JP7283323B2 - 中間転写体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

中間転写体及び電子写真画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP7283323B2
JP7283323B2 JP2019169508A JP2019169508A JP7283323B2 JP 7283323 B2 JP7283323 B2 JP 7283323B2 JP 2019169508 A JP2019169508 A JP 2019169508A JP 2019169508 A JP2019169508 A JP 2019169508A JP 7283323 B2 JP7283323 B2 JP 7283323B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intermediate transfer
transfer member
ferroelectric particles
layer
ferroelectric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019169508A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021047284A (ja
Inventor
大輔 池田
定章 坂本
伊都 福田
栞 津川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2019169508A priority Critical patent/JP7283323B2/ja
Priority to US17/000,805 priority patent/US11131946B2/en
Publication of JP2021047284A publication Critical patent/JP2021047284A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7283323B2 publication Critical patent/JP7283323B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03GELECTROGRAPHY; ELECTROPHOTOGRAPHY; MAGNETOGRAPHY
    • G03G15/00Apparatus for electrographic processes using a charge pattern
    • G03G15/14Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base
    • G03G15/16Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer
    • G03G15/1605Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer using at least one intermediate support
    • G03G15/162Apparatus for electrographic processes using a charge pattern for transferring a pattern to a second base of a toner pattern, e.g. a powder pattern, e.g. magnetic transfer using at least one intermediate support details of the the intermediate support, e.g. chemical composition

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、中間転写体及び電子写真画像形成装置に関し、特に、強誘電体を添加した場合であっても機械的強度と転写性向上を両立させることができる中間転写体及び電子写真画像形成装置に関する。
従来、中間転写体(中間転写ベルト)を用いた電子写真方式の画像形成装置としては、感光体上に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、その中間転写体上のトナー像を転写紙(記録紙)等の転写材に二次転写するものが知られている。すなわち、感光体上に形成された所定の極性に帯電しているトナー像を静電気力を利用して中間転写体に転写した後、その中間転写体のトナー像を、静電気力を利用して転写材上に転写する。
このような中間転写体を用いた画像形成装置は、静電気力を利用して各感光体上に形成したトナー像を順次中間転写体上に重ね合わせ、さらに、重ね合わせたトナー像を転写材に一括転写することができるので、カラー画像形成装置として広く用いられている。
中間転写体には、転写性やクリーニング性など様々な性能が要求される。このうち、転写効率を向上させるため、中間転写体に強誘電体を分散させる技術は従来から提唱されている(例えば、特許文献1参照。)。
強誘電体は、用途や状況に応じて使用する粒径範囲を調整することができるが、一般的に、粒径が大きいほど粒子沈降が起こりやすく、中間転写体の製造時に均一な粒子分散性を維持することが難しくなる。よって、粒子の偏在が起こりやすく、中間転写体の機械的強度が弱くなり、中間転写体の破断の原因となりやすい。したがって、ある一定の機械的強度を確保するためには、粒径が小さい強誘電体を用いる必要がある。
しかしながら、一般的に、強誘電体の粒径と誘電率の大きさには相関性があることが知られている。すなわち、粒径が小さいほど誘電率が下がり、転写性向上効果も小さくなる。したがって、転写性向上効果を大きくするためには、粒径が大きい強誘電体を用いる必要がある。
以上を鑑みると、強誘電体の粒径の大きさと誘電率の大きさ、すなわち言い換えると、機械的強度と転写性向上効果はトレードオフの関係にあると言え、従来の技術では、強誘電体を添加した中間転写体において、機械的強度と転写性向上効果を両立させることができなかった。
特開平8-152759号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、強誘電体粒子を添加した場合であっても、機械的強度と転写性向上を両立させることができる中間転写体及び電子写真画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、強誘電体粒子の粒径と、結晶格子のc軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)を特定範囲とすることにより、強誘電体粒子を添加した場合であっても、機械的強度と転写性向上を両立させることができる中間転写体及び電子写真画像形成装置を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.強誘電体粒子を含有する層を有する中間転写体であって、
前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、
前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする中間転写体。
2.周波数1MHzのときの前記強誘電体粒子を含有する層の比誘電率が、10~60の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の中間転写体。
3.前記強誘電体粒子が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを含有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の中間転写体。
4.前記強誘電体粒子の前記c/aが、1.009以上であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
5.前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記強誘電体粒子を5~30体積%の範囲内で含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
6.前記強誘電体粒子を含有する層が、導電体を含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
7.前記導電体が、カーボンブラックであることを特徴とする第6項に記載の中間転写体。
8.前記導電体が、カーボンナノチューブであることを特徴とする第6項に記載の中間転写体。
9.前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記導電体を0.1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする第6項から第8項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
10.前記強誘電体粒子を含有する層が、当該強誘電体粒子を含有する層を構成する成分で均一に分散され、単層を構成していることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
11.前記強誘電体粒子を含有する層上に表面層が設けられていることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
12.第1項から第11項までのいずれか一項に記載の中間転写体を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
本発明の上記手段により、強誘電体粒子を添加した場合であっても、機械的強度と転写性向上を両立させることができる中間転写体及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
強誘電体粒子の平均一次粒径を200nm以下と小さくすることによって、粒子沈降を抑制することができ、前記強誘電体粒子を含有する層中で強誘電体粒子を三次元的に均一に分散させることができる。
また、強誘電体は、結晶格子のc軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が大きいほど誘電率が高くなる。その原理は、以下のとおりと推定され、以下では強誘電体として例えばチタン酸バリウム(BaTiO)を例に挙げて説明する。
前記比の値(c/a)が大きいとは、結晶構造が縦長ということであり、その場合、前記比の値(c/a)が低い場合と比べて真ん中のチタン原子が中心から少しずれた位置にくることになる。チタン原子はプラスに帯電しているため、上記のようにずれると、その分だけプラス電荷が偏る、すなわち、分極することになる。したがって、前記比の値(c/a)が大きいほど、この分極の程度が大きくなり、誘電率が高くなる。
通常の粒径100nmのチタン酸バリウムでは、前記比の値(c/a)が1.005以下であるが、作り方を変えることで前記比の値(c/a)が1.006以上のものを作製することができる。鋭意検討の結果、前記比の値(c/a)が1.006の100nm粒子では、前記比の値(c/a)が1.005の100nm粒子よりも誘電率が高くなることが分かった。
したがって、強誘電体の前記比の値(c/a)を1.006以上と大きくすることで、高誘電率、すなわち、転写性向上を達成することができる。
以上より、粒子沈降による強誘電体粒子の偏在を抑制し、かつ、高誘電率に起因する転写性向上効果を同時に達成することができると推察される。
本発明の中間転写ベルトの層構成の一例を示す概念断面図 本発明の画像形成装置の構造を示す模式図 本発明の画像形成装置の構成を示すブロック図 本発明の画像形成装置の構成を示すブロック図 誘電率の測定方法を説明するための模式図
本発明の中間転写体は、強誘電体粒子を含有する層を有する中間転写体であって、前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、周波数1MHzのときの前記強誘電体粒子を含有する層の比誘電率が、10~60の範囲内であることが、転写電界を強くすることが容易であり、また、トナーと中間転写体との付着力が大きくなり転写効率が下がることがない点で好ましい。
前記強誘電体粒子が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを含有することが、転写効率を向上させることができる点で好ましい。
また、前記強誘電体粒子の前記c/aが、1.009以上であることが、機械的強度及び転写性をより向上させることができる点で好ましい。
前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記強誘電体粒子を5~30体積%の範囲内で含有することが、機械的強度及び転写性向上をより向上させることができる点で好ましい。
前記強誘電体粒子を含有する層が、導電体を含有することが、導電性を向上させることができる点で好ましい。
前記導電体は、カーボンブラックであることが導電性とハンドリング性の点で好ましい。カーボンブラックは中間転写体に必要な導電性を持たせることができ、かつ容易に分散させることができるため、扱いが容易である。また、前記導電体は、カーボンナノチューブであることが、添加量を抑制できる点で好ましい。カーボンナノチューブは導電性が高いため、低添加量で導電性を向上させることができ、機械的強度を向上させる効果がある。
前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記導電体を0.1~20体積%の範囲内で含有することが、強誘電体粒子を含有する層の機械的強度及びトナーの帯電量向上が図れる点で好ましく、また、強誘電体粒子を含有する層の汚染の発生を防止できる点で好ましい。
前記強誘電体粒子を含有する層が、当該強誘電体粒子を含有する層を構成する成分で均一に分散され、単層を構成していることが、機械的強度と転写性向上を両立させることができる点で好ましい。
前記強誘電体粒子を含有する層上に表面層が設けられていることが、中間転写体の転写性向上の点で好ましい。
本発明の中間転写体は、電子写真画像形成装置に好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[中間転写体]
本発明の中間転写体は、強誘電体粒子を含有する層を有する中間転写体であって、前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする。
<強誘電体粒子の平均一次粒径>
本発明に係る強誘電体粒子の平均一次粒径は、200nm以下である。平均一次粒径の下限値は30nmであり、より好ましくは50nmであり、最適範囲は90~110nmの範囲内である。
強誘電体粒子の平均一次粒径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテク社製)を用いて、無作為に200個以上の粒子を計測し、その平均値を求めた。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径と短径の平均値を個々の粒子の径として算出することができる。
<c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)>
本発明に係る強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であり、1.009以上であることがより好ましく、上限値としては1.010が現実的である。
前記比の値(c/a)は、以下のように算出する。
(X線回折(XRD))
ブルカーAXS社製X線回折装置(D8 ADVANCE/V)にて測定し、定性分析、又はリートベルト解析による定量分析から、格子定数(前記比の値(c/a))を求める。
なお、本発明の中間転写体は、本発明の効果を阻害しない範囲の不純物レベルで、平均一次粒径及び前記比の値(c/a)が、前記した範囲以外の強誘電体粒子を含有してもよい。前記不純物レベルとは、強誘電体粒子を含有する層の全体積に対して0.1体積%以下のレベルであり、中間転写体の誘電特性や粒子沈降性を変えることはないレベルに限定される。
<比誘電率>
前記強誘電体粒子を含有する層の周波数1MHzにおける比誘電率は、温度23℃・湿度50%RHの環境下、10~60の範囲内であることが好ましい。
比誘電率が、10以上の場合は、転写電界を強くすることが容易であるため好ましい。一方で、比誘電率が60以下であれば、トナーと中間転写体との付着力が大きくなり、転写効率が下がってしまうことがないため好ましい。
前記比誘電率は、以下の方法によって測定することができる。
中間転写体の強誘電体粒子を含有する層に対して、誘電率測定を行う。具体的には、図5に示すように、中間転写体87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「1260/1296」(Solartron Analytical社)を用いて、周波数1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算する。
中間転写体中の強誘電体粒子に用いる強誘電体の種類やその含有量を調整することにより、比誘電率を適切な値に調整することができる。
[中間転写体の層構成]
図1は、本発明の中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図である。
本発明の中間転写体1aは、本発明に係る強誘電体粒子を含有する層(以下、基材層2aともいう。)のみで構成された単層構造であってもよいが、必要に応じて、前記基材層2a上に弾性層3a又は表面層4aなどの層をこの順で有する構成とすることもできる。
中間転写体の厚さは、その使用目的などに応じて適宜決定し得るが、50~100μmの範囲内であることが好ましい。厚さが薄い程、転写に必要となる電圧が低くなり、放電が抑制されて転写効率が向上するため、100μm以下が好ましい。また、厚さが50μm以上であれば中間転写体の強度を十分保つことができる。
中間転写体の電気抵抗値(体積抵抗率)は、105~1011Ω・cmの範囲内であることが好ましい。電気抵抗値は、後述する導電体の含有量で制御することができる。
中間転写体の形状は、無端構造の中間転写体が、重畳による厚さ変化がなく、任意な部分を中間転写体の回転の開始位置とすることができ、回転開始位置の制御機構を省略できる利点などを有し好ましい。
<基材層>
本発明に係る基材層は、強誘電体粒子を含有する。また、基材層は、導電体を含有することが好ましい。
特に、基材層は、樹脂に強誘電体粒子と導電体を均一に混合分散した状態で含有することが好ましい。すなわち、基材層が、当該基材層を構成する成分で均一に分散され、単層を構成していることが好ましい。
ここで、「均一に分散」とは、基材層を走査型電子顕微鏡で観察撮影した写真において、層内に強誘電体粒子のみが充填された領域と導電体のみが充填された領域の界面が見えないことをいう。
ただし、本発明の効果を損なわない範囲で、部分的に強誘電体粒子や導電体の凝集体があっても構わない。
前記強誘電体粒子は、前記したとおり、平均一次粒径は200nm以下であり、かつ、強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であり、より好ましくは1.009以上である。前記比の値(c/a)の上限値は特に限定しないが、1.010が現実的である。
(強誘電体粒子)
本発明に係る強誘電体粒子は、強誘電体の微粒子状態のものをいう。本発明において強誘電体とは、誘電体の一種で、外部に電場がなくても電気双極子が整列しており、かつ双極子の方向が電場によって変化できる物質であり、具体的には、本発明において、強誘電体とは、温度23℃・湿度50%RHの環境下、周波数1MHzにおける比誘電率が15以上である物質をいう。好ましくは、比誘電率は20以上、さらに好ましくは100以上である。誘電率が高い方が、本発明の効果発現の観点から好ましい。上限は、材料入手で制約される。
また、このように電気双極子モーメントが自発的に整列した状態を強誘電状態、この性質を強誘電性という。強誘電性をもつ物質のうち、本発明では生産工程での負荷や、経年使用時の安定性から、強誘電体粒子としては強誘電体セラミックスが望ましく、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。また、強誘電体粒子として、これらの固溶体を用いても良い。
これらのうち、本発明に係る強誘電体粒子としては、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを含有することが好ましい。
チタン酸バリウムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、特許第6368246号の段落0033~0044等に記載の方法などにより製造することができる。
具体的には、バリウム及びチタン水酸化物含有水溶液を調製し、当該水溶液を高温高圧条件にて水熱反応を行う。
水熱反応の温度は200℃以上、好ましくは200~450℃、より好ましくは250~400℃、かつ全圧力が2MPa以上、好ましくは2~50MPa、より好ましくは10~40MPaで、通常0.1分以上、好ましくは0.1分~1時間、より好ましくは0.1~30分、反応させるとよい。このような高温高圧条件下で水熱反応させて、前記比の値(c/a)や平均一次粒径等の粒子形態の制御を行う。その後、ろ過、水洗した後、乾燥、解砕することにより、チタン酸バリウム粒子が得られる。
本発明に係る前記比の値や平均一次粒径を前記した範囲とするための手段としては、バリウム及びチタン水酸化物を含有する水溶液における原料の種類、Ba/Ti比、アルカリ量、反応スケール、反応温度、反応圧力及び反応時間等を制御することによって行うことができる。
なお、チタン酸ストロンチウムの製造方法も特に限定されず、前記したチタン酸バリウムと同様の方法で製造することができる。
本発明に係る強誘電体粒子は、基材層(強誘電体粒子を含有する層)全体に対して、前記強誘電体粒子を5~30体積%の範囲内で含有することが好ましい。5体積%以上であると、中間転写体の高誘電化効果、すなわち転写性向上効果がある。30体積%以下であると、必要な機械的強度を有することができる。
(導電体)
本発明において、導電体は、導電性を有する物質であれば特に限定されない。具体的に、本発明に用いられる導電体(導電剤)としては、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質を用いることができるが、導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト又はグラフェンであることが好ましく、カーボンブラック又はカーボンナノチューブであることが中間転写体に導電性を持たせることができる点、ハンドリングの容易さの点でより好ましい。
本発明に用いられる導電体の添加量としては、基材層(強誘電体粒子を含有する層)全体に対して、0.1~20体積%の範囲内で含有することが好ましい。0.1体積%以上であると、基材層表面にトナーの汚染が発生することがなく、20体積%以下であると、基材層の強度やトナーの帯電量の低下が認められず良好である。より好ましくは、0.5~15体積%の範囲内で、さらに好ましくは、1~10体積%の範囲内である。
(カーボンブラック)
前記導電体のうちカーボンブラックとしては、例えば、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。より少量の混合で所望の導電率を得るのに有効なものとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックとオイルファーネスブラックが挙げられる。なお、ケッチェンブラックとは、コンタクティブファーネス系のカーボンブラックである。
カーボンブラックの平均一次粒径は、10~50nmの範囲内であることが好ましい。子の範囲内であれば、強誘電体粒子を導電体により被覆する場合、導電体による強誘電体粒子の被覆率を適切な値に制御しやすい。
平均一次粒径の測定はフォトンカウンティング方式を用いたFPAR-1000(大塚電子社製)の方法によって測定することができる。
(カーボンナノチューブ)
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する。)とは、グラファイト六角網平面を筒状に丸めた状態の構造をもつ欠陥の無い単層、又はそれらが入れ子状に積層した多層のチューブ状物質である。本発明の中間転写体に含有されるCNTの平均管径は、10~150nmの範囲内であることが好ましく、CNTの長さは、5~12μmの範囲内であることが好ましい。CNTの直径及び長さを上記範囲にすることにより、中間転写体に適切な導電性を付与することができるとともに、強誘電体粒子を被覆する場合、効率的に被覆することができる。
このCNTは、必要に応じて官能基を共有結合させてもよい。例えば、CNTを強酸処理することによって表面にカルボン酸が導入された酸化CNTを生成し、酸化CNTを塩化チオニルと反応させた後、アルキルアルコールなどと反応させることにより、有機溶媒に溶解する化学装飾CNTを生成することができる。このような化学装飾CNTを用いることにより、樹脂にCNTを均一に分散させることができる。また、樹脂にCNTを分散させた状態で外部から電界を印加することにより、CNTを所望の方向に配向することができ、中間転写体の誘電率を向上させることができる。
上記平均管系及び上記長さは、中間転写体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から求めることが可能であり、CNTの切断(粉砕)や二種以上のCNTの混合などによって調整することが可能である。
(グラファイト)
本発明に用いられるグラファイトとしては、天然物、人造合成物のいずれも使用可能である。好ましいグラファイトの粒子径に関しては、グラファイトの形状が鱗片状であること、またトナー担持体製造時における分散工程時に形状が変化すること等により一義的に規定することは困難であるが、長軸方向(ヘキ開面方向)の幅として100μm以下であることが好ましい。測定方法としては、試料を直接顕微鏡で観察し測定する。
(グラフェン)
グラフェンは、炭素原子の平面状の六角形格子構造からなるシート状の物質である。グラフェンシートは、平板状のグラフェンであり、通常、単層である。グラフェンシートは、人工物であり、薄片状の粉体として入手できる。例えば化学気相蒸着(CVD)法で作製されうる。
グラフェンシートは、完全に単層でなくてもよく、部分的に2層以上の部分を含んでいてもよい。このような理由から、グラフェンシートは、例えば層数が2未満である。また、大きさは2μm未満であり、厚さは2nm以下であることが好ましい。グラフェンシートの積層物は、例えば、層数が2以上であり、大きさは5~25μmであり、厚さは12nm以下であることが好ましい。
グラフェンシート及びその積層物には、市販品を用いることができる。グラフェンシート及びその積層物の層数、大きさ及び厚さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されうる。
(樹脂)
本発明に係る基材層は、前記強誘電体粒子又は、前記導電体で被覆した強誘電体粒子を樹脂中に分散した状態で含有することが好ましい。
本発明に係る樹脂としては、様々なものを使用することができるが、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの強度と耐久性をもつスーパーエンジニアリングプラスチックが望ましい。
これらの中では、ポリイミド、ポリアミド及びポリアミドイミドが好ましい。中でもポリイミドは、耐熱性、耐屈曲性、柔軟性、寸法安定性等の特性に優れておりより好ましい。ポリイミドは、例えば、酸無水物とジアミン化合物からポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を合成し、当該ポリアミック酸を熱や触媒によってイミド化することにより得られる。
ポリイミドの合成に使用される酸無水物としては、特に制限されないが、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ポリイミドの合成に使用されるジアミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル、2,2′-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン-5,5′-ジオキシド、4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4,4′-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4′-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明に係る樹脂は、基材層全体に対して、50~95体積%の範囲内で含有することが好ましい。50体積%以上であると、必要な機械的強度を有することができる。95体積%以下であると、強誘電体や導電体を含有するスペースを確保することができる。
<弾性層>
弾性層は、必要により、基材の外周面上に形成されうる、所期の導電性と弾性を有する層である。
弾性層は、ゴム材料で構成される。弾性層の厚さは、例えば50~400μm内であることが好ましい。
ゴム材料の例には、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)及びニトリルゴム(NBR)などのゴム弾性を有する樹脂が含まれる。上記ゴム材料は、クロロプレンゴム又はニトリルブタジエンゴムを含むことが、中間転写体の電気抵抗を制御する観点から好ましい。
<表面層>
必要により、表面層(表層)は、基材の外周面上、又は弾性層の外周面上に形成されうる層であり、転写性向上効果を有する。
前記表面層が、金属酸化物微粒子(A)と、屈折率nDが1.6~1.8の範囲にある(メタ)アクリレートモノマー(B)、及び、当該(メタ)アクリレートモノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(C)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られることが好ましい。これにより中間転写体の耐久性を改善することができる。
[中間転写体の製造方法]
次に、本発明に係る強誘電体粒子を含有する層(基材層)を備えた中間転写体の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は例示であり、中間転写体を製造できる任意の方法を用いることできる。
まず、強誘電体粒子を溶媒中に分散させた分散液Aを調製する。必要に応じて、導電体を溶媒中に分散させた分散液Bも調製する。ここで、分散液A及び分散液Bともに、誘電率や機械的物性に影響を与えない程度に分散剤を用いても良い。
調製した分散液A及び分散液Bをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂と混合・分散させる。このとき、強誘電体粒子及び導電体の含有量が好ましい範囲となるように適宜調製する。混合・分散操作はミキサー等を用いて行うことができる。なお、分散液A及び分散液Bを調製せずに、強誘電体粒子と、必要に応じて導電体をともにポリイミドワニスに混合・分散させてもよい。
前記混合・分散操作により、基材層形成用塗布液を調製することができる。
次に、ステンレス製の円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させつつ当該ノズルから基材層形成用塗布液を吐出して、金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成する。
次に、円筒状金型を回転させながら130℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、350℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成することができる。そして、この基材層を加工して、樹脂全体に強誘電体粒子及び/又は導電体が分散された中間転写体が得られる。
なお、上記方法で作製した基材層のみを用いて中間転写体を作製してもよいし、弾性層及び表面層を基材層に貼り合わせて中間転写体を作製してもよい。弾性層や表面層の形成方法は公知の方法を用いて良く、特に限定されない。
[電子写真画像形成装置]
次に、本発明の中間転写体を備える電子写真画像形成装置について説明する。
本発明の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置ともいう。)は、例えば、図2に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体としての感光体ドラム83Y、83M、83C、83Kが、中間転写体の走行方向に直列配置されたタンデム方式の画像形成装置である。
この画像形成装置1は、図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)11とROM(Read Only Memory)12やRAM(Random Access Memory)13等のメモリなどで構成される制御部10と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成される記憶部20と、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成されるネットワークI/F部30と、タッチパネルなどで構成される表示操作部40と、ADF(Auto Document Feeder)とスキャナーなどで構成される画像読取部50と、RIP(Raster Image Processor)などで構成される画像処理部60と、搬送部70と、画像形成部80などを含み、搬送部70から搬送される用紙を処理する画像形成部80に、本実施形態の中間転写体が含まれる。
搬送部70は、図2に示すように、給紙装置71、搬送機構72、排紙装置73などで構成される。給紙装置71に収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構72により画像形成部80に搬送される。このとき、レジストローラーが配設されたレジスト部により、給紙された用紙の傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部80によって画像が形成された用紙は、排紙ローラーを備えた排紙装置73により機外の排紙トレイに排紙される。
画像形成部80は、図2及び図4に示すように、異なる色成分Y、M、C、Kに対応して設けられた、露光装置81(81Y、81M、81C、81K)、現像装置82(82Y、82M、82C、82K)、感光体ドラム83(83Y、83M、83C、83K)、帯電装置84(84Y、84M、84C、84K)、クリーニング装置85(85Y、85M、85C、85K)、一次転写ローラー86(86Y、86M、86C、86K)、中間転写ユニット87、定着装置88などで構成される。以下、各要素について概説する。なお、以下の説明では、必要に応じて、Y、M、C、Kを除いた符号を使用する。
各色成分Y、M、C、Kの感光体ドラム83は、アルミ材よりなる円筒状の金属基体の
外周面上に、保護層としてのオーバーコート層を設けた有機感光体層(OPC)が形成された像担持体である。感光体ドラム83は、接地された状態で中間転写体に従動して図2における反時計方向に回転される。
各色成分Y、M、C、Kの帯電装置84は、スコロトロン式であって、その長手方向を感光体ドラム83の回転軸方向に沿わせた状態で、対応する感光体ドラム83に近接配設されており、トナーと同極性のコロナ放電によって、当該感光体ドラム83の表面に一様な電位を与える。
各色成分Y、M、C、Kの露光装置81は、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム83の回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された対応する感光体ドラム83の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる。
各色成分Y、M、C、Kの現像装置82は、対応する色成分の小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤を収容しており、トナーを感光体ドラム83の表面に搬送して、当該感光体ドラム83に担持された静電潜像をトナーにより顕像化する。
各色成分Y、M、C、Kの一次転写ローラー86は、本実施形態の中間転写体を感光体ドラム83に圧接し、対応する感光体ドラム83に形成された各色トナー像を順次重ねて中間転写体に一次転写する。
各色成分Y、M、C、Kのクリーニング装置85は、一次転写後に対応する感光体ドラム83上に残留した残留トナーを回収する。また、クリーニング装置85の感光体ドラム83の回転方向下流側には図示しない潤滑剤の塗布機構が隣接状態で設けられており、対応する感光体ドラム83の感光面に潤滑剤の塗布を行っている。
中間転写ユニット87は、被転写体となる無端状の中間転写体87aと支持ローラー87bと二次転写ローラー87cと中間転写クリーニング部87dなどを備え、複数の支持ローラー87bに中間転写体87aが張架されて構成される。一次転写ローラー86Y、86M、86C、86Kによって各色トナー像が一次転写された中間転写体87aが、二次転写ローラー87cによって用紙に圧接されると、中間転写体87aと二次転写ローラー87cとの間の転写電圧に基づいてトナーに働く電界によって、用紙にトナー像が二次転写され、定着装置88に送られる。中間転写クリーニング部87dは、中間転写体87aの表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写体87aの表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
定着装置88は、熱源となる加熱ローラー88aと定着ローラー88bとこれらに掛け渡された定着ベルト88cと加圧ローラー88dなどを備え、定着ベルト88cを介して定着ローラー88bに加圧ローラー88dが圧接されており、当該圧接部がニップ部を構成している。そして、加熱ローラー88aで加熱された定着ベルト88cと各ローラーとによりニップ部を通過する用紙を加熱加圧し、用紙に形成された未定着のトナー像を定着させる。
そして、定着装置88によりトナー像が定着された用紙は、排紙ローラーを備えた排紙装置73により機外の排紙トレイに排紙される。
なお、図2及び図4は、本発明の画像形成装置1の一例であり、本発明の中間転写体87aを利用できる限りにおいて、その構造や構成は適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
[チタン酸バリウム粒子の合成]
特許第6368246号の段落0033~0044等を参考にして、チタン塩水溶液としてチタン水酸化物含有水溶液、バリウム塩水溶液として硝酸バリウム水溶液、アルカリ水溶液として水酸化ナトリウム水溶液を用いて、Ti量が10mol、Ba量が10mol、アルカリ量が60mol[中和度=アルカリ量/(4×Ti量+2×Ba量)=1.0]となるように原料を準備した。
次に、原料タンク内で、室温、大気下にてチタン水酸化物含有水溶液に水酸化ナトリウム水溶液を添加後、硝酸バリウム水溶液を添加して、反応前駆体である無定形のバリウム及びチタン水酸化物を含有する水溶液を調製した。調製後の反応前駆体のpH値は13.2であった。調製した反応前駆体を連続式水熱反応装置により温度400℃、圧力25MPa、滞留時間0.4分にて水熱反応を行い、その後、ろ過、水洗及び乾燥してチタン酸バリウム粒子を得た。
得られたチタン酸バリウム粒子は、X線回折及び平均一次粒径を前記した方法により評価した。X線回折法によりリートベルト解析したところ、c/a比が1.009で、平均一次粒径が100nmのチタン酸バリウム粒子であった。
また、前記チタン酸バリウム粒子の合成において、水熱反応の温度、圧力及び滞留時間を適宜変更して、下記表Iに示すような平均一次粒径及びc/a比を有する各チタン酸バリウム粒子を合成した。
[チタン酸ストロンチウム粒子の合成]
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.8とし、脱硫処理を行い、その後、塩酸によりpH5.7まで中和し、ろ別し水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiOとして1.85mol/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.0として解膠処理を行った。このメタチタン酸をTiO換算に比して0.63mol採取し、3Lの反応容器に投入した。
次いで、SrO/TiOモル比が1.14になるよう塩化ストロンチウム水溶液を0.71mol添加した後、TiO濃度を0.28mol/Lに調整した。次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、5N水酸化ナトリウム水溶液290mLを16時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで塩酸を加え1時間撹拌を続けた。得られた沈殿をデカンテーション洗浄し、ろ別後、120℃の大気中で8時間乾燥して、チタン酸ストロンチウム粒子を得た。
[中間転写体1の作製]
上記で合成したチタン酸バリウム粒子(平均一次粒径100nm、c/a=1.009)を溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)中に分散させた分散液Aと、カーボンブラック(MA8:三菱ケミカル社製)を溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)中に分散させた分散液Bを調製した。
分散液A及びBをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂に対して、チタン酸バリウム15体積%、カーボンブラック7体積%となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液を調製した。
次に、ステンレス製の円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させつつ当該ノズルから基材層形成用塗布液を吐出して、金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成した。
次に、円筒状金型を回転させながら130℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、350℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成した。上記方法で形成された基材層の厚さは65μmであった。そして、この基材層を加工して、樹脂全体にチタン酸バリウム及びカーボンブラックが分散された中間転写体1を作製した。
さらに、中間転写体1上に、SSG HB21B(ニットーボーメディカル社製)を浸漬塗布法によって塗布し、表面層を形成した。
[中間転写体2~10の作製]
前記中間転写体1の作製において、強誘電体粒子や導電体の種類及び添加量等を下記表Iに示すとおりに変更した以外は、同様にして中間転写体2~10を作製した。なお、中間転写体10は、表面層を設けなかった。
また、各中間転写体の作製で使用した材料は以下のものを用いた。
カーボンブラック:「MA8」(三菱ケミカル社製)
カーボンナノチューブ:「CNTs40(N)」(SUSN社製)
[中間転写体11の作製]
前記中間転写体1の作製時に調製した分散液A及び分散液Bにおいて、分散液Aをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂に対して、表Iのようにチタン酸バリウム10体積%、となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液Aを調製した。同様に、分散液Bをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂に対して、表Iのようにカーボンブラック15体積%となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液Bを調製した。
次に、中間転写体1と同様に、ステンレス製の円筒状金型を用いて、基材層形成用塗布液Aを吐出して塗膜を形成し、加熱することによってチタン酸バリウムと樹脂によって構成された無端ベルト状の基材層を形成した。さらに、基材層形成用塗布液Bを浸漬塗布法によって塗布することで、チタン酸バリウムが分散された層とカーボンブラックが分散された層という2層構成の無端ベルト状の基材層を形成した。
加えて、中間転写体11上に、SSG HB21B(ニットーボーメディカル社製)を浸漬塗布法によって塗布し、表面層を形成した。
<比誘電率>
上記で作製した各中間転写体に対して、誘電率測定を行った。
図5に示すように、中間転写体87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「1260/1296」(Solartron Analytical社)を用いて、周波数1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算した。
<層構成>
上記で作製した各中間転写体を走査型電子顕微鏡を用いて倍率3000倍で観察撮影した写真において、層内に界面が見えるか否かで、単層か否かを確認した。ここでいう界面とは、層内に誘電体粒子が分散されている領域と導電体が分散されている領域が分かれており、それらの領域の境目のことを示す。ただし、数個の粒子が集まった凝集体は、前述した誘電体もしくは導電体が分散されている領域とは異なり、単層を構成しているものとみなした。その結果、中間転写体1~10は、基材層を構成する成分が均一に分散されて単層を構成していたが、中間転写体11は、基材層を構成する成分が偏在して、層内に界面を形成しており、単層構造とはなっていなかった。
[評価]
上記で作製した各中間転写体に対して、転写性と機械的強度について評価した。
前記中間転写体を、画像形成装置「KONICA MINOLTA bizhub PRESS C11000」(コニカミノルタ社製)に搭載し、画像支持体としてエンボス紙(レザック、302g紙)を用いて下記の評価試験を行った。
印字率20%の画像を百万枚印字後、エンボス紙の一面全面に黒色のハーフトーン画像を1000枚出力する操作を実施し、得られた可視画像を目視にて確認して下記の評価基準によって黒色のハーフトーン画像の画質を評価(転写性評価)し、さらに百万枚印字後の中間転写ベルトの折り曲げ試験(機械的強度評価)を実施した。
<転写性>
転写性の評価基準は、以下のとおりである。
◎:転写ムラが全く認められない。
○:エンボス紙の凹部に僅かに転写ムラがあるが、実用上問題ないと認められる。
△:エンボス紙の凸部に僅かに転写ムラがあるが、実用上問題ないと認められる。
×:用紙全体に転写ムラがあって実用上問題があると認められる。
<機械的強度>
上記黒色のハーフトーン画像を出力した後、JIS P 8115に準拠し、折り曲げ試験(MIT試験)を行った。破断までの往復回数を測定し、以下の評価基準で評価した。破断までの往復回数が6000回以上であれば、使用時に割れる可能性はほぼ皆無と推定され、1000回未満の場合、印字中にベルトが割れる危険性が高く不合格とした。
◎:6000回以上
〇:4000回以上、6000回未満
△:1000回以上、4000回未満
×:1000回未満
Figure 0007283323000001
前記に示した結果より、本発明の中間転写体は、比較例の中間転写体に比べて、転写性及び機械的強度の点で優れていることが認められる。
1a 中間転写体
2a 基材層
3a 弾性層
4a 表面層
1 画像形成装置
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
20 記憶部
30 ネットワークI/F部
40 表示操作部
50 画像読取部
60 画像処理部
70 搬送部
71 給紙装置
72 搬送機構
73 排紙装置
80 画像形成部
81、81Y、81M、81C、81K 露光装置
82、82Y、82M、82C、82K 現像装置
83、83Y、83M、83C、83K 感光体ドラム
84、84Y、84M、84C、84K 帯電装置
85、85Y、85M、85C、85K クリーニング装置
86、86Y、86M、86C、86K 一次転写ローラー
87 中間転写ユニット
87a 中間転写体
87b 支持ローラー
87c 二次転写ローラー
87d 中間転写クリーニング部
88 定着装置
88a 加熱ローラー
88b 定着ローラー
88c 定着ベルト
88d 加圧ローラー
201 薄膜電極

Claims (12)

  1. 強誘電体粒子を含有する層を有する中間転写体であって、
    前記強誘電体粒子の平均一次粒径が200nm以下であり、かつ、
    前記強誘電体粒子の結晶格子の3次元軸をa軸、b軸及びc軸としたときの、c軸とa軸の格子定数の比の値(c/a)が、1.006以上であることを特徴とする中間転写体。
  2. 周波数1MHzのときの前記強誘電体粒子を含有する層の比誘電率が、10~60の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 前記強誘電体粒子が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムを含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写体。
  4. 前記強誘電体粒子の前記c/aが、1.009以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記強誘電体粒子を5~30体積%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 前記強誘電体粒子を含有する層が、導電体を含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  7. 前記導電体が、カーボンブラックであることを特徴とする請求項6に記載の中間転写体。
  8. 前記導電体が、カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項6に記載の中間転写体。
  9. 前記強誘電体粒子を含有する層全体に対して、前記導電体を0.1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする請求項6から請求項8までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  10. 前記前記強誘電体粒子を含有する層が、当該前記強誘電体粒子を含有する層を構成する成分で均一に分散され、単層を構成していることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  11. 前記前記強誘電体粒子を含有する層上に表面層が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  12. 請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の中間転写体を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
JP2019169508A 2019-09-18 2019-09-18 中間転写体及び電子写真画像形成装置 Active JP7283323B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019169508A JP7283323B2 (ja) 2019-09-18 2019-09-18 中間転写体及び電子写真画像形成装置
US17/000,805 US11131946B2 (en) 2019-09-18 2020-08-24 Intermediate transfer body and electrophotographic image forming apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019169508A JP7283323B2 (ja) 2019-09-18 2019-09-18 中間転写体及び電子写真画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021047284A JP2021047284A (ja) 2021-03-25
JP7283323B2 true JP7283323B2 (ja) 2023-05-30

Family

ID=74868516

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019169508A Active JP7283323B2 (ja) 2019-09-18 2019-09-18 中間転写体及び電子写真画像形成装置

Country Status (2)

Country Link
US (1) US11131946B2 (ja)
JP (1) JP7283323B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020112688A (ja) * 2019-01-11 2020-07-27 ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.Hewlett‐Packard Development Company, L.P. 画像形成システム
WO2021075441A1 (ja) * 2019-10-18 2021-04-22 キヤノン株式会社 導電性部材、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置
JP2024047415A (ja) * 2022-09-26 2024-04-05 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 無端ベルト、転写装置、及び画像形成装置

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018101128A (ja) 2016-12-19 2018-06-28 キヤノン株式会社 電子写真用ベルトおよび電子写真画像形成装置
JP2019148729A (ja) 2018-02-28 2019-09-05 コニカミノルタ株式会社 中間転写ベルト及び画像形成装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3337834B2 (ja) * 1994-11-29 2002-10-28 キヤノン株式会社 画像形成装置
JP6123532B2 (ja) * 2013-07-08 2017-05-10 株式会社リコー 中間転写体及び画像形成装置
JP2020086050A (ja) * 2018-11-21 2020-06-04 コニカミノルタ株式会社 中間転写材及び画像形成装置
JP7211091B2 (ja) * 2019-01-16 2023-01-24 コニカミノルタ株式会社 中間転写ベルトとその製造方法、及びそれを具備する電子写真画像形成装置

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018101128A (ja) 2016-12-19 2018-06-28 キヤノン株式会社 電子写真用ベルトおよび電子写真画像形成装置
JP2019148729A (ja) 2018-02-28 2019-09-05 コニカミノルタ株式会社 中間転写ベルト及び画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021047284A (ja) 2021-03-25
US11131946B2 (en) 2021-09-28
US20210080874A1 (en) 2021-03-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7283323B2 (ja) 中間転写体及び電子写真画像形成装置
JP6478739B2 (ja) 電子写真画像形成装置
JP7006377B2 (ja) 中間転写ベルト及び画像形成装置
WO2015045395A1 (ja) 電子写真用の導電性部材、プロセスカートリッジ、及び、電子写真装置
US7773927B2 (en) Intermediate transfer member, method of manufacturing intermediate transfer member, and image forming apparatus
JP4470974B2 (ja) 無端ベルト、その製造方法および画像形成装置
CN100461026C (zh) 电子照相带及其制造方法、电子照相装置及中间转印带
JP4123296B2 (ja) 中間転写ベルト及びその製造方法、並びに、画像形成装置
CN104871092A (zh) 电子照相用构件、处理盒和电子照相设备
JP7413863B2 (ja) 中間転写体及び電子写真画像形成装置
JP7211091B2 (ja) 中間転写ベルトとその製造方法、及びそれを具備する電子写真画像形成装置
JP7354814B2 (ja) 中間転写体及び電子写真画像形成装置
JP2021085886A (ja) 中間転写体及び電子写真画像形成装置
US10656568B1 (en) Intermediate transfer member and image forming apparatus
JP2021128296A (ja) 中間転写体の製造方法及び中間転写体
DE102014202980A1 (de) Zwischenübertragungselement und Verfahren zur Herstellung desselben
JP2021103281A (ja) 中間転写体、中間転写体の製造方法、画像形成方法及び画像形成装置
JP7247756B2 (ja) 中間転写ベルト及び電子写真画像形成装置
JP4831740B2 (ja) 電子写真用ベルト、電子写真装置および電子写真用ベルトの製造方法、ならびに、中間転写ベルト
JP2022023261A (ja) 中間転写体及び電子写真画像形成装置
JP3337834B2 (ja) 画像形成装置
JP2020194072A (ja) 中間転写ベルト、これを含む画像形成装置およびこれを用いた画像形成方法
JP2023066584A (ja) 転写ベルト及び電子写真画像形成装置
JP2019211607A (ja) 中間転写ベルト及び画像形成装置
US6406741B1 (en) Method of making a polyimide layer containing fluorinated carbon material

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220819

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230405

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230418

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230501

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7283323

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150