JP5073241B2 - 半導電性ロール - Google Patents
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Description
あわせてイオン導電性を示すエチレンオキサイドモノマーが重合されている場合は、表面自由エネルギーが上がり濡れやすくなり、半導電性部材に対するトナーの付着性が高くなる。
さらに表面に紫外線照射やオゾン暴露などを施し酸化膜を形成させると、その部分の酸素濃度が高くなるため表面自由エネルギーが上がり半導電性部材に対するトナーの付着性がさらにます可能性がある。
加えて誘電正接を0.1〜1.5とした場合はトナーの帯電性を向上できトナーの搬送量を低減できるためハーフトーン画像など高画質な画像が実現できるが、一方で現像ロール上のトナーの積層量が少なくなるため、現像ロールに対するトナーの付着性がさらにます可能性がある。
・印刷をほどよく行い、トナーが現像ロールに比較的なじんだ時点
(例えば1%印字画像を2,000枚程度印刷した時点)
・トナーの平均粒径が8μm以下、特に6μm以下の場合
・連続的に印刷せず、例えば一日停止して翌日印刷した場合
・トナーの帯電量が比較的高い低温低湿環境において使用する場合
・高画質を目指してトナーの帯電量を高く設定したプリンターを使用する場合
当該現像ロールにおいては、ブラスト処理表面のピーク部に酸化物粉体が付着することにより、その表面粗さが緩和されてトナーの過帯電が発生することがなく、その結果、画像形成装置の稼働初期においても黒点等の画像不良が発生することがないという利点を有する。
さらに、特許文献2には現像ロールに対するトナーの付着性の軽減については記載も示唆もされていない。
第2の発明として、トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、
前記最外層の最表面に酸化膜が形成されていることを特徴とする半導電性ロールを提供している。
第3の発明として、電子写真装置の画像形成機構において、非磁性1成分トナーを用いた現像装置に用いられるトナー搬送部を有する現像ロールからなる半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含んでいることを特徴とする半導電性ロールを提供している。
前記塩素原子を有する樹脂またはゴムとしては、塩素原子を有すれば公知の樹脂またはゴムであってよいが、例えばクロロプレンゴム、塩素化ブチル、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンもしくは塩化ビニルなどの非導電性樹脂またはゴム、またはエピクロルヒドリン系共重合体などの導電性樹脂またはゴムが挙げられる。
もちろん塩素原子を有する樹脂またはゴムとして導電性樹脂またはゴムを用いる場合でも、さらに塩素原子を持たないイオン導電性樹脂またはゴムを組み合わせてもよい。
例えば、クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、クロロプレンゴム(C)の含有量が5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部とすることが好適である。
クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とポリエーテル系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が5〜90質量部、好ましくは10〜70質量部、ポリエーテル系共重合体の含有量が5〜40質量部、好ましくは5〜20質量部、クロロプレンゴムの含有量が5〜90質量部、好ましくは10〜80質量部とすることが好適である。このような配合比にすることにより、3成分をうまく分散させることができ強度をはじめとする物性を向上させることができる。より好ましくは、質量比でエピクロルヒドリン系共重合体:クロロプレンゴム:ポリエーテル系共重合体=2〜5:4〜7:1である。
また、エピクロルヒドリン系共重合体としては、エピクロルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)共重合体を用いることもできる。前記共重合体中のEO:EPの好ましい含有比率はEO:EP=30〜80モル%:20〜70モル%であり、さらに好ましい比率はEO:EP=50〜80モル%:20〜50モル%である。
ポリエーテル系共重合体中のアリルグリシジルエーテル含量としては1〜10モル%が好ましい。1モル%未満ではブリードや感光体汚染の発生が起こり易くなる一方、10モル%を越えると、それ以上の結晶化の抑制効果は得られず、加硫後の架橋点の数が多くなり、却って低抵抗化が実現できず、また、引張強度や疲労特性、耐屈曲性等が悪化することとなる。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤として使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤として使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶加速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
また、本発明において、クロロプレンゴムとしてクロロプレンゴムに類似の構造を有するゴムまたはエラストマーを用いることもできる。例えば、クロロプレンと他の共重合可能な単量体1種以上との混合物を重合させて得られた共重合体を用いてもよい。クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン並びにアクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル類などが挙げられる。
本発明においてはゴム比重を低減するために比重の小さい低ニトリルNBRを用いることが好ましい。クロロプレンゴムとの混合性を鑑みれば中ニトリルNBRまたは低ニトリルNBRを用いることが好ましく、より具体的には溶解パラメーターの観点からアクリロニトリル含量が15〜39%、好ましくは17〜35%、より好ましくは20〜30%のNBRを用いることが好適である。
本発明で用いる酸化チタンとしては特に限定されず公知のものを用いればよい。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができるが、なかでもルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンは、例えば硫酸法や塩素法、または例えばチタンアルコキシド、チタンハライドもしくはチタンアセチルアセトネート等の揮発性チタン化合物の低温酸化(熱分解や加水分解)により得られる。
本発明で用いる酸化チタンにおいては粒径が0.5μm以下である粒子が50%以上含まれていることが好ましい。この場合に酸化チタンの分散性がよくなるからである。なかでも、平均粒径が0.1〜0.5μmである酸化チタンを用いることが好ましい。
流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制し、感光体への放電を防ぐためロール電気抵抗は105Ω以上であることが好ましい。また、例えばトナー供給等の効率を維持し、トナーが感光体に移行する際に現像ロールの電圧降下が起こり以後現像ロールから感光体へ確実にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じることを防ぐためにはロール電気抵抗は108Ω以下であることが好ましい。また、107Ω以下であると、より幅広い環境下でも使用でき極めて有用である。なお、ロール電気抵抗は実施例に記載の方法で測定する。
最外層を構成する樹脂またはゴムにイオン導電性を示す樹脂またはゴムが含まれる場合は、その配合量を調整することによりイオン導電性とすることができる。もちろん下記するイオン導電剤を併用してもよい。
最外層を構成する樹脂またはゴムにイオン導電性を示す樹脂またはゴムが含まれない場合はイオン導電剤を添加する。
イオン導電剤の配合量は、その種類によって適宜選択することができるが、例えばゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
半導電性ロールの電気特性において誘電正接とは、電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメーターでもあり、電圧をかけた時のコンデンサー成分割合の大きさを示している。 即ち、誘電正接はトナーが量規制ブレードにより高圧で現像ロールに接触した際に生成される帯電量と感光体へ搬送されるまでにロール上に逃げる帯電量とにより表され、感光体接触直前の帯電量を示す指標となる。
誘電正接が大きいと電気(電荷)を通しやすく分極は進みにくい。逆に誘電正接が小さいと電気(電荷)を通しにくく分極が進むことになる。よって、誘電正接が小さい方がロールのコンデンサー的特性が高く、摩擦帯電で生じたトナー上の電荷をロールから逃すことなく維持できる。すなわち、トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができる。かかる効果を得るために誘電正接を約1.8以下としている。また、帯電量が上がりすぎて印刷濃度が低下しすぎるのを防ぐため、さらには誘電正接を調整するための添加物の量が多くなり硬くなるを避けるため、誘電正接は約0.1以上としている。
誘電正接の下限は0.3以上がより好ましく、0.5以上が最も好ましく、また上限は1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、0.8以下が最も好ましい。
誘電正接の測定条件として5Vの微小電圧を印加しているのは、前記半導電性ロールを現像ロールとした場合、現像ロールがトナーを保持した際、また、トナーを感光体に搬送した際には極めて微小な電圧変動を生じるためである。
また、周波数を100Hzとしているのは、現像ロールの回転数、現像ロールが接触または近接する感光体やブレード、トナー供給ロールとのニップを考慮すると100Hz程度の低周波数が極めて事象に適合するためである。
前記弱導電性カーボンブラックとして、一次粒径が80nm以上、好ましくは100nm以上のものを用いれば、より有効に前記効果が得られる。また、一次粒径が500nm以下、好ましくは250nm以下であると表面粗さを極めて小さくできる。前記弱導電性カーボンブラックの形状は表面積が小さいことから球形状または球形に近い形状が好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法またはサーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、ファーネスカーボンブラックがより好ましい。カーボンの分類で言うとSRFやFT、MTが好ましい。また顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
弱導電性カーボンブラックの配合量は、他の成分との混合性の観点から10〜60質量部であることがより好ましく、25〜55質量部であることが特に好ましい。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量はゴム成分100質量部に対して30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部である。誘電正接を低減する効果を実質的に発揮するためには30質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇および抵抗の変動を避けるためには80質量部以下であることが好ましい。
酸化膜としては多数のC=O基またはC−O基等を有する酸化膜が好ましい。酸化膜は最外層の表面に紫外線照射あるいは/およびオゾン照射等の処理を施し、最外層の表層部分を酸化することで形成されている。なかでも紫外線照射により酸化膜を形成することが、処理時間が早く、コストも低いことから好ましい。
また、紫外線照射を施す場合、NBRなど紫外線で劣化しやすいゴムは50質量部以下の配合が好ましい。紫外線を照射する場合特にクロロプレンおよびクロロプレン系ゴムの添加は極めて有効である。
前記摩擦係数の測定は、図4に示すように、デジタルフォースゲージ((株)イマダ製「Model PPX−2T」)41と、摩擦片(市販のポリエステル製のOHPフィルム、ロール長手方向との接触幅;50mm)42と、20gの重り44と、導電性ゴムローラ43とからなる図4に示した装置においてデジタルフォースゲージ41で測定された数値をオイラーの式に代入し、摩擦係数を算出した。
なお、表面粗さRzはJIS B 0601(1994)に準拠して測定する。
トナー搬送部は、上述してきた条件を満たす最外層に備えていればその構造は特に問わず、要求性能に応じて2層等の複層構造としてもよいが、最外層の一層からなる構造とすると物性のばらつきが少なく安価に製造できるため好ましい。
当該トナーシール部にも前記誘電正接調整剤を配合して、誘電正接を0.1〜1.8とすることが好ましい。
なかでも、前記第3の発明では、非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ロールとして用いられるものに特定している。電子写真装置の画像形成機構における現像方式としては感光体と現像ロールの関係で分類すると接触式または非接触式に大別されるが、本発明の半導電性ロールはいずれの方式にも利用できる。
本発明の半導電性ロールは、現像ロールの他、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナー像を感光体から転写ベルトや用紙に転写するための転写ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、残留しているトナーを除去するためのクリーニングロール等として用いることもできる。
この酸化チタン配合によるトナーの付着低減効果はゴム成分の種類および組成や表面酸化膜の有無、半導電性ロールの物性(特に誘電正接)等によって影響を受けることがない。また、環境や印刷状況によっても左右されず、長期にわたって、少なくともトナーが半導電性ロールに比較的なじんだ時点においても、その効果を維持し続ける。
その結果、本発明の半導電性ロールを電子写真装置の画像形成機構における現像ロールとして用いた場合は、印刷濃度が低下することなく、安定した濃度の印刷物を得ることができる。
現像ロールとして用いる半導電性ロール10は図1に示すように、円筒形状の肉厚0.5〜15mm、好ましくは0.5〜15mm、より好ましくは3〜8mmのトナー搬送部1と、その中空部に圧入された円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナー4が漏れるのを防止するシール部3を備えている。前記トナー搬送部1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。トナー搬送部1の肉厚を0.5〜15mmとしているのは、前記範囲より小さいと適当なニップを得にくく、前記範囲より大きいと部材が大きすぎて小型軽量化を図りにくいからである。そして、トナー搬送部1の最表面には酸化膜が形成されている。
芯金2は、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等とすることができる。
シール部3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートから構成されている。
図1に示した半導電性ロール10の製造方法について、以下に述べる。
トナー搬送部1を構成する成分をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃で15〜70分間加硫したのち、芯金2を挿入・接着し表面を研磨した後、所要寸法にカットし、適宜研磨を施してロール状とする。加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。また、加硫温度は必要に応じて前記温度に上下して定めてもよい。なお、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定することが好ましい。また、発泡剤等を配合して、発泡ロールを形成させてもよい。
塩素原子を有する樹脂またはゴムとしては、エピクロルヒドリン系共重合体とクロロプレンゴムとを組み合わせて用いる。前記各ゴム成分の配合比は、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が25〜50質量部、クロロプレンゴムの含有量が50〜75質量部としている。
エピクロルヒドリン系共重合体としては、エチレンオキサイド:エピクロルヒドリン:アリルグリシジルエーテルの含有比率が60〜80モル%:15〜40モル%:2〜6モル%であるエチレンオキサイド−エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を用いている。
クロロプレンゴムとしては、非硫黄系クロロプレンゴムを用いている。
ポリエーテル系共重合体としては、エチレンオキサイド:プロピレンオキサイド:アリルグリシジルエーテルの含有比率が80〜95モル%:1〜10モル%:1〜10モル%であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を用いる。当該共重合体の数平均分子量Mnは1万以上であることが好ましく、3万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましい。
酸化チタンの配合量は、塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して5〜60質量部としている。
加硫剤の配合量はゴム成分100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
硫黄は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下、好ましくは0.2質量部以上2質量部以下の割合で含まれているのが良い。前記範囲としているのは、0.1質量部より小さいと組成物全体の加硫速度が遅くなり生産性が悪くなりやすいためである。一方、5.0質量部より大きいと圧縮永久ひずみが大きくなったり、硫黄や促進剤がブルームしたりする可能性があるためである。
また、チオウレア類をゴム成分100gに対して合計0.0009mol以上0.0800mol以下、好ましくは0.0015mol以上0.0400mol以下の割合で配合しているのが良い。前記チオウレア類を前記範囲で配合することにより、ブルームや感光体汚染を起こりにくくすることができると共に、ゴムの分子運動をあまり妨げないためより低い電気抵抗を実現できる。また、チオウレア類の添加量を増やし架橋密度を上げるほど電気抵抗値を下げることができる。すなわち、チオウレア類の配合量が0.0009molより少ないと圧縮永久ひずみを改善しにくい、あるいは電気抵抗値を下げにくく、一方0.0800molより多いとゴム組成物表面からチオウレア類がブルームし感光体を汚染したり、破断伸び等の機械的物性が極度に悪化しやすいためである。
加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)もしくはリサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。有機促進剤としては、ジ−オルト−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−オルト−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−オルト−トリルグアニジン塩等のグアニジン系;2−メルカプト・ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;チオウレア系等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上2質量部以下がより好ましい。
加硫促進剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましい。
受酸剤としては酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類または酸化マグネシウムを用いることが好ましく、特にハイドロタルサイトを用いることがより好ましい。さらに、これらに酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用することにより高い受酸効果が得られ、感光体汚染をより確実に防止することができる。
受酸剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し1質量部以上10質量部以下、好ましくは1質量部以上5質量部以下としている。加硫阻害および感光体汚染を防止する効果を有効に発揮させるため受酸剤の配合量は1質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇を防ぐため受酸剤の配合量は10質量部以下であることが好ましい。
充填剤の添加量はゴム成分100質量部に対し60質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましい。なお、前記弱導電性カーボンブラックやアルミナは充填剤としての役割も果たす。
また、本発明の半導電性ロールは、印加電圧100Vにおけるロール電気抵抗が約105〜107Ωとしている。
表1に記載の配合材料(表中の数値は質量部を示す。)をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機にて外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。該チューブを加硫用のφ8mmシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、端部をカット成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、表面粗さRzが3〜5μmになるように仕上げた。なお表面粗さRzはJIS B 0601(1994)に従って測定した。その結果、φ20mm(公差0.05)の半導電性ロールを得た。
(a)ゴム成分
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショープレンWRT」
・エピクロルヒドリン系共重合体;ダイソー(株)製「エピオンON301」
EO(エチレンオキサイド)/EP(エピクロルヒドリン)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=73mol%/23mol%/4mol%
・ポリエーテル系共重合体:日本ゼオン(株)製「ゼオスパンZSN8030」
EO(エチレンオキサイド)/PO(プロピレンオキサイド)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=90mol%/4mol%/6mol%
・酸化チタン;チタン工業(株)製「クロノスKR310」
比重4.2、粒径0.3〜0.5μmを主成分とする。
・弱電性カーボンブラック;旭カーボン(株)製「旭#8」
平均1次粒径120nm、DBP吸油量29ml/100g、
よう素吸着量14mg/g
・ハイドロタルサイト(受酸剤);協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」
・粉末硫黄(加硫剤)
・エチレンチオウレア(加硫剤);川口化学工業(株)製「アクセル22−S」
図2に示すように芯金2を通したトナー搬送部1をアルミドラム13上に当接搭載し、電源14の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム13の一端面に接続すると共に電源14の−側に接続した導線の先端をトナー搬送部1の他端面に接続して測定した。
前記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。この装置において印加電圧をEとすると、ロール電気抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを100Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。なお、前記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
なお、表中にはlog100Rを記載した。
図3に示すようにトナー搬送部1を載置している金属板53と芯金2とを電極とし、トナー搬送部1に周波数100Hzから100kHzの交流電圧を印加し、LCRメータ(安藤電気(株)製「AG−4311B」)にてR(抵抗)成分とC(コンデンサー)成分を分離して測定した。このRとCの値から以下の式により誘電正接を求めた。なお、前記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
誘電正接(tanδ)=G/(ωC),G=1/R
このように誘電正接は1本のロールの電気特性をロールの抵抗成分とコンデンサー成分の2種の並列等価回路としてモデル化した際にG/ωCとして求まる値である。本実施例では誘電正接は電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加したときの値としている。5Vという小さな電圧を加えるのはトナーが例えば現像ロールから次のプロセスである感光体に移行する際に生じる電圧変動と非常に近い挙動を示すためである。
本実施例においては、誘電正接を約0.5〜1.0に調整している。
半導電性ロールとトナーとの付着性を調べるため、市販のレーザープリンター(非磁性1成分トナーを使用した市販のプリンター)に実施例及び比較例の各半導電性ロールを現像ロールとして装着し、画像として出力したトナー量の変化、すなわち印刷物上のトナー積層量の変化を指標として性能評価を行った。なお、印刷物上のトナー積層量の測定は以下に示すような透過濃度の測定により代用できる。
具体的には、黒ベタ画像を印刷し、得られた印刷物上の任意の5点において反射透過濃度計(TECHKON社製「テシコン濃度計RT120/ライトテーブルLP20」にて透過濃度を測定し、その平均値を評価値(表中では「C0」と表す。)とした。
さらに、5%印字にて2,000枚印刷後に印刷した黒ベタ画像についても前記と同様に透過濃度を測定し、その平均値を評価値(表中では「C2000」と表す。)とした。2,000枚印刷後の透過濃度を測定したのは、通常慣らし運転が終了するのが2,000枚程度だからである。
得られた値から濃度変化率(%)=C2000/C0を算出した。
前記のようにして測定される印刷物の透過濃度の変化に対してトナー帯電量の変化が影響を及ぼしていないかを調べるために、下記のようなトナー帯電量の評価を行った。
具体的には、白ベタ画像(白紙)を印刷後レーザープリンターからカートリッジをはずし、カートリッジに装着されている現像ロールに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/M METER Model 210HS−2」)によりトナーを吸引し、帯電量(μC)とトナー重量(g)を測定した。重量当たりの静電気量をトナー帯電量(μC/g)として算出した(表中では「T0」と表す。)。すなわち、トナー帯電量(μC/g)=帯電量(μC)/トナー重量(g)である。
さらに、白ベタ画像(白紙)を2,000枚印刷し、その後、前記と同様にトナー帯電量(表中では「T2000」と表す。)を測定した。
しかし、比較例1,2においては、トナーの帯電量が若干低下しているのに印刷物の透過濃度は上昇するどころか下がっている。これはトナーの一部が現像ロールに付着したためであることが解った。
一方、実施例1〜7においては印刷物の透過濃度が上昇しており、比較例1,2でみられるような現像ロールへのトナーの付着という現象が起きなかったことが確認出来た。
2 芯金
3 シール部
4 トナー
10 半導電性ロール
Claims (6)
- トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、更にまた、前記樹脂またはゴムは誘電正接調整剤を含み、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.8であることを特徴とする半導電性ロール。
- トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、
前記最外層の最表面に酸化膜が形成されていることを特徴とする半導電性ロール。 - 電子写真装置の画像形成機構において、非磁性1成分トナーを用いた現像装置に用いられるトナー搬送部を有する現像ロールからなる半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含んでいることを特徴とする半導電性ロール。
- イオン導電性を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導電性ロール。
- 前記塩素原子を有するゴムとして、少なくともクロロプレンゴムを含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導電性ロール。
- 前記塩素原子を有するゴムまたは樹脂として、少なくともエピクロルヒドリン系共重合体を含む請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導電性ロール。
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