JP5421195B2 - 電子写真機器用導電性組成物、電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材 - Google Patents

電子写真機器用導電性組成物、電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真機器用導電性組成物、電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材に関するものである。
近年、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が広く使用されるようになってきている。電子写真機器の内部には、通常、感光ドラムが組み込まれており、その周囲には、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材や、転写ベルトなどのベルト状の導電性部材が配設されている。
この種の電子写真機器による複写や印字は、感光ドラムに原稿像を静電潜像として形成し、静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、トナー像を複写紙に転写することにより行われている。
感光ドラムに静電潜像を形成するには、帯電ロールにより予め感光ドラムの表面を帯電させた後、この帯電部分に光学系を介して原稿像を投射し、光の当たった部分の帯電を打ち消すことが行われている。感光ドラムの表面を帯電させる方式としては、最近では、帯電ロールを感光ドラムの表面に直接接触させて帯電させる接触帯電方式が採用されている。
また、感光ドラムにトナー像を形成するには、最近では、トナーが付着された現像ロールを感光ドラムの表面に直接接触させる接触現像方式が採用されている。この現像ロールは、トナー供給ロールにより表面に供給されたトナーを、層形成ブレードとの摩擦により帯電させ、感光ドラム表面に移す。そして、感光ドラムの表面のトナー像は、転写ロールあるいは転写ベルトにより、複写紙上に転写される。このように、各種導電性部材は、感光ドラムなどの相手部材と接触させた状態で使用されることが多い。
この種の導電性部材は、一般に、カーボンブラックなどの電子導電剤やイオン導電剤などの各種導電剤を必要に応じて配合したゴム材料を用いて成形された基材を備えている。基材のゴム材料は、通常、成形金型を用いて成形され、成形後に架橋されている。この基材の外周には、必要に応じて、抵抗調整層や保護層などが形成されている。
このような導電性部材は、良好な画像を形成するため、接触される相手部材やトナーに対して効率よく均一に電荷を受け渡す必要がある。そのためには、導電性部材には、相手部材との繰返し接触時にも均一な接触面が確保されるように相手部材と接触する部分が弾性回復しやすい(耐ヘタリ性に優れる)こと、接触される相手部材やトナーへの接圧によるストレスが緩和されるように低硬度であること、相手部材への電荷の受け渡しが良好になるように体積抵抗率が低いこと、相手部材への汚染が少ないことなどが要求される。
また、このような導電性部材は、生産性を高めるため、基材のゴム材料の架橋速度が速いことが要求される。そして、成形後の基材を成形金型から脱型するときに割れなどが発生しないように、基材のゴム材料は引張強度に優れることが要求される。
このような状況下、この種の導電性部材においては、帯電ロールに関するものとして、例えば特許文献1に、イオン導電性ゴムに過酸化物架橋剤を配合したゴム組成物にて導電性弾性層が形成されることが開示されている。
そして、電子写真機器用導電性部材に関するものではないが、ゴムを過酸化物架橋することに関連するものとして、特許文献2には、ゴムに対し、有機過酸化物および架橋助剤としてのN,N−m−フェニレンビスマレイミドを配合することが開示されている。
特開2009−31758号公報 特開平09−169873号公報
しかしながら、特許文献1では、過酸化物架橋剤のみでイオン導電性ゴムを架橋している。そのため、過酸化物架橋剤の配合量を多くするほど架橋速度を速くできるが、過酸化物架橋剤の分解により発生する架橋残渣が多くなり、これがロール表面に多く現れて、帯電ロールに接触する相手部材を汚染する原因となる。一方、このような架橋残渣の発生を抑えようと過酸化物架橋剤の配合量を少なくすれば、架橋速度が遅くなり、十分な生産性が得られない。すなわち、特許文献1では、架橋速度の向上と過酸化物架橋剤の分解により発生する架橋残渣の低減との両立を図ることが困難である。
この際、例えば、低温分解性の過酸化物架橋剤を用いて高温で架橋することにより架橋速度を速めることもできるが、低温分解性の過酸化物架橋剤はスコーチ安定性が悪いため、押出機内でゴム焼けなどの問題が発生する。また、例えば、架橋の際に加える温度を上げ、より高温で架橋させることにより架橋速度を速めることもできるが、高温にするほどゴム材料は変質しやすくなるため、安定した品質で帯電ロールを製造できないおそれがある。
また、特許文献2のように、ゴムに対し、有機過酸化物および架橋助剤としてのN,N−m−フェニレンビスマレイミドを配合したとしても、体積抵抗率が上昇してしまうという問題が新たに発生する。
本発明が解決しようとする課題は、架橋後に優れた耐ヘタリ性と低硬度を両立できるとともに、架橋残渣成分の発生を抑えることによる汚染性の低減と架橋速度の向上を両立でき、さらには、体積抵抗率を低くでき、架橋後の引張強度に優れた電子写真機器用導電性組成物を提供することにある。また、この導電性組成物を用いることにより、優れた耐ヘタリ性、低硬度、低体積抵抗率、優れた引張強度を示すとともに、架橋残渣成分の発生が抑制され、また、架橋時の架橋速度に優れた電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用導電性組成物は、(a)イオン導電性ゴムと、(b)過酸化物架橋剤と、(c)下記(c1)〜(c9)のいずれか1種または2種以上のマレイミド化合物と、を含有し、前記(b)成分の含有量は、前記(a)成分100質量部に対して0.1〜2質量部の範囲内であり、前記(c)成分の含有量は、前記(b)成分の含有量以上、かつ、前記(a)成分100質量部に対して0.5〜8質量部の範囲内であることを要旨とするものである。
ただし、
(c1)4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
(c2)3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
(c3)4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル
(c4)1−メチル−4−マレイミドベンゼン
(c5)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン
(c6)4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン
(c7)1,6−ビスマレイミド−2,2,4−トリメチルヘキサン
(c8)1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン
(c9)1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン
この際、前記(a)成分は、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、および、エポキシ変性ゴムから選択された1種または2種以上のイオン導電性ゴムであることが好ましい。そして、前記(a)成分がヒドリンゴムの場合には、該ヒドリンゴムとともに(d)脱塩素架橋剤を含有することが好ましい。
そして、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体は、上記導電性組成物の架橋体よりなることを要旨とするものである。
また、本発明に係る電子写真機器用導電性部材は、上記導電性架橋体を用いたことを要旨とするものである。
本発明に係る電子写真機器用導電性組成物は、(a)イオン導電性ゴムに(b)過酸化物架橋剤とともに(c)特定のマレイミド化合物を特定量配合するものであるので、架橋後には優れた耐ヘタリ性と低硬度を両立できるとともに、架橋残渣成分の発生を抑えることによる汚染性の低減と架橋速度の向上を両立でき、さらには、体積抵抗率を低くでき、架橋後には引張強度に優れるものとなる。
この際、前記(a)成分が、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、および、エポキシ変性ゴムから選択された1種または2種以上のイオン導電性ゴムであると、確実に、上記効果を奏する。
そして、前記(a)成分がヒドリンゴムの場合に、該ヒドリンゴムとともに(d)脱塩素架橋剤を含有すると、架橋後の耐ヘタリ性がさらに向上する。
そして、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体または電子写真機器用導電性部材によれば、上記導電性組成物を用いたことから、優れた耐ヘタリ性、低硬度、低体積抵抗率、優れた引張強度を示すとともに、架橋残渣成分の発生が抑制され、また、架橋時の架橋速度に優れるものとなる。
本発明の電子写真機器用導電性ロールの周方向断面図である。 本発明の電子写真機器用導電性ロールの周方向断面図である。
本発明に係る電子写真機器用導電性組成物(以下、本組成物ということがある。)について詳細に説明する。
本組成物は、(a)イオン導電性ゴム、(b)過酸化物架橋剤、(c)特定のマレイミド化合物を含有するものからなる。すなわち、本組成物においては、(a)イオン導電性ゴムは、(b)過酸化物架橋剤および(c)特定のマレイミド化合物を併用して架橋される。
本組成物は、(a)イオン導電性ゴムを含む導電性ゴム組成物であり、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器の内部に組み込まれる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材(導電性ロール)や、転写ベルトなどのベルト状の導電性部材などの導電性部材の基材(ベース材)を形成する材料として好適に用いることができる。
本組成物における(a)イオン導電性ゴムは、ゴムそのものがイオン導電性を示すイオン導電性ゴムであっても良いし、ゴムそのものはイオン導電性を示さないが、イオン導電剤を配合することによりイオン導電性を示すイオン導電剤含有ゴムであっても良い。
本組成物において、ゴムそのものがイオン導電性を示すイオン導電性ゴムとしては、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、エポキシ化天然ゴムなどが好適である。これらのイオン導電性ゴムは、ゴムとしては体積抵抗率が比較的低いことから、これらのイオン導電性ゴムを主材料として本組成物中に含有することにより、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができる。
また、本組成物において、イオン導電剤含有ゴムのベースゴムとしては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、シリコーンゴム(Q)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)などを挙げることができる。
ヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)などを挙げることができる。
ヒドリンゴムのうち、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)は、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)よりも低抵抗体が得られやすい点で好ましい。また、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)は、二重結合を有するため、耐ヘタリ性を向上できる点で好ましい。
本組成物において、(b)過酸化物架橋剤としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ジアシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイドなどの従来より公知の過酸化物架橋剤を挙げることができる。これらのうち、蓄熱貯蔵試験(BAM式:SADT)における分解温度が60℃以上で、1分間半減期温度が150℃以上のものが、より好ましい。このような、より好ましい過酸化物としては、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステルなどを挙げることができる。
(b)過酸化物架橋剤と併用する(c)特定のマレイミド化合物としては、(c1)4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、(c2)3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、(c3)4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、(c4)1−メチル−4−マレイミドベンゼン、(c5)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、(c6)4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、(c7)1,6−ビスマレイミド−2,2,4−トリメチルヘキサン、(c8)1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、(c9)1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼンを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらのマレイミド化合物のうちでは、特に、(c1)4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、(c2)3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、(c3)4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテルが好ましい。
本組成物において、(b)過酸化物架橋剤の含有量は、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲内である。また、(c)特定のマレイミド化合物の含有量は、(b)過酸化物架橋剤の含有量以上、かつ、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して0.5〜8質量部の範囲内である。
本組成物は、(a)イオン導電性ゴムに(b)過酸化物架橋剤とともに(c)特定のマレイミド化合物を特定量配合することにより、架橋後には優れた耐ヘタリ性と低硬度を両立できるとともに、架橋残渣成分の発生を抑えることによる汚染性の低減と架橋速度の向上を両立でき、さらには、体積抵抗率を低くでき、架橋後には引張強度に優れるものとなる。
汚染性の低減効果は、(b)過酸化物架橋剤に(c)特定のマレイミド化合物を併用すると、ラジカルの反応効率が高くなり、少量の(b)過酸化物架橋剤でも(a)イオン導電性ゴムの架橋が十分に進行することから、(b)過酸化物架橋剤の使用量を特定量まで減らすことができる結果、(b)過酸化物架橋剤の分解物である架橋残渣成分の発生を抑えることができるためと推測される。また、架橋速度の向上効果は、(b)過酸化物架橋剤に(c)特定のマレイミド化合物を併用すると、ラジカルの反応効率が高くなるためと推測される。
そして、(a)イオン導電性ゴムを架橋する(c)特定のマレイミド化合物の結合−解離エネルギーは、(b)過酸化物架橋剤単独で(a)イオン導電性ゴムを架橋したときのポリマー間の炭素−炭素結合とも遜色なく高いため、本組成物の架橋体の架橋は切れにくい(過酸化物架橋剤単独で架橋したときの引張強度を維持できる)。そのため、圧縮永久ひずみに優れたゴム架橋体が得られる。これにより、架橋体は耐ヘタリ性に優れる。また、本組成物の架橋体の架橋は切れにくいことから、引張強度に優れる。これにより、成形金型を用いて本組成物を所定の形状に成形・架橋した後の脱型時に架橋体が破断しない。
(b)過酸化物架橋剤の含有量が0.1質量部未満では、イオン導電性ゴムの架橋が十分でないため、得られる架橋体は耐ヘタリ性が悪い。一方、過酸化物架橋剤の含有量が2質量部を超えると、イオン導電性ゴムの架橋が進行しすぎて、得られる架橋体は硬度が高くなりすぎる。そうすると、感光ドラムなどの相手部材との安定したニップ幅を確保できないため、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができない(帯電性が悪くなる)。また、感光ドラムなどの相手部材やトナーへの接圧によるストレスが増大する。さらに、過酸化物架橋剤の分解物の量が多くなるため、架橋残渣成分による感光ドラムなどへの汚染の影響が大きい。
(c)特定のマレイミド化合物の含有量が(b)過酸化物架橋剤の含有量よりも少ないと、架橋速度の向上効果が小さい。また、(c)特定のマレイミド化合物の含有量が0.5質量部未満では、イオン導電性ゴムの架橋が十分でないため、得られる架橋体は耐ヘタリ性が悪い。一方、特定のマレイミド化合物の含有量が8質量部を超えると、イオン導電性ゴムの架橋が進行しすぎて、得られる架橋体は硬度が高くなりすぎ、感光ドラムなどの相手部材との安定したニップ幅を確保できない。そのため、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができない(帯電性が悪くなる)。また、感光ドラムなどの相手部材やトナーへの接圧によるストレスが増大する。
(b)過酸化物架橋剤の含有量としては、架橋速度の向上効果や引張強度の向上効果、耐ヘタリ性を確保しつつ、体積抵抗率をより低くして導電性をさらに有利に発現できる、より低硬度にできる、汚染を低減できるなどの観点から、より好ましくは、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、0.2〜1.8質量部の範囲内、さらに好ましくは、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、0.3〜1.5質量部の範囲内である。
また、(c)特定のマレイミド化合物の含有量としては、架橋速度の向上効果や引張強度の向上効果、耐ヘタリ性を確保しつつ、体積抵抗率をより低くして導電性をさらに有利に発現できる、より低硬度にできるなどの観点から、より好ましくは、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、0.7〜6質量部の範囲内、さらに好ましくは、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、1〜4質量部の範囲内である。
本組成物において、(a)イオン導電性ゴムがヒドリンゴムである場合には、ヒドリンゴムとともに(d)脱塩素架橋剤を含有することが好ましい。これにより、耐ヘタリ性がさらに向上する。
(d)脱塩素架橋剤としては、ジチオカーボネート化合物を挙げることができる。より具体的には、キノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、6−イソプロピルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート、5,8−ジメチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネートなどを挙げることができる。
(d)脱塩素架橋剤の含有量としては、耐ヘタリ性の向上効果に優れるなどの観点から、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.3〜1.8質量部の範囲内、さらに好ましくは0.5〜1.5質量部の範囲内である。
(d)脱塩素架橋剤を用いる場合には、脱塩素架橋促進剤を併用しても良い。脱塩素架橋促進剤としては、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUと略称する。)もしくはその弱酸塩を挙げることができる。脱塩素架橋促進剤は、DBUの形態として用いても良いが、その取り扱い面から、その弱酸塩の形態として用いることが好ましい。DBUの弱酸塩としては、炭酸塩、ステアリン酸塩、2−エチルヘキシル酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸塩、フェノール樹脂塩、2−メルカプトベンゾチアゾール塩、2−メルカプトベンズイミダゾール塩などを挙げることができる。
脱塩素架橋促進剤の含有量としては、耐ヘタリ性の向上効果に優れるなどの観点から、(a)イオン導電性ゴム100質量部に対して、0.1〜2質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.3〜1.8質量部の範囲内、さらに好ましくは0.5〜1.5質量部の範囲内である。
本組成物においては、要求される導電特性に応じて、ゴムそのものがイオン導電性を示すイオン導電性ゴムに対しても、さらにイオン導電剤を含有しても良い。さらにイオン導電剤を含有していると、導電性組成物の架橋体の電気抵抗の調整が図りやすい。また、比較的、抵抗ムラが発生しにくい。
イオン導電剤としては、電子写真機器分野で使用されるものであれば特に限定されるものではないが、好ましいものとしては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、界面活性剤などを挙げることができる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第四級アンモニウム塩あるいは第四級ホスホニウム塩としては、例えば、炭素数1〜18程度のアルキル基またはアリール基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、キシリル基など)を1種または2種以上有するものであって、ハロゲンイオン、ClO 、BF 、SO 2−、HSO 、CSO 、CFCOO、CFSO 、(CFSO、PF 、(CFCFSO、CF(CFSO 、(CFSO、CF(CFCOOなどの陰イオンを含むものを示すことができる。
ホウ酸塩としては、例えば、炭素数1〜18程度のアルキル基またはアリール基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、キシリル基など)を1種または2種以上有するものであって、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどのアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオンを含むものを示すことができる。
より具体的には、例えば、トリブチルエチルアンモニウムエチル硫酸塩、テトラブチルアンモニウムハライド(クロライド、ブロマイド、ヨーダイド)、テトラブチルアンモニウムパークロレート等の第四級アンモニウム塩、トリブチルメチルホスホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等の第四級ホスホニウム塩、過塩素酸リチウム、過塩素酸カリウムなどの過塩素酸塩、有機ホウ素錯体などを挙げることができる。
イオン導電剤の含有量としては、ゴムそのものがイオン導電性を示すイオン導電性ゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.2〜3質量部の範囲内、さらに好ましくは0.3〜2質量部の範囲内である。
また、イオン導電剤含有ゴム中におけるイオン導電剤の含有量としては、ベースゴム100質量部に対して、0.1〜5質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.2〜3質量部の範囲内、さらに好ましくは0.3〜2質量部の範囲内である。
本組成物においては、必要に応じて、カーボンブラックなどの電子導電剤、滑剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
以上の構成の本組成物を用いて、これを架橋処理することにより、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体が得られる。また、本組成物を所定の形状に成形し、これを架橋処理することにより、本発明に係る電子写真機器用導電性部材の基材が得られる。
電子写真機器用導電性部材としては、上述するように、電子写真機器に用いられる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材(導電性ロール)や、電子写真機器に用いられる転写ベルトなどのベルト状の導電性部材(導電性ベルト)などを挙げることができる。特に、帯電ロールに対する感光ドラム、現像ロールに対する現像ブレードなどのように一定の荷重で圧接された状態で使用される導電性ロールに好適である。
図1および図2に、本発明に係る電子写真機器用導電性部材としての導電性ロールの一例を示す。図1および図2は、本発明に係る導電性ロールの一例を示す周方向断面図である。
図1に示す導電性ロール10は、軸体12の外周に、基層14と、表層16とがこの順に積層された積層構造を有している。一方、図2に示す導電性ロール10は、軸体12の外周に、基層14と、中間層18と、表層16とがこの順に積層された積層構造を有している。なお、導電性ロールの構成としては、図1および図2に示す構成に特に限定されるものではない。
本組成物は、導電性ロール10の基層14を形成する材料として好適に用いられる。基層14は、軸体12をロール成形金型の中空部に同軸的に設置し、本組成物を注入して、加熱・硬化させた後、脱型する方法(注入法)、あるいは、軸体12の表面に本組成物を押出成形する方法(押出法)などにより、形成できる。
基層14の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.1〜10mm、より好ましくは、1〜5mmの範囲内である。また、基層14の体積抵抗率は、好ましくは、10〜5×10Ω・cm、より好ましくは、10〜3×10Ω・cm、さらに好ましくは、10〜1×10Ω・cmの範囲内である。
軸体12は、導電性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属製の中実体、中空体からなる芯金などを例示することができる。軸体12の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
表層16は、ロール表面の保護層などとして機能し得る。表層16を形成する主材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキサイド(変性ポリフェニレンエーテル)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアリルエーテルニトリル、ニトリルゴム、ウレタンゴム、これらを架橋した樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。とりわけ、耐摩耗性に優れるなどの観点から、架橋ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、ウレタンゴム、ポリアミドなどを好適に用いることができる。
表層16には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。また、必要に応じて、各種添加剤を適宜添加しても良い。
中間層18は、抵抗調整層や、基層14と表層16との接着層などとして機能し得るものである。中間層18を形成する主材料としては、例えば、ヒドリンゴム(CO、ECO、COのAGE共重合体(GCO)、ECOのAGE共重合体(GECO))、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム、ウレタン系エラストマー、フッ素ゴム、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
中間層18には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。さらに、必要に応じて、発泡剤、架橋剤、架橋促進剤、軟化剤(オイル)等の添加剤を適宜添加しても良い。
基層14の外周に中間層18を形成する場合には、基層14を形成した軸体12をロール成形金型の中空部に同軸的に設置し、中間層形成用組成物を注入して、加熱・硬化させた後、脱型する方法(注入法)、あるいは、基層14の表面に中間層形成用の組成物を押出成形する方法(押出法)などにより、形成できる。
中間層18の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.001〜2mm、より好ましくは、0.01〜0.5mmの範囲内である。また、中間層18の体積抵抗率は、好ましくは、10〜5×10Ω・cm、より好ましくは、10〜3×10Ω・cm、さらに好ましくは、10〜1×10Ω・cmの範囲内である。
表層16を形成するには、表層形成用組成物を用いる。表層形成用組成物は、上記主材料、導電剤、必要に応じて含有されるその他の添加剤を含有するものからなる。添加剤としては、滑剤、加硫促進剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などを挙げることができる。
表層形成用組成物は、粘度を調整するなどの観点から、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、THF、DMFなどの有機溶剤や、メタノール、エタノールなどの水溶性溶剤などの溶剤を適宜含んでいても良い。
表層16は、基層14の外周、または、中間層18の外周に、表層形成用組成物を塗工するなどの方法により、形成できる。塗工方法としては、ロールコーティング法や、ディッピング法、スプレーコート法などの各種コーティング法を適用することができる。塗工された表層16には、必要に応じて、紫外線照射や熱処理を行なっても良い。
表層16の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01〜100μmの範囲内、より好ましくは0.1〜20μmの範囲内、さらに好ましくは0.3〜10μmの範囲内である。表層16の体積抵抗率は、好ましくは、10〜10Ω・cm、より好ましくは、10〜10Ω・cm、さらに好ましくは、10〜10Ω・cmの範囲内である。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
<導電性組成物の調製>
表1または表2に示す配合割合(単位は質量部)となるように各成分を秤量し、これらを攪拌機により撹拌、混合して、実施例、比較例に係る導電性組成物を調製した。
<導電性ロールの作製>
(基層の形成)
成形金型に芯金(直径6mm)をセットし、上記導電性組成物を注入し、170℃で30分加熱した後、冷却、脱型して、芯金の外周に、厚み2mmの基層を形成した。
(表層の形成)
N−メトキシメチル化ナイロン100質量部と、c−SnO60質量部と、クエン酸1質量部と、メタノール300質量部とを混合して、表層形成用組成物を調製した。次いで、基層の表面に表層形成用組成物をロールコートし、150℃で30分加熱して、基層の外周に、厚み10μmの表層を形成した。これにより、実施例、比較例に係る導電性ロールを作製した。
この際、使用した各成分は、以下の通りである。
(イオン導電性ゴム)
・ヒドリンゴム(ECO)[ダイソー社製、「エピクロマーCG102」]
・ニトリルゴム(NBR)[日本ゼオン社製、「DN219」]
・エポキシ化天然ゴム[Muang Mai Guthric Public Campany Limited製、「EPOXYPRENE50」]
・エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)[三井化学社製、「EPT4021」]
(過酸化物架橋剤)
・2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン[日油社製、「パーヘキサ25B40」]
(マレイミド化合物)
・(c1)4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン[大和化成工業株式会社製、「BMI−1000」]
・(c2)3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン[大和化成工業株式会社製、「BMI−5100」]
・(c3)4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル[大和化成工業株式会社製、「BMI−6000」]
・(c4)1−メチル−4−マレイミドベンゼン[大和化成工業株式会社製、「BMI−2300」]
・(c5)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン[大和化成工業株式会社製、「BMI−4000」]
・(c6)4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン[大和化成工業株式会社製、「BMI−8000」]
・(c7)1,6−ビスマレイミド−2,2,4−トリメチルヘキサン[大和化成工業株式会社製、「BMI−TMH」]
・(c8)1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン[大和化成工業株式会社製]
・(c9)1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン[大和化成工業株式会社製]
(その他の添加剤)
・脱塩素架橋剤:6−メチルキノキサリン−2,3−ジチオカーボネート[ダイソー社製、「ダイソネットXL−21S」]
・脱塩素架橋促進剤:1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7[ダイソー社製、「P−152」]
・イオン導電剤:テトラブチルアンモニウムブロマイド[ライオン・アクゾ社製、「TBAB−100」]
・カーボンブラック:[ケッチェンブラックインターナショナル社製、「ケッチェンブラックEC300J」]
・(e1)m−フェニレンビスマレイミド[大和化成工業株式会社製、「BMI−3000」]
・(e2)4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド[大和化成工業株式会社製、「BMI−7000」]
・(e3)トリメチロールプロパントリメタクリレート[精工化学社製、「ハイクロスM」]
・(e4)メタクリル酸マグネシウム[三新化学社製、「サンエステルSK13」]
・(e5)トリアリルイソシアヌレート[日本化成社製、「タイク」]
各導電性組成物について、架橋特性を評価した。また、各導電性組成物の架橋体について、物性(圧縮永久ひずみ、タイプA硬度、体積抵抗率、引張強度)を測定した。また、作製した各導電性ロールの基層について、特性(基層表面の割れ、高速成形性)を評価した。さらに、作製した各導電性ロールを組み込んだ電子写真機器について、製品特性(耐ヘタリ性、汚染性、帯電性)を評価した。それぞれの測定方法あるいは評価方法は下記に示す通りである。
(導電性組成物の架橋特性)
アルファテクノロジーズ(株)のレオメーターMDR2000を用いて、180℃で20分間測定し、t90の時間(min)によって架橋速度を判定した。この際、キュラストt90(min)が6.0未満の場合を良好とした。
(圧縮永久ひずみ)
JIS K 6262に準拠し、70℃、25%圧縮、22時間で測定した。この際、圧縮永久ひずみが20%未満の場合を良好とした。
(タイプA硬度)
JIS K 6253のデュロメータ硬さ試験に準拠し、タイプAデュロメータを用いて測定した。この際、タイプA硬度が55度未満の場合を良好とした。
(体積抵抗率)
各導電性組成物を用いて180℃で20分間プレス架橋成形を行い、厚さ2mmのシート状サンプルを得た。得られたシート状サンプルにおける一方の表面上に銀ペーストを塗布することにより、10×10mmの大きさの電極を設けた(ガード電極付き)。一方、電極を設けた面と反対側の面に対向電極を設け、印加電圧100Vの条件下における両電極間の抵抗を、JIS K 6911に準拠して測定した。この際、体積抵抗率が50×10Ω・cm未満の場合を良好とした。
(引張強度)
JIS K6251に準拠して、引張試験機(東洋精機製作所製、「AE−Fストログラフ」)を用い、上記シート状サンプルについて破断時引張強度を測定した。この際、引張強度が2.5MPaより大きい場合を良好とした。
(基層表面の割れ)
金型温度150℃で基層を脱型したときに、面長部分の割れが発生しないものを「○」、面長部分の割れが発生するものを「×」とした。
(高速成形性)
架橋条件160℃×30分で基層を金型成形したときに、ロール面長部にわたってベタ付きがなく十分に架橋できている場合を「○」、ロール面長部にわたってベタ付きがあり架橋が不十分である場合を「×」とした。
(耐ヘタリ性)
作製した各導電性ロールを、帯電ロールとしてRICOH社製CX3000機のカートリッジに組み込み、30℃×80%RH環境で10日間放置した後、画出しを行った。ロール表面の変形部分での濃度ムラが画像に全く見られないものを「◎」、当該部分での濃度ムラが画像にかすかに見られる程度のものを「○」、当該部分での濃度ムラが画像にはっきり見られるものを「×」とした。
(汚染性)
作製した各導電性ロールを、帯電ロールとしてRICOH社製CX3000機のカートリッジに組み込み、画出しを行った。各導電性ロールの基層から発生した架橋残渣成分(汚染成分)による画像ムラが全く見られないものを「◎」、架橋残渣成分による画像ムラがわずかに見られる程度のものを「○」、架橋残渣成分による画像ムラがはっきり見られるものを「×」とした。
(帯電性)
作製した各導電性ロールを、帯電ロールとしてRICOH社製CX3000機のカートリッジに組み込み、感光ドラムと帯電ロールとを接触させた状態で感光ドラム、帯電ロールともに60rpmの速度で回転させながら、帯電ロールに−1200Vの電圧を印加した。このとき、帯電ロールの位置から感光ドラムの周方向に90°回った位置で、感光ドラムから2mm離した位置に表面電位計(トレックジャパン(株)製、「MODEL−370」)のプローブを配置し、暗所で感光ドラム中央部の表面電位(帯電量)を測定した。この際、2周目の波形の平均値が−550V以下の場合を良好「◎」、−450V以下−550V超の場合を良「○」、−450V超の場合を不良「×」とした。
Figure 0005421195
Figure 0005421195
比較例1〜2は、過酸化物架橋剤にマレイミド化合物を併用していない例である。過酸化物架橋剤の配合量が比較的少ない比較例1では、特に架橋速度が遅いとともに、引張強度にも劣っていることが分かる。これに対し、比較例1よりも過酸化物架橋剤の配合量を多くした比較例2では、架橋速度および引張強度がそれほど改善されていない。そして、過酸化物架橋剤の配合量を多くしたことにより汚染性が悪化している。
比較例3〜4は、本願の請求範囲に含まれないマレイミド化合物を過酸化物架橋剤に併用した例である。これらによれば、特定のマレイミド化合物でないため、体積抵抗率が大きくなりすぎて、帯電性に劣っていることが分かる。また、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができないといえる。
比較例5〜7は、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メタクリル酸マグネシウム、あるいは、トリアリルイソシアヌレートを過酸化物架橋剤に併用した例である。これらによれば、特定のマレイミド化合物を併用していないため、ヘタリ性、硬度、あるいは、引張強度の面で少なくとも満足されない。
比較例8〜14は、各成分の配合量が本願の特定範囲内にない例である。比較例8は、特定のマレイミド化合物の配合量が少ないため、耐ヘタリ性に劣っている。比較例9は、過酸化物架橋剤の配合量が少ないため、耐ヘタリ性に劣っている。比較例10は、特定のマレイミド化合物の配合量が多いため、体積抵抗率が大きくなり(高抵抗であり)、帯電性に劣っている。また、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができないといえる。比較例11は、過酸化物架橋剤の配合量が少ないため、マレイミド化合物の反応性が低下し、過酸化物架橋剤とともに配合したマレイミド化合物が未反応のままで多く残る結果、汚染性に劣っている。比較例12は、特定のマレイミド化合物の配合量が過酸化物架橋剤の配合量よりも少ないため((c)成分の含有量が(b)成分の含有量以上になっていないため)、架橋速度が遅いことが分かる。比較例13は、過酸化物架橋剤の配合量が本願の請求範囲の上限である場合において特定のマレイミド化合物の配合量が多いため、硬度が高すぎる。そのため、感光ドラムなどの相手部材との安定したニップ幅を確保できず、帯電性に劣っている。また、導電性部材として求められる導電性を有利に発現させることができないといえる。比較例14は、特定のマレイミド化合物の配合量が本願の請求範囲の上限である場合において過酸化物架橋剤の配合量が多いため、硬度が高いとともに汚染性にも劣っていることが分かる。
これらに対し、実施例は、架橋後に優れた耐ヘタリ性と低硬度を両立できるとともに、架橋残渣成分の発生を抑えることによる汚染性の低減と架橋速度の向上を両立でき、さらには、体積抵抗率を低くでき、架橋後の引張強度に優れることが確認できた。
また、実施例1と実施例18とを比較すれば、さらに脱塩素架橋剤を配合することにより、圧縮永久ひずみが低減でき、より一層、耐ヘタリ性に優れることが分かる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 電子写真機器用導電性ロール
12 軸体
14 基層
16 表層
18 中間層

Claims (5)

  1. (a)イオン導電性ゴムと、
    (b)過酸化物架橋剤と、
    (c)下記(c1)〜(c9)のいずれか1種または2種以上のマレイミド化合物と、を含有し、
    前記(b)成分の含有量は、前記(a)成分100質量部に対して0.1〜2質量部の範囲内であり、
    前記(c)成分の含有量は、前記(b)成分の含有量以上、かつ、前記(a)成分100質量部に対して0.5〜8質量部の範囲内であることを特徴とする電子写真機器用導電性組成物。
    ただし、
    (c1)4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
    (c2)3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン
    (c3)4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル
    (c4)1−メチル−4−マレイミドベンゼン
    (c5)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン
    (c6)4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン
    (c7)1,6−ビスマレイミド−2,2,4−トリメチルヘキサン
    (c8)1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン
    (c9)1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン
  2. 前記(a)成分は、ヒドリンゴム、ニトリルゴム、および、エポキシ変性ゴムから選択された1種または2種以上のイオン導電性ゴムであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用導電性組成物。
  3. 前記(a)成分はヒドリンゴムであり、該ヒドリンゴムとともに(d)脱塩素架橋剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用導電性組成物。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の導電性組成物の架橋体よりなる電子写真機器用導電性架橋体。
  5. 請求項4に記載の導電性架橋体を用いた電子写真機器用導電性部材。
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