JP2009079131A - 半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材 - Google Patents

半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高抵抗領域においても高誘電率を満たす半導電性組成物を提供する。
【解決手段】下記の(A)成分および(B)成分を必須成分とする半導電性組成物であって、上記(A)成分である導電性ポリマー中のドーピングされているモノマーのモル分率が0.1〜0.5mol%の範囲に設定されている。
(A)π電子共役系ポリマーをドーパントにより導電化してなる溶剤可溶な導電性ポリマー。
(B)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つからなる非共役系ポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器(OA機器)用導電性部材に関するものであり、詳しくは帯電ロール等の電子写真機器部材に用いられる、半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材に関するものである。
一般に、現像ロール等の電子写真機器部材は、好適に使用するためには電気抵抗の制御が必須である。そのため、従来は、樹脂やゴム等のバインダーポリマーに、第四級アンモニウム塩等のイオン導電剤や、カーボンブラック等の電子導電剤を配合した半導電性組成物を、電子写真機器部材の少なくとも一部に用い、電子写真機器部材の電気抵抗の制御を行っていた。
しかし、上記イオン導電剤は水分等の影響を受けやすく、環境の変動によって電気的な特性も変化しやすく、また、上記電子導電剤は、凝集性が強いため、バインダーポリマー中での均一分散が困難であり、したがって、電気抵抗のばらつきが大きく、導電性の制御が困難である。
これらの問題を解決するため、本発明者らは、導電性ポリマーとバインダーポリマーとを含有する半導電性組成物およびこれを用いた電子写真機器用導電性部材について、先に特許出願を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−138629号公報
しかしながら、帯電ロールでの感光ドラムへの充分な帯電量、また現像ロールでの充分なトナー搬送量を得るために、半導電性組成物を低電気抵抗に制御すると、帯電ロールでは充電ばらつきによる横すじの多い画像となり、また現像ロールでは、トナーかぶりによりシャープな画像が得られず、改良の余地があることを突き止めた。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高抵抗領域においても高誘電率を満たす、半導電性組成物およびそれを用いた電子写真機器用導電性部材の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A)成分および(B)成分を必須成分とする半導電性組成物であって、上記(A)成分である導電性ポリマー中のドーピングされているモノマーのモル分率が0.1〜0.5mol%の範囲に設定されている半導電性組成物を第1の要旨とし、また、上記半導電性組成物を、導電性部材の少なくとも一部に用いた電子写真機器用導電性部材を第2の要旨とする。
(A)π電子共役系ポリマーをドーパントにより導電化してなる溶剤可溶な導電性ポリマー。
(B)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つからなる非共役系ポリマー。
すなわち、本発明者らは、高抵抗領域においても高誘電率を満たす半導電性組成物を得るため、鋭意研究を重ねた。この研究の過程での導電性ポリマーのドープ率に着目して一連の実験を行った。その結果、これまでの技術常識に反し、ドープ率を所定の低い範囲に制御すると、高抵抗領域においても高誘電率を満たす半導電性組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
本発明の半導電性組成物は、導電性ポリマーのドープ率を所定の範囲(従来よりも小さい範囲)に制御しているため、高抵抗領域においても高誘電率を満たすことができる。また、本発明の電子写真機器用導電性部材は、本発明の半導電性組成物を導電性部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いているため、帯電ロール等の電子写真機器用部材に上記特性を付与することができる。例えば、本発明の半導電性組成物を帯電ロールに用いた場合には、充電な帯電量を保ちながら、放電ばらつきを抑制することができるため、横すじの発生が低減され、画質が向上する。また、本発明の半導電性組成物を現像ロールに用いた場合には、充分な画像濃度を保ちながら、トナーかぶりを抑制することができる。さらに、本発明の半導電性組成物を転写ロールや転写ベルトに用いた場合には、出力画像における白ポチ不良を抑制することができる。これらの効果は、本発明の半導電性組成物を用いることにより、組成物の誘電率が向上し、組成物中に蓄えることのできる電荷量が増加したことから、トナーや感光ドラムへの帯電能力が向上したためであると考えられる。
また、上記π電子共役系ポリマーを構成するモノマーが、アニリン,ピロール,チオフェンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つである場合には、上記効果がより適格に得られるようになる。
そして、上記特定の導電性ポリマーと、特定の非共役系ポリマーとが相溶状態であると、両者が分子レベルで均一複合化しているため、電気特性が向上し、鮮明な画像を得ることができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の半導電性組成物は、特定の導電性ポリマー(A成分)と、特定の非共役系ポリマー(B成分)とを用いて得ることができる。
本発明においては、上記特定の導電性ポリマー(A成分)中のドーピングされているモノマーのモル分率が0.1〜0.5mol%の範囲に設定されているのであって、これが最大の特徴である。
上記特定の導電性ポリマー(A成分)は、π電子共役系ポリマーをドーパントにより導電化してなる溶剤可溶な導電性ポリマーである。
本発明において、上記π電子共役系ポリマーとは、単結合と多重結合とが交互に連なったポリマーを意味する。
上記π電子共役系ポリマーを構成するモノマーとしては、アニリン,ピロール,チオフェンおよびこれらの誘導体(o−トルイジン、2−エチルアニリン、2−プロピルアニリン、エチルチオフェン等)があげられる。これらは、単独でもしくは二種以上併せて用いられる。また、これらは、炭素数1〜4のアルキル置換基またはアルコキシル置換基を有していてもよい。このような置換基を有するものは、溶剤への溶解性,バインダーポリマーとなる非共役系ポリマー(B成分)との相溶性の点で好ましい。
つぎに、上記π電子共役系ポリマーをドーピングして導電化させるためのドーパントとしては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸が用いられる。
上記アルキルベンゼンスルホン酸は、アルキル置換基の炭素数の合計が10〜37であるものが好適に用いられ、なかでもアルキル置換基の炭素数の合計が16〜30であるものが特に好ましい。すなわち、アルキル置換基の炭素数が少なすぎると、溶解性の点で好ましくなく、逆に多すぎると、導電性の点で好ましくないからである。
上記アルキル置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基等があげられる。これらのアルキル置換基は分岐を有していてもよいが、効果の点から、直鎖の方が好ましい。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
また、上記アルキルベンゼンスルホン酸は、例えば、ナトリウム塩,カルシウム塩,バリウム塩等の金属塩(アルカリ金属またはアルカリ土類金属)の他、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等のアルキルベンゼンスルホン酸塩であっても差し支えない。これらのなかでも、金属塩が好適に用いられる。
上記アルキルベンゼンスルホン酸としては、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、下記の構造式(1)〜(3)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸等があげられる。
Figure 2009079131
上記アルキルベンゼンスルホン酸は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、ベンゼンまたはアルキルベンゼンに、炭素数2〜24のオレフィンをフリーデルクラフツ反応によりアルキル置換基化した後、未反応物を蒸留して取り除き、ついで三酸化硫黄ガスを一定流速で加えることにより、アルキルベンゼンスルホン酸を得ることができる。また、得られたアルキルベンゼンスルホン酸に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を反応させることにより、アルキルベンゼンスルホン酸塩を得ることができる。また、上記ドーパントは、石油の留分を原料にして、スルホン化することにより得ることもできる。
また、上記アルキルベンゼンスルホン酸以外のドーパントとしては、例えば、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸、ペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸、ポリフェニルエーテルスルホン酸、カンファースルホン酸、イセチオン酸、下記の構造式(4)で表される2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン、フェノールスルホン酸、タウリン、アミノベンゼンスルホン酸等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、導電性と溶解性のバランスの点で、ジノニルナフタレンスルホン酸、ドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸が好ましい。また、これらのドーパントは、例えば、ナトリウム塩,カルシウム塩,バリウム塩等の金属塩(アルカリ金属またはアルカリ土類金属)の他、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等であっても差し支えない。これらのなかでも、金属塩が好適に用いられる。
Figure 2009079131
上記π電子共役系ポリマーをドーパントにより導電化してなる特定の導電性ポリマー(A成分)は、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーと、ドーパントとを、酸化剤(開始剤)の存在下に、水中で酸化重合させる等の化学酸化重合法等によってモノマーを重合することにより、ドーピングされたπ電子共役系ポリマー(特定の導電性ポリマー)(A成分)を得ることができる。その他、電解重合法によっても、特定の導電性ポリマー(A成分)を得ることができる。また、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーを重合した後、ドーピングすることによっても、特定の導電性ポリマー(A成分)を得ることができる。さらに、有機溶剤と水との混合液中で、π電子共役系ポリマーを構成するモノマーと、ドーパントとを乳化させ、モノマーにドーパントを導入した後、そのモノマーを重合すること等によっても、特定の導電性ポリマー(A成分)を得ることができる。また、π電子共役系ポリマーを脱ドープ状態にした後、ドーパントにより、ドーピングすることによっても、特定の導電性ポリマー(A成分)を得ることができる。
上記酸化剤(開始剤)としては、例えば、過硫酸アンモニウム(APS),塩化第二鉄,過酸化水素水、過塩素酸等があげられる。
本発明においては、上記特定の導電性ポリマー(A成分)中のドーピングされているモノマーのモル分率が、0.1〜0.5mol%の範囲に設定されていることが最大の特徴であり、好ましくは0.15〜0.45mol%の範囲である。すなわち、モル分率が下限未満であると、特定の導電性ポリマー(A成分)と特定の非共役系ポリマー(B成分)との相溶性が悪化し、逆にモル分率が上限を超えると、特定の導電性ポリマー(A成分)およびA成分を用いた半導電性組成物の帯電性が低下するからである。
なお、上記モル分率の制御は、例えば、つぎのようにして行われる。すなわち、重合法や後ドープ法による場合は、ドーパントの量を制御することより行われ、また、脱ドープ法による場合は、水酸化ナトリウム等の塩基性物質の量を制御することより行われる。
上記π電子共役系ポリマーをドーパントにより導電化してなる特定の導電性ポリマー(A成分)は、例えば、テトラヒドロフラン(THF),ジエチルエーテル,アセトン,メチルエチルケトン,酢酸エチル,m−クレゾール,N−メチル−2−ピロリドン(NMP),トルエン等の有機溶剤に可溶である。
上記特定の導電性ポリマー(A成分)における導電性とは、通常、電気抵抗が1×10-1〜1×108 Ω・cmの範囲の導電性領域にあることをいい、好ましくは1×101 〜1×105 Ω・cmの範囲である。
上記電気抵抗は、例えばつぎのようにして測定することができる。すなわち、上記特定の導電性ポリマー(A成分)をTHF等の有機溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄みを取り出す。そして、この上澄みをアプリケータを用いてSUS板上にキャスティングし、乾燥(通常、100℃×30分)して塗膜(通常、厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、JIS K 6911に準じて測定することができる。
また、上記特定の導電性ポリマー(A成分)の数平均分子量(Mn)は、1,000〜100,000の範囲が好ましく、特に好ましくは3,000〜50,000の範囲である。
つぎに、上記特定の導電性ポリマー(A成分)とともに用いられるバインダーポリマーである特定の非共役系ポリマー(B成分)について説明する。この非共役系ポリマー(B成分)としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つが用いられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも特定の導電性ポリマー(A成分)との相溶性に優れる点で、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。なお、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネートは、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等の特定の非共役系ポリマー(B成分)に比べて、電気抵抗が高く、半導電性制御が困難である。また、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂等は、ポリイミド、ポリアミドイミド等より軟らかく、へたりにくいため、OA機器用導電性部材に用いた場合、耐久性に優れている。このように、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネートは、本発明の効果を得ることができず、本発明における非共役系ポリマー(B成分)としては使用できない。
また、上記非共役系ポリマー(B成分)は、上記特定の導電性ポリマー(A成分)との相溶性の点で、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造(スルホン酸塩基)を有するものが好ましい。このスルホン酸塩構造としては、前述のようなスルホン酸金属塩構造、スルホン酸アンモニウム塩構造、スルホン酸ピリジニウム塩構造等があげられる。
この場合、非共役系ポリマー(B成分)中における、スルホン酸基やスルホン酸塩構造(スルホン酸塩基)の含有量(スルホン酸基量)は、0.001〜1mmol/gの範囲が好ましく、特に好ましくは0.01〜0.2mmol/gの範囲である。すなわち、このスルホン酸基やその酸塩基量が少なすぎると、特定の導電性ポリマー(A成分)との相溶性が悪くなる傾向がみられ、逆に多くなりすぎると、含水による物性の低下やイオン導電性の発現がみられるからである。
上記非共役系ポリマー(B成分)におけるアクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、アクリルモノマーを共重合したものや、光架橋用のアクリルオリゴマー等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。このようなスルホン酸基導入の方法としては、例えば、スルホン酸基やスルホン酸塩を有するビニルモノマーと、アクリル系樹脂のモノマーとをラジカル,アニオン,カチオン共重合する方法等があげられる。
また、上記ウレタン系樹脂としては、例えば、エーテル系,エステル系,カーボネート系,アクリル系,脂肪族系等のウレタン系樹脂や、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。なお、ウレタン系樹脂は、分子構造中にウレア結合またはイミド結合を有するものであってもよい。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。このようなスルホン酸基導入の方法としては、例えば、スルホン酸基を有するジオールモノマーを、ウレタン反応,エステル交換反応で導入する方法等があげられる。
上記フッ素系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、臭素化型エポキシ樹脂、ポリグリコール型エポキシ樹脂、ポリアミド併用型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、アミノ樹脂併用型エポキシ樹脂、アルキッド樹脂併用型エポキシ樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
上記ウレア系樹脂としては、分子構造中にウレア結合を有する樹脂であれば特に限定はなく、ウレタンウレアエラストマー、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
上記ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(Cl−PE)、エピクロロヒドリンゴム(ECO,CO)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS),スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。これらのなかでも、合成プロセスの簡便さ、溶剤との溶解性の点で、TPUが好適に用いられる。これらは、分子構造中に、スルホン酸基やスルホン酸塩構造が導入されているものが好ましい。
このような非共役系ポリマー(B成分)の数平均分子量(Mn)は、500〜2,000,000の範囲が好ましく、特に好ましくは2,000〜800,000の範囲である。
上記非共役系ポリマー(B成分)と上記特定の導電性ポリマー(A成分)とは後記のようにして混合され、組成物化されるが、上記導電性ポリマー(A成分)と非共役系ポリマー(B成分)との混合比は重量比で、導電性ポリマー(A成分)/非共役系ポリマー(B成分)=1/99〜60/40の範囲が好ましく、特に好ましいのは、特定の導電性ポリマー(A成分)/非共役系ポリマー(B成分)=4/96〜45/55である。すなわち、π電子共役系ポリマーの割合が高くなり過ぎると、得られる半導電性組成物が硬くなり過ぎ、柔軟性が損なわれるようになり、逆にπ電子共役系ポリマーの割合が低くなり過ぎると目的とする導電性が得られにくくなるからである。
本発明においては、上記特定の導電性ポリマー(A成分)と、非共役系ポリマー(B成分)とが相溶状態であることが好ましい。
なお、本発明において相溶状態とは、つぎのような状態をいう。すなわち、上記特定の導電性ポリマー(A成分)および非共役系ポリマー(B成分)を含有する、本発明の半導電性組成物を、テトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄液を取り出し、これをアプリケーターを用いステンレススチール(SUS)板上にキャスティングし、乾燥(通常、100℃×30分)して塗膜(通常、厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜を光学顕微鏡(通常、3000倍)で観察したときに、共役系ポリマー(B成分)からなるマトリックス中に、特定の導電性ポリマー(A成分)の粒子が、平均粒径で0.2μm以下の状態で分布していることをいう。ただし、上記特定の導電性ポリマー(A成分)の粒径が0.2μmを越えるものが多少混在していても差し支えない。通常その量は、本発明の半導電性組成物中の10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下である。
なお、本発明の半導電性組成物には、上記特定の導電性ポリマー(A成分)および非共役系ポリマー(B成分)に加えて、導電剤、架橋剤、架橋促進剤、老化防止剤等を必要に応じて適宜に配合しても差し支えない。
上記導電剤としては、電子導電剤もしくはイオン導電剤が用いられる。上記電子導電剤としては、例えば、カーボンブラック,カーボンナノチューブ,グラファイト,金属酸化物等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。上記電子導電剤の具体例としては、導電性カーボンブラック,導電性カーボンナノチューブ,c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)等があげられる。
上記電子導電剤の配合割合は、導電性および、半導電性組成物の物性の観点から特定の導電性ポリマー(A成分)と非共役系ポリマー(B成分)の合計100重量部(以下「部」と略す)に対して1〜80部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜60部の範囲である。
また、上記イオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム,第四級アンモニウム塩,ホウ酸塩等の、ポリマー中でイオン解離する化合物があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
上記イオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、特定の導電性ポリマー(A成分)の原料と、非共役系ポリマー(B成分)との合計100部に対して、0.01〜5部の範囲が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲である。
上記架橋剤としては、例えば、硫黄、イソシアネート、ブロックイソシアネート、メラミン等の尿素樹脂、エポキシ硬化剤、ポリアミン硬化剤、ヒドロシリル硬化剤、パーオキサイド等があげられ、単独でもしくは併せて用いられる。なお、上記架橋剤とともに、紫外線や電子線等のエネルギーによって架橋する光開始剤を併用しても差し支えない。
上記架橋剤の配合割合は、物性,粘着性,液保管性の点から特定の導電性ポリマー(A成分)と非共役系ポリマー(B成分)との合計100部に対して1〜30部の範囲が好ましく、特に好ましくは3〜10部の範囲である。
また、上記架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤、チオウレア系架橋促進剤、白金化合物、アミン触媒等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。
本発明の半導電性組成物は、例えば、つぎのようにして作製することができる。まず、ドーピングされて導電性ポリマー化されたπ電子共役系ポリマーからなる特定の導電性ポリマー(A成分)と、非共役系ポリマー(B成分)とを配合するとともに、必要に応じて導電剤,架橋剤等を配合する。そして、これらを1種類の溶剤ないしは数種類の溶剤の混合溶液に添加し、その後、ビーズミルや三本ロールを用いて混合する等によって溶液化し、特定の導電性ポリマー(A成分)と非共役系ポリマー(B成分)とを相溶状態とする。このようにして得られた液状半導電性組成物は、コーティング液等として用いられる。また、溶剤を用いず、上記各成分を、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することによっても固形状の半導電性組成物を得ることができる。
上記溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤等があげられる。
本発明の半導電性組成物は、上記のように特定の導電性ポリマー(A成分),バインダーポリマーとなる非共役系ポリマー(B成分)等と溶剤とからなるコーティング液をコーティングして成膜化することができるが、これに限定するものではなく、溶剤を用いず上記成分を、ロール等を用いて混練して得た固形状の半導電性組成物を押出成形法、インジェクション成形法、インフレーション成形法等により、成膜化ないし製品化することも可能である。
ここで、本発明の半導電性組成物が、高抵抗領域においても高誘電率を満たすとは、半導電性組成物の電気抵抗(R)が1×1010Ω・cmでの比誘電率(C)が12以上、電気抵抗(R)が1×108 Ω・cmでの比誘電率(C)が21以上、電気抵抗(R)が1×106 Ω・cmでの比誘電率(C)が177以上で、かつ、log(R)×log(C)の値が11以上であることが好ましい。
本発明の半導電性組成物の電気抵抗および比誘電率は、例えば、つぎのようにして求めることができる。
〔電気抵抗(R)〕
半導電性組成物をテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に混合し、超音波処理した後、遠心分離して上澄液を取り出す。つぎに、この上澄液をアプリケーターを用いてSUS板上にキャスティングして乾燥(通常、120℃×30分)して、塗膜(通常、厚み30μm)を形成する。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、JIS K 6911に準じて測定する。
このようにして測定した本発明の半導電性組成物の電気抵抗は、1×104 〜1×1012Ω・cmの範囲であることが好ましく、特に好ましくは1×105 〜1×1011Ω・cmの範囲である。すなわち、電気抵抗が低すぎると、トナーへの電荷供給や感光体への帯電性等の点で、電子写真機器部材としての画像への利点が少なくなる傾向がみられ、逆に電気抵抗が高すぎると、チャージアップ等が起こり電子写真機器用導電性部材としての制御が困難となる傾向がみられるからである。
〔比誘電率(C)〕
上述の電気抵抗(R)の測定と同様にして、導電性塗膜を作製する。つぎに、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、測定周波数1kHzでの比誘電率(C)を測定する。
つぎに、本発明の半導電性組成物を用いた電子写真機器用導電性部材について説明する。
本発明の電子写真機器用導電性部材は、上述の半導電性組成物を導電性部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いることにより得ることができる。この電子写真機器用導電性部材としては、例えば、現像ロール,帯電ロール,転写ロール,トナー供給ロール等の導電性ロール、中間転写ベルト,紙送りベルト等の導電性ベルト等があげられ、これらの構成層の少なくとも一部に用いられる。すなわち、本発明の半導電性組成物を、電子写真機器用導電性部材の構成層の少なくとも一部に用いると、本発明の半導電性組成物は高い導電性を有し、しかもそれ自体の柔軟性も良好であることから、この半導電性組成物を用いて形成した構成層の特性が良好となり、その結果、濃度むらや画質むらのない良好な複写画像が得られ、しかも連続使用における耐久性にも優れた電子写真機器用導電性部材が得られるようになる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例に先立ち、下記の重合法(製法1)、脱ドープ法(製法2)または後ドーピング法(製法3)により、各導電性ポリマーを作製した。
(1) 重合法(製法1)により、各導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマー1の作製〕
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン(分子量:93)1モルと、ドーパントであるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸(分子量:614)0.2モルと、1N塩酸とメチルイソブチルケトン(MIBK)との混合溶媒(混合比:塩酸/MIBK=1/1)3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム(分子量:228)1モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマー2〜5、導電性ポリマーA,Bの作製〕
下記の表1および表2に示すように、π電子共役系ポリマーを構成するモノマー、開始剤、ドーパントおよび溶媒の種類や配合量等を変更する以外は、上記導電性ポリマー1の作製に準じて、各種導電性ポリマーを作製した。
Figure 2009079131
Figure 2009079131
(2) 脱ドープ法(製法2)により、各導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマー6の作製〕
(導電性ポリマー前駆体の作製)
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン(分子量:107)1モルと、ドーパントaとして、前記構造式(1)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸(分子量:438)1モルと、1N塩酸とメチルイソブチルケトン(MIBK)との混合溶媒(混合比:塩酸/MIBK=1/1)3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム(分子量:228)1モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマー前駆体を得た。
(脱トープ法による導電性ポリマーの作製)
上記で得られた導電性ポリマー前駆体全量を、1N水酸化ナトリウム水溶液(塩基性物質)500mlに加え、4時間攪拌を行い、上記導電性ポリマー前駆体にドーピングしているドーパントを脱ドープした後、水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマー7の作製〕
(導電性ポリマー前駆体の作製)
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるピロール(分子量:67)1モルと、ドーパントbとして、前記構造式(4)で表される2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(三谷産業社製、TCNA)(分子量:160)1.5モルと、1N塩酸とメチルイソブチルケトン(MIBK)との混合溶媒(混合比:塩酸/MIBK=1/1)3000mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である塩化第二鉄(分子量:270)3モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させて重合物を得た。つぎに、この重合物を水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマー前駆体を得た。
(脱トープ法による導電性ポリマーの作製)
上記で得られた導電性ポリマー前駆体全量を、1N水酸化ナトリウム水溶液800mlに加え、4時間攪拌を行い、上記導電性ポリマー前駆体にドーピングしているドーパントを脱ドープした後、水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマーを作製した。
(3) 後ドーピング法(製法3)により、各導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマー8の作製〕
(導電性ポリマー前駆体の作製)
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるアニリン(分子量:93)1モルと、1N塩酸1500mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム(分子量:228)1モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させた。つぎに、1N水酸化ナトリウム水溶液7500ml(過剰量)を加え、4時間攪拌させ、ドーピングしている塩素を除去した後、水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマー前駆体を作製した。
(後ドーピング法による導電性ポリマーの作製)
上記で得られた導電性ポリマー前駆体全量と、THF2000mlと、ドーパントであるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸(分子量:614)0.3モルとを混合し、超音波処理を1時間行った後、遠心分離(20,000rpm)して上澄みを取り出し、THF溶液として、導電性ポリマーを作製した。
〔導電性ポリマー9の作製〕
(導電性ポリマー前駆体の作製)
π電子共役系ポリマーを構成するモノマーであるo−トルイジン(分子量:107)1モルと、1N塩酸1500mlとをフラスコ中に入れ、5〜10℃に制御しながら、開始剤である過硫酸アンモニウム(分子量:228)1モルを1時間かけて滴下し、10時間酸化重合させた。つぎに、1N水酸化ナトリウム水溶液7500ml(過剰量)を加え、4時間攪拌させ、ドーピングしている塩素を除去した後、水、メタノール、アセトンでそれぞれ洗浄して、精製し、導電性ポリマー前駆体を作製した。
(後ドーピング法による導電性ポリマーの作製)
上記で得られた導電性ポリマー前駆体全量と、THF2000mlと、ドーパントであるドデシルベンゼンスルホン酸(分子量:326)0.4モルとを混合し、超音波処理を1時間行った後、遠心分離(20,000rpm)して上澄みを取り出し、THF溶液として、導電性ポリマーを作製した。
なお、上記表1および表2に示した材料は、下記のとおりである。
〔π電子共役系ポリマーを構成するモノマー〕
アニリン(分子量:93)
o−トルイジン(分子量:107)
チオフェン(分子量:84)
エチルチオフェン(分子量:112)
ピロール(分子量:67)
〔開始剤〕
過硫酸アンモニウム(分子量:228)
塩化第二鉄(分子量:270)
〔ドーパント〕
ドデシルベンゼンスルホン酸(分子量:326)
ジノニルナフタレンスルホン酸(分子量:460)
ドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸(分子量:614)
カンファースルホン酸(分子量:232)
イセチオン酸(分子量:110)
ドーパントa:前記構造式(1)で表されるアルキルベンゼンスルホン酸(分子量:438)
ドーパントb:前記構造式(4)で表される2,3,6,7−テトラシアノ−1,4,5,8−テトラアザナフタレン(三谷産業社製、TCNA)(分子量:160)
上記のようにして得られた各導電性ポリマーを用い、下記の基準に従って、電気抵抗の評価を行った。これらの結果を、上記の表1および表2に併せて示した。なお、導電性ポリマー中のドーピングされているモノマーのモル分率も併せて示した。
〔電気抵抗〕
各導電性ポリマー(ただし、導電性ポリマー8,9を除く)をTHFに混合し、超音波処理した後、遠心分離(20,000rpm)して上澄みを取り出した。なお、導電性ポリマー8,9については、導電性ポリマーの作製工程において、既に超音波処理および遠心分離して上澄みを取り出し、THF溶液としているため、この溶液(導電性ポリマー8,9)を用いた。この上澄みもしくは導電性ポリマー8,9をアプリケータを用いてSUS板上にキャスティングし、乾燥(100℃×30分)して塗膜(厚み5μm)を形成した。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、JIS K 6911に準じて測定した。
上記導電性ポリマーを用いて、つぎのようにして半導電性組成物を作製した。
〔実施例1A〜13A、比較例1A〜5A〕
下記の表3〜表5に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これらを三本ロールを用いて混練して半導電性組成物(液状)を作製した。
Figure 2009079131
Figure 2009079131
Figure 2009079131
なお、上記表3〜表5に示した材料は下記のとおりである。
〔カーボンブラック〕
電気化学工業社製、デンカブラックHS100
〔イオン導電剤〕
ライオン社製、TBAB
〔非共役系ポリマー(B成分)〕
熱可塑性ポリウレタン(TPU)(日本ミラクトラン社製、E980)
熱可塑性ウレタンシリコーン(信越化学工業社製、X22−2756)
熱可塑性ポリウレタンスルホン酸ナトリウム(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312)
アクリル樹脂(PMMA)(住友化学社製、LG6A)
アクリルフッ素樹脂(綜研化学社製、LFB4015)
H−NBR(日本ゼオン社製、ゼットポール0020)
エピクロロヒドリンゴム(大阪曹達社製、エピクロマーCG)
ポリアミドイミド樹脂(東洋紡績社製、バイロマックスHR15ET)
〔イソシアネート〕
日本ポリウレタン工業社製、コロネートL
〔スルフェンアミド系架橋促進剤〕
大内新興化学工業社製、ノクセラーCZ
〔ジチオカルバミン酸系架橋促進剤〕
大内新興化学工業社製、ノクセラーBZ
〔チオウレア系架橋促進剤〕
三新化学社製、サンセラー22C
上記のようにして得られた実施例品および比較例品を用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表3〜表5に併せて示した。
〔電気抵抗〕
各半導電性組成物をSUS304板上に塗布して、120℃×30分乾燥し、厚み30μmの導電性塗膜を作製した。つぎに、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加した時の電気抵抗(R)を測定した。
〔比誘電率〕
各半導電性組成物をSUS304板上に塗布して、120℃×30分乾燥し、厚み30μmの導電性塗膜を作製した。つぎに、この導電性塗膜について、25℃×50%RHの環境下、測定周波数1kHzでの比誘電率(C)を測定した。
〔総合評価〕
電気抵抗(R)が1×1010Ω・cmでの比誘電率(C)が12以上、電気抵抗(R)が1×108 Ω・cmでの比誘電率(C)が21以上、電気抵抗(R)が1×106 Ω・cmでの比誘電率(C)が177以上で、かつ、log(R)×log(C)の値が11以上のものを○とした。また、電気抵抗(R)が1×1010Ω・cmでの比誘電率(C)が12未満、電気抵抗(R)が1×108 Ω・cmでの比誘電率(C)が21未満、電気抵抗(R)が1×106 Ω・cmでの比誘電率(C)が177未満であるか、log(R)×log(C)の値が11未満のものを×とした。
上記表3〜表5の結果から、実施例品の半導電性組成物は、高抵抗領域においても高誘電率を満たしていた。
つぎに、上記半導電性組成物を用いて、以下のようにして現像ロールを作製した。
〔実施例1B〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(表層用材料)
実施例1Aと同様にして半導電性組成物(液状)を作製した。
(現像ロールの作製)
軸体である芯金(直径6mm、SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記べース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に、上記表層用材料を塗布し乾燥して、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる、現像ロールを作製した。
〔実施例2B〜4B、比較例1B〜4B,6B〕
下記の表6および表7に示す表層用材料を用いる以外は、実施例1Bと同様にして現像ロールを作製した。
Figure 2009079131
Figure 2009079131
〔実施例5B〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(中間層用材料)
実施例5Aと同様にして、半導電性組成物(液状)を作製した。
(表層用材料)
実施例8Aと同様にして、半導電性組成物(液状)を作製した。
(現像ロールの作製)
上記ベース層用材料,中間層用材料および表層用材料を用い、次のようにして現像ロールを作製した。すなわち、軸体である芯金(直径6mm、SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記ベース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に上記中間層用材料を塗布して、乾燥させた後、その中間層の外周面に表層用材料を塗布し、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に中間層(厚み20μm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる、3層構造の現像ロールを作製した。
〔実施例6B、比較例5B〕
上記表6および表7に示す中間層用材料および表層用材料を用いる以外は、実施例5Bと同様にして現像ロールを作製した。
上記のようにして得られた現像ロールを用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表6および表7に併せて示した。
〔画像濃度〕
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計での測定値が1.40以上のものを○、1.40未満のものを×とした。
〔画質〕
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での画像スジ、画像ムラ、白ポチがないものを○、画像スジ、画像ムラ、白ポチのいずれかがあるものを×とした。
〔環境による画像濃度の変化〕
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境による画像濃度の変化の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下のものを○、0.1を超えるものを×とした。
〔耐久性〕
各現像ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において1万枚画像出しを行った。評価は、画像出し後の現像ロール表面に損傷がないものを○、損傷があるものを×とした。
上記表6および表7の結果から、実施例1B〜6B品の現像ロールは、画像濃度に優れ、画質も良好で、環境による画像濃度の変化が小さかった。これに対して、比較例1B〜6B品の現像ロールは、画像濃度,画質,環境による画像濃度の変動の評価のいずれかが劣っていた。また、比較例6品の現像ロールは、表層にポリアミドイミド樹脂を用いているため、耐久性が劣っていた。
つぎに、上記半導電性組成物を用いて、以下のようにして帯電ロールを作製した。
〔実施例1C〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(表層用材料)
実施例3Aと同様にして半導電性組成物(液状)を作製した。
(帯電ロールの作製)
軸体である芯金(直径6mm SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記べース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に、上記表層用材料を塗布し乾燥して、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる、帯電ロールを作製した。
〔実施例2C,3C、比較例1C〕
下記の表8に示す表層用材料を用いる以外は、実施例1Cと同様にして帯電ロールを作製した。
Figure 2009079131
〔実施例4C〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(中間層用材料)
実施例9Aと同様にして、半導電性組成物(液状)を作製した。
(表層用材料)
実施例6Aと同様にして、半導電性組成物(液状)を作製した。
(帯電ロールの作製)
上記ベース層用材料,中間層用材料および表層用材料を用い、次のようにして帯電ロールを作製した。すなわち、軸体である芯金(直径6mm、SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記ベース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に上記中間層用材料を塗布して、乾燥させた後、その中間層の外周面に表層用材料を塗布し、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に中間層(厚み20μm)が形成され、さらにその外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる、3層構造の帯電ロールを作製した。
〔比較例2C〕
上記表8に示す中間層用材料および表層用材料を用いる以外は、実施例4Cと同様にして帯電ロールを作製した。
上記のようにして得られた帯電ロールを用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表8に併せて示した。
〔画像濃度〕
各帯電ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計での測定値が1.40以上のものを○、1.40未満のものを×とした。
〔画質〕
各帯電ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での画像スジ、画像ムラ、白ポチがないものを○、画像スジ、画像ムラ、白ポチのいずれかがあるものを×とした。
〔環境による画像濃度の変化〕
各帯電ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境による画像濃度の変化の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下のものを○、0.1を超えるものを×とした。
上記8の結果から、実施例1C〜4C品の帯電ロールは、画像濃度に優れ、画質も良好で、環境による画像濃度の変化が小さかった。これに対して、比較例1C,2C品の帯電ロールは、画像濃度が劣り、画質も劣っていた。
つぎに、上記半導電性組成物を用いて、以下のようにして転写ロールを作製した。
〔実施例1D〕
(ベース層用材料)
カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AB)を準備した。
(表層用材料)
実施例10Aと同様にして半導電性組成物(液状)を作製した。
(転写ロールの作製)
軸体である芯金(直径6mm SUS304製)をセットした成形用金型内に、上記べース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して、軸体の外周面に沿ってベース層を形成した。つぎに、このベース層の外周面に、上記表層用材料を塗布し乾燥して、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層(厚み20μm)が形成されてなる、転写ロールを作製した。
〔比較例1D〕
下記の表9に示す表層用材料を用いる以外は、実施例1Dと同様にして転写ロールを作製した。
Figure 2009079131
上記のようにして得られた転写ロールを用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表9に併せて示した。
〔画像濃度〕
各転写ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計での測定値が1.40以上のものを○、1.40未満のものを×とした。
〔画質〕
各転写ロールを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での画像スジ、画像ムラ、白ポチがないものを○、画像スジ、画像ムラ、白ポチのいずれかがあるものを×とした。
〔環境による画像濃度の変化〕
各転写ロールを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境による画像濃度の変化の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下のものを○、0.1を超えるものを×とした。
上記9の結果から、実施例1D品の転写ロールは、画像濃度に優れ、画質も良好で、環境による画像濃度の変化が小さかった。これに対して、比較例1D品の転写ロールは、画像濃度が劣り、画質も劣っていた。
つぎに、上記半導電性組成物を用いて、以下のようにして転写ベルトを作製した。
〔実施例1E〕
(ベース層用材料)
ポリアミドイミド樹脂(東洋紡績社製、バイロマックスHR16NN)100部に、アセチレンブラック(電気化学工業社製、デンカブラックHS100)15部を配合して、ベース層用材料を調製した。
(表層用材料)
実施例2Aと同様にして半導電性組成物(液状)を作製した。
(転写ベルトの作製)
円形ドラム状の型の外周にベース層用材料を塗布し、乾燥させてベース層を形成し、このベース層の外周面に表層用材料を塗布し、乾燥させて表層を形成した。ついで、これを上記型から脱型し、ベース層(厚み0.3mm)の外周面に表層(厚み50μm)が形成されてなる2層構造の転写ベルト(無端ベルト)を作製した。
〔比較例1E〕
下記の表10に示す表層用材料を用いる以外は、実施例1Eと同様にして転写ベルトを作製した。
Figure 2009079131
上記のようにして得られた転写ベルトを用い、下記の基準に従って各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表10に併せて示した。
〔画像濃度〕
各転写ベルトを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計での測定値が1.40以上のものを○、1.40未満のものを×とした。
〔画質〕
各転写ベルトを市販のカラープリンターに組み込み、25℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での画像スジ、画像ムラ、白ポチがないものを○、画像スジ、画像ムラ、白ポチのいずれかがあるものを×とした。
〔環境による画像濃度の変化〕
各転写ベルトを市販のカラープリンターに組み込み、15℃×10%RHの環境下において画像出しを行った時と、35℃×85%RHの環境下において画像出しを行った時の、環境による画像濃度の変化の評価を行った。評価は、べた黒画像を印刷し、マクベス濃度計で変化が0.1以下のものを○、0.1を超えるものを×とした。
上記10の結果から、実施例1E品の転写ベルトは、画像濃度に優れ、画質も良好で、環境による画像濃度の変化が小さかった。これに対して、比較例1E品の転写ベルトは、画像濃度が劣り、画質も劣っていた。
本発明の半導電性組成物は、例えば、現像ロール,帯電ロール,転写ロール,トナー供給ロール等の導電性ロール、中間転写ベルト,紙送りベルト等の導電性ベルト等の、電子写真機器用導電性部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記の(A)成分および(B)成分を必須成分とする半導電性組成物であって、上記(A)成分である導電性ポリマー中のドーピングされているモノマーのモル分率が0.1〜0.5mol%の範囲に設定されていることを特徴とする半導電性組成物。
    (A)π電子共役系ポリマーをドーパントにより導電化してなる溶剤可溶な導電性ポリマー。
    (B)アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマーおよび熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれた少なくとも一つからなる非共役系ポリマー。
  2. 上記(A)成分のπ電子共役系ポリマーを構成するモノマーが、アニリン,ピロール,チオフェンおよびこれらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも一つである請求項1記載の半導電性組成物。
  3. 上記(A)成分である導電性ポリマーと、(B)成分である非共役系ポリマーとが相溶状態である請求項1または2記載の半導電性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導電性組成物を、導電性部材の少なくとも一部に用いたことを特徴とする電子写真機器用導電性部材。
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