JP2013185140A - 樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電子写真装置用部材。 - Google Patents

樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電子写真装置用部材。 Download PDF

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誠 松下
Satoru Izumitani
哲 泉谷
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Abstract

【課題】高温多湿の条件下でローラ等の金属部材と長期間接触しても、前記金属部材が錆たり、腐食したり、アルマイト(登録商標)化したりする恐れのない、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等に利用される中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルト等の電子写真装置用部材として好適な樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電子写真装置用部材を提供すること。
【解決手段】少なくとも、(A)フッ素樹脂、(B)有機四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩、(C)酸化防止剤、及び(D)キレート剤を含有する樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)を0.1wt%以上含み、キレート剤(D)は、カルボキシル基を有するものであり、かつ、前記(C)の酸化防止剤と前記(D)のキレート剤のモル比(酸化防止剤/キレート剤)が2以上であることを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電子写真装置用部材に関するものであり、前記樹脂組成物は電池材料、医療用材用に応用される。
フッ素樹脂は難燃性が高く耐溶剤性、耐熱性もよいため電池材料(特許文献1:特開2003−331917号公報)やシームレスシートベルトに加工してプリンター、複写機の転写部材や定着部材に使用される(特許文献2:特許第3601906号公報、特許文献3:特許第4391142号公報)。
また近年では、耐劣化ポリマーとして形成した角膜マスクに使用されたりもしている(特許文献4:特表2008−536574号公報)。特許文献1(特開2003−331917号公報)では、リチウムイオン電池において、系内に微量に混入した水分がPFを加水分解しフッ化水素を発生させるためにアルミラミネートを腐食させる課題に対して、ホウ酸リチウム誘導体を腐食抑制剤として用いており、ホウ酸リチウム誘導体がフッ化水素をトラップすることで腐食を抑制できるとしているが詳細な原理までは分かっていないとしている。
特許文献5の特開平6−163031号公報にはPVDFの課題として金属とPVDFが短絡等により電池温度が異常に上昇するとPVDFが分解してHFガスを発生し、充電により負極に生成したCLiと発熱反応し電池が破損、破裂する恐れがあるとしている。
フッ素樹脂は、高温多湿条件下で金属と接触すると、フッ素樹脂中に含まれる塩などがブリードアウトし金属表面を腐食することがあり、また、成形の際、例えば二軸押出機に由来する金属(金属の種類やめっきなど)の存在やその他の原因による金属の混入による触媒的な作用により分解しHFを発生することがある。
フッ素樹脂をシームレスベルトに加工し、ベルト等の電子写真装置用部材として用いると、電子写真装置のローラ等の金属部材が錆たり、腐食したり、アルマイト化させたりする虞がある。
ここで言う腐食とは錆や金属の溶解もしくはアルマイト(登録商標)のような酸化皮膜形成をいう。アルマイト化は、フッ素樹脂の酸化劣化、フッ素樹脂の溶融混錬時発生のHFの抱きこみによる残留HFの存在、HFが水分に溶け込み酸となり金属の酸化還元反応を促進すること、塩の存在により酸化還元反応が促進すること等により腐食が起きると想定される。
特許文献2(特許3601906号公報)や特許文献3(特許第4391142号公報)ではプリンタや複写機に用いられる転写ベルトを目的として半導電性樹脂組成物について書かれている。しかしながら、ここでは酸化防止剤についてはふれられているものの成形時に発生したHFの発生による腐食の抑制手段についてはふれられていない。
プリンタや複写機等の電子写真装置の転写ユニットには転写ベルト内側および外側に金属ローラを接触させて張架する構成がよく取られることが多い。
前記金属ローラは、コストダウン等目的で無垢アルミニウム製のものやSUSが用いられることがあり、また、電極ローラとして用い、アースに落としていたりするので導通が取れる必要がある場合が多い。
このような金属ローラが錆たり腐食(アルミニウムのアルマイト化を含む)したりすると、画像欠損のような画像不具合を発生してしまう。
本発明は、高温多湿の条件下でローラ等の金属部材と長期間接触しても、前記金属部材が錆たり、腐食したり、アルマイト(登録商標)化したりする恐れのない、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等に利用される中間転写ベルト、搬送転写ベルト、感光体ベルト等の電子写真装置用部材として好適な樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電子写真装置用部材の提供を目的とする。
本発明は、下記(1)〜(10)によって解決される。
(1)「少なくとも、(A)フッ素樹脂、(B)有機四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩、(C)酸化防止剤、及び(D)キレート剤を含有する樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)を0.1wt%以上含み、キレート剤(D)は、カルボキシル基を有するものであり、かつ、前記(C)の酸化防止剤と前記(D)のキレート剤のモル比(酸化防止剤/キレート剤)が2以上であることを特徴とする樹脂組成物」、
(2)「前記(D)のキレート剤は、キレート価(量)C.Vが150(mgCaCO/g)以上であることを特徴とする樹脂組成物)、
(3)「前記(D)のキレート剤は、分子量が200以上1000未満であることを特徴とする前記(2)に記載の樹脂組成物」、
(4)「前記樹脂組成物は、導電剤をさらに含むものであり、前記導電剤は、カーボンブラック、導電性高分子、またはグラフェンから選択されたものであることを特徴とする前記(3)に記載の樹脂組成物」、
(5)「前記カーボンブラックは平均一次粒子径が60nm以下であることを特徴とする前記(4)に記載の樹脂組成物」、
(6)「前記導電剤は、イオン性液体であることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の樹脂組成物」、
(7)「前記(A)のフッ素樹脂は、無機フィラーが添加されたものであることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の樹脂組成物」、
(8)「前記(A)のフッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンであり、該ポリフッ化ビニリデン、(B)の塩、(C)の酸化防止剤、及び(D)のキレート剤を含む液を攪拌し溶媒を除去して得られたものであることを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の樹脂組成物」、
(9)「電子線照射されたものであることを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の樹脂組成物」、
(10)「前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の樹脂組成物を用いた電子写真用部材であって、表面抵抗率が10(Ω/□)以上1013(Ω/□)以下であることを特徴とする電子写真装置用部材」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、高温多湿の条件下でローラ等の金属部材と長期間接触しても、前記金属部材が錆たり、腐食したり、アルマイト(登録商標)化したりする恐れのない、樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた電子写真装置用部材が提供される。
本発明の樹脂組成物または電子写真装置用部材を用いた電子写真方式の画像形成装置の一例を示す図である。 図1の画像形成装置の要部拡大図である。 実施例8、実施例9で作製したシートの表面抵抗率について示した図である。 実施例9、実施例14で作製したシートの表面抵抗率について示した図である。
本発明の樹脂組成物について詳細に説明する。
本発明の樹脂組成物は少なくとも、(A)フッ素樹脂、(B)有機四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩、(C)酸化防止剤、及び(D)キレート剤を含有する樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)を0.1wt%以上含み、キレート剤(D)は、カルボキシル基を有するものであり、かつ、前記(C)の酸化防止剤と前記(D)のキレート剤のモル比(酸化防止剤/キレート剤)が2以上のものである。
<フッ素樹脂>
(A)のフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレンーパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレンーエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレンーエチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド、フッ化ビニリデン(VDF)と6フッ化プロピレン(HFP)やトリフルオロエチレン(TrFE)や、テトラフルオロエチレン(TFE)を用いた、P(VDF−HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)とフッ化プロピレン(HFP)の共重合体〔P(VDF−HFP)等が挙げられる。
また、フッ素樹脂にポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用することで比較的低温で加工成形できる利点がある。例えば、極性溶媒に溶解するため溶液としてコーティングなどにも使用できる。また溶融混錬するにしても比較的低い温度(200℃)で混錬できる。
<無機フィラー>
前記フッ素樹脂は、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。
無機フィラーとしては従来公知のものを使用できるが、クレイであることが好ましい。クレイは、酸素バリアー性が向上し金属の酸化、腐食を抑制できる。
クレイとしては、層状構造を有する、ケイ酸塩鉱物、リン酸塩鉱物、チタン酸塩鉱物、マンガン酸塩鉱物、ニオブ酸塩鉱物からなるものを使用することができ、中でも、層状構造を有するケイ酸塩鉱物などが好ましい。 層状構造を有するケイ酸塩鉱物の具体例としては、雲母族(白雲母、黒雲母、鉄雲母、金雲母、白水雲母、ソーダ雲母、シデロフィライト、イーストナイト、ポリリシオ雲母、トリリシオ雲母、リチア雲母、チンワルド雲母、マーガライト、イライト、海縁石)、スメクタイト族(モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スティブンサイト、タルク)、カオリン族(カオリナイト、ハロイサイト)、バーミキュライト、マガディアイト、カネマイト、ケニヤアイトなどが挙げられるが、スメクタイト族であることが特に好ましい。また、これらの層状ケイ酸塩鉱物については、天然に存在するものであっても良く、合成して得られたものであっても良い。
特に クレイにグラフェンを用いることで酸素バリアー性だけでなく導電性も付与できるため樹脂の強度が脆くなる欠点をカバーできる。
グラフェンは、天然グラファイト粉末から改良型Hummer’s法(V. C. Tung, M. J. Allen, Y. Yang, et al., Nature Nanotech., 4, 25(2009))を用いて、以下のとおり、作製(調製)することができる。
すなわち、天然グラファイト粉末(SEC社製カーボン)を酸化してグラファイト酸化物(酸化グラファイト)を作製し、それを例えば水中において、超音波処理することにより、グラファイト酸化物の単層を剥離することにより、単層のGO(酸化グラフェン)のフレークが安定的に分散した分散液を得ることができる。
<塩>
(B)の有機四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩としては、アルキル四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩であることが好ましい。
アルキル四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩は、RNRSOまたはRNRSO(但しR,R,R,Rはアルキル基、Rはアルキル基またはフルオロアルキル基または水素原子)のように示すことができる塩であり、四級アンモニウムが有する4つのアルキル基R,R,R,Rは、それぞれが同一であっても異なっていても差し支えない。
例えば、(CN+、(C、(C、(C11、などの四級アンモニウムカチオンとCFSO 、CHSO 、HSO 、CFSO 、CHSO ,HSO 、などの硫酸または亜硫酸を含むアニオンからなる塩であり、2種類以上のアニオンまたは/及びカチオンを組合せた塩でも差し支えない。
また、アルキル四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩のうち、四級アンモニウムの硫酸水素塩が好ましく、テトラブチルアンモニウムの硫酸水素塩が特に好ましい。
塩の添加量は、前記熱可塑性フッ素系樹脂100重量部に対し0.05〜2重量部が好ましい。
アルキル四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩に加えて他の塩を用いることもできる。他の塩としては、例えば、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、アルカリ金属とハロゲン含有酸素酸から得られる塩を単独、あるいは、複数種組み合わせて用いることができ、これらのうち特に、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウムが好ましい。
電解質として代表的な塩化リチウムや塩化カリウムなどの無機金属塩でもかまわない。
また、ポリアニオン化合物として、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、デキストラン硫酸、ヒアルロン酸、ペントサン多硫酸、キサンタン、カラゲナン、フィブロネクチン、ラミニン、コンドロネクチン、ビトロネクチン、ポリL-リジン塩のうちの1つまたは複数が挙げられ、アルギン酸塩などの、陰イオン性の、好ましくは硫酸化された炭水化物も、列挙した化合物の塩および誘導体と同様に用いることができる。
好ましい陰イオン性化合物、およびポリアニオン化合物の組合せの例として、ケラタン硫酸/クロンドロイチン硫酸プロテオグリカン、デルマタン硫酸プロテオグリカン、およびデキストラン硫酸が挙げられる。
ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)等の第4級アンモニウムなどの陽イオン界面活性剤、脂肪族スルホン酸、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸塩、LiCF SO 、NaClO 、LiBF 、NaCl等の周期律表第1族の金属塩;Ca(ClO 等の周期律表第2族の金属塩などが挙げられ、また、無機または低分子有機プロトン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛またはアンモニウム塩、好ましくは、LiClO 、LiCF SO 、NaClO 、LiBF 、NaBF 、KBF 、NaCF SO 、KCIO、KPF 、KCF SO 、KC SO 、Ca(ClO 、Ca(PF 、Mg(ClO 、Mg(CF SO 、Zn(ClO 、Zn(PF またはCa(CF SO などが挙げられる。
<酸化防止剤>
前記(C)の酸化防止剤としては、従来公知の酸化防止剤を使用できるが、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤であることが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、フッ素樹脂と相溶性に優れ、射出成形時の加工中の劣化による架橋を防止する効果に優れ、加工、耐酸化、耐熱性に優れた効果を発揮する。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド)、ジエチル((3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル)メチル)ホスフェート、
3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、ヘキサメチレン−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、
1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス((4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、3,9−ビス(2−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ)−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられ、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、または3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾールであることが好ましく、これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
また、市販されている前記フェノール系酸化防止剤としては、例えば、イルガノックス1010(Irganox 1010:BASF)、イルガノックス1076(Irganox 1076:BASF)、イルガノックス1330(Irganox 1330:BASF)、イルガノックス3114(Irganox 3114:BASF)、イルガノックス3125(Irganox 3125、BASF)、スミライザーBHT(Sumilizer BHT、住友化学製)、シアノックス1790(Cyanox 1790、サイテック製)、スミライザーGA−80(Sumilizer GA−80、住友化学製)、スミライザーGS(Sumilizer GS、住友化学製)、(ビタミンE(エーザイ製)等が挙げられる。
前記酸化防止剤の添加量は0.1wt%以上であり、0.1wt%以上15wt%未満であることが好ましく、0.1wt%以上10wt%以下であることがより好ましい。
0.1wt%であると腐食が起こり、また、15wt%以上添加すると表面にブツが出やすく加工成形性が低下することがある。
また、リン系酸化防止剤を併用してもよく、リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイト等が挙げられる。
また、市販されているリン系酸化防止剤としては、例えば、イルガフォス168(Irgafos 168:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、BASF)、イルガフォス12(Irgafos 12:トリス[2−[[2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェフィン−6−イル]オキシ]エチル]アミン、BASF)、イルガフォス38(Irgafos 38:ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜りん酸、BASF)、アデカスタブ329K(ADK STAB 329K、(株)ADEKA製)、アデカスタブPEP36(ADK STAB PEP36、(株)ADEKA製)、アデカスタブPEP−8(ADK STAB PEP−8、(株)ADEKA製)、Sandstab P−EPQ(クラリアント製)、ウェストン618(Weston 618、GE製)、ウェストン619G(Weston 619G、GE製)、ウルトラノックス626(Ultranox 626、GE製)、スミライザーGP(Sumilizer GP、住友化学製)等が挙げられる。
また、前記酸化防止剤に加えて、紫外線吸収剤を併用してもよい。紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、シアノアクリレート系化合物、ラクトン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、及びベンズオキサジノン系化合物等が挙げられ、好ましくはベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物である。これらは単独で用いても、2種以上併用して用いても構わない。
<キレート剤>
(D)のキレート剤としては、カルボキシル基を有するものを使用できる。カルボキシル基を有するものは、溶解金属イオンと反応しやすく腐食を抑制しやすい。また、キレート価(量)C.Vが100(mgCaCO/g)以上のものを使用することができ、キレート価が100未満であると金属イオンの動きを充分防止できず、腐食が生じたり、アルマイト化したりすることがある。キレート価(量)150以上であることが好ましい。150未満では母体樹脂との接触角の差が大きくなることがある。
キレート剤としては、EDTA(Ethylene Diamine Tetraacetic Acid)、TTHA(Triethylene Tetramine Hexaacetic Acid)、NTA(Nitrilo Triacetic Acid)、DTPA(Diethylene Triamine Pentaacetic Acid)、DPTA−OH(1,3-Diamino-2-hydroxypropane Tetraacetic Acid)、HEDTA(Hydroxyethyl Ethylene Diamine Triacetic Acid)及びこれらの誘導体等を使用することができ、EDTAであることが好ましい。
<キレート価の測定方法>
試料1gを容量200mlのビーカーに入れて精秤し、ここに純水100mlおよび3%シュウ酸ナトリウム溶液2mlを加えた後、2規定度の水酸化ナトリウムでpHを10〜10.5に調整したものを供試溶液とする。供試溶液にpH計を浸漬したまま、0.25モル濃度の酢酸カルシウム溶液で滴定する。この間、pHが10〜10.5を維持するように、2規定度の水酸化ナトリウムで調整しながら、シュウ酸カルシウムの白色沈殿が生じる点を終点とした。0.25モル濃度の酢酸カルシウム溶液1mlは、炭酸カルシウムとして25mgに相当することから、各供試試料のキレート価を以下の式により算出した。 キレート価(mg/CaCOg)=滴定値(ml)×25
前記キレート剤は、分子量が200以上1000未満であることが好ましく、200以上500以下であることがより好ましい。分子量が200未満であるとフッ素樹脂との溶融混錬を行う場合、酸化防止剤が存在していても熱分解するためかキレートの効果が薄れることがある。また、分子量が500を超えると効果を出すためには添加量が多くなり本来の樹脂の物性を低下させることがある。
キレート剤の添加量は前記(C)の酸化防止剤と前記(D)のキレート剤のモル比(酸化防止剤/キレート剤)が2以上であり、好ましくは2以上100以下である。前記酸化防止剤をキレート剤とのモル比が2未満では、腐食が生じたり、アルマイト化したりすることがある。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物が使用されることがあるが、これらの化合物は、金属表面で皮膜形成をとる型に近く、界面でのイオンの動きや電子の動きを悪くし、また、安全面でも懸念するところが多い。また、ベンゾトリアゾール系化合物は対象となる金属が銅の場合効力を発揮するものの他の金属ではその効果は満足するものが得られない場合が多く、また、気化性のあるものが多く長期安定性に劣る。
また、近年では、ヒンダードフェノール構造とヒドラジン構造を有する化合物(IRGANOX MD 1024)も市販されており、これは酸化防止剤と等量の金属不活性サイトが存在するが金属イオンの捕捉能力はカルボン酸に比べて小さく、一旦皮膜が形成されると不動体となり導通がとれなくなるおそれがある。
<導電剤>
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて導電剤を添加することができる。導電剤としては、カーボンブラック、導電性高分子、イオン液体を使用することができる。
<カーボンブラック>
配合する塩がイオン導電剤として働く場合、環境変動の影響が大きいため絶対湿度が小さくなると抵抗が上昇してしまうことがあるが、カーボンブラックを加えることで環境変動を抑制できる。
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックなどが上げられる。導電性カーボンブラックの種類としては、例えばオイルファーネス系の“ケッチェンブラックEC"(日本EC社製)、“コンダクテックス975"、“コンダクテックスSC"(コロンビアン社製)やアセチレン系の“デンカブラック”(デンカ社製)等公知の導電性カーボンブラックの他、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラックなどが使用できる。
カーボンブラックの平均1次粒子径が60nmを超えるランプブラックなど使用した場合、樹脂表面がくすみブツが生じやすく電流を流して使用する場合、ブツがリーク点となりプリンタ・複写機で使用する場合は画像欠陥となることがある。
カーボンブラックで電子導電を発現させる場合、添加量は3wt%〜30wt%であることが好ましい。特に低抵抗にする場合は、20wt%以上添加するか、もしくはストラクチャーの発達したケッチェンブラックを使用すると、フィルム加工成形性が低下し、脆くなり強度が低下するといった不具合が生じやすい。
<導電性高分子>
導電性高分子を用いることで少量の添加量で表面抵抗率を制御することができる。
導電性高分子としては、トランス型ポリアセチレン、シス型ポリアセチレン、ポリ(アルキル置換アセチレン)、液晶を置換基とするポリアセチレン、ポリジアセチレンなどのポリアセチレン系導電性高分子;ポリピロール、ポリ(3-カルボン酸-ピロール)、溶剤可溶性ポリピロール(SSPY)などのポリピロール系導電性高分子;ポリチオフェン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-チオフェン-β-エタンスルホン酸)、ポリイソチアナフテン、ポリイソナフトチオフェン、ポリジチエノチオフェンなどのポリチオフェン系導電性高分子;ポリ(2,5-チエニレンビニレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(1,4-ナフタレンビニレン)などの混合型共役系導電性高分子;ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリテルロフェンなどの環内にO、Se、Teなどのヘテロ原子を有するヘテロ環式共役系導電性高分子;ポリ(p-フェニレン)、ポリ(m-フェニレン)、ポリナフタレン、ポリアントラセン、ポリピレン、ポリアズレン、ポリフルオレンなどの芳香族共役系導電性高分子;ポリチアジル、ポリアニリン、ポリ(ビニレンスルフィド)、ポリ(p-フェニレンスルフィド)、ポリ(m-フェニレンスルフィド)、ポリ(p-フェニレンオキシド)、ポリ(p-フェニレンセレニド)などの含ヘテロ原子共役系導電性高分子;ポリイン(アセチレン型)、ポリイン(クムレン型)などのポリイン系導電性高分子;ポリアセン、ポリアセノアセン、ポリフェナントレン、ポリペリレン、ポリシアノアセチレン、ポリシアノジエンなどの縮合芳香族系導電性高分子;ポリインドール;ポリ(1,6-ヘプタジイン);ポリペリナフタレン;などが挙げられる。導電性高分子の中には、ポリ(3-チオフェン-β-エタンスルホン酸)、ポリイソチアナフテンなどのセルフドープにより導電性を発現するものもあるが、多くの場合、ドーパントを用いている。化学ドーピング法では、I、Br、IClなどのハロゲン;AsF、SbF、FeCl、AlCl、ZrCl、PF、SOなどのルイス酸;HSO、CFSOH、ClSOH、HClO、ポリスチレンスルホン酸などのプロトン酸;テトラシアノキノジメタン、クロラニル、DDQなどの有機化合物;などが電子受容体として用いられている。化学ドーピング法では、Li、Na、Kなどのアルカリ金属が電子供与体として用いられている。電解ドーピング法では、ClO4-、BF4-、PF6-、RN+などがドーパントとして用いられている。 光ドーピング法では、R-(Ph)-I+X-、R-(Ph)S+X-(X=PF、SbF、AsF)などがドーパントとして用いられている。イオン注入法では、I、Br、Cl、As、Pb、Fe、Na、Kr、Arなどがドーパントとして用いられている。
導電性高分子の導電率(直流導電率)は、通常10-9S/cmから10S/cm、好ましくは10-5S/cmから10-6S/cm、より好ましくは10-3S/cmから10-6S/cmの範囲内である。導電性高分子とドーパントの種類を選択して組み合わせることにより、導電率を制御することができる。導電率は、例えば、導電性高分子の薄膜を形成し、該薄膜について、三菱化学(株)製ロレスタIP TCP-T250を用いて測定することができる。
導電性高分子は、有機溶剤溶液若しくは有機溶媒分散液であっても、水溶液若しくは水分散液であってもよいが、フッ素樹脂水性ディスパージョンとの均一分散性の観点からは、水溶液または水分散液を形成し得るものが好ましい。 導電性高分子の中でも、水溶液または水分散液を形成し得る点で、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3-チオフェン-β-エタンスルホン酸)、ポリイソチアナフテンンなどのポリチオフェン系導電性高分子;ポリアニリンなどが好ましい。
<イオン液体>
上記電子導電剤を使用すると環境変動は抑制できるものの電圧依存性が大きくなることがあるがイオン性液体を用いることで環境変動も電圧依存性も抑制できる利点がある。
イオン液体を形成する陽イオンとしては、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオンなどの芳香族系陽イオン;トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、トリメチルプロピルアンモニウムイオンなどの脂肪族系陽イオン;ピロリジニウムイオン、ピペリジニウムイオンなどの脂環族アミン系陽イオン;アルキルホスホニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されない。 陰イオンとしては、塩素イオン(Cl-)、臭素イオン(Br-)、テトラフルオロボレート(BF-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF-)、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO-)、ヒドロフッ化物アニオン〔F(HN)n-〕、NO-、CHCO-、(CFSON-、CFCO-などが挙げられるが、これらに限定されない。イミダゾリウム系イオン液体としては、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(L)-ラクテート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(L)-ラクテート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリドなどの1-アルキル-3-メチルイミダゾリウム系イオン液体;1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネートなどの1-アルキル-2,3-ジメチルイミダゾリウム系イオン液体;1-メチル-3-アリルイミダゾリジウムブロミド、1-メチル-3-アリルイミダゾリジウムクロリド、1-メチル-3-アリルイミダゾリジウムテトラフルオロボレート、1-メチル-3-アリルイミダゾリジウムヘキサフルオロホスフェート、1-メチル-3-アリルイミダゾリジウムトリフルオロメタンスルホネート、1-エチル-3-アリルイミダゾリジウムブロミド、1-エチル-3-アリルイミダゾリジウムクロリド、1-プロピル-3-アリルイミダゾリジウムブロミド、1-ペンチル-3-アリルイミダゾリジウムブロミド、1-オクチル-3-アリルイミダゾリジウムブロミド、1-アリル-3-アリルイミダゾリジウムブロミドなどの1-アルキル-3-アリルイミダゾリウム系イオン液体;などが挙げられる。ピリジニウム系イオン液体としては、1-エチルピリジニウムブロミド、1-エチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ヘキシルピリジニウムブロミド、1-ヘキシルピリジニウムクロリド、1-ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホネートなどの1-アルキルピリジニウム系イオン液体が挙げられる。脂肪族系イオン液体としては、例えば、N,N-ジエチル-N-メチル-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムクロリド、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルヘキシルアンモニウムクロリド、トリメチルプロピルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。脂環族系イオン液体(脂肪族アミン系イオン液体)としては、例えば、M-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどが挙げられる。アルキルホスホニウム系イオン液体としては、テトラブチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムクロリドなどが挙げられる。その他のイオン液体としては、例えば、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどのピロリジニウム系イオン液体;1-アルキル-2,3,5-トリメチルピラゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドなどのピラゾリウム系イオン液体;などが挙げられる。
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物は、前記(A)フッ素樹脂、(B)有機四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩、(C)酸化防止剤、及び(D)キレート剤、またはこれらと導電剤等の他の添加剤を配合混合し混練することにより得ることができる。
例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラー等でドライブレンドを行った後、かかる材料のブレンド物を単軸又は二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等で溶融混合を行う等の方法を用いることによりペレット化できる。配合材料の混合は1軸押出機、2軸押出機、密閉式混練機、オープンロール、ニーダー等を用いた従来の方法で良いが、特に2軸押出機が混練り効率が良く好適である。
前記ペレットは、Tダイ押出成型(株式会社テクノベル)等によりシート化することができ、シートの厚みは、引き取り速度やTダイの温度で制御できる。また近年では、2軸押出機の上流で混合物を分散しながら連続で下流に配置されたTダイより押出成形する方法もでてきておりそのような方法を用いても構わない。
本発明の樹脂組成物は、シート、フィルム、チューブ、ベルト、板、袋等に成形して利用できる。
本発明の樹脂組成物は、EB照射によりPVDFの表面改質や架橋付与させることができる。網目構造とすることで塩のブリードアウトが抑制され金属の酸化劣化を抑制することができる。また、酸化防止剤を添加することで生じるカルボン酸由来の臭気を抑制することができる。さらに、添加しているキレート剤の劣化も酸化防止剤で抑制されるので、網目構造をすり抜けたHFや塩が存在する場合はキレート剤により金属の腐食や酸化、アルマイト化を抑制できる。
EB照射装置としては、例えば、NHVコーポレーション株式会社製のものを使用でき、照射線量としては、10kGy〜2000kGyであることが好ましい。
EB照射時は酸化劣化を抑えるためにも窒素雰囲気下で行うのがよい。
以下に本発明の樹脂組成物または電子写真装置用部材を用いた電子写真方式の画像形成装置例を説明する。
図1は、本発明に係る電子写真方式による画像形成装置の一実施の形態であるフルカラーレーザプリンタの構成を示す概略図である。このフルカラーレーザプリンタの概要を以下に示す。プロセスカートリッジ(1)内の帯電ローラ(帯電部材)(3)によって感光体(静電潜像担持体)(5)は帯電され、不図示の露光装置からの露光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。この後、現像ローラ(現像剤担持体)にてプロセスカートリッジ(1)内のトナーを帯電、搬送させ、現像ローラと感光体(5)との対向部である現像部において静電潜像が帯電されたトナーにより現像されて感光体(5)上に可視像としてのトナー像が形成される。次に、その現像されたトナー像は、感光体(5)と一次転写ローラ(8)との対向位置である一次転写部において転写ベルト(中間転写材)(7)に一次転写され、KYMC(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)の順に色重ねされ、転写ベルト(7)上にフルカラーのトナー像が形成される。この転写ベルト(7)上のフルカラーのトナー像は、二次転写部材(10)と二次転写対向ローラ(9)との対向位置である二次転写部にて記録紙などの転写材に転写される。その後、不図示の定着装置を通過し、転写材に熱溶融されたトナーが定着される。
図2は図1に示す画像形成装置の要部拡大図である。
現像装置(4)は、トナーを収容するトナー収容室(101)と、トナー収容室(101)の下方に設けられたトナー供給室(102)から構成され、トナー供給室(102)の下部には、現像ローラ(103)と、現像ローラ(103)に当接して設けられた層規制部材(104)および供給ローラ(105)が設けられる。現像ローラ(103)は感光体ドラム(2)に接触して配置され、図示しない高圧電源から所定の現像バイアスが印加される。トナー収容室 (101)内にはトナー攪拌部材(106)が設けられ、反時計回りの方向で回転することによって収容されたトナーを流動させ、開口部(107)を通ってトナー供給室(102)への落下移動を促進する。開口部(107)は供給ローラの直上に設けられ、層規制部材(104)の直上にはトナー収容室(101)とトナー供給室(102)とを仕切る壁があるのみとなっている。供給ローラ(105)の表面には空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されており、トナー供給室(102)内に運ばれてきたトナーを効率よく付着させて取り込むとともに、現像ローラ(103)との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止している。また発泡材料にはカーボン微粒子を含有させた導電性のものが用いられ10〜1013Ωの電気抵抗値に設定される。供給ローラ(105)には、現像バイアスに対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の供給バイアスが印加される。この供給バイアスは、現像ローラ(103)との当接部で予備帯電されたトナーを現像ローラ(103)に押し付ける方向に作用する。供給ローラ(105)は反時計回りの方向に回転し、表面に付着させたトナーを現像ローラ(103)の表面に塗布供給する。
現像ローラ(103)には、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらに表面にはトナーと逆の極性に帯電しやすい材料から成る表面コート層が設けられる。弾性ゴム層は、感光体ドラム(2)との接触状態を均一に保つために、JIS-Aで50度以下の硬度に設定され、さらに現像バイアスを作用させるために10〜1010Ωの電気抵抗値に設定される。表面粗さはRaで0.2〜2.0μmに設定され、必要量のトナーが表面に保持される。現像ローラ(103)は反時計回りの方向に回転し、表面に保持したトナーを層規制部材(104)および感光体ドラム(2)との対向位置へと搬送する。
層規制部材(104)は、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料を用い、自由端側を現像ローラ(103)表面に10〜100N/mの押圧力で当接させたもので、その押圧下を通過したトナーを薄層化するとともに摩擦帯電によって電荷を付与する。さらに層規制部材(104)には摩擦帯電を補助するために、現像バイアスに対してトナーの帯電極性と同方向にオフセットさせた値の規制バイアスが印加される。
感光体ドラム(2)は時計回りの方向に回転しており、従って現像ローラ(103)表面は感光体ドラム(2)との対向位置において感光体ドラム(2)の進行方向と同方向に移動する。
薄層化されたトナーは、現像ローラ(103)の回転によって感光体ドラム(2)との対向位置へ搬送され、現像ローラ(103)に印加された現像バイアスと感光体ドラム(2)上の静電潜像によって形成される潜像電界に応じて、感光体ドラム(2)表面に移動し現像される。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
母体樹脂として乾燥させたテトラフロオロエチレンとエチレンの共重合体(Fluon(R)LM ETFE;旭硝子製)1.0kg に、第四級アンモニウム塩として下記(1)で表されるテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業株式会社)を1wt%、酸化防止剤として、下記(2)で表わされるペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1010;BASF 社製)を0.9wt%、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA キレート価342;キレスト株式会社)を0.4wt%を配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った後、混合物を二軸押出機(ラボプラスとミル(株)東洋精機製作所)により混錬しペレタイザーにてペレット化した。
次に、得たペレットをTダイ押出成型(株式会社テクノベル)により厚み100μmのシートを得た。
Figure 2013185140
Figure 2013185140
(実施例2)
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.1wt%、エチレンジアミン四酢酸EDTAを0.04wt%配合する他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(実施例3)
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを10wt%、エチレンジアミン四酢酸EDTAを4wt%配合する他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(比較例1)
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート及びエチレンジアミン四酢酸EDTAを加えない他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(比較例2)
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.9wt%、エチレンジアミン四酢酸EDTAを0.6wt%配合する他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(比較例3)
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.05wt%、エチレンジアミン四酢酸EDTAを0.02wt%配合する他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(実施例4)
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを15wt%、エチレンジアミン四酢酸EDTAを6wt%配合する他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(実施例5)
実施例1のキレート剤をキレート価が242であるキレート剤(EDTA・H・3Na・3H2O:キレスト2C:キレスト社製)を用いる他は実施例1と同様にして、厚み100μmのシートを得た。
(比較例4)
実施例1のキレート剤を下記(3)で表わされるヒドロキシエタンホスホン酸(ケンロックス200:ナガセケムテックス社製 キレート価80)を0.3wt%配合に代える他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
Figure 2013185140
(実施例6)
実施例1のキレート剤をキレート価が145であるキレート剤(EDTA・H・3(NH4):キレスト3N−50:キレスト社製)に代える他は実施例1と同様にして、厚み100μmのシートを得た。
前記実施例1乃至3及び比較例1乃至4で作製したシートを、下記の方法で金属表面に接触させ、高温高湿化(50度90%)に保管し、金属表面の状態を目視観察し、錆や酸化、アルマイトなどに変化しているかどうかにより腐食性を評価した。評価結果を表1に示す。
<腐食評価方法>
表面をアルコール洗浄したアルミプレートにフィルムをポリイミドテープで貼り付け、50℃90%の環境に7日間保管し、アルミプレート表面を観察した。
また、SUS403のプレートにフィルムをポリイミドテープで貼付し、50℃90%の環境に二日間保管し、SUS403のプレート表面を観察した。

○:変化なし
△:みてあまり分からないもの
×:錆やアルマイト化など目立つ
(アルミ表面の場合は、アルマイト化した部分が白化し、アルミ板の厚み方向の抵抗が1000Ωを超える)

実施例1ではアルミプレートのアルマイト化はみられず、また、SUS403の錆もみられなかった。比較例1ではアルミプレートはアルマイト化しており、さらにSUS403プレートでは錆が発生した。比較例2では、比較例1ほどアルマイトや錆が各プレートで発生してはなかったが、実施例1と比べればわずかに見られるので△とした。
比較例3では、酸化防止剤及びキレート剤の添加量が少ないためか効果として現われなかった。実施例4では、腐食評価では○だったが、酸化防止剤の添加量が多く、シートに成形する際、表面がブツブツとして荒れてしまった。
Figure 2013185140

表1中モル比は、以下のようにして求めた。
<モル比の算出>
酸化防止剤のペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートは、酸化防止効果があるヒドロキシフェニルのユニットを4つ有するので4量体として計算した。

酸化防止剤が主として酸化防止機能を有するユニットの多量体であればモル比はユニットの数だけ増やして計算した。
ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート11gのモル数は、9/1178=0.00764であるが4量体として計算するので4倍する。つまり、0.00764×4=0.030565molとなる。EDTAは1量体なのでモル数は4/292=0.0137となる。
(実施例7)
実施例1のキレート剤をエチレンジアミン四酢酸 EDTA・2H・2Na・2HO(キレート価268 キレスト株式会社)を0.5wt%配合に代える他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(比較例5)
実施例1のキレート剤をDihydroxyethyl Glycine(DHEG・H キレスト株式会社製)を0.2wt%配合に代える他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
腐食評価では、アルミプレートおよびSUS403プレートで×であった。
(実施例8)
実施例1のキレート剤をTTHA・6Na(キレストQ キレート価105 キレスト株式会社製)0.9wt%配合に他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
<純水接触角>
純水の接触角はJIS k6768にしたがって行った。接触角計は協和界面科学株式会社製のものを用いた。
実施例8のシートは腐食評価では○であったが、母体樹脂との接触角の差が11°、母体樹脂の接触角は90°であった。
Figure 2013185140
(実施例9)
母体樹脂として乾燥させたテトラフロオロエチレンとエチレンの共重合体(Fluon(R)LM ETFE;旭硝子製)25kg に、第四級アンモニウム塩としてテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業株式会社)を3wt%、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1010;BASF 社製)を0.9wt%、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA キレート価342;キレスト株式会社)を0.4wt%、カーボンブラックとして(#5三菱化学社製)を15wt%配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った後、混合物を二軸押出機(ラボプラスとミル(株)東洋精機製作所)により混錬しペレタイザーにてペレット化した。
次に、得たペレットをTダイ押出成型(株式会社テクノベル)により厚み100μmのシートを得た。
実施例9のシートと実施例8のシートについて、以下の方法で表面抵抗率を測定した。
印加電圧と表面抵抗率との関係を図3に示す。
図3に示すように、実施例9で試作したシートの表面抵抗率は温湿度の環境が変化した場合、抵抗がばらついていることがわかる。実施例8で試作したシートは環境変動のバラツキが小さい。
<表面抵抗率の測定方法>
表面抵抗率はJIS-K 6911に則って測定した。装置はハイレスタ(株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用いた。表面抵抗率が1E+06Ω/□より小さい場合は、JIS-K 7194に則りローレスタ(株式会社ダイアインスツルメンツ社製)を用いて計測した。
(実施例10)
実施例9のカーボンブラック(#5;平均一次粒子径76nm;三菱化学社製)をカーボンブラック(#3050B;平均一次粒子径が50nm;三菱化学社製)に代える他は実施例9と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(実施例11)
実施例9のカーボンブラック(#5;平均一次粒子径76nm;三菱化学社製)をカーボンブラック(SpecialBlack101;平均一次粒子径95nm degussa社製)に代える他は実施例9と同様にして厚み100μmのシートを得た。
Figure 2013185140
<光沢度の測定>
光沢度の測定には「ミノルタ社製 光沢度計 GM−60型(測定角=60°)」を使用し、JIS Z 8741 に基いて測定した。
(実施例12)
実施例9のカーボンブラック(#5;平均一次粒子径76nm;三菱化学社製)に代えて、導電性高分子であるポリピロール(アルドリッチ社製)を3wt%添加する他は実施例9と同様にして同様にして厚み100μmのシートを得た。
(実施例13)
実施例9のカーボンブラック(#5;平均一次粒子径76nm;三菱化学社製)に代えて、ケッチェンブラックEC600JD(ライオン社製)を3wt%添加する他は実施例9と同様にして同様にして厚み100μmのシートを得た。
Figure 2013185140
実施例12は200%以上の伸びが見られたが、実施例13は180%で破断した。
(実施例14)
実施例9のカーボンブラックの替わりに導電剤としてイオン性液体である下記(4)で表わされるイミダゾリウム系イオン性液体のIL-ML1(TAケミカル社製)を2wt%添加する他は実施例9と同様にして厚み100μmのシートを得た。
実施例9のシートと実施例14のシートについて、印加電圧と表面抵抗率との関係を図4に示す。
Figure 2013185140
図4より、イオン性液体を用いると、表面抵抗率の環境変動が小さくまた電圧依存性が小さいことがわかる。評価結果を表5に示す。
Figure 2013185140
(実施例15)
母体樹脂に対して3wt%のモンモリロナイトを添加する他は実施例1と同様にして厚み100μmのシートを得た。
評価結果を表6に示す。
Figure 2013185140
(実施例16)
実施例15のモンモリロナイトに代えて、下記の方法で作製したグラフェンを10wt%添加する他は実施例16と同様にして厚み100μmのシートを得た。
(グラフェンの作製)
天然グラファイト粉末(SEC社製カーボン)を酸化してグラファイト酸化物(酸化グラファイト)を作製し、それを例えば水中において、超音波処理(出力100W、60℃、1時間の条件下)することにより、グラファイト酸化物の単層を剥離し、単層のGOのフレークが水中に安定的に分散されたGO分散水溶液を得た。 このGO分散水溶液をSiO/Si基板(Si基板表面にSiOが形成されたもの)上に滴下し、光学顕微鏡で観察したところ、GOフレークが、約50μm×約50μmの大きさで、且つ、数層の原子層の厚さで存在していることが確認された。ここで得たグラフェン水溶液を100℃のオーブンで加熱乾燥させグラフェンを得た。
このシートで腐食試験を行った。
抵抗率は10以下で100Vでアンダーを示し抵抗が発現していた。それに対し、実施例1では23℃50%の環境でオーバーだった。評価結果を表7に示す。
Figure 2013185140
(実施例17)
PVDF200gにMEK800gを加え固形分濃度を20%にし、40℃で24時間攪拌させて溶解させた。この溶液に塩としてテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩を4g、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1010;BASF 社製)を0.9wt%、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA キレスト株式会社)を0.4wt%を加えてさらに24時間攪拌した。得られた溶液をスピンコーターで塗布し、60℃で30分、100℃で30分、150℃で10分乾燥させて厚み30μmのフィルムを得た。
溶液系での溶解、分散になるので溶融混錬とは異なり高粘度のシェアがかからないため、フッ化水素が発生しにくい条件でシート成形できる。腐食評価結果を表8に示す。
Figure 2013185140
(実施例18)
実施例1で得たフィルムシートに下記の条件で電子線照射を行った。
電子線照射装置として、NHVコーポレーションの装置を用い、加速電圧20kV、電子線量10kGyを照射した。
この電子線照射されたフィルムシートをJIS−K7127に則って弾性率を算出した。腐食評価結果と合わせて弾性率の評価結果を表9に示す。
Figure 2013185140

実施例18で得たフィルムシートは電子線照射により架橋密度が上がり弾性率は1200Mpaとなった。また、腐食試験を行ったがさらに保管試験期間を2週間延長しても錆やアルマイト化などの腐食は見られなかったので腐食評価は◎とした。
実施例1の電子線未照射フィルムシートの弾性率は1000Mpaであった。
(実施例19)
母体樹脂として乾燥させたテトラフロオロエチレンとエチレンの共重合体(Fluon(R)LM ETFE;旭硝子製)25kg に、第四級アンモニウム塩としてテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業株式会社)を3wt%、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1010;BASF 社製)を0.9wt%、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA キレート価342;キレスト株式会社)を0.4wt%を配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った後、混合物を二軸押出機(ラボプラスとミル(株)東洋精機製作所)により混錬しペレタイザーにてペレット化した。
次に、得たペレットをTダイ押出成型(株式会社テクノベル)により厚み100μmのシートを得た。
(実施例20)
母体樹脂として乾燥させたテトラフロオロエチレンとエチレンの共重合体(Fluon(R)LM ETFE;旭硝子製)25kg に、第四級アンモニウム塩としてテトラブチルアンモニウム硫酸水素塩(東京化成工業株式会社)を0.5wt%、酸化防止剤として、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(IRGANOX1010;BASF 社製)を0.3wt%、キレート剤としてエチレンジアミン四酢酸(EDTA キレート価342;キレスト株式会社)を0.1wt%(mol比2.975)を配合し、ヘンシェルミキサーでドライブレンドを行った後、混合物を二軸押出機(ラボプラスとミル(株)東洋精機製作所)により混錬しペレタイザーにてペレット化した。
次に、得たペレットをTダイ押出成型(株式会社テクノベル)により厚み100μmのシートを得た。
実施例19及び実施例20のシートを中間転写ベルトとし、表面抵抗率と図1に示す画像形成装置に搭載し、出力画像を目視により評価した。評価結果を表10に示す。
Figure 2013185140
画像は転写材にマイペーパを用い、文字とハーフトーンからなる残像評価チャートを3枚連続で出力した。出力にはIPSIO SP C220(株式会社リコー製)を用いた。ハーフトーンの部分に文字の残像が明らかにある場合や放電画像がみられる場合を×とした。
(図1)
1 プロセスカートリッジ
3 帯電部材
4 現像装置
5 感光体
7 転写ベルト(中間転写材)
8 転写ローラ
9 二次転写対向ローラ
10 二次転写部材

(図2)
2 感光体ドラム
4 現像装置
5 クリーニング手段
7 転写ベルト
101 トナー収容室
102 トナー供給室
103 現像ローラ
104 層規制部材
105 供給ローラ
106 トナー攪拌部材
107 開口部
108
特開2003−331917号公報 特許第3601906号公報 特許第4391142号公報 特表2008−536574号公報 特開平6−163031号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも、(A)フッ素樹脂、(B)有機四級アンモニウムの硫酸塩または亜硫酸塩、(C)酸化防止剤、及び(D)キレート剤を含有する樹脂組成物であって、前記の酸化防止剤(C)を0.1wt%以上含み、キレート剤(D)は、カルボキシル基を有するものであり、かつ、前記(C)の酸化防止剤と前記(D)のキレート剤のモル比(酸化防止剤/キレート剤)が2以上であることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記(D)のキレート剤は、キレート価(量)C.Vが150(mgCaCO/g)以上であることを特徴とする樹脂組成物。
  3. 前記(D)のキレート剤は、分子量が200以上1000未満であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記樹脂組成物は、導電剤をさらに含むものであり、前記導電剤は、カーボンブラック、導電性高分子、またはグラフェンから選択されたものであることを特徴とする請求項3に記載の樹脂組成物。
  5. 前記カーボンブラックは平均一次粒子径が60nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記導電剤は、イオン性液体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 前記(A)のフッ素樹脂は、無機フィラーが添加されたものであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記(A)のフッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンであり、該ポリフッ化ビニリデン、(B)の塩、(C)の酸化防止剤、及び(D)のキレート剤を含む液を攪拌し溶媒を除去して得られたものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 電子線照射されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 前記請求項1乃至9のいずれかに記載の樹脂組成物を用いた電子写真用部材であって、表面抵抗率が10(Ω/□)以上1013(Ω/□)以下であることを特徴とする電子写真装置用部材。
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