JP5641794B2 - トナー搬送ローラおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
これらの改良において鍵となるのがトナーである。すなわち、前記種々の要求を満足するために必要となるのが、トナーの微細化、トナー粒径の均一化、およびトナー形状の球形化である。
さらに形成画像のより一層の高画質化を求めて、従来の粉砕トナーに代えて、重合トナーが主流となりつつある。かかる重合トナーは、特にデジタル情報を画像形成する際にドットの再現性が非常によく、高画質な画像が得られるという利点がある。
トナー搬送ローラには、前記の特性を製品の使用寿命の最後まで維持させることが求められる。しかし現行品は、かかる要求に十分に対応できる耐久性を有していないのが現状である。
しかし発明者の検討によると、特許文献1の構成では、初期画像の画質のみの向上、あるいは耐久性のみの向上はきわめて高いレベルで実現可能であるが、両者を両立させることは困難である。
前記イオン導電性ゴムとしては、エピクロルヒドリンゴムに代表される、分子中に塩素原子を含むゴムや、あるいは共重合成分としてイオン導電性を示すエチレンオキサイドモノマーを含むゴムが使用される。
加えて、誘電正接を前記範囲内に調整した場合には、トナーの帯電性を向上してトナーの搬送量を低減できるため、ハーフトーン画像などの高画質な画像を形成することができるが、一方で外周面におけるトナーの積層量が少なくなるため、トナー搬送ローラの外周面における、トナー等の付着性がさらに高くなるおそれもある。
例えば、通常帯電されたトナーは静電気力(クーロン力)により逆の電荷を持つ感光体に搬送されるが、前記のようにトナー搬送ローラの外周面における、トナー等の付着性が高すぎる場合には、前記静電気力によるトナーの搬送が妨げられるため、トナーの帯電量は変わらないにも拘らず、下記(a)〜(d)のいずれかの条件で画像形成した場合に画像濃度が低下する、すなわちトナーの現像効率が低下するという問題を生じる。
(a) 画像形成を程よく実施してトナーが現像ローラに比較的なじんだ時点、例えば1%濃度の画像を2000枚程度、画像形成した時点でさらに画像形成する場合。
(b) トナーの平均粒径が8μm以下、特に6μm以下である場合。
(c) 連続的に画像形成せず、例えば一日停止して翌日に画像形成する場合。
(d) トナーの帯電量が比較的高くなる低温低湿環境下で画像形成する場合。
しかも現像効率が低下すると、現像によって消費されずにトナーボックス内を繰り返し循環するトナーが多くなり、その劣化が進んでトナーの帯電量の低下が早まるという問題も生じる。その結果、帯電量の低下によって形成画像に画像不良を生じやすくなる。
しかし、単にファンデルワールス力によって外周面に付着させただけでは無機フィラーが短期間で脱落して、前記機能が早期に失われてしまうという問題がある。特に、例えば印刷速度が約20ppm以上の高速のプリンタや、あるいは外径がおよそ15mm以下程度といった外周の曲率が大きいトナー搬送ローラを用いた小型のプリンタなど、トナー搬送ローラの外周面に高負荷がかかりやすい画像形成装置においてこの傾向が顕著である。
例えば特許文献3では、発泡剤を含む未架橋のゴム組成物をチューブ状に成形したのち、その外周面に無機フィラーを付着させた状態で、プレス加硫により、ゴム組成物を発泡させるとともに架橋させながら無機フィラーと一体化させることが提案されている。
また、ローラ本体の表層部を均一な状態に仕上げるのが難しいため、特に外周面の硬さ等にばらつきを生じて形成画像に影響を生じるおそれもある。具体的には、プレス加硫をすることで、プレス内でのゴムの流動により、前記表層部において無機フィラーの分布等に方向性を生じやすい。
特許文献4では、無機フィラーとしての酸化チタンを配合した未架橋のゴム組成物をチューブ状に成形し、架橋したのち研磨して、外周面の近傍の酸化チタンを、前記外周面において露出させることが提案されている。
前記架橋物からなるローラ本体の外周面に、酸化チタン、アルミナ、およびシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機フィラーを、外周面の単位面積あたり0.01mg/cm2以上、100mg/cm2以下の目付量で付着させた状態で、前記ローラ本体を回転させながら前記外周面に研磨布紙を圧接させて前記外周面を研磨する処理をすることにより、前記多数の無機フィラーが、それぞれその一部を前記外周面に露出させた状態で前記架橋物中に埋め込まれて固着されていることを特徴とするものである。
未架橋のゴム組成物をチューブ状に成形したのち架橋して、少なくとも外周面が前記ゴム組成物の架橋物からなるローラ本体を形成する工程と、
前記ローラ本体の外周面を研磨する工程と、
前記外周面に酸化チタン、アルミナ、およびシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機フィラーを、外周面の単位面積あたり0.01mg/cm2以上、100mg/cm2以下の目付量で付着させた状態で前記ローラ本体を回転させながら、前記外周面に研磨布紙を圧接させて前記外周面を研磨する処理をすることにより、前記多数の無機フィラーを、それぞれその一部を前記外周面に露出させた状態で前記架橋物中に埋め込んで固着させる工程と、
を含むことを特徴とするものである。
また前記のようにゴム組成物中には無機フィラーを含有させず、架橋後のローラ本体の外周面にのみ選択的に無機フィラーを付着させているため、前記無機フィラーの使用量を必要最小限に抑えることができる。
したがってトナー搬送ローラは、前記露出された無機フィラーの作用によってトナー等の付着性が低く、前記トナーの現像効率に優れたものとなる。また、特に高負荷が加わる設定がされた画像形成装置に使用した場合でも、前記の性能を使用初期から長期間に亘って維持することができる。
図1は、本発明のトナー搬送ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1を参照して、この例のトナー搬送ローラ1は、その全体がゴム組成物の架橋物からなる円筒状のローラ本体2と、前記ローラ本体2の中心の通孔3に挿通されたシャフト4とを含んでいる。ローラ本体2の外周面5には、図示していないが多数の無機フィラーが、それぞれその一部を前記外周面に露出させた状態で前記架橋物中に埋め込まれて固着されている。
前記トナー搬送ローラ1は、例えばレーザープリンタ等の、電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで、帯電させたトナーを感光体の表面に搬送して前記表面に形成された静電潜像をトナー像に現像するための現像ローラ等として好適に使用することができる。
〈無機フィラーおよびその固着〉
ローラ本体2の外周面5に固着させる無機フィラーとしては、酸化チタン、アルミナ、およびシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
ただし、使用するトナーの種類等によっては、酸化チタンに代えてシリカやアルミナを使用してもよい。また前記3種の無機フィラーのうちの2種以上を併用することもできる。
前記のうち酸化チタンとしては、特に限定されず公知のものを用いることができる。
例えば結晶型による分類では、例えばアナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、およびアモルファスの種々の酸化チタンがいずれも使用可能であり、特にルチル型の酸化チタンが好ましい。
シリカとしては、やはり特に限定されず公知のものを用いることができる。またシリカとしては、トナーの特性に合わせた任意の表面処理(疎水処理や親水処理等)を施したものを用いてもよい。
前記ローラ本体2は、未架橋のゴム組成物をチューブ状に成形したのち架橋し、さらに必要に応じてその外周面5を研磨する等して得ることができる。
また前記のようにゴム組成物中には無機フィラーを含有させず、架橋後のローラ本体2の外周面5にのみ次工程で選択的に無機フィラーを付着させるため、前記無機フィラーの使用量を必要最小限に抑えることができる。
表面粗さRzが前記範囲内である外周面5は、例えば一般的な平均粒径4〜8μm程度のトナー(およそ2〜15μm程度の粒径分布を有する)を2〜4層程度積層した状態で搬送するのに適した凹凸を有するため、トナーの搬送性能に優れている。
これに対し本発明によれば、前記表面粗さRzの範囲を満足する外周面5に、先に説明したように多数の無機フィラーを、それぞれその一部を外周面5に露出させた状態で埋め込んで固着させることによって前記付着性を相殺して、前記の良好な搬送性能を維持しながら、トナー等の付着性が低く、トナーの現像効率に優れたトナー搬送ローラ1を得ることが可能である。
前記無機フィラーを水等と混合して塗工液を調製し、前記塗工液を、ローラ本体2の外周面5に塗工して乾燥させる。
ローラ本体2を前記塗工液に浸漬したのち引き上げて乾燥させる。
本発明において、前記外周面5に付着させる無機フィラーの目付量は0.01mg/cm2以上、100mg/cm2以下である必要がある。目付量を0.01mg/cm2未満とするためのごく少量の無機フィラー、あるいは100mg/cm2を超える範囲とするための多量の無機フィラーをローラ本体2の外周面5に均一に付着させることができないためである。
前記鏡面研磨機は、ローラ本体2を、シャフト4を中心として図中に実線の矢印で示す方向に一定速度で回転させる回転支持部(図示せず)と、前記回転支持部に支持されたローラ本体2の外周面5に、一定幅の長尺帯状に形成された研磨布紙(サンドペーパー等)6を圧接させて前記外周面5を研磨するための研磨部(図示せず)とを備えている。
研磨布紙6を、その長さ方向をシャフト4の軸方向と直交させて前記外周面5に一定の加圧量で圧接させた状態で保持する機能。
圧接させた前記研磨布紙6を、図中に黒矢印で示すように前記長さ方向の一方向に一定速度で送る機能。
前記研磨布紙6を左右動させながら一定速度で送りつつ研磨する位置を、図中に一点鎖線の矢印で示すようにシャフト4の軸方向に徐々にシフトさせる機能。
そしてこれら4つの機能を同時に実施することにより、前記外周面5の全面を均一に研磨処理することができる。
そのため、固着された無機フィラーの大部分において、その一部が外周面5に露出される。
前記研磨処理の条件は特に限定されず、ローラ本体2を形成する架橋物の硬さ、無機フィラーの種類や粒径、目付量等に応じて任意に調整することができる。一例として、後述する実施例では鏡面研磨機に#1000メッシュの研磨布紙を使用して、下記の条件で研磨処理を実施しているが、各条件は任意に変更できる。
研磨布紙の送り量:100mm/分
オシュレーション回数:50回/分
オシュレーション幅:2mm
往復(シフト)回数:0.5往復
加水:なし
〈ゴム組成物およびローラ本体〉
ローラ本体2は、組成等の異なる2層以上の層の積層構造であってもよいが、先に説明したように全体を同一のゴム組成物の架橋物からなる単層構造に形成するのが、設計値の再現を容易にして生産性を向上する上で好ましい。
(基材ゴム)
中でも、下記(1)〜(4)の少なくとも1つの条件を満足するゴムを基材ゴムとして含むゴム組成物を用いるのが好ましい。
(1) 分子中に塩素原子を含むゴム(塩素含有ゴム)。
(2) 溶解度パラメータ値(SP値)が18.0(MPa)1/2以上である、極性の高いゴム。
(3) イオン導電性を有するゴム。
(4) イオン導電剤を配合することでイオン導電性を付与したゴム。
前記のうち(1)の塩素含有ゴムは、例えばプラス帯電性のトナーを極めて容易に帯電させることができるという利点がある反面、塩素原子に起因して、分子中に塩素原子を含まないゴムと比べて粘着性が強いために、トナー等の付着性が高くなる傾向がある。
さらに(3)のイオン導電性を有するゴム、および(4)のイオン導電剤を配合してイオン導電性を付与したゴムは、トナー搬送ローラ1の電気特性を均一化したり、電気特性の設計値の繰り返し再現性を維持したりすることが容易である。しかしその反面、分子中にポリエーテル結合を含むゴムやイオン導電剤を使用し、水をイオン乖離させてイオン導電性が付与されるため表面自由エネルギーが高く、水との親和性が高い。そのため濡れやすく、トナー等の付着性が高くなる傾向がある。
前記のうち、ほぼ導電性を示さない塩素含有ゴムを基材ゴムとして使用する場合は、ローラ本体2にイオン導電性を付与するためにイオン導電剤と組み合わせるのが好ましい〔(4)のゴムに相当〕。
前記(2)のSP値の範囲を満足する極性の高いゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン系ゴム、ポリエーテル系共重合ゴム、アクリルゴム、ニトリル含量が20%以上であるニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム等の1種または2種以上が挙げられる。
また、それ自体がイオン導電性を示すエピクロルヒドリン系ゴム、ポリエーテル系共重合ゴムを基材ゴムとして用いる場合はイオン導電剤を省略できる〔(3)のゴムに相当〕。
またゴム組成物には、ローラ本体2の硬さ、柔軟性、強度、耐久性等を調整するために、前記(1)〜(4)のゴム以外の他のゴムを含有させても良い。
前記他のゴムとしては、例えばニトリル含量が任意の範囲であるNBR、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等の1種または2種以上が挙げられる。
基材ゴムの好適な例としては、
(A) エピクロルヒドリン系ゴム単独(2種以上のエピクロルヒドリン系ゴムの併用系を含む)
(B) クロロプレンゴムと、イオン導電剤としてのエピクロルヒドリン系ゴムおよび/またはポリエーテル系共重合ゴムとの併用系
(C) クロロプレンゴムと、NBRと、イオン導電剤としてのエピクロルヒドリン系ゴムおよび/またはポリエーテル系共重合ゴムとの併用系
(D) クロロプレンゴムとNBRとの併用系
が挙げられる。
前記のうちクロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系ゴムとの併用系において、両者の総量中に占めるエピクロルヒドリン系ゴムの割合は5質量%以上、特に20質量%以上であるのが好ましく、95質量%以下、特に80質量%以下であるのが好ましい。
またクロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系ゴムとポリエーテル系共重合ゴムとの併用系においては、3者の総量中に占めるエピクロルヒドリン系ゴムの割合は5質量%以上、特に10質量%以上であるのが好ましく、90質量%以下、特に70質量%以下であるのが好ましい。
クロロプレンゴムの割合は前記の残量である。すなわち3者の総量中に占めるクロロプレンゴムの割合は5質量%以上、特に10質量%以上であるのが好ましく、90質量%以下、特に80質量%以下であるのが好ましい。
エチレンオキサイドはエピクロルヒドリン系ゴムにイオン導電性を付与して体積固有抵抗値を下げる働きをするが、その含有割合が前記範囲未満では、かかる体積固有抵抗値の低減効果が不十分になるおそれがある。一方、エチレンオキサイドの含有割合が前記範囲を超える場合には、前記エチレンオキサイドの結晶化が起こって分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、却って体積固有抵抗値が上昇する傾向を生じるとともに、加硫前のゴムを混練する際の粘度を上昇させたり、架橋後のローラ本体2の硬さを上昇させたりするおそれがある。
エピクロルヒドリン系ゴムの、基材ゴムの総量中に占める割合の好適な範囲は、基材ゴムが前記(B)の2種または3種のゴムの併用系である場合、先に説明したとおりである。その他の場合は、基材ゴムの総量の5質量%以上、中でも15質量%以上、特に20質量%以上であるのが好ましい。
ポリエーテル系共重合ゴムとしては、例えばエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体、ウレタン系ゴム等の1種または2種以上が挙げられる。
エチレンオキサイドの含有割合が多いほど多くのイオンを安定化できて、体積固有抵抗値を低下できるものの、多すぎると、前記エチレンオキサイドの結晶化が起こって分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、却って体積固有抵抗値が上昇する傾向を生じる。
またアリルグリシジルエーテルを共重合させることにより、ポリエーテル系共重合ゴムに炭素−炭素間の二重結合を導入して他のゴムとの共架橋を可能にして、ブリードや感光体の汚染を防止できる。
含有割合が前記範囲未満では、アリルグリシジルエーテルを共重合させることによる前記の効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超えてもそれ以上の効果が得られないだけでなく、架橋点が多くなりすぎて、却って体積固有抵抗値が上昇したり、ローラ本体の引張強度や疲労特性、耐屈曲性等が低下したりするおそれがある。
前記三元共重合体における前記3成分のモル比EO/PO/AGE=50〜95/1〜49/1〜10であるのが好ましい。
ポリエーテル系共重合ゴムの、基材ゴムの総量中に占める割合の好適な範囲は、基材ゴムが前記(B)の3種のゴムの併用系である場合、先に説明したとおりである。その他の場合は、基材ゴムの総量の5質量%以上、特に10質量%以上であるのが好ましい。また前記割合は、耐水性の観点から30質量%以下、特に25質量%以下であるのが好ましい。
このうち硫黄変性タイプのクロロプレンゴムは、硫黄とクロロプレンとを共重合させたポリマを、チウラムジスルフィド等を用いて可塑化して所定のムーニー粘度となるように調整したものである。
メルカプタン変性タイプのクロロプレンゴムを合成する際に使用するメルカプタン系の分子量調整剤としては、例えばn−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン等が挙げられる。またキサントゲン変性タイプのクロロプレンゴムを合成する際に使用するキサントゲン系の分子量調整剤としては、例えばアルキルキサントゲン化合物が挙げられる。
本発明では、前記いずれのクロロプレンゴムを使用してもよいが、特に非硫黄変性タイプで、かつ結晶化速度が遅いタイプのクロロプレンゴムを用いるのが好ましい。
またクロロプレンゴムとしては、クロロプレンと他の1種または2種以上の単量体との共重合体を用いることもできる。
クロロプレンゴムの、基材ゴムの総量中に占める割合の好適な範囲は、基材ゴムが前記(B)の2種または3種のゴムの併用系である場合、先に説明したとおりである。
中でも導電性付与の観点から、基材ゴムの総量の5質量%以上であるのが好ましい。またゴムの均一性の観点からは、基材ゴムの総量の10質量%以上であるのが好ましい。
さらに、併用する他のゴムの特性を十分に活かすことを考慮すると、クロロプレンゴムの、基材ゴムの総量中に占める割合は80質量%以下、特に60質量%以下であるのが好ましい。
ただし基材ゴムを低比重化してローラ本体2を軽量化することを考慮すると低ニトリルNBRが好ましい。
またNBRは、トナーの種類によっては水素添加やカルボキシル化等を施して帯電性を調製することもできる。
前記基材ゴムを架橋させるための架橋剤としては硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物系架橋剤、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。また有機含硫黄化合物等としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等が挙げられる。
過酸化物系架橋剤としてはべンゾイルベルオキシド等が挙げられる。
架橋剤の配合量は、基材ゴム100質量部あたり0.2質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
前記併用系において硫黄の配合量は、基材ゴム100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.2質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
硫黄の配合量が前記範囲未満では、ゴム組成物の全体での架橋速度が遅くなり、架橋に要する時間が長くなってトナー搬送ローラ1の生産性が低下するおそれがある。また前記範囲を超える場合には架橋後のローラ本体2の圧縮永久ひずみが大きくなったり、過剰の硫黄がローラ本体の外周面にブルームしたりするおそれがある。
チオウレア類の配合量を前記範囲内とすることにより、ブルームや感光体汚染を起こしにくくできる上、ゴムの分子運動をあまり妨げないためより低い体積固有抵抗値を実現できる。
すなわち、基材ゴム100gあたりのチオウレア類の配合量が0.0001モル未満では圧縮永久ひずみを改善しにくく、0.0009モル未満では体積固有抵抗値を十分に低下させることができない。―方、0.0800モルを超えるとブルームや感光体汚染を生じたり、破断伸び等の機械的物性が極度に悪化したりしやすい。
促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、下記の有機促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機促進剤としては、例えばジ−オルト−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−オルト−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−オルト−トリルグアニジン塩等のグアニジン系促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤;N−シクロへキシル−2−べンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系促進剤;テトラメテルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系促進剤;チオウレア系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
促進助剤としては、亜鉛華等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の促進助剤が挙げられる。
促進助剤の配合量は、基材ゴム100質量部あたり0.5質量部以上、特に2質量部以上であるのが好ましく、10質量部以下、特に8質量部以下であるのが好ましい。
イオン導電剤としては、例えぱフルオロ基(F−)およびスルホニル基(−SO2−)を有する陰イオンを備えた塩等が挙げられる。具体的には、例えばビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メタンの塩、フルオロアルキルスルホン酸の塩等の1種または2種以上が挙げられる。
前記イオン導電剤の具体例としては、例えばLiCF9SO3、LiN(SO2CF3)2、LiC(SO2CF3)、LiCH(SO2CF3)2、LiSF6CF2S03等の1種または2種以上が挙げられる。
(その他)
ゴム組成物には、前記各成分に加えて、さらに他の成分を配合してもよい。かかる他の成分としては、例えば誘電正接調整剤等が挙げられる。
弱導電性カーボンブラックとは、粒径が大きくストラクチャーの発達が小さいため導電性への寄与が小さいカーボンブラックであって、かかる弱導電性カーボンブラックを配合することにより、ローラ本体2の導電性を高めることなしに、分極作用によるコンデンサ的な働きを得ることができ、先に説明したイオン導電性による体積固有抵抗値の均一化を損なうことなしに、帯電性のコントロールを実現できる。
また表面積をできるだけ小さくすることを考慮すると、前記弱導電性カーボンブラックは、球形またはそれに近い形状を有しているのが好ましい。
前記弱導電性カーボンブラックの具体例としては、大粒径を得やすいファーネス法、サーマル法によって製造されたカーボンブラック、特にSRF、FT、MT等のファーネスブラックの1種または2種以上が挙げられる。また顔料用のカーボンブラックを用いることもできる。
ゴム組成物には、電子導電剤を配合してもよい。
前記電子導電剤としては、例えば導電性カーボンブラック、導電性金属酸化物(導電性酸化亜鉛、チタン酸カリウム、アンチモンドープ酸化チタン、酸化スズ等)、グラファイト、カーボン繊維などの1種または2種以上が挙げられる。
基材ゴムの少なくとも1種が塩素原子を含有する場合、ゴム組成物には受酸剤を配合するのが好ましい。受酸剤を配合することにより、ゴムの架橋時に発生する塩素系ガスの残留と、それによる架橋阻害や感光体の汚染を防止できる。
また前記ハイドロタルサイト類等を、酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用すると、より高い受酸効果を得ることができ、感光体の汚染をより一層確実に防止できる。
配合量が前記範囲未満では、誦さん剤を含有させることによる前記効果が十分に得られないおそれがある。また配合量が前記範囲を超える場合には、架橋後のローラ本体2の硬さが上昇するおそれがある。
前記のうち可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルホスフェ―ト等の各種可塑剤やワックス等が挙げられる。
これら可塑成分の配合量は、基材ゴム100質量部あたり5質量部以下であるのが好ましい。後述するようにローラ本体2の外周面5に酸化膜を形成する際にブリードを生じたり、画像形成装置への装着時や運転時に感光体の汚染を生じたりするのを防止するためである。前記ブリードや感光体の汚染を防止することを考慮すると、可塑成分としては極性ワックスを使用するのが特に好ましい。
ローラ本体2の外周面5に酸化膜を形成する場合で、ゴム組成物に酸化防止剤を配合する場合は、前記酸化膜の形成が効率よく進むように、前記酸化防止剤の配合量を適宜設定するのが好ましい。
充填剤としては、酸化亜鉛、シリカ、カ―ボン、カーボンブラック、クレー、タルク、 炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の粉体の1種または2種以上が挙げられる。
充填剤の配合量は、基材ゴム100質量部あたり60質量部以下、特に50質量部以下であるのが好ましい。
なお前記弱導電性カーボンブラック、導電性カーボンブラックは、それぞれ充填剤としての役割も果たす。
スコ―チ防止剤の配合量は、基材ゴム100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に1質量部以下であるのが好ましい。
ローラ本体2を形成するには、まず基材ゴムを素練りし、次いで架橋剤等以外の成分を加えて混練した後、最後に架橋剤等を加えて混練することでゴム組成物を調製する。前記混練には、例えばニーダ、バンバリミキサ、押出機等を用いることができる。
次いで前記ゴム組成物を、押出成形機を用いて混練しながら加熱して溶融させた状態で、前記ローラ本体2の断面形状、すなわち円環状に対応するダイを通してチューブ状に押出成形し、冷却して固化させたのち、通孔3に加硫用の仮のシャフトを挿通して加硫缶内で加熱して加硫させる。
そして必要に応じてローラ本体2の外周面5を所定の表面粗さになるように研磨することで、前記シャフト4と一体化されたローラ本体2が形成される。
ローラ本体2の厚みは、前記現像ローラとして使用する場合、前記現像ローラの小型化、軽量化を図りながら適度なニップ厚を確保するために厚みが0.5mm以上、中でも1mm以上、特に3mm以上であるのが好ましく、15mm以下、中でも10mm以下、特に7mm以下であるのが好ましい。
なお先に説明したように酸化膜は、外周面近傍の酸素濃度を高くして表面自由エネルギーを上昇させ、それによって、トナー等の付着性を高くする働きもする。しかし本発明では、前記外周面5に多数の無機フィラーを固着させることによって前記付着性を相殺して、酸化膜の持つ、前記の摩擦係数を低下させてナーを物理的に離れやすくする機能のみを有効に発揮させることができる。
単層構造のローラ本体2のショアA硬さは60以下、特に50以下であるのが好ましい。これは、ショアA硬さが前記範囲を超えるローラ本体は柔軟性が不足し、広いニップ幅を確保してトナーの現像効率を向上する効果や、トナーへのダメージを低減する効果が得られないためである。
なおローラ本体2に適度な強度を付与して、例えば前記ローラ本体2の両端からトナーが漏出するのを防止するためにその外周面5に摺接されるシール部等に対する適度な耐摩耗性等を付与することを考慮すると、ローラ本体2のショアA硬さは、前記範囲内でも30以上、特に35以上であるのが好ましい。
トナー搬送ローラ1は、ローラ本体2の外周面5に無機フィラーを固着させる前に、温度23±1℃、相対湿度55±1%の条件下で測定される、印加電圧5Vでのローラ抵抗が103Ω以上であるのが好ましく、109Ω以下、特に108Ω以下であるのが好ましい。
現像ローラのローラ抵抗を104Ω以上、特に105Ω以上とすることで、流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制したり、感光体への放電を防いだりできる。また前記ローラ抵抗を108Ω以下とすることで、トナーが感光体に移行する際に現像ローラの電圧降下が起こってそれ以降、現像ローラから感光体にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じるのを防止できる。さらにローラ抵抗を107Ω以下とすることで、より幅広い環境下で良好な画像を形成できる。
図1、図3を参照して、本発明では前記ローラ抵抗を、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
すなわち一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム7を用意し、前記アルミニウムドラム7の外周面8に、その上方から、ローラ抵抗を測定するトナー搬送ローラ1の、酸化膜を形成する前のローラ本体2の外周面5を当接させる。
次いでシャフト4の両端部にそれぞれ500gの荷重Fをかけてローラ本体2をアルミニウムドラム7に圧接させた状態で、前記アルミニウムドラム7を回転(回転数:30rpm)させながら、前記両者間に、直流電源9から直流5Vの印加電圧Eを印加した際に、抵抗10にかかる検出電圧Vを4秒間で100回計測する。
R=r×E/(V−r) (i′)
によって求められる。ただし式(i′)中の分母中の−rの項は微小とみなすことができるため、本発明では式(i):
R=r×E/V (i)
によって求めた値でもってトナー搬送ローラ1のローラ抵抗とすることとする。測定の条件は、先に説明したように温度23±1℃、相対湿度55±1%である。
またローラ本体2は、トナー搬送ローラ1の用途等に応じて任意の圧縮永久ひずみを有するように調整できる。前記圧縮永久ひずみ、ショアA硬さ、ローラ抵抗、並びに誘電正接等を調整するためには、例えばゴム組成物を構成する各成分の種類と量を調整したりすればよい。
〈実施例1〉
(ローラ本体の形成)
基材ゴムとして、クロロプレンゴム〔昭和電工(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕65質量部と、エピクロルヒドリンゴム〔GECO、ダイソー(株)製のエピオン(登録商標)ON301、EO/EP/AGE=73/23/4(モル比)〕35質量部とを配合した。
硫黄系架橋剤:粉末硫黄
チオウレア系架橋剤:エチレンチオウレア〔2−メルカプトイミダゾリン、川口化学工業(株)製のアクセル(登録商標)22−S〕
促進剤DT:1,3−ジ−o−トリルグアニジン〔グアニジン系促進剤、大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)DT〕
促進助剤:酸化亜鉛2種〔三井金属鉱業(株)製〕
導電性フィラー:導電性カーボンブラック〔電気化学工業(株)製のデンカブラック(登録商標)〕
受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT−4A(登録商標)−2〕
表中の質量部は、前記基材ゴムの総量100質量部あたりの質量部である。
次いで、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ10mmのシャフトに装着し直して、オーブン中で160℃に加熱して接着したのち両端をカットし、外周面を、円筒研磨機を用いトラバース研磨したのち仕上げとして鏡面研磨をして、外径がφ20.0mm(公差0.05)、外周面の表面粗さRzが3〜5μmになるように仕上げて、前記ゴム組成物の加硫物からなり、前記シャフトと一体化されたローラ本体を形成した。なお表面粗さRzは、日本工業規格JIS B0601−1994に従って測定した。
無機フィラーとしては、ルチル型の酸化チタン〔粒径:0.3〜0.5μm、チタン工業(株)製のKR−380〕を用いた。
研磨後のローラ本体の外周面を水洗いして乾燥させたのち、シャフトを水平に保持した状態で前記ローラ本体を回転させながら、前記酸化チタンを前記外周面に撒布し、次いで前記外周面に圧接させたステンレス鋼製の均し板によって均して付着させた。撒布量は0.002g、目付量は0.02mg/cm2であった。
研磨処理の条件は下記のとおり。
加圧量(切込量):0.200mm
研磨布紙の送り量:100mm/分
オシュレーション回数:50回/分
オシュレーション幅:2mm
往復(シフト)回数:0.5往復
加水:なし
処理後の外周面を顕微鏡によって観察したところ、多数の酸化チタンが、それぞれその一部を外周面に露出させた状態で、前記外周面を形成する前記ゴム組成物の架橋物中に埋め込まれて固着されているのが確認された。
酸化チタンの撒布量を0.157g、目付量を1mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
〈実施例3〉
酸化チタンの撒布量を0.628g、目付量を4mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
酸化チタンの撒布量を3.925g、目付量を25mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
〈実施例5〉
酸化チタンの撒布量を10.99g、目付量を70mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
酸化チタンの撒布量を15.70g、目付量を100mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
〈実施例7〉
基材ゴムとして、クロロプレンゴム〔前出の、昭和電工(株)製のショウプレンWRT〕65質量部と、ニトリルゴム〔日本ゼオン(株)製のNipol 401LL、低ニトリルゴム、結合アクリロニトリル量(中心値):18.0%〕35質量部とを配合したこと、および酸化チタンの撒布量を0.628g、目付量を4mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
無機フィラーとしてアルミナ〔粒径:0.4μm、昭和電工(株)製のAL−160SG−1〕を使用し、前記アルミナの撒布量を0.628g、目付量を4mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
〈実施例9〉
無機フィラーとしてシリカ〔粒径20nm、東ソー・シリカ(株)製のVN3〕を使用し、前記シリカの散布量を0.628g、目付量を4mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
ローラ本体の外周面に酸化チタンを撒布したものの、前記外周面を、鏡面研磨機を用いて研磨する処理をしなかったこと、および酸化チタンの撒布量を0.157g、目付量を1mg/cm2としたこと以外は実施例1と同様にしてトナー搬送ローラを製造した。
処理後の外周面を顕微鏡によって観察したところ、多数の酸化チタンが、前記外周面を形成する前記ゴム組成物の架橋物中には埋め込まれずに、前記外周面に付着しているだけであるのが確認された。
酸化チタンの撒布量を0.0005g、目付量を0.005mg/cm2としたところ、外周面に均一に酸化チタンを付着させることができなかった。そのため後述する各種測定はしなかった。
〈比較例3〉
酸化チタンの散布量を17.27g、目付量を110mg/cm2としたところ、外周面に均一に酸化チタンを付着させることができなかった。そのため後述する各種測定はしなかった。
基材ゴムとして、クロロプレンゴム〔前出の、昭和電工(株)製のショウプレンWRT〕65質量部と、エピクロルヒドリンゴム〔GECO、前出の、ダイソー(株)製のエピオンON301〕35質量部とを配合した。
前記基材ゴムの総量100質量部を、バンバリミキサを用いて素練りしながら、前記表1に示す各成分と、無機フィラーとしてのルチル型の酸化チタン〔前出の、チタン工業(株)製のKR−380〕20質量部とを加えてさらに混練してゴム組成物を調製した。
次いで、研磨後のローラ本体の外周面を水洗いしたのち、UVランプから前記外周面までの距離が10cmになるように設定して紫外線照射装機〔セン特殊光源(株)製のPL21−200〕にセットし、シャフトを中心として90°ずつ回転させながら、波長184.9nmと253.7nmの紫外線を5分間ずつ照射することで前記外周面に酸化膜を形成してトナー搬送ローラを製造した。
実施例1〜9、比較例1で製造途中の、無機フィラーを撒布する前のローラ本体2、および従来例1で製造したトナー搬送ローラのローラ本体のショアA硬さを、日本工業規格JIS K6253に記載の測定方法に則って温度23±1℃の条件で測定した。
〈ローラ抵抗の測定〉
実施例1〜9、比較例1で製造途中の、ローラ本体の外周面に無機フィラーを撒布する前のトナー搬送ローラ、および従来例1で製造したトナー搬送ローラのローラ抵抗を、先に説明した測定方法によって測定した。なお表2、表3ではローラ抵抗をlogR値で示している。
実施例1〜9、比較例1、従来例1で製造したトナー搬送ローラを市販のレーザープリンタ〔プラス帯電の非磁性1成分トナーを使用したもので、トナー推奨印刷枚数約7000枚相当〕のトナーカートリッジに現像ローラとして組み込んで画像形成した際に、トナー量の変化、すなわち形成画像におけるトナー積層量の変化を指標としてトナー付着性を評価した。トナー積層量は、以下に示す透過濃度の測定から求めた。
透過濃度は1.6以上、1.8未満:薄い。トナー積層量は小。トナー付着性は高い(△)。
透過濃度は1.6未満:極めて薄い。トナー積層量は極めて小。トナー付着性は極めて高い(×)。
トナー搬送量は0.40mg/cm2以上、0.50mg/cm2未満:トナー搬送量は小。トナー付着性は低い(○)。
トナー搬送量は0.50mg/cm2以上、0.60mg/cm2未満:トナー搬送量はやや大。トナー付着性はやや高い(△)。
次いで、1%濃度の画像を102枚目から2999枚目まで連続して画像形成したのち、次の3000枚目に黒ベタ画像、3001枚目に白ベタ画像を形成したのち、前記と同様にしてトナー搬送量を測定して、前記の基準でトナー付着性を評価した。
また前記100枚目と3000枚目の黒ベタ画像を観察して、下記の基準で耐久性(画像の均一性)を評価した。
△:3000枚目の画像でムラが発生した。耐久性やや不良。
×:両画像ともにムラが発生した。耐久性不良。
以上の結果を表2、表3に示す。
また目付量が100mg/cm2以下であるものの25mg/cm2を超えた実施例5、6は、いずれも前記目付量が25mg/cm2以下であった実施例2〜4に比べて無機フィラーの撒布に時間がかかる上、研磨時に脱落する無機フィラーの量が多く材料の無駄を生じた。このことから、前記目付量は25mg/cm2以下であるのが好ましいことが判った。
2 ローラ本体
3 通孔
4 シャフト
5 外周面
6 研磨布紙
7 アルミニウムドラム
8 外周面
9 直流電源
10 抵抗
11 計測回路
Claims (4)
- 少なくとも外周面がゴム組成物の架橋物からなるローラ本体を有するトナー搬送ローラであって、
前記架橋物からなるローラ本体の外周面に、酸化チタン、アルミナ、およびシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機フィラーを、外周面の単位面積あたり0.01mg/cm2以上、100mg/cm2以下の目付量で付着させた状態で、前記ローラ本体を回転させながら前記外周面に研磨布紙を圧接させて前記外周面を研磨する処理をすることにより、前記多数の無機フィラーが、それぞれその一部を前記外周面に露出させた状態で前記架橋物中に埋め込まれて固着されていることを特徴とするトナー搬送ローラ。 - 前記無機フィラーは、平均粒径が1nm以上、10μm以下である請求項1に記載のトナー搬送ローラ。
- 未架橋のゴム組成物をチューブ状に成形したのち架橋して、少なくとも外周面が前記ゴム組成物の架橋物からなるローラ本体を形成する工程と、
前記ローラ本体の外周面を研磨する工程と、
前記外周面に酸化チタン、アルミナ、およびシリカからなる群より選ばれた少なくとも1種の無機フィラーを、外周面の単位面積あたり0.01mg/cm2以上、100mg/cm2以下の目付量で付着させた状態で前記ローラ本体を回転させながら、前記外周面に研磨布紙を圧接させて前記外周面を研磨する処理をすることにより、前記多数の無機フィラーを、それぞれその一部を前記外周面に露出させた状態で前記架橋物中に埋め込んで固着させる工程と、
を含むことを特徴とするトナー搬送ローラの製造方法。 - 前記研磨の工程において、前記無機フィラーを固着させる前の外周面を、表面粗さRzが2μm以上、15μm以下となるように研磨する請求項3に記載のトナー搬送ローラの製造方法。
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