JP5280689B2 - ゴムロール及びゴムロールの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、従来の導電性ロールは鏡面状に研磨仕上げされていることが多い。これにより、ロール表面におけるトナーとの付着力が上昇し、トナーが強く付着して感光体などへのトナーの搬送性が乏しくなる。次第にロール上にたくさんのトナーが堆積すると、余計にロールからトナーが離れにくくなり、さらにトナーの搬送性が乏しくなる。その結果、現像ローラとして使用した場合、十分な印刷濃度が得られないという問題があった。
例えば特開2001−34057号公報(特許文献1)には、発泡剤を含む未加硫ゴムの表面に無機化合物粒子を付着させた後プレス加硫をすることで、低硬度でしかも表面粗度の改良によりトナー搬送性が向上した現像ローラを提供できることが記載されている。
しかし、プレスによりゴムと無機化合物粒子を一体化させるために、無機化合物粒子がゴムに覆われて表層の無機化合物粒子量が減り、表面粗さが落ちてトナー搬送性に悪影響が出たり、ローラ表層を均一な状態に仕上げることが難しかったりという問題点がある。さらに、プレスを施すことでプレス内でのゴムの流動により方向性が生じたり、プレスの精度によってはプレス後に研磨を要する場合があったりするなどプロセス面でも問題点が多い。
しかし、上記効果を得るためには酸化チタンをゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で配合する必要があり、硬度の上昇が大きくなる傾向が見られた。酸化チタンを多く配合するほど上記効果が安定して得られるが、硬度の上昇の傾向はより強くなる。
しかし、表層と基層の厚みを精度良く実現することは難しく、極めて高い厚み精度が必要である。そのためには極めて手のかかる管理が必要であるとともに、管理した場合にも歩留まりが悪いことなどによりコスト高になる。より簡素な工程管理で安価に製造できるよう改善の余地があった。
当該半導電性ゴム部材において、上記要件を満たしながらゴム成分の種類やカーボンブラックの種類などを調整して、初期画像濃度の向上、耐久性(トナー帯電の経時安定性)の向上はそれぞれ極めて高いレベルで実現しているが、それら両方を一挙に実現できるようさらなる改善の余地があった。
あわせてイオン導電性を示すエチレンオキサイドモノマーが重合されている場合は、表面自由エネルギーが上がり濡れやすくなり、導電性ゴムロールに対するトナーの付着性が高くなる。
さらに表面に紫外線照射やオゾン暴露などを施し酸化膜を形成させると、その部分の酸素濃度が高くなるため表面自由エネルギーが上がり導電性ゴムロールに対するトナーの付着性がさらにます可能性がある。
加えて誘電正接を0.1〜1.5とした場合はトナーの帯電性を向上できトナーの搬送量を低減できるためハーフトーン画像など高画質な画像が実現できるが、一方でこの場合には現像ロール上のトナーの積層量が少なくなるため、現像ロールとして使用した場合にはトナーの付着性がさらに増す可能性がある。
・印刷をほどよく行い、トナーが現像ロールに比較的なじんだ時点
(例えば1%印字画像を2,000枚程度印刷した時点)
・トナーの平均粒径が8μm以下、特に6μm以下の場合
・連続的に印刷せず、例えば一日停止して翌日印刷した場合
・トナーの帯電量が比較的高い低温低湿環境において使用する場合
しかし、現像ロールとして使用したときのトナーの付着性がまだ高く、前述の「印刷濃度の低下」がまだみられる。さらには、ワックスのブリード等に起因する低分子量成分と比較的高温環境下(約50℃程度)での粘着性によるトナーや感光体への汚染がわずかであるがみられる。これでは、高画質が要求されるプリンターにおいては使用できるゴムやポリマーが限定されかねず、さらなる改良の余地があった。
ゴム組成物を混練してチューブ状に押し出す工程と、
前記チューブを加硫して加硫ゴム層を作製する工程と、
前記加硫工程後に、前記加硫ゴム層の表面を研磨して、表面粗さRaが0.1μm〜3μmの鏡面状にする研磨工程と、
前記研磨工程後に、前記加硫ゴム層の表面に紫外線照射を施して酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜形成後に、酸化チタン、アルミナ及びシリカからなる群から選択した1種以上の無機金属フィラーを散布して、前記酸化膜の表面に付着する工程と、
を備え、
前記無機金属フィラーは平均粒径が10μm以下1nm以上とし、かつ、0.01mg/cm2〜100mg/cm2の目付量で散布していることを特徴とするゴムロールの製造方法を提供している。
該無機金属フィラーは実質的に加硫ゴム層の表面にのみ存在し、ゴム層内に埋没していない。該無機金属フィラーにより加硫ゴム層の表面に存在する毛羽やへこみの鋭利な部分がなだらかになり曲率がつくため、トナーの付着を防止でき、ひいてはトナー離れを向上させることができる。かつ、プレスによりゴムと無機金属フィラーを一体化させる場合とは違い、無機金属フィラーがゴムに覆われて埋没することがないため表面粗さが落ちてトナー搬送性に悪影響が出ることもない。特に、無機金属フィラーをゴムに配合する場合とは異なり、ロール自体の硬度を上昇させずにすむという利点がある。
フィラーの分散性からは10nm以上がより好ましく、トナーとの作用を考えると5μm以下が好ましい。さらに、コスト面と性能面の両者を考えると、一次粒子径が50〜1000nm、さらに、一次粒子径が100〜500nmであることが特に好ましい。
前記のように、加硫ゴム層の表面を研磨して鏡面状とすると、散布する無機金属フィラーがくっつきやすく、かつ、離れにくくすることができる。よって、フィラーを接着剤を用いて接着したり、プレスして固着しなくとも、単に、散布するだけでフィラーを加硫ゴム層の表面により確実に付着させることができる。
なお、前記表面粗さとはJIS B 0601(1994)に従って測定される「Ra算術平均粗さ」をいう。
フィラーを水に分散させたフィラー分散液は、加硫ゴム層の表面に塗布された後に水が蒸発して乾燥し、フィラーのみが加硫ゴム層の表面に付着されることとなる。
紫外線照射による酸化膜形成は、処理時間が早く、コストも低いことから好ましく行われる。酸化膜を形成することにより、酸化膜が誘電層となりゴムロールの誘電正接を低減でき、その結果トナーに帯電性をより効率よく付加でき、付加した帯電性を維持することができるようになる。紫外線照射は、加硫ゴム層の表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が100〜400nm、より好ましくは100〜300nmの紫外線を30秒〜30分、好ましくは1分〜10分程度ゴムロールを回転させながら照射することが好ましい。
また、NBRなど紫外線で劣化しやすいゴムは全ゴム成分100質量部中50質量部以下の配合が好ましい。紫外線を照射する場合特にクロロプレンおよびクロロプレン系ゴムの添加は極めて有効である。
そのほか、オゾン曝露等の公知の方法に従って酸化膜を形成してもよい。
前記ゴム組成物にはゴム成分に加えて公知の添加剤が含まれていてもよいが、可塑剤やオイルなどの軟化剤は含まれていないことが好ましい。これは、軟化剤がブリードしてトナーや感光体などの他の部材をわずかでも汚染するのを防止し、高画質な画像を得るためである。
ゴム組成物をロール状に成形する方法としては、例えばトランスファー成形、圧縮成形、押出成形または射出成形等の公知の成形方法を用いることができる。また、円筒状の金型を回転させながらノズルからゴム組成物を金型の外面に連続的に供給し、それと同時にノズルを金型の回転軸方向に移動させて、前記ゴム組成物を均一に塗布後、硬化させるという方法で成形することもできる。なかでも、押出成形により成形することが好ましい。
さらに、寸法精度の安定性や表面粗さの均一化の観点から研磨を行うことが極めて望ましい。
研磨処理を行った場合は研磨処理後に、研磨しない場合は加硫後に、溶剤による洗浄や紫外線照射、オゾン曝露、塩素処理、コロナ処理等の後処理を行うことも可能である。
その後、前記した無機金属フィラーを散布している。
ゴム組成物を混練してチューブ状に押し出す工程と、
前記チューブを加硫して加硫ゴム層を作製する工程と、
前記加硫ゴム層の表面に、酸化チタン、アルミナ及びシリカからなる群から選択した1種以上の無機金属フィラーを散布して、前記加硫ゴム層の表面に付着する工程とを備え、
前記無機金属フィラーは平均粒径が10μm以下1nm以上とし、かつ、0.01mg/cm 2 〜100mg/cm 2 の目付量で散布して前記加硫ゴム層の鏡面状の表面に付着させている、1成分非磁性トナーを搬送するトナー搬送部に用いられるゴムロールを提供している。
前記加硫ゴム層は、少なくとも塩素原子を有するゴムと、少なくとも溶解度パラメーターが18.0(MPa)1/2以上のゴムとのいずれか一方または両方を含むことが好ましい。かつ、前述したように、オイルおよび軟化剤からなる可塑剤を含んでいないことが好ましい。
なかでも、非磁性1成分トナーを搬送するための現像ロール、トナー供給ロール、クリーニングロール、帯電ロール、転写ロール等のトナー搬送部、トナーと接触する部材に用いられることが好ましい。この場合、トナー搬送部は少なくともその最外層が加硫ゴムで形成されているので、電気特性の均一性や設計値の繰り返し再現性を低コストで容易に得ることができる。
本発明のゴムロールを現像ロール等のトナー搬送部に用いる場合、トナー漏れ防止用のシール部材を有することが好ましい。ここで、「シール部材」としてはトナー漏れ防止用に設けられたものに限らず、ゴムロールの外周面に摺動接触する部材をすべて含む。
本発明のゴムロールをトナー搬送用とする場合、トナー供給等の効率を維持し、トナーが感光体に移行する際に現像ロールの電圧降下が起こり、以後現像ロールから感光体へ確実にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じることを防ぐためには、ロール電気抵抗は108Ω以下であることが好ましい。また、107Ω以下であると、より幅広い環境下でも使用でき、極めて有用である。
一方、下限値は特に限定されないが、流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制し、感光体などの接触する他の部材への放電の可能性を排除するためには103Ω以上であることが好ましい。
なお、ロール電気抵抗は実施例に記載の方法で測定する。
さらに、ゴム層の加硫後に無機金属フィラーを塗布するなどして無機金属フィラーを実質的に加硫ゴム層の表面にのみ存在させ加硫ゴム層内に埋没させないようにしているので、プレスによりゴムと無機化合物粒子を一体化させる場合とは違い、表層の無機化合物粒子量が減り、表面粗さが落ちて、トナー搬送性に悪影響が出ることもない。
さらに、本発明においてはロール表層を均一な状態に仕上げることができる。その結果トナーに帯電性を均一に付与することができる。
加硫ゴム層の表面への無機金属フィラーの塗布は簡便な方法で可能であり、工程管理もしやすく、また歩留まりも低く抑えられることから、本発明のゴムローラは安価に製造することができる。
本発明のゴムロール10は、非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ロールとしており、図1に示すように、表面に無機金属フィラー5が散布された加硫ゴム層4から構成されるトナー搬送部1と、その中空部に圧入された円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナーが漏れるのを防止するシール部3を備えている。
芯金2は、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等としており、前記トナー搬送部1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。
シール部3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートで構成している。
前記加硫ゴム層4に塗布されている前記無機金属フィラー5の目付け量は0.02〜100mg/cm2としている。なかでも、目付け量は0.02〜70mg/cm2であることが好ましく、0.1〜30mg/cm2であることがより好ましく、0.5〜25mg/cm2であることがさらに好ましい。
本発明で用いる酸化チタンにおいては粒径が500nm以下である粒子が50%以上含まれていることが好ましい。この場合に酸化チタンの分散性が良くなるからである。なかでも、平均粒径が0.1〜0.5μmである酸化チタンを用いることが好ましい。特に粒径が0.3〜0.5μmである粒子を主成分とし、平均粒径が0.3〜0.5μmである酸化チタンを用いることが好ましい。
シリカとしては、平均一次粒子径が10〜500nmであるものが特に好ましい。また、BET比表面積が30〜300m2/gのものが好ましく、60〜250m2/gのものがより好ましい。
(1)塩素原子を有するゴム;
(2)SP値が18.0(MPa)1/2以上であるゴム;
(3)イオン導電性ゴム;
(4)イオン導電材を含むことによりイオン導電化されているゴム。
ゴムが塩素原子を有する場合、例えばプラス帯電トナーに対して極めて容易に帯電できる特長がある反面、塩素原子に起因することとして塩素原子を有さないゴムと比べて粘着性が大きい傾向がある。そのため、加硫ゴム層4を構成している加硫ゴムが塩素原子を有するゴムを含む場合、本発明を適用すれば塩素原子を有するゴムの欠点である非静電気的な高粘着性と静電気的な付着力を効果的に抑制できる。
ここで、前記SP値とは溶解度パラメーターまたは溶解度定数のことであり、例えば「塗料の流動と顔料分散」(植木憲二監修、共立出版株式会社発行)等の文献で定義されており、各液体における凝集エネルギー密度の平方根であり、溶解性を特徴づける指標となる。SP値が高いほど極性が高い。2種類以上のゴムをブレンドする場合、SP値が18.0(MPa)1/2未満であるゴムを用いてよいが、みかけのSP値が18.0(MPa)1/2以上となるように配合量を調整する。みかけのSP値は、そのゴム固有のSP値とゴム成分全体を1としたときの混合質量比の積をゴム成分ごとに算出し、その和で表されるものである。例えば、a成分のSP値をXa、ゴム成分全体を1としたときの混合質量比Yaとし、b成分のSP値をXb、ゴム成分全体を1としたときの混合質量比Ybとすると、見かけのSP値はXa・Ya+Xb・Ybとなる。
非導電性ゴムの場合は導電性を付与するためにイオン導電性ゴムと組み合わせるか、導電材を配合する必要がある。なかでも、電子導電材を配合することが好ましい。
電子導電材としては、ケッチェンブラック、ファーネスブラックもしくはアセチレンブラック等の導電性カーボンブラック;酸化亜鉛、チタン酸カリウム、アンチモンドープ酸化チタン、酸化スズもしくはグラファイト等の導電性金属酸化物;カーボン繊維等が挙げられる。なかでも、導電性カーボンブラックを用いることが好ましい。電子導電材の配合量は電気抵抗値などの物性を見ながら適宜選択すればよいが、例えばゴム成分100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましく、10〜25質量部であることがより好ましい。
「イオン導電性ゴム」は、電気特性の均一性や設計値の繰り返し再現性を維持することが容易にできる反面、水とのなじみがよく表面自由エネルギーが高く濡れやすいため粘着性が大きい傾向がある。そのため、加硫ゴム層4を構成している加硫ゴムが「イオン導電性ゴム」を含む場合、本発明を適用すればその欠点である高粘着性を効果的に抑制できる。
また、イオン導電材としては、フルオロ基(F−)およびスルホニル基(−SO2−)を有する陰イオンを備えた塩も好適な例として挙げられる。より具体的には、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メタンの塩またはフルオロアルキルスルホン酸の塩などが挙げられる。前記塩において陰イオンと対になる陽イオンとしては、アルカリ金属、2A族またはその他の金属イオンが好ましく、なかでもリチウムイオンがより好ましい。前記イオン導電材として具体的には、例えばLiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)3、LiCH(SO2CF3)2が挙げられる。
イオン導電材の配合量は、その種類によって適宜選択することができるが、例えばゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
前記「他のゴム」の配合量は、本発明の目的に反しない範囲で調整され、具体的には全ゴム成分中20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
(a)エピクロルヒドリン系共重合体単独、
(b)クロロプレンゴムと、エピクロルヒドリン系共重合体または/およびポリエーテル系共重合体との組み合わせ、
(c)クロロプレンゴムと、NBRと、エピクロルヒドリン系共重合体または/およびポリエーテル系共重合体との組み合わせ、
(d)クロロプレンゴムとNBRとの組み合わせ
が挙げられる。
なかでも、(b−1)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体との組み合わせ、(b−2)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とポリエーテル系共重合体との組み合わせ、(d)クロロプレンゴムとNBRとの組み合わせが特に好ましい。
例えば、(b−1)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは20〜50質量部とし、クロロプレンゴムの含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは50〜80質量部とすることが好適である。
(b−2)クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とポリエーテル系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量を5〜90質量部、好ましくは10〜70質量部とし、ポリエーテル系共重合体の含有量を5〜40質量部、好ましくは5〜20質量部とし、クロロプレンゴムの含有量を5〜90質量部、好ましくは10〜80質量部とすることが好適である。このような配合比にすることにより3成分をうまく分散させることができ強度をはじめとする物性を向上させることができる。より好ましくは、質量比でエピクロルヒドリン系共重合体:クロロプレンゴム:ポリエーテル系共重合体=2〜5:4〜7:0.5〜1.5であり、更に好ましくは質量比でエピクロルヒドリン系共重合体:クロロプレンゴム:ポリエーテル系共重合体=2〜5:4〜7:1である。
(d)クロロプレンゴムとNBRとを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、NBRの含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは20〜50質量部とし、クロロプレンゴムの含有量を5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、より好ましくは50〜80質量部とすることが好適である。
また、エピクロルヒドリン系共重合体としては、エピクロルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)共重合体を用いることもできる。前記共重合体中のEO:EPの好ましい含有比率はEO:EP=30〜80モル%:20〜70モル%であり、さらに好ましい比率はEO:EP=50〜80モル%:20〜50モル%である。
ポリエーテル系共重合体中のアリルグリシジルエーテル含量としては1〜10モル%が好ましい。1モル%未満ではブリードや他の部材の汚染の発生が起こり易くなる一方、10モル%を越えると、それ以上の結晶化の抑制効果は得られず、加硫後の架橋点の数が多くなり、却って低抵抗化が実現できず、また引張強度や疲労特性、耐屈曲性等が悪化することとなる。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤として使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤として使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶加速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
本発明においてはゴム比重を低減するために比重の小さい低ニトリルNBRを用いることが好ましい。クロロプレンゴムとの混合性を鑑みれば中ニトリルNBRまたは低ニトリルNBRを用いることが好ましく、より具体的にはSP値の観点からアクリロニトリル含量が15〜39%、好ましくは17〜35%、より好ましくは20〜30%のNBRを用いることが好適である。
加硫ゴム層4を構成する加硫ゴムにはゴム成分を加硫するための加硫剤が含まれる。
加硫剤としては硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(CnH2n+1NH)2C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等が挙げられる。過酸化物としてはベンゾイルペルオキシドなどが挙げられる。
加硫剤の配合量はゴム成分100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
硫黄は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下、好ましくは0.2質量部以上2質量部以下の割合で含まれているのが良い。前記範囲としているのは、0.1質量部より小さいと組成物全体の加硫速度が遅くなり生産性が悪くなりやすいためである。一方、5.0質量部より大きいと圧縮永久ひずみが大きくなったり、硫黄や促進剤がブルームしたりする可能性があるためである。
また、チオウレア類はゴム成分100gに対して合計0.0001mol以上0.0800mol以下、好ましくは0.0009mol以上0.0800mol以下、より好ましくは0.0015mol以上0.0400mol以下の割合で配合されているのが良い。前記チオウレア類を前記範囲で配合することにより、ブルームや他の部材の汚染を起こりにくくすることができると共に、ゴムの分子運動をあまり妨げないためより低い電気抵抗を実現できる。また、チオウレア類の添加量を増やし架橋密度を上げるほど電気抵抗値を下げることができる。すなわち、チオウレア類の配合量が0.0001molより少ないと圧縮永久ひずみを改善しにくい。電気抵抗値を効果的に下げるにはチオウレア類の配合量が0.0009mol以上であることが好ましい。一方、チオウレア類の配合量が0.0800molより多いとゴム組成物表面からチオウレア類がブルームし感光体などの他の部材を汚染したり、破断伸び等の機械的物性が極度に悪化しやすい。
加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)もしくはリサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。有機促進剤としては、ジ−オルト−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−オルト−トリルビグアニドもしくはジカテコールボレートのジ−オルト−トリルグアニジン塩等のグアニジン系;2−メルカプト−ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;チオウレア系等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上2質量部以下がより好ましい。
加硫促進助剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましい。
受酸剤としては酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類またはマグサラットを用いることが好ましく、特にハイドロタルサイトを用いることがより好ましい。さらに、これらに酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用することもでき、これにより高い受酸効果が得られ、他の部材の汚染をより確実に防止することができる。
受酸剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し1質量部以上10質量部以下、好ましくは1質量部以上5質量部以下としている。加硫阻害および他の部材の汚染を防止する効果を有効に発揮させるため受酸剤の配合量は1質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇を防ぐため受酸剤の配合量は10質量部以下であることが好ましい。
誘電正接調整剤としては、弱導電性カーボンブラックまたは脂肪酸処理された炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、弱導電性カーボンブラックを用いる方が好ましい。
前記弱導電性カーボンブラックとして、一次粒径が80nm以上、好ましくは100nm以上のものを用いれば、より有効に前記効果が得られる。また、一次粒径が500nm以下、好ましくは250nm以下であると表面粗さを極めて小さくできる。前記弱導電性カーボンブラックの形状は表面積が小さいことから球形状または球形に近い形状が好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法またはサーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、ファーネスカーボンブラックがより好ましい。カーボンの分類で言うとSRFやFT、MTが好ましい。また顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
充填剤の添加量はゴム成分100質量部に対し60質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましい。なお、前記弱導電性カーボンブラックは充填剤としての役割も果たす。
前記劣化防止剤としては各種老化防止剤や酸化防止剤が挙げられる。
加硫ゴム層4を構成するゴム組成物に含まれる成分をニーダ、ロールやバンバリーミキサ等の混合装置を用いて混練り後、ゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を加硫する。
加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。なお、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定することが好ましい。具体的に、加硫温度は100〜220℃であることが好ましく、120〜180℃であることがより好ましい。加硫時間は15〜120分間であることが好ましく、30〜90分間であることが好ましい。
無機金属フィラー5の散布は、図2に示した装置を用いて行っている。図2に示した装置は、無機金属フィラー5を散布するための散布機7とブレード状の均しブレード6とゴムローラを回転させる駆動部(図示せず)を有する。具体的には、まず散布機7で無機金属フィラー5を加硫ゴム層4表面に散布し、ゴムローラを回転させて、散布した無機金属フィラー5を均しブレード6で均すことにより、前述した目付量の範囲内で均一に塗布している。
温度23℃、相対湿度55%の環境下での印加電圧5Vにおけるロール電気抵抗が105〜107Ωであることが好ましく、106〜107Ωであることがより好ましい。
JIS K 6253に記載のデュロメーター硬さ試験タイプAの硬度が20〜70度であることが好ましく、40〜70度であることがより好ましく、50〜70度であることが更に好ましい。これは、軟らかいほどニップが大きくなり、転写、帯電、現像等の効率が大きくなる、または感光体等の他の部材への機械的ダメージを小さくできるという利点があるという理由による。一方、硬度が20度より低いと耐摩耗性が著しく劣ることになる。
(実施例1〜13、比較例3、4)
表1に記載の配合材料(表中の数値は質量部を示す。)と、加硫剤として粉末硫黄0.75質量部およびエチレンチオウレア(川口化学工業(株)製「アクセル22−S(商品名)」)0.75質量部と、受酸剤としてハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製「DHT−4A−2(商品名)」)3質量部とをバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機にて外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。該チューブを加硫用のφ8mmシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、端部をカット成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、表面粗さRaが0.1〜3.0μm(Rzでは3〜5μm)になるように仕上げた。なお表面粗さRaはJIS B 0601(1994)「Ra算術平均粗さ」に従って測定した。その結果、φ20mm(公差0.05)の加硫ゴム層を備えたゴムロールを得た。
(比較例1)
比較例1は、加硫ゴム層4の表面を研磨し、水洗いした後、紫外線照射を行い表層部分に酸化膜を形成した。詳細には、紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200(商品名)」)を用い、ロールと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射することによって行い、ロールを90度ずつ4回回転させてロール全周(360度)に酸化膜を形成させた。
(比較例2)
比較例2は、加硫ゴム層4のゴム組成物中に20質量部の酸化チタンを配合した。
(a)加硫ゴム層の構成成分
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショープレンWRT(商品名)」
・エピクロルヒドリン系共重合体;ダイソー(株)製「エピオンON301(商品名)」
EO(エチレンオキサイド)/EP(エピクロルヒドリン)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=73mol%/23mol%/4mol%
・NBR;日本ゼオン(株)製「ニッポール401LL(商品名)」
・導電性カーボンブラック;電気化学工業(株)製「デンカブラック(商品名)」
・酸化チタン;チタン工業(株)製「クロノスKR310(商品名)」(比重4.2、粒径0.3〜0.5μmを主成分とする。)
・酸化チタン;チタン工業(株)製「クロノスKR310(商品名)」(比重4.2、粒径0.3〜0.5μmを主成分とする。)
・アルミナ;昭和電工(株)製「AL−160SG−1(商品名)」(粒子径1μm以下の粒子が91%、粒子径500nm以下の粒子が64%を占める。)
図3に示すように芯金2を通したトナー搬送部1をアルミドラム13上に当接搭載し、電源14の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム13の一端面に接続すると共に電源14の−側に接続した導線の先端をトナー搬送部1の他端面に接続して測定した。
前記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。この装置において印加電圧をEとすると、ロール電気抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを5Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。なお、前記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
なお、表中にはlog10Rを記載した。
JIS K 6253に従って、デュロメーター硬さ試験タイプAの硬度を測定した。
表中では、硬度が70を超える場合は硬すぎるので「×」と、硬度が20以上70以下の場合は「○」と評価した。
ゴムロールとトナーとの付着性を調べるため、市販のレーザープリンター(プラス帯電の非磁性1成分トナーを使用した市販のプリンター、トナー推奨印刷枚数約7000枚相当)に実施例および比較例の各ゴムロールを現像ロールとして装着し、画像として出力したトナー量、すなわち印刷物上のトナー積層量、言い換えれば印刷濃度を指標として性能評価を行った。なお、印刷濃度の測定は以下に示すような透過濃度の測定により代用できる。
具体的には、1%印字にて100枚印刷し、101枚目に黒ベタ画像を印刷した。得られた黒ベタ画像印刷物上の任意の5点において反射透過濃度計(TECHKON社製「テシコン濃度計RT120/ライトテーブルLP20」)にて透過濃度を測定し、その平均値を印刷濃度(C100)とした。
表中では印刷濃度(C100)に関し下記のように評価した。すなわち、C100<1.7では薄すぎるので「×」と、1.7≦C100<1.8では薄いが使用可能な程度なので「△」と、1.8≦C100<1.9ではやや薄いが良好な濃度なので「○」と、1.9≦C100<2.0では最適な濃度なので「◎」とした。
前記のようにして測定される印刷濃度とトナーの搬送性の関係を調べるために、下記のようなトナー帯電量測定器によりトナー搬送量の評価を行った。
前記印刷濃度の測定に続いて、白ベタ画像(白紙)を102枚目に印刷した。レーザープリンターからカートリッジをはずし、カートリッジに装着されている現像ロールに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/M METER Model 210HS−2(商品名)」)によりトナーを吸引し、トナー質量(mg)を測定した。得られた値から下記式に基づきトナー搬送量(T100)を算出した。
トナー搬送量(mg/cm2)=トナー質量(mg)/吸引された面積(cm2)
なお、トナー搬送量は低いほうが好ましい。具体的には、T100≧0.6の場合を「×」と、0.49<T100≦0.59の場合を「△」と、0.39<T100≦0.49の場合を「○」と、T100≦0.39の場合を「◎」と表中では評価した。
無機金属フィラーを表面に塗布せず、加硫ゴム層に酸化チタンを含有する比較例2ではロール硬度が若干高くなる傾向が見られた。そのため、転写、帯電、現像等の効率がやや劣り、また感光体等の他の部材へ機械的ダメージを与えるおそれが生じてくる。
無機金属フィラーの目付量が少ない比較例3では、無機金属フィラーを加硫ゴム層の表面に均一に塗布することが難しく、その結果、印刷濃度やトナー搬送が小さくかつムラが生じた。一方、無機金属フィラーの目付量が多い比較例4では、無機金属フィラーを加硫ゴム層の表面に塗布することが難しく厚みムラも生じてしまい、その結果印刷濃度やトナー搬送に大きなムラが生じた。
2 芯金
3 シール部
4 加硫ゴム層
5 無機金属フィラー
6 均しブレード
7 散布機
10 ゴムロール
Claims (2)
- ゴム組成物を混練してチューブ状に押し出す工程と、
前記チューブを加硫して加硫ゴム層を作製する工程と、
前記加硫工程後に、前記加硫ゴム層の表面を研磨して、表面粗さRaが0.1μm〜3μmの鏡面状にする研磨工程と、
前記研磨工程後に、前記加硫ゴム層の表面に紫外線照射を施して酸化膜を形成する工程と、
前記酸化膜形成後に、酸化チタン、アルミナ及びシリカからなる群から選択した1種以上の無機金属フィラーを散布して、前記酸化膜の表面に付着する工程と、
を備え、
前記無機金属フィラーは平均粒径が10μm以下1nm以上とし、かつ、0.01mg/cm2〜100mg/cm2の目付量で散布していることを特徴とするゴムロールの製造方法。 - ゴム組成物を混練してチューブ状に押し出す工程と、
前記チューブを加硫して加硫ゴム層を作製する工程と、
前記加硫ゴム層の表面に、酸化チタン、アルミナ及びシリカからなる群から選択した1種以上の無機金属フィラーを散布して、前記加硫ゴム層の表面に付着する工程とを備え、
前記無機金属フィラーは平均粒径が10μm以下1nm以上とし、かつ、0.01mg/cm 2 〜100mg/cm 2 の目付量で散布して前記加硫ゴム層の鏡面状の表面に付着させている、1成分非磁性トナーを搬送するトナー搬送部に用いられるゴムロール。
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