JP5255803B2 - 電子写真機器用導電性組成物、電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材 - Google Patents

電子写真機器用導電性組成物、電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真機器用導電性組成物、電子写真機器用導電性架橋体および電子写真機器用導電性部材に関するものである。
近年、電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリなどの電子写真機器が広く使用されるようになってきている。電子写真機器の内部には、通常、感光ドラムが組み込まれており、その周囲には、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどの導電性部材が配設されている。
電子写真機器では、一般に、帯電ロールにより感光ドラムの表面に静電荷を与え、その上に画像を露光して静電潜像を形成し、現像ロールによりトナーを静電潜像に付着させて現像した後、そのトナー像を記録紙に転写し、トナー像が転写された記録紙を加熱加圧してトナーを記録紙上に定着させることによって画像形成を行なっている。
帯電ロールの帯電方式としては、電源の低電圧化による省エネ化、低価格化を図りやすいDC帯電方式と、高速化、高画質化を目指して安定した帯電を得やすいAC・DC重畳帯電方式とが知られている。AC・DC重畳帯電方式は、ロールに起因する画像欠陥を緩和して高画質な画像を得ることができる反面、2方式の電源が必要であったり、電源容量が大きくなったりする問題や、交流波による帯電音発生の問題などがあることから、最近では、高速・高画質向けの帯電ロールにも、DC帯電方式を採用する場合が増えてきている。
帯電ロールや現像ロールなどの導電性部材を構成する材料には、要求される性能に応じて、種々の材料が検討されている。
例えば、特許文献1には、ロールの基材に、常温で弾性のあるNBR系ゴムまたはヒドリン系ゴムなどを使用し、この基材ゴムに架橋剤としての過酸化物を添加して、基材ゴムを三次元の網目構造に架橋させた現像ロールが開示されている。
また、特許文献2には、液状ブタジエンゴムや液状イソプレンゴムなどの液状ゴムに架橋剤としての過酸化物を添加して、液状ゴムを熱架橋させたゴム架橋物が開示されている。このゴム架橋物の特性、性能が有効に発揮される用途としては、電子写真機器に用いられる帯電ロール、現像ロールなどの導電性ロールなどが挙げられている。
特開2003−263021号公報 特開2007−131665号公報
しかしながら、特許文献1に示すように、導電性部材を構成する材料に常温で弾性のある固形(ミラブル)ゴムを用いると、組成物の粘度が高いため、組成物を金型に射出する際に高圧力がかかり、ひずみが生じる。これに伴い、成形された導電性部材に曲がり等が発生し、導電性部材の寸法精度が悪くなるという問題があった。導電性部材の寸法精度が悪くなると、感光ドラムへの接地性が悪くなり、画像が悪化する。
また、固形(ミラブル)ゴム自体が硬いので、架橋するとさらに硬度が上昇し、導電性部材の硬度が高くなりすぎるという問題があった。
例えば、導電性部材が帯電ロールである場合には、帯電ロールの硬度が上がると、感光体への接地性が悪化する。そのため、感光体上に残ったトナーがロール表面に不均一に付着し、耐久により付着ムラが大きくなる。これにより、耐久後の画像に画像ムラが発生する。また、例えば、導電性部材が現像ロールである場合には、現像ロールの硬度が上がると、トナーのストレスになり、画像が悪化する。
一方、特許文献2のゴム架橋物では、低硬度で、圧縮永久ひずみを低減化することができるとされているものの、電子写真機器に用いられる導電性部材に要求される低抵抗化を図ることが難しかった。例えば、導電性部材が帯電ロールである場合には、抵抗が上昇すると、初期の帯電量が不足し、初期および耐久後に帯電ムラが発生して、画像が悪化する。
本発明が解決しようとする課題は、寸法精度に優れ、低硬度で、低抵抗の電子写真機器用導電性部材を形成する電子写真機器用導電性組成物を提供することにある。また、他の課題としては、寸法精度に優れ、低硬度で、低抵抗の電子写真機器用導電性部材を形成する電子写真機器用架橋体を提供することにある。さらに、寸法精度に優れ、低硬度で、低抵抗の電子写真機器用導電性部材を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電子写真機器用導電性組成物は、液状ポリマーと、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、イオン導電剤とを含有することを要旨とする。
このとき、前記液状ポリマーとしては、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、および、液状スチレン−ブタジエンゴムから選択される1種または2種以上を好適に示すことができる。
そして、前記液状ポリマーは、極性基を有する液状ポリマーであると良い。
さらに、前記液状ポリマーは、変性液状ポリマーであると良い。
このとき、前記液状ポリマーは、マレイン酸変性またはカルボキシ変性による変性液状ポリマーであると良い。
そして、前記(メタ)アクリレートは、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートであると良い。
また、前記(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートであると良い。
そして、前記液状ポリマー100質量部に対して、前記(メタ)アクリレートを20〜80質量部含有することが望ましい。
一方、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体は、液状ポリマー間が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートで共架橋され、イオン導電剤を含有してなることを要旨とする。
また、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体は、上記導電性組成物が共架橋されてなることを要旨とする。
そして、本発明に係る電子写真機器用導電性部材は、上記導電性架橋体を用いたことを要旨とする。
本発明に係る電子写真機器用導電性組成物は、液状ポリマーと、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、イオン導電剤とを含有している。そのため、粘度が低くなり、金型に射出する際に、圧力上昇によるひずみが生じにくい。これにより、形成された導電性部材に曲がり等が発生するのを抑制し、導電性部材の寸法精度に優れる。また、液状ポリマーの代わりに固形ポリマーを含有する場合と比較して、形成される導電性部材の表面硬度を低く抑えることができる。その結果、導電性部材の感光ドラムへの接地性は良好になり、画像が良好になる。
そして、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートとイオン導電剤を含有することにより、形成される導電性部材の低抵抗化を図ることができる。これにより、例えば、帯電ロールに用いたときに、帯電ムラを抑えて、画像が良好になる。
このとき、上記液状ポリマーが、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、および、液状スチレン−ブタジエンゴムから選択される1種または2種以上であれば、上記効果に特に優れる。
そして、上記液状ポリマーが極性基を有する液状ポリマーであると、より一層、導電性部材の低抵抗化を図ることができる。
さらに、前記液状ポリマーが変性液状ポリマーであると、さらに、導電性部材の低抵抗化を図ることができる。
このとき、マレイン酸変性またはカルボキシ変性による変性液状ポリマーであると、導電性部材の低抵抗化を図る効果に優れる。
そして、上記(メタ)アクリレートがエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートであると、より一層、導電性部材の低抵抗化を図ることができる。
また、上記(メタ)アクリレートが単官能(メタ)アクリレートであると、導電性部材をより低硬度にすることができる。
そして、上記液状ポリマー100質量部に対して、上記(メタ)アクリレートを20〜80質量部含有すると、寸法精度の向上と、硬度、および、電気抵抗のバランスに優れる。
一方、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体は、液状ポリマー間が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートで共架橋され、イオン導電剤を含有してなる。また、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体は、上記導電性組成物が共架橋されてなる。したがって、これを用いれば、寸法精度に優れ、低硬度で、低抵抗の電子写真機器用導電性部材を形成することができる。
そして、本発明に係る電子写真機器用導電性部材は、上記導電性架橋体を用いている。そのため、低硬度、低抵抗で、寸法精度に優れる。
本発明の実施形態に係る電子写真機器用導電性組成物について詳細に説明する。
本発明に係る電子写真機器用導電性組成物(以下、導電性組成物ということがある。)は、液状ポリマーと、(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、イオン導電剤とを含有している。
液状ポリマーは、比較的分子量が小さい領域の化合物であり、架橋反応を行なうことにより、ゴム弾性を示すものである。液状ポリマーとしては、液状ゴムなど、常温で液状を示し、架橋することによって弾性を示すものであれば特に限定されるものではない。
本発明に係る導電性組成物は、液状ポリマーを含有しているため、固形ポリマーのみを含有する組成物と比較して、粘度が低くなる。したがって、これを用いて導電性部材を成形する場合には、金型に導電性組成物を射出する際に、圧力上昇によるひずみが生じにくい。そうすると、形成された導電性部材に曲がり等が発生するのを抑制する。曲がり等の発生が少ない導電性部材は、寸法精度に優れる。
また、架橋硬化させる前の組成物中に含まれるポリマーが液状ポリマーであると、固形ポリマーのみを含有する組成物と比較して、架橋硬化前の状態の硬度が低く抑えられ、架橋硬化後の状態の硬度を低くすることができる。
液状ポリマーは、極性基を有していると、なお良い。極性基を有していると、抵抗を低くする効果に優れる。また、イオン導電剤により抵抗を低くする効果を発揮させやすくする。極性基としては、クロロ基、ニトリル基、カルボキシル基、酸無水物基、水酸基、(メタ)アクリロイル基、アルキレンオキサイドなどを例示することができる。
極性基は、液状ポリマー自体が含有する極性基であっても良いし、変性により導入された極性基などであっても良い。すなわち、液状ポリマーは、変性液状ポリマーであっても良い。
変性としては、例えば、マレイン酸変性、カルボキシ変性、ヒドロキシ変性、(メタ)アクリル変性などを例示することができる。液状ポリマーが変性液状ポリマーであれば、さらに、抵抗を低くすることができる。特に、液状ポリマーが液状ブタジエンゴムや液状イソプレンゴムなどの極性基を有していない液状ポリマーである場合には、変性により液状ポリマーに極性基を導入して、低抵抗化を図ることができる。
液状ポリマーとしては、具体的には、例えば、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム(液状NBR)、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレン−ブタジエンゴム(液状SBR)、カルボキシ変性液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、カルボキシ変性液状ブタジエンゴム、ヒドロキシ変性液状ブタジエンゴム、(メタ)アクリル変性液状ブタジエンゴム、マレイン酸変性液状イソプレンゴム、カルボキシ変性液状イソプレンゴム、ヒドロキシ変性液状イソプレンゴム、(メタ)アクリル変性液状イソプレンゴムなどを例示することができる。これらは、1種または2種以上混合して用いても良い。
より好ましくは、液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム(液状NBR)、カルボキシ変性液状ブタジエンゴム、(メタ)アクリル変性液状ブタジエンゴム、マレイン酸変性液状イソプレンゴム、カルボキシ変性液状イソプレンゴム、(メタ)アクリル変性液状イソプレンゴムである。
液状ポリマーは、分子量は特に限定されるものではないが、常温で液状を示すものとして、数平均分子量が2000〜60000の範囲内にあるものが好ましい。
導電性組成物中に含有される(メタ)アクリレートは、極性基を有するポリマー間を共架橋する。(メタ)アクリレートが極性基を有するポリマー間を共架橋すると、架橋密度の上昇に伴って、得られる架橋体の耐ヘタリ性が向上する。すなわち、(メタ)アクリレートを添加して極性基を有するポリマーと反応させることで、架橋効率が上昇して架橋密度が上昇し、耐ヘタリ性が向上すると推察される。
(メタ)アクリレートは、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートである。(メタ)アクリレートがアルキレンオキサイド変性されているため、これを用いた架橋体の低抵抗化を図ることができる。また、イオン導電剤により抵抗を低くする効果を発揮させやすくする。
アルキレンオキサイド変性としては、エチレンオキサイド変性、プロピレンオキサイド変性、テトラメチレンオキサイド変性、または、これらの共重合変性などを例示することができる。これらのうち、より低抵抗になるなどの観点から、より好ましくは、エチレンオキサイド変性、プロピレンオキサイド変性、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性である。特に好ましくは、エチレンオキサイド変性である。
(メタ)アクリレートは、1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が1〜3個の範囲内にあることが好ましい。すなわち、一官能、二官能、または、三官能であることが好ましい。1分子中に含まれる(メタ)アクリロイル基の数が4個以上であると、極性基を有するポリマーを共架橋する官能基の数が(メタ)アクリレート1分子中に多く含まれ、架橋体の硬度が高くなりやすい。上記観点より、さらに好ましくは、一官能(単官能)の(メタ)アクリレートである。一官能(単官能)の(メタ)アクリレートであれば、架橋体の硬度を低硬度に維持することができる。
(メタ)アクリレートが極性基を有するポリマー間を共架橋すると、(メタ)アクリレートは極性基を有するポリマー間に配置され、極性基を有するポリマー間に比較的大きなぶらさがり構造が形成される。これにより極性ポリマー同士の凝集(結晶化)を抑制して、架橋体の硬度上昇を抑制するものと推察される。
アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートとしては、具体的には、例えば、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド(ブロックタイプ)変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールプロピレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレートなどを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
(メタ)アクリレートの含有量の下限値は、極性基を有するポリマー100質量部に対し、好ましくは、20質量部以上、より好ましくは、30質量部以上、さらに好ましくは、50質量部以上であると良い。(メタ)アクリレートの含有量が20質量部未満では、低抵抗にする効果が小さくなりやすい。
一方、(メタ)アクリレートの含有量の上限値は、極性基を有するポリマー100質量部に対し、好ましくは、80質量部以下、より好ましくは、70質量部以下であると良い。(メタ)アクリレートの含有量が80質量部を超えると、(メタ)アクリレートがブリードしやすくなり、製品の外観が悪化しやすい。
導電性組成物中に含有されるラジカル重合開始剤としては、過酸化物やアゾ化合物などが挙げられる。これらは1種または2種以上併用することができる。
過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド(DCP)、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ブチルパーアセテート、tert−ブチルパーベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(ベンゾイルパーオキシ)−3−ヘキセン、ジ−tert−ブチルパーオキシジイソプロピルベンゼン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)−3−ヘキセン、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、p−クロロベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどを例示することができる。
アゾ化合物としては、例えば、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンテン)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、2−シアノ−2−プロピラゾホルムアミド、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシ−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチル−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などを例示することができる。
ラジカル重合開始剤の含有量の下限値は、極性基を有するポリマー100質量部に対し、好ましくは、0.01質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上、さらに好ましくは、1質量部以上であると良い。一方、ラジカル重合開始剤の含有量の上限値は、極性基を有するポリマー100質量部に対し、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、10質量部以下であると良い。
導電性組成物中に含有されるイオン導電剤は、導電性組成物の架橋体の電気抵抗の調整を図りやすくする。また、抵抗ムラも比較的発生しにくくする。イオン導電剤としては、特に限定されることなく、電子写真機器分野で使用され得るものであれば、何れのものでも使用することができる。
イオン導電剤としては、例えば、下記式(1)で表される4級アンモニウム塩、下記式(2)で表されるホウ酸塩、界面活性剤などが挙げられる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
下記式(1)において、R1、R2、R3、R4は、炭素数1〜18のアルキル基またはアリール基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、キシリル基などを示し、Xn−はn価の陰イオンを示し、nは1〜6の整数を示す。n価の陰イオンとしては、ハロゲンイオン、ClO 、BF 、SO 2−、HSO 、CSO などが挙げられる。
また、下記式(2)において、R1、R2、R3、R4は、炭素数1〜18のアルキル基またはアリール基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、キシリル基などを示し、Mn+はアルカリ金属イオンもしくはアルカリ土類金属イオンであり、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどを示し、nは1〜2の整数を示す。
Figure 0005255803
Figure 0005255803
イオン導電剤の含有量の下限値は、極性基を有するポリマー100質量部に対し、好ましくは、0.01質量部以上、より好ましくは、0.1質量部以上であると良い。一方、イオン導電剤の含有量の上限値は、極性基を有するポリマー100質量部に対し、好ましくは、50質量部以下、より好ましくは、10質量部以下であると良い。
本発明に係る導電性組成物は、他にも、必要に応じて、滑剤、加硫促進剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、電子導電剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
また、導電性組成物中には、本発明の特性を害しない範囲において、固形ポリマーを含有していても良い。固形ポリマーとしては、例えば、通常、用いられるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ヒドリン系ゴム(CO、ECO、GCO、GECO)等の固形(ミラブル)ゴムなどを例示することができる。
本発明に係る導電性組成物は、共架橋させて、電子写真機器用導電性部材に用いられる。電子写真機器用導電性部材としては、例えば、電子写真機器に用いられる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材(導電性ロール)や、電子写真機器に用いられる転写ベルトなどのベルト状の導電性部材(導電性ベルト)などが挙げられる。特に、帯電ロールや現像ロールなどといった、感光ドラムなどと一定の荷重で圧接された状態で使用される導電性ロールに好適に用いられる。本発明に係る導電性組成物は、導電性部材のベース層材料に用いると良い。
次に、本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体について説明する。
本発明に係る電子写真機器用導電性架橋体(以下、導電性架橋体ということがある。)は、イオン導電剤を含有し、液状ポリマー間がアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートで共架橋されてなる。液状ポリマーおよび(メタ)アクリレートの種類は、上記するものであれば良い。また、イオン導電剤の種類および含有量は、上記する種類および含有量であれば良い。
本発明に係る導電性架橋体は、液状ポリマー間が、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートで共架橋されていれば良く、共架橋する方法は特に限定されるものではない。共架橋する方法としては、好ましくは、ラジカル反応を利用して行なう方法が良い。この場合には、導電性架橋体を形成する導電性組成物中に、ラジカル重合開始剤を含有させると良い。ラジカル重合開始剤の種類および含有量は、上記する種類および含有量であれば良い。
また、導電性架橋体を形成する導電性組成物中には、必要に応じて、上記する各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
次に、本発明に係る電子写真機器用導電性部材について説明する。本発明に係る電子写真機器用導電性部材は、上記電子写真機器用導電性架橋体を用いて形成される。
電子写真機器用導電性部材としては、上述するように、電子写真機器に用いられる帯電ロール、現像ロール、転写ロール、トナー供給ロールなどのロール状の導電性部材(導電性ロール)や、電子写真機器に用いられる転写ベルトなどのベルト状の導電性部材(導電性ベルト)などが挙げられる。
図1および図2に、本発明に係る電子写真機器用導電性部材としての導電性ロールの一例を示す。図1および図2は、本発明に係る導電性ロールの一例を示す周方向断面図である。
図1に示す導電性ロール10は、軸体12の外周に、ベース層14と、表層16とがこの順に積層された積層構造を有している。一方、図2に示す導電性ロール10は、軸体12の外周に、ベース層14と、中間層18と、表層16とがこの順に積層された積層構造を有している。なお、導電性ロールの構成としては、図1および図2に示す構成に限定されるものではない。
軸体12は、導電性を有するものであれば特に限定されない。具体的には、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属製の中実体、中空体からなる芯金などを例示することができる。軸体12の表面には、必要に応じて、接着剤、プライマーなどを塗布しても良い。接着剤、プライマーなどには、必要に応じて導電化を行なっても良い。
ベース層14を形成する主材料には、液状ポリマーを用いる。液状ポリマーは、上記した液状ポリマーを用いれば良い。主材料の液状ポリマー間を共架橋させるため、ベース層14を形成する組成物は、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートを含有している。共架橋する方法は、特に限定されないが、ラジカル反応により共架橋する場合には、ベース層14を形成する組成物中にラジカル重合開始剤を含有させると良い。ラジカル重合開始剤の種類および含有量は、上記する種類および含有量であれば良い。アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートは、上記したアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートを用いれば良い。
ベース層14を形成する組成物には、さらに、イオン導電剤を含有している。イオン導電剤の種類および含有量は、上記する種類および含有量であれば良い。さらに、必要に応じて、上記する各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
ベース層14を形成する組成物としては、好ましくは、上述した導電性組成物を用いると良い。
ベース層14は、軸体12をロール成形用金型の中空部に同軸的に設置し、ベース層形成用の組成物を注入して、加熱・硬化させた後、脱型する(注入法)、軸体12の表面にベース層形成用の組成物を押出成形する(押出法)などをすれば良い。ベース層14を複数層形成する場合には、上記方法に準じた操作を繰返し行なえば良い。
ベース層14の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.1〜10mm、より好ましくは、1〜5mmの範囲内にあると良い。また、ベース層14の体積抵抗率は、好ましくは、10〜1010Ω・cm、より好ましくは、10〜10Ω・cm、さらに好ましくは、10〜10Ω・cmの範囲内にあると良い。
中間層18は、抵抗調整層として機能し得るものである。中間層18を形成する主材料としては、ゴム弾性材料を好適に用いることができる。ゴム弾性材料としては、例えば、ヒドリン系ゴム(CO、ECO、GCO、GECO)、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム、ウレタン系エラストマー、フッ素ゴム、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム(H−NBR)、などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。
上記ゴム弾性材料としては、電気抵抗制御性、耐ヘタリ性などの観点から、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ヒドリン系ゴム(CO、ECO、GCO、GECO)、ウレタン系エラストマーなどが好ましい。
中間層18には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。さらに、必要に応じて、発泡剤、架橋剤、架橋促進剤、軟化剤(オイル)、溶剤等を適宜添加しても良い。
ベース層14の外周に中間層18を形成するには、ベース層14を形成した軸体12をロール成形用金型の中空部に同軸的に設置し、中間層形成用組成物を注入して、加熱・硬化させた後、脱型する(注入法)、ベース層14の表面に中間層形成用の組成物を押出成形する(押出法)、溶剤に溶解させた組成物を、ロールコーティング法や、ディッピング法、スプレーコート法など各種コーティング法で塗工する(塗工法)などをすれば良い。中間層18を複数層形成する場合には、上記方法に準じた操作を繰返し行なえば良い。
中間層18の厚みは、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.001〜2mm、より好ましくは、0.01〜0.5mmの範囲内にあると良い。また、中間層18の体積抵抗率は、好ましくは、10〜1010Ω・cm、より好ましくは、10〜10Ω・cm、さらに好ましくは、10〜10Ω・cmの範囲内にあると良い。
表層16は、ロール表面の保護層として機能し得る。表層16を形成する主材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタン樹脂、ポリアミド、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ブチラール樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのメタアクリル樹脂、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキサイド(変性ポリフェニレンエーテル)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリアリルエーテルニトリル、ニトリルゴム、ウレタンゴム、これらを架橋した樹脂などを例示することができる。これらは1種または2種以上混合されていても良い。とりわけ、耐摩耗性に優れるなどの観点から、架橋ウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、フッ素変性アクリル樹脂、ウレタンゴム、ポリアミドなどを好適に用いることができる。
表層16には、導電性付与のため、カーボンブラック、グラファイト、c−TiO、c−ZnO、c−SnO(c−は、導電性を意味する。)、イオン導電剤(4級アンモニウム塩、ホウ酸塩、界面活性剤など)などの従来より公知の導電剤を適宜添加することができる。
表層16を形成する組成物は、他にも、必要に応じて、滑剤、加硫促進剤、老化防止剤、光安定剤、粘度調整剤、加工助剤、難燃剤、可塑剤、発泡剤、充填剤、分散剤、消泡剤、顔料、離型剤などの各種添加剤を1種または2種以上含有していても良い。
表層16を形成する組成物は、取り扱い性が良好であるなどの観点から、粘度(25℃)が100000mPa・s以下であることが好ましい。より好ましくは、10000mPa・s以下であると良い。塗工性に優れるなどの観点から、さらに好ましくは、5000mPa・s以下であると良い。
表層16を形成する組成物は、上記範囲内に粘度を調整するなどの観点から、メチルエチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、THF、DMFなどの有機溶剤や、メタノール、エタノールなどの水溶性溶剤などの溶剤を適宜含んでいても良い。また、無溶剤であっても良い。
表層16を形成する組成物は、各種材料を所望の配合となるように秤量し、これらを攪拌機、サンドミルなどの混合手段により混合するなどして調製することができる。混合中や混合後に、脱泡処理などを行なっても良い。
ベース層14の外周、または、中間層18の外周に表層16を形成するには、ベース層14または中間層18の表面に、表層16を形成する組成物を塗工すると良い。塗工方法としては、ロールコーティング法や、ディッピング法、スプレーコート法などの各種コーティング法を適用することができる。塗工された表層16には、必要に応じて、紫外線照射や熱処理を行なっても良い。
表層16の厚みは、特に限定されるものではないが、電気抵抗を上昇させにくい、ロール硬度の上昇を抑制するなどの観点から、好ましくは、0.01〜100μm、より好ましくは、0.1〜20μm、さらに好ましくは、0.3〜10μmの範囲内にあると良い。また、表層16の体積抵抗率は、ロールの電気抵抗制御性などの観点から、好ましくは、10〜10Ω・cm、より好ましくは、10〜10Ω・cmの範囲内にあると良い。
中間層18または表層16には、ロール表面に凹凸形状を付与して適度な表面粗さを形成するために、粗さ形成用粒子を含有していても良い。より好ましくは、耐摩耗性、長寿命化などの観点から、中間層18に粗さ形成用粒子を含有させると良い。
粗さ形成用粒子は、表面粗さの均一化などの観点から、中間層18または表層16の厚み方向に実質的に積み重なっていない、つまり、粗さ形成用粒子がほぼ同一面上に存在していることが好ましい。
粗さ形成用粒子としては、例えば、ウレタン粒子、架橋ポリメタクリル酸メチル粒子、アクリル粒子、尿素樹脂粒子、アミド粒子などの樹脂粒子、ゴム粒子、シリカ粒子などを例示することができる。これらは1種または2種以上含まれていても良い。
粗さ形成用粒子の平均粒径は、特に限定されるものではなく、中間層18や表層16の厚みなどに応じて適宜選択することができる。好ましくは、1〜50μm、より好ましくは、5〜30μmの範囲内である。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
<導電性組成物の調製>
表1または表2に示す配合割合(単位は質量部)となるように各種材料を秤量し、これらを攪拌機により撹拌、混合して、実施例、比較例に係る導電性組成物を調製した。
この際、使用した各種材料は、以下の通りである。
・液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム(液状NBR)[JSR(株)製、「N280」]
・液状イソプレンゴム(液状IR)[(株)クラレ製、「LIR−30」]
・液状ブタジエンゴム(液状BR)[(株)クラレ製、「LIR−300」]
・固形アクリロニトリル−ブタジエンゴム(固形NBR)[JSR(株)製、「N250SL」]
・エチレンオキサイド(EO)変性アクリレート(1)(単官能、分子量Mw=482)[日本油脂(株)製、「ブレンマーAME」]
・プロピレンオキサイド(PO)変性アクリレート(単官能、分子量Mw=826)[日本油脂(株)製、「ブレンマーAP800」]
・エチレンオキサイド(EO)変性アクリレート(2)(二官能、分子量Mw=742)[新中村化学工業(株)製、「A−600」]
・エチレンオキサイド(EO)−プロピレンオキサイド(PO)変性メタアクリレート(二官能、分子量Mw=1180)[日本油脂(株)製、「ブレンマー43PDBPE−800B」]
・ブチレンオキサイド(BO)変性メタアクリレート(二官能、分子量Mw=490)[日本油脂(株)製、「ブレンマーPDT800」]
・イオン導電剤(トリメチルオクタデシルアンモニウムパークロレート)
・ラジカル重合開始剤[日本油脂(株)製、「パークミルD40」]
<材料評価>
表1の各成分を配合後、撹拌羽根で5分間撹拌混合し、減圧脱泡して、各導電性組成物を作製した。その後、この導電性組成物を用い、160℃×30分でプレス架橋して、架橋サンプル(直径29mm、厚さ12.5mm、円筒状)を成形した。この架橋サンプルを用いて、各導電性組成物の材料評価を、以下のようにして行なった。
(リング硬度)
JIS K 6253に準拠して測定した。
(圧縮永久ひずみ)
JIS K 6262に準拠して、圧縮率25%、試験温度70℃、試験時間22時間で測定した。
(体積抵抗率)
160℃×30分でプレス架橋して2mm厚のシートを作製し、JIS K 6271に記載の二重リング電極法に準じて100V印加したときの体積抵抗率を測定した。
<導電性ロールの作製>
(ベース層の形成)
直径6mmの金属製シャフトからなる芯金を用意し、この外周面に接着剤を塗布した後、あらかじめ芯金が挿入された金型に各導電性組成物を注入し、160℃×30分の条件で加熱架橋を行ない、芯金の外周面に導電性弾性層(厚み3mm)が形成されてなるベースロールを作製した。
(表層の形成)
上記導電性弾性層の外周面に、フッ素変性アクリレート樹脂(大日本インキ工業(株)製、「ディフェンサTR230K」)50質量部と、フッ素変性アクリレート樹脂(アトフィナジャパン(株)製、「カイナーSL」)50質量部と、導電性酸化チタン(石原テクノ(株)製、「タイペークET−300W」)100質量部とを、MEK200質量部に溶解し、これらをサンドミルを用いて分散して調製した表層用材料をディッピング法により塗布し、乾燥した後、150℃×60分の条件にて加熱を行ない、表層(厚み6μm)を形成し、これにより、実施例、比較例に係る導電性ロールを作製した。
<導電性ロールの特性評価>
(寸法精度)
上記作製した各ベースロールを周方向に回転させ、レーザ外径測定器を用いてロールの3ヶ所(両端部、中央部)における外径の振れを、ロールと平行に設置したゲージを基準として測定し、その最大値を寸法精度とした。
(帯電性)
作製した各導電性ロールを、市販のレーザプリンター(日本ヒューレットパッカード(株)製、「レーザージェット4240」)に組み込み、15℃×10%RH環境下において画出しを行ない、画質の評価を行なった。評価は、画像ムラやスジ、斑点等が何ら認められないものを「○」、画像ムラやスジ、斑点等画像不具合が認められたものを「×」とした。
表1および表2に、各導電性ロールのベース層形成用組成物の配合組成と、評価結果をまとめたものを示す。
Figure 0005255803
Figure 0005255803
比較例1では、主材料に固形NBRを用いている。そのため、組成物の粘度が高くなり、圧縮永久ひずみが大きく、その結果、導電性ロールの寸法精度が悪い。また、材料の硬度が高い。さらに、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートとイオン導電剤を含有していないため、高抵抗である。これにより、帯電性にも劣っている。
比較例2〜4では、主材料に液状ポリマーを用いているので、低硬度で寸法精度に優れるものの、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートとイオン導電剤を含有していないため、高抵抗であり、帯電性に劣っている。
比較例5では、イオン導電剤を含有しているが、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートを含有していないため、高抵抗であり、帯電性に劣っている。
これらに対し実施例では、ベース層形成用組成物中に、液状ポリマーと、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートと、ラジカル重合開始剤と、イオン導電剤とを含有している。そのため、成形時の圧縮永久ひずみが小さく、得られた導電性ロールの寸法精度に優れていることが確認できた。また、低硬度、低抵抗であり、帯電性に優れていることが確認できた。したがって、実施例に係る導電性組成物を用いれば、寸法精度に優れ、低硬度で、低抵抗の電子写真機器用導電性部材を形成することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
一実施形態に係る電子写真機器用導電性ロールを表す周方向断面図である。 一実施形態に係る電子写真機器用導電性ロールを表す周方向断面図である。
符号の説明
10 電子写真機器用導電性ロール
12 軸体
14 ベース層
16 表層
18 中間層

Claims (10)

  1. 液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、および、液状スチレン−ブタジエンゴムから選択される1種または2種以上である液状ポリマーと、
    アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートと、
    ラジカル重合開始剤と、
    イオン導電剤とを含有することを特徴とする電子写真機器用導電性組成物。
  2. 前記液状ポリマーは、極性基を有する液状ポリマーであることを特徴とする請求項に記載の電子写真機器用導電性組成物。
  3. 前記液状ポリマーは、変性液状ポリマーであることを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真機器用導電性組成物。
  4. 前記液状ポリマーは、マレイン酸変性またはカルボキシ変性による変性液状ポリマーであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子写真機器用導電性組成物。
  5. 前記(メタ)アクリレートは、エチレンオキサイド変性(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子写真機器用導電性組成物。
  6. 前記(メタ)アクリレートは、単官能(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子写真機器用導電性組成物。
  7. 前記液状ポリマー100質量部に対して、前記(メタ)アクリレートを20〜80質量部含有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電子写真機器用導電性組成物。
  8. 液状アクリロニトリル−ブタジエンゴム、液状ブタジエンゴム、液状イソプレンゴム、および、液状スチレン−ブタジエンゴムから選択される1種または2種以上である液状ポリマーを架橋した架橋ポリマーに、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレートが付加してなる架橋ポリマーとイオン導電剤を含有してなることを特徴とする電子写真機器用導電性架橋体。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性組成物がラジカル架橋されてなることを特徴とする電子写真機器用導電性架橋体。
  10. 請求項8または9に記載の導電性架橋体を用いたことを特徴とする電子写真機器用導電性部材。
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