JP2011013462A - 帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】像保持体の表面の摩耗を抑制して、像保持体を長寿命化する帯電部材を提供する。
【解決手段】導電性芯体と、導電性芯体上に形成された、帯電層と、表面層と、を有し、表面層の表面には凹凸部を有し、前記凸部が平滑部を有する帯電部材である。
【選択図】図3

Description

本発明は、帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
電子写真方式を利用した複写機やプリンタ等の画像形成装置は、帯電装置等により像保持体(感光体)上に電荷を形成し、画像信号を変調したレーザ等により静電潜像を形成した後、帯電したトナーで静電潜像を現像してトナー像とする。そして、前記トナー像を、中間転写体を介して、あるいは直接、画像出力媒体に静電的に転写することにより、所望の転写画像を得る。
従来、帯電装置として、スコロトロン帯電器のようなコロナ放電現象を利用したものが多用されてきたが、コロナ放電現象を利用した帯電装置の場合には、オゾンや窒素酸化物等が発生することがある。これに対して、導電性の帯電部材である帯電ロール等を像保持体に直接接触させて像保持体の帯電を行う接触帯電方式は、オゾンや窒素酸化物等の発生が大幅に少なく、オゾンフィルタが不要であり、環境面、スペース、コスト面、電源効率等で優位であることから、最近では主流となっている。
近年では、帯電ロールの長寿命化を達成するため、帯電ロールの表面に付着した異物等を取り除く手段として、発泡性の清掃部材が多用されるようになった。例えば、発泡シート部材を帯電ロールの表面に当て付ける方式、発泡ロール部材を帯電ロール表面に当て付けて帯電ロールに従動させるロールクリーニング方式等が知られているが、帯電ロールの表面を一定量粗すことで、それら清掃部材の清掃性能を向上させている。
例えば、特許文献1には、帯電ロールまたは現像ロールとして用いられる導電性ロールの製法であって、軸体の外周に、導電性弾性体層を形成し、導電性弾性体層の外周に直接もしくは他の層を介して、(A)バインダーポリマ、(B)表面粗さ形成用粒子、(C)カーボンブラックおよびレーザ吸収性を有する着色剤の少なくとも一方を必須成分とする組成物を用いて保護層を形成した後、保護層の外周面にレーザを均一に照射し、保護層の表面部分を熱昇華させて薄く削り取るとともに、保護層の外周面付近に埋没する(B)成分の粒子を取り除き、保護層の外周面を、粒子の埋没跡を露呈させることにより凹凸面に形成する導電性ロールの製法が記載されている。
一方、特許文献2には、シャフトと、シャフトの外周に形成された弾性層と、弾性層の外周面に形成された少なくとも1層の樹脂被覆層を有する現像ローラにおいて、樹脂被覆層中に微粒子が分散されており、微粒子の平均粒径が1〜50μmであり、樹脂被覆層の厚さが1〜100μmであり、微粒子の平均粒径aと樹脂被覆層の厚さbとの比a/bが0.03〜0.5であることが記載されている。
特開2008−116869号公報 特開2004−191561号公報
本発明は、像保持体の表面の摩耗を抑制して、像保持体を長寿命化する帯電部材、その帯電部材を備える帯電装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置である。
請求項1に係る発明は、導電性芯体と、前記導電性芯体上に形成された、帯電層と、表面層と、を有し、前記表面層の表面には凹凸部を有し、前記凸部が平滑部を有する帯電部材である。
請求項2に係る発明は、前記凸部の平滑部の長さをA、凹部の長さをBとしたとき、B/Aが0.6以上3.0以下の範囲である、請求項1に記載の帯電部材である。
請求項3に係る発明は、前記凹部の深さが、2μm以上20μm以下の範囲である、請求項1または2に記載の帯電部材である。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材を備える帯電装置である。
請求項5に係る発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材とを備えるプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、像保持体と、前記像保持体を帯電する請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、を備える画像形成装置である。
本発明の請求項1によると、表面層の表面の凸部が平滑部を有さない場合に比較して、像保持体の表面の摩耗を抑制して、像保持体を長寿命化する帯電部材を提供することができる。
本発明の請求項2によると、前記B/Aが本範囲外の場合に比較して、像保持体の表面の摩耗を抑制して像保持体をより長寿命化し、表面の汚れを低減して長寿命である帯電部材を提供することができる。
本発明の請求項3によると、凹部の深さが本範囲外の場合に比較して、像保持体の表面の摩耗を抑制して像保持体をより長寿命化し、表面の汚れを低減して長寿命である帯電部材を提供することができる。
本発明の請求項4によると、本構成を有していない場合に比較して、像保持体が長寿命であるプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明の請求項5によると、本構成を有していない場合に比較して、像保持体が長寿命であり、欠陥がほとんどない画質が得られる画像形成装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示す側面図である。 本発明の実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示す正面図である。 本発明の実施形態に係る帯電部材の表面の様子の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る帯電部材の表面の様子の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る帯電部材の表面の様子の一例を示す概略図である。 本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施形態における帯電部材の表面層に平滑部を形成する方法の一例を示す概略図である。 従来の帯電部材の表面の様子の一例を示す概略図である。 従来の帯電部材の表面の様子の他の例を示す概略図である。
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<帯電部材および帯電装置>
本実施形態に係る帯電部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール形状、ブレード形状、シート形状、パッド形状等が挙げられる。これらの中でも、高い均一ニップ性等の点から、ロール形状(いわゆる帯電ロール)が好ましい。
以下、本実施形態に係る帯電部材が一例として帯電ロールであることを前提に、導電性芯体、帯電層、表面層等についてより詳細に説明するが、もちろんこれら各層の構成材料は、他の形状の帯電部材についても同様に用いてもよい。
図1は、本実施形態に係る帯電部材を用いた帯電装置の一例の概略構成を示した側面図である。また、図2は、本実施形態に係る帯電装置の一例の概略構成を示した正面図である。図1の帯電装置1は、画像形成装置に備えられる像保持体の表面を帯電させる帯電部材であって、軸中心に回転する円筒状の帯電部材である帯電ロール10と、帯電ロール10に接触して帯電ロール10の表面を清掃するための帯電部材清掃部材であるクリーニングロール12とを備える。帯電ロール10は、導電性芯体14と、導電性芯体14の外周に形成された帯電層16と、帯電層16の外周に形成された表面層18とを備える。クリーニングロール12は、芯体20と、芯体20の外周に形成された円筒状の弾性層22とを備える。
帯電装置1において、帯電ロール10は、像保持体である感光体24に対して導電性芯体14の両端部に設置したコイルバネ26(図2参照)等の弾性部材により感光体24の表面に押し付けられ、感光体24に従動する。一方、クリーニングロール12は、帯電ロール10の導電性芯体14とクリーニングロール12の芯体20との軸受けの距離でベアリング28(図2参照)で保持され、クリーニングロール12は、所定の食いこみ量で帯電ロール10に従動する。なお、帯電ロール10およびクリーニングロール12はそれぞれ感光体24、帯電ロール10に従動させてもよいし、別個に駆動させてもよい。
本実施形態に係る帯電ロール10において、図3に示すように、表面層18の表面には凹凸部(凹部30と凸部32)が形成され、凸部32が平滑化されており、平滑部34を有する。表面層18において、表面が凹凸形状であり、凸部32の高さがなるべく一定になるように形成され、高さのばらつきが少ないことが好ましい。表面層18の凸部32の高さがばらついている場合に比較して、感光体の磨耗速度を遅らせる効果があり、感光体を長寿命化することができる。
すなわち、図4に示すように、凸部32の高さを安定化させることにより、感光体24の表面と帯電ロール10の表面層18のニップ近傍で生じる放電による放電電荷量が安定化し、大容量電流をかけなくてもよい。そのため、感光体の表面層の磨耗が抑制され、感光体の寿命が長くなる。
また、本実施形態に係る帯電ロール10によれば、画像形成装置内で発生し感光体に付着したトナー成分や紙粉等の異物がクリーニングブレードをすり抜け、下流に位置する帯電ロールに電気的、機械的、表面エネルギ等によって移行しても、表面層18に凹凸部が形成されているため、帯電ロール10に接する感光体、クリーニングロールによって摺擦されると共に、圧接作用によって付着したトナー成分や紙粉等を固着、堆積させない。その結果、感光体の表面に対してほぼ均一な帯電が施され、画質上に帯電不良による色筋や濃度ムラ等が発生することが抑制されて画質不良が防止され、さらに帯電ロールが汚れ難くなり、長寿命化する。
本実施形態に係る帯電ロール10において、凸部32の幅が凹部30の幅よりも広い方が好ましい。すなわち、図4に示すように、凸部32の平滑化された部分(平滑部34)の長さをA、平滑化された部分に隣接する凹部30の長さをBとしたとき、B/Aが0.6以上3.0以下の範囲であることが好ましく、1.0以上2.0以下の範囲であることがより好ましい。B/Aが0.6以上3.0以下の範囲であることにより、低い放電電荷量でも画質に白点の発生が少なく(目視では目立たない)、感光体が長寿命化する。また、帯電ロール10が汚れにくくなり長寿命化する。ここで、凸部32の平滑化された部分の長さA、凹部30の長さBは、後述するように帯電ロール10の表面層18の凹凸部を微細計測できる走査型レーザ変位計によるレーザ変位測定により計測する。
なお、本明細書において、「平滑部を有している」とは、後述するレーザ変位測定による計測で、帯電ロール10の表面層18の表面がなだらかである状態で、凸部の高さのばらつきが1μm以下の範囲内となっていることをいう。凸部の高さのばらつきが1μm以下であることは、レーザ変位計の取り込み周期がスキャン0.2μmピッチで粗さ成分をキャンセルするために10データ移動平均値で定義される。
本実施形態に係る帯電ロール10において、表面層18の凹部30の深さが、2μm以上20μm以下の範囲であることが好ましく、6μm以上15μm以下の範囲であることがより好ましい。特に凹部30では異常放電が発生しやすく、異常放電部には微細な白点が画質上に発生することがあるが、表面層18の凹部30の深さが2μm以上20μm以下の範囲であることにより、低い放電電荷量でも画質に白点の発生が少なく(目視では目立たない)、感光体が長寿命化する。また、帯電ロール10が汚れにくくなり長寿命化する。凹部30の深さが、2μm未満であると、帯電ロール10の表面の汚染が増す場合があり、10μmを超えると、異常放電が発生しやすく、高い放電電荷量が必要となり、感光体表面の摩耗が増す場合がある。ここで、凹部30の深さは、後述するように帯電ロール10の表面層18の凹凸部を微細計測できる走査型レーザ変位計によるレーザ変位測定により計測する。
このように、本実施形態に係る帯電ロール10の表面層18において、表面層18に生じる凹凸部は、走査型レーザ変位計による表面観察において、凸部32は、高さが一定の範囲に揃って存在し、凹部30の幅が凸部32より短い範囲で形成されて、かつ凸部32と凹部30の段差高さが一定の範囲に形成された状態が、帯電ロール10の表面の汚染速度遅延と像保持体表面の磨耗遅延に対して特に好ましい。
帯電ロール10の表面層18の凹凸部の凸部32では、感光体24とのニップ近傍で放電電荷が発生するのに対し、凹部30、すなわち感光体24との距離が長い部分では、放電が不安定になり、画質上に白点が発生する場合があり、安定的な放電を凹凸部があっても行うために帯電ロールに印加する放電電流値を上げる手段が一般的であったが、本実施形態に係る帯電ロールを用いることにより、低い放電電荷量でも画質に白点の発生が少なく(目視では目立たない)、放電ストレスが少なくなるために感光体の表面が摩耗しにくくなり、感光体が長寿命化する。
図9に示すような従来の、導電性芯体114上に帯電層116と表面層118とを有し、表面を粗面化した帯電ロール100では、バインダ樹脂120により形成された表面層118の表面には、凹凸部が形成されているが、凸部の高さにばらつきがある。また、図10に示すような、従来の、バインダ樹脂120に粗面化粒子122を添加することにより形成された表面層118の表面には、凹凸部が形成されているが、凸部の高さにばらつきがある。このような従来の帯電ロール100の場合、表面層118の凹凸部の凸部に、像保持体とのニップ部に繰り返しニップ荷重が発生し、ひび割れが生じる不具合から、また外添剤やトナー等の異物の詰まりから、画質に不具合が生じていたが、本実施形態に係る帯電ロール10では凸部32の高さを安定化させることにより、そのような画質の不具合が抑制される。
本実施形態に係る帯電部材では、表面層に一定範囲内で構成された粗さが形成されていいる。したがって、本実施形態に係る帯電ロールにより、帯電ロールの汚れ速度と像保持体の磨耗速度の遅延化が両立し、長時間使用しても導電ロール表面層の汚れが少なく、像保持体の寿命が伸びる。
(導電性芯体)
帯電ロール10の導電性芯体14の材質としては、快削鋼、ステンレス鋼等が使用され、摺動性等の用途に応じて、材質および表面処理方法は適時選択され、導電性を有さない材質についてはメッキ処理等一般的な処理により加工されて導電化処理が行われてもよく、もちろんそのまま使用してもよい。また、帯電層16を介して感光体24と適度なニップ圧力で接触するため、ニップ時に撓みのない強度を持った材質またはシャフト長に対して十分剛性をもったシャフト径が選択されることが好ましい。
(接着層)
導電性芯体14の外周には、接着層を介して、帯電層16を形成してもよい。接着層を形成する接着剤としては、ポリオレフィン系、塩素ゴム系、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ニトリルゴム系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系のゴムや樹脂やシランカップリング剤等の接着剤を用いればよく、特に制限はない。
接着層は、接着剤単独使用による1層構成のほか、複数の接着剤の組み合わせによる複数層構成でもよい。接着層には導電性付与ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;等の粉末を添加してもよい。接着層の厚みは特に限定はしないが、5μm以上100μm以下の範囲が好ましく、10μm以上50μm以下の範囲がより好ましい。
(帯電層)
帯電ロール10の帯電層(弾性層という場合もある)16を構成する材料としては、例えば、弾性を有するゴム等の弾性材、帯電層16の抵抗を調整するカーボンブラックやイオン導電剤等の導電剤の他に、必要に応じて軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、シリカおよび炭酸カルシウム等の充填剤等、通常ゴムに添加され得る材料を加えてもよい。帯電層16は、通常ゴムに添加される材料を添加した混合物を、導電性芯体の周面に被覆することにより形成される。抵抗値の調整を目的とした導電剤として、マトリックス材に配合されるカーボンブラックやイオン導電剤のような、電子およびイオンのうち少なくとも1つを電荷キャリアとして電気伝導する材料を分散したもの等を用いてもよい。また、上記弾性材は発泡体であってもかまわない。
帯電層16を構成する弾性材としては、例えばゴム材中に導電剤を分散させることによって形成される。ゴム材としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、およびこれらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムおよびこれらのブレンドゴム等が好ましく用いられる。これらのゴム材は発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
帯電層16に含まれる導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤等を用いればよい。電子導電剤の例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属または合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ−酸化アンチモン固溶体、酸化スズ−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの等の粉末を挙げることができる。また、イオン導電剤の例としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩等;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩等;が挙げられる。
これらの導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その添加量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、1質量部以上60質量部以下の範囲であることが好ましく、一方、上記イオン導電剤の場合は、ゴム材100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましい。
(表面層)
表面層18の形成方法としては、表面層を形成するための表面層形成用液等を用いた、一般的な浸漬塗布法、ロール塗布法、スプレ塗布法、リング塗布法等、従来の方法を適用すればよい。表面層形成用液は、バインダ樹脂となる高分子材料等を水やアルコール等の溶媒で溶解し、必要に応じて精製し、溶液とした後、所望の添加物を添加して調製すればよい。
本実施形態に係る帯電ロール10の表面層18を上記のように粗面化する方法としては、例えば、(1)帯電層16を研削する条件を調整して表面層18を荒らす方法、(2)表面層18に粒子を含有させ、表面層18に用いる樹脂の粘度や、表面層18形成時の組成物に用いる揮発溶剤の種類等を調整する方法等のうちの1つあるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
(1)帯電層16を研削する条件を調整する方法
この方法の場合は、例えば、研削砥石の番手で調整するのが一般的であり、砥石番手を粗く(例えば、60番)すれば帯電層16の表面粗さは大きく(粗く)なり、砥石番手を細かく(例えば、200番)すれば、帯電層16の表面粗さは、小さく(細かく)なる。また、砥石番手が一定な場合、削り込む深さやワークの回転数、方向などで粗さが変わる傾向にある。
(2)帯電ロール10の表面層18に粒子を添加する方法
この方法の場合、例えば、上記表面層形成用液に粒子を添加すればよい。表面層18に添加する粒子としては、樹脂粒子、無機粒子等が挙げられる。
従来は、添加する粒子の凝集塊を避ける工夫として、表面層形成用液に分散助剤やレベリング剤等の添加を行い、さらには、表面層形成用液に添加する粒子の添加量から液粘度、レベリング性、チクソ性等を考慮して、希釈溶剤の比率等を調整して溶液を設計していた。また、溶液の乾燥速度の影響で溶液に添加した粒子が対流する形態等を決定する焼成温度と時間等も、バランスを見ながら制御していた。
本実施形態では、表面層18を上記のように粗面化するために、添加する粒子の凝集塊を形成させればよい。例えば、従来、凝集塊を避けるためにとっていた方法とは逆の方法、あるいはそれらの組み合わせにより、凝集塊を形成し、上記のように粗面化するために、凝集塊の形成の制御を行えばよい。例えば、凝集塊に含まれる粒子の面積は、用いる粒子の粒径と添加量等によって制御すればよい。
表面層18の表面の粗さ(すなわち、凹凸部)は、表面層形成用液に添加する粒子の粒径や形状等で大きく変化し、表面層18の厚みが大きくなると、表面粗さは低下し、一方、表面層18の厚みが小さくなると、粒子の粒径の影響が表面粗さに現れる。
本方法では、例えば、表面層形成用液の液粘度状態を変化させ、溶液内での粒子の対流状態等を制御して粒子の凝集塊を発生させて、表面層18の表面粗さを制御すればよい。特に表面層18内の粒子凝集(配列)には、溶液内の粒子の対流が大きく寄与し、対流を変化させる要因として前述の液粘度、溶剤種、焼成条件(溶液から溶剤が蒸発する間の条件)等が、粒子が動く速度やパターン等に影響を与えると考えられる。
液の粘度を制御する要因としては、カーボンブラックやシリカ等の粉末種や量、希釈溶剤種や比率、溶剤希釈率、バインダ樹脂等の分子量、架橋樹脂の場合は触媒種等があり、乾燥速度は表面層18のレベリング性を変化させ、レベリング性はバインダ樹脂等の分子量、カーボンブラック等の添加量、バインダ樹脂とアルコールや水等の溶剤との比率である樹脂比率、アルコールと水との比率、バインダ樹脂種類等が複雑に絡み合って変化する。
このように、表面層18の表面粗さを制御した上で、表面層18に形成される凹凸部の凸部32を平滑化処理する。平滑化方法としては、ラッピング、研磨、熱プレス成形等が挙げられるが、熱の影響による帯電ロールの物性変化が少ない研磨による方法が好ましい。
研磨処理は、例えば、紙やすり等の研磨手段を搭載した研磨機を用いて、帯電ロール10の表面を研磨すればよい。
このように研磨処理により表面層18の凸部を削り取る方法で平滑化を行った場合、帯電層16や表面層18に添加した粒子が露出する場合がある。この場合は、上記表面層を最外層として塗布すればよい。
樹脂粒子の樹脂材料としては、例えば、ナイロン12、ナイロン6、ナイロン6−12等のナイロン等のポリアミド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、架橋ポリメタクリル酸メチル、架橋ポリスチレン、架橋ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。N−メトキシメチル化ナイロン等のN−アルコキシアルキル化ナイロンを用いてもよい。
無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ等が挙げられる。
粒子は、バインダ樹脂との結合力等を考慮すると、多孔質材料であることが好ましく、多孔質材料としては、例えば、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、炭酸カルシウム等が挙げられる。
添加する粒子の粒径は、2μm以上15μm以下の範囲が好ましい。ここで、粒径は、形状からみる平均粒子径を指す。粒子の粒径が2μmを下回ると、帯電ロール10の表面層18の凹凸部が形成されにくく、帯電ロール10の表面が汚れやすくなる場合がある。一方、粒子の粒径が15μmを超えると、粒子の添加量が少なくなり、粒子一粒にかかる応力が集中して、表面層18にひび割れが生じる場合がある。
粒子の比重は、後述する凝集塊の形成のために、粒子が動きやすい観点から、比重が1以下であることが好ましい。
表面層18は、異物等による汚染の防止等のために形成しているものである。表面層18を構成する材料としては、樹脂、ゴム等の高分子材料のいずれを用いてもよく、特に限定するものではない。表面層18を構成する高分子材料としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、共重合ナイロン、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリフッ化ビニリデン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等のテトラフルオロエチレン共重合体、メラミン樹脂、フッ素ゴム、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
これらのうちトナーの外添剤等による汚れ防止等の観点から、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエステル、ポリイミド、共重合ナイロンが好ましい。共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロンのうちのいずれか1種または複数種を重合単位として含むものであって、この共重合体に含まれる他の重合単位としては、6ナイロン、66ナイロン等が挙げられる。ここで、610ナイロン、11ナイロン、12ナイロン等の重合単位が共重合体中に含まれる割合は、質量比で合わせて10質量%以上であるのが好ましい。上記重合単位が10質量%以上の場合は、調液性および表面層塗布時における成膜性に優れるとともに、特に繰り返し使用時における表面層の磨耗や表面層への異物付着が少なく、帯電ロールの耐久性が優れ、環境による特性の変化も少なくなる。
高分子材料として、フッ素系あるいはシリコーン系の樹脂等を用いてもよい。特に、フッ素変性アクリレートポリマを含んで構成されることが好ましい。
表面層18のバインダ樹脂の主成分がポリアミドの場合、添加する粒子として、ポリアミド樹脂の多孔質体が好ましい。バインダ樹脂への相溶性のほか、バインダ樹脂の主成分がN−メトキシメチル化ナイロンである場合、N−メトキシメチル化ナイロンとの架橋反応も見込めるため、好ましい。
上記高分子材料は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記高分子材料の数平均分子量は、1,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、10,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。
表面層18には導電剤を含有させ、抵抗値を調整してもよい。導電剤としては、体積平均粒径が3μm以下であるものが好ましい。
導電剤として、カーボンブラックや導電性金属酸化物粒子等の電子導電剤、あるいはイオン導電剤のような、電子およびイオンのうち少なくとも1つを電荷キャリアとして電気伝導する材料をバインダ樹脂に分散したもの等を用いてもよい。
導電剤のカーボンブラックとして、具体的には、デグサ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
上記カーボンブラックはpH4.0以下であることが好ましい。一般的なカーボンブラックに比べ、表面に存在する酸素含有官能基の効果により、樹脂組成物中への分散性がよく、前記pH4.0以下のカーボンブラックを配合することにより、帯電均一性をよくすることができ、さらに抵抗値の変動を小さくすることができる。
導電性金属酸化物粒子としては、酸化錫、アンチモンがドープされた酸化錫、酸化亜鉛、アナターゼ型酸化チタン、インジウムスズ酸化物(ITO)等の導電性を有した粒子で、電子を電荷キャリアとする導電剤であればいずれを用いてもよく、特に限定されるものではない。これらは、単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、本実施形態の効果を阻害しない限り、何れの粒径であってもよいが、抵抗値調整および強度等の点より、好ましくは酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫、アナターゼ型酸化チタンであり、より好ましくは、酸化錫、アンチモンドープがされた酸化錫である。
このような導電剤によって抵抗制御を行うことにより、表面層18の抵抗値は環境条件によってほとんど変化せず、安定な特性が得られる。
さらに、表面層18には、アルミナやシリカのような絶縁性の粒子を添加して、帯電ロール10の表面に凹凸を付与し、感光体との摺擦時の負担を小さくして、帯電ロールと感光体相互の耐磨耗性を向上させてもよい。
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、像保持体と像保持体の表面を帯電させる前記帯電部材とを備える。本実施形態のプロセスカートリッジは、必要に応じて、帯電した像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像保持体表面を清掃する像保持体清掃手段とからなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。
本発明の実施形態に係るプロセスカートリッジの一例の概略構成を図6に示し、その構成について説明する。プロセスカートリッジ3は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体(電子写真感光体)24と、感光体24の表面を接触帯電する円筒状の帯電ロール10と、帯電ロール10に接触して帯電ロール10の表面を清掃するためクリーニングロール12と、感光体24の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像ロール50を有する現像装置と、感光体24の表面に接触して、転写後に感光体に残ったトナー等を清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード52とが一体に支持されており、画像形成装置に着脱自在である。画像形成装置に装着されたときには感光体の周囲に、帯電ロール10、レーザ光あるいは原稿の反射光等により感光体の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置、現像ロール50を有する現像装置、感光体24の表面のトナー像を被転写体である記録紙60に転写処理する転写手段としての転写ロール54、クリーニングブレード52がこの順序で配置されるようになっている。なお、図6では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。
本実施形態に係るプロセスカートリッジの動作について説明する。
まず、感光体24の表面に接触された帯電ロール10に対して電圧を高圧電源(図示せず)から給電することによって、感光体24の表面を高電位に帯電する。このとき感光体24および帯電ロール10は図6の矢印方向にそれぞれ回転する。帯電後、感光体24の表面に露光装置(図示せず)により画像情報に応じた画像光(露光)が照射されると、照射された部分は電位が低下する。画像光は画像の黒/白等に応じた光量の分布であるため、画像光の照射によって感光体24の表面に記録画像に対応する電位分布、すなわち静電潜像が形成される。静電潜像が形成された部分が、現像ロール50を通過すると、その電位の高低に応じてトナーが付着し、静電潜像を可視化したトナー像が形成される。トナー像が形成された部分に、所定のタイミングで位置合わせロール(図示せず)により記録紙60が搬送され、感光体24の表面のトナー像と重なる。このトナー像が、転写ロール54によって記録紙60に転写された後、記録紙60は、感光体24から分離される。分離された記録紙60は搬送経路を通って搬送され、定着手段としての定着ユニット(図示せず)によって、加熱加圧定着されたあと、機外へ排出される。
プロセスカートリッジ3に設けられた帯電ロール10にはクリーニングロール12が設置され、高圧電源からベアリングに電圧が印加され、クリーニングロール12が帯電ロール10と電気的に同極性を有することで、異物等をクリーニングロール12および帯電ロール10の表面にほとんど蓄積させることなく移行でき、クリーニングブレードで回収させるため、帯電部材に付着したトナー等の異物が長期にわたり、安定的に除去される。このため、長期にわたり帯電ロール10の汚れの蓄積が少なく、帯電性能において優れたものとなり、安定した帯電性能が維持される。
感光体24は、少なくとも静電潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とがこの順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層の積層順序は逆であってもよい。これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを別個の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよく、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等他の種類の感光層を使用してもよい。
露光装置としては、特に制限はなく、例えば、感光体24の表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光するレーザ光学系、LEDアレイ等の光学系機器等が挙げられる。
現像手段は、感光体24上に形成された静電潜像を静電荷像現像用トナーを含む一成分現像剤あるいは二成分現像剤により現像してトナー像を形成する機能を有する。そのような現像装置としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択すればよく、トナー層が感光体24に接触する方式のものでも、接触しない方式のものでもよい。例えば、図6のように静電荷像現像用トナーを現像ロール50を用いて感光体24に付着させる機能を有する現像器、あるいはブラシ等を用いてトナーを感光体に付着させる機能を有する現像器等、公知の現像器等が挙げられる。現像剤担持体には、通常直流電圧が使用されるが、さらに交流電圧を重畳させて使用してもよい。
転写手段としては、紙等に直接転写する方式のものでも、中間転写体を介して転写する方式のものでもよい。例えば、図6に示すような記録紙60の表面に記録紙60を介して直接接触して転写する導電性または半導電性のロール等を用いた転写ロール54および転写ロール押圧装置(図示せず)を用いることができる。また、記録紙60の裏側からトナーとは逆極性の電荷を記録紙に与え、静電気力によりトナー像を記録紙に転写するものを用いてもよい。転写ロール54には、感光体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ロール54は、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により、任意に設定すればよい。また、低コスト化のため、転写ロール54として単層の発泡ロール等が好適に用いられる。
定着手段としての定着ユニットとしては、記録紙60に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであれば特に制限はない。
トナー像を転写する被転写体である記録紙60としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、転写材の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等を使用してもよい。
本実施形態に係る帯電ロールを用いることにより、プロセスカートリッジ3において、感光体24と帯電ロール10が長寿命化される。
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる前記帯電装置と、像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー像を被転写体に転写する転写手段と、転写後の像保持体の表面を清掃する像保持体清掃手段と、を備える。また、本実施形態に係る画像形成装置は、上記プロセスカートリッジを使用するものであってもよい。
本実施形態に係る画像形成装置の一例の概略構成を図7に示し、その構成について説明する。画像形成装置5は、静電潜像が形成される像保持体としての感光体24と、感光体24の表面を接触帯電する円筒状の帯電ロール10と、帯電ロール10に接触して帯電ロール10の表面を清掃するためクリーニングロール12と、レーザ光あるいは原稿の反射光等により感光体24の表面に静電潜像を形成する潜像形成手段としての露光装置58と、感光体24の表面に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する現像手段としての現像ロール50と、感光体24の表面のトナー像を被転写体である記録紙60に転写処理する転写手段としての転写ロール54と、感光体24の表面に接触して、転写後に感光体24に残ったトナー等を清掃する像保持体清掃手段としてのクリーニングブレード52とを備える。画像形成装置5において、感光体24の周囲に、帯電ロール10、露光装置58、現像ロール50、転写ロール54、クリーニングブレード52がこの順序で配置されている。なお、図7では、他の電子写真プロセスにおいて通常必要な機能ユニットは、その記載を省略してある。画像形成装置の各構成、画像形成時の動作は図6のプロセスカートリッジ3と同様である。
画像形成装置5に設けられた帯電ロール10にはクリーニングロール12が設置され、高圧電源56からベアリングに電圧が印加され、クリーニングロール12が帯電ロール10と電気的に同極性を有することで、異物等をクリーニングロール12および帯電ロール10の表面にほとんど蓄積させることなく移行でき、クリーニングブレードで回収させるため、帯電部材に付着したトナー等の異物が長期にわたり、安定的に除去される。このため、長期にわたり帯電ロール10に汚れの蓄積が少なく、帯電性能において優れたものとなり、安定した帯電性能が維持される。
本実施形態に係る帯電装置を用いた画像形成装置の帯電装置以外の構成については、これらに限らず従来から電子写真方式の画像形成装置の各構成として公知の構成が適用できる。すなわち、上記帯電装置以外の構成、例えば、潜像形成手段、現像手段、転写手段、像保持体清掃手段、除電手段、給紙手段、搬送手段、画像制御手段等について、必要に応じて従来公知のものが適宜採用される。これらの構成については、本実施形態において特に限定されるものではない。
本実施形態に係る帯電ロールを用いることにより、画像形成装置5において、感光体24と帯電ロール10が長寿命化され、欠陥がほとんどない画質が得られる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
[帯電ロールの作製]
<基本配合>
表1に帯電ロールの帯電層(弾性層)の基本配合を示す。
<生ゴム作製>
表1に示すポリマ(エピクロルヒドリンゴム)を12インチオープンロールで3分間素練りを行った後、オープンロール回転中にカーボンブラック、炭酸カルシウム、イオン導電剤を徐々に添加し、最後に加硫剤と加硫促進剤を混入させた後、5分間混錬を行った。
<導電性芯体への接着層の形成>
JIS G4804(2008)に規定されたSUM24L材の芯体表面にニッケルメッキおよびクロメート処理を施した直径8mmの導電性芯体に、下記接着剤および導電剤をボールミルで24時間分散したものを、刷毛塗りで塗布し、風乾して、厚さ10μmの接着層を形成し、芯体を得た。
接着剤(ポリオレフィン系 Chemlok250X:ロードファーイースト社製)
100質量部
導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製) 3.0質量部
<ロール成形>
ロール成形には、Φ14.5mmの内径を持つ射出成形用の円筒金型を用いた。金型は、ヒータによって170℃±5℃に保たれている状態であり、その中に上記芯体をセットした。その後、上記生ゴムを射出成形機にて金型内に注入し、3分間保持した後、金型から脱型した。
<外径仕上げ>
ロール成形後は、ロール温度が下がり、外径が熱収縮で安定するのを待つために、4時間放置した。その後、砥石粒度80番を搭載したトラバース研削盤で送り速度を毎分200mmで外径をΦ14mmに仕上げて、弾性ロールを得た。そのときの表面粗さは、JIS B0601(1982)に規定された十点平均粗さ(以下、単に「Rz」という場合がある)で6μmであり、端部に比べて中央部の外径は、55μm程度大きな状態に仕上げた(クラウン形状)。Rzは、表面粗さ測定装置(SURFCOM 1500DX、(株)東京精密社製)を用いて、測定長4mm、カットオフ波長0.8mm、測定倍率1,000倍、測定速度0.15mm/sec、カットオフ種類ガウシアン、傾斜補正最小二乗曲線補正の方法で測定した。
<表面層材料導電液の調液>
バインダ樹脂としては、ナイロン6をメトキシメチル化率30%でメトキシメチル化を施したファインレジFR101((株)鉛市社製)を選定した。バインダ樹脂の数平均分子量は、約20,000であった。バインダ樹脂20質量部をメタノール70質量部、ブタノール20質量部、水2質量部、クエン酸0.5質量部で溶解し、10時間放置した。その後、カーボンブラック(FW200:Degussa製)8質量部を溶解液に添加し、ダイノーミルを用いて60分間分散処理を施し、表面層材料導電液を作製した。
<表面層形成用液の調液>
表面層材料導電液中の固形分100質量部に対して、平均粒径Φ5μmのナイロン粒子を20質量部入れ、ウエーブロータで6時間撹拌処理を行って、表面層形成用液を作製した。ナイロン粒子の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定した。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径としての平均粒径dとする方法により測定した。
<表面層の形成>
表面層形成用液をディップ槽に入れ、外径を研削仕上げした弾性ロールを毎分300mmの速度で浸漬させたのち、帯電層全てが浸漬した状態で3秒間ホールドした後、毎分200mmの速度で引き上げた。この条件で付着した表面層の平均膜厚は、断面観察の方法で測定したところ、9μmであった。
<表層層の焼成>
表面層形成用液を弾性ロールにディップコートした後、室温下で1分間乾燥させた。そして、160℃に加温した加熱炉に投入して20分間焼成させ後、加熱炉から取り出し、室温(25℃程度)にて冷却を行い、表面層形成弾性ロールを得た。
<平滑部の形成>
図3に示すように、表面層の凹凸部の凸部に平滑部を形成するために、図8に示すような、1500番メッシュの紙やすり62を搭載した研磨機で表面層形成弾性ロール64の表面を研磨して、帯電ロールAを得た。表面層形成弾性ロール64の回転数は、80rpm、軸方向のトラバース速度は、毎分180mmの速度で移動させた。
[評価]
<表面形態の観察>
帯電ロールAの表面層の凹凸部の観察は、カラー3Dレーザ顕微鏡(型式VK8550、(株)キーエンス社製)を用いて行った。観察条件は、対物レンズ50倍を用いて、帯電ロールの軸方向に800μm走査した。
<表面凹凸形態の算出>
帯電ロールAの表面層の凹凸をレーザ顕微鏡でプロファイルを描くと、図5に示すように、最表層側が平滑部34となっており、その平滑部34を有する凸部32の間に谷(凹部30)ができている。レーザ顕微鏡での高さデータは、帯電ロールの軸方向に走査0.2μm毎に行って計測し、プロファイルは、高さデータを10データ毎の移動平均で示した。平滑部34の長さ(A)と、平滑部34に隣接する谷(凹部30)の長さ(B)との関係AB比(B/A)、谷(凹部30)の深さ(L)を連続して10箇所計測し、平均値を特性値として捉えた。実施例1の帯電ロールAでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.3μmであった。また、AB比(B/A)が1.5、Lが5μmであった。
<耐久性評価>
実施例1の方法で作製した帯電ロールAを、画像形成装置DocuCenterColor a450(富士ゼロックス社製)のプロセスカートリッジに組み込み、耐久性評価を実施した。帯電ロールは、感光体に対して片側600gの荷重が架かるようにコイルバネでベアリングを受けた。耐久性試験の環境は、画質欠陥が顕著に表れる低温低湿下である10℃、15%RHの環境で実施した。画像パターンは、A4サイズ横長方向に全面ハーフトーン30%濃度で連続して印刷した。帯電ロールの表面層のひび割れの発生などを目視により確認した。
A4サイズ2,000枚印刷毎に画質評価を実施して、帯電ロールに起因する汚染筋(縦筋)等の画質欠陥が発生していないかを目視により確認した。また、4,000枚印刷後の感光体の電荷輸送層(CTL)の摩耗量を、渦電流膜厚方式(断面膜厚との相関出ししたデータに基づく)の方法により測定した。結果を表3に示す。
帯電ロールAの汚れは、目視上あるものの182,000枚まで画質上の欠陥がなく、良好な画質を維持していた。また、感光体の電荷輸送層の摩耗量は少なかった。
(実施例2)
帯電層の外径仕上げの送り速度を毎分400mmで研削してΦ14mmに仕上げた以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールBを得た。弾性ロールの表面粗さは、Rzで8μm程度であった。帯電ロールBでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.4μmであった。また、AB比(B/A)が3.0、Lが5μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールBの汚れは、目視上あるものの168,000枚まで画質上の欠陥がなく、良好な画質を維持していた。また、感光体の電荷輸送層の摩耗量は少なかった。
(実施例3)
帯電層の外径仕上げにおける砥石種を目が細かい150番で実施した以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールCを得た。弾性ロールの表面粗さは、Rzで5μm程度であった。帯電ロールCでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.5μmであった。また、AB比(B/A)が0.6、Lが5μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールCの汚れは、目視上あるものの198,000枚まで画質上の欠陥がなく、良好な画質を維持していた。また、感光体の電荷輸送層の摩耗量は少なかった。
(実施例4)
表面層材料導電液の調液において、ブタノールを20質量部から30質量部に増量してレベリング性を上げた以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールDを得た。帯電ロールDでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.4μmであった。また、AB比(B/A)が1.5、Lが2μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールDの汚れは、目視上あるものの154,000枚まで画質上の欠陥がなく、良好な画質を維持していた。また、感光体の電荷輸送層の摩耗量は少なかった。
(実施例5)
帯電層の外径仕上げにおける砥石種を目が粗い60番で実施し、さらに、表面層材料導電液の調液において、水を2質量部から1質量部に減量し、ブタノールを20質量部から10質量部に減量してレベリング性を下げた以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールEを得た。弾性ロールの表面粗さは、Rzで9μm程度であった。帯電ロールEでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.4μmであった。また、AB比(B/A)が1.5、Lが10μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールEの汚れは、目視上あるものの212,000枚まで画質上の欠陥がなく、良好な画質を維持していた。また、感光体の電荷輸送層の摩耗量はやや多いものの許容範囲であった。
(実施例6)
帯電層16の研削条件を変更してAB比を形成した以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールFを得た。帯電ロールFでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.5μmであった。また、AB比(B/A)が4、Lが5μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールFでは、AB比が大きく(4)なることで凸部の平滑性が低下し、帯電ロールの表面に外添剤の汚れがフィルミングして、帯電ロール汚染筋が早期に発生し、132,000枚で帯電ロール汚染筋の画質欠陥が許容値を超えた。
(実施例7)
帯電層16の研削条件を変更してAB比を形成した以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールGを得た。帯電ロールGでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.5μmであった。また、AB比(B/A)が0.4、Lが5μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールGでは、AB比が小さく(0.4)なることで凸部の平滑性が増し、帯電ロールの表面に外添剤の汚れがフィルミングして、帯電ロール汚染筋が早期に発生し、106,000枚で帯電ロール汚染筋の画質欠陥が許容値を超えた。
(実施例8)
帯電層の外径仕上げにおいて、目が粗いプランジ砥石60番を用い、さらに、表面層材料導電液の調液において、水を2質量部から1質量部に減量し、ブタノールを20質量部から10質量部に減量してレベリング性を下げた以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールHを得た。帯電ロールHでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.3μmであった。また、AB比(B/A)が0.6、Lが14μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールHでは、表面層の凹部には、トナーの外添剤が堆積し、黒点が発生した。また、感光体表面の磨耗が未処理品と差異がなくなった。
(実施例9)
表面層材料導電液に、分散助剤(安定化剤)としてブチラール樹脂を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールIを得た。帯電ロールIでは、表面層の凹凸部の凸部には平滑部が形成され、凸部の高さのばらつきは0.2μmであった。また、AB比(B/A)が1.5、Lが1μmであった。結果を表3に示す。
帯電ロールIでは、凹部の深さLが小さく(1μm)なることで表面層の凹部には、トナーの外添剤が堆積し、色筋が発生した。また、感光体表面の磨耗が未処理品と差異がほとんどなくなった。
(比較例1)
表面層の平滑部を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、帯電ロールJを得た。結果を表3に示す。帯電ロールJでは、表面層の凹凸部の凸部には、平滑部はなく、凸部の高さのばらつきは8μmであった。凸部の頂点と凹部の底の高低差は、30μm以上40μm以下程度発生していた。
耐久性評価の結果、100,000枚印刷時点では、表面層のひび割れや画質欠陥はほとんど発生しなかったが、帯電ロールの表面は、トナー成分が付着して白濁していた。さらに耐久性評価を継続した結果、148,000枚印刷時点では、帯電ロールの表面層にひび割れが発生し、ひび割れた部分にトナー成分が付着した結果として記録紙走行方向に筋が発生した。この時の像保持体の磨耗は、32nm/Kcycleであった。
表3からわかるように、実施例1〜5では、帯電ロールの汚れによる画質不良や帯電ロールの表面層のひび割れは、ほとんど発生しなかった。また、帯電ロールの汚れは目視上あるものの、50,000枚まで画質上の欠陥がほとんどなく良好な画質を維持していた。これに対して比較例1では、30,000枚時から許容レベルではあるが軽微に縦筋が発生し、48,000枚では、明らかな画質欠陥が発生した。
このように、実施例1〜9のように帯電ロールの表面層の凹凸部の形態を制御することによって、トナー成分の付着を抑制し、固着や堆積を抑止し、帯電ロールを長寿命化することができると共に、像保持体表面の磨耗を抑止することから、長期にわたって安定した画質が維持された。
1 帯電装置、3 プロセスカートリッジ、5 画像形成装置、10,100 帯電ロール、12 クリーニングロール、14,114 導電性芯体、16,116 帯電層、18,118 表面層、20 芯体、22 弾性層、24 感光体、26 コイルバネ、28 ベアリング、30 凹部、32 凸部、34 平滑部、50 現像ロール、52 クリーニングブレード、54 転写ロール、56 高圧電源、58 露光装置、60 記録紙、62 紙やすり、64 表面層形成弾性ロール、120 バインダ樹脂、122 粗面化粒子。

Claims (6)

  1. 導電性芯体と、
    前記導電性芯体上に形成された、帯電層と、表面層と、
    を有し、
    前記表面層の表面には凹凸部を有し、前記凸部が平滑部を有することを特徴とする帯電部材。
  2. 前記凸部の平滑部の長さをA、凹部の長さをBとしたとき、B/Aが0.6以上3.0以下の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の帯電部材。
  3. 前記凹部の深さが、2μm以上20μm以下の範囲であることを特徴とする、請求項1または2に記載の帯電部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材を備えることを特徴とする帯電装置。
  5. 像保持体と、前記像保持体を帯電する請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  6. 像保持体と、前記像保持体を帯電する請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電部材と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
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