JP2007063552A - 導電性エラストマー組成物およびそれを用いた導電性部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 電気抵抗のばらつきが小さく、導電性の微細な制御が容易で、ゴム弾性の制御性に富み、ブリード現象の発生がなく、しかも製造の容易な導電性エラストマー組成物を提供する。
【解決手段】 下記の(A),(B)および(C)成分を含有する導電性エラストマー組成物である。
(A)エラストマーポリマー。
(B)芳香環に、スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有する芳香族系スルホン酸化合物。
(C)導電性充填材。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性エラストマー組成物およびそれを用いた導電性部材に関するものであり、詳しくは帯電ロール等の電子写真機器部材や、アクチュエータ,センサー,柔軟性を必要とする電極等に用いられる、導電性エラストマー組成物およびそれを用いた導電性部材に関するものである。
一般に、帯電ロール等の電子写真機器部材に用いられる導電性組成物は、好適に使用するためには電気抵抗の制御やゴム弾性の制御(低同倍率性、高減衰等)が必須である。そのため、電気特性の制御を目的として、導電性組成物のマトリックスポリマーとなるエラストマーポリマー等に、導電性カーボンブラック等の導電剤を配合することが行われていた。また、ゴム弾性の制御を目的として、可塑剤や鉱物油を添加することも行われてきた。
しかしながら、導電性カーボンブラック等の電子導電剤は、一般に凝集性が強いためマトリックスポリマー中での均一分散が困難であり、したがって、電気抵抗のばらつきが大きく導電性の微細な制御が困難であるという難点がある。
その分散性を改善するため可塑剤やシランカプリング剤を用いるとその使用により、マトリックスポリマーとなるエラストマーの物性の低下ひいてはそれによるゴム弾性の制御性の低下の問題や、経時により可塑剤等が、ブリードするという問題が生じる。
前記の電気特性の制御には、マトリックスポリマー中にポリアニリン等の導電性ポリマーを含有させるという技術があるが、マトリックスポリマーと導電性ポリマーとの相溶性に難点があり、半導電性組成物の製造に特殊な溶媒を用いなければならず、高沸点のため乾燥しにくい等製造が容易でないという制約が生ずる(特許文献1参照)。
特開2001−324882号公報
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、電気抵抗のばらつきが小さく、導電性の微細な制御が容易で、ゴム弾性の制御性に富み、ブリード現象の発生がなく、しかも製造の容易な導電性エラストマー組成物およびそれを用いた導電性部材の提供をその目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、下記の(A),(B)および(C)成分を含有することを特徴とする導電性エラストマー組成物を第1の要旨とし、また、上記導電性エラストマー組成物を導電性部材の少なくとも一部に用いた導電性部材を第2の要旨とする。
(A)エラストマーポリマー。
(B)芳香環に、スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有する芳香族系スルホン酸化合物。
(C)導電性充填剤。
すなわち、本発明者らは、上記の目的を達成するため、マトリックスポリマーとなるエラストマーおよび導電性充填剤ならびに、導電性充填剤の分散性等を高める化合物を中心に研究を重ねた。その結果、マトリックスポリマーとして、エラストマーポリマーを用い、これに導電性充填剤とともに、芳香環にスルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有する芳香族系スルホン酸化合物を併用すると、上記芳香族系スルホン酸化合物が導電性充填剤の表面に吸着し、その分散性を高める。その結果、可塑剤等の使用が不要になり、ブリードや物性低下ならびに製造上の制約の問題を解消できることを見いだし、本発明に到達した。
本発明の導電性エラストマー組成物は、マトリックスポリマーとしてエラストマーポリマーを用い、これに上記芳香族系スルホン酸化合物とともに導電性充填剤を用いているため、上記芳香族系スルホン酸化合物が導電性充填剤に吸着し、その導電性充填剤の分散性を向上させる。そのため、導電性充填剤分散用の可塑剤の使用が不要になることから可塑剤によるブリードの発生や導電性エラストマー組成物製部材の物性低下を解消できるという効果が得られる。また、導電性ポリマーを用いないため、その使用による製造上の制約もない。
上記芳香族系スルホン酸化合物(B)が、下記の一般式(1)で示されるものであると、導電性充填剤の分散性が高くなるという効果が得られる。
Figure 2007063552
また、上記一般式(1)で表わされる芳香族系スルホン酸化合物(B)において、一般式(1)の置換式R1 〜R5 の少なくとも一つがフェニルエーテル基である場合には、さらに分散性が高くなるという効果が得られる。
さらに、上記一般式(1)で表わされる芳香族系スルホン酸化合物(B)において、一般式(1)の置換式R1 〜R5 の少なくとも一つがアルキルフェニルエーテル基である場合には、さらに極性が低いゴムに対しても有効であるという効果が得られる。
さらにまた、本発明の導電性部材は、上記特殊な導電性エラストマー組成物を導電性部材の少なくとも一部に用いているため、帯電ロール等の電子写真機器用部材や、アクチュエータ,センサー,柔軟性を必要とする電極等に上記特性を付与することができる。例えば、二層構造の帯電ロール等の電子写真機器用部材の表層(コート層)に上記特殊な導電性エラストマー組成物を用いた場合には、表層中に、上記芳香族系スルホン酸化合物が吸着した導電性充填剤が均一分散しており、その電気特性が向上し、鮮明な画像を得ることができる。また、一層構造の帯電ロール等の電子写真機器用部材の上記層を形成した場合にも、その層中に、芳香族系スルホン酸化合物が吸着した導電性充填剤が均一分散しており、その電気特性が向上し、鮮明な複写画像を得ることができる。
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の導電性エラストマー組成物(以下、「エラストマー組成物」と略す)は、エラストマーポリマー(A成分)と芳香環に、スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有する芳香族系スルホン酸化合物(B成分)と導電性充填剤(C成分)とを用いて得ることができる。
上記エラストマーポリマー(A成分)は、ゴム弾性を有するポリマーであれば特に限定はない。例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、ウレア系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマー等があげられる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらの中でもアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系ポリマー、熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
上記アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、アクリルシリコーン系樹脂、アクリルフッ素系樹脂、公知のアクリルモノマーを共重合したものや、光架橋用のアクリルオリゴマー等があげられる。
また、ウレタン系樹脂としては、例えば、エーテル系,エステル系,アクリル系,脂肪族系等のウレタン系樹脂や、それにシリコーン系ポリオールまたはフッ素系ポリオールを共重合させたもの等があげられる。
フッ素系樹脂としては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体等があげられる。
ウレア系樹脂としては、分子構造中にウレア結合を有する樹脂であれば特に限定はなく、ウレタンウレアエラストマー、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等があげられる。
ゴム系ポリマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素添加NBR(H−NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)、塩素化ポリエチレン(Cl−PE)、エピクロロヒドリンゴム(ECO,CO)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンジエンポリマー(EPDM)、フッ素ゴム等があげられる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS),スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー(TPU)、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、ポリエステル系熱可塑性エラストマー(TPEE)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリアミドイミド系エラストマー、フッ素系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルスルホン等のエンジニアリングプラスチック等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、合成プロセスの簡便さ、溶剤との溶解性の点で、TPUが好適に用いられる。
上記A成分のエラストマーポリマーとともに用いられるB成分の、芳香環にスルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有する芳香族系スルホン酸化合物としては、ベンゼン環等の芳香環にスルホン酸基,スルホン酸塩基の少なくとも一方が置換基として結合している化合物があげられる。芳香環としては、特にベンゼン環が分散性等の効果の点から好ましい。
このような、芳香族系スルホン酸化合物としては、たとえば、下記の一般式(1)で表わされるものがあげられる。
Figure 2007063552
上記一般式(1)において、Mは、水素原子や、ナトリウム,カルシウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、NH4 + またはピリジニウムイオンを示す。これらのなかでも、SO3 Mの全体構造がアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩を示すものが好ましく、特に好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩を示すものである。
また、上記一般式(1)において、R1 〜R5 は水素原子,アルキル基,アルコキシ基,アルキルカルボン酸基またはフェニルエーテル基であるが、特に置換基R1 〜R5 のうちの上記R1 〜R5 のうちの少なくとも一つがフェニルエーテル基であることが効果の点で好ましく、そのうち特に上記R1 〜R5 の少なくとも一つがアルキルフェニルエーテル基であることが好ましい。この具体例としては、ジフェニルエーテルスルホン酸またはその塩があげられる。
このような、ジフェニルエーテルスルホン酸またはその塩はその分子構造中に炭素数5以上のアルキル基および炭素数5以上のアルコキシ基の少なくとも一方を置換基として有するとC成分がエラストマーに微細に分散するという効果が得られる。
上記芳香族系スルホン酸化合物(B成分)におけるジフェニルエーテルスルホン酸またはその塩の具体例としては、ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムの外、下記の式(2)で表されるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の式(3)で表されるペンタデシルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、下記の一般式(4)で表されるポリフェニルエーテルスルホン酸カリウム、ならびに、ドデシルブタデシルフェニルスルホン酸等があげられる。
Figure 2007063552
Figure 2007063552
Figure 2007063552
また、芳香族系スルホン酸化合物としては、上記のようなジフェニルエーテルスルホン酸またはその塩以外にアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩を使用することも可能である。上記アルキルベンゼンスルホン酸またはその塩としては、1以上のアルキル置換基を有し、そのアルキル置換基の炭素数の合計が10〜37であるものが好適に用いられる。アルキル置換基の炭素数の10未満であっても37を越えても分散性の点で好ましくないからである。特にアルキル置換基の炭素数の合計が16〜30であるアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩が好適に用いられる。
そして、上記のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、炭素数4〜18のアルキル置換基を少なくとも一つ有しているものが、溶剤やエラストマーとの分散性の点から好ましい。なお、上記特定のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、2以上のアルキル置換基を有し、そのアルキル置換基の炭素数の合計が10〜37であるものの2種以上の混合物であっても差し支えなく、具体的には、下記のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(イ)〜(ト)からなる群から選ばれた2種以上の混合物であっても差し支えない。
(イ):メチル基(−CH3 )と、ブチル基(−C4 9 )と、ペンチル基(−C5 11)とを有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が10)
(ロ):ペンチル基(−C5 11)2個と、ヘキシル基(−C6 13)1個を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が16)
(ハ):ペンチル基(−C5 11)1個と、ヘキシル基(−C6 13)2個を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が17)
(ニ):ヘキシル基(−C6 13)3個を有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が18)
(ホ):ペンチル基(−C5 11)2個と、デシル基(−C1021)1個とを有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が20)
(ヘ):デシル基(−C1021)1個と、ペンタデシル基(−C1531)1個とを有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が25)
(ト):メチル基(−CH3 )1個と、オクタデシル基(−C1837)2個とを有するアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩(アルキル置換基の炭素数の合計が37)
また、上記特定のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩におけるアルキル置換基としては、特に限定はなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基等があげられる。これらのアルキル置換基は分岐を有していてもよいが、効果の点から、直鎖の方が好ましい。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、炭素数2〜18のアルキル置換基が好ましい。
また、上記アルキルベンゼンスルホン酸の塩としては、特に限定はないが、例えば、ナトリウム塩,カルシウム塩,バリウム塩等の金属塩の他、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等があげられる。これらのなかでも、金属塩が好適に用いられる。
そして、上記のようなアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、例えば、つぎのようにして製造することができる。すなわち、ベンゼンまたはアルキルベンゼンに、炭素数2〜24のオレフィンをフリーデルクラフツ反応によりアルキル化した後、未反応物を蒸留して取り除き、ついで三酸化硫黄ガスを一定流速で加えることにより、特定のアルキルベンゼンスルホン酸を得ることができる。また、得られたアルキルベンゼンスルホン酸に、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を反応させることにより、特定のアルキルベンゼンスルホン酸の塩を得ることができる。また、上記ドーパントとして用いる、特定のアルキルベンゼンスルホン酸またはその塩は、石油の留分を原料にして、スルホン化することにより得ることもできる。
本発明で用いる導電性充填剤(C成分)としては、カーボンブラック、グラファイト、酸化チタン、酸化亜鉛これらの粒子およびこれらのファイバー・ナノチューブ状になったもの等があげられる。この上記導電性充填剤の好適例としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、c−ZnO(導電性酸化亜鉛)、c−TiO2 (導電性酸化チタン)、c−SnO2 (導電性酸化錫)等があげられる。これらの導電性充填剤の粒子表面にOH基等の極性基を有しているものは、このOH基と上記芳香族系スルホン酸化合物のスルホン酸基またはスルホン酸塩基とがイオン的に引き合い、導電性充填剤に対し芳香族系スルホン酸化合物が吸着した構造となり、この吸着構造により導電性充填剤の、エラストマーポリマー中における分散性が向上するようになる。これがこの発明の特徴である。粒子表面に極性基を有さないグラファイト構造を持ったものでも、分散、混練等の摩擦時に生じた表面上のイオン(極性基)に芳香族系スルホン酸がイオン的に吸着し分散性が向上する。
ここで、導電性充填剤とは、その電気抵抗(Ω・cm)が、10-6〜108 の範囲のものをいう。特に好適なのは、電気抵抗が10-4〜102 の導電性カーボン,c−TiO2 ,カーボンナノチューブ,金属粒子等が好ましい。
上記エラストマーポリマー(A成分)と芳香族系スルホン酸化合物(B成分)と導電性充填剤(C成分)とは後記のようにして混合して組成物化されるが、芳香族系スルホン酸化合物(B成分)と導電性充填剤(C成分)との使用割合はつぎのように定められる。すなわち、エラストマーポリマー(A成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して芳香族系スルホン酸化合物(B成分)は3〜20部であり、導電性充填剤(C成分)は、エラストマーポリマー(A成分)100部に対して25〜50部である。芳香族系スルホン酸化合物(B成分)の使用割合が下限を下回ると、その分散性等の効果が少なくなり、逆に上限を上回るとエラストマー組成物からなる導電性部材等の物性が低下する傾向がみられるからである。
また、導電性充填剤(C成分)の使用割合が上限および下限の範囲から外れると、本発明の組成物が目的とする半導電性の範囲から外れるようになるからである。
なお、本発明のエラストマー組成物には上記エラストマーポリマー(A成分),芳香族系スルホン酸化合物(B成分),導電性充填剤(C成分)に対し、場合によってイオン導電剤,架橋剤,架橋促進剤,老化防止剤を配合しても差し支えはない。
このイオン導電剤としては、例えば、過塩素酸リチウム,第四級アンモニウム塩,ホウ酸塩等のポリマー中でイオン解離する化合物があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
このような、イオン導電剤の配合割合は、物性や電気特性の点から、エラストマーポリマー(A成分)100部に対して0.01〜5部の範囲内が好ましく、特に好ましくは0.5〜2部の範囲内である。
また、架橋剤としては、例えば、硫黄、イソシアネート、ブロックイソシアネート、ポリアミン硬化剤、ヒドロシリル硬化剤、パーオキサイド等があげられる。なお、上記架橋剤とともに、紫外線や電子線等のエネルギーによって架橋する光開始剤を併用しても差し支えない。
このような架橋剤の配合割合は、物性、粘着、液保管性の点から、エラストマーポリマー(A成分)100部に対して1〜30部の範囲内が好ましく、特に好ましくは3〜10部の範囲内である。
また、架橋促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系架橋促進剤、白金化合物、アミン触媒、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤等の公知のものがあげられる。
また、老化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−ターシャリ−ブチル−4−メチルフェノール等のフェノール類、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類、アシル類等があげられる。
本発明のエラストマー組成物は、例えばつぎのように製造することができる。
上記A成分であるエラストマーポリマーを準備し、このエラストマーポリマーに芳香族系スルホン酸化合物(B成分)を配合するとともに、導電性充填剤(C成分)を配合し、必要に応じてイオン導電剤,架橋剤等を配合する。そして、これをロール,ニーダー,バンバリーミキサー等の混練機を用いて混練することによって目的とするエラストマー組成物(固形状)を得ることができる。また、上記エラストマーポリマー(A成分),芳香族系スルホン酸化合物(B成分)および導電性充填剤(C成分)を溶剤に解かして液状化し、ビーズミルや二本ロールを用いて分散することにより目的とするエラストマー組成物(液状)を得ることができる。B成分とC成分を予め分散処理してもよい。特に、後者の溶剤を用いる場合、予め芳香族系スルホン酸化合物(B成分)と導電性充填剤(C成分)とを溶剤に予備分散し、その後エラストマーポリマー(A成分)を上記と同じ溶媒または異溶媒に分散するようにしてもよい。A成分を異溶媒に分散した場合、その分散溶媒を、その前のB,C成分分散溶媒に混合することになる。
上記溶剤としては、例えば、m−クレゾール、メタノール、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤等があげられる。
本発明のエラストマー組成物は上記のように、エラストマーポリマー(A成分),芳香族系スルホン酸化合物(B成分)および導電性充填剤(C成分)を溶剤に加え、ビーズミル等を用いて分散してなる分散液を、コーティング等により成膜化することができる。また、エラストマーポリマー(A成分),芳香族系スルホン酸化合物(B成分)および導電性充填剤(C成分)をロール等の混練機を用いて混練してなる混練物を、押出成形法、インジェクション成形法等により成形品化することも可能である。
このようにして、形成された本発明に係る、膜および成形品では、その断面図である図1に示すように、例えば、膜では一面(表面)に、電圧をかけると、電流は他面(裏面)に向かって流れる。その際、電流は、カーボン等の導電性充填剤粒子1間を、通電路Aのように流れる。しかし、上記粒子1には芳香族系スルホン酸化合物が吸着しており、分散が向上して電気が均一に流れる。さらに、この化合物のSO3 M「2」が、粒子1の周囲に分布し、ここも通電路Bとなる。したがって、カーボン等が分布していないところも、導電部として作用することとなり、それだけ導電性の制御が容易になる。また、マトリックスポリマー中においてカーボン等の二次凝集が、上記化合物によって妨げられることとなり、これも導電性の制御に寄与することとなる。
本発明のエラストマー組成物は、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加した時の電気抵抗が104 〜1011Ω・cmの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは106 〜109 Ω・cmの範囲内である。すなわち、電気抵抗が104 Ω・cm未満であると、電気抵抗が低すぎるため、例えば、トナーへの電荷供給や感光体への帯電性等の点で、電子写真機器部材として画像への利点が少なくなる傾向がみられ、逆に1011Ω・cmを超えると、電気抵抗が高すぎるため、チャージアップが起こり、電子写真機器部材としての制御が困難になる傾向がみられるからである。また、本発明のエラストマー組成物を電極に応用する場合には、電気抵抗が10-3〜104 Ω・cmの範囲内であることが好ましい。
この電気抵抗の測定は、つぎのようにして行うことができる。すなわち、本発明のエラストマー組成物をテトラヒドロフラン(THF)等の溶剤に混合し、超音波処理した後遠心分離して上澄みを取り出す。そして、この上澄みをアプリケーターを用いてステンレス(SUS)板上にキャスティングし乾燥(例えば100℃×30分)して塗膜(厚み5μm)を形成する。そして、この塗膜の電気抵抗を、25℃×50%RHの環境下、1Vの電圧を印加し、SRIS 2304に準じて測定する。
つぎに本発明のエラストマー組成物を用いた導電性部材について説明する。
本発明の導電性部材は、上述のエラストマー組成物を導電性部材の少なくとも一部(全部もしくは一部)に用いることにより得ることができる。この導電性部材としては、例えば、帯電ロール,現像ロール,転写ロール,トナー供給ロール等の導電性ロール、中間転写ベルト,紙送りベルト等の導電性ベルト等があげられ、これらの構成層の少なくとも一部に用いられる。すなわち、本発明のエラストマー組成物を、導電性部材の構成層の少なくとも一部に用いると、このエラストマー組成物を用いて形成した構成層の電気抵抗のばらつきや圧縮永久歪、動特性等が良好になることから、電子写真機器において、鮮明な複写画質が得られるようになる。一方、本発明のエラストマー組成物を柔軟性を必要とする電極に応用した場合、高い導電性を保ちながら、柔軟であることから、電気的応答性に優れた導電性部材を得ることができる。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、実施例および比較例に先立ち下記に示す材料を準備した。
〔エラストマーポリマー(A1)〕 TPU(日本ミラクトラン社製、E980)
〔エラストマーポリマー(A2)〕
ポリメチルメタクリレート(PMMA)(住友化学社製、LG6A)
〔エラストマーポリマー(A3)〕
ウレタンシリコーン(信越化学工業社製、X22−2756)
〔エラストマーポリマー(A4)〕
ブタジエンゴム(BR)(JSR社製、BR01)
〔エラストマーポリマー(A5)〕
エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)(住友化学社製、エスプレン522)
〔エラストマーポリマー(A6)〕
天然ゴム(NR)(RSS♯3グレード)
〔芳香族系スルホン酸化合物(B1)〕
ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(分子量272),スルホン酸基当量(3.7mmol/g)
〔芳香族系スルホン酸化合物(B2)〕
ドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム(分子量644),スルホン酸基当量(1.6mmol/g)
〔芳香族系スルホン酸化合物(B3)〕
ポリフェニルエーテルスルホン酸カリウム(分子量4000),スルホン酸基当量(0.25mmol/g)
〔芳香族系スルホン酸化合物(B4)〕
ドデシルブタデシルベンゼンスルホン酸(分子量528),スルホン酸基当量(1.9mmol/g)
〔導電性充填剤(C1)〕
導電性カーボンブラック(東海カーボン社製、シーストS)
〔導電性充填剤(C2)〕
カーボンナノチューブ(直径1mmの単層カーボンナノチューブ)(シンセン・ナノテクポート社製、SWCNT−2)
〔導電性充填剤(C3)〕
c−TiO2 (石原産業社製、タイペークET500W)
つぎに上記原料を用いエラストマー組成物を作製した。
〔液状のエラストマー組成物の製造〕
〔実施例1〕
テトラヒドロフラン(THF)300部とメチルエチルケトン(NEK)150部とトルエン100部との混合溶媒に、エラストマーポリマー(A1)であるTPU100部と芳香族系スルホン酸化合物(B1)であるジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム5部と導電性充填剤(C1)である導電性カーボンブラック40部とを加えた後、ビーズミルを用い混練し分散して、液状のエラストマー組成物を作製した。
〔実施例2〕
エラストマーポリマー(A1)であるTPU100部と、芳香族系スルホン酸化合物(B2)であるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム5部と、導電性充填剤(C1)である導電性カーボンブラック40部とを、THF300部とMEK150部とトルエン100部の混合溶媒に添加した後、ビーズミルを用いて混練し、分散させて液状のエラストマー組成物を作製した。
〔実施例3〕
芳香族系スルホン酸化合物(B2)であるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムの添加量を10部に増加した。それ以外は実施例2と同様にして液状のエラストマー組成物を作製した。
〔実施例4〕
エラストマーポリマー(A1)に代えてエラストマーポリマー(A2)のPMMA100部を用いるとともに、芳香族系スルホン酸化合物(B1)に代えて芳香族系スルホン酸化合物(B3)であるポリフェニルエーテルスルホン酸カリウム15部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして液状のエラストマー組成物を作製した。
〔実施例5〕
エラストマーポリマー(A1)に代えてエラストマーポリマー(A3)であるウレタンシリコーン100部を用いるとともに、芳香族系スルホン酸化合物(B1)に代えて芳香族系スルホン酸化合物(B4)であるドデシルブタデシルベンゼンスルホン酸5部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして液状のエラストマー組成物を作製した。
〔実施例6〕
エラストマーポリマー(A1)であるTPU100部と、芳香族系スルホン酸化合物(B2)であるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム10部と、導電性充填剤(C2)であるカーボンナノチューブ5部とを、THF300部とMEK150部とトルエン100部の混合溶媒に添加した後、ビーズミルを用いて混練し、分散させて液状のエラストマー組成物を作製した。
〔実施例7〕
エラストマーポリマー(A1)であるTPU100部と、芳香族系スルホン酸化合物(B4)であるドデシルブタデシルベンゼンスルホン酸20部と、導電性充填剤(C2)であるカーボンナノチューブ10部とを、THF300部とMEK150部とトルエン100部の混合溶媒に添加した後、ビーズミルを用いて混練し、分散させて液状のエラストマー組成物を作製した。
〔比較例1〕
芳香族系スルホン酸化合物(B1)に代えて鉱物油であるナフテンオイル(ダイアナプロセスNM280、出光興産社製)10部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして液状のエラストマー組成物を作製した。
〔比較例2〕
芳香族系スルホン酸化合物(B1)に代えてシランカプリング剤(アミノ基含有メトキシシラン)(TSL8340、東芝シリコーン社製)1部を用いた。それ以外は実施例1と同様にして液状のエラストマー組成物を作製した。
〔比較例3〕
エラストマーポリマー(A1)であるTPU100部と、シランカプリング剤(アミノ基含有メトキシシラン)(TSL8340、東芝シリコーン社製)10部と、導電性充填剤(C2)であるカーボンナノチューブ5部とを加えた後、ビーズミルを用い混練し分散して、液状のエラストマー組成物を作製した。
以上の実施例1〜7、比較例1〜3をまとめて下記の表1および表2に示すとともに、上記実施例および比較例の液状のエラストマー組成物を用い、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を下記の表1および表2に併せて示した。
〔粒度分布(メジアン径)μm〕
可溶な溶剤に組成物を溶解した後、掘場製作所社製レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA920を用いて測定した。粒度分布はメジアン径が、0.05μm〜1.0μmが良好な範囲である。
〔ブリード〕
各エラストマー組成物をSUS304板上に塗布して120℃×30分乾燥し、厚み30μmの導電性塗膜を作製した。この塗膜を50℃×95%の条件で240時間放置後、塗膜からの、油性分のブリード(にじみ出し)を目視と指触により評価した。評価は、ブリードがないものを○、ブリードがあるものを×とした。
〔電気抵抗〕
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)を成形金型内にセットし、導電性カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AD)を注型し150℃×45分加熱して、芯金の外周にベース層(厚み3mm)が形成されたベース層付ロールを作製した。ついで、このベース層上に、各液状のエラストマー組成物を塗布して120℃×30分乾燥し、厚み30μmの導電性塗膜を作製し、二層構造のテストロールを得た。そして、このテストロールの表面をSUS板に押し当てた状態で、テストロールの両端に各1kgの荷重をかけ、25℃×50%RHの環境下、10Vの電圧を印加し、この時のSUS板とテストロール表面との間の電気抵抗をSRIS 2304に準じて測定した。ただし、実施例7については、シリコーンゴムを用いる代わりに、同じ形状になるよう、SUS304を切削し、作製したロール上に同様の塗膜を形成した。
〔電気抵抗ばらつき〕
上記電気抵抗の測定に用いたテストロールと、電圧印加用の金属ロール(直径20mm)とを平行に接触させ、1kgの荷重をかけ、30°づつ回転させ、静止した状態で10Vの電圧を印加し、金属ロールと、テストロールの芯金と、の間の電気抵抗を測定した。そして、電気抵抗の最大値と最小値との差を桁数で表示した。
〔電気抵抗の環境依存性〕
コーティング液状の組成物については、各導電性組成物をSUS304板上に塗布し、厚み50〜60μmの導電性塗膜を作製した後、150℃×30分乾燥し、導電性塗膜を作製した。なお、固形弾性状の組成物については、プレス成形(150℃×30分)を行い、厚み500〜600μmの導電性シートを作製した。つぎに、この導電性塗膜もしくは導電性シートについて、印加電圧10Vの条件下、低温低湿(15℃×10%RH)時の電気抵抗(Rv=15℃×10%RH)と、高温高湿(35℃×85%RH)時の電気抵抗(Rv=35℃×85%RH)を、SRIS 2304に準じてそれぞれ測定した。そして、Log(Rv=15℃×10%RH/Rv=35℃×85%RH)により、電気抵抗の環境依存性を変動桁数で表示した。
Figure 2007063552
Figure 2007063552
上記の結果から実施例品1〜7は、電気抵抗も半導電性領域にあり、ばらつきも小さかった。これに対して、比較例品1にはブリードが生じ実用性に問題がある。また、比較例品2は、ブリードは生じないものの電気抵抗のばらつきが実施例品に比べて大幅に劣っている。比較例品3は、ブリードは生じないものの電気抵抗のばらつきが実施例品に比べて大幅に劣っている。
〔固形弾性状のエラストマー組成物の製造〕
〔実施例8〕
エラストマーポリマー(A4)であるブタジエンゴム(BR)100部と、芳香族系スルホン酸化合物(B2)であるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム6部と、導電性充填剤(C1)である導電性カーボンブラック45部と、ステアリン酸3部と、ZnO(酸化亜鉛)5部と、ノクセラーDM(加硫促進剤)0.6部と、S(粉末硫黄)2.5部とを二本ロールを用いて混練することによって、固形弾性状のエラストマー組成物を得た。
〔実施例9〕
エラストマーポリマー(A4)であるブタジエンゴムに代えて、エラストマーポリマー(A5)であるエチレンプロピレンブタジエンゴム(EPDM)100部を用いた。それ以外は実施例8と同様にして固形弾性状のエラストマー組成物を得た。
〔実施例10〕
エラストマーポリマー(A4)であるブタジエンゴムに代えて、エラストマーポリマー(A6)である天然ゴム(NR)100部を用いた。それ以外は実施例8と同様にして固形弾性状のエラストマー組成物を得た。
〔実施例11〕
エラストマーポリマー(A1)であるTPUを60部用いるとともに、エラストマーポリマー(A6)の天然ゴム(NR)100部を用いた。そして、これに芳香族系スルホン酸化合物(B2)であるドデシルフェニルブタデシルフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム6部と導電性充填剤(C3)であるc−TiO2 30部とを加え、二本ロールを用いて混練することによって固形弾性状のエラストマー組成物を得た。
〔比較例4〕
芳香族系スルホン酸化合物(B2)に代えて、鉱物油であるナフテンオイル(ダイアナプロセスNM280、出光興産社製)10部を用いた。それ以外は実施例10と同様にして固形弾性状のエラストマー組成物を得た。
〔比較例5〕
エラストマーポリマー(A6)である天然ゴム100部と、導電性充填剤(C1)である導電性カーボンブラック45部と、シランカプリング剤(アミノ基含有メトキシシラン)(TSL8340、東芝シリコーン社製)1部と、ステアリン酸3部と、ZnO(酸化亜鉛)5部と、ノクセラーDM(加硫促進剤)0.6部と、S(粉末硫黄)2.5部とを二本ロールを用いて混練することによって、固形弾性状のエラストマー組成物を得た。
以上の結果を表3にまとめて示すとともに、上記実施例8〜11および比較例4,5で得られた固形状のエラストマー組成物を対象に下記の基準に従い各特性の評価を行った。これらの結果を表3に併せて示した。
粒度分布(メジアン径)、ブリード、電気抵抗、電気抵抗のばらつき、電気抵抗の環境依存性の評価は、前記表1の場合と同様である。ただし、電気抵抗の測定は、各固形弾性状のエラストマー組成物を溶剤(MEK,トルエン)に分散して液状化し、これを、先の電気抵抗の測定と同様に、ベース層付ロールのベース層上に塗布して、導電性塗膜を作製して行った。また、電気抵抗の測定は、先の電気抵抗の「ばらつき」の測定において、テストロールとして、前記芯金の外周に前記と同様、注型により、エラストマー組成物からなる層を形成した一層構造のものを用いた。
〔圧縮永久歪試験〕
JIS−K−6262−1997の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの永久ひずみ試験方法」に規定される圧縮永久歪試験用大形試験片を、圧縮永久歪試験用のテストピースとして用い、同じくJIS−K−6262−1997の「5.圧縮永久ひずみ試験」に規定される試験方法に従って、所定の圧縮装置により、「荷重を負荷して所定の割合で圧縮し、100℃×70時間にてその状態を維持した後、ついで、荷重を解除して室温にて所定時間放冷し、テストピースの中央部の厚さを測定することにより、圧縮永久歪を求め、50%以下である場合を○とし、それを越えるものを×とした。
〔動特性試験〕
直径50mm、高さ25mmの円柱形状のテストピースを固形弾性状のエラストマー組成物を用いて作り、これの円柱状の上下面に対して直径60mm、厚さ6mmの円盤状金具を接着剤により接着した。このようにして得られたテストピースを用い、JIS−K−6385−1995の[防振ゴムの試験方法」に準じて、静的バネ定数Ksを求めた。すなわち、それぞれのテストピースに対して、上記JIS−K−6385−1995の静的特性試験に準じ、軸方向に荷重を加えて7mm圧縮させ、一旦減荷した後、再度、7mm圧縮させ、その2回目の加荷過程(往路)における荷重−撓み特性を測定し、それに基づいて荷重−撓み曲線を作製した。そして、その曲線から撓みが1.5mmと3.5mmの時の荷重値を、それぞれ読み取って、静的バネ定数Ksを算定した。
また、各テストピースを軸方向に2.5mmだけ圧縮した後、この圧縮状態のテストピースの下方より、その2.5mm圧縮した位置を中心とする振幅:±0.05mmの定変位調和圧縮振動を、周波数:100Hzにおいて加える試験を行い、JIS−K−6385−1995の「防振ゴムの試験方法」における「非共振方法(a)」に準拠し、100Hz時の動的バネ定数(貯蔵バネ定数):Kd100 を求めた。そして、このKd100 と前記の静的バネ定数Ksとから、動倍率(Kd100 /Ks)を算出し、その値が1.5以上のものを○とし、それ未満のものを×とした。
Figure 2007063552
以上の結果より、実施例品8〜11は、ブリード、電気特性、電気抵抗ばらつき、圧縮永久歪、動特性等においてそれぞれ優れている。これに対し、比較例品4はブリードが生じ、かつ圧縮永久歪および動特性においても劣っている。また、比較例品5は電気抵抗のばらつき、電気抵抗の環境依存性が大きく、しかも圧縮永久歪、動特性においても劣っている。
つぎに前記エラストマー組成物を用いつぎのようにして帯電ロールを作製した。
〔実施例12〜15〕
(原材料の準備)
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)を準備するとともに、導電性カーボンブラックを分散させたシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE1350AD)をベース層用材料として準備した。
(帯電ロールの作製)
芯金をセットした成形用金型内に、上記ベース層用材料を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して軸体の外周面にベース層が設けられたロールを作製した。つぎに、このロールのベース層の外周面に液状のエラストマー組成物を塗布して表層(厚み5μm)を形成した。このようにして、軸体の外周面にベース層(厚み3mm)が形成され、その外周面に表層が形成された二層構造の帯電ロールを作製した。
〔比較例6〕
上記実施例の液状のエラストマー組成物に代えて、比較例1で得られた液状のエラストマー組成物を用いて表層を形成した。それ以外は上記実施例12〜15と同様にして二層構造の帯電ロールを作製した。
〔実施例16〕
(原材料の準備)
軸体である芯金(直径10mm、SUS304製)を準備するとともに、前記実施例8のエラストマー組成物を準備した。
(帯電ロールの作製)
芯金をセットした成形用金型内に、上記エラストマー組成物を注型し、150℃×45分の条件で加熱した後、脱型して軸体の外周面にエラストマー組成物からなる半導電性弾性層(厚み3mm)が形成された一層構造の帯電ロールを作製した。
〔比較例7〕
実施例8の固形弾性状のエラストマー組成物に代えて、比較例5の固形弾性状のエラストマー組成物を用いた。それ以外は実施例16と同様にして一層構造の帯電ロールを作製した。
このようにして得られた実施例および比較例の帯電ロールを用い下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を表4に示した。
〔帯電ロール特性〕
(画像むら)
各帯電ロールを市販のカラープリンターに組み込み、20℃×50%RHの環境下において画像出しを行った。評価は、ハーフトーン画像での濃度むらがなく、細線のとぎれや色むらがなかったものを○、濃度むらが生じたものを×とした。
Figure 2007063552
上記の結果から実施例品12〜16はいずれも画像むらが初期においても10000枚複写後においても生じず、帯電ロール特性に優れていた。これに対して比較例品6,7は画像むらがいずれの場合にも生じていた。
つぎに前記エラストマー組成物を用いつぎのようにして導電性高分子複合体を作製した。
〔実施例17〕
(導電性ポリマーの調製)
アニリン(π電子共役系ポリマーのモノマー)1モル(93g)と、ジノニルナフタレンスルホン酸(DNNSA)〔スルホン酸官能基量:2.17mmol/g〕0.5モルと、メチルエチルケトン(MEK)1000ml、トルエン1500ml、および水1000mlとをフラスコ中に入れ、5℃に制御し攪拌しながら、水500mlに溶解した過硫酸アンモニウム(酸化剤)1モル(228.2g)を1時間かけて滴下し、20時間酸化重合させて重合物を得た(重合ドープ法)。つぎに、この重合物を水とメタノールで遠心分離(8000rpm×30分)を繰り返して洗浄し、20℃で10Torrの減圧乾燥をして導電性ポリマーを調製した。
(半導電性組成物の調製)
上記導電性ポリマー30部と、ウレタンエラストマー(TPU)(東洋紡社製、バイロンUR5537)70部と、メチルエチルケトン(MEK)200mlと、THF200mlとを配合し、2本ロールもしくは3本ロールを用いて、半導電性組成物を調製した。
(導電性高分子複合体の作製)
離型処理されたPETフィルムの離型処理面に、上記半導電性組成物(コーティング液)を塗布した。そして、1晩常温(25℃)で乾燥した後、さらに120℃で30分乾燥した。つぎに、PETフィルムを剥がし、厚み10μmのフィルム状の導電性高分子複合体を作製した。
〔周波数による応答変位振幅〕
図2に示すように、上記導電性高分子複合体を短冊状11(1cm×3cm)に切り取り、その両面に前記実施例7で作製した液状のエラストマー組成物を塗布して厚み1μmの電極12を形成した。そして、各電極12の一端部に銅線(直径100μm,長さ3cm)13を接続し、試験体を得た。つぎに、上記試験体のうち、銅線13が接続された一端部をPETフィルム(絶縁フィルム)(図示せず)を介してクランプ(図示せず)で挟持し、長手方向を鉛直方向に合わせて設置した。そして、上記銅線13を任意波形発生装置(電源)14に接続し、試験体にパルス状の電圧(0〜10V)を印加し、周波数(0.1〜5Hz)による応答変位振幅を、レーザ変位計15を用いて測定した。その結果を、下記の表5に示した。
〔比較例8〕
(導電性高分子複合体の作製)
実施例17と同様にして、導電性高分子複合体を作製した。
〔周波数による応答変位振幅〕
図2に示すように、上記導電性高分子複合体を短冊状11(1cm×3cm)に切り取り、その両面にイオンスパッタ型真空蒸着器を用いて、厚み30nmの白金層(電極12)を蒸着した。そして、各白金層12の一端部に銅線(直径100μm,長さ3cm)13を接続し、試験体を得た。つぎに、上記試験体のうち、銅線13が接続された一端部をPETフィルム(絶縁フィルム)(図示せず)を介してクランプ(図示せず)で挟持し、長手方向を鉛直方向に合わせて設置した。そして、上記銅線13を任意波形発生装置(電源)14に接続し、試験体にパルス状の電圧(0〜10V)を印加し、周波数(0.1〜5Hz)による応答変位振幅を、レーザ変位計15を用いて測定した。その結果を、下記の表5に示した。
Figure 2007063552
上記表5の結果から、実施例17の試験体は、比較例8の試験体に用いた電極(スパッタした白金電極)に比べて、柔軟な電極を用いているため、大きな変位を保つことができた(電気的応答性に優れていた)。
本発明のエラストマー組成物およびそれを用いた導電性部材は、帯電ロール等の電子写真機器部材や、アクチュエータ,センサー,柔軟性を必要とする電極等に好適に用いることができる。
液状のエラストマー組成物を用いた塗膜において一面側から他面側に電圧を印加した場合における電流の流れを示したものである。 周波数による応答変位振幅の測定方法を示す説明図である。
符号の説明
1 導電性充填剤粒子
2 芳香族系スルホン酸化合物のSO3
A,B 通電路

Claims (6)

  1. 下記の(A),(B)および(C)成分を含有することを特徴とする導電性エラストマー組成物。
    (A)エラストマーポリマー。
    (B)芳香環に、スルホン酸基およびスルホン酸塩基の少なくとも一方を有する芳香族系スルホン酸化合物。
    (C)導電性充填剤。
  2. 上記(B)成分の芳香族系スルホン酸化合物が、下記の一般式(1)で表わされるものである請求項1記載の導電性エラストマー組成物。
    Figure 2007063552
  3. 上記一般式(1)で表わされる(B)成分の芳香族系スルホン酸化合物において、上記一般式(1)中のR1 〜R5 の少なくとも一つがフェニルエーテル基である請求項2記載の導電性エラストマー組成物。
  4. 上記一般式(1)で表わされる(B)成分の芳香族系スルホン酸化合物において、上記一般式(1)中のR1 〜R5 の少なくとも一つがアルキルフェニルエーテル基である請求項2記載の導電性エラストマー組成物。
  5. 上記(C)成分が導電性カーボン材料である請求項1〜4のいずれか一項に記載の導電性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性エラストマー組成物を、導電性部材の少なくとも一部に用いたことを特徴とする導電性部材。
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