JP6343579B2 - 電子写真機器用導電性ロール - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真機器用導電性ロールに関するものである。
電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器において、感光ドラムの周囲には、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性ロールが配設されている。導電性ロールとしては、軸体の外周に導電性ゴム弾性体層を有するものが知られている。
特開2008−250101号公報
特許文献1では、導電性ゴム弾性体層の極性ゴム材料からなる連続相中に非極性ゴム材料が島相として分散された構造により、優れた低へたり性を発揮しつつ、十分な低硬度化が図られている。しかし、例えば現像ロールでは、トナーに与えるストレスをより軽減し、トナーをより破壊しにくくしてさらに画質寿命を長くする、接触する部材からの圧縮によってのロール形状をよりクリープしにくくしてさらに製品寿命を長くするなどの観点から、導電性ゴム弾性体層において、従来よりも低硬度かつ低へたりであることが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、従来よりも低硬度かつ低へたりである導電性ゴム弾性体層を有する電子写真機器用導電性ロールを提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用導電性ロールは、軸体と、前記軸体の外周に配置された導電性ゴム弾性体層と、を備え、前記導電性ゴム弾性体層が、極性ゴム、非極性ゴム、分散剤を含有し、前記極性ゴムが、ニトリルゴム、ヒドリンゴムおよびクロロプレンゴムのうちの少なくとも1種であり、前記非極性ゴムが、イソプレンゴム、水添イソプレンゴムおよび天然ゴムのうちの少なくとも1種であり、前記分散剤が、ニトリルゴム成分からなるブロックとイソプレンゴム成分からなるブロックとを有するポリマー、変性天然ゴムおよび変性イソプレンゴムのうちの少なくとも1種であることを要旨とするものである。
前記導電性ゴム弾性体層は、前記極性ゴムからなる連続相と、前記非極性ゴムからなる連続相または分散相と、を有することが好ましい。前記分散剤の含有量は、前記極性ゴムと前記非極性ゴムの合計100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲内であることが好ましい。前記分散剤は、エポキシ化天然ゴムおよびエポキシ化イソプレンゴムのうちの少なくとも1種であることが好ましい。前記極性ゴムからなる連続相は、前記非極性ゴムからなる連続相または分散相よりも導電剤を多く含有していることが好ましい。前記極性ゴムと前記非極性ゴムの含有比率は、質量比で、20:80〜90:10の範囲内であることが好ましい。
本発明に係る電子写真機器用導電性ロールによれば、導電性ゴム弾性体層の極性ゴムと非極性ゴムとが分散剤によって、極性ゴムと非極性ゴムとを単にブレンドしただけでは得られない、低硬度かつ低へたりが発揮される。
導電性ゴム弾性体層において、極性ゴムからなる連続相に対し、非極性ゴムからなる相が分散相であると、導電性ゴム弾性体層の厚さ方向に極性ゴムからなる連続相がつながりやすいため、導電性を向上しやすい。分散剤の含有量が特定範囲内であると、より一層、低硬度かつ低へたりとなる。分散剤がエポキシ化天然ゴムであると、より一層、低硬度かつ低へたりとなる。極性ゴムからなる連続相が非極性ゴムからなる連続相または分散相よりも導電剤を多く含有していると、導電性を確保しつつ低硬度化を図りやすい。極性ゴムと非極性ゴムの含有比率が特定範囲内であると、導電性、低硬度、低へたりのバランスに優れる。
本発明の一実施形態に係る電子写真機器用導電性ロールの外観模式図(a)と、そのA−A線断面図(b)である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子写真機器用導電性ロールの外観模式図(a)と、そのA−A線断面図(b)である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る電子写真機器用導電性ロール(以下、単に導電性ロール10ということがある)は、軸体12と、軸体12の外周に配置された導電性ゴム弾性体層14と、を備える。
軸体12は、導電性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属製の中実体、中空体からなる芯金などを挙げることができる。軸体12の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
導電性ゴム弾性体層14は、導電性ゴム組成物により形成される。導電性ゴム組成物は、所定の加硫剤(架橋剤)によって加硫(架橋)される。導電性ゴム弾性体層(導電性ゴム組成物)14は、極性ゴム、非極性ゴム、分散剤を含有する。
極性ゴムは、極性基を有するゴムである。極性基としては、クロロ基、ニトリル基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられる。極性ゴムとしては、具体的には、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)、ウレタンゴム(U)、アクリルゴム(アクリル酸エステルと2−クロロエチルビニルエーテルとの共重合体、ACM)、クロロプレンゴム(CR)などが挙げられる。ヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリンの単独重合体(CO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体(GCO)、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)などが挙げられる。これらは、極性ゴムとして単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、より低抵抗であるなどの観点から、ヒドリンゴム、ニトリルゴム(NBR)が好ましい。
非極性ゴムは、極性基を有していないゴムである。極性基としては、クロロ基、ニトリル基、カルボキシル基、エポキシ基などが挙げられる。非極性ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、水添イソプレンゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、シリコーンゴム(Q)などが挙げられる。これらは、非極性ゴムとして単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、低硬度かつ低へたりにしやすいなどの観点から、天然ゴム、イソプレンゴムが好ましい。
分散剤は、具体的には、極性ゴム成分からなるブロックと非極性ゴム成分からなるブロックとを有するポリマーや、変性天然ゴム、変性イソプレンゴムなどが挙げられる。極性ゴム成分からなるブロックとしては、ニトリルゴム成分(NBR成分)からなるブロックなどが挙げられる。非極性ゴム成分からなるブロックとしては、イソプレンゴム成分(IR成分)からなるブロックなどが挙げられる。このようなポリマーとしては、ニトリルゴム成分からなるブロックとイソプレンゴム成分からなるブロックとを有するポリマーなどが挙げられる。変性天然ゴムとしては、エポキシ化天然ゴム、塩素化天然ゴム、ニトリル化天然ゴム(アクリロニトリル化天然ゴム)などが挙げられる。変性イソプレンゴムとしては、エポキシ化イソプレンゴム、塩素化イソプレンゴム、ニトリル化イソプレンゴム(アクリロニトリル化イソプレンゴム)、マレイン酸変性イソプレンゴム、(メタ)アクリル酸変性イソプレンゴムなどが挙げられる。これらは、分散剤として単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、分散効果(非極性ゴムの微分散効果)に特に優れるなどの観点から、エポキシ化天然ゴム、エポキシ化イソプレンゴムが特に好ましい。
分散剤により、非極性ゴムが微分散される。これにより、導電性ゴム弾性体層14の硬度および弾性回復率が、極性ゴムの硬度および弾性回復率と非極性ゴムの硬度および弾性回復率との間で線形的に向上する。そしてこれにより、電子写真機器用導電性ロールとして求められる低抵抗を確保しつつ、従来よりも低硬度かつ低へたりを満足することができる。
上記効果により優れるなどの観点から、極性ゴム、非極性ゴム、分散剤の組み合わせとしては、NBR、IR、エポキシ化天然ゴムの組み合わせが特に好ましい。
分散剤の含有量は、低硬度かつ低へたりを満足させやすいなどの観点から、極性ゴムと非極性ゴムの合計100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましい。より好ましくは0.5質量部以上、さらに好ましくは1.0質量部以上である。また、低抵抗で低硬度を確保しやすいなどの観点から、極性ゴムと非極性ゴムの合計100質量部に対し、20質量部以下であることが好ましい。より好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下である。
極性ゴムと非極性ゴムの含有比率は、低抵抗を確保しやすいなどの観点から、両者の合計において、極性ゴムが20質量%以上であることが好ましい。より好ましくは30質量%以上である。また、低硬度かつ低へたりを満足させやすいなどの観点から、非極性ゴムが10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上である。よって、極性ゴムと非極性ゴムの含有比率は、導電性、低硬度、低へたりのバランスに優れるなどの観点から、質量比で、20:80〜90:10の範囲内であることが好ましい。より好ましくは30:70〜80:20の範囲内である。
導電性ゴム弾性体層(導電性ゴム組成物)14は、低抵抗などの観点から、必要に応じ、導電剤を含有する。導電剤としては、イオン導電剤、電子導電剤が挙げられる。導電剤は、電子写真機器用導電性ロールの導電性ゴム弾性体層に添加されるイオン導電剤、電子導電剤を用いることができる。
イオン導電剤としては、第四級アンモニウム塩、第四級ホスホニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤などが挙げられる。イオン導電剤の含有量は、低抵抗、ブリードなどの観点から、極性ゴム100質量部に対し、0.1〜10質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5〜5.0質量部の範囲内である。
電子導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、チタン酸カリウム、酸化鉄、導電性酸化チタン、導電性酸化亜鉛、導電性酸化スズなどが挙げられる。電子導電剤の含有量は、低抵抗、低硬度、低へたりなどの観点から、極性ゴム100質量部に対し、1.0〜20質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは5.0〜15質量部の範囲内である。
導電性ゴム弾性体層(導電性ゴム組成物)14は、必要に応じ、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫助剤(架橋助剤)などを含有する。また、増量剤、補強剤、加工助剤、酸化防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、滑剤などの添加剤を1種または2種以上含有することができる。
加硫剤(架橋剤)としては、硫黄、過酸化物などが挙げられる。加硫剤(架橋剤)のうちでは、より低へたりにしやすいなどの観点から、過酸化物がより好ましい。過酸化物の配合量は、低へたりにしやすいなどの観点から、極性ゴムおよび非極性ゴムの合計100質量部に対し、0.5〜7質量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.0〜5質量部の範囲内である。
導電性ゴム弾性体層14において、導電性の観点から、極性ゴムからなる相は、連続相にするのがよい。非極性ゴムからなる相は、連続相であってもよいし、分散相(非連続相)であってもよい。分散相は、連続相中に島状に点在する相である。非極性ゴムからなる相が分散相であると、極性ゴムからなる相は導電性ゴム弾性体層14の周方向および厚さ方向の両方に連続する連続相となるため、導電性を確保しやすい。また、導電性、低抵抗などの観点から導電剤を配合する場合においては、極性ゴムからなる相のみに配合するか、非極性ゴムからなる相への配合量を少なくすることができる。これにより、所望の導電性を得るための導電剤の配合量を少なくできる。特に電子導電剤の配合量を少なくすることで、硬度の上昇が抑えられ、低硬度かつ低へたりを満足しやすい。よって、非極性ゴムからなる相は、分散相にすることがより好ましい。
導電性、低抵抗などの観点から導電剤を配合する場合においては、極性ゴムからなる連続相が、非極性ゴムからなる連続相または分散相よりも導電剤を多く含有していることが好ましい。これにより、導電性を確保しつつ低硬度化を図りやすい。
極性ゴムからなる相に含有する導電剤の量と非極性ゴムからなる相に含有する導電剤の量を異ならせるには、予め極性ゴムと導電剤とを混練した後、導電剤を含む極性ゴムと導電剤を含まない非極性ゴムとを混練するなどの方法により、導電性ゴム組成物を調製すればよい。または、予め極性ゴムと非極性ゴムのそれぞれに導電剤を配合するが、極性ゴムに多めに導電剤を配合した後、導電剤をより多く含む極性ゴムと導電剤を含む非極性ゴムとを混練するなどの方法により、導電性ゴム組成物を調製すればよい。
所定の導電性ゴム組成物を用いたことにより、導電性ゴム弾性体層14は、導電性に優れ、低硬度かつ低へたりを満足する。導電性の観点から、導電性ゴム弾性体層14の抵抗値は1.0×10〜1.0×10Ωの範囲内であることが好ましい。また、従来よりも低硬度の観点から、導電性ゴム弾性体層14のMD−1硬度は47以下であることが好ましい。より好ましくは45以下である。また、従来よりも低へたりの観点から、導電性ゴム弾性体層14の弾性回復率は80%超であることが好ましい。より好ましくは85%以上である。MD−1硬度は、片持ち梁形板バネ式の荷重方式のスプリング式硬さ試験機(高分子計器社製、「マイクロゴム硬度計・MD−1型」)を用いて測定される。MD−1硬度測定値は、測定するゴムの厚みが1〜2mmのもので測定した値とする。弾性回復率は、ISO14577−1に準拠し、微小硬度計(Fischer社製、フィッシャースコープH100C)を用いて測定される。
導電性ゴム弾性層14の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜10mm程度に形成され、好ましくは1〜5mmである。導電性ゴム弾性層14は、ソリッド状の非発泡体であってもよいし、スポンジ状等の発泡体であってもよい。
導電性ロール10は、例えば次のように製造することができる。まず、必要に応じ、軸体12の外周に接着剤組成物を塗布する。次いで、塗布した接着剤組成物の外周に導電性ゴム組成物を層状に成形する。導電性ゴム組成物の成形は、押出成形あるいは型成形により行うことができる。導電性ゴム組成物は、押出成形時あるいは型成形時の加熱等により、架橋・硬化される。これにより、軸体12の外周に導電性ゴム弾性体層14を有する導電性ロール10が得られる。
導電性ゴム弾性体層14の外周には、必要に応じて、導電性ゴム弾性体層14の表面を保護する、導電性ロール10の表面特性(低摩擦性、離型性、荷電性など)を付与するなどの目的で、表層が形成されていても良い。また、導電性ゴム弾性体層14の外周で表層下には、導電性ロール10全体の抵抗を調整する抵抗調整層などの中間層が形成されていても良い。
表層を形成する主材料としては、特に限定されるものではなく、ポリアミド(ナイロン)系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系、フッ素系のポリマーを挙げることができる。これらのポリマーは、変性されたものであっても良い。変性基としては、例えば、N−メトキシメチル基、シリコーン基、フッ素基などを挙げることができる。
表層には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。また、必要に応じて、各種添加剤を適宜添加しても良い。
表層を形成するには、表層形成用組成物を用いる。表層形成用組成物は、上記主材料、導電剤、必要に応じて含有されるその他の添加剤を含有するものからなる。添加剤としては、滑剤、加硫促進剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などを挙げることができる。
表層形成用組成物は、粘度を調整するなどの観点から、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、THF、DMFなどの有機溶剤や、メタノール、エタノールなどの水溶性溶剤などの溶剤を適宜含んでいても良い。
表層は、導電性ゴム弾性体層14の外周に表層形成用組成物を塗工するなどの方法により、形成できる。塗工方法としては、ロールコーティング法や、ディッピング法、スプレーコート法などの各種コーティング法を適用することができる。塗工された表層には、必要に応じて、紫外線照射や熱処理を行なっても良い。
表層の厚さは、通常、0.01〜100μm、0.1〜20μm、あるいは、0.3〜10μmに設定される。表層の体積抵抗率は、通常、10〜10Ω・cm、10〜10Ω・cm、あるいは、10〜10Ω・cmに設定される。
また、表層の形成に代えて、導電性ゴム弾性体層14あるいは抵抗調整層などの中間層に表面改質を施すことにより、表層を形成することと同等の表面特性を有するようにすることもできる。表面改質方法としては、UVや電子線を照射する方法、基層の不飽和結合やハロゲンと反応可能な表面改質剤、例えば、イソシアネート基、ヒドロシリル基、アミノ基、ハロゲン基、チオール基などの反応活性基を含む化合物と接触させる方法などが挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
使用した材料の詳細について以下に示す。
(極性ゴム)
・ニトリルゴム(NBR):JSR社製「N237H」
・ヒドリンゴム(ECO):日本ゼオン社製「HydrinT3106」
・クロロプレンゴム(CR):[昭和電工製「ショープレンGW」]
(非極性ゴム)
・イソプレンゴム(IR):JSR社製「JSR IR2200」
・天然ゴム(NR):「RSS1」
・水添イソプレン(水添IR):クラレ社製「L−IR290」
(分散剤)
・分散剤(1):マレイン酸変性IRと両末端アミン変性NBRの反応生成物
・分散剤(2):NBRとIRのブロック共重合体
・分散剤(3):エポキシ変性NR(Muang Mai Guthrie Public Company Limited社製「EPOXYPRENE50」)
・分散剤(4):エポキシ化変性IR 合成品
・分散剤(5):ニトリル変性NR 合成品
(導電剤)
・イオン導電剤:テトラブチルアンモニウムブロマイド、ライオン・アクゾ(株)製「TBAB−100」
・カーボンブラック(電子導電剤):電気化学工業社製「デンカブラック」
(加硫剤、加硫促進剤)
・過酸化物:日油(株)製「パークミルD40」
・硫黄(加硫剤)
・加硫促進剤(1):スルフェンアミド系、大内新興化学工業社製「ノクセラーMSA」
・加硫促進剤(2)チウラム系、大内新興化学工業社製「ノクセラーTOT−N」
(実施例1〜17、比較例1〜6)
<導電性ゴム組成物の調製>
表1、2に示す配合組成(質量比)で、極性ゴム、非極性ゴム、分散剤、導電剤、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤を配合し、攪拌機により撹拌、混合して、導電性ゴム組成物を調製した。
<導電性ロールの作製>
φ9mmの円筒状の成形キャビティを有する成形金型の中心軸上に芯金(直径6mm)をセットし、この成形金型内に導電性ゴム組成物を注入し、160℃で30分加熱・架橋させ、冷却、脱型して、芯金の外周に、厚さ1.5mmの導電性ゴム弾性体層を形成した。これにより、導電性ロールを作製した。
得られた各導電性ロールの導電性ゴム弾性体層について、弾性回復率、MD−1硬度、抵抗値を測定した。また、セット性、耐久カブリ性、画像濃度の各製品特性を評価した。セット性は、導電性ゴム弾性体層のへたり性に影響される。耐久カブリ性は、導電性ゴム弾性体層の硬度に影響される。画像濃度は、導電性ゴム弾性体層の抵抗値(導電性)に影響される。
(弾性回復率)
ISO14577−1に準拠し、微小硬度計(Fischer社製、フィッシャースコープH100C)を用いて、導電性ゴム弾性体層の表面を下記の測定条件にて測定し、ηIT[%]を求めた。すなわち、微小硬度計を用いて、試験荷重を一定にして、材料表面に圧子を押し込むと、押し込み仕事中に示されるくぼみの全機械的仕事量Wtotalは、くぼみの塑性変形仕事量Wplastとしてごく一部だけ消費される。試験荷重の除荷時に、残りの部分は、くぼみの弾性戻り変形仕事Welastとして開放される。この機械的仕事をW=∫Fdhと定義とすると、その関係は以下の通りである。弾性回復率が85%以上を低へたりとし、85%未満を高へたりとした。
ηIT[%]=Welast/Wtotal
但し、Wtotal=Welast+Wplast
<測定条件>
圧子:対面角度136°の四角垂型ダイヤモンド圧子
初期荷重:0mN
押込み最大荷重:20mN(定荷重)
最大荷重到達時間:0.25〜10sec
最大荷重保持時間:5sec
抜重時間:0.25〜10sec
測定温度:25℃
(MD−1硬度(マイクロゴム硬度))
片持ち梁形板バネ式の荷重方式のスプリング式硬さ試験機(高分子計器社製、「マイクロゴム硬度計・MD−1型」)を用い、保持された各導電性ロールの導電性ゴム弾性体層の軸方向中央部の表面に、該硬さ試験機の押針の先端を接触させ、更に該試験機を33.85gの荷重で垂直に加圧して、直ちに目盛りを読み取ることにより測定した。MD−1硬度が45%以下を低硬度、45%超を高硬度とした。
(抵抗値)
導電性ロールの両端を所定の荷重にて金属ロール(直径:30mm)に押圧した状態で、かかる金属ロールを所定の回転数にて回転させることにより、導電性ロールを連れ回りさせた。かかる状態を保ちながら(金属ロール及び導電性ロールを共に回転させながら)、導電性ロールと金属ロールの端部間に300Vの電圧を印加して、流れる電流値を測定し、電気抵抗値(ロール抵抗:Ω)を求めた。体積抵抗が1×10Ω超の場合を高抵抗とし、1×10Ω〜1×10Ωの範囲の場合を低抵抗とした。
(セット性)
導電性ロールをカートリッジに組み付け、密封して常温常湿環境で14日間放置した。その後、常温常湿環境で画出しを行った。画にスジ状の不具合が見られた場合を不合格「×」とし、見られなかった場合を合格「○」とした。また、ロンコムにて導電性ゴム弾性体層の真円度を計測し、真円度からの凹み量からへたり量を測定した。へたり量が5μm以下の場合を低へたりとし、5μm超の場合を高へたりとした。セット性が合格「○」のうち、へたり量が2μm以下の場合を特に良好「◎」とした。
(耐久カブリ性)
導電性ロールをカートリッジに組み付け、白べた画を印字した。白色光度計で濃度を測定し、任意の9点で1.40〜1.46の範囲内であれば良好「○」、範囲外であれば不良「×」とした。耐久カブリ性が良好「○」のうち、白色光度が任意の9点で1.43〜1.45の範囲内のものを特に良好「◎」とした。
(画像濃度)
導電性ロールをカートリッジに組み付け、黒べた画を印字した。白色光度計で濃度を測定し、任意の9点で1.0〜2.0の範囲内であれば良好「○」、範囲外であれば不良「×」とした。画像濃度が良好「○」のうち、白色光度が任意の9点で1.3〜1.6の範囲内のものを特に良好「◎」とした。
Figure 0006343579
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比較例1〜3は、極性ゴムに対し非極性ゴムおよび分散剤を配合していない。つまり、ゴムが極性ゴムのみからなる。このため、加硫剤の配合量を調整しても、従来よりも高いレベルの低硬度かつ低へたりを満足することができない。このため、セット性と耐久カブリ性を両立できない。比較例4〜5は、非極性ゴムに対し極性ゴムおよび分散剤を配合していない。つまり、ゴムが非極性ゴムのみからなる。このため、導電剤の配合量を調整しても、低抵抗とした上で従来よりも高いレベルの低硬度かつ低へたりを満足することができない。このため、画像濃度とセット性、耐久カブリ性を両立できない。比較例6は、極性ゴムに対し非極性ゴムを配合しているが分散剤剤を配合していない。このため、極性ゴムと非極性ゴムの分散性が悪く、従来よりも高いレベルの低硬度かつ低へたりを満足することができない。このため、セット性と耐久カブリ性を両立できない。
これに対し、実施例によれば、極性ゴムに対し非極性ゴムおよび分散剤を配合しているため、極性ゴムと非極性ゴムの分散性がよく、低抵抗で従来よりも高いレベルの低硬度かつ低へたりを満足する。このため、セット性、耐久かぶり性、画像濃度のすべてに優れている。
分散剤のうちでは、エポキシ変性NR(実施例3)が、特に低硬度、低へたりとすることができ、他の分散剤(実施例1、2、4、5)を用いた場合と比較して、セット性、耐久かぶりの面でより優れる。非極性ゴムのうちでは、NR(実施例6)よりもIR(実施例3)のほうが低硬度、低へたりとすることができ、セット性の面でより優れる。極性ゴムのうちでは、ECO(実施例7)、CR(実施例8)よりもNBR(実施例3)のほうが低硬度、低へたりとすることができ、セット性の面でより優れる。実施例3、10〜12によれば、分散剤の配合量が多くなると、硬度が上昇する傾向がある。実施例13によれば、導電性向上のため電子導電剤(カーボンブラック)を配合すると、硬度、へたりが悪化する傾向がある。実施例14〜15によれば、極性ゴムが多いと、硬度、へたりが悪化する傾向があり、極性ゴムが少ないと、抵抗が上昇する傾向がある。実施例16〜17によれば、硫黄架橋よりも過酸化物架橋のほうが低へたりであることがわかる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 電子写真機器用導電性ロール
12 軸体
14 導電性ゴム弾性体層

Claims (6)

  1. 軸体と、前記軸体の外周に配置された導電性ゴム弾性体層と、を備え、
    前記導電性ゴム弾性体層が、極性ゴム、非極性ゴム、分散剤を含有し、
    前記極性ゴムが、ニトリルゴム、ヒドリンゴムおよびクロロプレンゴムのうちの少なくとも1種であり、
    前記非極性ゴムが、イソプレンゴム、水添イソプレンゴムおよび天然ゴムのうちの少なくとも1種であり、
    前記分散剤が、ニトリルゴム成分からなるブロックとイソプレンゴム成分からなるブロックとを有するポリマー、変性天然ゴムおよび変性イソプレンゴムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする電子写真機器用導電性ロール。
  2. 前記導電性ゴム弾性体層は、前記極性ゴムからなる連続相と、前記非極性ゴムからなる連続相または分散相と、を有することを特徴とする請求項1に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  3. 前記分散剤の含有量が、前記極性ゴムと前記非極性ゴムの合計100質量部に対し、0.1〜20質量部の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  4. 前記分散剤が、エポキシ化天然ゴムおよびエポキシ化イソプレンゴムのうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  5. 前記極性ゴムからなる連続相が、前記非極性ゴムからなる連続相または分散相よりも導電剤を多く含有していることを特徴とする請求項2、請求項2に従属する請求項3または4に記載の電子写真機器用導電性ロール。
  6. 前記極性ゴムと前記非極性ゴムの含有比率が、質量部で、20:80〜90:10の範囲内であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真機器用導電性ロール。
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