JP7283323B2 - 中間転写体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、一般的に、強誘電体の粒径と誘電率の大きさには相関性があることが知られている。すなわち、粒径が小さいほど誘電率が下がり、転写性向上効果も小さくなる。したがって、転写性向上効果を大きくするためには、粒径が大きい強誘電体を用いる必要がある。
以上を鑑みると、強誘電体の粒径の大きさと誘電率の大きさ、すなわち言い換えると、機械的強度と転写性向上効果はトレードオフの関係にあると言え、従来の技術では、強誘電体を添加した中間転写体において、機械的強度と転写性向上効果を両立させることができなかった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、
前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする中間転写体。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
強誘電体粒子の平均一次粒径を200nm以下と小さくすることによって、粒子沈降を抑制することができ、前記強誘電体粒子を含有する層中で強誘電体粒子を三次元的に均一に分散させることができる。
また、強誘電体は、結晶格子のc軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が大きいほど誘電率が高くなる。その原理は、以下のとおりと推定され、以下では強誘電体として例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)を例に挙げて説明する。
前記比の値(c/a)が大きいとは、結晶構造が縦長ということであり、その場合、前記比の値(c/a)が低い場合と比べて真ん中のチタン原子が中心から少しずれた位置にくることになる。チタン原子はプラスに帯電しているため、上記のようにずれると、その分だけプラス電荷が偏る、すなわち、分極することになる。したがって、前記比の値(c/a)が大きいほど、この分極の程度が大きくなり、誘電率が高くなる。
通常の粒径100nmのチタン酸バリウムでは、前記比の値(c/a)が1.005以下であるが、作り方を変えることで前記比の値(c/a)が1.006以上のものを作製することができる。鋭意検討の結果、前記比の値(c/a)が1.006の100nm粒子では、前記比の値(c/a)が1.005の100nm粒子よりも誘電率が高くなることが分かった。
したがって、強誘電体の前記比の値(c/a)を1.006以上と大きくすることで、高誘電率、すなわち、転写性向上を達成することができる。
以上より、粒子沈降による強誘電体粒子の偏在を抑制し、かつ、高誘電率に起因する転写性向上効果を同時に達成することができると推察される。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
前記導電体は、カーボンブラックであることが導電性とハンドリング性の点で好ましい。カーボンブラックは中間転写体に必要な導電性を持たせることができ、かつ容易に分散させることができるため、扱いが容易である。また、前記導電体は、カーボンナノチューブであることが、添加量を抑制できる点で好ましい。カーボンナノチューブは導電性が高いため、低添加量で導電性を向上させることができ、機械的強度を向上させる効果がある。
本発明の中間転写体は、強誘電体粒子を含有する層を有する中間転写体であって、前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする。
本発明に係る強誘電体粒子の平均一次粒径は、200nm以下である。平均一次粒径の下限値は30nmであり、より好ましくは50nmであり、最適範囲は90~110nmの範囲内である。
強誘電体粒子の平均一次粒径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテク社製)を用いて、無作為に200個以上の粒子を計測し、その平均値を求めた。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径と短径の平均値を個々の粒子の径として算出することができる。
本発明に係る強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であり、1.009以上であることがより好ましく、上限値としては1.010が現実的である。
前記比の値(c/a)は、以下のように算出する。
ブルカーAXS社製X線回折装置(D8 ADVANCE/V)にて測定し、定性分析、又はリートベルト解析による定量分析から、格子定数(前記比の値(c/a))を求める。
前記強誘電体粒子を含有する層の周波数1MHzにおける比誘電率は、温度23℃・湿度50%RHの環境下、10~60の範囲内であることが好ましい。
比誘電率が、10以上の場合は、転写電界を強くすることが容易であるため好ましい。一方で、比誘電率が60以下であれば、トナーと中間転写体との付着力が大きくなり、転写効率が下がってしまうことがないため好ましい。
中間転写体の強誘電体粒子を含有する層に対して、誘電率測定を行う。具体的には、図5に示すように、中間転写体87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「1260/1296」(Solartron Analytical社)を用いて、周波数1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算する。
図1は、本発明の中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図である。
本発明の中間転写体1aは、本発明に係る強誘電体粒子を含有する層(以下、基材層2aともいう。)のみで構成された単層構造であってもよいが、必要に応じて、前記基材層2a上に弾性層3a又は表面層4aなどの層をこの順で有する構成とすることもできる。
中間転写体の形状は、無端構造の中間転写体が、重畳による厚さ変化がなく、任意な部分を中間転写体の回転の開始位置とすることができ、回転開始位置の制御機構を省略できる利点などを有し好ましい。
本発明に係る基材層は、強誘電体粒子を含有する。また、基材層は、導電体を含有することが好ましい。
特に、基材層は、樹脂に強誘電体粒子と導電体を均一に混合分散した状態で含有することが好ましい。すなわち、基材層が、当該基材層を構成する成分で均一に分散され、単層を構成していることが好ましい。
ここで、「均一に分散」とは、基材層を走査型電子顕微鏡で観察撮影した写真において、層内に強誘電体粒子のみが充填された領域と導電体のみが充填された領域の界面が見えないことをいう。
ただし、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に強誘電体粒子や導電体の凝集体があっても構わない。
前記強誘電体粒子は、前記したとおり、平均一次粒径は200nm以下であり、かつ、強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であり、より好ましくは1.009以上である。前記比の値(c/a)の上限値は特に限定しないが、1.010が現実的である。
本発明に係る強誘電体粒子は、強誘電体の微粒子状態のものをいう。本発明において強誘電体とは、誘電体の一種で、外部に電場がなくても電気双極子が整列しており、かつ双極子の方向が電場によって変化できる物質であり、具体的には、本発明において、強誘電体とは、温度23℃・湿度50%RHの環境下、周波数1MHzにおける比誘電率が15以上である物質をいう。好ましくは、比誘電率は20以上、さらに好ましくは100以上である。誘電率が高い方が、本発明の効果発現の観点から好ましい。上限は、材料入手で制約される。
これらのうち、本発明に係る強誘電体粒子としては、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを含有することが好ましい。
具体的には、バリウム及びチタン水酸化物含有水溶液を調製し、当該水溶液を高温高圧条件にて水熱反応を行う。
水熱反応の温度は200℃以上、好ましくは200~450℃、より好ましくは250~400℃、かつ全圧力が2MPa以上、好ましくは2~50MPa、より好ましくは10~40MPaで、通常0.1分以上、好ましくは0.1分~1時間、より好ましくは0.1~30分、反応させるとよい。このような高温高圧条件下で水熱反応させて、前記比の値(c/a)や平均一次粒径等の粒子形態の制御を行う。その後、ろ過、水洗した後、乾燥、解砕することにより、チタン酸バリウム粒子が得られる。
本発明に係る前記比の値や平均一次粒径を前記した範囲とするための手段としては、バリウム及びチタン水酸化物を含有する水溶液における原料の種類、Ba/Ti比、アルカリ量、反応スケール、反応温度、反応圧力及び反応時間等を制御することによって行うことができる。
なお、チタン酸ストロンチウムの製造方法も特に限定されず、前記したチタン酸バリウムと同様の方法で製造することができる。
本発明において、導電体は、導電性を有する物質であれば特に限定されない。具体的に、本発明に用いられる導電体(導電剤)としては、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質を用いることができるが、導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト又はグラフェンであることが好ましく、カーボンブラック又はカーボンナノチューブであることが中間転写体に導電性を持たせることができる点、ハンドリングの容易さの点でより好ましい。
本発明に用いられる導電体の添加量としては、基材層(強誘電体粒子を含有する層)全体に対して、0.1~20体積%の範囲内で含有することが好ましい。0.1体積%以上であると、基材層表面にトナーの汚染が発生することがなく、20体積%以下であると、基材層の強度やトナーの帯電量の低下が認められず良好である。より好ましくは、0.5~15体積%の範囲内で、さらに好ましくは、1~10体積%の範囲内である。
前記導電体のうちカーボンブラックとしては、例えば、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。より少量の混合で所望の導電率を得るのに有効なものとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックとオイルファーネスブラックが挙げられる。なお、ケッチェンブラックとは、コンタクティブファーネス系のカーボンブラックである。
平均一次粒径の測定はフォトンカウンティング方式を用いたFPAR-1000(大塚電子社製)の方法によって測定することができる。
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する。)とは、グラファイト六角網平面を筒状に丸めた状態の構造をもつ欠陥の無い単層、又はそれらが入れ子状に積層した多層のチューブ状物質である。本発明の中間転写体に含有されるCNTの平均管径は、10~150nmの範囲内であることが好ましく、CNTの長さは、5~12μmの範囲内であることが好ましい。CNTの直径及び長さを上記範囲にすることにより、中間転写体に適切な導電性を付与することができるとともに、強誘電体粒子を被覆する場合、効率的に被覆することができる。
本発明に用いられるグラファイトとしては、天然物、人造合成物のいずれも使用可能である。好ましいグラファイトの粒子径に関しては、グラファイトの形状が鱗片状であること、またトナー担持体製造時における分散工程時に形状が変化すること等により一義的に規定することは困難であるが、長軸方向(ヘキ開面方向)の幅として100μm以下であることが好ましい。測定方法としては、試料を直接顕微鏡で観察し測定する。
グラフェンは、炭素原子の平面状の六角形格子構造からなるシート状の物質である。グラフェンシートは、平板状のグラフェンであり、通常、単層である。グラフェンシートは、人工物であり、薄片状の粉体として入手できる。例えば化学気相蒸着(CVD)法で作製されうる。
本発明に係る基材層は、前記強誘電体粒子又は、前記導電体で被覆した強誘電体粒子を樹脂中に分散した状態で含有することが好ましい。
本発明に係る樹脂としては、様々なものを使用することができるが、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの強度と耐久性をもつスーパーエンジニアリングプラスチックが望ましい。
弾性層は、必要により、基材の外周面上に形成されうる、所期の導電性と弾性を有する層である。
弾性層は、ゴム材料で構成される。弾性層の厚さは、例えば50~400μm内であることが好ましい。
ゴム材料の例には、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)及びニトリルゴム(NBR)などのゴム弾性を有する樹脂が含まれる。上記ゴム材料は、クロロプレンゴム又はニトリルブタジエンゴムを含むことが、中間転写体の電気抵抗を制御する観点から好ましい。
必要により、表面層(表層)は、基材の外周面上、又は弾性層の外周面上に形成されうる層であり、転写性向上効果を有する。
前記表面層が、金属酸化物微粒子(A)と、屈折率nDが1.6~1.8の範囲にある(メタ)アクリレートモノマー(B)、及び、当該(メタ)アクリレートモノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(C)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られることが好ましい。これにより中間転写体の耐久性を改善することができる。
次に、本発明に係る強誘電体粒子を含有する層(基材層)を備えた中間転写体の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は例示であり、中間転写体を製造できる任意の方法を用いることできる。
まず、強誘電体粒子を溶媒中に分散させた分散液Aを調製する。必要に応じて、導電体を溶媒中に分散させた分散液Bも調製する。ここで、分散液A及び分散液Bともに、誘電率や機械的物性に影響を与えない程度に分散剤を用いても良い。
調製した分散液A及び分散液Bをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂と混合・分散させる。このとき、強誘電体粒子及び導電体の含有量が好ましい範囲となるように適宜調製する。混合・分散操作はミキサー等を用いて行うことができる。なお、分散液A及び分散液Bを調製せずに、強誘電体粒子と、必要に応じて導電体をともにポリイミドワニスに混合・分散させてもよい。
前記混合・分散操作により、基材層形成用塗布液を調製することができる。
次に、円筒状金型を回転させながら130℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、350℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成することができる。そして、この基材層を加工して、樹脂全体に強誘電体粒子及び/又は導電体が分散された中間転写体が得られる。
なお、上記方法で作製した基材層のみを用いて中間転写体を作製してもよいし、弾性層及び表面層を基材層に貼り合わせて中間転写体を作製してもよい。弾性層や表面層の形成方法は公知の方法を用いて良く、特に限定されない。
次に、本発明の中間転写体を備える電子写真画像形成装置について説明する。
本発明の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置ともいう。)は、例えば、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体としての感光体ドラム83Y、83M、83C、83Kが、中間転写体の走行方向に直列配置されたタンデム方式の画像形成装置である。
外周面上に、保護層としてのオーバーコート層を設けた有機感光体層(OPC)が形成された像担持体である。感光体ドラム83は、接地された状態で中間転写体に従動して図2における反時計方向に回転される。
特許第6368246号の段落0033~0044等を参考にして、チタン塩水溶液としてチタン水酸化物含有水溶液、バリウム塩水溶液として硝酸バリウム水溶液、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて、Ti量が10mol、Ba量が10mol、アルカリ量が60mol[中和度=アルカリ量/(4×Ti量+2×Ba量)=1.0]となるように原料を準備した。
次に、原料タンク内で、室温、大気下にてチタン水酸化物含有水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加後、硝酸バリウム水溶液を添加して、反応前駆体である無定形のバリウム及びチタン水酸化物を含有する水溶液を調製した。調製後の反応前駆体のpH値は13.2であった。調製した反応前駆体を連続式水熱反応装置により温度400℃、圧力25MPa、滞留時間0.4分にて水熱反応を行い、その後、ろ過、水洗及び乾燥してチタン酸バリウム粒子を得た。
得られたチタン酸バリウム粒子は、X線回折及び平均一次粒径を前記した方法により評価した。X線回折法によりリートベルト解析したところ、c/a比が1.009で、平均一次粒径が100nmのチタン酸バリウム粒子であった。
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.8とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.7まで中和し、ろ別し水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiO2として1.85mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0として解膠処理を行った。このメタチタン酸をTiO2換算に比して0.63mol採取し、3Lの反応容器に投入した。
次いで、SrO/TiO2モル比が1.14になるよう塩化ストロンチウム水溶液を0.71mol添加した後、TiO2濃度を0.28mol/Lに調整した。次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、5N水酸化ナトリウム水溶液290mLを16時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ別後、120℃の大気中で8時間乾燥して、チタン酸ストロンチウム粒子を得た。
上記で合成したチタン酸バリウム粒子(平均一次粒径100nm、c/a=1.009)を溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)中に分散させた分散液Aと、カーボンブラック(MA8:三菱ケミカル社製)を溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)中に分散させた分散液Bを調製した。
分散液A及びBをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂に対して、チタン酸バリウム15体積%、カーボンブラック7体積%となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液を調製した。
次に、ステンレス製の円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させつつ当該ノズルから基材層形成用塗布液を吐出して、金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成した。
次に、円筒状金型を回転させながら130℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、350℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成した。上記方法で形成された基材層の厚さは65μmであった。そして、この基材層を加工して、樹脂全体にチタン酸バリウム及びカーボンブラックが分散された中間転写体1を作製した。
さらに、中間転写体1上に、SSG HB21B(ニットーボーメディカル社製)を浸漬塗布法によって塗布し、表面層を形成した。
前記中間転写体1の作製において、強誘電体粒子や導電体の種類及び添加量等を下記表Iに示すとおりに変更した以外は、同様にして中間転写体2~10を作製した。なお、中間転写体10は、表面層を設けなかった。
また、各中間転写体の作製で使用した材料は以下のものを用いた。
カーボンブラック:「MA8」(三菱ケミカル社製)
カーボンナノチューブ:「CNTs40(N)」(SUSN社製)
前記中間転写体1の作製時に調製した分散液A及び分散液Bにおいて、分散液Aをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂に対して、表Iのようにチタン酸バリウム10体積%、となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液Aを調製した。同様に、分散液Bをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂に対して、表Iのようにカーボンブラック15体積%となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液Bを調製した。
次に、中間転写体1と同様に、ステンレス製の円筒状金型を用いて、基材層形成用塗布液Aを吐出して塗膜を形成し、加熱することによってチタン酸バリウムと樹脂によって構成された無端ベルト状の基材層を形成した。さらに、基材層形成用塗布液Bを浸漬塗布法によって塗布することで、チタン酸バリウムが分散された層とカーボンブラックが分散された層という2層構成の無端ベルト状の基材層を形成した。
加えて、中間転写体11上に、SSG HB21B(ニットーボーメディカル社製)を浸漬塗布法によって塗布し、表面層を形成した。
上記で作製した各中間転写体に対して、誘電率測定を行った。
図5に示すように、中間転写体87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「1260/1296」(Solartron Analytical社)を用いて、周波数1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算した。
上記で作製した各中間転写体を走査型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で観察撮影した写真において、層内に界面が見えるか否かで、単層か否かを確認した。ここでいう界面とは、層内に誘電体粒子が分散されている領域と導電体が分散されている領域が分かれており、それらの領域の境目のことを示す。ただし、数個の粒子が集まった凝集体は、前述した誘電体もしくは導電体が分散されている領域とは異なり、単層を構成しているものとみなした。その結果、中間転写体1~10は、基材層を構成する成分が均一に分散されて単層を構成していたが、中間転写体11は、基材層を構成する成分が偏在して、層内に界面を形成しており、単層構造とはなっていなかった。
上記で作製した各中間転写体に対して、転写性と機械的強度について評価した。
前記中間転写体を、画像形成装置「KONICA MINOLTA bizhub PRESS C11000」(コニカミノルタ社製)に搭載し、画像支持体としてエンボス紙(レザック、302g紙)を用いて下記の評価試験を行った。
転写性の評価基準は、以下のとおりである。
◎:転写ムラが全く認められない。
○:エンボス紙の凹部に僅かに転写ムラがあるが、実用上問題ないと認められる。
△:エンボス紙の凸部に僅かに転写ムラがあるが、実用上問題ないと認められる。
×:用紙全体に転写ムラがあって実用上問題があると認められる。
上記黒色のハーフトーン画像を出力した後、JIS P 8115に準拠し、折り曲げ試験(MIT試験)を行った。破断までの往復回数を測定し、以下の評価基準で評価した。破断までの往復回数が6000回以上であれば、使用時に割れる可能性はほぼ皆無と推定され、1000回未満の場合、印字中にベルトが割れる危険性が高く不合格とした。
◎:6000回以上
〇:4000回以上、6000回未満
△:1000回以上、4000回未満
×:1000回未満
2a 基材層
3a 弾性層
4a 表面層
1 画像形成装置
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
20 記憶部
30 ネットワークI/F部
40 表示操作部
50 画像読取部
60 画像処理部
70 搬送部
71 給紙装置
72 搬送機構
73 排紙装置
80 画像形成部
81、81Y、81M、81C、81K 露光装置
82、82Y、82M、82C、82K 現像装置
83、83Y、83M、83C、83K 感光体ドラム
84、84Y、84M、84C、84K 帯電装置
85、85Y、85M、85C、85K クリーニング装置
86、86Y、86M、86C、86K 一次転写ローラー
87 中間転写ユニット
87a 中間転写体
87b 支持ローラー
87c 二次転写ローラー
87d 中間転写クリーニング部
88 定着装置
88a 加熱ローラー
88b 定着ローラー
88c 定着ベルト
88d 加圧ローラー
201 薄膜電極
Claims (12)
- 強誘電体粒子を含有する層を有する中間転写体であって、
前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、
前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする中間転写体。 - 周波数1MHzのときの前記強誘電体粒子を含有する層の比誘電率が、10~60の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 前記強誘電体粒子が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写体。
- 前記強誘電体粒子の前記c/aが、1.009以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記強誘電体粒子を5~30体積%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記強誘電体粒子を含有する層が、導電体を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記導電体が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項6に記載の中間転写体。
- 前記導電体が、カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項6に記載の中間転写体。
- 前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記導電体を0.1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記前記強誘電体粒子を含有する層が、当該前記強誘電体粒子を含有する層を構成する成分で均一に分散され、単層を構成していることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記前記強誘電体粒子を含有する層上に表面層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の中間転写体を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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