JP6195354B2 - イオン導電性ポリマーブレンド及びそれを利用した半導電性部材の製造方法 - Google Patents

イオン導電性ポリマーブレンド及びそれを利用した半導電性部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式による複写機やFAX、プリンター等の画像形成装置の帯電ローラや転写ベルト等に使用されるイオン導電性ポリマーブレンド及びそれを利用した半導電性部材の製造方法に関する。
従来、電子写真装置等の画像形成装置の帯電ローラや転写ベルトに使用されるゴム材料(半導電性ゴム)の作製においては、例えばNBR(アクリロニトリルゴム)などのポリマーに半導電性ポリマーであるECO(エピクロルヒドリンゴム)などエーテル構造を多く有するポリマーを混合し、半導電性ポリマーをNBR内に分散させていた。この固体であるポリマーの母材NBR10と、同じく固体であるポリマーの導電材のECOポリマー40を混合する混練工程を図7(a)に、ECOポリマー40の分子構造の模式図を図7(b)に示す。図7(a)の右端の図に示すように、NBR10内にECOポリマー40の塊が分散していることがわかる。また、図7(b)に示すように、ECOポリマー40は導電性骨格Dが直列的に連結されている。
また、例えば特許文献1にはイオン導電性ポリマーブレンドとその製造方法の一例が開示されている。この特許文献1に開示されているイオン導電性ポリマーブレンドは、ポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを含有し、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含有する混合物において該アルキレンオキサイド成分を重合させることによって得られる。
特開2008−138038号公報
しかし、上記したNBR(アクリロニトリルゴム)10などのポリマーに半導電性ポリマーであるECOポリマー40(エピクロルヒドリンゴム)などエーテル構造を多く有するポリマーを混合して得られるゴム材料は、図7(a)に示したように混練を続けるにつれ半導電性材料の拡散が進行するものの、最終的に微細な独立粒子となるまでに至らず、部分的に連続体として存在し、高レベルで均一な分散を達成することが困難であった。また、ECOポリマー40はエーテル構造を多く有するポリマーであり、このエーテル系ポリマーは吸湿性が高いため、ゴム材料の導電性が湿度によって大きく変化してしまうという課題があった。
また、上記特許文献1に記載のイオン導電性ポリマーブレンドの作製工程では、導電材であるアルキレンオキサイド成分と母材であるベースポリマーを混合する場合、溶媒に溶解させて混合する必要があった。また、この溶媒を除去した後、混合物中のアルキレンオキサイド成分を重合させるため所定の時間加熱する重合工程が必要であり、また劇物であるAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)などの重合開始剤を使用する必要もあった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、導電材が母材にミクロ微分散し、さらに簡単な作製工程で作製される耐環境性に優れた、すなわち気温や湿度の変化に対しても安定した電気抵抗を示すイオン導電性ポリマーブレンド及びそれを利用した半導電性部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため以下の構成を有する。
(1)主鎖及び/または側鎖にエーテル結合を複数含有し、かつ重合反応点を有するモノマー成分(A)、ベースポリマー(B)及び加硫剤よりなる混合物において、モノマー成分(A)の重合とベースポリマー(B)の加硫が加硫剤により成された重合加硫物であって、
モノマー成分(A)がφ0.1μm以下の互いに独立したドメインとして重合加硫物中に略均一に分散しており、
温度が10〜30℃,及び相対湿度が15〜90%の環境における前記重合加硫物の体積抵抗率が、10〜1010Ωcmの範囲にあり、
かつ10℃,15%RHと30℃,90%RHの2環境にて測定した体積抵抗率の2つの値のうち、大きい方の値が他方の値の20倍未満であることを特徴とするイオン導電性ポリマーブレンド。
(2)前記混合物において、モノマー成分(A)の重合と、ベースポリマー(B)の加硫を進行させる加硫剤がパーオキサイドであること特徴とする前記(1)記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(3)前記混合物がアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の金属塩、及び非金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩(C)をさらに含有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(4)前記混合物を構成する前記モノマー成分(A)、前記ベースポリマー(B)、前記電解質塩(C)の混合比率について、成分(A)、(B)の体積比率が(B)≧(A)の範囲であり、かつ(C)の配合量が(A)に対し重量比で30%以下であることを特徴とする前記(3)記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(5)前記モノマー成分(A)のエーテル結合部位がアルキレンオキサイドの形態として存在し、特にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体から選択される少なくともいずれかであることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(6)エーテル結合を含んだ前記モノマー成分(A)と前記ベースポリマー(B)の吸湿性が、(A)>(B)の関係にあることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(7)前記イオン導電性ポリマーブレンドが、画像形成装置の半導電性ローラのゴム部分または転写ベルトに使用される半導電性部材であることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(8)前記混合物が加硫促進剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、補強材の少なくともいずれかをさらに含有することを特徴とする前記(1)乃至(7)のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(9)前記ベースポリマー(B)が、イオン導電性を有することを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
(10)主鎖及び/または側鎖にエーテル結合を複数含有し、かつ重合反応点を有するモノマー成分(A)とベースポリマー(B)及び加硫剤とを含有する混合物を調整する混合物調整工程と、
前記モノマー成分(A)の重合とベースポリマー(B)の加硫を同時に行う重合加硫工程とからなり、
前記重合加硫物中のモノマー成分(A)がφ0.1μm以下の互いに独立したドメインとして重合加硫物中に略均一に分散しており、
温度が10〜30℃,及び相対湿度が15〜90%の環境における前記重合加硫物の体積抵抗率が、10〜1010Ωcmの範囲にあり、
かつ10℃,15%RHと30℃,90%RHの2環境にて測定した体積抵抗率の2つの値のうち、大きい方の値が他方の値の20倍未満である半導電性部材の製造方法。
(11)前記モノマー成分(A)の重合とベースポリマー(B)の加硫を同時に進行させるための薬品として、パーオキサイドを利用することを特徴とする前記(10)記載の半導電性部材の製造方法。
本発明によれば、導電材が母材にミクロ微分散し、さらに簡単な作製工程で作製される耐環境性に優れた、すなわち気温や湿度の変化に対しても安定した電気抵抗を示すイオン導電性ポリマーブレンド及びそれを利用した半導電性部材の製造方法を提供することができる。
実施例のEOPOモノマーの化学式を示す図 実施例のEOPOモノマーとEOPOポリマーの構造を示す模式図 実施例のイオン導電性ポリマーブレンドの製造工程を示す図 実施例及び従来のイオン導電性ポリマーブレンドの構造を示すTEMによる観察画像 実施サンプルと比較サンプルの組成等と性能を示した表 実施サンプルと比較サンプルの環境変化に伴う電気抵抗の変動を示した図 従来のイオン導電性ポリマーブレンドの製造工程とECOポリマーの構造を示す模式図
本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ以下に説明する。
本発明のイオン導電性ポリマーブレンドは、アルキレンオキサイド成分とベースポリマーとを含む混合物の状態で該アルキレンオキサイド成分を重合させて得られるため、アルキレンオキサイド成分が重合することで生成するポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとの相溶性が、例えばポリアルキレンオキサイドとベースポリマーとを混合した場合と比べて顕著に良好である。すなわち、本発明においては、イオン導電性を有するポリアルキレンオキサイドをイオン導電性ポリマーブレンド中に微細な粒子形状で均一に分散させることができる。微細粒子は個々で独立した不連続体として存在し、その周囲は吸湿性の低いベースポリマーに覆われた状態となるため、ポリアルキレンオキサイドの吸湿を抑制して、イオン導電性ポリマーブレンドの電気的な均一性及び安定性を良好に維持し、かつ導電性能の使用環境による変動を低減することができる。以下に、本発明のイオン導電性ポリマーブレンドの各成分について順次述べる。
<アルキレンオキサイド成分>
アルキレンオキサイド成分は、分子内にエーテル結合部位を含み、さらに重合反応が可能な部位を少なくとも1か所以上有するモノマーでなければならない。図1の構造式がその一例である。ここでは、図中に示したA;‘C=C’の箇所が重合反応点であり、図中のB;‘(CO)m−(CO)n’がイオン導電性を示すエーテル結合部位(アルキレンオキサイド単位の集合体)である。また、図2に重合前のモノマーと重合後のポリマーの模式図を示した。この図から、イオン導電性の高い領域Cを重合によって形成していることが理解できる。このほか、重合後に図7(b)に示したような導電性骨格が直列的につながった構造となるモノマーを選択しても良い。
モノマーは、アルキレンオキサイド単位をはじめから含んだもののほか、重合反応後にアルキレンオキサイド単位を形成するものであっても良い。また、アルキレンオキサイド成分は、アルキレンオキサイド単位のみからなる化合物であっても良いが、誘導体のような、他の構造を含むものであっても良い。
アルキレンオキサイド構造としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体(EO−PO共重合体)、ポリブチレンオキサイド等を例示できる。
また、モノマーは単独で用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのモノマーは、ベースポリマーや電解質塩との混合が容易となるものを選択することが好ましい。具体的には、ベースポリマーとの極性が近く、電解質塩の解離に有利な低粘度の液体として存在するものが望ましい。
<ベースポリマー>
ベースポリマーとしては、例えば、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム、ポリエステルゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴムや、ウレタン樹脂、エチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂等のポリマーから選択される1種または2種以上を使用できる。中でも、エピクロロヒドリンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴムは、これら自身がイオン導電性を有するため、アルキレンオキサイド成分との相溶性が特に良好であるため、ブレンド操作が容易であるという点で特に好ましい。
<電解質塩>
本発明においては、混合物が電解質塩をさらに含有することが好ましい。電解質塩は、互いに解離することが可能なカチオン(陽イオン)とアニオン(陰イオン)とで構成される。混合物が電解質塩をさらに含有する場合、イオン導電性ポリマーブレンドのイオン導電性をさらに向上させることができる。
カチオンとしては、例えば、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、マグネシウムイオン(Mg)、カルシウムイオン(Ca)等の金属イオンのほか、第四級アンモニウム、イミダゾリウム、ピリジニウムなどの非金属系イオンを例示できる。また、アニオンとしては、ClO 、SCN、CFSO 、(CFSO、(CFSO、BF 、F、Cl、Br、I等を例示できる。
上記のカチオンの1種以上と、上記のアニオンの1種以上とを組み合わせることにより、本発明で好ましく用いられる電解質塩を形成できる。
中でも、アルキレンオキサイド成分との親和性に優れ、イオン導電性が高く、かつ化学的に安定であるものが特に好ましい。例えば、Li、Na、Kから選択される少なくともいずれかのカチオンと、ClO 、BrO 、IO 、SCNから選択される少なくともいずれかのアニオンとの塩が好ましく例示できる。
<イオン導電性ポリマーブレンドが含有し得る他の成分>
本発明のイオン導電性ポリマーブレンドは、上記した以外に、例えば、加硫剤、加硫促進剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、補強剤等の、公知のゴム配合剤を必要に応じて含有し得る。本発明においては、上記の配合剤を上述の混合物にあらかじめ添加してからアルキレンオキサイド成分を重合させる。すなわち、配合物をアルキレンオキサイド成分の重合前に混合する。
加硫剤としては、例えば、硫黄、テトラアルキルチラウム−ジサルファイド、モルホリン−ジサルファイド、アルキル−フェノール−ジサルファイド等の硫黄及び硫黄系有機化合物、酸化マグネシウム等の金属化合物、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、n−ブチル,4,4−ジ(t−メチルパーオキシ)バレレート、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、ジクミルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシンー3等のジアルキルパーオキサイド類、ジ(3−t−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジ(4−t−メチルベンゾイル)パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)−ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のパーオキシエステル類等のパーオキサイド、等があるが、ここではイオン導電性モノマー成分の重合にも併用でき、かつ重合と加硫の同時進行に有利であるものを選択することが望ましい。具体的には、1分間で半減期を得るための温度が180℃未満のパーオキサイドを選択するのが良い。これらの加硫剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
加硫促進剤としては、一般的に用いられる加硫促進剤を適宜配合でき、例えば、ジベンゾチアゾイルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール(D)、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛塩(MZ)等のチアゾール類、ジイソプロピルスルフェンアミド類(DIBS)、シクロヘキシルスルフェンアミド(CZ)等のスルフェンアミド類、テトラメチルチラウムジサルファイド(TT)、テトラエチルチラウム−ジサルファイド(TET)、ジペンタメチレンチラウム−テトラサルファイド(TRA)等のチラウム類、ジメチルジチオカーバメート亜鉛塩(PZ)、ジエチルジチオカーバメート亜鉛塩(EZ)等のジチオ酸塩、その他グアニジン類、チオウレア類、アルデヒドアンモニア塩、ザンテート類などがある。これらの加硫促進剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
老化防止剤としては、例えば公知の老化防止剤を適宜配合することができ、フェニル−α−ナフチルアミン,N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン等のアミン類、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、スチレン化フェノール等のフェノール類、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類などが挙げられる。
充填剤としては、例えば公知の充填剤を適宜配合することができ、カーボンブラック、シリカ(ホワイトカーボン)、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、ゼオライト、アルミナ、マイカ、グラファイト、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、木片、ガラス粉、セラミックス粉等が挙げられる。これらの充填剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
本発明のイオン導電性ポリマーブレンドは、典型的にはゴム組成物であり、ソリッドゴム(硬質ゴム)、スポンジゴム(発泡ゴム)のいずれに調製されても良く、適用される画像形成装置の導電性ローラ及び転写ベルトに所望される性能に応じて適宜選択すれば良い。
スポンジゴムは、アルキレンオキサイド成分の重合前に発泡剤、及び必要に応じて発泡助剤を添加し、好ましくは密閉条件下で加硫することにより形成できる。
発泡剤としては、例えば化学発泡剤が用いられ、該化学発泡剤は有機系と無機系とに分類される。有機系の発泡剤としては、アゾジカルボンアミド(ADCA)等のアゾ化合物、N,N‘−ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DPT)等のニトロソ化合物、4,4オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)、ヒドラゾジカルボンアミド(HDCA)等のヒドラジン誘導体が使用できる。無機系の発泡剤としては、重炭酸ナトリウム(重曹)、重炭酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム等が使用できる。これらの発泡剤は単独で用いても2種類以上組み合わせても良い。
また、発泡助剤としては、例えば、サリチル酸等の有機酸系助剤の他、尿素系助剤等が使用可能である。
その他、公知の軟化剤、可塑剤、補強剤、ステアリン酸等の加工助剤等を添加、混合して使用することができる。
<イオン導電性ポリマーブレンドの製造方法>
本発明のイオン導電性ポリマーブレンドを得るための配合及び製造方法を以下に説明する。
まず、主成分となるベースポリマーとアルキレンオキサイド成分だが、これらの体積比は、95:5〜50:50の範囲が好ましく、特に90:10〜55:45の割合が好ましい。さらには80:20〜60:40とすることがより好ましい。ベースポリマーの割合が95%以上ではアルキレンオキサイド成分の持つ導電性を充分に得ることができず、また50%以下ではアルキレンオキサイド成分を不連続体として分散させることが困難となり、吸湿性を抑制させることができないため、耐環境性に優れた半導電性材料を得られない。
また、良好なイオン導電性を得るためには電解質塩を配合することが好ましいが、その添加量は、アルキレンオキサイド成分の全重量に対し、30%以下であることが好ましく、さらに1〜15%の範囲であることがより好ましい。30%以上の添加量では電解質塩の全量をアルキレンオキサイド成分中に相溶させられない場合があり、たとえ相溶させたとしても、電解質塩のブルームまたはブリードアウト、成形加硫型の汚染などを引き起こす。
以下では、アルキレンオキサイドとして液状のEOPOモノマーを、ベースポリマーとしてアクリロニトリルゴム(NBR)を、重合加硫剤としてパーオキサイド(PO)を使用し、さらに電解質塩としてチオシアン酸カリウム(KSCN)を用いた場合の製造方法について説明する。
製造の過程には、アルキレンオキサイドとベースポリマーとを含有する混合物を調製する混合物調製工程と、該アルキレンオキサイドを該混合物において重合加硫させる重合加硫工程とを含む。
混合物調整工程においては、まず電解質塩をEOPOモノマーに溶解させる。EOPOモノマーが液状であるため、チオシアン酸カリウムを容易に溶解させることができ、また特許文献1のイオン導電性ポリマーブレンドの製造方法のようにアセトニトリル、アセトン、トルエン等の溶媒を使用する必要もない。
次に、この溶液をNBRと混合させる。混合物の調製には、例えばロール、バンバリーミキサー、ニーダー等、通常混練に使用される混練機を用いることができる。
続いて、重合加硫剤のパーオキサイドのほか、必要に応じて補強材、老化防止剤、発泡剤等を順次添加して混合させる。すなわち、重合加硫工程の前にすべての材料を添加して混合する必要がある。加えられたパーオキサイドは、EOPOモノマーを重合させEOPOポリマーとする重合開始剤の機能を有すると共に、ベースポリマーのNBRを加硫する機能を有する。この場合、1種または2種以上のパーオキサイドを使用するとよい。
ところで、混合作業の過程において、重合加硫剤が意図せず反応を開始することを防止するために、少なくともパーオキサイドの添加開始時以降は、混練機を冷却するなどの方法により混合物の発熱温度を低く保つことが望ましい。具体的には、重合加硫剤として添加したパーオキサイドが1時間で半減期を得るための温度よりも、さらに10℃以上低い状態に維持し続けることで、材料の粘度上昇による成形加工性の悪化を抑えることができる。
重合加硫工程においては、上記で調整した混合物を加硫用の金型や蒸気釜、オーブン等で加熱することでアルキレンオキサイド成分であるEOPOモノマーに重合開始剤のパーオキサイドを作用させることによってEOPOモノマーを重合させEOPOポリマーとする。したがって、EOPOモノマーの重合のみを目的とした配合物を使用しない。例えば、重合開始剤の劇物であるアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を使用しなくて済む。また、紫外線重合を行うための紫外線発生装置などの特殊設備を必要としない。
また、同工程でベースポリマーのNBRも加硫され、目的のイオン導電性ポリマーブレンドを得ることができる。なお、該ポリマーブレンドには、その後の工程で必要に応じて2次加硫やその他の加工を追加しても構わない。
上記した製造工程を模式的に図3に示す。母材10と液体状の導電材20(イオン導電性モノマー)が混合され、母材10中に導電材20がモノマーとして分散している。その後、重合工程を経て母材10中にポリマーである重合体30が均一に微分散される。この図から、本発明のブレンド技術が従来の図7(a)のポリマー(固体)同士の混合と大きく異なることが理解できる。このようにポリエーテルが粒子状に微分散すると、吸湿性が抑制され、湿度変化に対し安定したイオン導電性材料となる。
<各サンプルの作製方法>
以下に、種々の条件を変えて作製したイオン導電性ポリマーブレンドの実施サンプル,比較サンプルについて説明する。なお、ベースポリマーであるNBRに対し、EOPOまたはECOを混合したサンプルの配合比率は、すべて70:30とした。また、電解質塩を併用した配合のKSCNの添加量は全ポリマー成分に対し1.5重量部とした。
サンプルの作製に用いた原材料の詳細を以下に記す。NBRには、日本ゼオン製「Nipol DN401」を用いた。その他の原材料については表1にまとめて示した。
なお、イオン導電性成分のEOPOモノマー及び電解質塩のKSCNは、あらかじめ乾燥させたものを使用した。また、イオン導電性成分のECOポリマーは、加硫剤に適したC=C部位のような反応点を有するものを選択する必要がある。
次に、各サンプルの作製方法の詳細を記す。
(1)実施サンプル1
蓋付ポリ瓶に所定量のEOPOモノマー,KSCNと撹拌子を入れ、マグネットスターラーを用いて常温ですべての固形分が溶解するまで撹拌して、混合液を得た。
NBRポリマーを8インチのオープンロールで素練りし、前記の混合液をオープンロールにてNBRに少しずつ添加しながら、すべて練り込んで混合物を得る。
その混合物に、さらに重合加硫剤のパーオキサイドを添加して混練し、練りあがった未加硫生地を、厚さ3〜5mm程度のシート状に成形する。未加硫生地を適切な大きさ、重量に切り出し、厚さ約2mmのゴムシート作製用金型でプレス加熱する。重合加硫温度は150℃で、加熱時間は10分間とした。金型から重合加硫物を取出し、シート状の試験片を得た。
(2)比較サンプル2
KSCNを用いることなく、EOPOモノマーのみをNBRに練り込んだ。続いて重合
加硫剤を添加し、それ以降は実施サンプル1と同様の工程にて試験片を得た。
(3)比較サンプル3
NBRポリマーを8インチのオープンロールで素練りし、さらに加硫剤のパーオキサイドを添加して混練する。その後は実施サンプルと同様の工程を経て試験片を得た。
(4)比較サンプル4
NBRポリマーを8インチのオープンロールで素練りした。次に、KSCNを必要最小量のイオン交換水に溶解させたKSCN水溶液を練り込んだ後、さらに加硫剤のパーオキサイドを添加した。その後は上記と同様の方法で試験片を得た。
(5)比較サンプル5
NBRポリマーとECOポリマーを8インチのオープンロールで素練りして混合した。続いて、加硫剤のパーオキサイドを添加して混練した。その後は実施サンプルと同様の工程を経て試験片を得た。
(6)比較サンプル6
NBRポリマーとECOポリマーを8インチのオープンロールで素練りして混合した。
次に、KSCNを必要最小量のイオン交換水に溶解させたKSCN水溶液を練り込んだ後、続いて、加硫剤のパーオキサイドを添加して混練した。その後は実施サンプルと同様の工程を経て試験片を得た。
(7)比較サンプル7
蓋付ポリ瓶に所定量のEOPOモノマー,KSCNに加え、重合開始剤のAIBNと撹拌子を入れ、マグネットスターラーを用いて常温ですべての固形分が溶解するまで撹拌して混合液を得た。NBRポリマーを8インチのオープンロールで素練りし、前記の混合液をオープンロールにてNBRに少しずつ添加しながら、すべて練り込んで混合物を得る。続いて加硫剤の硫黄やその他の薬品を添加して混練し、練りあがった混合物の未加硫生地を、厚さ3〜5mm程度のシート状に成形する。未加硫生地を適切な大きさ、重量に切り出し、厚さ約2mmのゴムシート作製用金型でプレス加熱する。加硫温度は150℃で、加熱時間は10分間とした。金型から加硫物を取出し、シート状の試験片を得た。
(8)比較サンプル8
蓋付ポリ瓶に所定量のEOPOモノマー,KSCNに加え、重合開始剤のAIBNと撹拌子を入れ、マグネットスターラーを用いて常温ですべての固形分が溶解するまで撹拌して、混合液を得た。NBRポリマーを8インチのオープンロールで素練りし、前記の混合液をオープンロールにてNBRに少しずつ添加しながら、すべて練り込んで混合物を得る。混合物を窒素雰囲気のオーブン中で100℃で6時間加熱し、さらに減圧下で18時間加熱を続けてEOPOモノマーを重合反応させる。自然放冷後、再び混合物をオープンロールに絡めた状態で、加硫剤の硫黄やその他の薬品を添加して混練し、練りあがった混合物の未加硫生地を、厚さ3〜5mm程度のシート状に成形する。その後は比較サンプル7と同様の工程を経て試験片を得た。
(9)比較サンプル9
蓋付ポリ瓶に所定量のEOPOモノマー,KSCNに加え、重合開始剤のAIBNと撹拌子を入れ、マグネットスターラーを用いて常温ですべての固形分が溶解するまで撹拌して、混合液を得た。NBRポリマーを8インチのオープンロールで素練りし、前記の混合液をオープンロールにてNBRに少しずつ添加しながら、すべて練り込んで混合物を得る。混合物を窒素雰囲気のオーブン中で100℃で6時間加熱し、さらに減圧下で18時間加熱を続けてEOPOモノマーを重合反応させる。自然放冷後、再び混合物をオープンロールに絡めた状態で、加硫剤のパーオキサイドを添加して混練し、練りあがった混合物の未加硫生地を、厚さ3〜5mm程度のシート状に成形する。その後は比較サンプル7と同様の工程を経て試験片を得た。
(10)比較サンプル10
実施サンプル1と同様の配合、手法にて未加硫生地を作製し、さらに同様の方法にてプレス加熱してシート状の試験片を得た。ただし、重合加硫温度は100℃で、加熱時間は18時間とした。
(11)比較サンプル11
実施サンプル1と同様の配合、手法にて未加硫生地を作製し、さらに同様の方法にてプレス加熱してシート状の試験片を得た。ただし、重合加硫温度は170℃で、加熱時間は7分間とした。
<各サンプルの特性とその評価方法>
図4には実施サンプル1のイオン導電成分の分散状態を拡大観察した結果を、図5及び図6には各サンプルの配合ならびに電気特性を示した。
図4に実施サンプル1のTEM(透過型電子顕微鏡)による拡大観察画像を示す。従来技術のようにポリマー同士(NBRポリマーとエーテルポリマー)のブレンドにより作製したサンプルが画像図4(a)、本発明のNBRポリマーとEOPOモノマーのブレンド後、重合加硫することでNBRポリマーにEOPOポリマーが微分散した実施サンプル1が画像図4(b)である。画像図4(b)のほうが、EOPOポリマーの成分が0.1μm以下の粒子サイズでベースポリマー内に均一に微分散されていることがわかる。
次に、図5及び図6で示された導電性と湿度依存性について詳しく説明する。
(イ)導電性
温度23℃、相対湿度55%の環境に充分なじませたシート状サンプルを、三菱化学アナリテック製の2重リング型電極「URプローブ」にて500Vの電圧を印加したときに得られる体積抵抗率が、10〜10Ωcmであるものを良または○とし、10〜1010Ωcmであるものを可または△とし、1010Ωcm以上であるものを不可または×とした。
(ロ)湿度依存性
シートサンプルを温度10℃,相対湿度15%(LL)、及び温度30℃,相対湿度90%(HH)のそれぞれの環境に充分なじませたものを、そのまま上記と同様の方法で測定して得られる体積抵抗率の2つの値のうち、大きい方の値が他方の値の5倍未満の場合を良または○とし、5倍以上20倍未満の場合を可または△とし、20倍以上の場合を不可または×とした。
次に、各サンプルの特徴と評価結果について説明する。
<実施サンプル1,比較サンプル2>
本実施例の実施サンプル1は、図5(a)に示したようにイオン導電成分(アルキレンオキサイド成分)としてEOPOモノマーを、電解質塩としてチオシアン酸カリウムを、重合開始剤及び加硫剤としてパーオキサイド(PO)を使用した例である。従って、上記したように重合のみを目的とした工程を設けなくても良い。一方、実施サンプル2は実施サンプル1において電解質塩を添加しなかった場合の例である。実施サンプル1は、図5(a)に示したように導電性、湿度依存性が共に良である。一方、比較サンプル2は、湿度依存性は良であるが導電性は電解質塩が添加されないので実施サンプル1よりは劣る。なお、実施サンプル1、比較サンプル2及び以下で述べる比較サンプル3〜6の環境変化に伴う電気抵抗の変動を図6に示す。図6において、LLは温度10℃,相対湿度15%を示し、HHは温度30℃,相対湿度90%を示す。
<比較サンプル3〜6>
比較サンプル3,4は、図5(b)に示したようにイオン導電成分を含まない例である。従って、重合開始剤はなく重合工程は不要である。加硫剤はどちらもパーオキサイド(PO)を使用する。そして、比較サンプル3は電解質塩が添加されておらず、比較サンプル4は電解質塩が添加されたものの例である。比較サンプル3はイオン導電成分がなく電解質塩も添加されていないいわゆるブランクであるので導電性は不可であり、湿度依存性は良である。一方、比較サンプル4は導電性は可であるが湿度依存性は不可である。
比較サンプル5,6は、図5(b)に示したようにイオン導電成分としてエピクロロヒドリンゴムであるECOポリマーを使用し、加硫剤としてパーオキサイド(PO)を使用した場合の例である。重合開始剤と重合工程は不要である。比較サンプル5は電解質塩を添加しなかった例であり、比較サンプル6は添加した例である。比較サンプル5,6は共に導電性は良であるが、湿度依存性は共に不可である。
導電性を高めるには、「イオン導電性の分子構造」と「電解質塩」の両方を含有するのが望ましい。ただし、これらが配合されることにより材料の吸湿性が大きくなり、電気抵抗の湿度依存性が大きくなってしまう。
実施サンプル1、比較サンプル2及び比較サンプル3〜6の環境変動に伴う電気抵抗の変動を図6により説明する。実施サンプル1、比較サンプル2はEOPOポリマーがベースポリマー内で不連続体として微分散しているため湿度依存性が良好である。変動幅は、比較サンプル3(ブランク材)と同程度であり湿度に対し安定している。比較サンプル3は、ブランク材であるため湿度依存性は良であるが電気抵抗は非常に大きい。比較サンプル5,6は、固体であるECOポリマーがベースポリマー内に微分散しておらず、連続した塊として含有されているため導電性は良いが、湿度依存性が大きい。
<比較サンプル7〜9>
比較サンプル7〜9は、図5(d)に示したようにイオン導電成分(アルキレンオキサイド成分)としてEOPOモノマーを、電解質塩としてチオシアン酸カリウムを使用した場合の例である。この点において、実施サンプル1と同一である。比較サンプル7は、重合開始剤としてAIBNを、加硫剤として硫黄(S)を使用した例であり、重合工程はない。比較サンプル8は、比較サンプル7において重合工程がある場合の例である。また、比較サンプル9は重合開始剤としてAIBNを、加硫剤としてパーオキサイド(PO)を使用した場合の例である。比較サンプル7〜9は、すべて導電性は良である。一方、湿度依存性に関しては、比較サンプル7のみ不可であり、比較サンプル8,9は共に良である。比較サンプル7は、重合に関与する工程がないため湿度依存性に関する良好な特性が得られないことがわかる。
イオン導電性モノマー成分は、重合開始剤の存在下で加熱等の処理を行うことで重合させることができ、その後の工程で加硫剤などを添加して再び加熱するなどの方法でベースポリマーを加硫させることでも、目的のポリマーブレンド体が得られる。ただし、比較サンプル7〜9のようにAIBNのような重合させるための薬品を必要とし、かつ重合工程を設ける必要がある。重合に関する工程がなければ、湿度依存性に関する良好な特性が得られない。実施サンプル1、比較サンプル2のようにPOを用いることで、AIBNのような薬品を必要とせずに目的の電気特性を有するゴム架橋物を一回の加熱工程で得ることができる。
<比較サンプル10,11>
比較サンプル10,11は、実施サンプル1と全く同じ配合である。比較しやすいように、実施サンプル1と比較サンプル10,11の配合と評価結果を図5(c)に示す。ただし、これらは図5(f)に示したように、加硫温度を100℃として加熱時間を長くしたサンプル(比較サンプル10)と、温度を170℃として加熱時間を短くしたサンプル(比較サンプル11)である。また、実施サンプル1は重合加硫温度を150℃として加熱時間は短い(図5(e))。なお、ここで述べている短い重合加硫時間とは、加熱時間が30分以下であることを指す。そして、長い重合加硫時間とは、加熱時間が120分を超える条件を指す。比較しやすいように、実施サンプル1と比較サンプル10,11の配合と評価結果を図5(c)に示す。
本実施例のように、加硫操作と同時に重合させる場合、加熱温度は100℃〜150℃の範囲が望ましい。ただし、比較サンプル10のように100℃のような低温の場合には、ベースポリマーを十分に加硫せしめるのに長時間の加熱を必要とする。また、比較サンプル11のように加硫温度が170℃のように高温では、イオン導電成分の重合による分子鎖の成長が妨げられるため、低分子の成分が材料全体に拡散して吸湿性を高めてしまう。
本実施例によれば、導電材が母材にミクロ微分散し、さらに簡単な作製工程で作製される耐環境性に優れた、すなわち気温や湿度の変化に対しても安定した電気抵抗を示すイオン導電性ポリマーブレンド及びそれを利用した半導電性部材の製造方法を提供することができる。
10 母材(NBR)
20 イオン導電性モノマー
30 イオン導電性ポリマー
40 ECOポリマー
A 重合反応点
B 導電性骨格(エーテル結合鎖)
C 導電性の高い領域
D 導電性骨格

Claims (8)

  1. 主鎖及び/または側鎖にエーテル結合を複数含有し、かつ重合反応点を有するモノマー成分(A)、ベースポリマー(B)及び加硫剤よりなる混合物において、モノマー成分(A)の重合とベースポリマー(B)の加硫が加硫剤により成された重合加硫物であって、
    モノマー成分(A)がφ0.1μm以下の互いに独立したドメインとして重合加硫物中に略均一に分散しており、
    温度が10〜30℃,及び相対湿度が15〜90%の環境における前記重合加硫物の体積抵抗率が、105〜1010Ωcmの範囲にあり、
    かつ10℃,15%RHと30℃,90%RHの2環境にて測定した体積抵抗率の2つの値のうち、大きい方の値が他方の値の20倍未満であり、
    前記混合物において、前記モノマー成分(A)の重合と、前記ベースポリマー(B)の加硫を同時に進行させる前記加硫剤がパーオキサイドであり、
    前記混合物が、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である金属塩、及び非金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩(C)を更に含有し、
    前記加硫剤による重合加硫の温度が100〜150℃であることを特徴とするイオン導電性ポリマーブレンド。
  2. 前記混合物を構成する前記モノマー成分(A)、前記ベースポリマー(B)、前記電解質塩(C)の混合比率について、成分(A)、(B)の体積比率が(B)≧(A)の範囲であり、かつ(C)の配合量が(A)に対し重量比で30%以下であることを特徴とする請求項1に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
  3. 前記モノマー成分(A)のエーテル結合部位がアルキレンオキサイドの形態として存在し、前記エーテル結合部位が、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体から選択される少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
  4. エーテル結合を含んだ前記モノマー成分(A)と前記ベースポリマー(B)の吸湿性が、(A)>(B)の関係にあることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
  5. 前記イオン導電性ポリマーブレンドが、画像形成装置の半導電性ローラのゴム部分または転写ベルトに使用される半導電性部材であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
  6. 前記混合物が加硫促進剤、加工助剤、老化防止剤、軟化剤、補強材の少なくともいずれかをさらに含有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
  7. 前記ベースポリマー(B)が、イオン導電性を有することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のイオン導電性ポリマーブレンド。
  8. 主鎖及び/または側鎖にエーテル結合を複数含有し、かつ重合反応点を有するモノマー成分(A)とベースポリマー(B)及び加硫剤とを含有する混合物を調整する混合物調整工程と、
    前記モノマー成分(A)の重合と前記ベースポリマー(B)の加硫を同時に行う重合加硫工程とからなり、
    重合加硫物中のモノマー成分(A)がφ0.1μm以下の互いに独立したドメインとして重合加硫物中に略均一に分散しており、
    温度が10〜30℃,及び相対湿度が15〜90%の環境における前記重合加硫物の体積抵抗率が、105〜1010Ωcmの範囲にあり、
    かつ10℃,15%RHと30℃,90%RHの2環境にて測定した体積抵抗率の2つの値のうち、大きい方の値が他方の値の20倍未満であり、
    前記混合物調整工程において、
    前記加硫剤が、前記モノマー成分(A)の重合と、前記ベースポリマー(B)の加硫を同時に進行させるパーオキサイドである前記混合物を調整すると共に、
    アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である金属塩、及び非金属塩の少なくともいずれかからなる電解質塩(C)を更に含有する前記混合物を調整し、
    前記重合加硫工程において、前記モノマー成分(A)の重合と前記ベースポリマー(B)の加硫を同時に行うための加熱温度が100〜150℃である半導電性部材の製造方法。
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