JP2007246607A - フィルム、シームレスベルト、導電性フィルム、導電性シームレスベルト及びこれらの製造方法 - Google Patents

フィルム、シームレスベルト、導電性フィルム、導電性シームレスベルト及びこれらの製造方法 Download PDF

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康浩 鈴木
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Abstract

【解決課題】PETとPCとを含有する樹脂組成物及び該樹脂組成物からなり、耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性に優れたフィルムおよびシームレスベルトを提供する。
【解決手段】(A)ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と、(B)ポリカーボネート30wt%以上70wt%以下とのポリマーブレンド物を含み、該ポリマーブレンド物が樹脂組成物の総量の80wt%以上であり、示差走査熱量計による熱分析で220〜260℃の範囲内に13J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を有するピークが検出されないことを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性ポリエチレンテレフタレート(PET)とポリカーボネート(PC)とを含有する樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなるフィルム及びシームレスベルトに関し、更に詳細には、耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性に優れた樹脂組成物、並びに該樹脂組成物からなるフィルム及びシームレスベルトに関する。
本発明のフィルム及びシームレスベルトは、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置における転写ベルト、紙搬送ベルトとして好適に使用できる。
また、本発明において、フィルムとは、厚み250μm未満の典型的なフィルムだけではなく、厚み250μm以上のシートも含む。
耐熱性と機械的特性に優れた樹脂材料として、PETとPCとはフィルムや成形材料として広く用いられている。ところが、PCは、耐薬品性が劣るために、有機溶剤による洗浄や表面コーティング加工が困難だった。また、PCは、表面にクラックが発生し易く折曲に弱い欠点があった。
PETは、耐薬品性と折曲耐久性に優れるが、ガラス転移点(Tg)が約80℃であることから、それ以上の温度では機械的物性が極端に悪くなる欠点があった。PETフィルムの耐熱性を改良するための方法としては二軸延伸があるが、加工形状の自由度が小さいこと(シームレスベルト状にしたり、厚みを厚くしたりするのが難しい)、熱収縮すること、更には二軸延伸装置が膨大である等の問題がある。
一方、未延伸状態で結晶化したPETフィルムは脆く、屈曲に弱い欠点があった。
これらPCとPETとの欠点を補うために、PCとPETとのポリマーブレンド組成物が提案されている。
特開昭51−36269号公報では、PETとPCからなる非配向フィルムが提案されている。しかしながら、このフィルム中のPET部分は20〜40%の結晶性を持つために、強度および耐熱性が十分ではないと予想される。
特開昭62−89762号公報では、重量平均分子量の異なる2種類のPCとPETからなるシートが提案されている。しかし、粘度の異なるどちらかのPCはPETとの分散性が悪くなり、耐熱性と機械的物性が劣ると予想される。更に、低粘度(実施例中、固有粘度は0.82)のPETを使用していることから、成形品の屈曲耐久性が劣ることが予想される。
そのほかにも、PETとPCからなる透明な樹脂組成物やフィルムが提案されている(特開昭52−51445号公報など)。しかし、発明者らは、屈曲耐久性、耐熱性、耐薬品性などの物性が優れたPET/PCブレンドフィルムの外観は、通常、均一に白濁(曇りガラス状)になることを見出した(詳細は後述する)。従って、従来のPETとPCからなる透明な樹脂組成物やフィルムの殆どは、物性的に劣ると考えられる。
特開平2−233765号公報、特開平10−279709号公報では、PCとポリエステルとカーボンブラックからなる組成物をインフレーション成形したことを特徴とするシームレスベルトが提案されている。しかし、インフレーション成形をしていることから、50〜100μm以上の比較的厚いベルトを均一な外径と厚さで成形することは困難であると考えられる。更に、カーボンブラックが比較的高い添加率で配合されていることから屈曲強さが低下していると考えられる。
一方、耐熱性、耐溶剤性、屈曲耐久性、表面平滑性に優れたフィルムやシームレスベルトは、電子写真方式や静電記録方式の複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置のベルト部材に使用されている。
たとえば、電子写真方式の複写機では、(1)感光体表面を均一かつ一様に帯電させる帯電工程、(2)パターン状に露光することにより、感光体表面に静電潜像を形成する露光工程、(3)現像剤(トナー)を付着させて、感光体表面の静電潜像を可視像(トナー像)とする現像工程、(4)感光体表面のトナー像を転写材(転写紙やOHPシートなど)上に転写する転写工程、(5)転写材上のトナー像を融着させる定着工程、(6)感光体表面の残留トナーを清掃するクリーニング工程、(7)感光体表面の残留電荷を消滅させる除電工程などの各工程によって、画像が形成されている。
このような画像形成装置においては、前記各工程での機能を担うために、ベルト状又はドラム状の形状を有する多数の部材が配置されている。このような部材としては、たとえば、帯電部材(たとえば、帯電ベルト)、感光体(例えば、感光体層を支持するためのベルト状支持体)、転写部材(たとえば、転写ベルト、中間転写ベルト、転写ドラム)、クリーニング部材(例えば、クリーニングベルト)、除電部材(例えば、除電ベルト)、紙搬送部材(たとえば、紙搬送ベルト)などが挙げられる。
このようなベルト部材は、高度の耐久性を有することが求められている。ベルト部材がエンドレスベルトである場合、2本以上のロールを用いて長期間に亘って駆動される。ローラ部材である場合には、高速回転させられる。そのため、ベルト部材には、このような過酷な稼働条件に耐えるだけの十分な耐久性が必要とされる。特に機械的特性として、折り曲げによって破断しない性質(屈曲耐久性)が優れていることが求められる。たとえば、中間転写ベルトの屈曲耐久性が劣悪であると、異物の巻き込み等によって割れが発生したり、ベルトの寿命が短くなったりする。
さらに、ベルト部材には、耐熱性に優れていることが求められている。画像形成装置内には、稼働中、比較的高温状態になるが、ベルト部材には、そのような高温条件下で変形したり、他の部材に溶着したりしないだけの耐熱性を有することが求められる。また、ベルト部材及び該部材を装着した機器は、車両や船舶などにより搬送されることが多いが、輸送中の車内または船内の温度が80℃程度にまで上昇することは稀ではない。このような高温雰囲気下に長時間に亘って曝された場合であっても、部材同士が互いに溶着したり、他の部材に溶着したりしないだけの十分な耐熱性(高温での耐ブロッキング性)を有することが求められる。さらに、ベルト表面に導電性塗料などをコーティングする場合には、コーティング液に対する耐溶剤性と、液を乾燥する際の加熱に耐えることが要求される。この場合、乾燥効率をよくするために乾燥温度は通常100℃以上である場合が多い。よって、ベルト部材には、比較的高度の耐熱性が求められる。
また、多くのベルト部材には、適度の電気抵抗を有することが求められている。例えば、帯電ベルトを用いた帯電方式では、電圧を印加した帯電ベルトを感光体表面に接触させることにより、帯電ベルトから感光体表面に直接電荷を与えて帯電させている。転写ベルトを用いた転写方式では、転写ベルトにより転写材を搬送すると共に、該ベルトにトナーとは逆極性の電荷を付与して転写電界を形成し、クーロン力で感光体表面のトナー像を転写材上に転写している。紙搬送ベルトは、ベルトの静電気によって紙を吸着と剥離を繰り返している。このような各種ベルト部材の多くは、それぞれの機能を発揮するために、ベルト部材全体又は少なくとも表面層が適度の導電性を有すること、より具体的には、10-3〜1013Ω範囲内の表面抵抗率を有することが必要である。もちろん、1013Ω以上の表面抵抗率のベルトを転写ベルトや紙搬送ベルトに使用することも可能ではあるが、一般にこれらのベルト部材は画像形成装置(コピー機やプリンター)の印刷速度が速くなるほど、帯電と除電のサイクルを早くするために、抵抗を低くする必要がある。画像形成装置におけるベルト部材の表面抵抗率は、該部材の場所によるバラツキが小さく実質的に均一であることが望ましい。たとえば、場所による表面抵抗率のバラツキが大きい帯電ベルトを用いると、感光体表面を均一かつ一様に帯電させることができない。同様に、場所による表面抵抗率のバラツキが大きい転写ベルトを用いると、感光体表面のトナー像を正確に転写材に転写することができない。その結果、高品質の画像を得ることができなくなる。
特開昭51−36269号公報 特開昭62−89762号公報 特開昭52−51445号公報 特開平2−233765号公報 特開平10−279709号公報
本発明の目的は、PETとPCとを含有する樹脂組成物及び該樹脂組成物からなり、耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性に優れたフィルムおよびシームレスベルトを提供することにある。
また、本発明の別の目的は、該フィルムおよびシームレスベルトから形成された電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置に使用可能なベルト部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、PET30wt%以上70wt%以下と、PC30wt%以上70wt%以下とのポリマーブレンド物を含有する樹脂組成物を溶融押出して、かつ、示差走査熱量計による熱分析で220〜260℃の範囲内に13J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を有するピークが検出されないような樹脂を成形したところ、耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性に優れたフィルム及びシームレスベルトが得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
本発明によれば、(A)ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と、(B)ポリカーボネート30wt%以上70wt%以下とのポリマーブレンド物を樹脂組成物の総量を基準として80wt%以上含み、JIS K7121に準拠する示差走査熱量計による熱分析で220〜260℃の範囲内に13J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を有するピークが検出されないことを特徴とする樹脂組成物が提供される。
ポリエチレンテレフタレートのJIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲であることが好ましい。
ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は18,000より大きく25,000未満の範囲であることが好ましい。
また本発明によれば、上述の本発明の樹脂組成物から形成される、耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性に優れたフィルムおよびシームレスベルトが提供される。
本発明のフィルムおよびシームレスベルトは、厚みが20〜500μmであることが好ましい。
また、本発明のフィルムおよびシームレスベルトは実質的に未延伸であることが好ましい。
さらに、本発明のフィルムおよびシームレスベルトはJIS P8115に準拠する加重4.9Nでの屈曲耐久性が2000回以上であることが好ましい。
本発明のフィルムおよびシームレスベルトは、JIS B-0601に準拠する平均表面粗さ(Ra)が1μ未満であることが好ましい。
本発明のフィルムおよびシームレスベルトは、表面抵抗率が1.0×10-3〜1.0×1012Ωの導電性表面層を有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置に使用可能な上述の本発明の樹脂組成物から形成されるベルト部材を提供することができる。
なお本明細書において、「導電性」とは「半導電性」をも含むものとして使用する。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
まず、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、(A)ポリエチレンテレフタレート(以下、単に「PET」ともいう)と、(B)ポリカーボネート(以下、単に「PC」ともいう)とを特定の配合割合で配合してなるポリマーブレンド物を特定量含み、特定の結晶融解熱(ΔH)を有することを特徴とする。
<ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)>
本発明で使用されるPETとしては、テレフタル酸とエチレングリコールとのみからなるホモポリマー、またはテレフタル酸とエチレングリコールとその他の共重合成分とから合成された共重合体を使用することができる。共重合成分の割合は、通常20モル%未満、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。共重合成分の割合が高くなりすぎると、PETの結晶性が損なわれて成形物の耐熱性が低下する場合があるので上記範囲内とするのが好ましい。
PETは、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコールを主成分とするジオール成分との等モルの反応により合成される。共重合成分の割合は、ジカルボン酸成分100モル%とジオール成分100モル%の合計200モル%を基準として算出する。たとえば、ジオール成分のエチレングリコール(EG)の一部をプロピレングリコール(PG)に置き換えて、EG90モル%とPG10モル%からなるジオール成分(合計100モル%)とした場合、共重合体中のテレフタル酸とEGから形成されるエチレンテレフタレート繰り返し単位の割合が90モル%となり、テレフタル酸とPGとから形成されるプロピレンテレフタレート繰り返し単位の割合が10モル%となる。この場合、共重合成分であるPGの割合を10モル%とする。
共重合成分としては、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、キシリレングリコール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのジオール成分;イソフタル酸、セバシン酸、アジピン酸等のジカルボン酸成分;等が挙げられる。PETとしては、ホモポリマーや共重合体を、それぞれ単独で、あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用するPETは、本質的に結晶性を有しているPETが好ましい。結晶性PETであっても、たとえば、溶融状態から急冷することにより結晶化度の低い非晶状態に成形することは可能であるが、このような非晶状態であっても示差走査熱量計によって分析すると、常温からの昇温過程において非晶部が結晶化するために、220〜260℃の範囲内に結晶融解のピークを観察することができる。
本発明で使用するPETの分子量は、特に制限されないが比較的高いものであることが望ましい。PETのJIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)は、好ましくは1.0〜1.5、さらに好ましくは1.1〜1.4、特に好ましくは1.2〜1.3である。固有粘度が低いほど、成形品が脆弱化し易くなり、高すぎると、加工が難しくなる。また、固有粘度が高すぎても低すぎてもPCとの分散性が不良になる。このため、上述の範囲内とするのが好ましい。
PETとしては、具体的には、商品名「クラペットKS−710B4」クラレ社製I.V.=1.25;商品名「クラペットKS−710B5」クラレ社製I.V.=1.15;商品名「クラペットKS−710B8」クラレ社製I.V.=1.20等の市販品を用いることもできる。
<ポリカーボネート樹脂(PC)>
本発明に用いられるPCとしては、芳香族PCが好適に用いられるが、特に好ましくはビスフェノールA繰り返し単位を含む樹脂が用いられる。PCの重量平均分子量(Mw)は、通常の範囲であればよいが、好ましくは18,000〜25,000、より好ましくは20,000〜24,000、特に好ましくは21,000〜23,000である。重量平均分子量が低すぎると成形品が脆弱化しやすくなり、高すぎると加工が難しくなる。また、固有粘度が高すぎても低すぎてもPETとの分散性が不良になる。
PCとしては、具体的には、商品名「タフロンIRE2200」出光興産製、重量平均分子量(Mw)21500;商品名「タフロンIRE1900」出光興産製、重量平均分子量(Mw)18500等の市販品を用いることもできる。
<ポリマーブレンド物の配合割合>
PETの配合量は30wt%以上70wt%以下、好ましくは35〜60wt%、更に好ましくは40〜55wt%、特に好ましくは45〜55wt%である。配合量が少なすぎると耐溶剤性が悪くなり、配合量が多すぎると耐熱性が悪くなる。また、配合量が多すぎても少なすぎてもPCとの分散性が悪くなる。
PCの配合量は30wt%以上70wt%以下、好ましくは65〜40wt%、更に好ましくは60〜45wt%、特に好ましくは55〜45wt%である。配合量が少なすぎると耐熱性が悪くなり、配合量が多すぎると耐溶剤性と屈曲耐久性が悪くなる。また、配合量が多すぎても少なすぎてもPETとの分散性が悪くなる。
<ポリマーブレンド物の樹脂組成物における配合量>
本発明の樹脂組成物は、PETとPCとのポリマーブレンド物を必須成分として含有するものである。
本発明の樹脂組成物における上記ポリマーブレンド物の配合量は、樹脂組成物の総量中80wt%以上、好ましくは90wt%以上、更に好ましくは95wt%以上、特に好ましくは99wt%以上である。PETとPC以外の充填剤や他の樹脂が多く含まれると、屈曲耐久性が悪くなったり、あるいはPCとPETの分散性が悪くなったりするので、ポリマーブレンド物の配合量は上記範囲内とする必要がある。
<その他の添加剤>
本発明では、所望によりその他の添加剤を適宜添加することができる。その他の添加剤としては、本分野で通常使用されている、シリコン系、ハロゲン系、赤リン、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウムなどの難燃剤;天然ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アルキルエステル酸エステルワックス等の各種のワックス類;タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ゼオライト、ガラス、酸化亜鉛、酸化鉄、黒鉛、無機物、有機金属塩、酸化金属の粉末、繊維フィラーなどの充填剤;酸化防止剤、可塑剤、カーボンブラック、有機顔料、無機顔料、界面活性剤、カップリング剤、その他の樹脂やエラストマーなどが挙げられる。これらの添加剤は、本発明の効果を妨げない範囲であれば使用することができる。具体的には、10〜0.001質量部の範囲、より好ましくは5〜0.01質量部の範囲、特に好ましくは3〜0.1質量部の範囲で添加することができる。
<樹脂組成物の調製法>
本発明の樹脂組成物を調製法としては、PET、PC、必用に応じてその他の添加剤を、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミル、ニーダーなどの混練機に供給して、溶融混練し、ペレット化する方法等がある。また、PETペレットとPCペレットを予め混合機で良く混合したポリマーブレンド物を単軸押出機に供給して直接フィルムやシームレスベルトなどとして押し出し冷却する方法もある。
PETペレットとPCペレットとを混合してなるポリマーブレンド物を単軸押出機に供給して直接フィルムおよびシームレスベルトとして押し出し冷却する場合には、混練エレメント付きのスクリューを使用することが好ましい。混練エレメントにはダルメージ、ピン、マードックなどの公知の混練エレメントを使用することができる。なかでも、ダブルフライト(バリアーフライトともいう)タイプが最も好ましい。押出機とダイとの間には、好ましくは#200メッシュ以上、更に好ましくは#400メッシュ以上のフィルターを装着することが好ましい。
<樹脂組成物の物性>
ところで、本発明者らが得た知見では、PETとPCとのポリマーブレンド物の混練状態が樹脂組成物の耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性に大きく関係していると考えられる。通常、PETとPCとのポリマーブレンド物は非相溶性であるため、PETとPCのポリマーブレンド物を示差走査熱量計(DSC)で分析すれば、PETとPCとの各々のピークが現れる。一方、本発明の樹脂組成物はDSCによる熱分析で観察されるはずのPETのピーク(220〜260℃の範囲内の結晶融解熱)が非常に小さくなり、本来のPETやPCの物性から変化していることが判る。
これらの現象の機構についてはよくわからないが、本発明品では特定の粘度のPETと特定の分子量のPCとを特定比率でポリマーブレンドしてなるポリマーブレンド物を用いてポリマーブレンド物の混練状態を制御することにより、PET相とPC相の界面で生ずるエステル交換反応が制御され、耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性が従来になく改良されたと考えられる。本発明品では、PETとPCの一部分、または全部が互いに変性された状態になっていると考えられる。
一般にPETは加水分解や熱分解によっても結晶融解熱(ΔH)が消失することがあるが、このように分解したPETは著しく低分子量化するためにフィルムとして加工することは困難であり、得られる成形物は著しく脆弱化することが知られている。本発明の樹脂組成物を用いてなるフィルムは、結晶融解熱(ΔH)が小さくても、成形性と機械的物性に優れており、従来公知のPETの分解とは異なっている。
本発明の樹脂組成物は、JIS K7121に準拠する示差走査熱量計による熱分析で220〜260℃の範囲内で検出される結晶融解熱(ΔH)が、13J/g未満(すなわち13J/g以上のピークが検知されないこと)、好ましくは10J/g以下、更に好ましくは7J/g以下、特に好ましくは5J/gである。結晶融解熱ΔHが13J/g以上であることはPCと未反応のPET成分が多く残っていることを示し、PETのTgである80℃付近で一旦軟化し、その後結晶化するため脆くなる。
結晶融解熱(ΔH)の下限は特に規定されないが、過剰な混練による加水分解や熱分解が進みすぎていないことを確認できるように若干のピークが確認できることが好ましい。結晶融解熱(ΔH)の下限は、好ましくは1J/g以上、特に好ましくは2J/g以上である。
[フィルム及びシームレスベルト]
ついで、本発明のフィルム及びシームレスベルトについて説明する。
以下の説明においては、まず、フィルムとシームレスベルトとの共通事項について説明した後、それぞれに特有の事項について説明する。
[共通事項]
本発明のフィルム及びシームレスベルトは、いずれも上述の本発明の樹脂組成物からなる。
そして、本発明のフィルム及びシームレスベルトの厚みは、それぞれ、20〜500μm、好ましくは30〜250μm、より好ましくは40〜200μm、特に好ましくは50〜150μmである。厚みが薄すぎると強度が低下し、厚すぎると柔軟性が低下するので上記範囲内とする必要がある。
また、本発明のフィルム及びシームレスベルトは、実質的に未延伸であるのが好ましい。
ここで、「実質的に未延伸」とは、フィルムまたはシームレスベルトを溶融成形する際に、Tダイまたは環状ダイから押し出され、冷却固化された後延伸されていない状態をいい、延伸の程度が5%以下の場合も含む意味である。
また、本発明のフィルム及びシームレスベルトは、JIS P8115による方法で測定した、加重4.9Nでの屈曲耐久性が2000回以上であるのが好ましく、より好ましくは3000回以上であり、更に好ましくは4000回以上、特に好ましくは5000回以上である。上記屈曲耐久性が2000回未満であると、たとえば中間転写ベルトに使用した場合に異物の巻き込み等によって割れが発生したり、ベルトの寿命が短くなったりする。
また、本発明のフィルム及びシームレスベルトは、JIS B-0601に準拠する表面粗さ(Ra)が1μm未満であるのが好ましく、0.01〜0.5μmであるのが更に好ましい。表面粗さが1μm以上であると、たとえば中間転写ベルトに使用した場合、トナーが不均一に転写されて印刷された画像が粗くなったり、トナーがベルトに固着しやすくなるなどの不都合が生じる。なお、表面粗さの測定法については実施例の欄において説明する。
<導電性層等の他の層>
本発明のフィルム及びまたはシームレスベルトは、組成の異なるフィルム層を被覆することにより、積層ベルトに形成することができる。また、導電性層を2層以上に積層してもよい。積層方法は、界面を接着剤で貼り合わせても、共押出により多層フィルムおよび多層シームレスベルトとして成形してもよいが、フィードブロックまたはマルチマニホールドを有する多層ダイを用いて溶融共押出成形するのが最も好ましい。
導電性表面層の表面抵抗率は、1.0×10-3〜1.0×1012Ωとするのが好ましい。特に、本発明のフィルムおよびシームレスベルトを転写ベルトまたは紙搬送ベルトとして使用する場合、ベルトの少なくとも表面の導電性を制御する必要がある。そこでこの場合、フィルムおよびシームレスベルトの少なくとも片側に上記の範囲の表面抵抗率を有する導電性層を表面に有するのが好ましい。導電性層の表面抵抗率は1.0×102〜1.0×1010Ωが特に好ましい。導電性層を2層以上形成させる場合には、表面層は1.0×105〜1.0×1010Ωが好ましく、中間層の抵抗は表面層の抵抗よりも低いことが好ましく、1.0×10-3〜1.0×103Ωが特に好ましい。なお、表面抵抗率が1×105Ω未満の場合はJIS K7194に準拠して測定し、1×105Ω以上の場合はJIS K6911に準拠して測定することができる。
上記導電性層は、(A)ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下、好ましくは35wt%〜65wt%、更に好ましくは40wt%〜60重wt%、特に好ましくは45wt%〜55wt%と、(B)ポリカーボネート30wt%以上70wt%以下、好ましくは65wt%〜35wt%、さらに好ましくは60wt%〜40wt%、特に好ましくは55wt%〜45wt%と、(A)及び(B)の合計100質量部に対して5〜60質量部の導電性フィラーとからなるのが望ましい。導電性層のPETの配合量が少なすぎると耐溶剤性が悪くなり、配合量が多すぎると耐熱性が悪くなる。また、配合量が多すぎても少なすぎてもPCとの分散性が悪くなる場合があるので上記範囲内とするのが好ましい。また、導電性層のPCの配合量が少なすぎると耐熱性が悪くなり、配合量が多すぎると耐溶剤性および屈曲耐久性が悪くなる。配合量が多すぎても少なすぎてもPETとの分散性が悪くなる場合があるので、上記範囲内とするのが好ましい。
特に、導電性層を共押出しで形成させる場合、導電性層の組成は、PET30wt%以上70wt%以下と、PC30wt%以上70wt%以下と、PET+PC100質量部に対して導電性フィラーが5〜60質量部であるのが好ましい。
上記導電性フィラーとしては、導電性のカーボンブラックが好ましく挙げられ、アセチレンブラックが特に好ましく挙げられる。
導電性フィラーの配合率は、樹脂成分に対して、上述のように通常5〜60質量部である。ケッフェンブラックやカーボンナノチューブなどの高導電性フィラーを使用する場合は5〜15質量部が好ましく、ファーネスブラックやアセチレンブラックなどの通常の導電性カーボンブラックを使用する場合は15〜40質量部が好ましい。金属や酸化金属などの比較的比重の大きいフィラーを使用する場合は30〜100質量部とすることもできる。
導電性層は、場所による表面抵抗率のバラツキができるだけ小さいものであることが均一な電荷制御機能を発揮する上で望ましい。ベルト部材として満足に機能するには、表面抵抗率の最大値が最小値の30倍以内にあることが必要とされる。本発明によれば、表面積1m2あたり任意に選んだ20点で測定した表面抵抗率の最大値が最小値の10倍以下、更には1〜6倍の範囲内のフィルムおよびシームレスベルトを得ることができる。
本発明のフィルムおよびシームレスベルトの表面は、用途に応じて、他の樹脂をコーティングしたり、金属蒸着したり、艶消し加工などをしてもよい。
<グロス>
PETとPCとのポリマーブレンド物の混練が不足すると、十分な耐熱性、耐薬品性、屈曲耐久性、表面平滑性が得られない。逆に混煉が進みすぎると、エステル交換反応が進みすぎた結果として樹脂の粘度低下や脆弱化が発現するために好ましくない。PETとPCの適度な混練状態を確認する手段として、フィルムやシームレスベルト外観(グロス)を目安にすることができる。
PETとPCの混煉が不足したフィルムやシームレスベルトは、PETが非晶状態では比較的透明である。これを120℃程度で熱処理すると、PET相が結晶化するために白濁化して、同時に脆くなる。反対に、PETとPCの混練が進みすぎ、加水分解反応が進みすぎると、外観は透明だが分子量が低下してフィルムやシームレスベルトが脆くなる。
本発明のフィルムおよびシームレスベルトにおいて、PETとPCの混練が好ましい範囲にあるとき、その外観が白濁(グロスが低下)する場合が多い。これは、PETとPCの混練が好ましい範囲において、PETとPCの分散系が光を散乱させ易い粒径になっているためと考えられる。
本発明のフィルムおよびシームレスベルトのグロスは、JIS Z-8741に準拠して測定した場合に、3〜40%が好ましく、8〜30%がさらに好ましく、10〜20%が特に好ましい。
[効果]
本発明のフィルム及びシームレスベルトを例えば転写ベルトに用いる場合、該ベルトが歪むと、ベルト上に形成されるトナー画像の歪みや色ずれの原因になる。そのため、ベルト部材は、十分に高い弾性率を有することが望ましい。また、ベルト部材は、異物の巻き込み等によってわれたりすることが無いように、適度な柔軟性を有することが望ましい。本発明のフィルム及びシームレスベルトは、引張弾性率と引張破断伸びが共に優れており、上記要求に応えることができるものである。
本発明のフィルム及びシームレスベルトは結晶化し難く、結晶化による脆化が少ない。したがって、本発明のフィルムを加熱シームで接着してエンドレスベルト状に成形しても、シーム個所が脆くなり難い。
[特有事項]
<形状>
本発明のフィルムの形状は特に制限されず上記厚みを満足するシート状物であればよい。
また、本発明のシームレスベルトの形状は、上記厚みを満足すれば特に制限されず、本発明の技術分野において通常採用されているベルトの形状を適宜採用できる。
<フィルムの製造方法>
本発明のフィルムの製造方法は、極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネート30wt%以上70wt%以下と(すなわち、本発明のポリマーブレンド物)、場合によっては任意の添加剤適量を押出機に供給し、リップクリアランスを1.0mm以下に調製したTダイから溶融押出し、次いで、溶融状態の樹脂組成物を60〜140℃の範囲内の温度に制御した冷却ロールと接触させて冷却固化する。
更に詳述すると、Tダイのリップクリアランスは、好ましくは1.0〜0.3mm、特に好ましくは0.8〜0.5mmである。リップクリアランスが1.0mmを超えると、溶融樹脂組成物の引き落とし率が大きくなるために、得られるフィルムの厚みムラが大きくなったり、得られるフィルムの異方性が大きくなったりして、結果的に屈曲耐久性が低下するので、上記範囲内とする必要がある。また、狭すぎると、押出加工時の樹脂圧力が高くなりすぎたり、十分な押出量が得られなくなったりするので上記範囲内とするのが好ましい。
冷却ロールの温度は80〜130℃の範囲が特に好ましい。冷却ロール温度が低すぎると、溶融樹脂組成物と冷却ロールの密着が不十分になりフィルムの平面性が悪くなる。冷却ロール温度が高すぎると、溶融樹脂組成物が冷却ロールに粘着して、得られるフィルムの平面性が悪くなるので上記範囲内とする必要がある。
また、冷却ロール上に密着させつつ冷却固化する際にはエアーナイフなどを用いる方法が挙げられる。
<シームレスベルトの製造方法>
本発明のシームレスベルトの製造方法は、極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネート30wt%以上70wt%以下と(すなわち、本発明のポリマーブレンド物)、場合によっては任意の添加剤適量を押出機に供給し、リップクリアランスを1.0mm以下に調製した環状ダイから溶融押出し、次いで、溶融状態の樹脂組成物を60〜140℃の範囲内の温度に制御した冷却マンドレルと接触させて冷却固化する。
また、この製造方法では、チューブを製造することもできる。
上記製造方法で用いることができる望ましい連続的な溶融押出成形法としては、単軸スクリュー押出機とスパイラル方式によって環状体の内径を制御しながら引き取る方法が挙げられる。
<ベルト部材>
次いで、本発明のベルト部材について説明する。
本発明のベルト部材は、上述の本発明のフィルム又は上述の本発明のシームレスベルトからなり、電子写真方式又はインクジェット方式の画像形成装置に使用されるベルト部材である。形状などは、通常この種のベルト部材に採用される形状などであれば特に制限無く採用できる。
本発明のフィルムを加熱シームで接着してエンドレスベルト状に成形する場合、フィルムの加熱個所(再溶融個所)は、一部分でもフィルム全体でも構わない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。
また、各実施例及び比較例で使用した全ての原料(樹脂や複合樹脂)は事前に十分に乾燥(水分含有量80ppm未満)したものである
以下の実施例及び比較例において各物性の測定方法は以下の通りである。
(1)算術表面粗さ(Ra):
表面粗さ(Ra)は、JIS B-0601に準拠し、表面粗さ形状測定機((株)東京精密社製、商品名「サーフコム554A」)を用いて測定した。サンプル形状がシームレスベルトの場合は外側面を、フィルムの場合には反キャスト面(空冷面)を10点測定して平均粗さ(Ra)を求めた。
(2)表面抵抗率
四探針プローブ(三菱化学社製、商品名「PSPプローブ」ピン間隔1.5mm)と効率測定装置(三菱化学社製、商品名「ロレスタHP」)を用いて、JIS K-7194に準拠して、表面抵抗率を求めた。
(3)光沢度(グロス)
JIS Z-8741に準拠し、HORIBA社製のグロスチェッカ(IG−320型)を使用して入射角60℃で測定した。
(4)屈曲耐久性
JIS P-8115に準拠し、幅15mmの短冊形試験片を用い、MIT耐柔披露試験機により屈曲角度135度(左右)、折り曲げ速度175cps、荷重9.8Nの条件で測定した。MD方向(流れ方向)とTD方向(MDと直角方向)で各n=5で測定し、10点の算術平均を算出した。
(5)熱処理後の屈曲耐久性:
130℃に調製した温風式高温槽にサンプルを30分放置した後の屈曲耐久性を(4)と同様に測定した。
(6)示差走査熱量計(DSC)による熱分析
示差走査熱量測定装置(メトラー社製、商品名「DSC30」)とデータプロセッサ(メトラー社製、商品名「TC10A」)とを用い、JIS K-7121に準拠して、下記条件により試料を熱分析した。試料は、75℃で10時間コンディショニングした後、測定に供した。ファーストランにより、結晶融解ピーク温度と結晶融解熱(ΔH)を求めた。測定条件は、試料重量10mg、測定開始温度30℃、測定終了温度300℃、昇温速度10℃/分とした。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
表1に示す組成で各成分を混合した混合物をダブルフライトタイプの単軸スクリュー押出機に供給して、スパイラル環状ダイス(リップの内径250mm、外径248mm、クリアランス1.0mm)を用いて、ダイスのリップから直下に押出し、70度に制御したφ201mmの内部冷却マンドレルによって内径を制御しながら引き取り、適当な長さに切断して、φ200mmの折り目のない厚みが約100μmのシームレスベルトを得た。
得られた各シームレスベルトの物性を表1に示す。
(実施例10)
表1に示す組成で各成分を混合した混合物をダブルフライトタイプの単軸スクリュー押出機に供給して、リップクリアランス0.7mmのT字型ダイからフィルム状に溶融押出し、直ちに120℃の冷却ロールによって冷却して、厚みが約100μmのフィルムに成形した。このようにして得られたフィルムの物性を表1に示す。
なお、比較例6では、フローマーク状の厚みムラが発生して著しく表面平滑性が劣化した。表面平滑性と厚みムラが悪いために、機械的物性や表面粗さ、グロスなどの測定は不可能であった。
Figure 2007246607
(実施例11〜13)
表2に示す各成分を混合した混合物が内側層を形成するようにφ40nmのダブルフライトタイプの単軸スクリュー押出機に、また、表2に示すコンパウンドが外側層を形成するようにφ30nmのダブルフライトタイプの単軸スクリュー押出機に供給し、マルチマニホールドを有するスパイラル環状ダイス(リップの内径210mm、外径212mm、クリアランス1.0mm)を用いて、ダイスのリップから直下に押出し、70℃に制御したφ151mmの内部冷却マンドレルによって内径を制御しながら引き取り、適当な長さに切断して、φ150mmの折り目のない厚みが約130μmの2層構造のシームレスベルトを作製した。ベルトの断面を実態顕微鏡で観察したところ、内側層の厚みは80μmと外側層の厚みは50μmであった。
(比較例7〜8)
実施例11〜13と同様にして表2に示すコンパウンドが外側層を形成するように単軸スクリュー押出機に供給して2層シームレスベルトを製造しようとしたところ、フローマーク状の厚みムラが発生して著しく平面性の悪いシームレスベルトになった。平面性と厚みムラが悪いために、機械物性や表面性を測定することができなかった。
Figure 2007246607
なお、各表中の略記はそれぞれ以下の通りである。
PET[1];商品名「クラペットKS−710B4」クラレ社製I.V.=1.25
PET[2];商品名「クラペットKS−710B5」クラレ社製I.V.=1.15
PET[3];商品名「クラペットKL−760K」クラレ社製I.V.=0.85
PET[4];商品名「クラペットKS−710B8」クラレ社製I.V=1.20
PC[1];商品名「タフロンIRE2200」出光興産製、重量平均分子量21500
PC[2];商品名「タフロンIRE2500」出光興産製、重量平均分子量24500
PC[3];商品名「タフロンIRE1900」出光興産製、重量平均分子量18500
PC[4];商品名「タフロンLC1700」出光興産製、重量平均分子量16500
コンパウンド(1);PET[1]/PC[1]/AB=35/35/30(wt%)を2軸押出機でコンパウンドしたペレット
コンパウンド(2);PET[1]/PC[1]/AB=37/37/26(wt%)を2軸押出機でコンパウンドしたペレット
コンパウンド(3);PET[1]/PC[1]/AB=40/40/20(wt%)を2軸押出機でコンパウンドしたペレット
コンパウンド(4);PET[1]/AB=70/30(wt%)を2軸押出機でコンパウンドしたペレット
コンパウンド(5);PC[1]/AB=70/30(wt%)を2軸押出機でコンパウンドしたペレット
AB;アセチレンブラック、商品名「デンカブラック」電気化学工業製、揮発分=0.03%、DBP給油量=125ml/100g、pH=9

Claims (22)

  1. (A)ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と(B)ポリカーボネート30wt%以上70wt%以下とのポリマーブレンド物を樹脂組成物の総量を基準として80wt%以上を含み、
    JIS K7121に準拠する示差走査熱量計による熱分析で220〜260℃の範囲内に13J/g以上の結晶融解熱(ΔH)を有するピークが検出されないことを特徴とする樹脂組成物。
  2. (A)ポリエチレンテレフタレートは、JIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. (B)ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)が18,000より大きく25,000未満の範囲である請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物からなり、且つ厚みが20〜500μmであるフィルム。
  5. 実質的に未延伸である請求項4に記載のフィルム。
  6. JIS P8115に準拠する加重4.9Nでの屈曲耐久性が2000回以上である請求項4又は5に記載のフィルム。
  7. JIS B-0601に準拠する平均表面粗さ(Ra)が1μ未満であることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載のフィルム。
  8. 請求項4〜7の何れか1項に記載のフィルムからなる基層と、表面抵抗率が1.0×10-3〜1.0×1012Ωの導電性表面層と、を含む導電性フィルム。
  9. 上記導電性表面層が、(A)ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と、(B)ポリカーボネート30wt%以上70wt%以下と、(A)及び(B)の合計100質量部に対して5〜60質量部の導電性フィラーを含む請求項8に記載の導電性フィルム。
  10. 上記導電性フィラーがカーボンブラックである請求項9に記載の導電性フィルム。
  11. 請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物からなり、且つ厚みが20〜500μmであるシームレスベルト。
  12. 実質的に未延伸である請求項11に記載のシームレスベルト。
  13. JIS P8115に準拠する加重4.9Nでの屈曲耐久性が2000回以上である請求項11又は12記載のシームレスベルト。
  14. JIS B-0601に準拠する平均表面粗さ(Ra)が1μ未満であることを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載のシームレスベルト。
  15. 請求項11〜14の何れか1項に記載のシームレスベルトからなる基層と、表面抵抗率が1.0×10-3〜1.0×1012Ωの導電性表面層と、を含む導電性シームレスベルト。
  16. 上記導電性層が、(A)ポリエチレンテレフタレート30wt%以上70wt%以下と、(B)ポリカーボネート30wt%以上70wt%以下、(A)及び(B)の合計100重量部に対して5〜60重量部の導電性フィラーを含む請求項15に記載の導電性シームレスベルト。
  17. 上記導電性フィラーがカーボンブラックである請求項16に記載の導電性シームレスベルト。
  18. 請求項4〜7の何れかに記載のフィルム、請求項8〜10の何れかに記載の導電性フィルム、請求項11〜13の何れかに記載のシームレスベルト又は請求項14〜17の何れか1項に記載の導電性シームレスベルトからなり、電子写真方式又はインクジェット方式の画像形成装置に使用されるベルト部材。
  19. JIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレートと、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネートとを押出機に供給し、リップクリアランスを1.0mm以下に調製した環状ダイから溶融押出してチューブ状溶融押出物を得て、次いで、チューブ状溶融押出物を60〜140℃の範囲内の温度に制御した冷却マンドレルと接触させて冷却固化する請求項11〜13の何れかに記載のシームレスベルトの製造方法。
  20. 多層ダイ共押出装置の内方供給口に、JIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレートと、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネートとを供給し、一方、外方供給口に、JIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレートと、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネートと導電性フィラーとを供給し、リップクリアランスを1.0mm以下に調製した環状ダイから溶融押出してチューブ状溶融押出物を得て、次いで、チューブ状溶融押出物を60〜140℃の範囲内の温度に制御した冷却マンドレルと接触させて冷却固化する請求項14〜17の何れかに記載の導電性シームレスベルトの製造方法。
  21. JIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレートと、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネートとを押出機に供給し、リップクリアランスを1.0mm以下に調製したTダイから溶融押出してフィルム状溶融押出物を得て、次いで、フィルム状溶融押出物を60〜140℃の範囲内の温度に制御した冷却ロールと接触させて冷却固化する請求項4〜7の何れかに記載のフィルムの製造方法。
  22. Tダイ共押出装置の一方の供給口に、JIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレートと、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネートとを供給し、他方の供給口にJIS K7367-5に準拠する極限粘度(IV)が1.0〜1.5dl/gの範囲である結晶性ポリエチレンテレフタレートと、重量平均分子量(Mw)が18,000〜25000の範囲であるポリカーボネートと導電性フィラーとを供給し、リップクリアランスを1.0mm以下に調製したTダイから溶融押出してフィルム状溶融押出物を得て、次いで、フィルム状溶融押出物を60〜140℃の範囲内の温度に制御した冷却ロールと接触させて冷却固化する請求項4〜7の何れかに記載のフィルムの製造方法。
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