JP7354814B2 - 中間転写体及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、中間転写体及び電子写真画像形成装置に関し、特に、強度の低下を抑制しつつ、効率的に誘電率を向上させることができ、凹凸紙転写性に優れた中間転写体及び電子写真画像形成装置に関する。
従来、中間転写体(中間転写ベルトともいう。)を用いた電子写真方式の画像形成装置としては、感光体上に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、その中間転写体上のトナー像を転写紙(記録紙)等の転写材に二次転写するものが知られている。すなわち、感光体上に形成された所定の極性に帯電しているトナー像を静電気力を利用して中間転写体に転写した後、その中間転写体のトナー像を、静電気力を利用して転写材上に転写する。
このような中間転写体を用いた画像形成装置は、静電気力を利用して各感光体上に形成したトナー像を順次中間転写体上に重ね合わせ、さらに、重ね合わせトナー像を転写材に一括転写することができるので、カラー画像形成装置として広く用いられている。
中間転写体は、その誘電率を上げることで、中間転写体に加わる電圧が少なくなり、その分トナーへ電圧が加わり電界強度が向上することが知られている。中間転写体の誘電率を向上させるためには、高誘電な材料を中間転写体に添加することが有効であり、特に強誘電体を添加することが一般的である。
例えば、特許文献1に開示されているように、中間転写体に強誘電体を添加し、転写性を向上させる技術が公知になっている。このような技術の誘電率は10~20程度であるが、近年は、凹凸のある紙等様々なメディアへの対応が求められており、さらに誘電率を上げる必要がある。
強誘電体は、その誘電率の高さから、誘電率を向上させる手段として有効である。中間転写体等の樹脂ベルトに用いる場合は、強誘電体を分散し、試作することが一般的である。このような場合、中間転写体の性能を向上させるためには中間転写体全体に対して、強誘電体を20体積%以上添加することが効果的である。
しかしながら、上記のように強誘電体を20体積%以上添加し分散することにより、誘電率向上を行う方法では、強度低下が起き、中間転写体の耐久性を確保することが困難であった。
特開平8-152759号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、強度の低下を抑制しつつ、効率的に誘電率を向上させることができ、凹凸紙転写性に優れた中間転写体及び電子写真画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、比誘電率を特定範囲とし、かつ、基材層を断面観察したときに、強誘電体を含有する樹脂相1と、導電体を含有する樹脂相2とが存在し、これら樹脂相1及び樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成し、かつ、樹脂相1における強誘電体の含有量及び樹脂相2における導電体の含有量を規定することにより、中間転写体の厚さ方向に対して、効率的に誘電率を向上させることができ、凹凸紙転写性に優れることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも基材層を有する中間転写体であって、
周波数1MHzのときの比誘電率が、10~100の範囲内であり、
前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、
前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、
前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする中間転写体。
2.前記樹脂相1が、前記基材層の厚さ方向において表面から裏面まで連続して存在することを特徴とする第1項に記載の中間転写体。
3.中間転写体の最表面に、表面層を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の中間転写体。
4.前記中間転写体の厚さが、50~100μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
5.前記強誘電体が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムのいずれかであることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
6.前記樹脂相1及び樹脂相2が、ポリイミド、ポリアミド又はポリアセタールのいずれかを少なくとも含有することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
7.前記導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのいずれかであることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の中間転写体。
8.第1項から第7項までのいずれか一項に記載の中間転写体を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
本発明の上記手段により、強度の低下を抑制しつつ、効率的に誘電率を向上させることができ、凹凸紙転写性に優れた中間転写体及び電子写真画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
転写領域を回路として考えた場合に、トナーの移動性を上げるためには転写電界を大きくすることが有効である。しかしながら、単純に電圧を大きくするだけでは、放電等のノイズが発生してしまう。所望の電圧時において、転写電界を大きくするためには、トナー層に対してかかる分圧を大きくすることが有効である。分圧を変えるためには、回路内の部材の抵抗や静電容量を変えることが有効であるが、一定電圧の場合、抵抗を変えると必要な電流量が足りなくなるため転写不良が起きる。
そこで、中間転写体の静電容量を上げることが有効である。「静電容量=比誘電率×膜厚」のため、比誘電率を上げる(10~100の範囲内とする)ことで、一時的にトナー層への転写電界が大きくなり、転写性が向上すると推察される。
また、比誘電率を上げるために、基材層中において、強誘電体同士が高密度で存在している領域と、導電体が存在している領域とをそれぞれ互いに連続相として存在させること、すなわち、基材層を断面観察したとき100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することにより、強度の低下を抑制しつつ、中間転写体の厚さ方向において、効率的に誘電性を発現させることができ、凹凸紙転写性に優れると推察される。
共連続構造体を説明するための概略図 本発明の中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図 本発明の画像形成装置の構造を示す模式図 本発明の画像形成装置の構成を示すブロック図 本発明の画像形成装置の構成を示すブロック図 誘電率の測定方法を説明するための模式図
本発明の中間転写体は、少なくとも基材層を有する中間転写体であって、周波数1MHzのときの比誘電率が、10~100の範囲内であり、前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記樹脂相1が、前記基材層の厚さ方向において表面から裏面まで連続して存在することが、電極間において、樹脂相1に含有する強誘電体が直接接触する構成となりやすく、最も効果的に誘電率を向上させることができる点で好ましい。
また、中間転写体の最表面に、表面層を有することが、転写性を向上させることができる点で好ましい。
前記中間転写体の厚さが、50~100μmの範囲内であることが、転写効率の向上と中間転写体の強度の点で好ましい。
前記強誘電体が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムのいずれかであることが、転写性を向上させることができる点で好ましい。
前記樹脂相1及び樹脂相2が、ポリイミド、ポリアミド又はポリアセタールのいずれかを少なくとも含有することが、強度確保・耐久性確保の点で好ましい。
前記導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのいずれかであることが、中間転写体に導電性を持たせることができる点及びハンドリングの容易さの点でより好ましい。
本発明の中間転写体は、電子写真画像形成装置に好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の中間転写体の概要]
本発明の中間転写体は、前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする。
<比誘電率>
本発明の中間転写体は、周波数が1MHzにおける比誘電率が、温度23℃・湿度50%RHの環境下、10~100の範囲内である。
比誘電率が、10以上の場合は、転写電界を強くすることが容易であるため好ましい。一方で、比誘電率が100以下であれば、トナーと中間転写体との付着力が大きくなりすぎず、転写効率が下がってしまうことがないため好ましい。前記比誘電率は、20~50の範囲内であることがより好ましく、30~40の範囲内であることが特に好ましい。
なお、前記比誘電率は、中間転写体全体(例えば、表面層や弾性層を有する場合には、これら各層を含む中間転写体全体)の比誘電率をいう。
前記比誘電率は、以下の方法によって算出することができる。
中間転写体に対して、誘電率測定を行う。具体的には、図6に示すように、中間転写体87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「12608W型」(Solartron Analytical社製)を用いて、周波数が1Hz~1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算する。
<基材層の断面観察方法>
基材層の断面観察方法としては、前処理として基材層のサンプル表面に対して白金パラジウムのスパッタ処理を行った。具体的には、スパッタ装置内に挿入後、測定面にスパッタ法に薄く被覆し、その後測定装置に挿入後、真空にして加速電圧を5kVにて観察を行った。その後、透過型電子顕微鏡「2000FX」(日本電子社製)を用いて、倍率を100倍、5000倍、10000倍とふって観察した。
本発明では、前記した方法で基材層を断面観察したときに、100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在した共連続構造体を形成している。
本発明において、「共連続構造体」とは、図1に示すように、樹脂相1(R1)が当該樹脂相1(R1)を構成する組成物により3次元的に連続してつながっている構造を有する連続相であり、また、樹脂相2(R2)においても当該樹脂相2(R2)を構成する組成物により3次元的に連続してつながっている構造を有する連続相であり、これら2つの連続相が共に存在していることをいう。
また、前記連続相は、前記樹脂相1(R1)又は樹脂相2(R2)を構成する各組成物が、全て連続してつながって、空洞を有さない(つながっていない部分がない)状態が好ましい。
また、前記樹脂相1は、基材層の厚さの表面から裏面まで連続して存在することが、樹脂相1中の強誘電体が電極間において直接接触した構成となり、効果的に誘電率を高くすることができる点で好ましい。なお、樹脂相2においても、基材層の厚さの表面から裏面まで連続して存在していることが好ましいが、連続していなくともよい。
前記樹脂相1は、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有する。好ましくは、30~50体積%の範囲内である。
また、前記樹脂相2は、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有する。好ましくは、5~15体積%の範囲内である。
前記樹脂相1中の強誘電体の含有率及び前記樹脂相2中の導電体の含有率は、以下のようにして算出する。
全体の体積を100体積%と設定し、各材料の所望の体積割合を設定する。その後、各材料の比重から必要な重量を算出し、混ぜ合わせることで各処方液が完成する。
樹脂相1の断面方向100μmにおける高誘電領域占有面積は強度確保の観点50%以下、つまり高誘電領域は50μm以下を占めていることを特徴とする。
また、基材層中に、前記共連続構造体を形成するための手段としては、互いに非相溶の結晶性樹脂と非晶性樹脂を質量比が40~60:60~40の範囲内で混ぜ合わせることで形成でき、特に50:50で混ぜ合わせることが好ましい。
[中間転写体の層構成]
図2は、本発明の中間転写体の層構成の一例を示す概念断面図である。
本発明の中間転写体1aは、少なくとも基材層2aを有する。前記基材層2aは、強誘電体及び導電体を含有する。
中間転写体1aは、基材層2aのみで構成された単層構造であってもよいが、必要に応じて、前記基材層2a上に弾性層3a又は表面層4aなどの層をこの順で有する構成とすることもできる。
中間転写体の厚さは、その使用目的などに応じて適宜決定し得るが、50~100μmの範囲内であることが好ましい。厚さが薄い程、転写に必要となる電圧が低くなり、放電が抑制されて転写効率が向上するため、100μm以下が好ましい。また、厚さが50μm以上であれば中間転写体の強度を十分保つことができる。
中間転写体の電気抵抗値(体積抵抗率)は、10~1011Ω・cmの範囲内であることが好ましい。電気抵抗値は、後述する導電体の含有量で制御することができる。
中間転写体の形状は、無端構造の中間転写体が、重畳による厚さ変化がなく、任意な部分を中間転写体の回転の開始位置とすることができ、回転開始位置の制御機構を省略できる利点などを有し好ましい。
中間転写体(全体)の表面抵抗率は、10~1012Ω・cmの範囲内であることが好ましい。
中間転写体(全体)の破断応力は100MPa以上であることが好ましく、120MPa以上であることがより好ましく、破断伸びは20%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。破断応力及び破断伸びを前記範囲とすることで、高い耐割れ性が得られるとともに高い耐摩耗性が得られる。
なお、前記破断応力は、JIS K7161に準拠して測定したものであり、前記破断伸びは、JIS K7161に準拠して測定したものである。
<基材層>
本発明に係る基材層は、強誘電体及び導電体を含有する。特に、前記したように、基材層中に、樹脂相1と樹脂相2が存在し、樹脂相1全体に対して強誘電体を20~70体積%の範囲内で含有し、樹脂相2全体に対して1~20体積%の範囲内で含有する。
(強誘電体)
本発明において強誘電体とは、誘電体の一種で、外部に電場がなくても電気双極子が整列しており、かつ双極子の方向が電場によって変化できる物質であり、具体的には、本発明において、強誘電体とは、温度23℃・湿度50%RHの環境下、周波数が1MHzにおける比誘電率が15以上である物質をいう。好ましくは、比誘電率は20以上、さらに好ましくは100以上である。誘電率が高い方が、本発明の効果発現の観点から好ましい。上限は、材料入手で制約される。
また、このように電気双極子モーメントが自発的に整列した状態を強誘電状態、この性質を強誘電性という。強誘電性をもつ物質のうち、本発明では生産工程での負荷や、経年使用時の安定性から、強誘電体としては強誘電体セラミックスが望ましく、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、ジルコン酸カルシウムなどが挙げられる。また、強誘電体として、これらの固溶体を用いても良い。
これらのうち、本発明に係る強誘電体としては、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムのいずれかを含有することが、転写性を向上させることができる点で好ましい。
チタン酸バリウムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、特許第6368246号の段落0033~0044等に記載の方法などにより製造することができる。
具体的には、バリウム及びチタン水酸化物含有水溶液を調製し、当該水溶液を高温高圧条件にて水熱反応を行う。
水熱反応の温度は200℃以上、好ましくは200~450℃、より好ましくは250~400℃、かつ全圧力が2MPa以上、好ましくは2~50MPa、より好ましくは10~40MPaで、通常0.1分以上、好ましくは0.1~1時間、より好ましくは0.1~30分、反応させるとよい。このような高温高圧条件下で水熱反応させて、前記比の値(c/a)や平均一次粒径等の粒子形態の制御を行う。その後、ろ過、水洗した後、乾燥、解砕することにより、チタン酸バリウム粒子が得られる。
本発明に係る前記比の値や平均一次粒径を前記した範囲とするための手段としては、バリウム及びチタン水酸化物を含有する水溶液における原料の種類、Ba/Ti比、アルカリ量、反応スケール、反応温度、反応圧力及び反応時間等を制御することによって行うことができる。
なお、チタン酸ストロンチウムの製造方法も特に限定されず、前記したチタン酸バリウムと同様の方法で製造することができる。
(強誘電体粒子の平均一次粒径)
強誘電体粒子(強誘電体の微粒子状態のものをいう。)の平均一次粒径は、300nm以下であることが、残留分極を小さくできる点で好ましい。平均一次粒径の下限値は30nmであり、より好ましくは50nmであり、最適範囲は90~110nmの範囲内である。
強誘電体粒子の平均一次粒径の測定は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテク社製)を用いて、無作為に200個以上の粒子を計測し、その平均値を求めた。また、粒子の形状が球形でない場合には、長径と短径の平均値を個々の粒子の径として算出することができる。
また、本発明に係る強誘電体は、基材層全体に対して、前記強誘電体を5~30体積%の範囲内で含有することが好ましい。5体積%以上であると、中間転写体の高誘電化効果、すなわち転写性向上効果がある。30体積%以下であると、必要な機械的強度を有することができる。
(導電体)
本発明に係る基材層は、前記強誘電体に加えて、導電体を含有する。
本発明において、導電体は、導電性を有する物質であれば特に限定されない。具体的に、本発明に用いられる導電体(導電剤)としては、公知の電子導電性物質、イオン導電性物質を用いることができるが、導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト又はグラフェンであることが好ましく、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのいずれかであることが中間転写体に導電性を持たせることができる点、ハンドリングの容易さの点でより好ましい。
本発明に用いられる導電体の添加量としては、基材層全体に対して、0.1~20体積%の範囲内で含有することが好ましい。0.1体積%以上であると、基材層表面にトナーの汚染が発生することがなく、20体積%以下であると、基材層の強度やトナーの帯電量の低下が認められず良好である。より好ましくは、0.5~15体積%の範囲内で、さらに好ましくは、1~10体積%の範囲内である。
(カーボンブラック)
前記導電体のうちカーボンブラックとしては、例えば、ガスブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、チャネルブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。より少量の混合で所望の導電率を得るのに有効なものとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラックとオイルファーネスブラックが挙げられる。なお、ケッチェンブラックとは、コンタクティブファーネス系のカーボンブラックである。
カーボンブラックの平均一次粒径は、10~50nmの範囲内であることが好ましい。子の範囲内であれば、強誘電体を導電体により被覆する場合、導電体による強誘電体の被覆率を適切な値に制御しやすい。
平均一次粒径の測定はフォトンカウンティング方式を用いたFPAR-1000(大塚電子社製)の方法によって測定することができる。
(カーボンナノチューブ)
カーボンナノチューブ(以下、CNTと略記する。)とは、グラファイト六角網平面を筒状に丸めた状態の構造をもつ欠陥の無い単層、又はそれらが入れ子状に積層した多層のチューブ状物質である。本発明の中間転写体に含有されるCNTの平均管径は、10~150nmの範囲内であることが好ましく、CNTの長さは、5~12μmの範囲内であることが好ましい。CNTの直径及び長さを上記範囲にすることにより、中間転写体に適切な導電性を付与することができるとともに、強誘電体を被覆する場合、効率的に被覆することができる。
このCNTは、必要に応じて官能基を共有結合させてもよい。例えば、CNTを強酸処理することによって表面にカルボン酸が導入された酸化CNTを生成し、酸化CNTを塩化チオニルと反応させた後、アルキルアルコールなどと反応させることにより、有機溶媒に溶解する化学装飾CNTを生成することができる。このような化学装飾CNTを用いることにより、樹脂にCNTを均一に分散させることができる。また、樹脂にCNTを分散させた状態で外部から電界を印加することにより、CNTを所望の方向に配向することができ、中間転写体の誘電率を向上させることができる。
上記平均管系及び上記長さは、中間転写体の断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から求めることが可能であり、CNTの切断(粉砕)や2種以上のCNTの混合などによって調整することが可能である。
(グラファイト)
本発明に用いられるグラファイトとしては、天然物、人造合成物のいずれも使用可能である。好ましいグラファイトの粒子径に関しては、グラファイトの形状が鱗片状であること、またトナー担持体製造時における分散工程時に形状が変化すること等により一義的に規定することは困難であるが、長軸方向(ヘキ壊面方向)の幅として100μm以下であることが好ましい。測定方法としては、試料を直接顕微鏡で観察し測定する。
(グラフェン)
グラフェンは、炭素原子の平面状の六角形格子構造からなるシート状の物質である。グラフェンシートは、平板状のグラフェンであり、通常、単層である。グラフェンシートは、人工物であり、薄片状の粉体として入手できる。例えば化学気相蒸着(CVD)法で作製されうる。
グラフェンシートは、完全に単層でなくてもよく、部分的に2層以上の部分を含んでいてもよい。このような理由から、グラフェンシートは、例えば層数が2未満である。また、大きさは2μm未満であり、厚さは2nm以下であることが好ましい。グラフェンシートの積層物は、例えば、層数が2以上であり、大きさは5~25μmであり、厚さは12nm以下であることが好ましい。
グラフェンシート及びその積層物には、市販品を用いることができる。グラフェンシート及びその積層物の層数、大きさ及び厚さは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定されうる。
(樹脂)
本発明に係る基材層は、前記強誘電体及び導電体を樹脂中に分散した状態で含有することが好ましい。
すなわち、基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有する。
本発明に係る樹脂相1及び樹脂相2を構成する樹脂としては、様々なものを使用することができるが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの強度と耐久性をもつスーパーエンジニアリングプラスチックが望ましい。
これらの中では、ポリイミド、ポリアミド又はポリアセタールのいずれかを少なくとも含有することが好ましい。中でもポリイミドは、耐熱性、耐屈曲性、柔軟性、寸法安定性等の特性に優れておりより好ましい。
特に、樹脂相1としては、ポリイミド(非晶性)、樹脂相2としてはポリアセタール(結晶性)から構成されることが好ましい。
前記ポリイミドは、例えば、酸無水物とジアミン化合物からポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を合成し、当該ポリアミック酸を熱や触媒によってイミド化することにより得られる。
ポリイミドの合成に使用される酸無水物としては、特に制限されないが、例えば、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、オキシジフタル酸二無水物、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、ポリイミドの合成に使用されるジアミン化合物としては、特に制限されないが、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-ジアミノトルエン、4,4′-ジアミノジフェニルメタン、4,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,4′-ジアミノジフェニルエーテル、3,3′-ジメチル-4,4′-ジアミノビフェニル、2,2′-ビス(トリフルオロメチル)-4,4′-ジアミノビフェニル、3,7-ジアミノ-ジメチルジベンゾチオフェン-5,5′-ジオキシド、4,4′-ジアミノベンゾフェノン、4,4′-ビス(4-アミノフェニル)スルフィド、4,4′-ジアミノベンズアニリド、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明に係る樹脂相1及び樹脂相2を構成する樹脂(樹脂全体)は、基材層全体に対して、50~95体積%の範囲内で含有することが好ましい。50体積%以上であると、必要な機械的強度を有することができる。95体積%以下であると、強誘電体や導電体を含有するスペースを確保することができる。
<弾性層>
本発明に用いられる弾性層は、必要により、基材の外周面上に形成されうる、所期の導電性と弾性を有する層である。
弾性層は、ゴム材料で構成される。弾性層の厚さは、例えば50~400μm内であることが好ましい。
ゴム材料の例には、ウレタンゴム、クロロプレンゴム(CR)及びニトリルゴム(NBR)などのゴム弾性を有する樹脂が含まれる。上記ゴム材料は、クロロプレンゴム又はニトリルブタジエンゴムを含むことが、中間転写体の電気抵抗を制御する観点から好ましい。
<表面層>
必要により、表面層(「コーティング層」又は「表層」ともいう。)は、基材の外周面上、又は弾性層の外周面上に形成されうる層であり、転写性向上効果を有する。
前記表面層が、金属酸化物微粒子(A)と、屈折率nDが1.6~1.8の範囲にある(メタ)アクリレートモノマー(B)、及び、当該(メタ)アクリレートモノマー(B)以外の多官能(メタ)アクリレート(C)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物とを含有する表面層形成用塗布液の塗膜に活性エネルギー線を照射して硬化することによって得られることが好ましい。これにより中間転写体の耐久性を改善することができる。
前記表面層の厚さは、2~20μmの範囲内であることが好ましく、1~5μmの範囲内であることが割れを防止することができる点でより好ましく、1.5~2.5μmの範囲内であることが特に好ましい。
[中間転写体の製造方法]
次に、本発明に係る基材層を備えた中間転写体の製造方法について説明する。なお、以下の製造方法は例示であり、中間転写体を製造できる任意の方法を用いることできる。
まず、強誘電体の粒子を溶媒中に分散させた分散液Aを調製する。また、導電体を溶媒中に分散させた分散液Bも調製する。ここで、分散液A及び分散液Bともに、誘電率や機械物性に影響を与えない程度に分散剤を用いても良い。
調製した分散液A及び分散液Bをポリイミドワニス「ユピア-AT(U-ワニス-A)」(宇部興産社製)の樹脂と混合・分散させる。このとき、強誘電体及び導電体の含有量が好ましい範囲となるように適宜調製する。混合・分散操作はミキサー等を用いて行うことができる。なお、分散液A及び分散液Bを調製せずに、強誘電体と、必要に応じて導電体をともにポリイミドワニスに混合・分散させてもよい。
前記混合・分散操作により、基材層形成用塗布液を調製することができる。
次に、ステンレス製の円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させつつ当該ノズルから基材層形成用塗布液を吐出して、金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成する。
次に、円筒状金型を回転させながら130℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、350℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成することができる。そして、この基材層を加工して、樹脂に強誘電体及び導電体が含有された中間転写体が得られる。
なお、上記方法で作製した基材層のみを用いて中間転写体を作製してもよいし、弾性層及び表面層を基材層に貼り合わせて中間転写体を作製してもよい。弾性層や表面層の形成方法は公知の方法を用いて良く、特に限定されない。
[電子写真画像形成装置]
次に、本発明の中間転写体を備える電子写真画像形成装置について説明する。
本発明の電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置ともいう。)は、例えば、図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に対応する感光体としての感光体ドラム83Y、83M、83C、83Kが、中間転写体の走行方向に直列配置されたタンデム方式の画像形成装置である。
この画像形成装置1は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)11とROM(Read Only Memory)12やRAM(Random Access Memory)13等のメモリなどで構成される制御部10と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などで構成される記憶部20と、NIC(Network Interface Card)やモデムなどで構成されるネットワークI/F部30と、タッチパネルなどで構成される表示操作部40と、ADF(Auto Document Feeder)とスキャナーなどで構成される画像読取部50と、RIP(Raster Image Processor)などで構成される画像処理部60と、搬送部70と、画像形成部80などを含み、搬送部70から搬送される用紙を処理する画像形成部80に、本実施形態の中間転写体が含まれる。
搬送部70は、図3に示すように、給紙装置71、搬送機構72、排紙装置73などで構成される。給紙装置71に収容されている用紙は、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構72により画像形成部80に搬送される。このとき、レジストローラーが配設されたレジスト部により、給紙された用紙の傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部80によって画像が形成された用紙は、排紙ローラーを備えた排紙装置73により機外の排紙トレイに排紙される。
画像形成部80は、図3及び図5に示すように、異なる色成分Y、M、C、Kに対応して設けられた、露光装置81(81Y、81M、81C、81K)、現像装置82(82Y、82M、82C、82K)、感光体ドラム83(83Y、83M、83C、83K)、帯電装置84(84Y、84M、84C、84K)、クリーニング装置85(85Y、85M、85C、85K)、一次転写ローラー86(86Y、86M、86C、86K)、中間転写ユニット87、定着装置88などで構成される。以下、各要素について概説する。なお、以下の説明では、必要に応じて、Y、M、C、Kを除いた符号を使用する。
各色成分Y、M、C、Kの感光体ドラム83は、アルミ材よりなる円筒状の金属基体の外周面上に、保護層としてのオーバーコート層を設けた有機感光体層(OPC)が形成された像担持体である。感光体ドラム83は、接地された状態で中間転写体に従動して図3における反時計方向に回転される。
各色成分Y、M、C、Kの帯電装置84は、スコロトロン式であって、その長手方向を感光体ドラム83の回転軸方向に沿わせた状態で、対応する感光体ドラム83に近接配設されており、トナーと同極性のコロナ放電によって、当該感光体ドラム83の表面に一様な電位を与える。
各色成分Y、M、C、Kの露光装置81は、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム83の回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された対応する感光体ドラム83の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる。
各色成分Y、M、C、Kの現像装置82は、対応する色成分の小粒径のトナーと磁性体とからなる二成分現像剤を収容しており、トナーを感光体ドラム83の表面に搬送して、当該感光体ドラム83に担持された静電潜像をトナーにより顕像化する。
各色成分Y、M、C、Kの一次転写ローラー86は、本実施形態の中間転写体を感光体ドラム83に圧接し、対応する感光体ドラム83に形成された各色トナー像を順次重ねて中間転写体に一次転写する。
各色成分Y、M、C、Kのクリーニング装置85は、一次転写後に対応する感光体ドラム83上に残留した残留トナーを回収する。また、クリーニング装置85の感光体ドラム83の回転方向下流側には図示しない潤滑剤の塗布機構が隣接状態で設けられており、対応する感光体ドラム83の感光面に潤滑剤の塗布を行っている。
中間転写ユニット87は、被転写体となる無端状の中間転写体87aと支持ローラー87bと二次転写ローラー87cと中間転写クリーニング部87dなどを備え、複数の支持ローラー87bに中間転写体87aが張架されて構成される。一次転写ローラー86Y、86M、86C、86Kによって各色トナー像が一次転写された中間転写体87aが、二次転写ローラー87cによって用紙に圧接されると、中間転写体87aと二次転写ローラー87cとの間の転写電圧に基づいてトナーに働く電界によって、用紙にトナー像が二次転写され、定着装置88に送られる。中間転写クリーニング部87dは、中間転写体87aの表面に摺接されるベルトクリーニングブレードを有する。二次転写後に中間転写体87aの表面に残存する転写残トナーは、ベルトクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
定着装置88は、熱源となる加熱ローラー88aと定着ローラー88bとこれらに掛け渡された定着ベルト88cと加圧ローラー88dなどを備え、定着ベルト88cを介して定着ローラー88bに加圧ローラー88dが圧接されており、当該圧接部がニップ部を構成している。そして、加熱ローラー88aで加熱された定着ベルト88cと各ローラーとによりニップ部を通過する用紙を加熱加圧し、用紙に形成された未定着のトナー像を定着させる。
そして、定着装置88によりトナー像が定着された用紙は、排紙ローラーを備えた排紙装置73により機外の排紙トレイに排紙される。
なお、図3及び図5は、本発明の画像形成装置1の一例であり、本発明の中間転写体87aを利用できる限りにおいて、その構造や構成は適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
[中間転写体1の製造]
<基材層形成用塗布液の調製>
下記に示すようにポリイミド前駆体塗布液を合成した。ポリイミド4は、溶媒に不溶なので、ポリアミド酸3のアミド系溶媒の溶液からポリアミド酸の塗布液を作製した。
具体的には、まず、ポリアミド酸3の良溶媒であるNMP(Nメチル2ピロリドン)を用い、前記ポリアミド酸3を溶解させ、そこにCB(カーボンブラック)のNMP分散液とBaTiOのNMP分散液を混合した。ここでは、上記ポリアミド酸3に対して、カーボンブラック7体積%、チタン酸バリウム70体積%となるように添加し、ミキサーを用いて混合して基材層形成用塗布液を用い、樹脂相1を調製した。
さらに、ポリアセタール樹脂をNMPに溶解させ、同様にCBのNMP分散液をカーボンブラック20体積%となるように添加し、樹脂相2を調製した。
得られた樹脂相1と樹脂相2を、質量比が50:50で混合撹拌し、塗布液を調製した。
Figure 0007354814000001
<基材層の形成>
次に、ステンレス製の円筒状金型を、円筒軸を中心に回転させながら、ディスペンスノズルを軸方向に移動させつつ当該ノズルから基材層形成用塗布液を吐出して、金型の外周面上にらせん状に塗布し、それらがつながった塗膜を形成した。
次に、円筒状金型を回転させながら100℃で1時間加熱することによって大部分の溶媒を揮発させ、その後、250℃で1時間加熱することにより、無端ベルト状の基材層を形成した。上記方法で形成された基材層の厚さは70μmであった。
<表面層形成用塗布液の調製>
多官能アクリレート「DPCA120」(日本化薬社製) 50質量部
多官能ウレタンアクリレート:「UA-1100H」(新中村化学社製)
50質量部
重合開始剤:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン:「IRGACURE 184」(BASFジャパン社製) 5質量部
前記した材料を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)中に溶解、分散させ、表面層形成用塗布液を調製した。
<表面層の形成>
前記基材層の外周面上に、前記表面層形成用塗布液を、ワイディー・メカトロソリューションズ社製のスプレー装置を用い、下記の塗布条件で乾燥膜厚が2μmとなるようにスプレー塗布することによって塗膜を形成し、この塗膜に活性エネルギー線として紫外線を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して厚さ2μmの表面層を形成し、これにより、厚さ50μmの中間転写体1を得た。紫外線の照射は、光源を固定し、弾性層の外周面上に塗膜が形成された基材を回転しながら行った。
(スプレー塗布条件)
ノズルスキャン速度:1~10mm/sec
ノズル距離:100~150mm
ノズル数:1
塗布液供給量:1~5mL/min
流量:2~6L/min
(紫外線の照射条件)
光源の種類:高圧水銀ランプ「H04-L41」(アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:100mm
照射光量:1J/cm
照射時間(基材を回転させている時間):240秒間
[中間転写体2~9の製造]
前記中間転写体1の製造において、誘電体、樹脂相1及び樹脂相2における樹脂、導電体の種類及び含有量、表面層の有無、中間転写体の厚さを下記表Iに示すとおりに変更した以外は同様にして中間転写体2~9を製造した。なお、中間転写体5及び9は、強誘電体ではなく常誘電体である酸化チタンを用いた。
[比誘電率の測定]
製造した各中間転写体の基材層に対して、誘電率測定を行った。具体的には、図6に示すように、中間転写体(の基材層)87aの両面にスパッタ等で抵抗が1桁Ωの薄膜電極201を形成し、10mmφの型で切り抜いて測定試料を作製し、インピーダンスアナライザー「12608W型」(Solartron Analytical社製)を用いて、周波数が1Hz~1MHzの条件で、温度23℃・湿度50%RHの環境下、電極接触法にて、誘電率(F/m)を測定し、比誘電率に換算した。
[基材層の断面観察方法>
基材層の断面観察方法としては、前処理として基材層のサンプル表面に対して白金パラジウムのスパッタ処理を行った。具体的には、スパッタ装置内に挿入後、真空にして加速電圧を5kVにて観察を行った。その後、透過型電子顕微鏡「2000FX」(日本電子社製)を用いて、倍率を100倍、5000倍、10000倍とふって、基材層を観察し、共連続構造体の有無を確認した。
[評価]
<凹凸紙転写性>
凹凸紙を用いた転写性評価にて画質の優劣を比較した。レザック203g用紙を用い、凹部に対してトナーの転写状態をランク付けした。評価条件及び評価機は下記のとおりとし、○及び◎を合格とした。
評価条件:環境 20℃50%
評価機:bizhub PRESS C1100
(基準)
◎:完全に転写できている。
○:2層部が数点抜けている。単色部は問題なし。
△:単色部がまばらに抜けている。
×:単色部が完全に抜けている。
<耐久性>
下記条件及び下記評価機で通紙耐久2000000枚を行い、1000000枚通紙時と2000000枚通紙時の中間転写体の破損状況を比較した。○及び◎を合格とした。
評価条件:環境 20℃50%
評価機:bizhub PRESS C1100
(基準)
◎:2000000枚耐久にて、割れなし
○:1000000枚耐久にて、割れなし
△:1000000枚耐久にて、端部に破損を確認。
×:1000000枚耐久にて、端部に加え中央部に破損を確認。
Figure 0007354814000002
前記結果に示されるように、本発明の中間転写体は、比較例の中間転写体に比べて、凹凸紙転写性及び耐久性の点で優れていることが分かる。
R1 樹脂相1
R2 樹脂相2
1a 中間転写体
2a 基材層
3a 弾性層
4a 表面層
1 画像形成装置
10 制御部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
20 記憶部
30 ネットワークI/F部
40 表示操作部
50 画像読取部
60 画像処理部
70 搬送部
71 給紙装置
72 搬送機構
73 排紙装置
80 画像形成部
81、81Y、81M、81C、81K 露光装置
82、82Y、82M、82C、82K 現像装置
83、83Y、83M、83C、83K 感光体ドラム
84、84Y、84M、84C、84K 帯電装置
85、85Y、85M、85C、85K クリーニング装置
86、86Y、86M、86C、86K 一次転写ローラー
87 中間転写ユニット
87a 中間転写体
87b 支持ローラー
87c 二次転写ローラー
87d 中間転写クリーニング部
88 定着装置
88a 加熱ローラー
88b 定着ローラー
88c 定着ベルト
88d 加圧ローラー
201 薄膜電極

Claims (8)

  1. 少なくとも基材層を有する中間転写体であって、
    周波数1MHzのときの比誘電率が、10~100の範囲内であり、
    前記基材層を、電子顕微鏡を用いて少なくとも1000倍率以上で断面観察したとき100μmの単位面積において、樹脂相1と樹脂相2が存在し、かつ、前記樹脂相1及び前記樹脂相2がそれぞれ互いに連続相として存在する共連続構造体を形成しており、
    前記樹脂相1が、当該樹脂相1全体に対して強誘電体を10~70体積%の範囲内で含有し、かつ、
    前記樹脂相2が、当該樹脂相2全体に対して導電体を1~20体積%の範囲内で含有することを特徴とする中間転写体。
  2. 前記樹脂相1が、前記基材層の厚さ方向において表面から裏面まで連続して存在することを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
  3. 中間転写体の最表面に、表面層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写体。
  4. 前記中間転写体の厚さが、50~100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  5. 前記強誘電体が、チタン酸バリウム又はチタン酸ストロンチウムのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  6. 前記樹脂相1及び樹脂相2が、ポリイミド、ポリアミド又はポリアセタールのいずれかを少なくとも含有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  7. 前記導電体が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ又はグラフェンのいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の中間転写体。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の中間転写体を具備することを特徴とする電子写真画像形成装置。
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