JP4601472B2 - 半導電性ゴム組成物およびこれを用いた半導電性ゴム部材 - Google Patents

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Description

本発明は、半導電性ゴム組成物および該半導電性ゴム組成物を用いた半導電性ゴム部材に関し、コピー機またはプリンター等の画像形成装置に装着される半導電性ゴム部材、特に、現像ローラとして特に好適に用いられるものである。
電子写真方式による印刷技術はレーザービームプリンターを中心に発展して、高速化、高画質化、カラー化、小型化といった改良が進み、広く世の中に普及してきた。
こうしたニーズに対応するために、球状で小径化が可能な重合トナーの使用が広まっている。重合トナーとしては、トナーの配合設計が容易なことから、フェライト粉または鉄粉等からなるキャリアとトナーとの2種類で構成されている2成分系トナーに代わり、キャリアを用いない1成分系トナーが汎用されてきている。このようなトナー技術の革新と、簡素化および省スペース化の要求とが相まって、例えばトナーをトナーボックスから感光体に電気的・磁気的に搬送していたマグネット方式の現像ロールは導電性のゴムローラに移行しつつある。
現像ローラとして用いられる導電性ゴムローラをはじめとする画像形成装置を構成する数多くの導電性ゴム部材には、改良をさらに進めるために、より電気抵抗が安定し、製品間で電気抵抗のばらつきがないことが求められている。このような要求を満たすため、導電性ゴム部材にはイオン導電性を有し汚染性が極め少ないイオン導電性ゴム組成物を用いる場合が多い。
なかでも、現像ローラにおいては、転写ローラ等の他の導電性ゴム部材に比べて105.0〜10Ω程度の低い電気抵抗が要求されていることから、体積固有抵抗値でおよそ107.5Ω・cm以下の半導電性ゴム組成物が必要とされ、様々な研究がなされている。
例えば、特開2002−105305号公報(特許文献1)では、特定のモノマー構成を有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を、エピクロルヒドリンゴムに特定の割合で混合したことを特徴とする導電性ゴム組成物が提供されている。この導電性ゴム組成物は体積固有抵抗値が低く、さらに圧縮永久ひずみも小さいため、この導電性ゴム組成物を用いた導電性ロールは実用上優れた初期性能を有する。
しかし、特許文献1の導電性ゴム組成物においては、加流速度が速く、かつ粘度が高いため、押出しや射出成形時にゴム焼けが発生しやすい。特に、現像ローラとして使用する際には、成形精度を改善して、外径精度を高めると共に表面粗さを低減する必要がある。また、充填材の含有量が極めて低いので、ロール表面のタック感が残り、トナー離れが悪くなり易い等の問題があり、改善の余地がある。
特開2003−183494号公報(特許文献2)では、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体あるいは/およびクロロプレンゴムを主成分とし、硫黄及びチオウレア類を含むポリマー組成物が提供されている。このポリマー組成物はエピクロルヒドリン単独ゴムよりも加流速度が早いため、生産性を向上することができる。さらに圧縮永久ひずみが小さく、低い体積固有抵抗値も実現可能であるため、このポリマー組成物を用いた導電性ロールは実用上優れた初期性能を有する。
しかし、特許文献2のポリマー組成物も特許文献1と同様に加硫速度が速く成形時にゴム焼けが起こり易い問題があると共に、充填材の含有量が極めて低いのでロール表面にタック感が残りトナー離れが悪い問題がある。さらに、接触部材との摩擦係数が極めて高いために耐久性に優れず、かつ、分散性が悪くゴム自体の耐久性も不十分である問題がある。
特開2002−121376号公報(特許文献3)では、特定のモノマー構成を有するエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(A)と、アクリロニトリルブタジエンゴム(B)と、エピクロルヒドリンゴム(C)とを特定の割合で混合したことを特徴とする導電性ゴム組成物が提供されている。この導電性ゴム組成物は低い体積固有抵抗値を維持しながら、圧縮永久ひずみの低減、加工性の改善、加硫時間の短縮を図ることができる。ゆえに、この導電性ゴム組成物を用いた導電性ロールは、高い生産性と実用上優れた初期性能を有する。
しかし、特許文献3の導電性ゴム組成物では、加工後の表面のしわや光沢は改善されているが、加工段階における成形のしやすさをさらに向上させる必要があり、かつ、特許文献1、2と同様に、充填材の含有量が極めて低いので、ロール表面にタック感が残り、トナー離れが悪化する問題がある。
さらに、特許文献1、2、3のゴム組成物は、いずれも強度を向上させて耐摩耗性を改善する余地がある。
特開2002−105305号公報 特開2003−183494号公報 特開2002−121376号公報
本発明は、所要の体積固有抵抗値を維持しながら、加硫速度を調整して加工性の向上を図ると共に、ゴム強度をアップして耐摩耗性の向上を図り、現像ローラとして用いる場合にはトナー離れを改善することを課題としている。
本発明は前記課題を解決するため、少なくともエチレンオキサイドとエピクロルヒドリンを含むエピクロルヒドリンゴム(A)、少なくともエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルを含むポリエーテルゴム(B)およびクロロプレンゴム(C)を含有することを特徴とする導電性ゴム組成物、および当該導電性ゴム組成物を用いることを特徴とする半導電性ゴム部材を提供している。
前記のように、本発明の半導電性ゴム組成物では、少なくともエチレンオキサイドとエピクロルヒドリンを含むエピクロルヒドリンゴム(A)と、少なくともエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルを含むポリエーテルゴム(B)を混合し、従来のイオン導電性ゴムでは実現できなかった低抵抗を達成でき、かつ圧縮永久ひずみも小さくでき、その結果、ローラあるいはベルトとした時に寸法安定性の良いものを得ることができるようにしている。
本発明の半導電性ゴム組成物では、前記(A)(B)の2成分にさらにクロロプレンゴム(C)を混合することにより加工性を向上させている。これは、エピクロルヒドリンゴム(A)およびポリエーテルゴム(B)は親水性の高いエチレンオキサイド基とアリルグリシジルエーテル基を有するため加硫速度が速くなりやすいが、クロロプレンゴムは親水性がわずかで、しかもエチレンオキサイド基に影響されにくいので、これを混ぜることで加硫速度を遅くすることができるからである。
さらに、クロロプレンゴム(C)を混合することにより強度も向上させている。これは、エピクロルヒドリンゴム(A)とポリエーテルゴム(B)のみでは分散性が良くないが、クロロプレンゴムを混ぜることで3成分の分散性が良くなるためである。
本発明で用いるエピクロルヒドリンゴム(A)は少なくともエチレンオキサイドとエピクロルヒドリンを含む。エチレンオキサイドを含ませるのは、エピクロルヒドリンゴム中にエチレンオキサイドを含む方が体積固有抵抗値がより低くなるためである。
エピクロルヒドリン系重合体中のエチレンオキサイド含量としては、30モル%以上95モル%以下であることが好ましく、55モル%以上95モル%以下であることがより好ましく、60モル%以上80モル%以下であることがさらに好ましい。エチレンオキサイド含量が30モル%未満であると体積固有抵抗値の低減効果が小さい。一方、エチレンオキサイド含量が95モル%を超えると、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に体積固有抵抗値が上昇する傾向があると共に、加硫ゴムの硬度上昇や加硫前のゴムの粘度上昇と言った問題が生じやすい。
本発明においては、前記条件を満たせば公知のエピクロルヒドリンゴムを用いてよい。例えば、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。なかでも、本発明においてはエチレンオキサイド(EO)−エピクロルヒドリン(EP)−アリルグリシジルエーテル(AGE)三元共重合体を用いることが好ましい。
エピクロルヒドリンゴム中にアリルグリシジルエーテルを含む方が、硫黄で架橋でき、感光体汚染を防止できるのでより好ましい。前記エピクロルヒドリンゴム中のEO:EP:AGEの好ましい含有比率は30〜95モル%:4.5〜65モル%:0.5〜10モル%であり、さらに好ましい比率はEO:EP:AGE=60〜80モル%:15〜40モル%:2〜6モル%である。
本発明で用いるポリエーテルゴム(B)は少なくともエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルを含む。
エチレンオキサイドは導電性を発揮させるために必須の成分である。すなわち、ポリマー中のオキソニウムイオンや金属陽イオン(例えばポリマー老化防止剤中に含まれるニッケルイオン等)がエチレンオキサイドユニットで安定化され、その部分の分子鎖のセグメント運動により運搬されることにより導電性が発揮される。よって、エチレンオキサイドユニットの比率が高い方が多くのイオンを安定化でき、低抵抗化が実現できると考えられる。しかし、エチレンオキサイドの比率を上げすぎると、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に体積固有抵抗が上昇する可能性がある。かかる理由から、ポリエーテルゴム(B)中のエチレンオキサイド含量としては50〜95モル%が好ましい。
アリルグリシジルエーテルを共重合することにより、このアリルグリシジルエーテルユニット自体が側鎖として自由体積を得ることから、前記エチレンオキサイドの結晶化を抑制することができ、その結果として従来にない低抵抗化が実現できる。さらにアリルグリシジルエーテルの共重合により炭素−炭素間の二重結合を導入して、他のゴムとの架橋を可能としている。他のゴムと共架橋することにより、ブリードや感光体汚染を防止することができる。
ポリエーテルゴム(B)中のアリルグリシジルエーテル含量としては1〜10モル%が好ましい。1モル%未満ではブリードや感光体汚染の発生が起こり易くなる一方、10モル%を越えると、それ以上の結晶化の抑制効果は得られず、加硫後の架橋点の数が多くなり、却って低抵抗化が実現できず、また、引張強度や疲労特性、耐屈曲性等が悪化することとなる。
本発明で用いるポリエーテルゴム(B)としては、具体的にはエチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル二元共重合体またはエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体等が挙げられる。なかでもエチレンオキサイド(EO)−プロピレンオキサイド(PO)−アリルグリシジルエーテル(AGE)三元共重合体を用いることが好ましい。プロピレンオキサイドを共重合させることにより、エチレンオキサイドによる結晶化をさらに抑制することができる。前記ポリエーテルゴム(B)中のEO:PO:AGEの好ましい含有比率は50〜95モル%:1〜49モル%:1〜10モル%である。さらに、ブリードや感光体汚染をより有効に防止するため、前記EO−PO−AGE三元共重合体の数平均分子量Mnは10,000以上であることが好ましい。
クロロプレンゴムは、クロロプレンの重合体で乳化重合により製造されるが、分子量調節剤の種類によりイオウ変性タイプ、非イオウ変性タイプに分類される。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。
非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤に使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤に使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶加速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
なお、クロロプレンゴムとしてクロロプレンゴムに類似の構造を有するゴムまたはエラストマーを用いることもできる。例えば、クロロプレンと他の共重合可能な単量体1種以上との混合物を重合させて得られた共重合体を用いてもよい。クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン並びにアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステル類などが挙げられる。
前記エピクロルヒドリンゴム(A)、ポリエーテルゴム(B)およびクロロプレンゴム(C)の配合比は、目的とする物性などに応じて適宜選択される。例えば、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリンゴム(A)の含有量が5〜90質量部、好ましくは10〜70質量部、ポリエーテルゴム(B)の含有量が5〜40質量部、好ましくは5〜20質量部、クロロプレンゴム(C)の含有量が5〜90質量部、好ましくは10〜70質量部とする。このような配合比にすることにより、3成分がうまく分散してゴム組成物の強度が大きくすることができる。
本発明の半導電性ゴム組成物においては、本発明の目的に反しない限り、上述したゴム成分以外の他の成分を含有させることができる。
特に、本発明の半導電性ゴム組成物からなる半導電性ゴム部材の誘電正接を低減するために、一次粒径80nm以上500nm以下の弱導電性カーボンブラックをゴム成分100質量部に対して5〜70質量部混合することが好ましい。
弱導電性カーボンブラックとは、粒径が大きくストラクチャーの発達が小さく導電性への寄与が小さいカーボンブラックであり、これを配合することにより導電性を高めることなく分極作用によるコンデンサー的な働きを得ることができ、電気抵抗の均一化を損なうことなく帯電性のコントロールを実現できる。
前記弱導電性カーボンブラックとして、一次粒径が80nm以上、好ましくは100nm以上のものを用いれば、より有効に前記効果が得られる。また、一次粒径が500nm以下、好ましくは250nm以下であると表面粗さを極めて小さくできる。前記弱導電性カーボンブラックの形状は表面積が小さいことから球形状または球形に近い形状が好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法またはサーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、ファーネスカーボンブラックがより好ましい。カーボンの分類で言うとSRFやFT、MTが好ましい。また顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
カーボンブラックの配合量は、誘電正接の低減効果を実質的に発揮するためにゴム成分100質量部に対して5質量部以上であることが好ましく、硬度が上昇し接触する他の部材を損傷させるおそれが避け、かつ耐摩耗性の低下を回避するために、70質量部以下であることが好ましい。また、印加電圧に対しロール抵抗の電圧変動が小さい、いわゆるイオン導電性特性を得るためにも、70質量部以下の配合が好ましい。
弱導電性カーボンブラックの代わりに、脂肪酸処理された炭酸カルシウムを配合することによっても誘電正接を低減することができる。脂肪酸処理された炭酸カルシウムは、脂肪酸が炭酸カルシウムの界面に存在することにより通常の炭酸カルシウムに比べ活性が高く、また易滑性であることから高分散化が容易かつ安定して実現できる。脂肪酸処理により分極作用が促されると、前記2つの作用の働きでゴム内のコンデンサー的な働きが強まるため誘電正接を効率良く低減することができる。脂肪酸処理された炭酸カルシウムとしては、炭酸カルシウムの粒子表面に全面にわたってステアリン酸等の脂肪酸がコーティングされているものが好ましい。脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量はゴム成分100質量部に対して30〜80質量部、好ましくは40〜70質量部である。誘電正接を低減する効果を実質的に発揮するためには30質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇および抵抗の変動を避けるためには80質量部以下であることが好ましい。
本発明の半導電性ゴム組成物は、加硫後で成形前の状態て、JIS K6300−1に準拠した130℃で最低ムーニー粘度Vmが60以下で、かつスコーチtを7分以上として、従来の導電性ゴム組成物よりも加工性を改善し、押出成形や射出成形などの成形性を高め、これにより、成形材の寸法精度、表面性状を改善することができる。
最低ムーニー粘度は55以下であることが好ましい。なお、ポリエーテルゴム(B)単独ではスコーチが4.2分程と非常に長く、一方エピクロルヒドリンゴム(A)単独では最低ムーニー粘度が60以上となる。
本発明の半導電性ゴム組成物を加硫後に成形した状態で、強度が大きく、耐摩耗性に優れたものとしている。その指標として、引張強度が10MPa以上で、かつ最大伸びが200%以上としていることが好ましい。引張強度は10.5MPa以上、より好ましく15MPa以上である。最大伸びは230%以上で、より好ましくは300%以上である。
また、その体積固有抵抗値が106.0〜108.5Ω・cmの範囲が好ましくは、より好ましくは107.0〜108.0Ω・cmである。これは、体積固有抵抗値が106.0Ω・cmより小さいと、本発明の半ゴム組成物を用いたゴム部材に適切な導電性を付与できず、体積固有抵抗値が108.5Ω・cmより大きいとトナーに過度の帯電性を付与したり、トナーが離れる際に生じる電圧降下が大きくなりシステムを不安定にする可能性があると共に、ローラやベルトに成形した際に転写や帯電、トナー供給等の効率が低下し実用に適さなくなるという問題があることに因る。なお、体積固有抵抗値の測定条件は、温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧を200Vとしている。
本発明の半導電性ゴム組成物から構成される半導電性ゴム部材は、用途等に応じて、ロール状やベルト状とされる。
本発明の半導電性ゴム部材としては、例えば、本発明の半導電性ゴム組成物からなる導電性ゴム層を最外層に備えている半導電性ゴムローラが挙げられる。該半導電性ローラは、少なくとも導電性ゴム層を最外層に備えていればその構造は特に問わず、要求性能に応じて2層等の複層構造としてもよいが、導電性ゴム層の一層からなる構造とすると物性のばらつきが少なく安価に製造できるため好ましい。
前記最外層の半導電性ゴム層は、その最表面が紫外線照射あるいは/およびオゾン照射により酸化膜とされていることが好ましい。酸化膜が誘電層となりゴムローラの誘電正接を低減できる。さらに、酸化膜が低摩擦層となることでトナー離れがよくなり、画像形成が容易に行われ、その結果より良好な画像が得られる。
酸化膜としては多数のC=O基またはC−O基等を有する酸化膜が好ましい。酸化膜は前記したように導電性ゴム層の表面に紫外線照射あるいは/およびオゾン照射等の処理を施し、導電性ゴム層の表層部分を酸化することで形成されている。なかでも紫外線照射により酸化膜を形成することが、処理時間が早く、コストも低いことから好ましい。
前記酸化膜を形成するための処理は公知の方法に従って行うことができる。例えば、紫外線照射を行う場合にはゴム層の表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が約100〜400nm、より好ましくは約100〜200nmの紫外線を約30秒〜30分、好ましくは約1分〜10分程度ゴムローラを回転させながら照射することが好ましい。ただし、紫外線の強度や照射条件(時間、槽内温度、距離)は誘電正接を本発明で規定する範囲内に制御できる条件に選定される必要がある。
酸化膜形成前の半導電性ゴムローラに電圧50Vを印加した時のローラ抵抗をR50とし、酸化膜形成後の印加電圧50Vにおけるローラ抵抗をR50aとしたとき、log(R50a)−log(R50)=0.2〜1.5程度とすることが好ましい。当該範囲とすると、耐久性の向上、ローラ使用時の抵抗変化の低減、トナーへのストレスの低減や感光体崩れ対策の観点から好ましい。このように安定して電圧を負荷することができる50Vという低電圧時のローラ抵抗を指標値としているため、酸化被膜形成による微小な抵抗上昇を精度良く捉えることができる。なお、より好ましい範囲は約0.5〜1.2である。
本発明の半導電性ゴムローラ等のゴム部材は表面粗さRzが5μm以下であることが好ましい。表面粗さRzを小さくすることにより、半導電性ゴムローラの表面にはトナーの粒径より小さな凹凸が存在するにすぎなくなるため、均一なトナーの搬送ができるだけでなくトナーの流動性がよくなり、結果としてトナーに帯電性を与える効率がきわめて高くなる。なお、表面粗さRzはJIS B 0601(1994)に準拠して測定している。
本発明においては、構成するゴム組成物に弱導電性カーボンブラックを配合したり、表層に酸化膜を形成したりして誘電正接の低減を図っているが、具体的には本発明の半導電性ゴム部材は、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧をした際の誘電正接を0.1〜1.8としていることが好ましい。
ゴムローラの電気特性において誘電正接とは、電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメータでもあり、電圧をかけた時のコンデンサー成分割合の大きさを示している。即ち、誘電正接はトナーが量規制ブレードにより高圧で現像ローラに接触した際に生成される帯電量と感光体へ搬送されるまでにローラ上に逃げる帯電量とにより表され、感光体接触直前の帯電量を示す指標となる。
誘電正接が大きいと電気(電荷)を通しやすく分極は進みにくい。逆に誘電正接が小さいと電気(電荷)を通しにくく分極が進むことになる。よって、誘電正接が小さい方がロールのコンデンサー的特性が高く、摩擦帯電で生じたトナー上の電荷をロールから逃すことなく維持できる。すなわち、トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができる。かかる効果を得るために誘電正接を1.8以下としている。また、帯電量が上がりすぎて印刷濃度が低下しすぎるのを防ぐため、さらには誘電正接を調整するための添加物の量が多くなり硬くなるを避けるため、誘電正接は0.1以上としている。
誘電正接は0.3以上であることがより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。好ましい上限は1.5以下、さらに好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.8以下である。
また、トナー搬送用のゴムローラでは、軸線方向の両端にトナーの漏れを防止するトナーシール部が設けられるが、該トナーシール部にも誘電正接調整剤を配合して、前記誘電正接とすることが好ましい。また、このように、トナーシール部分と接する場合、誘電正接調整剤と合わせてアルミナ等の高熱伝導フィラーを添加すると、よりトナー漏れを防止することができる。
本発明の半導電性ゴム部材は、レーザービームプリンター、インクジェットプリンター、複写機、ファクシミリまたはATMなどのOA機器における電子写真装置の画像形成機構に用いられることが好ましい。なかでも、非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ローラとして好適に用いられる。
本発明の半導電性ゴム層を最外層に備えている半導電性ゴムローラにおいては、半導電性ゴム層に含まれているクロロプレンがそのゴム構造からきわめて高いプラス帯電付与性を有するため、プラス帯電性を有する非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ローラとして使用することが特に好ましい。電子写真装置の画像形成機構における現像方式としては感光体と現像ロールの関係で分類すると接触式または非接触式に大別されるが、本発明の導電性ローラはいずれの方式にも利用できる。なかでも本発明の現像ローラは感光体に概接触していることが好ましい。
前記半導電性ゴムローラは、現像ローラの他、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナー像を感光体から転写ベルトや用紙に転写するための転写ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、転写ベルトを内側から駆動するための駆動ロール等として用いることもできる。
前記半導電性ゴムローラを感光体や転写ベルト上のトナーをクリーニングするクリーニングローラとして使用すると、クリーニングするトナーを静電気的に吸着、排出することができ、特に静電気力を使って回収機にトナーを回収する機構に最適である。
さらに、本発明の半導電性ゴム部材は、クリーニングブレード、転写ドラムとしても好適に用いられる。
本発明の半導電性ゴム組成物は、前記(A)(B)(C)の3成分を配合して、体積固有抵抗値を106.0〜108.5Ω・cmの範囲としているため、低抵抗値を実現できる。
さらに、前記ゴム組成物を成形した状態で、引張強度を10MPa以上として強度を大とし、かつ、最大伸びを200%以上としているため、半導電性ゴム部材を耐摩耗性が優れたものとすることができる。
また、本発明の半導電性ゴム組成物は、加硫後で且つ成形前の状態で、最低ムーニー粘度が60以下で、かつスコーチが7分以上としているため、従来の導電性ゴム組成物よりも加工性を改善でき、押出成形や射出成形がしやすく、成形時にゴム焼けを生じることがない。さらに、成形がしやいことから、外径精度の向上および表面粗さの低減などの成形精度の改善を図ることができる。
さらに、充填材の含有量を前記特許文献1〜3よりも多くすることができ、ロール表面のタック感を減少させたり、研磨時の易削性が得られて、表面粗さを小さくすやすいことから、トナー離れを向上させることができる。
以下、本発明の半導電性ゴム組成物の実施形態を説明する。
半導電性ゴム組成物は、エピクロルヒドリンゴム(A)、ポリエーテルゴム(B)、クロロプレンゴム(C)を配合している。
エピクロルヒドリンゴム(A)としてエチレンオキサイド:エピクロルヒドリン:アリルグリシジルエーテルの含有比率が60〜80モル%:15〜40モル%:2〜6モル%であるエチレンオキサイド−エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を配合している。
ポリエーテルゴム(B)としては、エチレンオキサイド:プロピレンオキサイド:アリルグリシジルエーテルの含有比率が75〜95モル%:1〜10モル%:1〜10モル%であるエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体を用いている。当該共重合体の数平均分子量Mnは1万以上であることが好ましく、3万以上であることがより好ましく、5万以上であることがさらに好ましい。
前記エピクロルヒドリンゴム(A)、ポリエーテルゴム(B)およびクロロプレンゴム(C)の配合比は、ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリンゴム(A)の含有量が10〜70質量部、ポリエーテルゴム(B)の含有量が5〜20質量部、クロロプレンゴム(C)の含有量が10〜70質量部としている。
前記(A)(B)(C)のゴム成分以外に、弱電性カーボンブラック、受酸剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、スコーチ防止剤を配合している。
弱導電性カーボンブラックとしては、一次粒径が100〜250nmで、球形状または球形に近い形状のものを用いている。弱導電性カーボンブラックの配合量は、ゴム成分100質量部に対して20〜70質量部であることが好ましい。弱導電性カーボンブラックを前記量配合することにより、本発明の半導電性ゴム部材の誘電正接を0.1〜1.5の範囲内に制御できる。また、ロール表面のタック感を減少させ、トナー離れを向上させることができる。
受酸剤としては、分散性にも優れることから特にハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましい。その他、受酸剤としては酸受容体として作用する種々の物質を用いることができる。
受酸剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対し1質量部以上10質量部以下、好ましくは3質量部以上8質量部以下としている。加硫阻害および感光体汚染を防止する効果を有効に発揮させるため受酸剤の配合量は1質量部以上であることが好ましく、硬度の上昇を防ぐため受酸剤の配合量は10質量部以下であることが好ましい。
加硫剤としては硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(C2n+1NH)C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等よりなる群から選択される1種または複数種のチオウレアを用いることができる。過酸化物としてはベンソイルペルオキシドなどが挙げられる。前記加硫剤としては、特に低抵抗を実現できる点等から硫黄が好ましい。
加硫剤の配合量はゴム成分100質量部に対して好ましくは約0.2質量部以上約5質量部以下、より好ましくは約1質量部以上約3質量部以下である。
加硫促進剤としては、消石灰、マグネシア(MgO)もしくはリサージ(PbO)等の無機促進剤や以下に記す有機促進剤を用いることができる。有機促進剤としては、2−メルカプト・ベンゾチアゾールもしくはジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィドもしくはジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系;チオウレア系等が挙げられ、これらを単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。なお、加硫促進剤は加硫剤の種類等に応じて配合しなくても良い。
加硫促進剤の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上2質量部以下がより好ましい。
加硫促進助剤としては、亜鉛華等の金属酸化物;ステアリン酸、オレイン酸もしくは綿実脂肪酸等の脂肪酸;その他従来公知の加硫促進助剤が挙げられる。なお、加硫促進助剤は加硫剤または加硫促進剤の種類等に応じて配合しなくても良い。
加硫促進剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.5質量部以上10質量部以下が好ましく、2質量部以上8質量部以下がより好ましい。
スコーチ防止剤としては、N−シクロヘキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフェニルアミン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。なかでも、N−シクロヘキシルチオフタルイミドを用いることが好ましい。これらは単独で用いてもよく、複数を組合せて用いてもよい。
スコーチ防止剤の添加量は、ゴム成分100質量部に対して0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.1質量部以上1質量部以下がより好ましい。
前記成分の他に、本発明の目的に反しない限り、可塑剤、加工助剤、劣化防止剤(老化防止剤、酸化防止剤)、充填剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、気泡防止剤または架橋剤等の添加剤を適宜配合してもよい。
前記可塑剤としてはジブチルフタレート(DBP)やジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルフォスフェート等の各種可塑剤やワックスが挙げられ、加工助剤としてステアリン酸等の脂肪酸等が挙げられる。これら可塑成分は、前記ゴム層のゴム成分100質量部に対して約5質量部以下の割合で配合されていることが好ましい。酸化膜を形成する際にブリードが生じたり、プリンター装着時や運転時に感光体を汚染したりするのを防ぐためである。この目的を鑑みれば極性ワックスの使用が最も好ましい。
前記劣化防止剤としては各種老化防止剤や酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合には、所望により施される表層部分における酸化膜の形成が効率よく進むよう、その配合量を適宜選択することが好ましい。
前記充填剤としては、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムまたは水酸化アルミニウム、アルミナ等の粉体を挙げることができる。充填剤を配合することにより機械的強度等を向上させることができる。充填剤の添加量はゴム成分100質量部に対し60質量部以下とすることが好ましく、50質量部以下とすることがより好ましい。
本発明の半導電性ゴム組成物の製造方法は特に限定されず、構成成分を例えばバンバリーミキサー、ニーダー、オープンロールなど公知の方法で混ぜ合わせればよく、後に成形しやすいようにシート状およびリボン状にしておく。混練時の温度および混練時間は適宜選択すればよい。また、混合順序も特に問わず、全ての成分を一度に混ぜ合わせても良いし、一部を予め混ぜ合わせ、得られた混練物に他の成分を混合しても良い。
具体的には、ニーダーにゴム成分、弱電性カーボンブラック、加硫促進助剤をこの順序で投入し、排出温度80〜150℃にて混練している。得られた混練物に加硫剤、加硫促進剤、受酸剤、スコーチ防止剤および所望により他の添加剤を添加して、ロールにて1〜30分間、好ましくは1〜15分間練り、得られた混練物をシート状およびリボン状のコンパウンドとしている。
前記加硫されてシート状あるいはリボン状のコンパウンドとした状態で、本発明の導電性ゴム組成物は、最低ムーニー粘度が60以下で、かつスコーチが7分以上となる。そのため、従来の導電性ゴム組成物よりも加工性が改善され、押出成形や射出成形などの成形がしやすく、成形時にゴム焼けを生じることがない。また、押出成形の場合は押出トルクが安定したものとなる。
さらに、前記コンパウンドを押出成形、射出成形してローラあるいはベルト等のゴム部材とした状態で、引張強度が10MPa以上で、かつ最大伸びが200%以上とし、耐摩耗性を非常に優れたものとしている。また、その体積固有抵抗値が106.0〜108.5Ω・cmの範囲にあり、低抵抗値を実現できる。
以述した本発明の半導電性ゴム部材は、画像形成装置用に装着される半導電性ゴム部材となる。本実施形態では、図1に示す非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ロールとして製造している。
図1に示す現像ロール10は、円筒形状の肉厚0.5〜15mm、好ましくは3〜10mmのロール1と、その中空部に圧入された円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナー4が漏れるのを防止するシール部3を備えている。前記ロール1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。芯金は、アルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等とすることができる。
シール部3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートから構成している。
ロール1の肉厚を0.5〜15mmとしているのは、前記範囲より小さいと適当なニップを得にくく、前記範囲より大きいと部材が大きすぎて小型軽量化を図りにくいからである。
ロール1は、前記半導電性ゴム組成物からなる導電性ゴム層を少なくとも最外層に備えている。ロール1は、要求性能に応じて2層等の複層構造としてもよいが、本発明の導電性ゴム組成物からなる導電性ゴム層の一層からなる構造とすると物性のばらつきが少なく安価に製造できるため好ましい。
前記現像ロール10は常法により作製している。例えば、半導電性ゴム組成物をゴム押出機でチューブ状に予備成形し、この予備成形品を160℃で15〜70分間加硫したのち、芯金を挿入・接着し表面を研磨した後、所要寸法にカットしてローラとしている。
加硫時間は、加硫試験用レオメータ(例えばキュラストメータ)により最適加硫時間を求めて決めている。加硫温度は必要に応じて前記温度に上下して定めてよい。なお、他の部材への汚染と圧縮永久ひずみを低減させるため、なるべく十分な加硫量を得られる様に条件を設定することが好ましい。
前記ロール表面に紫外線照射を行い、最表面に酸化膜を形成している。
具体的には、ローラを水洗いしたあと、紫外線照射機を用い、ローラと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射し、ローラを4回回転させることで、ローラ全周(360度)に酸化膜を形成している。
前記現像ロール10は表面粗さRzが5μm以下としている。また、温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧を100Vとした時のロール抵抗値が10〜10Ωとしている。なお、105.2〜106.5Ωの範囲とすることがより好ましい。
前記した現像ロール10は耐摩耗性に優れたものとなる。具体的には、約1%の印字画像により印刷を重ねていくと、シール部前面にトナーが乗った段階での枚数が8,000枚以上である。
さらに、現像ローラ10は、JIS A(K−6253)硬度は75度以下とし、好ましくは、70度以下としている。低硬度であるほど好ましいが、コーティング等を施さずに使用するため、耐摩耗性や研磨精度の確保の観点からJIS A硬度は50度以上が好ましい。但し、紫外線照射など表面処理を行った場合、さらに低硬度が可能で、40度以上でも耐摩耗性の面で良好な特性が得られる。
また、現像ローラ10は、50℃の高温環境下で24時間の放置試験における圧縮永久ひずみが約10%以下とし、より好ましくは約5%以下としている。圧縮永久ひずみが前記範囲内にあると規制ブレードと現像ロールのニップ部分にニップ跡が残りにくいものとなる。
以下、本発明の実施例1〜6、比較例1、2を表1に示す如く作製した。
Figure 0004601472
各実施例1〜6および比較例1、2のゴム組成物における構成成分としては以下のものを用いた。
(a)ゴム成分
・エピクロルヒドリンゴム;ダイソー(株)製「エピクロルヒドリンゴム エピオンON 301」(エチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシ ジルエーテル(AGE)の共重合比率が73モル%/23モル%/4モル%である。)
・ポリエーテルゴム:日本ゼオン(株)製「ゼオスパンZSN8030」
(エチレンオキサイド(EO)/プロピレンオキサイド(PO)/アリルグリシジルエーテル(AGE)の共重合比率が90モル%/4モル%/6モル%であり、数平均分子 量Mnは8万である。)
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショープレンWRT」
(b)その他の成分
・亜鉛華;酸化亜鉛2種
・ハイドロタルサイト(受酸剤);協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」
・弱電性カーボンブラック;旭カーボン(株)製「旭#15(平均1次粒径122nm)」
・加硫剤;粉末硫黄(鶴見化学工業(株)製)
・加硫促進剤1;大内新興化学工業(株)製「ノクセラ−DM」
・加硫促進剤2;大内新興化学工業(株)製「ノクセラ−TS」
・スコーチ防止剤;大内新興化学工業(株)製「リターダーCTP」
(ゴム組成物の製造方法)
表1に示した配合に従い、10Lニーダーにゴム成分、弱電性カーボンブラック、亜鉛華をこの順序で投入した。排出温度110℃にて混練りし、得られた混練物に加硫剤、加硫促進剤、受酸剤およびスコーチ防止剤を添加して、ロールにて5分間練り、シート状およびリボン状のコンパウンドを得た。
(最低ムーニー粘度Vmおよびスコーチtの測定)
得られたゴムパウンドを48時間室温にて放置し、JIS K 6300「ムーニースコーチ試験方法」に従い、測定温度130℃で、L型ローターを使用し、予熱1分・回転時間4分にて試験を行い、最低ムーニー粘度およびスコーチを測定した。
最低ムーニー粘度が小さい、具体的には60Vmを超えず、かつスコーチtが大きい、具体的には7分以下にならないことが、押出しや射出等の加工に有利である。
(引張強度と最大伸びの測定)
シート状のコンパウンドを、油圧式プレスを用いて160℃にて30分間加硫して、厚み2mmで10cm角のスラブを得た。得られたスラブより3号ダンベルにて試験片を打ち抜き、この試験片を500mm/分の引張速度で破断するまで引っ張り、破断させるのに要した最大の引張り力(引張強度)と破断時の最大の伸び率(最大伸び)を測定した。
引張強度および最大伸びともに大きいほど破壊に強く、耐摩耗性に優れている。
(押出し加工性の評価)
リボン状のコンパウンドを、φ60のバキューム式ゴム押出機を用いて口金温度50℃にて、内径φ9mm、外径φ21mmのチューブ状に押出成形した。この工程で気泡やゴム分子に吸着された水分以上の水分は取り除くことができる。得られたチューブを加圧環境下でφ10mmの金属製シャフトに挿入し、加硫缶にて160℃で60分間加熱し、加硫させた。
ここで、押出し作業時の押出トルクの状況等により、押出し加工性を以下のように評価した。すなわち、加工後の清掃時に焼けゴムが発見された場合を「×」、押出しトルクが安定しない場合を「△」、押出しトルクが安定している場合を「○」、押出しトルクが極めて安定している場合を「◎」とした。
(耐摩耗性の実用評価)
前記「押出し加工性の評価」の際に得られたローラを用いて、実用により即した耐摩耗性の評価を行った。すなわち、ローラを市販のレーザープリンター(非磁性1成分トナー使用)に現像ローラとして装着し、シール部の摩耗性を評価した。より具体的には、1%の印字画像により印刷を重ねてゆき、500枚を印刷するごとに目視でシール部の汚れを確認した。シール部前面にトナーが乗った段階で摩耗と判断し、そのときの枚数を表1に記載した。そして、摩耗発生枚数が10,000枚以上の場合はシール部の摩耗が非常に少なく耐久性に極めて優れているものであり「◎」と、摩耗発生枚数が8,000〜9,500枚の場合はシール部の摩耗が少なく耐久性に優れているものであり「○」と、摩耗発生枚数が6,500〜7,500枚の場合はシール部の摩耗が速く実用に耐えないものであり「△」と評価した。
(体積固有抵抗値の測定)
シート状のコンパウンドを、油圧式プレスを用いて160℃にて30分間加硫して、厚み2mmで10cm角のスラブを作製し、アドバンテストコーポレーション製のデジタル超高抵抗微少電流計R−8340Aを用いて、温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下、印加電圧を500VとしてJIS K 6911に記載の体積抵抗率(体積固有抵抗値)ρV(Ω・cm)を測定した。表1中にはその常用対数値を表示した。
実施例1〜6で作製した導電性ゴム組成物は、加硫前の状態で、最130℃における低ムーニー粘度が60以下で、かつスコーチが7分以上であり、成形時にゴム焼けを生じることがなく、押出成形時の押出トルクも安定していた。
一方、比較例1では成形時にゴム焼けが発生し、比較例2では押出しトルクが安定しなかった。
このように本発明の導電性ゴム組成物は、従来の導電性ゴム組成物よりも加工性が改善されており、押出成形や射出成形などの成形がしやすいことが確認できた。
比較例1の導電性ゴム組成物は引張強度が9.7MPaと小さく、比較例2の導電性ゴム組成物は最大伸びが180%と小さかった。実用により即した耐摩耗性の評価においても摩耗発生枚数が7,000枚であった。
それに対し、実施例1〜6で作製した導電性ゴム組成物は、引張強度が10MPa以上、最大伸びが200%以上であり、実用により即した耐摩耗性の評価においても摩耗発生枚数が8,000枚以上と、優れた耐摩耗性を有していることが確認できた。
本発明の半導電性ゴム組成物を用いた半導電性ゴム部材の一態様である現像ロールの概略図である。
符号の説明
1 ロール
2 芯金
3 シール部
4 トナー
10 現像ロール

Claims (11)

  1. 少なくともエチレンオキサイドとエピクロルヒドリンを含むエピクロルヒドリンゴム(A)、
    少なくともエチレンオキサイドとアリルグリシジルエーテルを含むポリエーテルゴム(B)、および
    クロロプレンゴム(C)を含有することを特徴とする半導電性ゴム組成物。
  2. 前記エピクロルヒドリンゴム(A)がエチレンオキサイド−エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、
    前記ポリエーテルゴム(B)がエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体である請求項1に記載の半導電性ゴム組成物。
  3. ゴム成分の総質量を100質量部とすると、エピクロルヒドリンゴム(A)の含有量が5〜90質量部、ポリエーテルゴム(B)の含有量が5〜40質量部、クロロプレンゴム(C)の含有量が5〜90質量部である請求項1または請求項2に記載の半導電性ゴム組成物。
  4. 一次粒径80nm以上500nm以下の弱導電性カーボンブラックをゴム成分100質量部に対して5〜70質量部含有している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導電性ゴム組成物。
  5. 成形前の状態で、JIS K 6300−1に準拠して測定した130℃における最低ムーニー粘度Vmが60以下で、スコーチtが7分以上である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の半導電性ゴム組成物。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導電性ゴム組成物の成形材からなり、引張強度が10MPa以上、最大伸びが200%以上で、かつ、体積固有抵抗値が106.0〜108.5Ω・cmである半導電性ゴム部材。
  7. 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の半導電性ゴム組成物からなる半導電性ゴム層を最外層に備えている半導電性ゴム部材。
  8. 前記最外層となる半導電性ゴム層の最表面が紫外線照射あるいは/およびオゾン照射により酸化膜とされており、かつ表面粗さRzが5μm以下とされている請求項7に記載の半導電性ゴム部材。
  9. 前記半導電性ゴム層を最外層に備えている導電性ゴムローラからなる請求項7または請求項8に記載の半導電性ゴム部材。
  10. 電子写真装置の画像形成機構において非磁性1成分トナーを感光体に搬送するための現像ローラからなる請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載の半導電性ゴム部材。
  11. 前記ゴムローラの軸線方向の両端にトナーシール部が設けられ、該トナーシール部に誘電正接調整剤が配合されている請求項10に記載の半導電性ゴム部材。
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