JP2006163205A - トナー搬送ロール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 トナー漏れ防止用のシール部材が外周面が摺接されているトナー搬送ロール10であって、イオン導電性ゴム100質量部にアルミナ3〜50質量部と誘電正接調整用充填剤を含有する。前記シール部材3は搬送ロール1の軸線方向の両端に摺動自在に外嵌されている。前記イオン導電性ゴムの比重が1.2以上が好ましい。
【選択図】 図1
Description
このような課題に対し、本発明者は、電気特性の均一性に優れたイオン導電性ゴムに誘電正接調整用充填剤を配合することにより、電気抵抗の均一化と共に、トナー等の付着物への帯電性に優れ、かつその帯電性を持続可能な導電性ゴムロールを開発した(特開2004−170845号公報(特許文献1))。
前記導電性ゴムロールを用いればトナーの帯電量を高いレベルに保持することができトナーの搬送性を向上させることができるが、耐久性の面ではまだ改良の余地がある。
特開2002−91158号公報(特許文献2)には、現像ローラの内部に形成されている空間部と、前記現像ローラの両端部に形成され、前記空間部と外気との間を連通する放熱開口部とを備えていることを特徴とする1成分現像ローラが提案されている。
この構成によれば、現像ローラとトナー規制部材との接触部分における発熱を外部に放熱して昇温を防止でき、トナーの凝集や固着を防止することができることが記載されている。
しかし、上記の方法では、装置が大型化しやすく、また風の流れや部材の位置により冷却速度差が生じて、かえってトナーの搬送特性が悪くなる部分が発生する可能性がある。
イオン導電性ゴム100質量部にアルミナ3〜50質量部と誘電正接調整用充填剤を含有することを特徴とするトナー搬送ロールを提供している。
具体的には、前記搬送ロールの軸線方向の両端に環状の前記シール部材が摺動自在に外嵌されているものに好適に用いられる。
具体的には、エピハロヒドリンゴム(特に、エピクロルヒドリンゴム)、ポリエーテル系ゴム、アクリロニトリルゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴムまたはシリコーンゴム等を挙げることができ、これらは単体で用いてもよいし2種以上をブレンドして用いてもよい。
ポリエーテル系ポリマーとしては、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、プロピレンオキサイド−アリルグルシジルエーテル共重合体、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体またはウレタン系ゴム等が挙げられる。
エピクロルヒドリンゴムとしては、例えばエピクロルヒドリン(EP)単独重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
エピクロルヒドリンゴムと組み合わせる他のゴムとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)もしくはクロロプレンなどの比較的高抵抗なゴム、または低抵抗ポリマーなどが挙げられる。前記低抵抗ポリマーとしては、エチレンオキシドと不飽和エポキシドとの二元共重合体、プロピレンオキシドと不飽和エポキシドとの二元共重合体またはエチレンオキシドとプロピレンオキシドと不飽和エポキシドとの三元共重合体等が挙げられる。前記不飽和エポキシドとしては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートおよびブタジエンモノオキシドなどが挙げられる。
比重が1.2以上になると比較的熱容量が大きいため発熱量が大きくなる。
このような発熱量が大きなロールにアルミナを配合すれば、アルミナが発揮する放熱効果が顕著に現れ、アルミナを添加しない場合と比較して、より効果的にシール部材の摩耗を低減することができる。
比重が大きくなるほど熱容量が大きくなり発熱量も増えるため、イオン導電性ゴムの比重は、好ましくは1.35以上であり、特に1.4以上が好ましい。上限は1.6以下であることが好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては種々の選択が可能であるが、中でも大粒径を得やすいファーネス法、サーマル法により製造されたカーボンブラックが好ましく、不純物の少ないサーマルカーボンブラックが最も好ましい。カーボンの分類で言うと、SRFやFT、MTが好ましい。また、顔料で用いられるカーボンブラックを用いても良い。
弱導電性カーボンブラックの平均粒径は100nm〜500nmであることが好ましい。この程度の大きさのものを用いれば、アルミナの分散を阻害せず、弱導電性カーボンブラックとアルミナとの分散性の相性がよくなるからである。
すなわち、誘電正接が0.1より小さいものをイオン導電により実現するのは困難であり、誘電正接が1.5より大きいと上記のような良好な帯電特性を得られない。なかでも、本発明のトナー搬送ロールの誘電正接は0.2〜1.0であることがより好ましい。
電気抵抗が上記範囲の105より小さいと電流が流れすぎ、画像不良が発生しやすいためであり、また放電の可能性も生じる。一方、上記108より大きいと、低温低湿環境でトナー飛翔時の電圧変動が大きくなりすぎる。
また、表面の摩擦係数が0.1〜1.5であることが好ましい。かかる範囲であれば、トナーの帯電性向上およびトナーの付着防止と合わせて、シール部での発熱量を抑制できるためである。また、トナー搬送ロールの摩擦係数が1.5以上であると、トナーにかかるせん断力などのストレスが大きい。一方、トナー搬送ロールの摩擦係数が0.1以下であると、トナーが滑って十分な量のトナーを搬送することが難しくなる。
本発明のトナー搬送ロールにおけるトナーの搬送量は特に限定されないが、0.01〜1.0mg/cm2程度のトナー量を搬送できることが好ましい。
さらに、トナー搬送ロールが発熱により高温とならないため、重合トナーを構成する熱可塑性樹脂が溶融しトナーが大径化・エッジ化し、融着して大きくなると共に角張ってくるのを防ぐことができる。このことによっても、シール部の耐久性が格段に向上する。
また、トナー搬送ロールを構成するゴムの摩耗性が悪いとシール部の摩耗が発生しやすいが、アルミナを添加することでトナー搬送ロールを構成するゴムの摩耗性の悪さが改善できることから、シール部材の摩耗を抑えることができ、シール部材の耐久性を向上させることができる。
図1に示すように本発明のトナー搬送ロール10は円筒形状の肉厚0.5〜15mm(本実施形態では肉厚10mm)の搬送ロール1と、その中空部に圧入された直径10mmの円柱形状の芯金(シャフト)2と、トナー4が漏れるのを防止する一対の環状のシール部材3を備え、これらシール部材3は搬送ロール1の軸線方向の両端に摺動自在に外嵌している。
搬送ロール1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。芯金はアルミニウム、アルミニウム合金、SUSもしくは鉄等の金属製、またはセラミック製等とすることができる。
シール部材3はテフロン(登録商標)などの不織布やシートからなる。
搬送ロール1の肉厚を0.5〜15mmとしているのは、上記範囲より小さいと適当なニップを得にくく、上記範囲より大きいと部材が大きすぎて小型軽量化を図りにくいからである。
エピクロルヒドリンゴムと組み合わせるEO−PO−AGE共重合体としては、EO:PO:AGE=90:4:6のポリマーを用いることが好ましい。
弱導電性カーボンブラックとしては、アルミナとの分散性の観点から、粒径が100〜500nm、好ましくは120nmのものを用いる。弱導電性カーボンブラックの配合量は本発明のトナー搬送ロールの誘電正接を0.1〜1.5程度の適正な値とするために5〜70質量部とする。アルミナとの混合性を鑑みれば、弱導電性カーボンブラックの配合量は25〜55質量部が好ましく、40質量部がより好ましい。
脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量は、本発明のトナー搬送ロールの誘電正接を0.1〜1.5程度の適正な値とするために30質量部〜80質量部とする。アルミナとの混合性を鑑みれば、脂肪酸処理された炭酸カルシウムの配合量は40〜70質量部が好ましく、50質量部がより好ましい。
加硫剤の添加量はゴム成分100質量部に対して約0.5質量部以上約5質量部以下、好ましくは約1質量部以上約3質量部以下である。
0.5質量%よりも少ないと加硫阻害および他の部材の汚染を防止する効果が生じにくいためである。一方、5.0質量%よりも多いと硬度が上昇しやすいためである。受酸剤としては、分散性にも優れているので特にハイドロタルサイト類、マグサラットが好ましい。その他、受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができる。
ローラを水洗いしたあと、搬送ロールの表面に酸化膜を形成する。具体的には、紫外線照射機を用い、ローラと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射し、ローラを4回回転させることで、ローラ全周(360度)に酸化膜を形成することができる。
また、本発明のトナー搬送ロールを現像ロールとして用いた場合、1%の印字画像により印刷を重ねていくと、シール部前面にトナーが乗った段階での枚数が7,500枚以上であり、かぶり画像が発生した段階での枚数が8,000枚以上である。さらに、シール部へのトナーの侵入は見られない。
ゴム成分としては、エピクロルヒドリンゴム(ダイソー(株)製「エピクロマーCG102」)を用いた。かかるゴム成分はエチレンオキサイド(EO)/エピクロルヒドリン(EP)/アリルグリシジルエーテル(AGE)の共重合比率が56モル%/40モル%/4モル%であるエピクロルヒドリン系重合体 である。当該エピクロルヒドリンゴムの比重は1.24である。
誘電正接調整用充填剤としては、実施例1〜7および比較例1,3では弱電性カーボンブラック(旭カーボン(株)製「旭#15」、平均一次粒子径120nm)を用い、実施例8および比較例2では脂肪酸処理炭酸カルシウム(白石カルシウム(株)製「白艶華CC」)を用いた。
アルミナは昭和電工(株)製「AL−160SG−1」を用いた。このアルミナは、粒径1μm以下の粒子が91%、粒径500nm以下の粒子が64%を占めている。
その他、表1には記載していないが、加硫剤として、硫黄をゴム成分100質量部に対して0.5質量部、エチレンチオウレア(川口化学製アクセル22−S)をゴム成分100質量部に対して1.4質量部を用いた。さらに、受酸剤としてハイドロタルサイト(協和化学工業(株)製「DHT−4A−2」)をゴム成分100質量部に対して3質量部用いた。
表1に記載の配合材料をバンバリーミキサで混練り後、ゴム押出機にて外径φ22mm、内径φ9〜9.5mmのチューブ状に押し出し加工を施した。該チューブを加硫用のφ8mmシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、端部をカット成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、JIS B 0601に規定の表面粗さRzが3〜5μmになるように仕上げた。その結果、φ20mm(交差0.05)のトナー搬送ロールを得た。
ローラ表面を水洗いした後、紫外線照射を行い表面に酸化層を形成した。これは紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200」)を用い、ローラと紫外線ランプ間の距離を10cmとして周方向90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を5分間照射することによって行い、ローラを90度ずつ4回回転させてローラ全周(360度)に酸化膜を形成させた。
(表面粗さRzの測定)
表面粗さRzは、JIS B 0601(1994)にしたがって測定した。
図2に示すように芯金2を通した搬送ロール1をアルミドラム3上に当接搭載し、電源4の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム3の一端面に接続すると共に電源4の−側に接続した導線の先端を芯金2の他端面に接続して通電を行った。芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを500Vまたは100Vとした時の上記内部抵抗rにかかる電圧Vを4秒間に100個測定した。
この装置において印加電圧をEとすると、ローラ抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vという式を用いてRを算出した。なお、上記測定は温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
図3に示すように、デジタルフォースゲージ((株)イマダ製「Model PPX−2T」)41と、摩擦片(市販のポリエステル製のOHPフィルム、ロール長手方向との接触羽場:50mm)42と、20gの重り44と、トナー搬送ロール43とからなる装置においてデジタルフォースゲージ41で測定された数値をオイラーの式に代入し、摩擦係数を算出した。
1%の印字画像により印刷を重ねてゆき、500枚を印刷するごとに目視でシール部の汚れを確認した。シール部前面にトナーが乗った段階で摩耗と判断し、そのときの枚数を表1に記載した。そして、シール部の摩耗が非常に少なく耐久性に極めて優れているもの(10,000枚以上)は「◎」と、シール部の摩耗が少なく耐久性に優れているもの(8,000〜9,500枚)は「○」と評価した。一方、比較例1〜3では、表1に記載の枚数の時点で、トナーがシール部前面に乗るだけでなく、シール部にもぐりこんでいた。
1%の印字画像により印刷を重ねてゆき、500枚を印刷するごとに、黒べたと白地が連続する部分を設けた評価用画像を出力した。評価用画像を出力した際に白地部分が黒っぽくなった段階でかぶり画像が発生したと判断し、そのときの枚数を表1に記載した。かぶり画像が発生する枚数が、6,000枚以下の場合は製品としての耐久性が保証できないため「×」と、6,500枚〜7,500枚の場合は実際の使用に耐えられないため「△」と、8,000枚〜9,500枚の場合は耐久性に優れているため「○」と、10,000枚以上の場合は耐久性に非常に優れているため「◎」と評価した。
市販プリンターのトナー寿命(6000枚)に対し、シール摩耗とかぶり画像の総合評価である。
「◎」は、実用上極めて耐久性に優れ、かつ高画質が長期にわたり維持できる。
「○〜◎」は、実用上極めて耐久性に優れ、かつ高画質が維持できる。
「○」は、実用上耐久性に優れ、かつ高画質が維持できる。
「△」は、実用上ん耐久性が劣る。摩耗時にトナーの流入が開始している。かぶりより早くシール部が摩耗する。
「×」は、現像ロールとしては不適で、実用化できない。
さらに、表1の実施例1〜7と比較例3を比較すれば明らかなように、アルミナの添加量は3〜50質量部が適切であること分かった。なかでも、アルミナの添加量は8〜25質量部であることがシール部の耐摩耗性の向上およびかぶり画像発生の防止の観点から好ましいことがわかった。
2 芯金
3 シール部
4 トナー
10 トナー搬送ロール
Claims (6)
- トナー漏れ防止用のシール部材が外周面が摺接されているトナー搬送ロールであって、
イオン導電性ゴム100質量部にアルミナ3〜50質量部と誘電正接調整用充填剤を含有することを特徴とするトナー搬送ロール。 - 前記搬送ロールの軸線方向の両端に環状の前記シール部材が摺動自在に外嵌されている請求項1に記載のトナー搬送ロール。
- 上記イオン導電性ゴムの比重が1.2以上である請求項1または請求項2に記載のトナー搬送ロール。
- 上記誘電正接調整用充填剤として弱導電性カーボンブラックまたは/および脂肪酸処理された炭酸カルシウムを用いている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のトナー搬送ロール。
- 印加電圧100Vにおけるローラ抵抗R100と印加電圧500Vにおけるローラ抵抗R500がともに105〜108の範囲内にあり、かつ(logR100−logR500)<0.5であり、表面粗さRzが1μm以上8μm以下であり、表面の摩擦係数が0.1〜1.5である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のトナー搬送ロール。
- 画像形成装置において、現像ロールとして用いられる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のトナー搬送ロール。
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