この方法
は、主にポリイミド製転写ベルトの製造に用いられる。
【0015】(ii) 押出成形法 導電性物質をコンパウンドした樹脂を環状に溶融押出し
する方法である。この方法は、主にエチレンテトラフル
オロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリカ
ーボネート系、ポリエステル系、ポリイミド系転写ベル
トの作製方法に用いられている。
【0016】(iii) ディッピング法 樹脂溶液を円筒状又は円柱状金型外面にディッピング塗
布等により一定厚みに塗布し、加熱成膜した後、金型よ
り成膜したチューブ状フィルムを引き抜く方法である。
この方法は、主にポリフッ化ビニリデン製転写フィルム
の作製に用いられている。
【0017】(iv) ゴム押出し成形法 ポリウレタンゴムを筒状に押し出し加硫した後、表面研
磨し、再外層表面にフッ素樹脂等をコートする方法が報
告されている(電子写真学会誌33(1)43(199
4))。
【0018】従来、このような導電性エンドレスベルト
としては、熱硬化性樹脂あるいは熱可塑性樹脂にカーボ
ンブラックなどの導電性物質を配合して成形したものが
主として用いられている。なかでも、熱可塑性樹脂を主
成分にしたものは、連続成形が容易であり、広く用いら
れてきた。熱可塑性樹脂の中でも熱可塑性非晶性樹脂
は、熱可塑性結晶性樹脂よりも寸法精度に優れる。この
ような熱可塑性非晶性樹脂製エンドレスベルトとして
は、例えばポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂に導
電性のカーボンブラックを配合し、円筒ダイを用いて筒
状フィルムに押出成形し、この筒状フィルムを輪切りに
したものが知られている(特開平3−89357号公報
等)。
【0019】しかしながら、熱可塑性非晶性樹脂は熱可
塑性結晶性樹脂よりも寸法精度には優れるが、耐屈曲性
に劣り、例えば中間転写ベルトなどとして電子写真に用
いた場合、使用中にクラックが発生しやすい。
【0020】この問題点を解決すべく、ポリカーボネー
トとポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテ
レフタレートとを配合してなるエンドレスベルトが提案
されている(特開平4−313757号公報、特開平6
−149083号公報)。
【0021】しかしながら、ポリカーボネート(以下、
「PC」ということがある。)とポリブチレンテレフタ
レート(以下、「PBT」ということがある。)等のポ
リアルキレンテレフタレート(以下、「PAT」という
ことがある。)とを配合してなるエンドレスベルトは、
上記のポリカーボネートからなるエンドレスベルトより
も耐屈曲性が改良されているものの、改良の効果がまだ
不十分である。また、ポリアルキレンテレフタレート樹
脂は、結晶性が高いので、その配合量を多くするとエン
ドレスベルトの寸法精度が低くなる。
【0022】なお、一般的な知見として、熱可塑性樹脂
は熱可塑性結晶性樹脂と熱可塑性非晶性樹脂に大別で
き、熱可塑性結晶性樹脂は耐屈曲性や耐薬品性に優れる
が成形収縮率が大きいので寸法安定性が悪く透明性を有
さず、逆に熱可塑性非晶性樹脂は成形寸法安定性及び透
明性に優れるが耐屈曲性が悪く耐薬品性が劣るなどの問
題点を有しているとされてきた。しかしながら、多くの
場合、成形部材には、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法
安定性等の全てに優れることが要求されていることか
ら、従来においては、熱可塑性結晶性樹脂と熱可塑性非
晶性樹脂とのアロイ化による物性改良の検討が種々なさ
れ、一定の成果があげられてきた。
【0023】これらの研究では、例えば熱可塑性エステ
ル系樹脂の分野においてはエステル交換反応(共重合
化)を促進させることで結晶性エステル系樹脂と非晶性
エステル系樹脂を微分散化できることが報告されてい
る。しかしながら、これまでの技術では、エステル交換
(共重合化)を促進させると、解重合による低分子量体
の生成が進行し、これにより得られる成形部材の発泡を
伴ったり、分子鎖切断が進行して分子量低下による成形
部材の機械物性低下(引張破断伸び率が小さくなるな
ど)を伴う等の不具合があり、エステル交換反応の促進
による両樹脂の微分散化は、実用化されるには至ってい
ない。
【0024】このため、実際には、エステル交換反応を
抑制することにより物性低下を防いだ成形部材が実用品
として用いられているのが現状である。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上記の通り、ポリカー
ボネートからなるエンドレスベルトでは、耐屈曲性が悪
く、ローラーにてベルトを駆動させているうちにベルト
にクラックが入り破損するといった問題があった。
【0026】ポリアルキレンテレフタレートからなるエ
ンドレスベルトでは、PCベルトより耐屈曲性が改良さ
れているものの近年の装置寿命まで使用できるエンドレ
スベルトとしての市場ニーズを十分満足させたレベルに
は達していなかった。
【0027】フッ素樹脂からなるエンドレスベルトで
は、耐屈曲性は満足させているもののヤング率が100
0〜1400MPaと低く、張力を架けると伸び易く、
色ズレを起こしたり、トナーが変形された状態で紙へ転
写されることがあったりする問題があった。
【0028】ポリイミドからなるエンドレスベルトで
は、耐屈曲性は満足させているものの熱硬化性樹脂のた
め連続成形ができないことと、プラスチックの中で最も
高価であること等に高価格のベルトになってしまう問題
があるのに加え、弾性率が約6000MPaと高いた
め、ベルトを駆動する際にモータ負荷がかかるためか厚
み設定を薄くするしかなく、一旦ローラーとベルト間に
ゴミが入り込んだり、感光体との摩擦による傷等が入る
とクラックが入り易く信頼性に問題があった。
【0029】ゴムからなるエンドレスベルトでは、トナ
ー離型性が悪く、これを積層構造とする方法等により解
決しようとする試みがなされているが、そのために加
硫、表面研磨、外層フッ素樹脂コート等の工程が複雑と
なってしまい、高価格となり易く、また弾性率が低く伸
び易くなる等の問題があった。
【0030】また、OA機器などの画像形成装置では、
価格や、耐屈曲性等の機械特性に加え、電気特性が非常
に重要であり、電気抵抗値がある範囲に均一にコントロ
ールされていなければならない。そのために、カーボン
ブラックや金属酸化物等の各種導電性物質を添加させる
検討がなされているが、導電性物質を樹脂に混ぜると樹
脂との親和性の無さが影響し、益々耐屈曲性等の機械物
性や成形性を低下させることとなるといった問題があっ
た。
【0031】このように価格や、耐屈曲性等に代表され
る機械物性や、電気抵抗に代表される電気物性を満足さ
せるエンドレスベルトが未だ見出されていないのが現状
である。
【0032】本発明の目的は、耐屈曲性や耐薬品性及び
成形寸法安定性に優れ、しかも安価でエンドレスベルト
として好適な成形部材及びエンドレスベルトと、このエ
ンドレスベルトを用いた画像形成装置用ベルト及び画像
形成装置を提供するものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明の成形部材は、成
分A;熱可塑性結晶性エステル系樹脂、成分B;熱可塑
性非晶性エステル系樹脂、成分C;Ti系化合物、成分
D;キレーター及び成分E;導電性物質を、成分A/成
分Bの重量比が1/99〜99/1、成分A〜Dの合計
に対するTi元素の重量割合が1〜10000ppmと
なる配合割合で加熱混練した後、成形してなることを特
徴とする。
【0034】即ち、本発明者らは上記目的を達成すべく
鋭意検討した結果、安価な熱可塑性エステル系樹脂に着
目し、熱可塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑性非晶性
エステル系樹脂との共重合化及び高分子量化のための触
媒としてのTi系化合物と、このTi系化合物の反応性
を抑制するためのキレーターとを配合したものを加熱混
練させると、成形条件に影響を受けることなく、エステ
ル交換反応による共重合化及び高分子量化がなされた樹
脂組成物を安定に得ることができ、従来のエステル交換
反応を抑制させた手法で得られる樹脂組成物よりも、耐
屈曲性などの物性に優れ、条件下によっては透明性をも
有する成形部材が得られること、従って、導電性物質を
配合しても成形性や機械物性の低下の問題は殆ど起こら
ないことを見出し、本発明に到達した。
【0035】本発明において、触媒としてのTi系化合
物としては、アルキルチタネートが好ましく、このTi
系化合物の反応抑制剤としてのキレーターの種類として
は特に制限はないが、P系化合物が好ましく、その中で
も特に好ましくは、リン酸、リン酸塩、リン酸エステ
ル、亜リン酸、亜リン酸塩、亜リン酸エステルが挙げら
れる。
【0036】また、熱可塑性結晶性エステル系樹脂とし
てはポリアルキレンテレフタレート(PAT)が、熱可
塑性非晶性エステル系樹脂としてはポリカーボネート
(PC)、ポリアリレート(以下「PAr」ということ
がある。)等のポリエステルが好適であり、成分Eの導
電性物質としてはカーボンブラックが好適であり、成分
A〜Eの合計に対する成分Eの割合が1〜50重量%で
あることが好ましい。
【0037】本発明のエンドレスベルトはこのような本
発明の成形部材よりなるものであり、この場合におい
て、表面抵抗率が1〜1016Ωであり、かつ1本のエン
ドレスベルトにあっては該抵抗率の最大値が最小値の1
00倍以下であることが好ましい。
【0038】本発明の画像形成装置用ベルトは、このエ
ンドレスベルトからなる中間転写ベルト、搬送転写ベル
ト又は感光体ベルトである。
【0039】本発明の画像形成装置は、この画像形成装
置用ベルトを備えるものである。
【0040】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。
【0041】まず、本発明における各配合成分及びその
配合割合について説明する。
【0042】(成分A;熱可塑性結晶性エステル系樹
脂)本発明に用いる熱可塑性結晶性エステル系樹脂とし
ては特に制限はなく、熱可塑性樹脂で主鎖又は側鎖にエ
ステル骨格を有し、結晶性を有するものであれば良く、
汎用の樹脂を用いることができる。なお、本発明で用い
る熱可塑性結晶性エステル系樹脂とは、結晶化度が10
%以上100%以下であるものを指す。
【0043】具体的には熱可塑性結晶性エステル系樹脂
の中でもPAT(ポリアルキレンテレフタレート)が好
ましく、なかでもPBT(ポリブチレンテレフタレー
ト)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN
(ポリエチレンナフタレート)はより好ましく、PBT
は結晶化速度が速いので成形条件による結晶化度の変化
が少なく、一般に30%前後と結晶化度が安定している
ので特に好ましい。
【0044】また、本発明に用いる熱可塑性結晶性エス
テル系樹脂には、本発明の効果を著しく損なわない範囲
で共重合成分を導入することもできる。具体的な例とし
てエステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールな
どのエステル結合を導入したものなどを挙げることがで
きる。
【0045】本発明に用いる熱可塑性結晶性エステル系
樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子
量10,000〜100,000程度の一般的な分子量
の樹脂を用いることができるが、引張破断伸びなどの機
械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ま
しい。この場合の分子量は20,000以上が好まし
く、25,000以上であればさらに好ましく、30,
000以上であれば特に好ましい。
【0046】(成分B;熱可塑性非晶性エステル系樹
脂)本発明に用いる熱可塑性非晶性エステル系樹脂とし
ては特に制限はなく、熱可塑性樹脂で主鎖又は側鎖にエ
ステル骨格を有し、非晶性のものであれば良く、汎用の
樹脂を用いることができる。なお、本発明で用いる熱可
塑性非晶性エステル系樹脂とは、結晶化度が10%未満
であるものを指す。
【0047】具体的にはPC(ポリカーボネート)やP
Ar(ポリアリレート)などのポリエステルやPMMA
(ポリメチルメタクリレート)などの側鎖にエステル結
合を有する樹脂を好適な例として挙げることができる。
なかでもポリエステルが好ましく、特にPCは好適に用
いることができる。
【0048】また、本発明に用いる熱可塑性非晶性エス
テル系樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で
共重合成分を導入することができる。具体的な例として
エステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールなど
エステル結合を導入したものなどを挙げることができ
る。
【0049】本発明に用いる熱可塑性非晶性エステル系
樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子
量10,000〜100,000程度の一般的な分子量
の樹脂を用いることができるが、引張破断伸びなどの機
械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ま
しい。この場合の分子量は20,000以上が好まし
く、25,000以上であればさらに好ましく、30,
000以上であれば特に好ましい。
【0050】(熱可塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑
性非晶性エステル系樹脂との重量比)本発明に用いる熱
可塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑性非晶性エステル
系樹脂の樹脂組成物中の配合比としては、熱可塑性結晶
性エステル系樹脂/熱可塑性非晶性エステル系樹脂の重
量比1/99〜99/1の幅広い範囲を採用することが
できる。ただし、一般に熱可塑性結晶性エステル系樹脂
は耐薬品性、耐屈曲性に優れ、熱可塑性結晶性エステル
系樹脂は成形寸法安定性に優れるので、上記範囲におい
て、使用目的に応じて適当な比率を設定することが好ま
しい。なかでも、熱可塑性結晶性エステル系樹脂/熱可
塑性非晶性エステル系樹脂の重量比が40/60〜97
/3が好ましく、60/40〜95/5がさらに好まし
く、70/30〜90/10が特に好ましい。
【0051】このように、特に好ましい比率として熱可
塑性結晶性エステル系樹脂の比率を多く設定しているの
は、熱可塑性非晶性エステル系樹脂は少しの配合で十分
に成形寸法安定性の改良効果が期待できること、熱可塑
性非晶性エステル系樹脂のわずかな配合過多で塗装時の
溶剤などの耐薬品性悪化の影響が顕著に出ることがある
などの理由による。
【0052】(熱可塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑
性非晶性エステル系樹脂とのMFR比)両樹脂のMFR
比が大きすぎると、製造条件を調整しても良好な分散性
が得られず、均一分散に至ることができなくなることが
あるので、MFR比は小さい方が好ましい。
【0053】具体的には両樹脂を同一条件でMFR測定
し、MFR比が1/20〜20/1程度の範囲に収まる
ことが好ましく、1/10〜10/1の範囲となればさ
らに好ましい。
【0054】ここで、MFRの測定方法としてはJIS
K−7210に準拠し、測定温度条件は樹脂の加工温
度に近い条件を選択することが好ましい。
【0055】例えばPBTとPCを選択した場合、加工
温度となる260℃を測定温度として設定し、両樹脂の
MFR比を比較することが好ましい。また、荷重として
は例えば2.16kgを選択することで好適に測定でき
る。
【0056】(成分C;Ti系化合物)本発明におい
て、Ti系化合物は熱可塑性結晶性エステル系樹脂と熱
可塑性非晶性エステル系樹脂との共重合化及び高分子量
化を促す触媒として用いる。
【0057】このTi系化合物には特に制限はないが、
活性が高いことからアルキルチタネートが好ましく、ア
ルキルチタネートの中でもテトラブチルチタネート又は
テトラキス(2−エチルヘキシル)オルソチタネートが
特に好ましい。これらはTYZOR TOT(DuPo
nt製)やTYZOR TBT(DuPont製)とし
て市販品を容易に入手することができる。
【0058】また、Ti系化合物は、アルカリ金属、ア
ルカリ土類金属含有化合物又は亜鉛含有化合物と組み合
わせることで、より有効に作用するので好ましく、なか
でもMg元素を含有する化合物を併用することが好まし
い。
【0059】Mg元素を含む化合物としては特に制限は
ないが有機酸マグネシウム塩が特に好ましく、酢酸マグ
ネシウムが特に好ましい。
【0060】(Ti系化合物の配合量)樹脂組成物中の
Ti系化合物の配合量としては、少なすぎると有効に作
用しないことがあるので、ある程度高くする必要があ
り、Ti系化合物中のTi元素の重量割合が成分A,
B,C及び後述の成分Dの合計重量に対し1ppm以上
とするが、この割合が10ppm以上であればさらに好
ましく、20ppm以上であれば特に好ましい。一方、
エステル系樹脂は重金属の多量存在下により、解重合を
起こすことがあるので、この割合はある程度は小さくす
る必要があり、上記Ti元素割合が10000ppm以
下、好ましくは1000ppm以下とするが、この割合
が500ppm以下であればさらに好ましい。なお、以
下において、成分A〜Dの合計重量に対するTi系化合
物のTi元素の重量割合を「Ti濃度」と称す場合があ
る。
【0061】また、Ti系化合物を酢酸マグネシウム等
のMg含有化合物と併用する場合、その使用量は、Ti
元素に対するMg元素の重量濃度比でMg/Ti=8/
2〜2/8が好ましく、5/5程度が最も好ましい。
【0062】(成分D;キレーター)本発明では重合触
媒の活性が高すぎると、樹脂の解重合を促進して分子量
低下による機械的物性低下、低分子量体発生に伴う発泡
等が問題になることがある。
【0063】そこで、本発明では、この解重合を抑制す
るために、重合触媒中の金属、即ち、Ti系化合物のT
iに配位して錯体を形成する能力を有するキレーターを
反応抑制剤として用いる。
【0064】キレーターの種類としては特に制限はな
く、公知のキレーターを用いることができる。
【0065】例としては、亜リン酸エステル、リン酸エ
ステル、リン酸塩等のP系化合物、ヒドラジン類を挙げ
ることができ、これらは例えば、イルガホス168(日
本チバガイギー(株)製)、PEP36(旭電化工業
(株)製)、サンドスタブP−EPQ(クラリアントジ
ャパン(株)製)の亜リン酸エステル、IRGANOX
MD1024(日本チバガイギー(株)製)、CDA−
6(旭電化工業(株)製)のヒドラジン類などとして容
易に市場から入手することができる。中でも、P系化合
物は触媒であるTi系化合物の反応抑制剤として最も好
ましい。
【0066】以下キレーターとしてのP系化合物につい
て詳細に説明する。
【0067】Ti系化合物は共重合化や高分子量化の触
媒として有効ではあるが、副反応としての解重合も促進
し、活性が高すぎると解重合の方が優先することもあ
る。本発明においては、キレーターとして配合されたP
系化合物はTi系化合物のTiに配位する。これによ
り、触媒としての反応規則性が高くなり、副反応の解重
合を抑制して、共重合化と高分子量化を促進することが
できる。
【0068】P系化合物としては、リン酸、リン酸塩、
リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸塩、及び亜リン酸
エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙
げられる。
【0069】リン酸塩、亜リン酸塩としては金属塩であ
れば特に制限はないがアルカリ金属塩又はアルカリ土類
金属塩が好ましい。
【0070】リン酸エステルとしては下記一般式(I)
で示されるものが挙げられる。
【0071】
【化1】
【0072】((I)式中、R1,R2,R3はそれぞれ
独立に水素又は炭素数1〜20のアルキル基又はアリー
ル基であり、Zは単結合又は酸素原子で少なくともその
一つは酸素原子である。)
【0073】リン酸エステルの具体例としてはリン酸ト
リエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等が
挙げられる。
【0074】また、亜リン酸エステルとしては下記一般
式(II)〜(IV)で示されるものが挙げられる。
【0075】
【化2】
【0076】((II)式中、R4,R5,R6はそれぞれ
独立に炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、シク
ロアルキル基、アルアルキル基、アルキルアリール基を
示し、Zは単結合又は酸素原子で少なくとも一つは酸素
原子である。)
【0077】その具体例としては、トリエチルホスファ
イト、トリブチルホスファイト、トリス(2−エチルヘ
キシル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリ
ステアリルホスファイト、トリフェニルホスファイト、
トリクレジルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)
ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、デシル−ジフェニルホスファイト、
フェニル−ジ−2−エチルヘキシルホスファイト、フェ
ニル−ジデシルホスファイト、トリス(ビフェニル)ホ
スファイト、トリシクロヘキシルホスファイト等が挙げ
られる。
【0078】
【化3】
【0079】((III)式中、R7,R8,R9,R10はそ
れぞれ独立に(II)式のR4,R5,R 6の定義に属する
ものであり、Zは(II)式のZと同一定義のものであ
る。Yは炭素数1〜30のアルキレン基、アリーレン
基、シクロアルキレン基、アルアルキレン基、アルキル
アリーレン基を示す。)
【0080】その具体例としては、テトラフェニル−
4,4'−イソプロピリデン−ジフェノールジホスファ
イト、テトラトリデシル−4,4'−イソプロピリデン
−ジフェノールジホスファイト、テトラトリデシル−
4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)ジホスファイト、テトラキス(2,4−
ジ−t−ブチルフェニル−4,4'−ビフェニレン)ホ
スファイト等が挙げられる。
【0081】
【化4】
【0082】((IV)式中、R11は炭素数1〜30のア
ルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アルアルキ
ル基、アルキルアリール基であり、R12は炭素数1〜2
0のアルキレン基であり、Zは式(II)のZと同一定義
のものである。)
【0083】その具体例としては、ビス(ステアリル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−
ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトー
ルジホスファイト等が挙げられる。
【0084】上記した各種の化合物の内でも、特にトリ
ブチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ビス
(ステアリル)ペンタエリスリトールジホスファイト及
びビス(2,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイトが好ましい。
【0085】(キレーターの配合量)樹脂組成物中のキ
レーターの配合量は特に規定しないが、少ないと反応抑
制剤としての添加効果を殆ど発揮せず、ある程度の濃度
を超えた時点から顕著に効果を発揮する。従って、本発
明においては、成分A〜Dの合計重量に対してTiにキ
レートする元素重量として好ましくは100ppm以
上、より好ましくは300ppm以上、特に好ましくは
500ppm以上とする。なお、キレーターの配合量が
多過ぎるとTi系化合物の触媒活性が失われ、良好な成
形部材が得られなくなるため、成分A〜Dの合計重量に
対してTiにキレートする元素重量として6000pp
m以下、特に3000ppm以下とする。なお、以下に
おいて、成分A〜Dの合計重量に対するキレーターのT
iにキレートする元素の重量割合を「キレート元素濃
度」と称す場合がある。
【0086】(成分E;導電性物質)導電性物質として
は、用途に要求される性能を満たすものであれば特に制
限はなく、各種のものを用いることができるが、具体的
には、カーボンブラックやカーボンファイバー、グラフ
ァイトなどのカーボン系フィラー、金属系導電性物質、
金属酸化物系導電性物質などが用いられる。
【0087】特に好ましい導電性物質は、分散性に優れ
ているカーボンブラックである。
【0088】カーボンブラックの種類としては、アセチ
レンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラッ
クなどが好適に使用でき、この中でも不純物としての官
能基が少なくカーボン凝集による外観不良を発生しにく
いアセチレンブラックが特に好適に使用できる。さらに
一次粒子径が10〜100nm、比表面積10〜200
2/g,pH値3〜11のものがより好ましい。
【0089】また、使用するカーボンブラックは1種類
であっても2種類又はそれ以上であっても良い。さらに
は、カーボンブラックには樹脂を被覆したカーボンブラ
ックや、黒鉛化処理したカーボンブラックや、酸性処理
したカーボンブラック等の公知の後処理工程を施したカ
ーボンブラックを用いても何ら問題はない。
【0090】また、導電性物質の分散性を向上させる目
的でシラン系、アルミネート系、チタネート系、又はジ
ルコネート系等のカップリング剤で処理したカーボンブ
ラック等の導電性物質を用いても良い。
【0091】(導電性物質の配合量)樹脂組成物中の導
電性物質の配合量としては、使用する導電性物質の物性
により発現する抵抗値は変化するので、所望する抵抗値
が得られる導電性物質濃度を見極めて設定する必要があ
る。本発明においては、導電性物質としてカーボンブラ
ックを用いる場合、成分A〜Eの合計重量に対するカー
ボンブラックの割合(以下、「カーボンブラック濃度」
と称す場合がある。)が、1〜50重量%、特に3〜3
0重量%、とりわけ10〜25重量%とするのが好まし
い。上記範囲を超えると製品の外観が悪くなり、また、
材料強度が低下して好ましくない。また、上記範囲より
少ないと、導電性の付与に関する効果が小さく、好まし
くない。
【0092】(付加的配合材;任意成分)本発明の成形
部材を構成する樹脂組成物には、各種目的に応じて任意
の配合成分を配合することができる。
【0093】具体的には、日本チバガイギー社製イルガ
ノックス1010(商品名)などの酸化防止剤、熱安定
剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑
剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋
剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の各種添加剤
を添加することができる。
【0094】更に、本発明の効果を著しく損なわない範
囲内で、第2,第3成分として各種熱可塑性樹脂、各種
エラストマー、熱硬化性樹脂、フィラー等の配合材を配
合することができる。
【0095】付加成分としての熱可塑性樹脂としてはポ
リプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密
度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又は
ランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエ
チレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエ
ンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重
合体又は、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリ
イソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリア
セタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイ
ミド、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェ
ニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポ
リエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アク
リル、ポリフッ素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニル、
クロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロ
エチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン、パーフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合
体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミ
ド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれら
の2種以上の混合物からなるものが使用できる。
【0096】熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステ
ル樹脂等の1種又はこれらの2種以上の混合物からなる
ものが使用できる。
【0097】また、各種フィラーとしては、例えば炭酸
カルシウム(重質、軽質)、タルク、マイカ、シリカ、
アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ウオラス
トナイト、けいそう土、ガラス繊維、ガラスビーズ、ベ
ントナイト、アスベスト、中空ガラス玉、黒鉛、二硫化
モリブデン、酸化チタン、炭素繊維、アルミニウム繊
維、スチレンスチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉
末、木粉、もみ殻、グラファイト、金属粉、導電性金属
酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等のフィラーの
他、添加剤として酸化防止剤(フェノール系、硫黄系、
リン酸エステル系など)、滑剤、有機・無機の各種顔
料、紫外線防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡
剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架橋剤、流れ性改良
剤等を挙げることができる。
【0098】次に、本発明における溶融混練、成形方
法、成形品の物性、用途等について説明する。
【0099】(溶融混練、成形)本発明においては、前
述の成分A〜E、及び必要に応じて添加される上記付加
成分を加熱混練後、所望の形に成形、固化して成形部材
とするが、これらの成分を加熱混練により成形部材とし
て一度ペレット形状に成形し、このペレットをさらに溶
融成形して別な形の成形部材に成形する方法が特に好ま
しい。
【0100】このような溶融混練工程において、本発明
では重合触媒としてのTi系化合物と、P系化合物等の
キレーターとの作用で良好な効果を得るために、次のよ
うな条件設定を行うことが重要となる。
【0101】即ち、Ti系化合物が触媒として作用した
ときの反応性は以下の特徴を有している。
【0102】 低温(熱可塑性結晶性エステル系樹脂
の融点〜+40deg程度)では共重合化、高分子量
化、解重合が拮抗した競争反応となる。定量化は難しい
が、おおむね低温短時間(約1〜5分程度)では共重合
化と高分子量化が優勢になりやすく、長時間(約5〜1
0分以上)では解重合が優勢になる場合が多い。
【0103】 高温(熱可塑性結晶性エステル系樹脂
融点+40deg〜+80deg程度)条件下では(時
間の長短によらず)解重合が優勢になる場合が多い。
【0104】そのため、比較的低温で加熱混練、溶融成
形を施す必要があるが、あまりに時間が短すぎると共重
合化も高分子量化も進行しないため高物性が発現せず、
逆に時間が長すぎると解重合が優勢になって劣化してし
まうことから、最適な滞留時間を見極めながら加工条件
を選択する必要があった。
【0105】これに対して、キレーターとして、例えば
P系化合物を配合した場合、生成したTi−P錯体は、
活性が緩くなっているため共重合化や高分子量化の反応
速度は遅くなっているが、元のTi系化合物と比べて、
次のような反応性を示す。
【0106】 低温(熱可塑性結晶性エステル系樹脂
の融点〜+40deg程度)では共重合化、高分子量
化、解重合とも反応性が低いので進行しにくい。
【0107】 高温(熱可塑性結晶性エステル系樹脂
の融点+40deg〜+80deg程度)では、短時間
(約1〜5分程度)の場合共重合化と高分子量化の反応
が優先し、長時間(約5分以上)では共重合化と高分子
量化と解重合が拮抗あるいは解重合の反応が優先するこ
とが多い。
【0108】従って、本発明において、好適な加工手段
の一例としては、各成分を加熱混練してペレット化する
ときに溶融状態を高温短時間(例えば樹脂温度で熱可塑
性結晶性エステル系樹脂の融点+40〜+80deg、
好ましくは+60deg程度;溶融状態での滞留時間
0.5〜5分、好ましくは約1分)になるように調整
し、加熱混練時の段階で共重合化と高分子量化の反応を
施す。この加熱混練の手段に特に制限はなく公知の技術
を用いることができ、例えば、一軸押出機、二軸混練押
出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プ
ラストグラフ、ニーダーなどを用いることができ、二軸
混練押出機を特に好適に用いることができる。
【0109】次に、このペレットを低温(熱可塑性結晶
性エステル系樹脂の融点+0〜+40deg、好ましく
は+30deg程度)で溶融成形して成形部材を得る。
このようにして成形部材を得る場合でも公知の技術を用
いることができ、例えば射出成形機、押出成形機などを
用いることができる。このような低温ではTi−P錯体
は解重合を促進することは殆どないので成形条件(滞留
時間など)が多少変動しても解重合が進行することはな
い。また、共重合化,高分子量化は既にほぼ終了してい
るので、滞留時間が短くなっても高物性が発現できる。
【0110】この手法ではTi−P錯体の触媒としての
反応性の特徴を利用して、加熱混練によるペレット化時
に共重合化,高分子量化の反応を促進すること、ペレッ
トの溶融成形には共重合化,高分子量化,解重合の反応
を抑制することが重要になる。
【0111】Ti−P錯体は、60〜150℃で0.5
〜10時間程度加熱しておくと、触媒能が一時的に高く
なるので加熱混練前にTi系化合物のみ或いはTi系化
合物を含む混練原料を60〜150℃で0.5〜10時
間程度に事前に加熱しておいて共重合化と高分子量化の
反応速度を高めることも有効である。事前の加熱により
触媒能が高くなる理由は明らかではないが、通常の状態
ではTi系化合物は空気中の水を結晶水として取り込む
ことで触媒能が低下しているが、これを加熱して結晶水
を除去してやることで触媒能が高くなるためと考えられ
る。
【0112】(熱可塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑
性非晶性エステル系樹脂との化学結合)本発明において
は、熱可塑性結晶性エステル系樹脂の分子鎖と熱可塑性
非晶性エステル系樹脂の分子鎖間の化学結合を形成する
ことにより、両樹脂間の親和性向上、形態の微分散化を
促し、熱可塑性結晶性エステル系樹脂の高耐屈曲性と熱
可塑性非晶性エステル系樹脂の寸法安定性、(条件によ
っては更に透明性)を併せ持つ成形部材を得ることがで
きる。
【0113】化学結合の存在比率としては特に制限は無
いが、基本的には多い方が好ましく、具体的には熱可塑
性結晶性エステル系樹脂の分子鎖と熱可塑性非晶性エス
テル系樹脂の分子鎖間の化学結合1モルあたりの、熱可
塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑性非晶性エステル系
樹脂との合計質量(以下、この質量を「対化学結合質
量」と称す。)が、1,000,000g以下となるこ
とが好ましく、300,000g以下となることがさら
に好ましく、100,000g以下となることが特に好
ましい。
【0114】この化学結合の量の測定方法に特に制限は
ないが、例えばNMRにより測定することができる。
【0115】熱可塑性結晶性エステル系樹脂としてPB
T、熱可塑性非晶性エステル系樹脂としてPCを用いた
場合の測定例を次に示す。 測定機種 JEOLGSX400 溶媒 1,1,1,2,2,2−ヘキサフルオロイ
ソプロパノール/d−クロロホルム=3/7(体積比) 積算回数 128回 基準 TMS
【0116】この測定により、図1,2に示すチャート
を得た。なお、図2は図1のII部分を拡大したものであ
る。
【0117】テレフタル酸(TPA)のベンゼン環水素
はカルボン酸がブタンジオールと結合している場合とビ
スフェノールA(BPA)とで化学シフトが異なること
から、PBT分子鎖中のTPAとPBT−PC結合して
いるTPAとの量比を求めることができる。
【0118】(熱可塑性結晶性エステル系樹脂と熱可塑
性非晶性エステル系樹脂の分散形態)一般に2種類の熱
可塑性樹脂を溶融混合しても完全には混じり合わず、海
島構造をとることが知られている。両熱可塑性樹脂の体
積分率に大きな差が有る場合は体積分率の大きい方が海
で体積分率が小さい方が島の構造をとりやすく、体積分
率の差が小さい場合は溶融粘度差が海島構造に影響を与
え、溶融粘度の小さい方が海に、大きい方が島になりや
すいと云われている。
【0119】一般的な溶融混合では分散粒径が100n
m程度にしかならないが、本発明においては条件を適正
化することにより分散粒径を数nm以下にまで微細化す
ることが可能で、これにより事実上成形部材を透明化す
ることができる。一般に、PBTなどの熱可塑性結晶性
エステル系樹脂を含む成形部材は透明性を有さないこと
で知られるが、本発明による手法を用いれば、透明な成
形部材を得ることもできる。
【0120】分散状態の確認手法に特に制限はなく、R
uO4で染色後、超薄切片を作成しTEMで観察するな
どの公知の方法を用いることができる。
【0121】(本発明の成形部材の用途)本発明の成形
部材の用途に特に制限はなく、OA機器の構成部品,機
能部材、自動車の外装部品,内装材、家電機器の構成部
材、汎用フィルムなどとして幅広く用いることができ
る。
【0122】なかでも寸法精度,耐屈曲性,引張破断伸
びなど要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材に
は好適に用いることができ、例えばエンドレスベルト形
状として、電子写真式複写機、レーザービームプリンタ
ー、ファクシミリ機等の画像形成装置に中間転写ベル
ト,搬送転写ベルト,感光体ベルトなどとして用いる
と、割れ,伸びなど不具合が少ないので好適である。
【0123】以下に、本発明の成形部材の好適な使用例
の一例としてのエンドレスベルトについて説明する。
【0124】(エンドレスベルト)本発明のエンドレス
ベルトを得るには、前述の成分A〜E、及び必要に応じ
て配合されるその他の付加成分を例えば二軸混練押出機
により混合し、ペレット化した後にエンドレスベルトと
なるように成形する手法が特に好ましく用いられる。
【0125】成形方法については、特に限定されるもの
ではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成
形法、あるいはインフレーション成形法など公知の方法
を採用して得ることができるが、特に望ましいのは、連
続溶融押出成形法である。特に押し出したチューブの内
径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンド
レル方式あるいはバキュームサイジング方式が好まし
く、内部冷却マンドレル方式が最も好ましい。
【0126】また、この成形時の温度,滞留時間の適正
化により、より良好な物性のエンドレスベルトを得るこ
とができるので、各配合にあわせて条件を調整すること
が好ましい。
【0127】(エンドレスベルトの物性)本発明によれ
ば、以下のような物性を有するエンドレスベルトを得る
ことができる。
【0128】・耐折回数 本発明のエンドレスベルトを例えば中間転写ベルトとし
て画像形成装置に用いる場合、耐屈曲性が悪いとクラッ
クが発生して画像が得られなくなることから、耐屈曲性
の良好なエンドレスベルトが好ましい。
【0129】耐屈曲性の程度は、JIS P−8115
の耐折回数の測定方法に従うことで定量的に評価でき、
耐折回数の大きいエンドレスベルトほどクラックが入り
にくく、耐屈曲性に優れていると判断することができ
る。
【0130】具体的な数値としては、500回以上であ
れば一応エンドレスベルトとしての機能を発揮して使用
することができるが、実用的には5000回以上が好ま
しく、10000回以上であれば更に好ましく、300
00回以上であれば、特にクラックが発生しにくくなる
ので特に好ましい。
【0131】・引張弾性率 エンドレスベルトの引張弾性率が低いと、例えば中間転
写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に張力により
少し伸びが発生してしまい、色ズレなど不具合を発生す
ることがあるので引張弾性率が高い方が好ましく、具体
的には1000MPa以上が好ましく、1500MPa
以上であるとさらに好ましく、2000MPa以上であ
るとさらに好ましく、2500MPa以上であれば色ズ
レなどの不具合を大幅に抑えることができるので特に好
ましい。
【0132】一般に柔らかいプラスチックは耐折回数が
高いが引張弾性率が低くなりやすく、逆に硬いプラスチ
ックは高い引張弾性率を得られるが脆くなりやすく耐折
回数は低いものしか得られないことが多い。本発明では
PBTやPCの有する固有の高い引張弾性率の特性を維
持したまま、高い耐折回数を得ることができる意味で有
用であると言える。
【0133】・表面抵抗率 本発明のエンドレスベルトでは導電性物質、好ましくは
カーボンブラックを配合することにより導電性を得る。
エンドレスベルトの抵抗領域は目的により異なるが、表
面抵抗率1〜1×1016Ωの範囲から選定することが好
ましい。
【0134】表面抵抗率の更に好ましい範囲は用途によ
り異なるが、例えば感光体ベルトとして用いる場合には
必要に応じて外表面の電荷を内表面に逃がせるように1
〜1×106Ωと低い表面抵抗率が好ましく、中間転写
ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる
1×106〜1×1011Ωが好ましく、搬送転写ベルト
として用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しに
くい1×1010〜1×1016Ωと高い領域が好ましい。
【0135】また、エンドレスベルト1本中の表面抵抗
率の分布は狭い方が好ましく、それぞれの好ましい表面
抵抗率領域において、1本中の最大値が最小値の100
倍以内であることが好ましく、10倍以内であることが
特に好ましい。
【0136】エンドレスベルトの表面抵抗率は例えばダ
イヤインスツルメント(株)製ハイレスタ,ロレスタや
アドバンテスト(株)製R8340Aなどにより容易に
測定することができる。
【0137】・エンドレスベルトの厚み エンドレスベルトの厚みは50〜1000μmが好まし
く、80〜500μmが更に好ましく、100〜200
μmであれば特に好ましい。
【0138】(エンドレスベルトの用途)本発明のエン
ドレスベルトは、電子写真式複写機、レーザービームプ
リンター、ファクシミリ機等の画像形成装置に中間転写
ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルトなどとして用い
た場合、割れ、伸びなど不具合が少なく、長期に亘り安
定に使用することができる。
【0139】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明する。
【0140】以下の実施例及び比較例では、下記の原料
及び成形条件でエンドレスベルトを製造し、その評価を
行なって結果を表1に示した。
【0141】(原料)原料は下記のものを用い、配合割
合は表1の通りとした。 成分A:PBT(重量平均分子量40,000;PS換
算重量平均分子量122,000) 成分B:PC(重量平均分子量28,000;PS換算
重量平均分子量 64,000) 成分C:Ti系化合物(チタニウム(IV)ブトキシド) 成分D:P系化合物(サンドスタブP−EPQ:テトラ
キス(2,4−ジターシャリブチルフェニル)4,4'
−ビフェニリレンジホスホナイト(構造式は下記の通
り);クラリアントジャパン(株)製) 又はヒドラジン類(IRGANOX MD1024;日
本チバガイギー(株)製)
【0142】
【化5】
【0143】成分E;カーボンブラック(デンカブラッ
ク;電気化学(株)製)
【0144】なお、成分Aと成分Bについて、前述の方
法で測定したMFR(260℃ 2.16kg)は各々
成分A:7g/10min、成分B:3g/10min
であり、両樹脂のMFR比は2.33/1である。
【0145】(加熱混練)各原料を、二軸混練押出機
(IKG(株)製 PMT32)を用いて樹脂組成物を
ペレット化した。なお、熱可塑性樹脂は混練前に130
℃で8時間乾燥し、さらに60℃程度まで冷ましてから
混練に用いた。混練条件は混練機の設定温度を240℃
とし、スクリュー回転数100rpm、吐出速度15g
/hとした。本条件での混練機内での溶融状態での滞留
時間は平均で約2分程度である。
【0146】(エンドレスベルトの成形方法)この材料
ペレットを130℃で8時間乾燥し、直径φ180m
m、リップ幅1mmの6条スパイラル型環状ダイ付き4
0mmφの押出機により、環状ダイ下方に溶融チューブ
状態で押し出し、押し出した溶融チューブを、環状ダイ
と同一軸線上に支持棒を介して装着した外径170mm
の冷却マンドレルの外表面に接しめて冷却固化させつ
つ、次に、シームレスベルトの中に設置されている中子
と外側に設置されているロールにより、シームレスベル
トを円筒形に保持した状態で引き取りつつ340mm長
の長さで輪切りにして下記に記載の厚み、滞留時間とな
るよう押出量、引き取り速度を調整し、直径169mm
の樹脂製シームレスベルトとした。なお、エンドレスベ
ルトの物性の滞留時間依存性を評価するため、滞留時間
を調節し、下記の2種類の条件で成形した。
【0147】条件A;滞留時間12分、厚み150μm
を目標とし、厚みの範囲が±15μmになるように調整
して成形 条件B;滞留時間24分、厚み150μmを目標とし、
厚みの範囲が±15μmになるように調整して成形
【0148】この条件Bでは、条件Aより滞留時間が長
くなるようスクリューの回転を遅くして成形すると共
に、条件Aとベルト厚みが同じになるように引取速度も
遅く調整して成形した。
【0149】(評価)評価は必要に応じ、エンドレスベ
ルトを適当な大きさに切り開いて実施した。
【0150】・耐折回数 JIS P−8115準拠 各サンプルで3回づつ測定し、平均値(有効数字2桁)
を代表値とした。耐折回数は、耐屈曲疲労性の指標で数
字が大きいほど割れにくく丈夫であることを意味する。
【0151】・厚み 東京精密(株)製のマイクロメーターを用いてシームレ
スベルトの円周方向20mmピッチで測定
【0152】・表面抵抗率 表面抵抗率は測定器により好適に測定できる領域が異な
るので以下のように使い分けた。測定時間は10秒と
し、エンドレスベルトの円周方向に20mmピッチで測
定した。
【0153】1〜106Ωとなるサンプル :ダイヤ
インスツルメント(株)製 ロレスタ(商品名) 106〜1013Ωとなるサンプル :ダイヤインスツルメ
ント(株)製 ハイレスタ(HA端子)(商品名)(印
加電圧500V) 1013〜1016Ωとなるサンプル:アドバンテスト
(株)製 R8340A(商品名)(JIS電極)(印
加電圧500V)
【0154】比較例1 表1の配合で、まず、成形条件Aで表面抵抗率を109
Ω程度に調整してエンドレスベルトを成形した。この表
面抵抗率のエンドレスベルトは中間転写ベルトとして好
適に用いることができる。
【0155】この比較例1では、Ti系化合物は配合し
なかったので、共重合化、高分子量化の反応は生じなか
ったと考えられる。得られた成形部材の耐折回数は28
00回であった。また、成形条件Bにおいても条件A品
とほぼ同物性のエンドレスベルトを得ることができた。
【0156】本比較例のエンドレスベルトを中間転写ベ
ルトとして画像形成装置に搭載したところ、良好な初期
画像を得た。さらに連続で画像出力を続けたが、約2万
枚出力した時点でエンドレスベルトにクラックが発生
し、画像出力ができなくなった。
【0157】本樹脂組成物ペレットは成形条件が多少変
化してもベルトの物性があまり変化しないので熱的に安
定で扱いやすい意味で好ましい材料といえる。ただし、
耐折回数2800回程度なので、中間転写ベルトとして
の初期物性は実用性能を有するが、連続使用によりクラ
ックが発生するので、市場では、交換部品として扱わざ
るを得ず、物性的には不十分であるといえる。
【0158】比較例2 比較例1の配合を基準とし、Ti系化合物をTi濃度9
8ppm配合した。得られたペレットでエンドレスベル
トの成形を試みたが、条件A,Bどちらにおいてもダイ
出口から出てきた樹脂は劣化が激しく、ドローダウンし
てしまい、エンドレスベルトを得ることができなかっ
た。
【0159】これは、Ti系化合物が共重合化と高分子
量化と共に、解重合の触媒として作用し、本比較例2の
条件のもとでは、解重合の方が優先してしまったためと
考えられる。
【0160】比較例3 比較例1を基本配合とし、キレーターとしてのP系化合
物を0.5重量部配合した。
【0161】この比較例3では、比較例1と同様にTi
系化合物を配合しなかったので、共重合化、高分子量化
の反応は生じなかったと考えられる。得られた成形部材
の耐折回数は3000回であった。また、成形条件Bに
おいても条件A品とほぼ同物性のエンドレスベルトを得
ることができた。
【0162】ただし、耐折回数が低いので、比較例1と
同様に中間転写ベルトとしての初期物性は実用性能を有
するが、連続使用によりクラックが発生するので、市場
では、交換部品として扱わざるを得ず、物性的には不十
分であるといえる。
【0163】実施例1 比較例3の配合を基本とし、さらにTi系化合物をTi
濃度69ppm配合した。なお、得られた樹脂の対化学
結合質量を前述の方法で測定した結果、11万g/モル
であった。
【0164】その結果、成形条件A,Bのいずれでも、
良好なエンドレスベルトを得ることができ、特に条件A
では、耐折回数は18,000回と非常に高い値が得ら
れた。
【0165】本実施例1では、成形条件が変わっても、
安定して良好且つ高物性のエンドレスベルトを得ること
ができた。これは、Ti系化合物にP系化合物が配位し
たことで、触媒としての反応選択性が高められたため、
成形条件が変わっても安定して物性の高いエンドレスベ
ルトが得られるようになったためと考えられる。
【0166】実施例2 実施例1の組成を基準とし、Ti系化合物及びキレータ
ーとしてのP系化合物の配合量をさらに高めた。なお、
得られた樹脂の対化学結合質量を前述の方法で測定した
結果、13万g/モルであった。
【0167】これにより、実施例1よりも更に耐折回数
の高い良好なエンドレスベルトを安定的に得ることがで
きた。
【0168】本実施例2のエンドレスベルトを中間転写
ベルトとして画像形成装置に搭載したところ、良好な初
期画像を得た。さらに連続で画像出力を続けたが、画像
形成装置の目標寿命となる約10万枚出力してもエンド
レスベルトにクラックが発生することがなかった。ま
た、耐折回数も高く、中間転写ベルトとして使用しても
初期物性を満足し、長期にわたり連続使用できるので良
好な物性であるといえる。
【0169】実施例3 実施例2の組成を基準とし、カーボンブラック濃度を下
げて表面抵抗率1012Ω程度のエンドレスベルトを得
た。本エンドレスベルトは搬送転写ベルトとして好適に
用いることができる。なお、得られた樹脂の対化学結合
質量を前述の方法で測定した結果、13万g/モルであ
った。
【0170】実施例4 実施例2の組成を基準とし、カーボンブラック濃度を上
げて表面抵抗率104Ω程度のエンドレスベルトを得
た。本エンドレスベルトは感光体ベルトの基材として好
適に用いることができる。なお、得られた樹脂の対化学
結合質量を前述の方法で測定した結果、13万g/モル
であった。
【0171】実施例5 実施例2の組成を基準とし、キレーターとしてP系化合
物の代わりにヒドラジン類を1重量部配合してエンドレ
スベルトを得た。なお、得られた樹脂の対化学結合質量
を前述の方法で測定した結果、13万g/モルであっ
た。
【0172】上記実施例3〜5においても、耐折回数の
高い良好なエンドレスベルトを安定的に得ることができ
た。
【0173】
【表1】
【0174】
【発明の効果】以上の実施例及び比較例からも明らかな
通り、本発明によると、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸
法安定性に優れ、溶融混合時の反応による物性劣化を抑
えたエンドレスベルト等の成形部材と、このエンドレス
ベルトを用いた画像形成装置用ベルトと、この画像形成
装置用ベルトを用いた画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】PBTとPCとの混合反応物のNMRチャート
である。
【図2】図1のII部分の拡大図である。
【図3】従来の中間転写装置の側面図である。
【符号の説明】
1 感光ドラム 2 帯電器 3 露光光学系 4 現像器 5 クリーナー 6 導電性エンドレスベルト 7,8,9 搬送ローラ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/56 C08K 5/56 G03G 15/16 G03G 15/16 21/00 350 21/00 350 // B29K 67:00 B29K 67:00 69:00 69:00 105:16 105:16 505:08 505:08 507:04 507:04 (72)発明者 佐子川 広一 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 森越 誠 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 (72)発明者 大津 紀宏 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 2H035 CB06 2H200 JB06 JB43 JB45 JB46 JB47 JC03 JC13 JC15 JC16 JC17 LC03 LC04 MA04 MA11 MA12 MA14 MA17 MA20 MB05 MC03 MC15 MC20 4F213 AA24 AA27 AA28 AB13 AB16 AG16 AH33 WA06 WA10 WA41 WA54 WA63 WB02 WE02 WE30 4J002 CF04W CF06W CF07W CF16X CG00X DA038 DH027 DH047 EW047 EW067 EZ006 FD118 GQ02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成分A;熱可塑性結晶性エステル系樹
    脂、 成分B;熱可塑性非晶性エステル系樹脂、 成分C;Ti系化合物、 成分D;キレーター 及び 成分E;導電性物質 を、 成分A/成分Bの重量比が1/99〜99/1、 成分A〜Dの合計に対するTi元素の重量割合が1〜1
    0000ppmとなる配合割合で加熱混練した後、成形
    してなることを特徴とする成形部材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、該キレーターがP系
    化合物であることを特徴とする成形部材。
  3. 【請求項3】 請求項2において、該Ti系化合物がア
    ルキルチタネートであり、該P系化合物がリン酸、リン
    酸塩、リン酸エステル、亜リン酸、亜リン酸塩及び亜リ
    ン酸エステルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上
    であることを特徴とする成形部材。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれか1項におい
    て、該熱可塑性結晶性エステル系樹脂がポリアルキレン
    テレフタレートであり、該熱可塑性非晶性エステル系樹
    脂がポリカーボネートまたはポリアリレートであること
    を特徴とする成形部材。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項におい
    て、該導電性物質がカーボンブラックであり、成分A〜
    Eの合計に対する成分Eの割合が1〜50重量%である
    ことを特徴とする成形部材。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の成形部材よりなるエンドレスベルト。
  7. 【請求項7】 請求項6において、表面抵抗率が1〜1
    ×1016Ωであり、かつ1本のエンドレスベルトにあっ
    ては該抵抗率の最大値が最小値の100倍以下であるこ
    とを特徴とするエンドレスベルト。
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載のエンドレスベル
    トからなる画像形成装置用中間転写ベルト、搬送転写ベ
    ルト、又は感光体ベルトである画像形成装置用ベルト。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の画像形成装置用ベルト
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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