JP7035328B2 - 無端ベルト、無端ベルトユニット、及び画像形成装置 - Google Patents
無端ベルト、無端ベルトユニット、及び画像形成装置 Download PDFInfo
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Description
<1>
樹脂と導電剤とを含み表面抵抗率の膜厚依存性を有する樹脂組成物で構成され、
軸方向の一端から他端に向かって厚みが増し、前記一端の厚みを基準とした厚みの増加率は、前記軸方向の長さ100mmあたり0.8%以上3.2%以下である画像形成装置用の無端ベルト。
前記厚みの増加量は、前記軸方向の長さ100mmあたり0.5μm以上2.4μm以下である<1>に記載の無端ベルト。
前記一端における表面抵抗率の常用対数値をlogS1、前記他端における表面抵抗率の常用対数値をlogS2としたとき、logS2-logS1の値は、-0.16logΩ/□以上0.16logΩ/□以下である<1>又は<2>に記載の無端ベルト。
前記樹脂は、ポリアミドイミドを含む<1>~<3>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
前記導電剤は、カーボンブラックを含む<1>~<4>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
<1>~<5>のいずれか1項に記載の無端ベルトと、
前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
を備え、画像形成装置に対して脱着される無端ベルトユニット。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
<6>に記載の無端ベルトユニットを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を、前記無端ベルトを介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
図1は、実施形態に係る画像形成装置用の無端ベルトの一例を示す概略斜視図である。
そして、無端ベルト101は、樹脂と導電剤とを含み、表面抵抗率の膜厚依存性を有する樹脂組成物で構成されている。
また、無端ベルト101は、無端ベルト101の軸方向(すなわち、無端ベルト101の回転軸方向)における一端102から他端103に向かって厚みが増している。そして、一端102の厚みを基準とした厚みの増加率は、軸方向の長さ100mmあたり0.8%以上3.2%以下である。例えば、無端ベルト101の軸方向における長さが330mmである場合、一端102の厚みを基準とした他端103における厚みの増加率は2.6%以上10.7%以下となる。つまり、無端ベルト101の軸方向における長さが330mmである場合、他端103における厚みが、一端102における厚みの1.026倍以上1.107倍以下である。
具体的には、例えば、膜厚70μmの無端ベルトから膜厚5μm刻みで膜厚100μmの無端ベルトまで1本ずつ(すなわち合計7本)作製し、各無端ベルトにおける表面抵抗率を測定する。そして、膜厚を横軸、表面抵抗率の常用対数値を縦軸とした座標に測定結果を入力して直線で近似し、直線の傾きが、膜厚1μmあたり0.02logΩ/□以上又は-0.02logΩ/□以下である場合、「表面抵抗率の膜厚依存性を有する」とする。
なお、各無端ベルトにおける表面抵抗率は、一端から他端まで軸方向に3点、各位置において周方向に6点ずつ(すなわち、合計3×6点)測定を行って平均した値である。表面抵抗率の測定方法については、後述する。
具体的には、例えば、一端102から他端103に向かって高温の気体を送り込んで塗膜を焼成して無端ベルト101を得る場合、膜厚を厚くすればするほど表面抵抗率が下がる樹脂組成物を用いる。それにより、得られた無端ベルト101の一端102側は、他端103側に比べて、相対的に加熱効率が高いことで抵抗値が低くなる一方で、相対的に膜厚が薄いことで抵抗値が高くなる。逆に、得られた無端ベルト101の他端側103は、一端102側に比べて、相対的に加熱効率が低いことで抵抗値が高くなるとともに、相対的に膜厚が厚いことで抵抗値が低くなる。このように、加熱効率による抵抗値への影響と、膜厚による抵抗値への影響と、を相殺することで、無端ベルト101の一端102側と他端103側とで同程度の抵抗値が得られ、軸方向における抵抗差が抑制されるものと推測される。
そして、本実施形態の無端ベルト101を画像形成装置の転写ベルト(例えば中間転写ベルト)として用いると、無端ベルト101の軸方向における抵抗差が抑制されているため、得られた画像の濃度差も抑制される。
無端ベルト101は、前記のように、樹脂と導電剤とを含み表面抵抗率の膜厚依存性を有する樹脂組成物で構成されている。
樹脂組成物は、少なくとも樹脂と導電剤とを含み、必要に応じてその他の添加剤を含んでもよい。
樹脂としては、表面抵抗率の膜厚依存性を有する樹脂組成物が得られるものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、ポリアミドイミドが挙げられる。
樹脂は、ポリアミドイミド(以下「特定樹脂」ともいう)を含むことがより好ましい。樹脂は、上記特定樹脂を1種のみ含んでもよく、特定樹脂を2種以上含んでもよく、特定樹脂以外の他の樹脂を含んでもよい。なお、他の樹脂を含む場合、他の樹脂の含有量は、樹脂全体に対し10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
以下、樹脂の一例として、ポリアミドイミド樹脂について説明する。
ポリアミドイミド樹脂としては、トリカルボン酸とジアミン化合物とからの縮合物であるポリアミド-ポリアミック酸樹脂を脱水閉環反応させたポリアミドイミド樹脂が挙げられる。
具体的には、ポリアミドイミド樹脂としては、
(1)トリカルボン酸無水物とジアミン化合物との等モル量を有機極性溶媒中、脱水触媒存在下、高温で重縮合及び脱水閉環反応(イミド化反応)をさせる方法
(2)無水トリカルボン酸モノクロリドとジアミン化合物との等モル量を有機極性溶媒中、低温で重縮合及び脱水閉環反応をさせる方法
(3)トリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを有機極性溶媒中、高温で重縮合及び脱水閉環反応させる方法
等によって得られるポリアミドイミド樹脂が挙げられる。
無水トリカルボン酸モノクロリドとしては、無水トリメリット酸モノクロリドが挙げられる。
好適な芳香族ジアミン化合物としては、例えば、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニル、4,4’-ジアミノジフェニルアミド、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ビス[4-{3-(4-アミノフェノキシ)ベンゾイル}フェニル]エーテル、4,4’-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン2,2’-ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、3,3’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ビフェニル-3,3’-ジイソシアネート、ビフェニル-3,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジエチルビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、3,3’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート、2,2’-ジメトキシビフェニル-4,4’-ジイソシアネート等が挙げられる。
ジイソシアネート化合物としては、ブロック剤でイソシアナト基を安定化したものも挙げられる。ブロック剤としてはアルコール、フェノール、オキシム等があるが、特に制限はない。
導電剤としては、導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率107Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)の粒状物(1次粒径が10μm未満の粒子からなる粉末がよく、好ましくは1次粒径が1μm以下の粒子からなる粉末)が挙げられる。
導電剤としては、特に制限はないが、例えば、カーボンブラック(例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)等が挙げられる。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、次の方法により測定される。
まず、測定対象となる無端ベルトから、ミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの粒子50個の各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として、その平均値を平均一次粒子径とする。
導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
その他の添加剤としては、例えば、導電剤の分散性を向上するための分散剤、機械強度などの各種機能を付与するための各種充填剤、イミド化反応促進のための触媒、製膜品質向上のためのレベリング剤等が挙げられる。
樹脂組成物は、前記のように、表面抵抗率の膜厚依存性を有する。つまり、樹脂組成物は、前記表面抵抗率の膜厚依存性を有するか否かの確認において得られた直線の傾きが、膜厚1μmあたり0.02logΩ/□以上又は-0.02logΩ/□以下である。
なお、樹脂組成物としては、表面抵抗率の膜厚依存性を有する樹脂組成物の中でも、軸方向における抵抗差の抑制及び局所的な膜厚ムラによる表面抵抗ムラの抑制の両方の観点から、上記直線の傾きが0.02logΩ/□以上0.3logΩ/□以下又は-0.3logΩ/□以上-0.02logΩ/□以下である樹脂組成物が好ましく、0.05logΩ/□以上0.2logΩ/□以下又は-0.2logΩ/□以上-0.05logΩ/□以下である樹脂組成物がより好ましい。
無端ベルトの製造方法としては、例えば、加熱によって樹脂組成物となる塗布液を準備する塗布液準備工程と、円筒状又は円柱状の芯体の外周面に上記塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布工程と、塗膜を加熱することで樹脂組成物の膜である無端ベルトを形成する加熱工程と、得られた無端ベルトを芯体から脱型する脱型工程と、を経る方法が挙げられる。
塗布液準備工程では、加熱によって樹脂組成物となる塗布液を準備する。
塗布液としては、例えば、溶媒と、樹脂の前駆体及び樹脂の少なくとも一方と、導電剤と、必要に応じてその他の添加剤と、を含むものが挙げられる。
有機極性溶媒としては、例えば、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒;N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドンなどのピロリドン系溶媒;フェノール、o-、m-、又はp-クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル系溶媒;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ブチルセロソルブ等のセロソルブ系;及びヘキサメチルホスホルアミド、γ-ブチロラクトンなどが挙げられる。
なお、溶媒は、1種のみを用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、塗布液の粘度は、25℃の環境下で、HAKKE社製定速粘度計PK100を用いて測定する。
塗布工程では、塗布液を芯体の表面(外周面)に塗布して、塗膜を形成する。芯体の表面に塗膜を形成する方法としては、例えば、らせん塗布法が採用される。らせん塗布法により、芯体の表面に対して、塗布液を塗布することにより、塗膜が形成される。以下、塗布工程において、塗布液を一軸偏心ねじポンプ(モーノポンプ)(溶液吐出手段の一例)を用いて塗布する方法を例に挙げて説明する。
なお、塗布液を吐出する溶液吐出手段は、一軸偏心ねじポンプに限定されず、塗布液を吐出し得るものであれば他の溶液吐出手段を用いてもよい。
さらに、塗布装置140は、塗布装置内の各部を制御する制御部160を有している。
図3及び図4に示すように、円筒状又は円柱状の芯体134を、芯体134の軸方向を水平に沿った方向にして、回転装置(不図示)により軸周り(矢印A方向)に回転させながら、塗布液121Aを一軸偏心ねじポンプ125(溶液吐出手段の一例)から吐出して、芯体134の表面(外周面)に塗布する。塗布装置140では、塗布液121Aを貯留するタンク121から供給管123を通じて一軸偏心ねじポンプ125に供給される。一軸偏心ねじポンプ125に供給された塗布液121Aは、一軸偏心ねじポンプ125の吐出側先端部127を介して、矢印A方向に回転されている芯体134の表面に供給される。芯体134の表面に付着した塗布液121Aは、へら131によって平滑化される。
加熱工程では、塗膜110Aを加熱し、塗膜110A中の溶媒を除去し、樹脂組成物の膜を得る。加熱工程では、例えば、芯体134の一端132側から他端133側に向かって高温(加熱温度よりも高い温度)の気体を送り込んで芯体134上の塗膜110Aを加熱する。以下、加熱工程で用いる加熱装置の一例として、ダウンフロー型の加熱装置について説明する。
加熱工程での加熱処理後、樹脂組成物の膜を芯体134から脱型し、無端ベルト101を得る。
なお、必要に応じて、さらに樹脂組成物の膜の外周面や内周面に対し、研磨、エッチング等の表面処理を施すことで無端ベルト101を得てもよい。また、得られた無端ベルト101には、さらに穴あけ加工やリブ付け加工等が施されてもよい。
無端ベルト101の一端102における膜厚は、例えば、50μm以上500μm以下がよく、60μm以上300μm以下であることが望ましく、70μm以上150μm以下であることがより望ましい。
無端ベルト101の一端102から他端103に向かって厚みが増しているか否かは、上記膜厚の測定を、一端102から他端103まで軸方向に、等間隔に近い間隔で一端102及び他端103を含めて5点において行うことで確認する。
軸方向の長さ100mmあたりにおける厚みの増加率を上記範囲とすることで、厚みの増加率が大きすぎる場合に比べ、一端と他端とで厚みの違いがありすぎる事による不具合(例えば無端ベルトの破断等)が抑制されるとともに、軸方向における抵抗差も抑制される。
軸方向の長さ100mmあたりにおける厚みの増加率は、一端102の厚みをT1(μm)、他端103の厚みをT2(μm)、一端102から他端103までの長さをL×100(mm)とすると、下記式で表される。
式: 増加率(%)=(T2-T1)×100/(L×T1)
なお、前記厚みの増加率は、軸方向の長さ100mmあたり0.8%以上3.2%以下が好ましく、1.2%以上2.0%以下がより好ましい。
軸方向の長さ100mmあたりにおける厚みの増加量を上記範囲とすることで、厚みの増加量が大きすぎる場合に比べ、一端と他端とで厚みの違いがありすぎる事による不具合(例えば無端ベルトの破断等)が抑制されるとともに、軸方向における抵抗差も抑制される。
軸方向の長さ100mmあたりにおける厚みの増加量は、一端102の厚みをT1(μm)、他端103の厚みをT2(μm)、一端102から他端103までの長さをL×100(mm)とすると、下記式で表される。
式: 増加量(μm)=(T2-T1)/L
なお、前記厚みの増加量は、0.5μm以上2.3μm以下がより好ましく1μm以上1.4μm以下がさらに好ましい。
また、無端ベルト101の周長(周方向における長さ)も特に限定されず、例えば263mm以上3140mm以下が挙げられ、502mm以上1319mm以下が好ましく、785mm以上942mm以下がより好ましい。
表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図6は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図6に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間にベルトTを挟み、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D-d)×(V/I)
また、無端ベルト101の軸方向における特定の位置(例えば、一端102等)の表面抵抗率は、無端ベルト101の前記特定の位置において周方向に5か所測定し平均した値とする。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、上記式に示される19.6の数値は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd2/4tとして算出される。また、ベルトTの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR-1500Eを使用し測定する。
無端ベルト101は、画像形成装置におけるベルト部材、例えば、像保持体上のトナー画像が転写(一次転写)されその後記録媒体上に再び転写(二次転写)させる中間転写ベルト、中間転写体上に保持されたトナー画像を記録媒体に二次転写させる際に該記録媒体の裏面(非転写面)に接して記録媒体を搬送すると共に二次転写のため電圧を印加する二次転写ベルト、像保持体上のトナー画像を記録媒体表面に直接転写させる態様において記録媒体を搬送すると共に転写のための電圧を印加する記録媒体搬送転写ベルト、等として用いられる。
本実施形態に係る無端ベルトユニットは、上記無端ベルトを備えており、例えば、無端ベルトは、対向して配置された駆動ロールおよび従動ロールにより張力がかかった状態で掛け渡されていてもよい。
ここで、無端ベルトユニットは、無端ベルトを中間転写体として適用させる場合、無端ベルトを支持するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を無端ベルト上に一次転写させるためのロールと、無端ベルト上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置されていてもよい。
なお、無端ベルトを支持するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。上記構成の無端ベルトユニットは、画像形成装置に組み込まれて使用され、駆動ロール、従動ロールの回転に伴って無端ベルトも支持した状態で回転する。
本実施形態に係る画像形成装置としては、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、本実施形態に係る前述の無端ベルトユニットを有し、像保持体の表面に形成されたトナー画像を、無端ベルトを介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備えるものが挙げられる。
なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に特定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
尚、1次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×106Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って特定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録媒体Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録媒体Pに転写される構造であってもよい。
以上により記録媒体上に画像が形成される。
・塗布液の調製(塗布液準備工程)
以下のようにしてポリアミドイミド樹脂が含まれる塗布液(A1)を調製した。
ポリアミドイミドワニス(商品名:HPC-9000F-8、日立化成社製、固形分濃度16.5質量%、溶媒はN-メチル-2-ピロリドン)100部(固形分換算)と、カーボンブラック(商品名:FW1 オリオンエンジニアドカーボンズ製)40部と、を混合して、ジェットミルを用いて分散させた液に対し、導電剤(カーボンブラック)の濃度が固形分換算で28質量%となるように、上記ポリイミドワニス(HPC-9000F-8)をさらに添加して濃度調整を行った塗布液(A1)を調製した。
得られた塗布液(A1)を用いて、フロー塗布法でらせん状に円筒金型(円筒状の芯体)の外周面に塗布した。具体的には、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が直線的に増加し、かつ、塗布終了時における吐出量が塗布開始における吐出量に対して3%(2.2μm)増加するように塗布し、塗膜を形成した。
ダウンフロー型の加熱装置において、塗膜が形成された円筒状の芯体を、芯体の軸方向が熱風の方向に沿い、かつ、芯体の一端(塗布を開始した側)が熱風の風上(すなわち上部)側にくるように配置し、塗膜の加熱を行った。具体的には、まず、170℃の熱風で20分間加熱することで、塗膜中の溶媒の除去(すなわち乾燥)を行った後、300℃の熱風で100分間加熱することで、塗膜の焼成を行った。その後、得られた樹脂組成物の膜を芯体から脱型し、無端ベルトA1を得た。
得られた無端ベルトA1の一端の厚みT1(表1中の「T1(μm)」)、他端の厚みT2(表1中の「T2(μm)」)、一端の厚みT1を基準とした軸方向の長さ100mmあたりにおける厚みの増加率(表1中の「100mmあたり増加率(%)」)、軸方向の長さ100mmあたりにおける厚みの増加量(表1中の「100mmあたり増加量(μm)」)、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1(表1中の「logS1(logΩ/□)」)、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2(表1中の「logS2(logΩ/□)」)について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
得られた塗布液(A1)を用いて、前述の方法にて樹脂組成物における表面抵抗率の膜厚依存性を有するか否か確認したところ、直線の傾きが、膜厚1μmあたり-0.08logΩ/□であり、表面抵抗率の膜厚依存性を有することが確認された。なお、膜厚依存性を確認するための無端ベルト作製時における加熱は、170℃で20分間行った後、300℃で100分間行った。
塗布工程において、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が直線的に増加し、かつ、塗布終了時における吐出量が塗布開始における吐出量に対して4.5%(3.6μm)増加するように塗布した以外は、無端ベルトA1と同様にして、無端ベルトA2を得た。
得られた無端ベルトA2の一端の厚みT1、他端の厚みT2、厚みの増加率、厚みの増加量、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
・塗布工程
得られた塗布液(A1)を用いて、フロー塗布法でらせん状に円筒金型(円筒状の芯体)の外周面に塗布した。具体的には、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が直線的に増加し、かつ、塗布終了時における吐出量が塗布開始における吐出量に対して10.0%(7.3μm)増加するように塗布し、塗膜を形成した。
ダウンフロー型の加熱装置において、塗膜が形成された円筒状の芯体を、芯体の軸方向が熱風の方向に沿い、かつ、芯体の一端(塗布を開始した側)が熱風の風上(すなわち上部)側にくるように配置し、塗膜の加熱を行った。具体的には、まず、170℃の熱風で20分間加熱することで、塗膜中の溶媒の除去(すなわち乾燥)を行った後、280℃の熱風で80分間加熱することで、塗膜の焼成を行った。その後、得られた樹脂組成物の膜を芯体から脱型し、無端ベルトA3を得た。
得られた無端ベルトA1の一端の厚みT1、他端の厚みT2、厚みの増加率、厚みの増加量、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
塗布工程において、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が変わらないように塗布した以外は、無端ベルトA1と同様にして、無端ベルトA4を得た。
得られた無端ベルトA4の一端の厚みT1、他端の厚みT2、厚みの増加率、厚みの増加量、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
塗布工程において、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が直線的に増加し、かつ、塗布終了時における吐出量が塗布開始における吐出量に対して13.5%(9.8μm)増加するように塗布した以外は、無端ベルトA1と同様にして、無端ベルトA5を得た。
得られた無端ベルトA5の一端の厚みT1、他端の厚みT2、厚みの増加率、厚みの増加量、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
・塗布液の調製(塗布液準備工程)
以下のようにしてポリイミド樹脂前駆体が含まれる塗布液(C1)を調製した。
ポリイミド前駆体溶液(商品名:Uワニス、ユニチカ製、固形分濃度18質量%、溶媒はN-メチル-2-ピロリドン)100部(固形分換算)と、カーボンブラック(商品名:FW1 オリオンエンジニアドカーボンズ製)40部と、を混合して、ジェットミルを用いて分散させた液を28部まで濃縮(溶媒を除去)した塗布液(C1)を調製した。
得られた塗布液(C1)を用いて、フロー塗布法でらせん状に円筒金型(円筒状の芯体)の外周面に塗布した。具体的には、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が直線的に増加し、かつ、塗布終了時における吐出量が塗布開始における吐出量に対して4.1%(3.1μm)増加するように塗布し、塗膜を形成した。
ダウンフロー型の加熱装置において、塗膜が形成された円筒状の芯体を、芯体の軸方向が熱風の方向に沿い、かつ、芯体の一端(塗布を開始した側)が熱風の風上(すなわち上部)側にくるように配置し、塗膜の加熱を行った。具体的には、まず、180℃の熱風で20分間加熱することで、塗膜中の溶媒の除去(すなわち乾燥)を行った後、300℃の熱風で100分間加熱することで、塗膜の焼成を行った。その後、得られた樹脂組成物の膜を芯体から脱型し、無端ベルトC1を得た。
得られた無端ベルトC1の一端の厚みT1、他端の厚みT2、厚みの増加率、厚みの増加量、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
得られた塗布液(C1)を用いて、前述の方法にて樹脂組成物における表面抵抗率の膜厚依存性を有するか否か確認したところ、直線の傾きが、膜厚1μmあたり-0.005logΩ/□であり、表面抵抗率の膜厚依存性を有さないことが確認された。なお、膜厚依存性を確認するための無端ベルト作製時における加熱は、180℃で20分間行った後、300℃で100分間行った。
塗布工程において、芯体の一端側における塗布の開始から芯体の他端側における塗布の終了にかけて、塗布液の吐出量が変わらないように塗布した以外は、無端ベルトC1と同様にして、無端ベルトC2を得た。
得られた無端ベルトC2の一端の厚みT1、他端の厚みT2、厚みの増加率、厚みの増加量、一端における表面抵抗率の常用対数値logS1、及び他端における表面抵抗率の常用対数値logS2について、前述の方法により得られた結果を表1に示す。
・濃度差及び耐久性の評価
得られた無端ベルトを用い、以下の方法により画像の濃度差及び耐久性を評価した。
得られた無端ベルトを中間転写ベルトとして用いて画像形成装置(富士ゼロックス社製、DocuCentre-V C2263)に組み込み、マゼンタハーフトーン画像(画像密度30%)をA4用紙に連続して1000枚形成した。1000枚目の画像について、無端ベルトの軸方向における一端に対応する位置の画像濃度と他端に対応する位置の画像濃度との差を目視で確認し、下記基準で評価した。結果を表1(表1中の「評価」)に示す。
(評価基準)
G1:連続して1000枚の画像形成が行え、画像濃度の差は確認されなかった。
G2:連続して1000枚の画像形成が行え、画像濃度の差がわずかに確認されたが、許容範囲であった。
G3:連続して1000枚の画像形成が行えたが、明らかな画像濃度の差が確認された。
G4:無端ベルトが破断し、連続して1000枚の画像形成が行えなかった。
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置(静電荷像形成手段)
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ロール(一次転写手段)
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 2次転写ロール(2次転写手段)
28 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
31 加熱装置
32 乾燥炉
34 熱風発生機
36 支持台
101 無端ベルト(転写ベルト)
102 一端
103 他端
110A 塗膜
121 タンク
121A 塗布液
123 供給管
125 一軸偏心ねじポンプ
127 吐出側先端部
131 へら
132 一端
133 他端
134 芯体
140 塗布装置
160 制御部
201Y、201M、201C、201BK 感光体(像保持体)
202Y、202M、202C、202BK 帯電ロール(帯電手段)
203Y、203M、203C、203BK 露光器(静電荷像形成手段)
204Y、204M、204C、204BK 現像装置(現像手段)
205Y、205M、205C、205BK 感光体清掃部材
206 記録媒体搬送転写ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール(転写手段)
208 記録媒体搬送ロール
209 定着装置
210、211、212、213 ベルト支持ロール
214 ベルト用清掃部材
216 記録媒体
220 転写ユニット(無端ベルトユニット)
335 雄ねじ型回転体
336 雌ねじ型固定体
Y、M、C、BK 画像形成ユニット
P 記録媒体
Claims (5)
- 樹脂と導電剤とを含み、
膜厚が増加したとき膜厚1μmあたり-0.02logΩ/□以下で、表面抵抗率が減少する表面抵抗率の膜厚依存性を有する樹脂組成物で構成され、
膜厚が一定であるときに軸方向の一端から他端に向かって表面抵抗率が増加する無端ベルトであって、
前記軸方向の一端から他端に向かって厚みが増し、前記一端の厚みを基準とした厚みの増加率は、前記軸方向の長さ100mmあたり0.90%以上1.36%以下であり、
前記厚みの増加量は、前記軸方向の長さ100mmあたり0.67μm以上1.09μm以下であり、
前記一端における表面抵抗率の常用対数値をlogS 1 、前記他端における表面抵抗率の常用対数値をlogS 2 としたとき、logS 2 -logS 1 の値は、-0.07logΩ/□以上0.05logΩ/□以下である、画像形成装置用の無端ベルト。 - 前記樹脂は、ポリアミドイミドを含む請求項1に記載の無端ベルト。
- 前記導電剤は、カーボンブラックを含む請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト。
- 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルトと、
前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
を備え、画像形成装置に対して脱着される無端ベルトユニット。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
請求項4に記載の無端ベルトユニットを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を、前記無端ベルトを介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
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