JP4955207B2 - 導電性ゴム部材 - Google Patents
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上記ゴム組成物中にゴム成分としてエピクロルヒドリンゴムまたはエピクロルヒドリン系重合体が含まれており、誘電正接調整用充填剤として含水ケイ酸アルミニウム化合物または含水ケイ酸アルミニウム化合物と炭酸カルシウムとの混合物がゴム成分100質量部に対して5〜100質量部の割合で含まれており、導電剤として導電性カーボンブラックがゴム成分100質量部に対して1〜4質量部の割合で含まれており、受酸剤としてハイドロタルサイト類がゴム成分100質量部に対して1〜5質量部の割合で含まれており、
電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が2.0以上5.0以下に調整され、印加電圧100Vにおける電気抵抗をR100とし、印加電圧500Vにおける電気抵抗をR500とすると(logR100−logR500)<0.5に調整されていることを特徴とするクリーニング部材を提供している。
本発明では、前記条件下で測定した誘電正接を上記2.0以上5.0以下の範囲に設定したクリーニングローラ、クリーニング機能を備えた帯電ローラ、クリーニングブレード等のクリーニング部材とし、該クリーニング部材を感光体などのトナーが接触する部材に接触させ、該感光体等に付着残留していたトナーおよび外添剤の全て、あるいは少なくとも一部を写し取り、トナーおよび外添剤を効率よく除電して、容易に除去できるようにしている。
なお、誘電正接の測定条件として微小電圧の5Vを印加しているのは、トナーを付着した際、また、トナーを感光体に搬送した際には極めて微量な電圧変動が生じるためである。また、周波数を100Hzに設定しているのは、低周波数が極めて事象にマッチするためである。
誘電正接とは電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメータで、tanδと表せ、導電率(G)/静電容量(ωC)として求めることができる。
より具体的には、誘電正接は本発明のクリーニング部材に帯電しているトナーおよび外添剤が付着した際にトナーおよび外添剤がどの程度の電荷を保持できるかを測る指標となり、誘電正接が上記範囲内であれば帯電したトナーおよび外添剤の帯電量を所要時間経過後に効率よく低下させて除電できる。具体的にはクリーニング部材の表面に付着させたトナーが5分経過後に10μc/g以下となる設定としている。
誘電正接を上記範囲としているのは、誘電正接が2.0未満であると帯電量が低下せず、除電性能が劣り、5.0以上とするとゴムに配合する誘電正接調整用の充填剤が多く必要となり過ぎ、十分なゴム弾性が得られにくくなる。
誘電正接調整用充填剤としては、含水ケイ酸アルミニウム化合物が少量の添加で誘電正接を2.0以上に調整することが出来るために用いられる。また、含水ケイ酸アルミニウム化合物と炭酸カルシウムとの混合物としてもよい。
含水ケイ酸アルミニウム化合物としてはAl2O3・xSiO2・yH2O(式中、xおよびyは1以上の整数を示す。)という分子式で表される化合物が好ましい。なかでも、(x,y)が(2,2)、(2,4)または(4,1)である場合がより好ましく、Al2O3・2SiO2・2H2Oという分子式で表される化合物がさらに好ましい。これら化合物の分子構造としては2八面体型1:1層状の構造が特に好ましい。
含水ケイ酸アルミニウム化合物として具体的にはカオリンまたはクレーと称される天然鉱物が挙げられ、なかでもカオリナイト(kaolinite)、ディッカイト(dickite)またはナクライト(nacrite)などのカオリン鉱物が好ましい。
また、通常ハードクレーと呼ばれる粒子径が細かく、補強性が高いクレーが特に好ましい。さらに、焼成して水分を低減したものは電気特性が均一に出来るので特に好ましい。
イオン導電性ゴムとしては各種不飽和ゴムまたは熱可塑性ゴム等が挙げられ、共重合ゴムやブレンドゴム等の種々の形態で使用することができる。具体的には、エピハロヒドリンゴム(特にエピクロルヒドリンゴム)、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴムまたはシリコーンゴム等を挙げることができ、これらは単体で用いてもよいし2種以上をブレンドして用いてもよい。
ハロゲン系ゴム、特にエピクロルヒドリンゴムは、他のゴム成分と組み合わせてもよく、その場合全ゴム成分に対して約20質量%以上100質量%未満の割合で配合することが好ましい。前記配合量とすることにより後述する酸化膜の形成の際に良好な酸化膜が得られるからである。
なかでも、本発明においては導電性のカーボンブラックを配合する。導電剤の配合量はカーボンブラックの種類により変わるが、ゴム成分100質量部に対して1〜4質量部とする。
加硫剤の添加量はゴム成分100質量部に対して約0.5質量部以上約5質量部以下、好ましくは約1質量部以上約3質量部以下が良い。
上記劣化防止剤としては各種老化防止剤などが挙げられる。老化防止剤としては例えば各種酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤を用いる場合には、所望により施される表層部分における酸化膜の形成が効率よく進むよう、その配合量を適宜選択することが好ましい。
酸化膜は多数のC=O基またはC−O基等を有する酸化膜が好ましい。酸化膜はゴム層の表面に紫外線照射または/およびオゾン照射等の処理を施しゴム層の表層部分を酸化することで形成することができる。なかでも紫外線照射により酸化膜を形成することが処理時間も早く、コストが低いことから好ましい。上記酸化膜を形成するための処理は公知の方法に従って行うことができる。例えば、紫外線照射を行う場合にはゴム層の表面と紫外線ランプとの距離やゴムの種類等により異なるが、波長が約100nm〜400nm、より好ましくは約100nm〜200nmの紫外線を3分〜30分間程度照射することが好ましい。
上記酸化膜の厚さは1μm〜20μm、好ましくは3μm〜15μmとしていることが好ましい。
特に、本発明のクリーニング部材は画像形成装置におけるクリーニング部材として用いるのが好ましい。なかでも、感光体などのトナーが接触する部材や感光体からトナーが移行するおそれのある部材(例えば帯電ロール)などのクリーニング部材として好適に用いることができる。具体的には、感光体上に形成されたトナー像を他の媒体(例えば紙または中間転写体)に転写した後、感光体に付着残留したトナー、外添剤または紙粉などの異物を除去するためのクリーニングローラとして本発明のクリーニング部材を用いることができ、クリーニング性能を高めることにより画像性能を高めることができる。
前記クリーニング装置においては、感光体や帯電ロールなどクリーニングしたい部材と本発明のクリーニング部材を接触させ、クリーニングしたい部材に付着しているトナー、外添剤または紙粉などの異物を本発明のクリーニング部材に付着させるとともに、付着させた異物を除電し、その後、クリーニング部材の表面に当接されたブレードにより前記異物を除去している。
帯電ローラは、感光体に接触して従動しながら電圧が印加されることにより、帯電ローラと感光体との間の微少な間隙にて放電して感光体表面を帯電させる。ゆえに、本発明のクリーニング部材を帯電ローラとして使用するには、本発明のクリーニング部材が感光体を均一に帯電させる均一帯電性能および感光体にピンホール(小径の穴等の微小な欠陥)が発生したときピンホール部分に電流が集中しないようにする耐リーク性能を持たせればよい。その方法としては公知の手段が挙げられるが、例えば抵抗値を半導電性領域の106〜109Ωcm程度に制御すること、JIS A硬度を35〜45に設定することなどが挙げられる。
図1に示すように、導電性ゴムローラ10は、円筒形状のゴム層1と、その中空部に圧入すると共に導電性接着剤で接合された円柱形状の芯金(シャフト)2を備えている。
本実施形態では、ゴム層1の肉厚は6mmとし、中空部に圧入されると共に導電性接着剤で接合された芯金2は直径10mmとしている。芯金としてはアルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製またはセラミック製等の芯金を用いている。
上記導電性ゴム層1の肉厚は約0.5mm〜10mm、さらには1mm〜7mmが好ましい。
なお、ゴム層1の表層部分はゴムが紫外線照射により酸化された酸化膜とされている。
上記成分を上記配合比で配合したゴム組成物を混練した後、押出機で円筒状に押出して予備成形し、これを所定寸法に裁断して予備成形体を得る。この予備成形体を加硫缶に投入し、ゴム成分が架橋する温度で加硫する。加硫条件は適宜選択すればよいが、160℃で1時間加硫することが好ましい。加硫後、芯金を円筒状のゴム層内に装着しローラ状態とする。
円筒研磨機によりローラ表面を研磨し、ローラ表面粗さRzが6.5μm以下、好ましくは3〜5μmとなるように鏡面仕上げを行う。ついで、水洗いをした後に、紫外線照射機により紫外線(184.9nm)を照射し酸化被膜を形成させる。
具体的には、ローラの周方向90度毎に所定時間、好ましくは約1〜15分間、より好ましくは約5〜10分間紫外線を照射し、合計で周方向に4回回転させてローラ全周に酸化膜を形成する。
導電性ローラ10において印加電圧100Vにおける電気抵抗値をR100とし、印加電圧500Vにおける電気抵抗値をR500とすると、(logR100−logR500)の値が0.5より小さくしている。
導電性ローラ10の電気抵抗値を上記範囲とすることにより感光体に残留しているトナーを導電性ゴムローラ10の表面に多く移しとることができる。
さらに、除電効果の指標として、導電性ゴムローラ10に付着したトナーの帯電量は5分後に約10μC/g以下とされることがより好ましい。上記のように帯電量を低下させて除電することにより、感光体等から導電性ゴムローラ10の表面に移し取ったトナーを簡単に除去することができる。
なお、導電性ゴムローラ10に付着したトナーの帯電量は下記の実施例に記載の方法で測定している。
上記カラー用画像形成装置は、感光体12、感光体のクリーニング部材として本発明の導電性ゴムローラ10、ブレード20、帯電ローラ11、中間転写ベルト13、定着ローラ14、4色のトナー15(15a、15b、15c、15d)、鏡16、転写ローラ19aおよび19bを備えている。
導電性ゴムローラ10は感光体12に接触して従動回転するように取り付けている。導電性ゴムローラ10が感光体12を帯電させると同時に、中間転写ベルト13上へ転写されず感光体12上に付着している残留トナーを付着させ、当該トナーを除電する。除電されたトナーは導電性ゴムローラ10に圧接するブレード20により容易に除去され、トナー回収ボックス(図示せず)に回収される。
それ以外の機構は図2を用いて説明したとおりである。
上記画像形成装置では、従来汎用されている感光体クリーナー21が設置されており、中間転写ベルト13上へ転写されず感光体12上に付着している残留トナーはこの感光体クリーナー21で除去される。しかし、上述したように感光体クリーナー21では完全に除去できず感光体12上にトナーや外添剤が残留し、これらがさらに帯電ロールに付着する場合がある。このように帯電ロールに付着したトナー等を本発明の導電性ゴムローラ10に付着させたのち除電し、導電性ゴムローラ10に圧接するブレード20により除去する。それ以外の機構は図2を用いて説明したとおりである。
・エピクロルヒドリンゴム(GECO);ダイソー(株)製「エピクロマーCG102」(かかるゴム成分はエチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシジルエーテル(AGE)の共重合比率が56モル%/40モル%/4モル%であるエピクロルヒドリン系重合体である。)
・粉末硫黄(加硫剤)
・エチレンチオウレア(加硫剤);川口化学製アクセル22−S
・ハイドロタルサイト(受酸剤);協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」
・含水ケイ酸アルミニウム化合物;
サウスイースタン クレー(Southeastern clay)社製 ハードクレー「クラウン」
(かかるクレーの分子式はAl2O3・2SiO2・2H2Oである。)
・導電性カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シースト3」
・炭酸カルシウム;丸尾カルシウム(株)製「スーパーS」
図5に示すように芯金2を通したゴム層1をアルミドラム3上に当接搭載し、電源4の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム3の一端面に接続すると共に電源4の−側に接続した導線の先端を導電性ローラ1の他端面に接続して測定した。
上記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。この装置において印加電圧をEとすると、電気抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを500Vまたは100Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、上式によりRを算出した。なお、上記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
図6に示すようにゴムローラ51を載置している金属板53とシャフト52とを電極とし、ゴムローラ51に電圧5V、周波数100Hzの交流電圧を印加し、LCRメータ(安藤電気製「AG−4311B」)にてR(抵抗)成分とC(コンデンサー)成分を分離して測定した。このRとCの値から以下の式により誘電正接やインピーダンス、位相角度等を求めた。測定温度は23℃〜24℃(室温)で行った。
誘電正接(tanδ)=G/(ωC)
G=1/R
このように、誘電正接は1本のローラの電気特性をローラの抵抗成分とコンデンサー成分の2種の並列等価回路としてモデル化した際にG/ωCとして求まる値である。
なお、クリーニングブレードの誘電正接を測定する場合も前記と同様で、クリーニングブレードを貼り付けた芯かねクリーニングブレードの表層部分に電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加して測定した。
帯電されているトナーが本発明の導電性ゴム部材付着した際にどの程度除電されるかを調査するため下記試験を行った。市販のレーザープリンター(セイコーエプソン製 LP2000C)に実施例及び比較例の各ゴムローラを帯電ローラとして装着した。ついで、50枚の5%印字後に25%ハーフトーン画像を印刷し、その段階で帯電ローラに付着しているトナーの帯電量を測定し評価パラメータとした。
具体的には、ブラックのハーフトーン画像の印刷後レーザープリンターから帯電ローラをはずし、帯電ローラに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/m METER Model 210HS−2」)によりトナーを吸引し、5分経過後の帯電量(μC)とトナー重量(g)を測定した。重量当たりの静電気量を帯電量(μC/g)として算出した。すなわち、帯電量(μC/g)=帯電量(μC)/トナー重量(g)である。
市販のレーザープリンター(セイコーエプソン製 LP2000C)に実施例及び比較例の各ゴムローラを帯電ローラとして装着した。ついで50枚の5%印字後に25%ハーフトーン画像を印刷し、その後、レーザープリンターから帯電ローラをはずした。この帯電ローラにウレタン製のブレードを1.5g/cm2で圧接させて帯電ローラの表面に付着しているトナーをかき取った。その後、帯電ローラの表面にどの程度のトナーが残留しているかを目視で評価した。トナーの残留が認められなかったものを「◎」、トナーの残留がわずかしか認められなかったものを「○」、トナーの残留が認められたものを「△」、トナーが多く残留していたものを「×」とした。
さらに、実施例1および2で作製した導電性ゴムロールについての上記「ブレードによるクリーニング性」試験で回収したトナーをカートリッジに再充填して使用したが極めて良好な画像が得られた。このことから、クリーニング工程におけるトナーの劣化が十分に抑えられたことが確認できた。
また、実施例1および2のローラを帯電ロールとして使用した場合も良好な帯電性が得られた。
2 芯金
10 導電性ゴム部材
11 帯電ローラ
12 感光体
13 中間転写ベルト
14 定着ローラ
15 トナー
19a、19b 転写ローラ
20 ブレード
21 感光体クリーナー
Claims (5)
- イオン導電性ゴムを含むゴム組成物を用いて形成されるゴム層の一層のみを備え、前記ゴム層の表層部分に酸化膜が形成されているクリーニング部材であって、
上記ゴム組成物中にゴム成分としてエピクロルヒドリンゴムまたはエピクロルヒドリン系重合体が含まれており、誘電正接調整用充填剤として含水ケイ酸アルミニウム化合物または含水ケイ酸アルミニウム化合物と炭酸カルシウムとの混合物がゴム成分100質量部に対して5〜100質量部の割合で含まれており、導電剤として導電性カーボンブラックがゴム成分100質量部に対して1〜4質量部の割合で含まれており、受酸剤としてハイドロタルサイト類がゴム成分100質量部に対して1〜5質量部の割合で含まれており、
電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が2.0以上5.0以下に調整され、印加電圧100Vにおける電気抵抗をR100とし、印加電圧500Vにおける電気抵抗をR500とすると(logR100−logR500)<0.5に調整されていることを特徴とするクリーニング部材。 - クリーニングローラ、クリーニング機能を備えた帯電ローラ、クリーニングブレードである請求項1に記載のクリーニング部材。
- 画像形成装置に搭載され、感光体等に残留したトナー、トナーに外添される外添剤、紙粉の少なくとも一部を付着させると共に付着したトナー、外添剤、紙粉を除電させる機能を持つローラとしている請求項1に記載のクリーニング部材。
- ローラ形状を有する請求項1に記載のクリーニング部材と、前記クリーニング部材の表面に当接されたブレードとを備えていることを特徴とするクリーニング装置。
- 請求項1に記載のクリーニング部材をクリーニングローラあるいはクリーニング機能を備えた帯電ローラとして搭載していることを特徴とする画像形成装置。
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