JP2008299060A - 画像形成部材の再生方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】画像形成装置の内部に装着して用いられ、使用済み後に再生して再使用する画像形成部材の再生方法であって、前記画像形成部材は表面がエラストマーで形成されており、再生時に、前記画像形成部材の表面を研削加工することなく、少なくとも1回の紫外線照射またはオゾン照射を行い、使用時に前記表面に付着した付着物を分解あるいは/及び劣化させて除去することを特徴とする。
【選択図】なし
Description
このように使用済みのエラストマー部材は表面以外の内部は初期の諸特性を維持しているにもかかわらず、表面に付着物が存在することにより廃棄処分されている現状があり、該エラストマー部材を再利用するには、これらの付着物を効果的に取り除く必要がある。
しかし、特許文献1のような研削(研磨)による方法で、高い寸法精度で研削(研磨)して、新品時と同様の性能を有する再生のエラストマー部材を得るのは非常に困難である。これは、研磨代が小さい場合、汚れや摩耗を生じている使用済みのエラストマー部材を研磨時に新品と同様にチャッキングしてセッティングすることは事実上不可能で、表面を微小寸法で均一に研磨するには、高い技術と多大な手間がかかる。例えば、ローラのようなロール形状の部材の場合では、新品製造時に研磨した際の研磨材の軸心位置と再生時の研磨材の軸心位置が微妙にずれると、再生研磨時に偏芯を生じて削り残しが発生する。よって、外径500μm以下、特に100μm以下の領域で、偏芯なく研削を行うのは非常に困難となる。
一方、研磨代を大きく取ると、新品と比べて感光体等の部品との接触状態(接触圧や接触ニップ)が変わり、新品同様の性能が得られないという問題が生じる。例えば、ローラの場合、通常、半径が約5〜10mmであるので500μmを超えた研磨を行うと、他部材との接触状態に変化を生じる問題がある。
このように、研磨による再生で、新品と同様の性能を有し、かつ、新品時と寸法の差異が小さいエラストマー部材を得るのは非常に困難である。
前記画像形成部材は表面がエラストマーで形成されており、
再生時に、前記画像形成部材の表面を研削加工することなく、少なくとも1回の紫外線照射またはオゾン照射を行い、使用時に前記表面に付着した付着物を分解あるいは/及び劣化させて除去することを特徴とする画像形成部材の再生方法を提供している。
このような液状あるいはペースト状の物質を媒体として紙粉や外添剤等の固形物が部材表面に付着しやすくなり、耐久使用により徐々に蓄積されていく。
通常、汚れはエラストマー部材に均一に付着せず、例えば、ローラの場合、圧力の高いローラ端部付近に厚く付着しやすく、また、ローラ周回方向にもムラになって付着する場合もあり、再生を行わずに再利用すると、印刷濃度にムラを生じやすい。
(1)トナーを形成する樹脂や、トナー表面に存在する成分(流動性を高めるためにトナーに配合されている外添剤等)
(2)トナー内部に含まれている成分(ワックス、液状の添加剤、低分子量のポリマー、着色剤等)
(3)被印刷物である紙粉(紙の充填剤である炭酸カルシウム、シリカ等、紙の繊維等)
このほか、耐久使用により摩耗され、活性化されて低分子化した画像形成部材の表面のゴムも、前記(1)(3)を付着・蓄積させる媒体となる。
本発明では、前記媒体に対しても、紫外線あるいは/及びオゾンを照射して媒体を効率的に酸化させることで、前記媒体のタック(粘性)を消失させ、あるいは、媒体を脆化させて、容易かつ効率的に汚れを除去することができる。
その結果、表面を研削しなくても、画像形成部材をそのままの状態で再生することができ、初期の寸法精度も維持することができる。なかでも紫外線照射による処理は、処理時間が早く、コストも低いことから好ましく行われる。
あるいは、紫外線照射あるいは/及びオゾン照射を行った後に、エアブロー、吸引、水洗いを行って、酸化分解・酸化劣化により剥離し易くした付着物を部材表面から確実に剥離・除去してもよい。
さらに、紫外線照射あるいは/及びオゾン照射による処理の前後両方にエアブロー、吸引、水洗いのうちのいずれかを行うのが好ましい。
なお、紫外線照射あるいは/及びオゾン照射を行うことにより、前記した付着物は画像形成部材の表面から自然に剥離する場合もあり、必ずしもエアブロー、吸引、水洗い等を行わなくてもよい。
(A)使用済み画像形成部材にエアブロー、水洗いなどを行い、1μmを超える大きな付着物を除去したのち、表面にオゾン照射あるいは/及び紫外線照射を行う。
(B)使用済み画像形成部材の表面にオゾン照射あるいは/及び紫外線照射を行い、前記(2)の成分を劣化させて表面から剥離しやすくした後、エアブローや水洗いを行い、付着物を除去する。
(C)前記(A)工程の後、さらにエアブローまたは水洗いを行う。
(D)前記(A)工程の後、エアブローまたは水洗いを行い、再度オゾン照射あるいは/及び紫外線照射を行う。
(E)前記(B)工程の後、さらにオゾン照射あるいは/及び紫外線照射を行う。
例えば、1回のオゾン照射を、温度23℃、相対湿度55%の条件下において、0.01〜100ppm、より好ましくは0.1〜10ppm、特に好ましくは0.2〜5ppmのオゾン濃度の雰囲気中に0.5分〜50時間、より好ましくは1分〜24時間、特に好ましくは1分〜12時間程度曝露する条件とすることができる。
これは、オゾン濃度が0.01ppm未満であると酸化作用が弱すぎて効率が良くなく、100ppmを超えると装置の管理上、安全上、好ましくないからである。
また、前記エラストマー層は、製造時にエラストマー表面に酸化膜が形成されたもので、再生時に該酸化膜が残存している場合には、該エラストマー層は表面に酸化膜を含む層としている。
例えば、該エラストマー成分としては、下記のような成分が挙げられる。
ゴム成分としては、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボニル基を導入したアクリロニトリル−ブタジエンゴム、あるいは水素添加したアクリロニトリル−ブタジエンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エピハロヒドリンゴム(特にエピクロルヒドリンゴム)等のエピハロヒドリン共重合体、エチレンプロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、ポリウレタンゴム、塩素化ブチルゴム、アクリロニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴムやエチレンオキサイドを含有するポリエーテルポリマー等が挙げられる。
例えば、スチレン系エラストマー、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、エステル系エラストマー、アミド系エラストマー等が挙げられる。
前記エラストマー成分は1種類を単独に用いてもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
劣化しにくいエラストマー成分としては、例えば、クロロプレンゴム、塩素化ポリエチレン、塩化ビニル系エラストマー、エピクロルヒドリン共重合体、塩素化ブチルゴム等が挙げられる。
このような塩素原子を含むエラストマーは、過剰にオゾン照射あるいは/及び紫外線照射を行ってもエラストマー部材の内部がほとんど劣化しないため、再生工程の管理が容易であるため、好適に用いられる。
また、クロロプレンゴムを用いることにより、画像形成装置用部材が現像ローラである場合、極めて高い電荷をトナーに付与することができる。
クロロプレンゴムは、クロロプレンの重合体で乳化重合により製造されるが、分子量調節剤の種類によりイオウ変性タイプ、非イオウ変性タイプに分類される。
イオウ変性タイプは、イオウとクロロプレンを共重合したポリマーをチウラムジスルフィド等で可塑化し、所定のムーニー粘度に調整するものである。
非イオウ変性タイプとしては、メルカプタン変性タイプまたはキサントゲン変性タイプ等が挙げられる。メルカプタン変性タイプは、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンまたはオクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を分子量調節剤に使用するものである。また、キサントゲン変性タイプはアルキルキサントゲン化合物を分子量調節剤に使用するものである。
また、クロロプレンゴムは生成クロロプレンゴムの結晶加速度により、結晶化速度が中庸のタイプ、結晶化速度が遅いタイプおよび結晶化速度が早いタイプに分けられる。
本発明においてはいずれのタイプを用いてもよいが、非イオウ変性で結晶化速度が遅いタイプが好ましい。
表面のエラストマーがクロロプレンゴムと他のゴムとのブレンドゴムである場合、前記他のゴムとしてはエピハロヒドリンゴム(特にエピクロルヒドリンゴム)、ウレタンゴム、アクリロニトリルゴム、ブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、イソプレンゴム、シリコーンゴムやエチレンオキサイドを含有するポリエーテルポリマー等のゴム単体またはこれらのブレンドゴムが挙げられる。なかでも、極性ゴム、特にNBRとブレンドすることが硬度上昇の抑制および温度依存性の低減の観点から好適である。しかし、NBR等の紫外線で劣化しやすいゴムは全エラストマー成分100質量部中に50質量部以下の配合としたものが好ましい。
より均一な電気特性が得られるという点から、前記エラストマー成分はイオン導電性とし、500V印可時の抵抗値をR500、100V印可時の抵抗値をR100としたときにlog(R100)−log(R500)<0.5程度であることがより好ましい。これは現像バイアスに近い500Vの電圧印加時の抵抗値を基準として100Vの電圧印加時の抵抗値との差を指標にエラストマー部材における電気特性の均一性をより明確にしたものである。このように、導電性の画像形成部材のエラストマーは電圧依存性の小さいイオン導電性を有することが好ましい。
通常、カーボンブラック等の電子導電に依存している場合には前記式の値は1以上となる。なお、抵抗値の測定方法は後述する実施例に記載の通りである。
具体的には、前記したエピハロヒドリンゴム(特にエピクロルヒドリンゴム)やエチレンオキサイドを含有するエラストマーが好適に用いられる。具体的には、エピクロルヒドリン(EP)単独重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド(EO)共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド(PO)共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル(AGE)共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体等が挙げられる。
これらは、酸素や塩素元素を含み、極性が高いゴム材料は、紫外線照射あるいは/及びオゾン照射による酸化により付加された酸素が極めて安定して存在できる。
その際、前記クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーと、エピクロルヒドリンの合計mol%が、エチレンオキサイドのmol%よりも大とすることが好ましい。
また、前記クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーのmol%がエピクロルヒドリンのmol%よりも大であることが好ましい。
さらに、前記クロロプレンゴムを構成するクロロプレンモノマーのmol%がエチレンオキサイドのmol%より大であることが好ましい。
このように、エラストマー成分として、電気伝導性が高くイオン導電性を有するエピハロヒドリンゴムやエチレンオキサイドを含有するポリエーテルポリマーをブレンドしたものが、所定の抵抗値にコントロールする面から極めて好ましい。
一方、エラストマーがイオン導電性とされていない場合には、ケッチェンブラック、ファーネスブラックまたはアセチレンブラック等の公知の導電性カーボンブラックと前述の弱導電性カーボンブラックとを併用することが好ましい。このうち、導電性カーボンブラックの配合量は全エラストマー成分100質量部に対して10〜20質量部の配合とするのが好ましい。
さらに、製造時に表面のエラストマーにオゾン照射あるいは/および紫外線照射により酸化膜が形成されているものであることが好ましい。
また、新品に酸化膜が形成されている画像形成部材は、酸化膜が誘電層となり誘電正接を低減できることから、当初から誘電正接を所定範囲に制御しやすいという利点もある。さらに、酸化膜が低摩擦層となることでトナー離れがよくなり、画像形成を容易に行うことができ、より良好な画像が得られる。
前記新品の製造時における酸化膜の形成方法は公知の方法に従って行うことができ、例えば、本発明の再生方法と同様の方法で行うことができる。
その中でも、トナーカートリッジを構成する現像ローラの再生に好適に用いられる。
現像ローラは、プラス帯電性を有する非磁性1成分系トナーを感光体に付着させるために用いられるものが好ましい。特に、現像ローラのエラストマーにクロロプレンゴムが用いられている場合は、そのゴム構造からきわめて高いプラス帯電付与性があるためプラス帯電性を有するトナーに対しての使用が好適である。しかしながら、現像ローラは他の部材と比較して、トナーが常に接触し、かつ、圧力を加えて使用するため、例えば、トナーと直接接触しない転写ローラ等と比べて、トナーが付着しやすいことに加え、トナーカートリッジ内で消耗品として使用されるので、プリンター本体で使用される部品と比べて耐用期間が比較的短い。よって、現像ローラを、使用済みで破棄するのではなく、本発明の再生方法により再生することで、産業廃棄物の増大を緩和できると共に、環境保存等の点から好ましい。
新品の酸化膜形成前の現像ローラに電圧50Vを印加した時のローラ抵抗をR50とし、酸化膜形成後の印加電圧50Vにおけるローラ抵抗をR50aとしたとき、log(R50a)−log(R50)=0.2〜1.5程度である。このように安定して電圧を負荷することができる50Vという低電圧時のローラ抵抗を指標値としているため、酸化被膜形成による微小な抵抗上昇を精度良く捉えることができる。なお、より好ましい範囲は下限は0.3、特に0.5が好ましく、上限は1.2、特に1.0が好ましい。
流れる電流を制御して画像不良の発生を抑制し、感光体への放電を防ぐためローラ抵抗値は105Ω以上であることが好ましい。トナー供給等の効率を維持し、トナーが感光体に移行する際に現像ロールの電圧降下が起こり以後現像ロールから感光体へ確実にトナーを搬送できなくなって画像不良が生じることを防ぐためにはローラ抵抗値は108Ω以下であることが好ましい。また、107Ω以下であると、より幅広い環境下でも使用でき極めて有用である。
ゴムローラの電気特性において誘電正接とは、電気の流し易さ(導電率)とコンデンサー成分(静電容量)の影響度を示す指標であり、交流電流を印加した際の位相遅れを示すパラメータでもあり、電圧をかけた時のコンデンサー成分割合の大きさを示している。
即ち、誘電正接はトナーが量規制ブレードにより高圧で現像ローラに接触した際に生成される帯電量と感光体へ搬送されるまでにローラ上に逃げる帯電量とにより表され、感光体接触直前の帯電量を示す指標となる。
誘電正接が大きいと電気(電荷)を通しやすく分極は進みにくい。逆に誘電正接が小さいと電気(電荷)を通しにくく分極が進むことになる。よって、誘電正接が小さい方がロールのコンデンサー的特性が高く、摩擦帯電で生じたトナー上の電荷をロールから逃すことなく維持できる。すなわち、トナーに帯電性を付加でき、付加した帯電性を維持することができる。かかる効果を得るために誘電正接を1.8以下が好ましいとしている。また、帯電量が上がりすぎて印刷濃度が低下しすぎるのを防ぐため、さらには誘電正接を調整するための添加物の量が多くなり硬くなるを避けるため、誘電正接は0.1以上としている。より好ましくは0.3以上、さらに0.5以上が最も好ましく、また、好ましい上限は1.8以下、さらに好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.0以下、最も好ましくは0.8以下である。
なお、誘電正接は後述の実施例に記載の方法で測定している。
なお、上限は特に限定されないが、数値が高すぎると、プリンターの設定に合わなくなる場合や、印刷濃度が薄くなる場合もある。
前記加硫剤としては硫黄系、チオウレア系、トリアジン誘導体系、過酸化物、各種モノマー等が使用できる。これらは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。硫黄系加硫剤としては粉末硫黄、またはテトラメチルチウラムジスルフィドもしくはN,N−ジチオビスモルホリンなどの有機含硫黄化合物等が挙げられる。チオウレア系加硫剤としてはテトラメチルチオウレア、トリメチルチオウレア、エチレンチオウレアおよび(CnH2n+1NH)2C=S(式中、nは1〜10の整数を表す。)で示されるチオウレア等よりなる群から選択される1種または複数種のチオウレアを用いることができる。過酸化物としてはベンソイルペルオキシドなどが挙げられる。加硫剤の添加量はゴム成分100質量部に対して好ましくは0.2質量部以上5質量部以下、より好ましくは1質量部以上3質量部以下である。
これら可塑成分は、全エラストマー成分100質量部に対して5質量部以下の割合で配合されていることが好ましい。酸化膜が形成される際にブリードが生じたり、プリンター装着時や運転時に感光体を汚染したりするのを防ぐためである。このため、極性ワックスが使用されていることが最も好ましい。
前記劣化防止剤としては各種老化防止剤が挙げられる。特にエラストマー部材の硬度の調整や加工性の向上のためにNBRゴム等を添加した場合は添加量に応じて老化防止剤として酸化防止剤が添加されていることが好ましい。酸化防止剤を用いる場合には、所望により施される表層部分における酸化膜の形成が効率よく進むよう、その配合量を適宜選択することが好ましい。
これら各種添加剤の添加に対して、紫外線照射などの表面処理は添加した各種添加剤のしみ出し防止に効果的である。
特に、前記したように、現像ローラの再生に最も好適に用いられる。
電子写真装置の画像形成機構における現像方式としては感光体と現像ロールの関係で分類すると接触式または非接触式に大別されるが、本発明の再生方法は、いずれの方式の現像ローラにも利用できる。
なお、前記したように、現像ローラ以外に、現像ブレード、感光ドラムを一様に帯電させるための帯電ロール、トナー像を感光体から転写ベルトや用紙に転写するための転写ローラ、トナーを搬送させるためのトナー供給ローラ、転写ベルトを内側から駆動するための駆動ローラ、トナーを定着させるための定着ローラ、その他クリーニングローラ、クリーニングブレード等の画像形成装置用エラストマー部材の再生方法としても用いることもできる。
これらは、消耗品である各種カートリッジに組み込まれているものでもよいし、組み込まれていないものでもよい。
また、本発明の再生方法は再生作業が容易で再生コストが低く抑えられるので、使用済みの画像形成部材の再利用を促進することができる。
該現像ローラ10は耐用期間経過後の使用済み現像ローラの表面に、紫外線照射を施して再生させたものであり、製造時の新品の状態と略同一の形状および物性を有している。
即ち、前記現像ローラは、画像形成装置に装着して使用された後に回収された使用済みトナーカートリッジ(図示せず)を分解して、抜き取って再生したものである。
前記ローラ部1は導電性エラストマーから形成し、導電性ローラとしており、該ローラ部1と芯金2とは導電性接着剤で接合されている。
前記ローラ部1の外面に露出しているエラストマーの表層部分は紫外線照射処理が施され、酸化膜1aが形成されている。
前記汚れ物11は、主に、トナーを形成する樹脂や、流動性を高めるためにトナーに配合されている外添剤、トナーに含まれる着色剤、被印刷物である紙の粉等の大小の固形物12、トナー内部に含まれているワックス、低分子量ポリマー等のペースト状の成分13からなる。
まず、エアブロー、吸引、あるいは、水洗いを行い、使用済み現像ローラ100の表面から図2(B)に示すように、略1μm以上の大きな固形物、容易に脱落する固形物を除去する。
これらの作業は、汚れの程度に応じて行えばよく、必ずしも行う必要はない。多くの汚れが付着している場合には、大きな固形物や容易に脱落する汚れは、あらかじめ除去しておくことが好ましい。
水洗いを行った場合は、乾燥している。
なお、紫外線照射後、固化した汚れ11は軽い振動により自然に脱落して除去されるので、紫外線照射後のエアブローは必ずしも必要ではないが、作業の効率を考えるとエアブロー等を行った方が効果的である。
即ち、電圧5V、周波数100Hzで交流電圧を印加した際の誘電正接が0.1〜1.8の範囲内、印加電圧500Vにおけるローラ抵抗値が105〜108Ω、かつ、トナー帯電量が30μC/g以上となっており、製造時の新品(初期品)時の現像ローラと同等の性能を有している。
前記誘電正接、ローラ抵抗値及びトナー帯電量は、後述する実施例に記載の方法で測定している。
さらに、誘電正接を所定の範囲内に調整するために弱導電性カーボンブラックを全エラストマー成分100質量部に対して20〜70質量部配合している。
さらに、加硫剤として硫黄をエラストマー成分100質量部に対して0.2〜3質量部及びチオウレア系加硫剤(エチレンチオウレア)を全エラストマー成分100質量部に対して0.2〜5質量部配合し、かつ、ハイドロサルタイトを受酸剤として用い、全エラストマー成分100質量部に対して1〜10質量部配合し、感光体への汚染を防止している。
具体的には、ローラの周方向90度毎に所定時間、好ましくは約1〜15分間、より好ましくは約5〜10分間紫外線を照射し、合計で周方向に4回回転させてローラ全周に酸化膜を形成している。
オゾン照射で再生する場合、オゾン照射は、温度23℃、相対湿度55%の条件下において、0.01〜100ppm、より好ましくは0.1〜50ppmのオゾン濃度の雰囲気中に0.5分〜50時間、好ましくは1分〜24時間程度曝露して行っている。
他の工程及び効果は前記実施形態と同様のため、説明を省略する。
[ゴムローラ(新品)の作製]
表1に記載の配合材料をバンバリーミキサーで混練した後、押出機にて外径φ22mm、内径φ9.5mmのチューブ状に押し出した。
前記チューブを加硫用のシャフトに装着し、加硫缶にて160℃で1時間加硫を行った後、導電性接着剤を塗布したφ10mmのシャフトに装着して160℃のオーブン内で接着した。その後、両端部を成形し、円筒研磨機でトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、φ20mm(公差0.05)のゴムローラを得た。
得られたゴムローラの表面粗さRzは3〜5μmであった。
なお、表面粗さRzはJIS B 0601(1994)に従って測定した。
・クロロプレンゴム;昭和電工(株)製「ショープレンWRT(商品名)」
・エピクロルヒドリンゴム(ECO);ダイソー(株)製「エピクロマーD(商品名)」
[EO(エチレンオキサイド):EP(エピクロルヒドリン)=61mol%:39mol%]
・粉末硫黄;鶴見化学工業(株)
・エチレンチオウレア;川口化学工業(株)製「アクセル22−S(商品名)」
・ハイドロタルサイト;協和化学工業(株)製「DHT−4A−2(商品名)」
・弱導電性カーボンブラック;旭カーボン(株)製「旭#15(商品名)」(平均1次粒径122nm)
紫外線照射の方法は、紫外線照射機(セン特殊光源(株)製「PL21−200」)を用い、ローラと紫外線ランプの間の距離を5cmとして周方向90度毎に各5分間ずつ紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を照射することによって行い、ローラを4回回転させてローラ全周(360度)に酸化膜を形成させた。90度あたり5分で、全照射時間は20分であった。
プラス帯電性の非磁性1成分トナーを使用した市販のトナーカートリッジに、作製したゴムローラを現像ローラとして装着した。
次に、市販のプリンターに、前記トナーカートリッジを装着し、常温常湿(23℃、55%)の条件下で、5%印字でトナー切れまで普通紙に印刷を行った。さらに、トナーカートリッジに新品と同量のトナーを充填して、再度5%印字でトナー切れまで普通紙に印刷を行った。その結果、ローラ表面に付着物が目視で確認できた。
作製した汚れ付着ローラに対して、次の再生方法を行った。
(実施例1)
汚れ付着ローラの表面を水洗いし、自然乾燥した後、ローラと紫外線ランプの間の距離を5cmとして周方向に90度毎に紫外線(波長184.9nmと253.7nm)を各5分ずつ、ローラを4回回転させてローラ全周(360度)に照射し、1回の紫外線照射を行った。5分/90度で、全照射時間は20分であった。
(実施例2)
汚れ付着ローラの表面をエアブローした後、1回目の紫外線照射を行い、ついで、表面を水洗いし、自然乾燥した後、2回目の紫外線照射を行った。
1回目、2回目の紫外線照射の条件、水洗い条件は、実施例1と同様とした。
(実施例3)
汚れ付着ローラの表面をエアブローした後、紫外線を照射し、ついで、表面を水洗いした後、自然乾燥させた。
紫外線照射の条件、水洗い条件は実施例1と同様とした。
汚れを付着させていない新品のゴムローラとした。
(比較例1)
再生を行わなかった。すなわち、汚れ付着ローラのままとした。
(比較例2)
汚れ付着ローラの表面を円筒研磨機でトラバース研磨、ついで仕上げ研磨として鏡面研磨を施し、50μm研磨して再生を試みた。
(ローラ電気抵抗の測定)
図3に示すように、芯金2を通したゴム層1をアルミドラム3上に当接搭載し、電源4の+側に接続した内部抵抗r(100Ω)の導線の先端をアルミドラム3の一端面に接続すると共に電源4の一側に接続した導線の先端を導電性ローラ1の他端面に接続して測定した。
前記電線の内部抵抗rにかかる電圧を検出し、検出電圧Vとした。
この装置において、印加電圧をEとすると、ローラ抵抗RはR=r×E/(V−r)となるが、今回−rの項は微少とみなし、R=r×E/Vとした。
芯金2の両端に500gずつの荷重Fをかけ、30rpmで回転させた状態で、印加電圧Eを500Vとした時の検出電圧Vを4秒間で100個測定し、前記式によりRを算出した。なお、前記測定は、温度23℃、相対湿度55%の恒温恒湿条件下で行った。
図4に示すように、ゴムローラ51を載置している金属板53とシャフト52とを電極とし、ゴムローラ51に電圧5V、周波数100Hzの交流電圧を印加し、LCRメータ(安藤電気(株)製「AG−4311B」)にて、R(抵抗)成分とC(コンデンサー)成分を分離して測定した。このRとCの値から、以下の式により、誘電正接を求めた。測定温度は23℃〜24℃(室温)で行った。
誘電正接(tanδ)=G/(ωC)
G=1/R
このように、誘電正接は、1本のローラの電気特性を、ローラの抵抗成分とコンデンサー成分の2種の並列等価回路としてモデル化した際に、G/ωCとして求まる値である。
市販のレーザープリンターに実施例、比較例及び参考例のゴムローラを装着して、5%印字で100枚印刷してトナーが定常状態になった時点で25%ハーフトーン印刷後、その段階でのトナーの帯電量を測定し、評価パラメータとした。具体的には、25%ハーフトーン画像を印刷後、レーザープリンターからカートリッジをはずし、カートリッジに装着されている現像ローラに対して上方から吸引型帯電量測定機(トレック社製「Q/m METER Model 210HS−2」)によりトナーを吸引し、帯電量(μC)を測定すると共に、トナーの吸引重量(g)を重量計で測定した。重量(質量)当たりの静電気量を帯電量(μC/g)として算出した。
なお、画質は目視で、以下の評価とした。
◎;極めて良好(ローラ周回むら、長手むら、色抜け等を発生せず、新品と同じシャープな画像が得られた)
○;良好(ローラ周回むら、長手むら、色抜け等を発生せず、ほぼ新品と同じシャープな画像が得られた)
△;やや良好(ローラ周回むら、長手むら、色抜け等が僅かに発生した)
×;不良(ローラ周回むら、長手むら、色抜けなど発生した)
表面を研削して再生した比較例2のゴムローラは、新品である参考例と電気抵抗においては差異が小さく良好な値が得られたが、誘電正接が1.5と高く、さらに帯電量も約半分となり、画質も悪く、新品の性能まで再生することができなかった。
これに対して、本発明の再生方法を用いた実施例1〜3のゴムローラは、電気抵抗、誘電正接、帯電量、画質のいずれにおいて新品と同程度の性能を示し、優れていた。
2 芯金
10 現像ローラ
Claims (6)
- 画像形成装置の内部に装着して用いられ、使用済み後に再生して再使用する画像形成部材の再生方法であって、
前記再生前の画像形成部材は表面がエラストマーで形成されており、
再生時に、前記画像形成部材の表面を研削加工することなく、少なくとも1回の紫外線照射またはオゾン照射を行い、使用時に前記表面に付着した付着物を分解あるいは/及び劣化させて除去することを特徴とする画像形成部材の再生方法。 - 前記紫外線照射あるいは/およびオゾン照射の前工程または後工程で、エアーブローまたは/及び水洗い行っており、かつ、
前記1回の紫外線照射は波長が100〜400nmの紫外線を30秒〜30分照射し、前記1回のオゾン照射はオゾン濃度0.01ppm〜100ppmで0.5分〜50時間処理している請求項1に記載の画像形成部材の再生方法。 - 前記画像形成部材の表面のエラストマーが、塩素原子を含有するエラストマーである請求項1に記載の画像形成部材の再生方法。
- 前記画像形成部材の表面のエラストマーは加硫ゴムからなり、該画像形成部材は製造時に前記表面がオゾン照射または/及び紫外線照射により酸化膜が形成されていたものである請求項1乃至請求項3のいずれか1項に画像形成部材の再生方法。
- 前記再生される画像形成部材は、その表面にトナー、トナー成分であるワックス、紙粉、液状添加材、低分子ポリマーのいずれかを含む前記付着物が付着されていると共に、画像形成装置にカートリッジとして取り替えらえるもので、トナーカットリッジを構成する現像ローラ、トナー供給ローラ、現像ブレード、感光体ドラムカートリッジを構成する帯電ローラ、クリーニングローラ、転写ローラ、クリーニングブレード、あるいは/および定着カートリッジを構成する定着ローラからなる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成部材の再生方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の再生方法で再生され、最表面に酸化膜が形成されていることを特徴とする再生画像形成部材。
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