JP5073241B2 - 半導電性ロール - Google Patents

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Description

本発明は、半導電性ロールに関し、詳しくは、電子写真装置に装着される現像ロール、クリーニングロール、帯電ロールまたは転写ロール等として用いられるトナー搬送部を有する半導電性ロールに関するものである。
電子写真方式による印刷技術においては、高速化、高画質化、カラー化、小型化といった改良が進み、広く世の中に普及してきた。これら改良において鍵となるのがトナーである。前記あらゆる要求を満たすために必要となるのが、トナーの微細化と、トナー粒径の均一化、トナーの球形化である。トナーの微細化については、トナー粒径が10μm以下、さらには5μm以下のものも出てきている。トナーの球形化については、真球度が99%を上回るものまで出てきている。さらに、高画質化を求めて、従来の粉砕トナーに代わり重合トナーが主流となりつつある。かかる重合トナーは、デジタル情報を印刷物にする際にドットの再現性が非常によく高品質な印刷物が得られる。
このようなトナーの微細化および均一化・球形化、重合トナーへの移行に対応して、レーザービームプリンター等の電子写真装置の画像形成機構において、トナーに高い帯電性を付与しかつトナーを付着させることなく効率的に感光体に搬送させることができる現像ロールとして、半導電性ロールが特に有用であるが、さらに、この半導電性ロールの高性能な機能を製品の使用寿命の最後まで維持させることが求められる。
それに対して、例えば、本発明者が提案した特開2004−170845号公報(特許文献1)には、電気特性が均一なイオン導電性ゴムを用い、誘電正接調整用充填剤を配合して誘電正接を0.1〜1.5としている導電性ゴムロールが記載されている。当該導電性ゴムロールを用いれば、トナーに適切でかつ高い帯電を付加でき、結果として高画質な初期画像が得られる。さらに、トナーの帯電量が印刷枚数を経ても低下しにくく、結果として高画質が維持できる。
前記特許文献1においては、イオン導電性を得るためにエピクロルヒドリンゴムに代表される塩素原子を含有するゴム成分を用いることがある。この場合、当該塩素原子を含有するゴム成分は一般に表面自由エネルギーが高く、トナーやトナー外添剤と付着しやすい傾向がある。
あわせてイオン導電性を示すエチレンオキサイドモノマーが重合されている場合は、表面自由エネルギーが上がり濡れやすくなり、半導電性部材に対するトナーの付着性が高くなる。
さらに表面に紫外線照射やオゾン暴露などを施し酸化膜を形成させると、その部分の酸素濃度が高くなるため表面自由エネルギーが上がり半導電性部材に対するトナーの付着性がさらにます可能性がある。
加えて誘電正接を0.1〜1.5とした場合はトナーの帯電性を向上できトナーの搬送量を低減できるためハーフトーン画像など高画質な画像が実現できるが、一方で現像ロール上のトナーの積層量が少なくなるため、現像ロールに対するトナーの付着性がさらにます可能性がある。
このような半導電性部材へのトナーの付着は、ごく初期の画像や連続的に印刷した画像には影響をあまり及ぼさないが、例えば以下のような条件で印刷した場合にはその影響が無視できなくなる。例えば、通常帯電されたトナーは静電気力(クーロン力)により逆の電荷を持つ感光体に搬送されるところ、トナーと現像ロールの付着性が強いためこの静電気力によるトナーの搬送が妨げられ、トナーに付加する帯電量が変わらないにもかかわらず印刷濃度が低下するという問題が生じ得る。
・印刷をほどよく行い、トナーが現像ロールに比較的なじんだ時点
(例えば1%印字画像を2,000枚程度印刷した時点)
・トナーの平均粒径が8μm以下、特に6μm以下の場合
・連続的に印刷せず、例えば一日停止して翌日印刷した場合
・トナーの帯電量が比較的高い低温低湿環境において使用する場合
・高画質を目指してトナーの帯電量を高く設定したプリンターを使用する場合
特開2004−271757号公報(特許文献2)には、ブラスト処理されたブラスト処理表面を有し、前記ブラスト処理表面のピーク部に酸化チタンなどの酸化物粉体が付着されている現像ロールが記載されている。
当該現像ロールにおいては、ブラスト処理表面のピーク部に酸化物粉体が付着することにより、その表面粗さが緩和されてトナーの過帯電が発生することがなく、その結果、画像形成装置の稼働初期においても黒点等の画像不良が発生することがないという利点を有する。
しかし、特許文献2の請求項4に記載されているように、酸化物粉体はブラスト処理表面に塗布されてピーク部に付着しているだけである。そして、特許文献2第(2)頁右欄第41〜42行に「現像スリーブの表面がある程度削れられて、凹凸面のピークが粗く無くなる」と記載されている。したがって、ブラスト処理表面のピーク部に付着した酸化物粉体は初期段階をすぎると脱落し、長期間に渡って効果を発揮するものではない。
さらに、特許文献2には現像ロールに対するトナーの付着性の軽減については記載も示唆もされていない。
特開2004−170845号公報 特開2004−271757号公報
本発明は、トナーが付着しにくく、結果として静電気力によるトナーの移動を妨げることのない半導電性ロールを提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、第1の発明として、トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、更にまた、前記樹脂またはゴムは誘電正接調整剤を含み、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.8であることを特徴とする半導電性ロールを提供している。
第2の発明として、トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、
前記最外層の最表面に酸化膜が形成されていることを特徴とする半導電性ロールを提供している。
第3の発明として、電子写真装置の画像形成機構において、非磁性1成分トナーを用いた現像装置に用いられるトナー搬送部を有する現像ロールからなる半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含んでいることを特徴とする半導電性ロールを提供している。
前記第1〜第3の発明からなる本発明の半導電性ロールにおいては少なくとも最外層が樹脂またはゴムで形成されている。そして、前記最外層を構成する樹脂またはゴムは、少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含んでいる。
前記塩素原子を有する樹脂またはゴムとしては、塩素原子を有すれば公知の樹脂またはゴムであってよいが、例えばクロロプレンゴム、塩素化ブチル、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレンもしくは塩化ビニルなどの非導電性樹脂またはゴム、またはエピクロルヒドリン系共重合体などの導電性樹脂またはゴムが挙げられる。
塩素原子を有する樹脂またはゴムとして非導電性樹脂またはゴムを用いる場合は、最外層をイオン導電性とするためにイオン導電性樹脂またはゴムと組み合わせることが好ましい。前記イオン導電性樹脂またはゴムとしてはエチレンオキサイドを含有する共重合体が挙げられる。エチレンオキサイドを含有する共重合体としては、例えばポリエーテル系共重合体またはエピクロルヒドリン系共重合体などが挙げられる。
もちろん塩素原子を有する樹脂またはゴムとして導電性樹脂またはゴムを用いる場合でも、さらに塩素原子を持たないイオン導電性樹脂またはゴムを組み合わせてもよい。
前記最外層を構成する樹脂またはゴムには、前記以外の樹脂またはゴムを含んでいてもよい。例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、アクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。また、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートもしくはブタジエンモノオキシドなどの不飽和エポキシドとプロピレンオキシドとの二元共重合体等の低抵抗ポリマーも例示できる。これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて用いることができる。
前記最外層を構成する樹脂またはゴムとしては、(1)エピクロルヒドリン系共重合体単独、(2)クロロプレンゴムと、エピクロルヒドリン系共重合体または/およびポリエーテル系共重合体との組み合わせ、(3)クロロプレンゴムと、NBRと、エピクロルヒドリン系共重合体または/およびポリエーテル系共重合体との組み合わせ、(4)クロロプレンゴムとNBRとの組み合わせが好ましい。なかでも、クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体との組み合わせ、またはクロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とポリエーテル系共重合体との組み合わせがとくに好ましい。
最外層を構成する樹脂またはゴムとして2種類以上の樹脂またはゴムを組み合わせる場合、その配合比は適宜選択すればよい。
例えば、クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部、クロロプレンゴム(C)の含有量が5〜95質量部、好ましくは20〜80質量部とすることが好適である。
クロロプレンゴムとエピクロルヒドリン系共重合体とポリエーテル系共重合体とを組み合わせる場合、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が5〜90質量部、好ましくは10〜70質量部、ポリエーテル系共重合体の含有量が5〜40質量部、好ましくは5〜20質量部、クロロプレンゴムの含有量が5〜90質量部、好ましくは10〜80質量部とすることが好適である。このような配合比にすることにより、3成分をうまく分散させることができ強度をはじめとする物性を向上させることができる。より好ましくは、質量比でエピクロルヒドリン系共重合体:クロロプレンゴム:ポリエーテル系共重合体=2〜5:4〜7:1である。
エピクロルヒドリン系共重合体としては、例えば、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
エピクロルヒドリン系共重合体としてはエチレンオキサイドを含む共重合体が好ましく、エチレンオキサイド含量が30モル%以上95モル%以下、好ましくは55モル%以上95モル%以下、さらに好ましくは60モル%以上80モル%以下である共重合体が特に好適である。エチレンオキサイドは体積固有抵抗値を下げる働きがあるが、エチレンオキサイド含量が30モル%未満であるとその体積固有抵抗値の低減効果が小さい。一方、エチレンオキサイド含量が95モル%を超えると、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に体積固有抵抗値が上昇する傾向があると共に、加硫ゴムの硬度上昇や加硫前のゴムの粘度上昇と言った問題が生じやすい。
なかでも、エピクロルヒドリン系共重合体としてはエピクロルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)−アリルグリシジルエーテル(AGE)共重合体を用いることが特に好ましい。前記共重合体中のEO:EP:AGEの好ましい含有比率はEO:EP:AGE=30〜95モル%:4.5〜65モル%:0.5〜10モル%であり、さらに好ましい比率はEO:EP:AGE=60〜80モル%:15〜40モル%:2〜6モル%である。
また、エピクロルヒドリン系共重合体としては、エピクロルヒドリン(EP)−エチレンオキサイド(EO)共重合体を用いることもできる。前記共重合体中のEO:EPの好ましい含有比率はEO:EP=30〜80モル%:20〜70モル%であり、さらに好ましい比率はEO:EP=50〜80モル%:20〜50モル%である。
エピクロルヒドリン系共重合体を配合する場合、その配合量はゴム成分100質量部に対し5質量部以上であることが好ましく、15質量部以上であることがより好ましく、20質量部以上であることがさらに好ましい。
ポリエーテル系共重合体としては、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体またはウレタン系ゴム等が挙げられる。
ポリエーテル系共重合体としてはエチレンオキサイドを含む共重合体が好ましく、エチレンオキサイド含量が50〜95モル%である共重合体がより好ましい。エチレンオキサイドの比率が高い方が多くのイオンを安定化でき低抵抗化が実現できるが、エチレンオキサイドの比率を上げすぎるとエチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に体積固有抵抗が上昇する可能性があるからである。
ポリエーテル系共重合体はエチレンオキサイドに加えてアリルグリシジルエーテルをも含むことが好ましい。アリルグリシジルエーテルを共重合することにより、このアリルグリシジルエーテルユニット自体が側鎖として自由体積を得ることから、前記エチレンオキサイドの結晶化を抑制することができ、その結果として従来にない低抵抗化が実現できる。さらにアリルグリシジルエーテルの共重合により炭素−炭素間の二重結合を導入して他のゴムとの架橋を可能にでき、他のゴムと共架橋することによりブリードや感光体汚染を防止することができる。
ポリエーテル系共重合体中のアリルグリシジルエーテル含量としては1〜10モル%が好ましい。1モル%未満ではブリードや感光体汚染の発生が起こり易くなる一方、10モル%を越えると、それ以上の結晶化の抑制効果は得られず、加硫後の架橋点の数が多くなり、却って低抵抗化が実現できず、また、引張強度や疲労特性、耐屈曲性等が悪化することとなる。
本発明で用いるポリエーテル系共重合体としては、なかでもエチレンオキサイド(EO)−プロピレンオキサイド(PO)−アリルグリシジルエーテル(AGE)三元共重合体を用いることが好ましい。プロピレンオキサイドを共重合させることにより、エチレンオキサイドによる結晶化をさらに抑制することができる。前記ポリエーテル系共重合体中のEO:PO:AGEの好ましい含有比率はEO:PO:AGE=50〜95モル%:1〜49モル%:1〜10モル%である。さらに、ブリードや感光体汚染をより有効に防止するため、前記EO−PO−AGE三元共重合体の数平均分子量Mnは10,000以上であることが好ましい。
ポリエーテル系共重合体を配合する場合、その配合量はゴム成分100質量部に対し5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
クロロプレンゴムはクロロプレンの重合体で乳化重合により製造されるが、分子量調節剤の種類によりイオウ変性タイプ、非イオウ変性タイプに分類される。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤として使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤として使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶加速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
また、本発明において、クロロプレンゴムとしてクロロプレンゴムに類似の構造を有するゴムまたはエラストマーを用いることもできる。例えば、クロロプレンと他の共重合可能な単量体1種以上との混合物を重合させて得られた共重合体を用いてもよい。クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン並びにアクリル酸、メタクリル酸およびこれらのエステル類などが挙げられる。
クロロプレンゴムを配合する場合、その配合量はゴム成分100質量部に対し1〜100質量部の範囲で適宜選択できる。しかし、帯電性付与の効果を鑑みれば、クロロプレンゴムがゴム成分100質量部に対し約5質量部以上含まれていることが好ましい。さらに、ゴムの均一性の観点から約10質量部以上含まれていることがより好ましい。配合量の上限値は80質量部以下であることが好ましく、60質量部以下であることがより好ましい。
NBRとしては、アクリロニトリル含量が25%以下である低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量が25〜31%である中ニトリルNBR、アクリロニトリル含量が31〜36%である中高ニトリルNBR、アクリロニトリル含量が36%以上である高ニトリルNBRのいずれを用いてもよい。
本発明においてはゴム比重を低減するために比重の小さい低ニトリルNBRを用いることが好ましい。クロロプレンゴムとの混合性を鑑みれば中ニトリルNBRまたは低ニトリルNBRを用いることが好ましく、より具体的には溶解パラメーターの観点からアクリロニトリル含量が15〜39%、好ましくは17〜35%、より好ましくは20〜30%のNBRを用いることが好適である。
NBRを配合する場合、その含有量は全ゴム成分100質量部に対し5〜65質量部であることが好ましく、10〜65質量部であることがより好ましく、20〜50質量部であることがより好ましい。トナーの帯電量が低減するのでNBRの含有量は65質量部以下であることが好ましく、硬度上昇の抑制や温度依存性の低減効果を実質的に得るためにはNBRの含有量は5質量部以上であることが好ましい。
本発明の半導電性ロールは、上述した塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含んでいることを特徴とする。
本発明で用いる酸化チタンとしては特に限定されず公知のものを用いればよい。結晶系としては、アナターゼ型、ルチル型、これらの混晶型、アモルファスのいずれのものも用いることができるが、なかでもルチル型の酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンは、例えば硫酸法や塩素法、または例えばチタンアルコキシド、チタンハライドもしくはチタンアセチルアセトネート等の揮発性チタン化合物の低温酸化(熱分解や加水分解)により得られる。
本発明で用いる酸化チタンにおいては粒径が0.5μm以下である粒子が50%以上含まれていることが好ましい。この場合に酸化チタンの分散性がよくなるからである。なかでも、平均粒径が0.1〜0.5μmである酸化チタンを用いることが好ましい。
酸化チタンの配合量を塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部としたのは、酸化チタンの配合量が3質量部未満であると酸化チタンによるトナー付着性の低減効果が発揮されにくく、逆に酸化チタンの配合量が60質量部を超えると、最外層の硬度が高くなりすぎたり、トナーに適切な帯電を付加できなくなったりする。酸化チタンの配合量は5〜60質量部であることがより好ましい。
本発明のロールは半導電性を有する。具体的には、印加電圧100Vにおけるロール電気抵抗が10〜10Ωであることが好ましく、10〜10Ωであることがより好ましい。
流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制し、感光体への放電を防ぐためロール電気抵抗は10Ω以上であることが好ましい。また、例えばトナー供給等の効率を維持し、トナーが感光体に移行する際に現像ロールの電圧降下が起こり以後現像ロールから感光体へ確実にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じることを防ぐためにはロール電気抵抗は10Ω以下であることが好ましい。また、10Ω以下であると、より幅広い環境下でも使用でき極めて有用である。なお、ロール電気抵抗は実施例に記載の方法で測定する。
導電性には電子導電性とイオン導電性とがあるが、より均一な電気特性を得られることからイオン導電性を有することが好ましい。
最外層を構成する樹脂またはゴムにイオン導電性を示す樹脂またはゴムが含まれる場合は、その配合量を調整することによりイオン導電性とすることができる。もちろん下記するイオン導電剤を併用してもよい。
最外層を構成する樹脂またはゴムにイオン導電性を示す樹脂またはゴムが含まれない場合はイオン導電剤を添加する。
イオン導電剤は種々選択できるが、例えばフルオロ基(F−)およびスルホニル基(−SO−)を有する陰イオンを備えた塩などが挙げられる。より具体的には、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メタンの塩またはフルオロアルキルスルホン酸の塩などが挙げられる。前記塩において陰イオンと対になる陽イオンとしては、アルカリ金属、2A族またはその他の金属イオンが好ましく、なかでもリチウムイオンがより好ましい。前記イオン導電剤として具体的には、例えばLiCFSO、LiN(SOCF、LiC(SOCF)、LiCH(SOCF、LiSFCFSO等が挙げられる。
イオン導電剤の配合量は、その種類によって適宜選択することができるが、例えばゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましい。
所望により電子導電剤を配合して電子導電性を付加してもよい。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、ファーネスブラックもしくはアセチレンブラック等の導電性カーボンブラック;酸化亜鉛、チタン酸カリウム、アンチモンドープ酸化チタン、酸化スズもしくはグラファイト等の導電性金属酸化物;カーボン繊維等が挙げられる。電子導電剤の配合量は電気抵抗値などの物性を見ながら適宜選択すればよいが、例えばゴム成分100質量部に対して5〜20質量部程度である。
本発明の半導電性ロールにおいては、トナーに高い帯電性を付与し、かつその帯電性の持続性を向上させるために、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接を0.1〜1.8としている。
半導電性ロールの電気特性において誘電正接とは、電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメーターでもあり、電圧をかけた時のコンデンサー成分割合の大きさを示している。 即ち、誘電正接はトナーが量規制ブレードにより高圧で現像ロールに接触した際に生成される帯電量と感光体へ搬送されるまでにロール上に逃げる帯電量とにより表され、感光体接触直前の帯電量を示す指標となる。
誘電正接が大きいと電気(電荷)を通しやすく分極は進みにくい。逆に誘電正接が小さいと電気(電荷)を通しにくく分極が進むことになる。よって、誘電正接が小さい方がロールのコンデンサー的特性が高く、摩擦帯電で生じたトナー上の電荷をロールから逃すことなく維持できる。すなわち、トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができる。かかる効果を得るために誘電正接を約1.8以下としている。また、帯電量が上がりすぎて印刷濃度が低下しすぎるのを防ぐため、さらには誘電正接を調整するための添加物の量が多くなり硬くなるを避けるため、誘電正接は約0.1以上としている。
誘電正接の下限は0.3以上がより好ましく、0.5以上が最も好ましく、また上限は1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましく、0.8以下が最も好ましい。
誘電正接は後述の実施例に記載の方法で測定している。
誘電正接の測定条件として5Vの微小電圧を印加しているのは、前記半導電性ロールを現像ロールとした場合、現像ロールがトナーを保持した際、また、トナーを感光体に搬送した際には極めて微小な電圧変動を生じるためである。
また、周波数を100Hzとしているのは、現像ロールの回転数、現像ロールが接触または近接する感光体やブレード、トナー供給ロールとのニップを考慮すると100Hz程度の低周波数が極めて事象に適合するためである。
半導電性ロールの誘電正接を前記所定の範囲内に制御するため、最外層を構成する樹脂またはゴムに誘電正接調整剤を配合する。誘電正接調整剤としては、弱導電性カーボンブラックまたは脂肪酸処理された炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、弱導電性カーボンブラックを用いる方が好ましい。脂肪酸処理された炭酸カルシウムを用いると、酸化チタンとのなじみがよすぎて一部凝集することにより粒径の大きな粒子に成長する可能性があり分散性が損なわれるおそれがあるが、弱導電性カーボンブラックの場合は酸化チタンとの分散性の相性が極めてよいからである。
弱導電性カーボンブラックとは粒径が大きくストラクチャーの発達が小さく導電性への寄与が小さいカーボンブラックであり、これを配合することにより導電性を高めることなく分極作用によるコンデンサー的な働きを得ることができ、電気抵抗の均一化を損なうことなく帯電性のコントロールを実現できる。
前記弱導電性カーボンブラックとして、一次粒径が80nm以上、好ましくは100nm以上のものを用いれば、より有効に前記効果が得られる。また、一次粒径が500nm以下、好ましくは250nm以下であると表面粗さを極めて小さくできる。前記弱導電性カーボンブラックの形状は表面積が小さいことから球形状または球形に近い形状が好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法またはサーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、ファーネスカーボンブラックがより好ましい。カーボンの分類で言うとSRFやFT、MTが好ましい。また顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
弱導電性カーボンブラックの配合量は、誘電正接の低減効果を実質的に発揮するためにゴム成分100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、硬度が上昇し接触する他の部材を損傷させるおそれを避け、かつ耐摩耗性の低下を回避するために、70質量部以下であることが好ましい。また、印加電圧に対しロール抵抗の電圧変動が小さい、いわゆるイオン導電性特性を得るためにも、70質量部以下の配合が好ましい。
弱導電性カーボンブラックの配合量は、他の成分との混合性の観点から10〜60質量部であることがより好ましく、25〜55質量部であることが特に好ましい。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムは、脂肪酸が炭酸カルシウムの界面に存在することにより通常の炭酸カルシウムに比べ活性が高く、また易滑性であることから高分散化が容易かつ安定して実現できる。脂肪酸処理により分極作用が促されると、前記2つの作用の働きでゴム内のコンデンサー的な働きが強まるため誘電正接を効率良く低減することができる。脂肪酸処理された炭酸カルシウムとしては、炭酸カルシウムの粒子表面に全面にわたってステアリン酸等の脂肪酸がコーティングされているものが好ましい。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量はゴム成分100質量部に対して30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部である。誘電正接を低減する効果を実質的に発揮するためには30質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇および抵抗の変動を避けるためには80質量部以下であることが好ましい。
本発明の半導電性ロールにおいては、前記第2の発明で特定したように、最外層の表面に酸化膜が形成されている。酸化膜が誘電層となり半導電性ロールの誘電正接を低減できることから、誘電正接を所定範囲に制御しやすくなる。さらに、酸化膜が低摩擦層となることでトナー離れがよくなり、画像形成が容易に行われ、その結果より良好な画像が得られる。
酸化膜としては多数のC=O基またはC−O基等を有する酸化膜が好ましい。酸化膜は最外層の表面に紫外線照射あるいは/およびオゾン照射等の処理を施し、最外層の表層部分を酸化することで形成されている。なかでも紫外線照射により酸化膜を形成することが、処理時間が早く、コストも低いことから好ましい。
前記酸化膜を形成するための処理は公知の方法に従って行うことができる。例えば紫外線照射を行う場合には最外層の表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が100〜400nm、より好ましくは100〜300nmの紫外線を30秒〜30分、好ましくは1分〜10分程度半導電性ロールを回転させながら照射することが好ましい。ただし、紫外線の強度や照射条件(時間、槽内温度、距離)は誘電正接を本発明で規定する範囲内に制御できる条件に選定される必要がある。
また、紫外線照射を施す場合、NBRなど紫外線で劣化しやすいゴムは50質量部以下の配合が好ましい。紫外線を照射する場合特にクロロプレンおよびクロロプレン系ゴムの添加は極めて有効である。
酸化膜形成前の半導電性ロールに電圧50Vを印加した時のロール電気抵抗をR50とし、酸化膜形成後の印加電圧50Vにおけるロール電気抵抗をR50aとしたとき、log(R50a)−log(R50)=0.2〜1.5程度とすることが好ましい。当該範囲とすることは、耐久性の向上、半導電性ロール使用時の抵抗変化の低減、トナーへのストレスの低減や感光体崩れ対策の観点から好ましい。このように安定して電圧を負荷することができる50Vという低電圧時のロール電気抵抗を指標値としているため、酸化被膜形成による微小な抵抗上昇を精度良く捉えることができる。なお、より好ましい範囲は下限は0.3、特に0.5が好ましく、上限は1.2、特に1.0が好ましい。
本発明の半導電性ロールは、表面の摩擦係数が0.1〜1.0であることが好ましく、0.1〜0.8であることがより好ましく、0.1〜0.6であることがより好ましい。かかる範囲であればトナーの帯電性向上およびトナーの付着防止を図ることができるためである。また、半導電性ロールの摩擦係数が1.0以上であるとトナーにかかるせん断力などのストレスが大きくなる。また他の部材と摺動接触している部材においては摩擦による発熱量や摩耗が大きくなる。一方、半導電性ロールの摩擦係数が0.1以下であると、トナーが滑って十分な量のトナーを搬送することやトナーを十分に帯電することが難しくなる等の不都合が出てくる。
前記摩擦係数の測定は、図4に示すように、デジタルフォースゲージ((株)イマダ製「Model PPX−2T」)41と、摩擦片(市販のポリエステル製のOHPフィルム、ロール長手方向との接触幅;50mm)42と、20gの重り44と、導電性ゴムローラ43とからなる図4に示した装置においてデジタルフォースゲージ41で測定された数値をオイラーの式に代入し、摩擦係数を算出した。
本発明の半導電性ロールは表面粗さRzが10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。表面粗さRzを小さくすることにより、半導電性ロールの表面にはトナーの粒径より小さな凹凸が存在するにすぎなくなるため、均一なトナーの搬送ができ、トナーの流動性がよくなる結果トナーに帯電性を与える効率がきわめて高くなる。表面粗さRzは小さい方が好ましいが、通常は1μm以上である。表面粗さRzが1μm未満になるとトナーを搬送しにくくなる。
なお、表面粗さRzはJIS B 0601(1994)に準拠して測定する。
本発明の半導電性ロールは、トナーを表面に保持してトナーを搬送する機能をもつトナー搬送部を有する。本発明の半導電性ロールにおけるトナーの搬送量は特に限定されないが、0.01〜1.0mg/cm程度のトナー量を搬送できることが好ましい。
トナー搬送部は、上述してきた条件を満たす最外層に備えていればその構造は特に問わず、要求性能に応じて2層等の複層構造としてもよいが、最外層の一層からなる構造とすると物性のばらつきが少なく安価に製造できるため好ましい。
本発明の半導電性ロールはトナー漏れ防止用のシール部材を有することが好ましい。ここで、「シール部材」としてはトナー漏れ防止用に設けられたものに限らず、半導電性ロールの外周面に摺動接触する部材をすべて含む。
当該トナーシール部にも前記誘電正接調整剤を配合して、誘電正接を0.1〜1.8とすることが好ましい。
本発明の半導電性ロールは、レーザービームプリンター、インクジェットプリンター、複写機、ファクシミリまたはATMなどのOA機器における電子写真装置の画像形成機構に用いられることが好ましい。
なかでも、前記第3の発明では、非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ロールとして用られるものに特定している。電子写真装置の画像形成機構における現像方式としては感光体と現像ロールの関係で分類すると接触式または非接触式に大別されるが、本発明の半導電性ロールはいずれの方式にも利用できる
本発明の半導電性ロールは、現像ロールの他、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナー像を感光体から転写ベルトや用紙に転写するための転写ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、残留しているトナーを除去するためのクリーニングロール等として用いることもできる。
本発明においては、イオン導電性を得るために表面自由エネルギーが高い塩素原子を含有するゴム成分を用いる場合でも、酸化チタンを所定量配合することにより本発明の半導電性ロールに対するトナーの付着を低減することができる。
この酸化チタン配合によるトナーの付着低減効果はゴム成分の種類および組成や表面酸化膜の有無、半導電性ロールの物性(特に誘電正接)等によって影響を受けることがない。また、環境や印刷状況によっても左右されず、長期にわたって、少なくともトナーが半導電性ロールに比較的なじんだ時点においても、その効果を維持し続ける。
その結果、本発明の半導電性ロールを電子写真装置の画像形成機構における現像ロールとして用いた場合は、印刷濃度が低下することなく、安定した濃度の印刷物を得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
現像ロールとして用いる半導電性ロール10は図1に示すように、円筒形状の肉厚0.5〜15mm、好ましくは0.5〜15mm、より好ましくは3〜8mmのトナー搬送部1と、その中空部に圧入された円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナー4が漏れるのを防止するシール部3を備えている。前記トナー搬送部1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。トナー搬送部1の肉厚を0.5〜15mmとしているのは、前記範囲より小さいと適当なニップを得にくく、前記範囲より大きいと部材が大きすぎて小型軽量化を図りにくいからである。そして、トナー搬送部1の最表面には酸化膜が形成されている。
芯金2は、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等とすることができる。
シール部3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートから構成されている。
本発明の半導電性ロールは常法により作製できる。
図1に示した半導電性ロール10の製造方法について、以下に述べる。
トナー搬送部1を構成する成分をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃で15〜70分間加硫したのち、芯金2を挿入・接着し表面を研磨した後、所要寸法にカットし、適宜研磨を施してロール状とする。加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例:キュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めるとよい。また、加硫温度は必要に応じて前記温度に上下して定めてもよい。なお、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定することが好ましい。また、発泡剤等を配合して、発泡ロールを形成させてもよい。
ロールを水洗いしたあと、最外層の表面に酸化膜を形成する。具体的には、紫外線照射機を用い、ロールと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射し、ロールを4回回転させることで、ロール全周(360度)に酸化膜を形成することができる。
トナー搬送部1を構成する成分としては、塩素原子を有する樹脂またはゴム、酸化チタン、誘電正接調整剤、加硫剤および受酸剤が挙げられる。所望により塩素原子を持たない樹脂またはゴムを加えてもよい。
塩素原子を有する樹脂またはゴムとしては、エピクロルヒドリン系共重合体とクロロプレンゴムとを組み合わせて用いる。前記各ゴム成分の配合比は、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が25〜50質量部、クロロプレンゴムの含有量が50〜75質量部としている。
エピクロルヒドリン系共重合体としては、エチレンオキサイド:エピクロルヒドリン:アリルグリシジルエーテルの含有比率が60〜80モル%:15〜40モル%:2〜6モル%であるエチレンオキサイド−エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を用いている。
クロロプレンゴムとしては、非硫黄系クロロプレンゴムを用いている。
所望により加える塩素原子を持たない樹脂またはゴムとしてはポリエーテル系共重合体を用いている。
ポリエーテル系共重合体としては、エチレンオキサイド:プロピレンオキサイド:アリルグリシジルエーテルの含有比率が80〜95モル%:1〜10モル%:1〜10モル%であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を用いる。当該共重合体の数平均分子量Mnは1万以上であることが好ましく、3万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましい。
ポリエーテル系共重合体を配合する場合、前記エピクロルヒドリン系共重合体、ポリエーテル系共重合体およびクロロプレンゴムの配合比は、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリン系共重合体の含有量が15〜40質量部、ポリエーテル系共重合体の含有量が5〜20質量部、クロロプレンゴムの含有量が40〜80質量部としている。
前記酸化チタンとしてはルチン型の酸化チタンを用いる。なかでも粒径が0.3〜0.5μmである粒子を主成分とし、平均粒径が0.3〜0.5μmである酸化チタンを用いることが好ましい。
酸化チタンの配合量は、塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して5〜60質量部としている。
前記誘電正接調整剤としては弱導電性カーボンブラックを用いている。該弱導電性カーボンブラックとしては、一次粒径が100〜250nmで、球形状または球形に近い形状のものが好ましい。さらに、よう素吸着量が10〜40mg/g、好ましくは10〜30mg/gで、DBP吸油量が25〜90ml/100g、好ましくは25〜55ml/100gの弱導電性カーボンブラックを用いることが好ましい。弱導電性カーボンブラックの配合量はゴム成分100質量部に対して20〜70質量部としている。
前記加硫剤としては硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(C2n+1NH)C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等が挙げられる。過酸化物としてはベンゾイルペルオキシドなどが挙げられる。
加硫剤の配合量はゴム成分100質量部に対して0.2質量部以上5質量部以下であることが好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがより好ましい。
本発明においては、前記加硫剤として硫黄およびチオウレア類を併用することが好ましい。
硫黄は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上5.0質量部以下、好ましくは0.2質量部以上2質量部以下の割合で含まれているのが良い。前記範囲としているのは、0.1質量部より小さいと組成物全体の加硫速度が遅くなり生産性が悪くなりやすいためである。一方、5.0質量部より大きいと圧縮永久ひずみが大きくなったり、硫黄や促進剤がブルームしたりする可能性があるためである。
また、チオウレア類をゴム成分100gに対して合計0.0009mol以上0.0800mol以下、好ましくは0.0015mol以上0.0400mol以下の割合で配合しているのが良い。前記チオウレア類を前記範囲で配合することにより、ブルームや感光体汚染を起こりにくくすることができると共に、ゴムの分子運動をあまり妨げないためより低い電気抵抗を実現できる。また、チオウレア類の添加量を増やし架橋密度を上げるほど電気抵抗値を下げることができる。すなわち、チオウレア類の配合量が0.0009molより少ないと圧縮永久ひずみを改善しにくい、あるいは電気抵抗値を下げにくく、一方0.0800molより多いとゴム組成物表面からチオウレア類がブルームし感光体を汚染したり、破断伸び等の機械的物性が極度に悪化しやすいためである。
加硫剤の種類に応じて、加硫促進剤や加硫促進助剤をさらに配合してもよい。
加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)もしくはリサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。有機促進剤としては、ジ−オルト−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−オルト−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−オルト−トリルグアニジン塩等のグアニジン系;2−メルカプト・ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;チオウレア系等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上2質量部以下がより好ましい。
加硫促進助剤としては、亜鉛華等の金属酸化物;ステアリン酸、オレイン酸もしくは綿実脂肪酸等の脂肪酸;その他従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。
加硫促進剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましい。
本発明の半導電性ロールは塩素原子を有する樹脂またはゴムを含有することから、受酸剤を配合する。受酸剤を配合することにより、ゴム加硫時に発生する塩素系ガスの残留および感光体汚染を防止することができる。
受酸剤としては酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類または酸化マグネシウムを用いることが好ましく、特にハイドロタルサイトを用いることがより好ましい。さらに、これらに酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用することにより高い受酸効果が得られ、感光体汚染をより確実に防止することができる。
受酸剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し1質量部以上10質量部以下、好ましくは1質量部以上5質量部以下としている。加硫阻害および感光体汚染を防止する効果を有効に発揮させるため受酸剤の配合量は1質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇を防ぐため受酸剤の配合量は10質量部以下であることが好ましい。
トナー搬送部1はさらにアルミナを含有する方が好ましい。トナー搬送部1に熱伝導性に優れたアルミナを配合することにより、シール部3とトナー搬送部1の外周面との摩擦により生じる熱をトナー搬送部全体にすばやく分散させることができ、トナー搬送部の内部に伝達された熱は金属からなる芯金2を経由して外部に逃がすことができる共に、アルミナが配合されたトナー搬送部1の表面からも放熱される。そのため、シール部3とトナー搬送部1との摺動摩擦による発熱により加速されていたシール部3の摩耗を抑えることができ、トナー漏れをより長期間にわたって有効に防ぐことができる。さらには、トナー搬送部1が前記摺動部での発熱により高温とならないため、重合トナーを構成する熱可塑性樹脂が溶融しトナーが大径化・エッジ化し溶着して大きくなると共に角張ってくるのを防ぐことができる。よって、シール部3およびトナー搬送部1の耐久性を格段に向上させることができる。さらに、アルミナを混合することにより酸化チタンの混合効率もあがり、例えば異物としてゴム表面に検出されることが少なくなる。
アルミナはアルミニウムの酸化物(Al)である。当該アルミナは、ゴム成分100質量部に対して3〜50質量部含有されていることが好ましく、なかでも5〜30質量部含有されていることがより好ましく、8〜25質量部含有されていることが特に好ましい。アルミナの含有量を3〜50質量部としているのは、3質量部以下であるとシール部3とトナー搬送部1との摺動摩擦により生じた熱を逃がす効果が得られにくい。一方、アルミナの含有量が50質量部以上であると、トナー搬送部1の硬度が上昇し硬くなりすぎ、トナーの劣化も促進されると共にトナー搬送部1の表面を研磨する研磨材の耐久性が悪くなり、再ドレスが必要となる。特にアルミナの含有量は30質量部以下とすると誘電正接調整用充填剤との混合性が良くなる利点がある。
本発明で用いるアルミナは、粒径が1μm以下のものが80%以上を占めていることが好ましく、さらに粒径が0.5μm以下のものが50%以上を占めていることがより好ましい。このように粒径の小さなアルミナを用いることにより、均一に分散させることができ放熱効果が向上するとともに、トナー搬送部1の表面の均一性を確保しやすいという利点がある。
前記成分の他に、本発明の目的に反しない限り、可塑剤、加工助剤、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、気泡防止剤または架橋剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
前記可塑剤としてはジブチルフタレート(DBP)やジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤やワックスが挙げられ、加工助剤としてステアリン酸等の脂肪酸等が挙げられる。これら可塑成分は、ゴム成分100質量部に対して5質量部以下の割合で配合されていることが好ましい。酸化膜を形成する際にブリードが生じたり、プリンター装着時や運転時に感光体を汚染したりするのを防ぐためである。この目的を鑑みれば極性ワックスの使用が最も好ましい。
前記劣化防止剤としては各種老化防止剤や酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合には、所望により施される表層部分における酸化膜の形成が効率よく進むよう、その配合量を適宜選択することが好ましい。
前記充填剤としては、酸化亜鉛、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムまたは水酸化アルミニウム等の粉体を挙げることができる。充填剤を配合することにより機械的強度等を向上させることができる。
充填剤の添加量はゴム成分100質量部に対し60質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましい。なお、前記弱導電性カーボンブラックやアルミナは充填剤としての役割も果たす。
前記スコーチ防止剤としては、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。なかでも、N−シクロヘキシルチオフタルイミドを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。スコーチ防止剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1質量部以下がより好ましい。
本発明の半導電性ロールは、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.8であり、トナーに高い帯電性を付与することができ、かつその帯電性を持続させることができる。
また、本発明の半導電性ロールは、印加電圧100Vにおけるロール電気抵抗が約10〜10Ωとしている。
本発明の半導電性ロールにおいてはトナーとの付着性が軽減されており、静電気力(クーロン力)によるトナーの移動を無駄なく行うことができる。その結果として、例えば本発明の半導電性ロールを現像ロールとしてプリンターに組み込んだ場合、5%印字の画像を2,000枚印刷しても、印刷物の透過濃度が低下することがない。すなわち、最初の黒ベタ画像の印刷物の透過濃度をC0、5%印字にて2,000枚印刷後に印刷した黒ベタ画像の印刷物の透過濃度をC2000とすると、C2000/C0≧1となる。
「実施例1〜8、比較例1〜3」
表1に記載の配合材料(表中の数値は質量部を示す。)をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機にて外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。該チューブを加硫用のφ8mmシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、端部をカット成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、表面粗さRzが3〜5μmになるように仕上げた。なお表面粗さRzはJIS B 0601(1994)に従って測定した。その結果、φ20mm(公差0.05)の半導電性ロールを得た。
ロール表面を水洗いした後、紫外線照射を行い表層部分に酸化層を形成した。これは紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200」)を用い、ロールと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射することによって行い、ロールを90度ずつ4回回転させてロール全周(360度)に酸化膜を形成させた。
Figure 0005073241
各実施例および比較例の半導電性ロールにおける構成成分としては以下のものを用いた。
(a)ゴム成分
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショープレンWRT」
・エピクロルヒドリン系共重合体;ダイソー(株)製「エピオンON301」
EO(エチレンオキサイド)/EP(エピクロルヒドリン)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=73mol%/23mol%/4mol%
・ポリエーテル系共重合体:日本ゼオン(株)製「ゼオスパンZSN8030」
EO(エチレンオキサイド)/PO(プロピレンオキサイド)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=90mol%/4mol%/6mol%
(b)その他の成分
・酸化チタン;チタン工業(株)製「クロノスKR310」
比重4.2、粒径0.3〜0.5μmを主成分とする。
・弱電性カーボンブラック;旭カーボン(株)製「旭#8」
平均1次粒径120nm、DBP吸油量29ml/100g、
よう素吸着量14mg/g
・ハイドロタルサイト(受酸剤);協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」
・粉末硫黄(加硫剤)
・エチレンチオウレア(加硫剤);川口化学工業(株)製「アクセル22−S」
前記各実施例および比較例の半導電性ロールについて下記の特性測定を行った。その結果を表1に示した。
「ロール電気抵抗の測定」
図2に示すように芯金2を通したトナー搬送部1をアルミドラム13上に当接搭載し、電源14の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム13の一端面に接続すると共に電源14の−側に接続した導線の先端をトナー搬送部1の他端面に接続して測定した。
前記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。この装置において印加電圧をEとすると、ロール電気抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを100Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。なお、前記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
なお、表中にはlog100Rを記載した。
「誘電正接の測定」
図3に示すようにトナー搬送部1を載置している金属板53と芯金2とを電極とし、トナー搬送部1に周波数100Hzから100kHzの交流電圧を印加し、LCRメータ(安藤電気(株)製「AG−4311B」)にてR(抵抗)成分とC(コンデンサー)成分を分離して測定した。このRとCの値から以下の式により誘電正接を求めた。なお、前記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
誘電正接(tanδ)=G/(ωC),G=1/R
このように誘電正接は1本のロールの電気特性をロールの抵抗成分とコンデンサー成分の2種の並列等価回路としてモデル化した際にG/ωCとして求まる値である。本実施例では誘電正接は電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加したときの値としている。5Vという小さな電圧を加えるのはトナーが例えば現像ロールから次のプロセスである感光体に移行する際に生じる電圧変動と非常に近い挙動を示すためである。
本実施例においては、誘電正接を約0.5〜1.0に調整している。
「半導電性ロールのトナー付着性の評価」
半導電性ロールとトナーとの付着性を調べるため、市販のレーザープリンター(非磁性1成分トナーを使用した市販のプリンター)に実施例及び比較例の各半導電性ロールを現像ロールとして装着し、画像として出力したトナー量の変化、すなわち印刷物上のトナー積層量の変化を指標として性能評価を行った。なお、印刷物上のトナー積層量の測定は以下に示すような透過濃度の測定により代用できる。
具体的には、黒ベタ画像を印刷し、得られた印刷物上の任意の5点において反射透過濃度計(TECHKON社製「テシコン濃度計RT120/ライトテーブルLP20」にて透過濃度を測定し、その平均値を評価値(表中では「C0」と表す。)とした。
さらに、5%印字にて2,000枚印刷後に印刷した黒ベタ画像についても前記と同様に透過濃度を測定し、その平均値を評価値(表中では「C2000」と表す。)とした。2,000枚印刷後の透過濃度を測定したのは、通常慣らし運転が終了するのが2,000枚程度だからである。
得られた値から濃度変化率(%)=C2000/C0を算出した。
「トナー帯電量の評価」
前記のようにして測定される印刷物の透過濃度の変化に対してトナー帯電量の変化が影響を及ぼしていないかを調べるために、下記のようなトナー帯電量の評価を行った。
具体的には、白ベタ画像(白紙)を印刷後レーザープリンターからカートリッジをはずし、カートリッジに装着されている現像ロールに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/M METER Model 210HS−2」)によりトナーを吸引し、帯電量(μC)とトナー重量(g)を測定した。重量当たりの静電気量をトナー帯電量(μC/g)として算出した(表中では「T0」と表す。)。すなわち、トナー帯電量(μC/g)=帯電量(μC)/トナー重量(g)である。
さらに、白ベタ画像(白紙)を2,000枚印刷し、その後、前記と同様にトナー帯電量(表中では「T2000」と表す。)を測定した。
通常トナーは使用するとトナー帯電量が低下し、その結果印刷物上のトナー積層量、すなわち印刷物の透過濃度は上昇することが一般的に知られている。これは、現像ロールと感光体との間の電位差をトナーが有する帯電量が埋めており、前記電位差はトナーが有する帯電量、すなわちトナー帯電量(μC/g)×トナー重量(g)に比例するため、現像ロールと感光体との間の電位差は一定である以上トナー帯電量が低下すればトナー重量が上昇するという原理である。
しかし、比較例1,2においては、トナーの帯電量が若干低下しているのに印刷物の透過濃度は上昇するどころか下がっている。これはトナーの一部が現像ロールに付着したためであることが解った。
一方、実施例1〜7においては印刷物の透過濃度が上昇しており、比較例1,2でみられるような現像ロールへのトナーの付着という現象が起きなかったことが確認出来た。
本発明の半導電性ロールの概略図である。 半導電性ロールのロール電気抵抗の測定方法を示す図である。 半導電性ロールの誘電正接の測定方法を示す図である。 半導電性ロールの摩擦係数の測定方法を示す図である。
符号の説明
1 トナー搬送部
2 芯金
3 シール部
4 トナー
10 半導電性ロール

Claims (6)

  1. トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、更にまた、前記樹脂またはゴムは誘電正接調整剤を含み、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.8であることを特徴とする半導電性ロール。
  2. トナー搬送部を有する半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含み、
    前記最外層の最表面に酸化膜が形成されていることを特徴とする半導電性ロール。
  3. 電子写真装置の画像形成機構において、非磁性1成分トナーを用いた現像装置に用いられるトナー搬送部を有する現像ロールからなる半導電性ロールであって、前記トナー搬送部は少なくともその最外層が樹脂またはゴムで形成されており、前記樹脂またはゴムは少なくとも塩素原子を有する樹脂またはゴムを含み、更に塩素原子を有する樹脂またはゴム100質量部に対して3〜60質量部の割合で酸化チタンを含んでいることを特徴とする半導電性ロール。
  4. イオン導電性を有する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導電性ロール
  5. 前記塩素原子を有するゴムとして、少なくともクロロプレンゴムを含む請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導電性ロール。
  6. 前記塩素原子を有するゴムまたは樹脂として、少なくともエピクロルヒドリン系共重合体を含む請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導電性ロール。
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