JP7354814B2 - 中間転写体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に開示されているように、中間転写体に強誘電体を添加し、転写性を向上させる技術が公知になっている。このような技術の誘電率は10~20程度であるが、近年は、凹凸のある紙等様々なメディアへの対応が求められており、さらに誘電率を上げる必要がある。
しかしながら、上記のように強誘電体を20体積%以上添加し分散することにより、誘電率向上を行う方法では、強度低下が起き、中間転写体の耐久性を確保することが困難であった。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
周波数1MHzのときの比誘電率が、10~100の範囲内であり、
前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μm2の単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、
前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、
前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする中間転写体。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
転写領域を回路として考えた場合に、トナーの移動性を上げるためには転写電界を大きくすることが有効である。しかしながら、単純に電圧を大きくするだけでは、放電等のノイズが発生してしまう。所望の電圧時において、転写電界を大きくするためには、トナー層に対してかかる分圧を大きくすることが有効である。分圧を変えるためには、回路内の部材の抵抗や静電容量を変えることが有効であるが、一定電圧の場合、抵抗を変えると必要な電流量が足りなくなるため転写不良が起きる。
そこで、中間転写体の静電容量を上げることが有効である。「静電容量=比誘電率×膜厚」のため、比誘電率を上げる(10~100の範囲内とする)ことで、一時的にトナー層への転写電界が大きくなり、転写性が向上すると推察される。
また、比誘電率を上げるために、基材層中において、強誘電体同士が高密度で存在している領域と、導電体が存在している領域とをそれぞれ互いに連続相として存在させること、すなわち、基材層を断面観察したとき100μm2の単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することにより、強度の低下を抑制しつつ、中間転写体の厚さ方向において、効率的に誘電性を発現させることができ、凹凸紙転写性に優れると推察される。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の中間転写体は、前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μm2の単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする。
本発明の中間転写体は、周波数が1MHzにおける比誘電率が、温度23℃・湿度50%RHの環境下、10~100の範囲内である。
比誘電率が、10以上の場合は、転写電界を強くすることが容易であるため好ましい。一方で、比誘電率が100以下であれば、トナーと中間転写体との付着力が大きくなりすぎず、転写効率が下がってしまうことがないため好ましい。前記比誘電率は、20~50の範囲内であることがより好ましく、30~40の範囲内であることが特に好ましい。
なお、前記比誘電率は、中間転写体全体(例えば、表面層や弾性層を有する場合には、これら各層を含む中間転写体全体)の比誘電率をいう。
中間転写体に対して、誘電率測定を行う。具体的には、図6に示すように、中間転写体87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「12608W型」(Solartron Analytical社製)を用いて、周波数が1Hz~1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算する。
基材層の断面観察方法としては、前処理として基材層のサンプル表面に対して白金パラジウムのスパッタ処理を行った。具体的には、スパッタ装置内に挿入後、測定面にスパッタ法に薄く被覆し、その後測定装置に挿入後、真空にして加速電圧を5kVにて観察を行った。その後、透過型電子顕微鏡「2000FX」(日本電子社製)を用いて、倍率を100倍、5000倍、10000倍とふって観察した。
本発明において、「共連続構造体」とは、図1に示すように、樹脂相1(R1)が当該樹脂相1(R1)を構成する組成物により3次元的に連続してつながっている構造を有する連続相であり、また、樹脂相2(R2)においても当該樹脂相2(R2)を構成する組成物により3次元的に連続してつながっている構造を有する連続相であり、これら2つの連続相が共に存在していることをいう。
また、前記連続相は、前記樹脂相1(R1)又は樹脂相2(R2)を構成する各組成物が、全て連続してつながって、空洞を有さない(つながっていない部分がない)状態が好ましい。
また、前記樹脂相2は、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有する。好ましくは、5~15体積%の範囲内である。
全体の体積を100体積%と設定し、各材料の所望の体積割合を設定する。その後、各材料の比重から必要な重量を算出し、混ぜ合わせることで各処方液が完成する。
図2は、本発明の中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図である。
本発明の中間転写体1aは、少なくとも基材層2aを有する。前記基材層2aは、強誘電体及び導電体を含有する。
中間転写体1aは、基材層2aのみで構成された単層構造であってもよいが、必要に応じて、前記基材層2a上に弾性層3a又は表面層4aなどの層をこの順で有する構成とすることもできる。
中間転写体の形状は、無端構造の中間転写体が、重畳による厚さ変化がなく、任意な部分を中間転写体の回転の開始位置とすることができ、回転開始位置の制御機構を省略できる利点などを有し好ましい。
中間転写体(全体)の破断応力は100MPa以上であることが好ましく、120MPa以上であることがより好ましく、破断伸びは20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。破断応力及び破断伸びを前記範囲とすることで、高い耐割れ性が得られるとともに高い耐摩耗性が得られる。
なお、前記破断応力は、JIS K7161に準拠して測定したものであり、前記破断伸びは、JIS K7161に準拠して測定したものである。
本発明に係る基材層は、強誘電体及び導電体を含有する。特に、前記したように、基材層中に、樹脂相1と樹脂相2が存在し、樹脂相1全体に対して強誘電体を20~70体積%の範囲内で含有し、樹脂相2全体に対して1~20体積%の範囲内で含有する。
本発明において強誘電体とは、誘電体の一種で、外部に電場がなくても電気双極子が整列しており、かつ双極子の方向が電場によって変化できる物質であり、具体的には、本発明において、強誘電体とは、温度23℃・湿度50%RHの環境下、周波数が1MHzにおける比誘電率が15以上である物質をいう。好ましくは、比誘電率は20以上、さらに好ましくは100以上である。誘電率が高い方が、本発明の効果発現の観点から好ましい。上限は、材料入手で制約される。
これらのうち、本発明に係る強誘電体としては、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムのいずれかを含有することが、転写性を向上させることができる点で好ましい。
具体的には、バリウム及びチタン水酸化物含有水溶液を調製し、当該水溶液を高温高圧条件にて水熱反応を行う。
水熱反応の温度は200℃以上、好ましくは200~450℃、より好ましくは250~400℃、かつ全圧力が2MPa以上、好ましくは2~50MPa、より好ましくは10~40MPaで、通常0.1分以上、好ましくは0.1~1時間、より好ましくは0.1~30分、反応させるとよい。このような高温高圧条件下で水熱反応させて、前記比の値(c/a)や平均一次粒径等の粒子形態の制御を行う。その後、ろ過、水洗した後、乾燥、解砕することにより、チタン酸バリウム粒子が得られる。
本発明に係る前記比の値や平均一次粒径を前記した範囲とするための手段としては、バリウム及びチタン水酸化物を含有する水溶液における原料の種類、Ba/Ti比、アルカリ量、反応スケール、反応温度、反応圧力及び反応時間等を制御することによって行うことができる。
なお、チタン酸ストロンチウムの製造方法も特に限定されず、前記したチタン酸バリウムと同様の方法で製造することができる。
強誘電体粒子(強誘電体の微粒子状態のものをいう。)の平均一次粒径は、300nm以下であることが、残留分極を小さくできる点で好ましい。平均一次粒径の下限値は30nmであり、より好ましくは50nmであり、最適範囲は90~110nmの範囲内である。
強誘電体粒子の平均一次粒径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテク社製)を用いて、無作為に200個以上の粒子を計測し、その平均値を求めた。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径と短径の平均値を個々の粒子の径として算出することができる。
本発明に係る基材層は、前記強誘電体に加えて、導電体を含有する。
本発明において、導電体は、導電性を有する物質であれば特に限定されない。具体的に、本発明に用いられる導電体(導電剤)としては、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質を用いることができるが、導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト又はグラフェンであることが好ましく、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのいずれかであることが中間転写体に導電性を持たせることができる点、ハンドリングの容易さの点でより好ましい。
本発明に用いられる導電体の添加量としては、基材層全体に対して、0.1~20体積%の範囲内で含有することが好ましい。0.1体積%以上であると、基材層表面にトナーの汚染が発生することがなく、20体積%以下であると、基材層の強度やトナーの帯電量の低下が認められず良好である。より好ましくは、0.5~15体積%の範囲内で、さらに好ましくは、1~10体積%の範囲内である。
前記導電体のうちカーボンブラックとしては、例えば、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。より少量の混合で所望の導電率を得るのに有効なものとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックとオイルファーネスブラックが挙げられる。なお、ケッチェンブラックとは、コンタクティブファーネス系のカーボンブラックである。
平均一次粒径の測定はフォトンカウンティング方式を用いたFPAR-1000(大塚電子社製)の方法によって測定することができる。
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する。)とは、グラファイト六角網平面を筒状に丸めた状態の構造をもつ欠陥の無い単層、又はそれらが入れ子状に積層した多層のチューブ状物質である。本発明の中間転写体に含有されるCNTの平均管径は、10~150nmの範囲内であることが好ましく、CNTの長さは、5~12μmの範囲内であることが好ましい。CNTの直径及び長さを上記範囲にすることにより、中間転写体に適切な導電性を付与することができるとともに、強誘電体を被覆する場合、効率的に被覆することができる。
本発明に用いられるグラファイトとしては、天然物、人造合成物のいずれも使用可能である。好ましいグラファイトの粒子径に関しては、グラファイトの形状が鱗片状であること、またトナー担持体製造時における分散工程時に形状が変化すること等により一義的に規定することは困難であるが、長軸方向(ヘキ壊面方向)の幅として100μm以下であることが好ましい。測定方法としては、試料を直接顕微鏡で観察し測定する。
グラフェンは、炭素原子の平面状の六角形格子構造からなるシート状の物質である。グラフェンシートは、平板状のグラフェンであり、通常、単層である。グラフェンシートは、人工物であり、薄片状の粉体として入手できる。例えば化学気相蒸着(CVD)法で作製されうる。
本発明に係る基材層は、前記強誘電体及び導電体を樹脂中に分散した状態で含有することが好ましい。
すなわち、基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μm2の単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有する。
特に、樹脂相1としては、ポリイミド(非晶性)、樹脂相2としてはポリアセタール(結晶性)から構成されることが好ましい。
前記ポリイミドは、例えば、酸無水物とジアミン化合物からポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を合成し、当該ポリアミック酸を熱や触媒によってイミド化することにより得られる。
本発明に用いられる弾性層は、必要により、基材の外周面上に形成されうる、所期の導電性と弾性を有する層である。
弾性層は、ゴム材料で構成される。弾性層の厚さは、例えば50~400μm内であることが好ましい。
ゴム材料の例には、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)及びニトリルゴム(NBR)などのゴム弾性を有する樹脂が含まれる。上記ゴム材料は、クロロプレンゴム又はニトリルブタジエンゴムを含むことが、中間転写体の電気抵抗を制御する観点から好ましい。
必要により、表面層(「コーティング層」又は「表層」ともいう。)は、基材の外周面上、又は弾性層の外周面上に形成されうる層であり、転写性向上効果を有する。
前記表面層が、金属酸化物微粒子(A)と、屈折率nDが1.6~1.8の範囲にある(メタ)アクリレートモノマー(B)、及び、当該(メタ)アクリレートモノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(C)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られることが好ましい。これにより中間転写体の耐久性を改善することができる。
前記表面層の厚さは、2~20μmの範囲内であることが好ましく、1~5μmの範囲内であることが割れを防止することができる点でより好ましく、1.5~2.5μmの範囲内であることが特に好ましい。
次に、本発明に係る基材層を備えた中間転写体の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は例示であり、中間転写体を製造できる任意の方法を用いることできる。
まず、強誘電体の粒子を溶媒中に分散させた分散液Aを調製する。また、導電体を溶媒中に分散させた分散液Bも調製する。ここで、分散液A及び分散液Bともに、誘電率や機械物性に影響を与えない程度に分散剤を用いても良い。
調製した分散液A及び分散液Bをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂と混合・分散させる。このとき、強誘電体及び導電体の含有量が好ましい範囲となるように適宜調製する。混合・分散操作はミキサー等を用いて行うことができる。なお、分散液A及び分散液Bを調製せずに、強誘電体と、必要に応じて導電体をともにポリイミドワニスに混合・分散させてもよい。
前記混合・分散操作により、基材層形成用塗布液を調製することができる。
次に、円筒状金型を回転させながら130℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、350℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成することができる。そして、この基材層を加工して、樹脂に強誘電体及び導電体が含有された中間転写体が得られる。
なお、上記方法で作製した基材層のみを用いて中間転写体を作製してもよいし、弾性層及び表面層を基材層に貼り合わせて中間転写体を作製してもよい。弾性層や表面層の形成方法は公知の方法を用いて良く、特に限定されない。
次に、本発明の中間転写体を備える電子写真画像形成装置について説明する。
本発明の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置ともいう。)は、例えば、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体としての感光体ドラム83Y、83M、83C、83Kが、中間転写体の走行方向に直列配置されたタンデム方式の画像形成装置である。
<基材層形成用塗布液の調製>
下記に示すようにポリイミド前駆体塗布液を合成した。ポリイミド4は、溶媒に不溶なので、ポリアミド酸3のアミド系溶媒の溶液からポリアミド酸の塗布液を作製した。
具体的には、まず、ポリアミド酸3の良溶媒であるNMP(Nメチル2ピロリドン)を用い、前記ポリアミド酸3を溶解させ、そこにCB(カーボンブラック)のNMP分散液とBaTiO3のNMP分散液を混合した。ここでは、上記ポリアミド酸3に対して、カーボンブラック7体積%、チタン酸バリウム70体積%となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液を用い、樹脂相1を調製した。
さらに、ポリアセタール樹脂をNMPに溶解させ、同様にCBのNMP分散液をカーボンブラック20体積%となるように添加し、樹脂相2を調製した。
得られた樹脂相1と樹脂相2を、質量比が50:50で混合撹拌し、塗布液を調製した。
次に、ステンレス製の円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させつつ当該ノズルから基材層形成用塗布液を吐出して、金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成した。
次に、円筒状金型を回転させながら100℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、250℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成した。上記方法で形成された基材層の厚さは70μmであった。
多官能アクリレート「DPCA120」(日本化薬社製) 50質量部
多官能ウレタンアクリレート:「UA-1100H」(新中村化学社製)
50質量部
重合開始剤:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン:「IRGACURE 184」(BASFジャパン社製) 5質量部
前記した材料を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)中に溶解、分散させ、表面層形成用塗布液を調製した。
前記基材層の外周面上に、前記表面層形成用塗布液を、ワイディー・メカトロソリューションズ社製のスプレー装置を用い、下記の塗布条件で乾燥膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布することによって塗膜を形成し、この塗膜に活性エネルギー線として紫外線を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して厚さ2μmの表面層を形成し、これにより、厚さ50μmの中間転写体1を得た。紫外線の照射は、光源を固定し、弾性層の外周面上に塗膜が形成された基材を回転しながら行った。
(スプレー塗布条件)
ノズルスキャン速度:1~10mm/sec
ノズル距離:100~150mm
ノズル数:1
塗布液供給量:1~5mL/min
O2 流量:2~6L/min
(紫外線の照射条件)
光源の種類:高圧水銀ランプ「H04-L41」(アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm2
照射時間(基材を回転させている時間):240秒間
前記中間転写体1の製造において、誘電体、樹脂相1及び樹脂相2における樹脂、導電体の種類及び含有量、表面層の有無、中間転写体の厚さを下記表Iに示すとおりに変更した以外は同様にして中間転写体2~9を製造した。なお、中間転写体5及び9は、強誘電体ではなく常誘電体である酸化チタンを用いた。
製造した各中間転写体の基材層に対して、誘電率測定を行った。具体的には、図6に示すように、中間転写体(の基材層)87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「12608W型」(Solartron Analytical社製)を用いて、周波数が1Hz~1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算した。
基材層の断面観察方法としては、前処理として基材層のサンプル表面に対して白金パラジウムのスパッタ処理を行った。具体的には、スパッタ装置内に挿入後、真空にして加速電圧を5kVにて観察を行った。その後、透過型電子顕微鏡「2000FX」(日本電子社製)を用いて、倍率を100倍、5000倍、10000倍とふって、基材層を観察し、共連続構造体の有無を確認した。
<凹凸紙転写性>
凹凸紙を用いた転写性評価にて画質の優劣を比較した。レザック203g用紙を用い、凹部に対してトナーの転写状態をランク付けした。評価条件及び評価機は下記のとおりとし、○及び◎を合格とした。
評価条件:環境 20℃50%
評価機:bizhub PRESS C1100
(基準)
◎:完全に転写できている。
○:2層部が数点抜けている。単色部は問題なし。
△:単色部がまばらに抜けている。
×:単色部が完全に抜けている。
下記条件及び下記評価機で通紙耐久2000000枚を行い、1000000枚通紙時と2000000枚通紙時の中間転写体の破損状況を比較した。○及び◎を合格とした。
評価条件:環境 20℃50%
評価機:bizhub PRESS C1100
(基準)
◎:2000000枚耐久にて、割れなし
○:1000000枚耐久にて、割れなし
△:1000000枚耐久にて、端部に破損を確認。
×:1000000枚耐久にて、端部に加え中央部に破損を確認。
R2 樹脂相2
1a 中間転写体
2a 基材層
3a 弾性層
4a 表面層
1 画像形成装置
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
20 記憶部
30 ネットワークI/F部
40 表示操作部
50 画像読取部
60 画像処理部
70 搬送部
71 給紙装置
72 搬送機構
73 排紙装置
80 画像形成部
81、81Y、81M、81C、81K 露光装置
82、82Y、82M、82C、82K 現像装置
83、83Y、83M、83C、83K 感光体ドラム
84、84Y、84M、84C、84K 帯電装置
85、85Y、85M、85C、85K クリーニング装置
86、86Y、86M、86C、86K 一次転写ローラー
87 中間転写ユニット
87a 中間転写体
87b 支持ローラー
87c 二次転写ローラー
87d 中間転写クリーニング部
88 定着装置
88a 加熱ローラー
88b 定着ローラー
88c 定着ベルト
88d 加圧ローラー
201 薄膜電極
Claims (8)
- 少なくとも基材層を有する中間転写体であって、
周波数1MHzのときの比誘電率が、10~100の範囲内であり、
前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μm2の単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、
前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、
前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする中間転写体。 - 前記樹脂相1が、前記基材層の厚さ方向において表面から裏面まで連続して存在することを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 中間転写体の最表面に、表面層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写体。
- 前記中間転写体の厚さが、50~100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記強誘電体が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記樹脂相1及び樹脂相2が、ポリイミド、ポリアミド又はポリアセタールのいずれかを少なくとも含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の中間転写体を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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JP2019148729A (ja) | 2018-02-28 | 2019-09-05 | コニカミノルタ株式会社 | 中間転写ベルト及び画像形成装置 |
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