JP4456641B2 - 導電性ロール - Google Patents
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Description
特開2007−286236号公報(特許文献1)では、ゴム組成物で形成される高抵抗な表層と、電子導電性のゴム組成物で形成される低抵抗な基層を有する2層を備えた半導電性ローラを提供しており、表層と基層の電気抵抗値のバランスを図ることで良好な帯電特性を得ようとしている。しかし、両層の厚みを精度良く実現することが難しいため、極めて高い厚み精度が必要とされる。厚み精度を実現するためには、手のかかる管理が必要であると共に、管理した場合も製品歩留まりが良好でないことなどによりコスト高になりやすい。そのため、より簡素な工程管理で安価に製造できるよう改善の余地がある。
該半導電性ゴム部材において、前記要件を満たしながらゴム成分の種類やカーボンブラックの種類などを調整して、初期画像濃度の向上、耐久性(トナー帯電の経時安定性)の向上はそれぞれ極めて高いレベルで実現しているが、それら両方を一挙に実現できるようさらなる改善の余地がある。
あわせてイオン導電性を示すエチレンオキサイドモノマーが重合されている場合は、表面自由エネルギーが上がり濡れやすくなり、導電性ゴムロールに対するトナーの付着性が高くなる。
さらに表面に紫外線照射やオゾン暴露などを施し酸化膜を形成させると、その部分の酸素濃度が高くなるため表面自由エネルギーが上がり導電性ゴムロールに対するトナーの付着性がさらにます可能性がある。
加えて誘電正接を0.1〜1.5とした場合はトナーの帯電性を向上できトナーの搬送量を低減できるためハーフトーン画像など高画質な画像が実現できるが、一方でこの場合には現像ロール上のトナーの積層量が少なくなるため、現像ロールとして使用した場合にはトナーの付着性がさらに増す可能性がある。
・印刷をほどよく行い、トナーが現像ロールに比較的なじんだ時点
(例えば1%印字画像を2,000枚程度印刷した時点)
・トナーの平均粒径が8μm以下、特に6μm以下の場合
・連続的に印刷せず、例えば一日停止して翌日印刷した場合
・トナーの帯電量が比較的高い低温低湿環境において使用する場合
しかし、現像ロールとして使用したときのトナーの付着性がまだ高く、前述の「印刷濃度の低下」がまだみられる。さらには、ワックスのブリード等に起因する低分子量成分と比較的高温環境下(約50℃程度)での粘着性によるトナーや感光体への汚染がわずかであるがみられる。これでは、高画質が要求されるプリンターにおいては使用できるゴムやポリマーが限定されかねず、さらなる改良の余地があった。
前記加硫ゴム組成物は、ゴム成分(A)に、粒径80nm以上500nm以下の粒径大の弱導電性カーボンブラック(B)と、粒径18nm以上80nm未満の粒径小の高導電性カーボンブラック(C)と、酸化チタン、アルミナ及びシリカからなる群から選択される1種以上の金属酸化物からなる無機フィラー(D)を配合しており、
前記(B)(C)(D)の合計配合量は、ゴム成分(A)100質量部に対して15質量部以上60質量部以下であることを特徴とする導電性ロールを提供している。
前記特許文献1〜4のように、ゴム成分(A)に対して、各充填剤(B)(C)(D)を個別に配合した場合には次のような問題が生じる。
粒径大の弱導電性カーボンブラック(B)のみを充填剤として配合した場合、ゴム成分(A)100質量部に対して20質量部以上の配合とすれば高い初期帯電量が得られるが、静電気的なトナー付着力が強くなり過ぎるという問題が生じる。
粒径小の高導電性カーボンブラック(C)のみを充填剤として配合した場合は、ゴム成分(A)100質量部に対して20質量部以上の配合とすれば高い印刷濃度を得ることができるが、導電性が高すぎ、十分なトナー帯電性が得られないという問題が生じる。
金属酸化物からなる無機フィラー(D)のみを充填剤として配合した場合、トナーの物理的な付着力を低減できる効果はあるが、十分なトナー帯電性が得られず、十分な印刷濃度が得られない。
このように、(B)乃至(D)の充填剤を個別に配合しただけでは、多量の配合を必要とし、「トナー付着力(トナー搬送量)の低減」「トナー帯電量およびその維持」、及び「適度な印刷濃度の維持」が背反性能となり、全てを同時達成することができず、導電性ロールの全体性能として不十分となる。
また、本発明の導電性ロールは、トナー搬送部は最外層が少なくとも加硫ゴムで形成されているので、表面をコーティングする技術とは異なり、電気特性の均一性や設計値の繰り返し再現性を低コストで容易に得ることができる。
これは、カーボンブラックの粒径80nmを境界として、カーボンブラックの導電性に顕著な差異が見られ、加硫ゴム組成物に配合された場合に異なる役割を担うからである。
即ち、弱導電性カーボンブラック(B)は、粒径が大きくストラクチャーの発達が小さく、導電性への寄与が小さく、これを配合することで導電性を高めることなく、分極作用によるコンデンサー的な働きを得ることができ、電気抵抗の均一化を損なうことなく帯電性のコントロールを実現できる。
一方、高導電性カーボンブラック(C)は、弱導電性カーボンブラックに比べて、粒径が小さくストラクチャーが発達しており、導電性への寄与が大きいため、これを配合すると導電性を高めることができる。例えば、現像ロールとして使用した場合に、プリンターが高速化され、感光体と接触する時間が短くなったり、プリンターが小型化して、感光体径が小さくなるなどして、現像ロールと感光体の接触面積が小さくなっても、高い印刷濃度を得ることができる。
なお、本願明細書中において、「粒径」は「一次粒子径」を示している。
前記ゴム成分(A)100質量部に対する前記弱導電性カーボンブラック(B)の配合量の下限は2.5質量部以上が好ましく、上限は20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。
弱導電性カーボンブラック(B)は、よう素吸着量が10〜40mg/g、好ましくは10〜30mg/gで、DBP吸油量が25〜90ml/100g、好ましくは25〜55ml/100gのものを用いることが好ましい。
前記ゴム成分(A)100質量部に対する前記高導電性カーボンブラック(C)の配合量の下限は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましい。一方、上限は30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましい。
また、カーボンの分類では、前記粒径範囲内の限りにおいて、SAFカーボン(平均粒径18〜22nm)、SAF−HSカーボン(平均粒径20nm前後)、ISAFカーボン(平均粒径19〜29nm)、N−339カーボン(平均粒径24nm前後)、ISAF−LSカーボン(平均粒径21〜24nm)、I−ISAF−HSカーボン(平均粒径21〜31nm)、HAFカーボン(平均粒径26〜30nm)、HAF−HSカーボン(平均粒径22〜30nm)、N−351カーボン(平均粒径29nm前後)、HAF−LSカーボン(平均粒径25〜29nm)、LI−HAFカーボン(平均粒径29nm前後)、MAFカーボン(平均粒径30〜35nm)、FEFカーボン(平均粒径40〜52nm)、SRFカーボン(平均粒径58nm〜)、SRF−LMカーボン、GPFカーボン(平均粒径49nm〜)等が例示される。なかでも、FEFカーボン、ISAFカーボン、SAFカーボンまたはHAFカーボンを用いることが好ましい。
前記ゴム成分(A)100質量部に対する前記無機フィラー(D)の配合量の下限は2質量部以上、さらには5質量部以上が好ましく、上限は20質量部以下が好ましい。
本発明で用いる酸化チタンにおいては粒径が500nm以下である粒子が50%以上含まれていることが好ましい。この場合に酸化チタンの分散性が良くなるからである。なかでも平均粒径が100〜500nmである酸化チタンを用いることが好ましい。
特に平均粒径が300〜500nmである粒子を主成分とし、平均粒径が300〜500nmであるルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。
シリカとしては、平均一次粒子径が10〜500nmであるものが特に好ましい。また、BET比表面積が30〜300m2/gのものが好ましく、60〜250m2/gのものがより好ましい。
本発明で用いるアルミナとしては、一次粒径が1μm以下のものが80%以上を占めていることが好ましく、さらに0.5μm以下のものが50%以上を占めていることがより好ましい。このように粒径の小さなアルミナを用いることにより、均一に分散させることができ、下記に述べる放熱効果が向上するとともに、トナー搬送部の表面の均一性を確保しやすいという利点がある。
さらには、トナー搬送部が前記摺動部での発熱により高温とならないため、重合トナーを構成する熱可塑性樹脂が溶融しトナーが大径化、エッジ化し溶着して大きくなると共に角張ってくるのを防ぐことができる。よって、シール部およびトナー搬送部の耐久性を格段に向上させることができる。さらに、アルミナと酸化チタンを同時混合する場合、アルミナを混合することにより酸化チタンの混合効率も上がり、例えばこれらが異物としてゴム表面に検出されることが少なくなる。
このような配合のバランスとすることで、背反性能である「トナー付着力(トナー搬送量)の低減」「トナー帯電量およびその維持」、及び「適度な印刷濃度の維持」を同時達成しやすいという利点がある。
(1)塩素原子を有するゴム;
(2)SP値が18.0(MPa)1/2以上であるゴム;
(3)イオン導電性ゴム;
(4)イオン導電材を含むことによりイオン導電化されているゴム。
ゴムが塩素原子を有する場合、例えばプラス帯電トナーに対して極めて容易に帯電できる特長がある反面、塩素原子に起因することとして塩素原子を有さないゴムと比べて粘着性が大きい傾向がある。そのため、ゴム成分(A)が塩素原子を有するゴムを含む場合、本発明を適用すれば塩素原子を有するゴムの欠点である非静電気的な高粘着性と静電気的な付着力を効果的に抑制できる。
ここで、前記SP値とは溶解度パラメーターまたは溶解度定数のことであり、例えば「塗料の流動と顔料分散」(植木憲二監修、共立出版株式会社発行)等の文献で定義されており、各液体における凝集エネルギー密度の平方根であり、溶解性を特徴づける指標となる。SP値が高いほど極性が高い。2種類以上のゴムをブレンドする場合、SP値が18.0(MPa)1/2未満であるゴムを用いてよいが、みかけのSP値が18.0(MPa)1/2以上となるように配合量を調整する。みかけのSP値は、そのゴム固有のSP値とゴム成分全体を1としたときの混合質量比の積をゴム成分ごとに算出し、その和で表されるものである。例えば、a成分のSP値をXa、ゴム成分全体を1としたときの混合質量比Yaとし、b成分のSP値をXb、ゴム成分全体を1としたときの混合質量比Ybとすると、見かけのSP値はXa・Ya+Xb・Ybとなる。
そのため、加硫ゴム組成物が「SP値が18.0(MPa)1/2以上であるゴム」を含む場合、前記(B)(C)(D)の3種類の充填剤を一緒に配合すれば、極性が高いゴムの利点を残したまま、その欠点である高粘着性を効果的に抑制できる。
他の電子導電材としては、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、アンチモンドープ酸化チタン、酸化スズもしくはグラファイト等の導電性金属酸化物;カーボン繊維等が挙げられる。
他の電子導電材の配合量は電気抵抗値などの物性を見ながら適宜選択すればよいが、例えばゴム成分100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。また、これら他の電子導電材は一次粒径が80nm以下であることが好ましい。
「イオン導電性ゴム」は、電気特性の均一性や設計値の繰り返し再現性を維持することが容易にできる反面、水とのなじみがよく表面自由エネルギーが高く濡れやすいため粘着性が大きい傾向がある。そのため、加硫ゴム組成物が「イオン導電性ゴム」を含む場合、本発明を適用すればその欠点である高粘着性を効果的に抑制できる。
(a)エピクロルヒドリン系共重合体単独、
(b)クロロプレンゴムと、エピクロルヒドリン系共重合体または/およびポリエーテル系共重合体との組み合わせ、
(c)クロロプレンゴムとNBRとの組み合わせ
が挙げられる。
なかでも、(b−1)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体との組み合わせ、(b−2)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とポリエーテル系共重合体との組み合わせ、(c)クロロプレンゴムとNBRとの組み合わせが特に好ましい。
例えば、(b−1)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分(A)の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは20〜50質量部とし、クロロプレンゴムの含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは50〜80質量部とすることが好適である。
(c)クロロプレンゴムとNBRとを組み合わせる場合、ゴム成分(A)の総質量を100質量部とすると、NBRの含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは20〜50質量部とし、クロロプレンゴムの含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは50〜80質量部とすることが好適である。
また、エピクロルヒドリン系共重合体としては、エピクロルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)共重合体を用いることもできる。前記共重合体中のEO:EPの好ましい含有比率はEO:EP=30〜80モル%:20〜70モル%であり、さらに好ましい比率はEO:EP=50〜80モル%:20〜50モル%である。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤として使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤として使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶加速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
本発明においてはゴム比重を低減するために比重の小さい低ニトリルNBRを用いることが好ましい。クロロプレンゴムとの混合性を鑑みれば中ニトリルNBRまたは低ニトリルNBRを用いることが好ましく、より具体的にはSP値の観点からアクリロニトリル含量が15〜39%、好ましくは17〜35%、より好ましくは20〜30%のNBRを用いることが好適である。
NBRは、トナーの種類によって水素添加やカルボキシル化などを施し、帯電性を調整することも有効である。
加硫ゴム組成物を構成する加硫ゴムにはゴム成分を加硫するための加硫剤が含まれる。
加硫剤としては硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(C
nH2n+1NH)2C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等が挙げられる。過酸化物としてはベンゾイルペルオキシドなどが挙げられる。
加硫剤の配合量はゴム成分(A)100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
硫黄は、ゴム成分(A)100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下、好ましくは0.2質量部以上2質量部以下の割合で含まれているのが良い。前記範囲としているのは、0.1質量部より小さいと組成物全体の加硫速度が遅くなり生産性が悪くなりやすいためである。一方、5.0質量部より大きいと圧縮永久ひずみが大きくなったり、硫黄や促進剤がブルームしたりする可能性があるためである。
また、チオウレア類はゴム成分(A)100gに対して合計0.0001mol以上0.0800mol以下、好ましくは0.0009mol以上0.0800mol以下、より好ましくは0.0015mol以上0.0400mol以下の割合で配合されているのが良い。前記チオウレア類を前記範囲で配合することにより、ブルームや感光体等の他の部材の汚染を起こりにくくすることができると共に、ゴムの分子運動をあまり妨げないためより低い電気抵抗を実現できる。また、チオウレア類の添加量を増やし架橋密度を上げるほど電気抵抗値を下げることができる。すなわち、チオウレア類の配合量が0.0001molより少ないと圧縮永久ひずみを改善しにくい。電気抵抗値を効果的に下げるにはチオウレア類の配合量が0.0009mol以上であることが好ましい。一方、チオウレア類の配合量が0.0800molより多いとゴム組成物表面からチオウレア類がブルームし感光体などの他の部材を汚染したり、破断伸び等の機械的物性が極度に悪化しやすい。
加硫剤の種類に応じて公知の加硫促進剤や加硫促進助剤をさらに配合してもよい。
受酸剤としては酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類または酸化マグネシウムを用いることが好ましく、特にハイドロタルサイトを用いることがより好ましい。さらに、これらに酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用することもでき、これにより高い受酸効果が得られ、他の部材の汚染をより確実に防止することができる。
受酸剤の配合量は、ゴム成分(A)100質量部に対し1質量部以上10質量部以下、好ましくは1質量部以上5質量部以下としている。加硫阻害および他の部材の汚染を防止する効果を有効に発揮させるため受酸剤の配合量は1質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇を防ぐため受酸剤の配合量は10質量部以下であることが好ましい。
トナー搬送部を構成する加硫ゴム組成物に含まれる成分をニーダ、ロールやバンバリーミキサ等の混合装置を用いて混練り後、ゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を加硫する。
加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。なお、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定することが好ましい。具体的に、加硫温度は100〜220℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。加硫時間は15〜120分間であることが好ましく、30〜90分間であることが好ましい。
ついで、加硫工程後に、芯金を挿入・接着した後、所要寸法にカットし、トナー搬送部となる最外層の表面に鏡面研磨を施すことが好ましい。該鏡面研磨後の表面粗さRzは、1〜8μmとすることが好ましい。
トナー搬送部の表面に酸化膜を形成することにより、トナー等の種類に応じて、ローラ表面の摩擦係数を低減させることができ、トナー離れを物理的に向上させることができる。
紫外線により、酸化膜を形成する場合には、紫外線照射機を用い、トナー搬送部の表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が100〜400nm、より好ましくは100〜300nmの紫外線を30秒〜30分、好ましくは1分〜10分程度照射することが好ましい。エネルギーとしては500〜4000mJ/cm2を付加することが好適である。
なかでも、非磁性1成分トナーを搬送するための現像ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール、帯電ロール、転写ロール等のトナー搬送部、トナーと接触する部材に用いられることが好ましい。この場合、トナー搬送部は少なくともその最外層が加硫ゴム組成物で形成されているので、電気特性の均一性や設計値の繰り返し再現性を低コストで容易に得ることができる。
本発明の導電性ロールを現像ロール等のトナー搬送部に用いる場合、トナー漏れ防止用のシール部材を有することが好ましい。ここで、「シール部材」としてはトナー漏れ防止用に設けられたものに限らず、導電性ロールの外周面に摺動接触する部材をすべて含む。
これは、トナー供給等の効率を維持し、トナーが感光体に移行する際に現像ロールの電圧降下が起こり、以後現像ロールから感光体へ確実にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じることを防ぐためである。また、107Ω以下であると、より幅広い環境下でも使用でき、極めて有用である。
一方、下限値は流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制し、感光体などの接触する他の部材への放電の可能性を排除するためには103Ω以上、さらに105Ω以上であることが好ましい。現像ロールとしては、104Ω〜107Ωである。
なお、ロール電気抵抗は実施例に記載の方法で測定する。
本発明の導電性ロール10は、非磁性1成分トナー4を感光体に搬送するための現像ロールとしており、図1に示すように、加硫ゴム組成物から構成されるトナー搬送部1と、その中空部に圧入された円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナーが漏れるのを防止するシール部3を備えている。
芯金2は、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等としており、前記トナー搬送部1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。
シール部3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートで構成している。
エピクロルヒドリン系共重合体としてはエピクロルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)−アリルグリシジルエーテル(AGE)共重合体を用いており、前記共重合体中のEO:EP:AGEの含有比率がEO:EP:AGE=60〜80モル%:15〜40モル%:2〜6モル%のものを用いている。
NBRとしては、クロロプレンゴムとの混合性が良い低ニトリルNBRを用いている。
酸化チタンとしては、一次粒径0.3〜0.5μmを主成分とするルチル型の酸化チタンを用いている。
アルミナとしては、一次粒径が1μm以下のものが80%以上を占めていることが好ましく、さらに0.5μm以下のものが50%以上を占めているものを用いている。
シリカとしては、平均一次粒子径が10〜500nmで、BET比表面積が30〜300m2/gのものを用いている。
また、受酸剤としてハイドロタルサイトを、ゴム成分(A)100質量部に対し1質量部以上10質量部以下配合している。
硫黄とチオウレア類を併用した前記加硫系とすることにより、組成物全体の加硫速度を速やかにして生産性を向上させ、圧縮永久ひずみ等の物性を良好にし、ブルームや他の部材の汚染を起こりにくくすることができると共に、ゴムの分子運動をあまり妨げないためより低い電気抵抗を実現できる。また、ハイドロタルサイトを配合することによりエピクロルヒドリン系共重合体の塩素による加硫阻害を防止している。
トナー搬送部1を構成する加硫ゴム組成物に含まれる成分をニーダ、ロールやバンバリーミキサ等の混合装置を用いて混練り後、ゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を加硫する。加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めており、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定している。具体的に、加硫温度は100〜220℃(好ましくは120〜180℃)、加硫時間は15〜120分間(好ましくは30〜90分間)としている。
(実施例1−18,比較例1,2)
表1に記載の配合材料(表中の数値は質量部を示す)、及び、ゴム成分100質量部に対し0.75質量部の粉末硫黄、0.75質量部のエチレンチオウレア、及び5質量部のハイドロタルサイトをバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機にて外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。
なお、表面粗さRzはJIS B0601(1994)に準拠して測定した。その結果、φ20mm(公差0.05)の導電性ロールを得た。
紫外線照射は、紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200(商品名)」を用い、ロールと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射することによって行い、ロールを90度ずつ4回回転させてロール全周(360度)に酸化膜を形成させた。
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショウプレンWRT(商品名)」
・GECO(エピクロルヒドリン系共重合体);ダイソー(株)製「エピオンON301(商品名)」[EO(エチレンオキサイド)/EP(エピクロルヒドリン)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=73mol%/23mol%/4mol%]
・NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム);日本ゼオン(株)製「ニッポール401LL(商品名)」(低ニトリルNBR;結合アクリロニトリル含量18%)
・弱導電性カーボンブラック(B);旭カーボン(株)製「旭#8(商品名)」
(平均一次粒径120nm、DBP吸油量29ml/100g、よう素吸着量14mg/g)
・高導電性カーボンブラック(C);電気化学工業(株)製「デンカブラック(商品名)」(粒状、平均粒径35nm)
・酸化チタン;チタン工業(株)製「クロノスKR310(商品名)」(比重4.2、粒径0.3〜0.5μmを主成分とする)
・アルミナ;昭和電工(株)製「AL−160−SG−1(商品名)」(粒径1μm以下のものを91%、粒径500nm以下のものを64%含有)
・シリカ;東ソー・シリカ(株)製「ニプシールVN3(商品名)」(湿式法製造、一次粒子径16nm、窒素吸着比表面積170〜220m2/g)
・ハイドロタルサイト(受酸剤);協和化学工業(株)製「DHT−4A−2(商品名)」
・硫黄;粉末硫黄
・エチレンチオウレア;川口化学工業(株)製「アクセル22−S(商品名)」
図2に示すように芯金2を通したトナー搬送部1をアルミドラム13上に当接搭載し、電源14の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム13の一端面に接続すると共に電源14の−側に接続した導線の先端をトナー搬送部1の他端面に接続して測定した。
前記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。この装置において印加電圧をEとすると、ロール電気抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを5Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。なお、前記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
なお、表中にはlog10Rを記載した。
JIS K 6253に従って、デュロメーター硬さ試験タイプAの硬度を測定した。
導電性ロールとトナーとの付着性を調べるため、市販のレーザープリンター(プラス帯電の非磁性1成分トナーを使用した市販のプリンター、トナー推奨印刷枚数約7000枚相当)に実施例および比較例の各導電性ロールを現像ロールとして装着し、画像として出力したトナー量、すなわち印刷物上のトナー積層量、言い換えれば印刷濃度を指標として性能評価を行った。なお、印刷濃度の測定は、以下に示すような透過濃度の測定により代用できる。印刷濃度の測定は、具体的には下記方法により、初期の黒ベタ画像印刷物及び2,000枚目の黒ベタ画像印刷物について行い、各々得られた値から濃度変化率を得た。
1%印字にて100枚印刷し、101枚目に黒ベタ画像を印刷し、これを初期の黒ベタ印刷物とした。得られた黒ベタ画像印刷物上の任意の5点において反射透過濃度計(TECHKON社製「テシコン濃度計RT120/ライトテーブルLP20」)にて透過濃度を測定し、その平均値を印刷濃度(C100)とした。
表中では印刷濃度(C100)に関し下記のように評価した。すなわち、C100<1.7では薄すぎるので「×」と、1.7≦C100<1.8では薄いが使用可能な程度なので「△」と、1.8≦C100<1.9ではやや薄いが良好な濃度なので「○」と、1.9≦C100<2.0では最適な濃度なので「◎」と、2.0≦C100<2.1ではやや濃いが良好な濃度なので「○」とした。
初期の黒ベタ印刷物を得た後、さらに1%印字にて2,000枚目まで印刷し、2,001枚目に黒ベタ画像を印刷し、これを2,000枚目の黒ベタ印刷物とした。得られた黒ベタ画像印刷物上の任意の5点において反射透過濃度計(TECHKON社製「テシコン濃度計RT120/ライトテーブルLP20」)にて透過濃度を測定し、その平均値を印刷濃度(C2000)とした。
(濃度変化率)
前記測定で得られたC100、C2000の値から、下記式により濃度変化率を求めた。
濃度変化率(%)=(C2000/C100)×100
表中では、90%以下では「×」と、90%を超えて95%以下では「△」と、95%を超えて98%以下では「○」と、98%を超えて102%以下では「◎」と、102%を超えて105%以下では「○」として濃度変化率を評価した。
前記のようにして測定される印刷濃度とトナーの搬送性の関係を調べるために、下記のようなトナー帯電量測定器によりトナー搬送量の評価を行った。
前記101枚目の黒ベタ印刷後に、白ベタ画像(白紙)を102枚目に印刷した。レーザープリンターからカートリッジをはずし、カートリッジに装着されている現像ロールに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/M METER Model 210HS−2(商品名)」)によりトナーを吸引し、トナー質量(mg)を測定した。得られた値から下記式に基づきトナー搬送量(T100)を算出した。
トナー搬送量(mg/cm2)=トナー質量(mg)/吸引された面積(cm2)
なお、トナー搬送量は低いほうが好ましい。具体的には、T100≧0.6の場合を「×」と、0.49<T100≦0.59の場合を「△」と、0.39<T100≦0.49の場合を「○」と、T100≦0.39の場合を「◎」と表中では評価した。
2,000枚目の黒ベタ印刷物の印刷後、1%印字により印刷を行い、画像耐久性の評価を行なった。500枚印刷毎に所定の印字を行い、白く印刷される部分にトナーが乗って黒ずみ始めた印刷枚数を画像不良発生枚数として記録した。
ここでは、カートリッジの耐久枚数(即ち、7,000枚)×2倍(=14,000枚)以上の寿命があれば、非常に良好「◎」とし、13,000枚以上14,000枚未満であれば良好「○」とし、12,000枚以上13,000枚未満であれば「△」とし、12,000枚未満であれば「×」とした。
無機フィラー(D)も高導電性カーボンブラック(C)も配合していない比較例1は、トナー搬送量が多くトナー離れが悪く、画像耐久性が悪いことに加え、濃度変化率が94%と低く、初期の印刷濃度を維持することができなかった。
2 芯金
3 シール部
4 トナー
10 導電性ロール
Claims (9)
- 加硫ゴム組成物で形成されてなるトナー搬送部を少なくとも最外層に備えた導電性ロールであって、
前記加硫ゴム組成物は、ゴム成分(A)に、粒径80nm以上500nm以下の粒径大の弱導電性カーボンブラック(B)と、粒径18nm以上80nm未満の粒径小の高導電性カーボンブラック(C)と、酸化チタン、アルミナ及びシリカからなる群から選択される1種以上の金属酸化物からなる無機フィラー(D)を配合しており、
前記(B)(C)(D)の合計配合量は、ゴム成分(A)100質量部に対して15質量部以上60質量部以下であることを特徴とする導電性ロール。 - 前記ゴム成分(A)100質量部に対して、前記弱導電性カーボンブラック(B)を1質量部以上40質量部以下、前記高導電性カーボンブラック(C)を1質量部以上40質量部以下、前記金属酸化物からなる無機フィラー(D)を1質量部以上40質量部以下の割合で配合している請求項1に記載の導電性ロール。
- 前記ゴム成分(A)100質量部に対して、前記弱導電性カーボンブラック(B)を1質量部以上20質量部以下、前記高導電性カーボンブラック(C)を5質量部以上30質量部以下、前記金属酸化物からなる無機フィラー(D)を1質量以上20質量部以下の割合で配合し、
前記(B)(C)(D)の合計配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して15質量部以上40質量部以下である請求項2に記載の導電性ロール。 - 前記高導電性カーボンブラック(C)の配合量は、前記弱導電性カーボンブラック(B)より多いと共に、前記金属酸化物からなる無機フィラー(D)以上である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の導電性ロール。
- 前記ゴム成分(A)として、塩素原子を有するゴムと、溶解度パラメーターが18.0(MPa)1/2以上のゴムとのいずれか一方または両方を含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の導電性ロール。
- 前記加硫ゴム組成物は、ゴム成分(A)としてイオン導電性ゴムを用い、またはイオン導電剤を配合して、イオン導電性を付与している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の導電性ロール。
- 前記無機フィラー(D)が、酸化チタンである請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の導電性ロール。
- 電子写真装置の画像形成機構において、非磁性1成分トナーを用いた現像装置に用いられる現像ロールである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の導電性ロール。
- 前記トナー搬送部と、その中空部に圧入された円柱形状の芯金からなり、
前記トナー搬送部の表面には紫外線照射による酸化膜が形成されている請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の導電性ロール。
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