JP5160728B2 - 電子写真用の半導電性ゴム部材 - Google Patents
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Description
また、周波数を100Hzとしているのは、現像ローラの回転数、現像ローラが接触または近接する感光体やブレード、トナー供給ローラとのニップを考慮すると100Hz程度の低周波数が極めて事象にマッチするためである。
クロロプレンゴムは、クロロプレンの重合体で乳化重合により製造されるが、分子量調節剤の種類によりイオウ変性タイプ、非イオウ変性タイプに分類される。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。
非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤に使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤に使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶化速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
また、本発明において、クロロプレンゴムとしてクロロプレンゴムに類似の構造を有するゴムまたはエラストマーを用いることもできる。例えば、クロロプレンと他の共重合可能な単量体1種以上との混合物を重合させて得られた共重合体を用いてもよい。クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン、硫黄、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、イソプレン、ブタジエン並びにアクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステル類などが挙げられる。
導電性ゴム層がクロロプレンゴムと他のゴムとのブレンドゴムである場合、前記他のゴムとしてはエピハロヒドリンゴム(特にエピクロルヒドリンゴム)、ウレタンゴム、アクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴムやエチレンオキサイドを含有するポリエーテルポリマー等のゴム単体またはこれらのブレンドゴムが挙げられる。なかでも、極性ゴム、特にNBRとブレンドすることが硬度上昇の抑制および温度依存性の低減の観点から好適である。
また、電気伝導性が高くイオン導電性を有するエピハロヒドリンゴムやエチレンオキサイドを含有するポリエーテルポリマーをブレンドすることが、所定の抵抗値にコントロールする面から極めて好ましい。
ゴムローラの電気特性において誘電正接とは、電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメータでもあり、電圧をかけた時のコンデンサー成分割合の大きさを示している。
即ち、誘電正接はトナーが量規制ブレードにより高圧で現像ローラに接触した際に生成される帯電量と感光体へ搬送されるまでにローラ上に逃げる帯電量とにより表され、感光体接触直前の帯電量を示す指標となる。
誘電正接が大きいと電気(電荷)を通しやすく分極は進みにくい。逆に誘電正接が小さいと電気(電荷)を通しにくく分極が進むことになる。よって、誘電正接が小さい方がロールのコンデンサー的特性が高く、摩擦帯電で生じたトナー上の電荷をロールから逃すことなく維持できる。すなわち、トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができる。かかる効果を得るために誘電正接を約1.8以下としている。また、帯電量が上がりすぎて印刷濃度が低下しすぎるのを防ぐため、さらには誘電正接を調整するための添加物の量が多くなり硬くなるを避けるため、誘電正接は約0.1以上としている。
より好ましくは0.3以上、さらに0.5以上が最も好ましく、また、好ましい上限は1.5以下、さらに1.0以下、最も好ましくは0.8以下である。
なお、誘電正接は後述の実施例に記載の方法で測定している。
カーボンブラックとしてはイオン導電性を得る観点から弱導電性カーボンブラックを用いる。
上記弱導電性カーボンブラックとして、一次粒径が約80nm以上、好ましくは約100nm以上のものを用いれば、より有効に上記効果が得られる。また、一次粒径が約500nm以下、好ましくは約250nm以下であると表面粗さが極めて小さくできる。前記弱導電性カーボンブラックの形状は表面積が小さいことから球形状または球形に近い形状が好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法またはサーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、ファーネスカーボンブラックがより好ましい。カーボンの分類で言うとSRFやFT、MTが好ましい。また顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
また、印加電圧に対し、ロール抵抗の電圧変動が小さい、所謂、イオン導電性特性を得るためにも、約70重量部以下の配合が好ましい。
本発明のゴムローラが電子導電特性を得るためには、前述の弱導電性カーボンブラックを使用することは好ましくない。導電性が極めて低いためである。但し、より誘電正接を下げる目的や、研磨性、押出し性向上のために前記の電子導電剤と併用してもよい。
このようなカーボンは、比較的粒径が大きく、球形なためゴム内部で均一にナノ分散する。そのため、ゴム部材の表面にコーティングなどしなくとも均一にかつ高誘電化できる。
通常、カーボンブラック等の電子導電剤に依存している場合には前記式の値は1以上となる。なお、抵抗値の測定方法は下記実施例に記載の通りである。
このようなイオン導電性ゴムをブレンドする場合、クロロプレンゴムの含有量はゴム成分100重量部に対して好ましくは約90重量部以下、より好ましくは約75重量部以下、さらに好ましくは約60重量部以下である。また、帯電性付与効果の観点から、クロロプレンゴムの含有量はゴム成分100重量部に対して約10重量部以上で、トナーの帯電能力が小さい場合、20重量部以上が好ましい。
其の際、前記クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーと、エピクロルヒドリンの合計mol%が、エチレンオキサイドのmol%よりも大とすることが好ましい。
また、前記クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーのmol%がエピクロルヒドリンのmol%よりも大であることが好ましい。
さらに、前記クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーのmol%がエチレンオキサイドのmol%より大であることが好ましい。
酸化膜が誘電層となりゴムローラの誘電正接を低減できることから、誘電正接を所定範囲に制御しやすくなる。さらに、酸化膜が低摩擦層となることでトナー離れがよくなり、画像形成が容易に行われ、その結果より良好な画像が得られる。
酸化膜としては多数のC=O基またはC−O基等を有する酸化膜が好ましい。酸化膜は前記したように、導電性ゴム層の表面に紫外線照射あるいは/およびオゾン照射等の処理を施し、導電性ゴム層の表層部分を酸化することで形成している。なかでも紫外線照射により酸化膜を形成することが処理時間が早く、コストも低いことから好ましい。
上記酸化膜を形成するための処理は公知の方法に従って行うことができる。例えば、紫外線照射を行う場合にはゴム層の表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が約100〜400nm、より好ましくは約100〜200nmの紫外線を約30秒〜30分、好ましくは約1分〜10分程度ゴムローラを回転させながら照射することが好ましい。ただし、紫外線の強度や照射条件(時間、槽内温度、距離)は誘電正接を本発明で規定する範囲内に制御できる条件に選定される必要がある。
また、紫外線照射を施す場合、NBRなど紫外線で劣化しやすいゴムは50重量部以下の配合が好ましい。紫外線を照射する場合も特にクロロプレンおよびクロロプレン系ゴムの添加は極めて有効である。
前記加硫剤としては硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(CnH2n+1NH)2C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等よりなる群から選択される1種または複数種のチオウレアを用いることができる。過酸化物としてはベンソイルペルオキシドなどが挙げられる。加硫剤の添加量はゴム成分100重量部に対して好ましくは約0.2重量部以上約5重量部以下、より好ましくは約1重量部以上約3重量部以下である。
これら可塑成分は、上記ゴム層のゴム成分100重量部に対して約5重量部以下の割合で配合されていることが好ましい。酸化膜を形成する際にブリードが生じたり、プリンター装着時や運転時に感光体を汚染したりするのを防ぐためである。このため、極性ワックスの使用が最も好ましい。
上記劣化防止剤としては各種老化防止剤が挙げられる。特にゴム硬度の調整や加工性の向上のためにNBRゴム等を添加した場合は添加量に応じて老化防止剤として酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤を用いる場合には、所望により施される表層部分における酸化膜の形成が効率よく進むよう、その配合量を適宜選択することが好ましい。 これら各種添加剤の添加に対して、UV照射などの表面処理は添加した各種添加剤のしみ出し防止に効果的である。
イオン導電剤は種々選択でき、0.1〜5部の添加が好ましく、例えば、フルオロ基(F−)及びスルホニル基(−SO2−)を有する陰イオンを備えた塩として、ビスフルオロアルキルスルホニルイミドの塩、トリス(フルオロアルキルスルホニル)メタンの塩、あるいは、フルオロアルキルスルホン酸の塩からなる群から選ばれる少なくとも一種の塩を含んでいることが好ましい。
上記した塩は、強い電子吸引効果によって電荷が非局在化するため、陰イオンが安定なためポリエチレンオキサイド中で高い解離度を示し、特に高いイオン導電性を実現することができる。このように、フルオロ基(F−)及びスルホニル基(−SO2−)を有する陰イオンを備えた塩を配合することで、効率良く低電気抵抗を実現することが可能になるため、ポリマー成分の配合を適宜調整することで、低電気抵抗を維持しながら、感光体汚染の問題も抑制することができる。
下式中Rl〜R6は、各々炭素数1〜20のアルキル基またはその誘導体であり、R1〜R4、および、R5とR6は同じものでも別々のものでも良い。これらの中でも、R1〜R4の内の3つがメチル基、その他の1つが炭素数4〜20、好ましくは8〜20のアルキル基またはその誘導体からなる、トリメチルタイブの第4級アンモニウム陽イオンからなる塩は電子供与性の強い3つのメチル基により窒素原子上の正電荷を安定化でき、他のアルキル基またはその誘導体によりポリマーとの相容性を向上できることから特に好ましい。また、化学式2の形式の陽イオンにおいては、R5あるいはR6は電子供与性を有する方が同じく窒素原子上の正電荷を安定しやすいことからメチル基あるいはエチル基であることが望ましい。このように、窒素原子上の正電荷を安定化させることにより、陽イオンとしての安定度を高め、より解離度が高く、よって導電性付与性能に優れた塩にすることができる。
上記の他、ホウ酸塩、リチウム塩、アンモニウム塩等も添加ができる。特に、クロロプレンを用いることで、塩素系、ハロゲン系の塩との相溶性が良く、例えば、過塩素酸アウモニウム塩、ホウ素系塩、イミドリチウム塩と極めて安定化するため、連続使用時にしみ出し等が抑制でき、感光体汚染等が防げる。合わせて、ゴム表層をUV照射など表面処理すれば表層の硬度が上がるため、また、酸化等で密度が上がるため、さらに、これらの添加剤のしみ出しを防ぐことができ、極めて良好なゴムローラを形成できる。
流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制し、感光体への放電を防ぐためローラ抵抗値は約105Ω以上であることが好ましい。トナー供給等の効率を維持し、トナーが感光体に移行する際に現像ロールの電圧降下が起こり以後現像ロールから感光体へ確実にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じることを防ぐためにはローラ抵抗値は約108Ω以下であることが好ましい。また、107Ω以下であると、より幅広い環境下でも使用でき極めて有用である。
また、50℃の高温環境下での放置試験における圧縮永久ひずみが約10%以下であることが好ましく、約5%以下であることがより好ましい。圧縮永久ひずみが上記範囲内にあると規制ブレードと現像ロールのニップ部分にニップ跡が残りにくい。
さらに、後述する測定における帯電量を20μC/g以上、より好ましくは、28.5μC/g以上としている。
具体的には、プラス帯電性を有する非磁性1成分系トナーを感光体に付着させるための現像ローラとして好適に用いられる。
本発明の現像ローラの導電性ゴム層に含まれているクロロプレンは、そのゴム構造からきわめて高いプラス帯電付与性があるためプラス帯電性を有するトナーに対しての使用が好適である。電子写真装置の画像形成機構における現像方式としては感光体と現像ロールの関係で分類すると接触式または非接触式に大別されるが、本発明の導電性ローラはいずれの方式にも利用できる。なかでも本発明の現像ローラは感光体に概接触していることが好ましい。
なお、上記現像ローラ以外に、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナー像を感光体から転写ベルトや用紙に転写するための転写ロール、トナーを搬送させるためのトナー供給ロール、転写ベルトを内側から駆動するための駆動ロール等として用いることもできる。
感光体や転写ベルト上のトナーをクリーニングするクリーニングローラに使用すると、クリーニングするトナーを静電気的に吸着、排出することができ、特に静電気力を使って回収機にトナーを回収する機構に最適である。
さらに、クリーニングブレード、転写ドラムとしても好適に用いられる。
現像ローラとして用いる導電性ゴムローラ10は図1に示すように、円筒形状の肉厚10mmの単層のゴム層1と、その中空部に圧入された直径10mmの円柱形状の芯金(シャフト)2を備えている。
ゴム層1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。上記ゴム層1の表層部分にはゴムを紫外線照射して酸化膜1aを形成している。
さらに、誘電正接を所定の範囲内に調整するために弱導電性カーボンブラックを配合し、その配合量はゴム成分100重量部に対して20〜70重量部としている。
さらに、加硫剤としてチオウレア系加硫剤(エチレンチオウレア)を配合し、かつ、ハイドロサルタイトを受酸剤として用い、ゴム成分100重量部に対して1〜10重量部配合し、感光体への汚染を防止している。
上記酸化膜1aは、円筒研磨機によりローラ表面を研磨し、ローラ表面粗さRzが約6.5μm以下、好ましくは約3〜5μmとなるように鏡面仕上げを行い、水洗いをした後に、紫外線照射機により紫外線(184.9nm)を照射し酸化被膜を形成している。
具体的には、ローラの周方向90度毎に所定時間、好ましくは約1〜15分間、より好ましくは約5〜10分間紫外線を照射し、合計で周方向に4回回転させてローラ全周に酸化膜を形成する。
また、印加電圧500Vにおけるローラ抵抗値が約105〜108Ωとし、JISA硬度を約65度以下としている。さらに、50℃の高温環境下での放置試験における圧縮永久ひずみを約10%以下とし、かつ、下記実施例に記載の方法で測定される帯電量が約20μC/g以上でとしている。
下記および表1に記載の配合材料(表中の数値は重量部を示す。)をバンバリーミキサで混練り後、押出機にて外径φ22mm、内径φ9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。該チューブを加硫用のシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、端部を成型し、円筒研磨機でトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、φ20mm(公差0.05)の導電性ゴムローラを得た。得られた導電性ゴムローラの表面粗さRzは3〜5μmであった。なお表面粗さRzはJIS
B 0601(1994)に従って測定した。
(a)ゴム成分
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショープレンWRT」
・エピクロルヒドリンゴム(GECO);ダイソー(株)製「エピクロマーCG102」(かかるゴム成分はエチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシジルエーテル(AGE)の共重合比率が56モル%/40モル%/4モル%であるエピクロルヒドリン系重合体である。)
・エピクロルヒドリンゴム(ECO);ダイソー(株)製「エピクロマーD」
EO(エチレンオキサイド)/EP(エピクロルヒドリン)=61mol%/39mol%)
・アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR);日本ゼオン(株)製「ニッポール401
LL」
・ポリエーテルポリマー:日本ゼオン(株)製
「ゼオスパンZSN8030」
EO(エチレンオキサイド) /PO(プロピレンオキサイド)/AGE(アリルグリシジルエーテル)=90mol%/4mol%/6mol%
(b)その他の成分
・粉末硫黄(加硫剤)
・エチレンチオウレア(加硫剤);川口化学工業(株)製「アクセル22−S」
・ハイドロタルサイト(受酸剤);協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」
・導電性カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シースト3」(参考実施例1)
電気化学工業(株)製「デンカブラック」(比較例3)
・弱電性カーボンブラック;旭カーボン(株)製「旭#15(平均1次粒径122nm)」
・炭酸カルシウム;丸尾カルシウム(株)製「スーパーS」
図2に示すように芯金2を通したゴム層1をアルミドラム3上に当接搭載し、電源4の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム3の一端面に接続すると共に電源4の−側に接続した導線の先端を導電性ローラ1の他端面に接続して測定した。
上記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。この装置において印加電圧をEとすると、ローラ抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを500Vまたは100Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。なお、上記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
図3に示すようにゴムローラ51を載置している金属板53とシャフト52とを電極とし、ゴムローラ51に電圧5V周波数100Hzの交流電圧を印加し、LCRメータ(安藤電気(株)製「AG−4311B」)にてR(抵抗)成分とC(コンデンサー)成分を分離して測定した。このRとCの値から以下の式により誘電正接を求めた。測定温度は23℃〜24℃(室温)で行った。
誘電正接(tanδ)=G/(ωC)
G=1/R
このように、誘電正接は1本のローラの電気特性をローラの抵抗成分とコンデンサー成分の2種の並列等価回路としてモデル化した際にG/ωCとして求まる値である。
トナー離れ、トナー帯電の均一性および経時安定性(耐久性)を調査するため、市販のレーザープリンター(非磁性1成分トナーを使用した市販のプリンター)に実施例及び比較例の各ゴムローラを現像ローラとして装着して画像を確認することで性能評価を行った。具体的には、100枚の5%印字後に25%ハーフトーン画像を印刷し、その際の濃淡ムラを観察した。また、ローラの周回による濃度低下も観察した。
25%ハーフトーン画像を印刷後、その段階でのトナーの帯電量を測定し評価パラメータとした。具体的には、25%ハーフトーン画像を印刷後レーザープリンターからカートリッジをはずし、カートリッジに装着されている現像ローラに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/m METER Model 210HS−2」)によりトナーを吸引し、帯電量(μC)とトナー重量(g)を測定した。重量当たりの静電気量をトナー帯電量(μC/g)として算出した。すなわち、トナー帯電量(μC/g)=帯電量(μC)/トナー重量(g)である。
一方、比較例1〜3はゴム成分としてクロロプレンゴムを用いず、エピクロルヒドリンゴム(ECO)のみを用いているため、トナー帯電性が低かった。また、比較例2は充填剤として通常の炭酸カルシウムを用いたため、トナー帯電量が小さくなり、結果としてローラの一周回の濃度が極めて高く、ローラの周回につれ濃度低下が極めて大きく起こった。なお、比較例2は誘電正接が1.7と本発明の範囲内の誘電正接を有していたが、クロロプレンゴムを配合していないため、トナー帯電性は低くなっていた。
導電剤としてカーボンブラックのみを用いて電子導電性とした比較例3は誘電正接の値は0.48と小さく、その結果、トナー帯電量は大きいものの、印刷面内の濃淡ムラが生じ画像評価が良くなかった。
上記結果から、クロロプレンの含有率を高めることでトナー帯電量を向上できることが確認出来た。一方、エピクロルヒドリンゴムとブレンドすることでゴムの抵抗値の均質化が図れ濃淡ムラを低減できることが確認でき、特に、イオン導電性にした場合、濃淡ムラを殆ど無くすことができ、極めて良好な現像ローラが作成できた。
実施例1〜3、5、6および比較例1の導電性ゴム材料について、JIS K 6251に従って引張強度を測定した。その結果、比較例1の導電性ゴム材料の引張強度は9MPaであったのに対して、実施例1〜3、5、6の導電性ゴム材料の引張強度は12〜17MPaときわめて高強度であり、強度面での耐久性についてもクロロプレンの使用は非常に有用であることが確認できた。
ブレンドされているゴム種によりフィラー、特に、誘電正接調整材の混合度合いが異なる。つまり、ゴムの分散性を良好にすることにより、誘電正接調整材がゴムをブレンドしていてもゴム全体に均一に分散でき、ゴムローラに均一で且つ設計どおりの高い誘電性を付加できる。さらに、ゴムの分散がよいため耐摩耗性が極めて良好となることも確認できた。
実施例2、6、7では、クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーのmol%を、エピクロルヒドリンのmol%よりも大としている。
実施例2、7では、クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーのmol%を、エチレンオキサイドのmol%より大としている。
実施例1、2、6、7は前記構成としていることにより、それぞれトナー帯電量を増加できることも確認できた。
具体的には、実施例1ではクロロプレンゴムを添加する量が少なくとも充分な帯電性が得られた。
実施例2では、UV照射を施した例であるが、極めて高い帯電性が得られた。
実施例6では実施例1より高い帯電性が容易に得られた。
実施例7では、UV照射を施さなくとも実施例6のような高い帯電性が得られた。
2 芯金
10 導電性ゴムローラ
Claims (8)
- ゴム成分としてクロロプレンゴムとエピクロルヒドリンゴムまたは/およびエチレンオキサイドを含有するポリエーテルポリマーとを少なくとも含み、全ゴム成分100重量部のうちクロロプレンゴムの含有量を10重量部以上90重量部以下とし、さらに弱導電性カーボンブラックを前記ゴム成分100重量部に対して10〜70重量部の割合で含む導電性ゴム層を最外層に備え、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.8であることを特徴とする電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 上記導電性ゴム層が、エピクロルヒドリンゴムを含んでいる請求項1に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 上記導電性ゴム層が、ゴム成分としてアクリロニトリルブタジエンゴムを全ゴム成分100重量部のうち5重量部以上50重量部以下の割合でさらに含んでいる請求項1または請求項2に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 上記導電性ゴム層が、クロロプレンゴムとエピクロルヒドリンゴムとアクリロニトリルブタジエンゴムまたは/およびポリエーテルポリマーとからなるゴム成分を含み、前記ゴム成分100重量部に対してハイドロタルサイトを1〜10重量部含んでいる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 上記導電性ゴム層のみの単層からなり、該導電性ゴム層の最表面が紫外線照射あるいは/およびオゾン照射により酸化膜とされている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 抵抗値が105〜108Ωである請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 現像ローラ、クリーニングローラ、帯電ローラ、転写ローラ、クリーニングブレードあるいは転写ドラムとされる請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
- 前記現像ローラは、プラス帯電性を有する非磁性1成分トナーを感光体に付着させるものである請求項7に記載の電子写真用の半導電性ゴム部材。
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