JP2018084661A - 無端ベルト、無端ベルトユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

無端ベルト、無端ベルトユニット、及び画像形成装置 Download PDF

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Hiroaki Tanaka
宏晃 田中
聡哉 杉浦
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Abstract

【課題】端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制された無端ベルトの提供。
【解決手段】イミド結合を有する構成単位(a)を含む樹脂Aを含有するベルト本体部103と、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部であってかつベルト本体部103に対し少なくともベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置され、イミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する端部補強部105Aと、を有し、ベルト軸方向において端部補強部105Aを有する領域のヤング率[Y]が、ベルト軸方向において端部補強部105Aを有しない領域のヤング率[Y]よりも高い画像形成装置用の無端ベルト101A。
【選択図】図2

Description

本発明は、無端ベルト、無端ベルトユニット、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を採用した画像形成装置では、中間転写ベルトや、記録媒体搬送転写ベルトなどにおいて無端ベルトが適用されている。
例えば、特許文献1には、「回転する円柱状の芯金の周面に、相対的に移動するノズルを使用し樹脂層形成用塗布液を塗布して樹脂層形成用塗膜を形成し、前記樹脂層形成用塗膜の硬化処理を行い樹脂層を形成した後、前記芯金を抜き取り管状物を製造する管状物の製造方法において、前記樹脂層の幅方向の両端部に、前記樹脂層形成用塗布液により補強部を形成する管状物の製造方法」が開示されている。
また、特許文献2には、「電性フィラーを含有してなる半導電性ベルトにおいて、ベルト両端部が前記導電性フィラーを含有しない非画像部であるかまたはベルト中央部の導電性フィラー含有量よりも低い含有量を有する非画像部である半導電性ベルト」が開示されている。
また、特許文献3には、「熱可塑性樹脂中にカーボンブラックを分散させた単一の部材である環状部材を有し、前記環状部材は、当該環状部材の端部を含む第1領域と、前記第1領域に隣接し、前記第1領域よりも単位体積当たりの前記カーボンブラックの含有量が多い第2領域とを表面に有する無端ベルト」が開示されている。
特開2012−091328号公報 特開2003−107926号公報 特開2012−068385号公報
本発明の課題は、ヤング率がベルト軸方向の全面において等しい場合に比べ、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制された無端ベルトを提供することにある。
上記課題は、以下の本発明によって解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
イミド結合を有する構成単位(a)を含む樹脂Aを含有するベルト本体部と、
ベルト軸方向の少なくとも一方の端部であってかつ前記ベルト本体部に対し少なくともベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置され、イミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する端部補強部と、
を有し、
ベルト軸方向において前記端部補強部を有する領域のヤング率[Y]が、ベルト軸方向において前記端部補強部を有しない領域のヤング率[Y]よりも高い画像形成装置用の無端ベルト。
請求項2に係る発明は、
前記端部補強部は、内周面側の表面が前記ベルト本体部と接し、かつ外周面側の表面が露出している請求項1に記載の無端ベルト。
請求項3に係る発明は、
前記端部補強部は、粒子状の添加剤を含有しない請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト。
請求項4に係る発明は、
前記端部補強部を有する領域のヤング率[Y]が4500MPa以上6500MPa以下であり、前記端部補強部を有しない領域のヤング率[Y]が2500MPa以上3500MPa以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルト。
請求項5に係る発明は、
前記無端ベルトの平均厚さに対する、前記端部補強部の平均厚さの比率が50%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無端ベルト。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の無端ベルトと、
前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールを備えるロール群であって、前記複数のロールのうちの少なくとも1つのロールが、前記無端ベルトのベルト軸方向への蛇行を抑制するための蛇行抑制ガイドを少なくとも一方の端部に有するロール群と、
を備え、画像形成装置に対して脱着される無端ベルトユニット。
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
請求項6に記載の無端ベルトユニットを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を前記無端ベルトを介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項1、又は4に係る発明によれば、ヤング率がベルト軸方向の全面において等しい場合に比べ、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制された無端ベルトが提供される。
請求項2に係る発明によれば、端部補強部が、外周面側の表面がベルト本体部と接しかつ内周面側の表面が露出している場合に比べ、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制された無端ベルトが提供される。
請求項3に係る発明によれば、端部補強部が粒子状の添加剤を含有する場合に比べ、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制された無端ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によれば、端部補強部の平均厚さの無端ベルトの平均厚さに対するの比率が50%未満である場合に比べ、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制された無端ベルトが提供される。
請求項6、又は7に係る発明によれば、ヤング率がベルト軸方向の全面において等しい無端ベルトを適用した場合に比べ、無端ベルトが長寿命化された無端ベルトユニット、又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る無端ベルトの一例を示す概略斜視図である。 図1に示される本実施形態に係る無端ベルトが蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された状態を示す軸方向の一端側の拡大断面図である。 本実施形態の他の一例に係る無端ベルトが蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された状態を示す軸方向の一端側の拡大断面図である。 本実施形態の他の一例に係る無端ベルトが蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された状態を示す軸方向の一端側の拡大断面図である。 本実施形態に係る無端ベルトをらせん塗布法によって製造する方法の一例を説明するための説明図である。 本実施形態に係る無端ベルトをらせん塗布法によって製造する方法の一例を説明するための説明図である。 (A)は円形電極の一例を示す概略平面図であり、(B)はその概略断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。 従来の一例に係る無端ベルトが蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された状態を示す軸方向の一端側の拡大断面図である。 図10に示す無端ベルトに蛇行が生じ亀裂が発生した状態を示す軸方向の一端側の拡大断面図である。 従来の他の一例に係る無端ベルトが蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された状態を示す軸方向の一端側の拡大断面図である。
以下、本発明の一例である実施形態について詳細に説明する。
(無端ベルト)
本実施形態に係る無端ベルトは、ベルト本体部と、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部であってかつ前記ベルト本体部に対し少なくともベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置される端部補強部と、を有する。
ベルト本体部はイミド結合を有する構成単位(a)を含む樹脂Aを含有する。端部補強部はイミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する。
そして、上記無端ベルトでは、ベルト軸方向において前記端部補強部を有する領域(以下単に「端部領域」とも称す)のヤング率[Y]が、ベルト軸方向において前記端部補強部を有しない領域(以下単に「中央部領域」とも称す)のヤング率[Y]よりも高い。
ここで、「ベルト軸方向」とは、無端ベルトが複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡された際に、該ロールの軸方向となる方向を指す。
また、樹脂Bにおいて「樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する」とは、樹脂Bが樹脂Aに含まれる全ての構成単位と構造が異なる構成単位を有することを表し、つまり樹脂Bが樹脂Aとは異なる分子構造の樹脂であることを意味する。なお、樹脂Bにおいては、イミド結合を有する構成単位(b)が樹脂Aに含まれる全ての構成単位と構造が異なる構成単位に該当する態様であってもよいし、イミド結合を有する構成単位(b)とは別に、樹脂Aに含まれる全ての構成単位と構造が異なる構成単位(b2)を含有する態様であってもよい。
本実施形態に係る無端ベルトは、上記の構成を有することにより、蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制される。
その理由は以下の通り推察される。
従来から、画像形成装置においては、中間転写体や記録媒体搬送体等として無端ベルト(中間転写ベルト、記録媒体搬送ベルト等)が用いられている。なお、画像形成装置中で、無端ベルトは複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて回転駆動される。この際、無端ベルトがベルト軸方向にズレて蛇行することがありこの蛇行に起因して画像のズレが生じることがある。そのため、蛇行の発生を抑制する観点で、前記複数のロールのうちの少なくとも1つのロールに対し、少なくとも一端側に蛇行を抑制するためのガイド(蛇行抑制ガイド)が設けられている。
ここで、従来における無端ベルトについて図を用い一例を挙げて説明する。図10は、ロールに張力がかかった状態で掛け渡された従来における無端ベルトの軸方向の一端側を示す拡大断面図であり、端部に蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された部分を示す断面図である。
図10に示される無端ベルト301はベルト本体303のみからなり、このベルト本体303は全体が同じ材料で構成される。そのため、無端ベルト301ではヤング率がどの領域においても等しく、無端ベルト301の端部においても中央部においても、ヤング率に差がない。また、ロール109の端部には蛇行抑制ガイド107が設けられ、この蛇行抑制ガイド107はロール109の外周面から放射状に広がる方向に伸びる傾斜面107Sを有している。ロール109が端部に蛇行抑制ガイド107を有することで、仮に無端ベルト301にベルト軸方向への負荷が加わり軸方向へのズレが生じた場合であっても、無端ベルト301の端部が蛇行抑制ガイド107の傾斜面107Sに乗り上げるため、傾斜面107Sから前記のズレと反対方向への負荷が加えられ、無端ベルト301はベルト軸方向の元の位置に戻され、蛇行が抑制される。
しかし、この従来における無端ベルト301が、端部に蛇行抑制ガイド107を備えるロール109を含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動されると(例えば画像形成装置中において500,000回転の回数分回転駆動されると)、無端ベルト301の端部の外周面側において亀裂が発生することがあった。
これは、図11に示すように、無端ベルト301にベルト軸方向(矢印A方向)へのズレが生じて端部が蛇行抑制ガイド107の傾斜面107Sに乗り上げた際に、ベルトの端部が拡径する方向に変形するためと考えられる。つまり、無端ベルト301が蛇行抑制ガイド107の傾斜面107Sに乗り上げて端部に拡径変形が生じると、無端ベルト301の拡径変形した部分のうち特に外周面側に応力が集中する。そして、この応力集中による負荷が繰り返し加えられることで疲労が蓄積し、亀裂(破断)Kの発生に繋がるものと考えられる。
これに対し本実施形態に係る無端ベルトは、ベルト本体部と端部補強部とを有し、ベルト軸方向において端部補強部を有する領域(端部領域)のヤング率[Y]が、端部補強部を有しない領域(中央部領域)のヤング率[Y]よりも高い。
ここで、本実施形態に係る無端ベルトについて図を用い一例を挙げて説明する。図1は、本実施形態に係る無端ベルトの一例を示す概略斜視図であり、図2はこの本実施形態に係る無端ベルトが蛇行抑制ガイドを備えるロールに掛け渡された状態の軸方向の一端側を示す拡大断面図である。図1及び図2に示されるように、無端ベルト101Aはベルト本体部103と端部補強部105Aとを有する。端部補強部105Aは、ベルト軸方向両端部に配置され、かつベルト本体部103に対しベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置されている。なお、図1及び図2に示す無端ベルト101Aでは、端部補強部105Aの内周面側の表面もベルト本体部103に接している。そして、この端部補強部105Aを有する領域(端部領域)は、そのヤング率[Y]が、端部補強部を有しない領域(中央部領域、つまり図1及び図2ではベルト本体部103のみからなる領域)のヤング率[Y]よりも高い。すなわち本実施形態では、無端ベルト101Aの端部を中央部に比べてヤング率が高く硬い構成とし、変形しづらい構成としている。これにより、無端ベルト101Aにベルト軸方向へのズレが生じた場合であっても、拡径変形を伴う蛇行抑制ガイド107への乗り上げの発生自体が抑制される。そのため、蛇行抑制ガイド107への乗り上げの発生頻度が低減され、端部における拡径変形の発生回数が低減されて、この拡径変形に伴って無端ベルト101Aの外周面に負荷が加えられる頻度も低減される。その結果、無端ベルト101Aの端部の外周面における疲労の蓄積が抑制され、亀裂(破断)の発生が抑制されるものと考えられる。
一方で、端部補強部を有しない中央部領域(図1及び図2ではベルト本体部103のみからなる領域)は、そのヤング率[Y]が、端部補強部105Aを有する領域(端部領域)よりも低く、つまり端部に比べて変形しやすい構成としている。これにより、複数のロールに架け渡された無端ベルト101Aが回転駆動に伴ってロールと接する部分で屈曲する際の変形性能が確保され、無端ベルト101Aの回転駆動の性能が得られる。
なお、無端ベルトの端部のヤング率を高める手段としては、例えば図12に示すように、ベルト本体部403の端部の外周面上に補強テープ405を貼り付けて無端ベルト401の端部を補強する方法なども考えられる。しかし、本実施形態は前記の通り亀裂の発生の抑制を目的とするものであり、この亀裂は蛇行抑制ガイド107を備えるロール109を含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる現象であるため、繰返し回転駆動された後つまり長期にわたり高いヤング率を維持することが求められる。しかし、ベルト本体部403の端部の外周面上に補強テープ405を貼り付ける方法では、無端ベルト401の回転駆動による屈曲変形の繰り返しや、無端ベルト401の蛇行抑制ガイド107への乗り上げに伴う拡径変形の繰り返しによって、補強テープ405の剥がれに繋がることがあり、長期にわたって端部の高いヤング率を保つことが容易でない。
これに対し本実施形態に係る無端ベルトは、ベルト本体部と、このベルト本体部に対し少なくともベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置される端部補強部とを有し、かつベルト本体部はイミド結合を有する構成単位(a)を含む樹脂Aを含有し、端部補強部はイミド結合を有する構成単位(b)を含むと共に前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する。つまり、ベルト本体部にはイミド結合を有する樹脂Aが含まれ、端部補強部にはイミド結合を有しかつ樹脂Aとは分子構造が異なる樹脂Bが含まる。そのため、どちらにもイミド結合を有する樹脂が含まれており、両者の馴染みに優れることから、少なくともベルト軸方向中央側の表面で接している端部補強部はベルト本体部との接着性に優れる。これにより、ベルト本体部と端部補強部との界面での剥がれの発生が抑制され、ベルト本体部403の端部の外周面上に補強テープ405を貼り付ける方法に比べて、長期にわたり端部の高いヤング率を維持し得る。そのため、繰返し回転駆動された後における亀裂(破断)の発生が抑制されるものと考えられる。
以上のとおり、本実施形態によれば、蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる、無端ベルトの亀裂の発生が抑制される。そして、その結果無端ベルトの長寿命化が達成される。
次いで、本実施形態に係る無端ベルトの構成を詳しく説明する。
本実施形態では、図1に示すように無端ベルト101Aは無端状に形成されてなる。さらに、図1及び図2に示すように無端ベルト101Aはベルト本体部103と端部補強部105Aとを有し、端部補強部105Aは、ベルト軸方向の少なくとも一方の端部であってかつベルト本体部103に対し少なくともベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置される。この端部補強部105Aは、図1に示されるように帯状の形状であることが好ましく、かつベルト周方向に沿って全周にわたり配置されていることが好ましい。
なお、図1及び図2に示す無端ベルト101Aでは、端部補強部105Aの内周面側の表面もベルト本体部103に接し(つまり内周面側がベルト本体部103で覆われ)、外周面側は露出した構成(第1の構成)となっているが、この構成に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、端部補強部105Aの外周面側の表面がベルト本体部103に接し(つまり外周面側がベルト本体部103で覆われ)、内周面側が露出した構成(第2の構成)であってもよい。また、図4に示すように、端部補強部105Aの内周面側及び外周面側の両表面が露出した(つまり内周面側及び外周面側のいずれもがベルト本体部103で覆われていない)構成(第3の構成)であってもよい。
ただし、無端ベルトが蛇行抑制ガイド107に乗り上げて端部に拡径変形が生じる際には、特に外周面側に応力が集中する。そのため、この応力集中が生じる箇所のヤング率を高めることでより変形を生じ難くさせ、蛇行抑制ガイド107への乗り上げを抑制して、亀裂(破断)の発生を抑制し易くする観点で、端部補強部は外周面側が露出した構成であることが好ましい。つまり、図1に示す第1の構成、又は図4に示す第3の構成であることがより好ましい。
また、ロール109と接する面においては場所による摩擦係数の差が生じないことが好ましく、この観点から内周面の全面をベルト本体部103で構成することが好ましい。したがって、図1に示す第1の構成であることがさらに好ましい。
また、図1に示す無端ベルト101Aでは、端部補強部105Aがベルト軸方向の両端部に設けられており、つまり端部補強部105Aを有する両側の端部領域のヤング率[Y]が、端部補強部105Aを有しない中央部領域のヤング率[Y]よりも高い構成となっている。ただし、この構成に限定されるものではなく、端部補強部を一方の端部にのみ有していてもよく、つまり片側の端部領域のヤング率[Y]のみが、端部補強部を有しない中央部領域のヤング率[Y]よりも高い構成であってもよい。
なお、一方の端部にのみ端部補強部を有する態様の場合、蛇行抑制ガイドを備えたロールとして一方の端部にのみ蛇行抑制ガイドを備えたロールのみを有するロール群に無端ベルトを掛け渡して用いることが好ましい。つまり、蛇行抑制ガイドが備えられた側の端部に、無端ベルトの端部補強部を有する側が配設されるよう、無端ベルトを掛け渡して用いることが好ましい。
また、端部補強部は、無端ベルトが画像形成装置に搭載された際に、画像の形成に寄与しない領域に形成されていることがより好ましい。
また、図1乃至図4に示す無端ベルト101A乃至101Cは、ベルト本体部103と端部補強部105A乃至105Cのみにより構成されているが、この構成には限られず、さらに外周面側に他の層を積層した態様であってもよい。例えば、外周面上に離型層を設けた積層体で構成されていてもよい。ただし、無端ベルトの蛇行抑制ガイド107への乗り上げを抑制して、亀裂(破断)の発生を抑制し易くする観点で、端部補強部は外周面側が露出した構成であることが好ましく、つまり、外周面上に離型層等の他の層を積層した構成でないことがより好ましい。
−ヤング率−
本実施形態に係る無端ベルトでは、ベルト軸方向において端部補強部を有する領域(端部領域)のヤング率[Y]が、ベルト軸方向において端部補強部を有しない領域(中央部領域)のヤング率[Y]よりも高い。
なお、具体的には、端部領域(端部補強部を有する領域)のヤング率[Y]は、好ましくは4000MPa以上6500MPa以下であり、より好ましくは4500MPa以上6500MPa以下であり、さらに好ましくは5000MPa以上6000MPa以下であり、特に好ましくは5500MPa以上6000MPa以下である。
端部領域のヤング率[Y]が4000MPa以上であることで、無端ベルトの蛇行抑制ガイドへの乗り上げの発生がより抑制され易くなり、蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制され易くなる。
一方、端部領域のヤング率[Y]が6500MPa以下であることで、複数のロールに架け渡された無端ベルトの端部領域が回転駆動に伴ってロールと接する部分で屈曲する際の変形性能が得られ、無端ベルトの回転駆動の性能が得られ易くなる。
また、中央部領域(端部補強部を有しない領域)のヤング率[Y]は、好ましくは2500MPa以上4500MPa以下であり、より好ましくは2500MPa以上4000MPa以下であり、さらに好ましくは2500MPa以上3500MPa以下であり、特に好ましくは3000MPa以上3500MPa以下である。
中央部領域のヤング率[Y]が4500MPa以下であることで、複数のロールに架け渡された無端ベルトが回転駆動に伴ってロールと接する部分で屈曲する際の変形性能が得られ、無端ベルトの回転駆動の性能が得られ易くなる。
一方、中央部領域のヤング率[Y]が2500MPa以上であることで、ベルトユニット装着時にテンション(張力)をかけた際のテンション方向への変形を抑制し得る。
なお、端部領域のヤング率の中央部領域のヤング率に対する差(|[Y]−[Y]|)は、複数のロールに架け渡された無端ベルトが回転駆動に伴ってロールと接する部分で屈曲する際の変形性能を維持しつつかつ蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生を抑制し易くする観点から、1000MPa以上離れていることが好ましく、1500MPa以上離れていることがより好ましく、2000MPa以上離れていることがさらに好ましい。
一方で、端部領域のヤング率の中央部領域のヤング率に対する差は、テンションがかかった際の補強部と中央部の界面に生じるひずみの観点から、4500MPa以内におさまっていることが好ましく、3500MPa以内におさまっていることがより好ましく、3000MPa以内におさまっていることがさらに好ましい。
・測定方法
無端ベルトの端部領域(端部補強部を有する領域)のヤング率[Y]、及び中央部領域(端部補強部を有しない領域)のヤング率[Y]は、無端ベルトの該当する領域を5mm幅で長さ80mmに切りだした試料を準備し、アイコーエンジニアリング社製の精密荷重測定器(MODEL−1605N)を使用し、試料を測定長40mmにセットし20mm/minのスピードで引張りながらSSカーブを測定し、計算によりヤング率を測定する。なお、試料の厚さは膜厚計により事前に測定しておく。
また、測定対象の領域が試料の寸法未満の大きさである場合には、測定対象の領域と同じ材料及び同じ厚さ比の試料を形成し、この試料について上記の測定を行う。
また、後述する端部補強部のヤング率、及びベルト本体部のヤング率についても、該当する領域を前記寸法の試料として切りだした後、上記の方法によって測定される。
・達成方法
無端ベルトにおいて、端部領域のヤング率[Y]が中央部領域のヤング率[Y]より高い構成を実現する方法としては、例えば端部補強部のヤング率をベルト本体部のヤング率より高く調整する方法が挙げられる。
なお、ベルト本体部はイミド結合を有する構成単位(a)を含む樹脂Aを含有し、一方端部補強部はイミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する。つまり、樹脂Aと樹脂Bは、いずれもイミド結合を有する構成単位を含むポリイミド樹脂でありつつ、一方で少なくとも分子構造が異なる樹脂でもある。そこで、樹脂Bとして樹脂Aよりもヤング率の高い樹脂を採用することで端部補強部のヤング率をベルト本体部のヤング率より高く調整することが好ましい。さらには、この樹脂Aと樹脂Bとのヤング率の差を分子構造の違いに起因して、つまり樹脂Bに含まれる「樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位」の構造に起因して調整することが好ましい。
なお、樹脂Bのヤング率を樹脂Aよりも高める方法については、特に制限はなく公知の方法等を採用することができる。例えば一例を挙げると、樹脂中の構成単位が芳香族環を有している方が脂肪族基のみからなる場合に比べてヤング率が高くなる傾向にある。さらに、分子構造中における芳香族環の濃度が高いほどヤング率が高くなる傾向にある。
よって、例えばテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)がイミド化されてなるポリイミド樹脂の場合であれば、ジアミン化合物として、2つのアミノ基を芳香族基のみで繋いだ構造のもの(フェニレンジアミン等)を用いた方が、2つのアミノ基を芳香族基と脂肪族基やエーテル基などで繋いだ構造のもの(ジアミノジフェニルエーテル等)を用いた場合に比べ、ヤング率が高くなる傾向にある。
また、端部領域のヤング率[Y]及び中央部領域のヤング率[Y]を前述の好ましい範囲に制御する方法としては、端部補強部のヤング率とベルト本体部のヤング率とを調整する方法、端部領域(端部補強部を有する領域)における端部補強部の厚さ(無端ベルトの厚さに対する比率)を調整する方法等が挙げられる。
次いで、本実施形態に係る無端ベルトを構成する材料の組成について説明する。
−組成−
本実施形態に係る無端ベルトが備えるベルト本体部及び端部補強部は、それぞれ樹脂A及び樹脂Bを含んで構成される。そして、樹脂Aはイミド結合を有する構成単位(a)を含み、樹脂Bはイミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する。
なお、樹脂Bにおいては、(1)イミド結合を有する構成単位(b)が樹脂Aに含まれる構成単位と構造が異なる構成単位に該当する態様であってもよく、(2)イミド結合を有する構成単位(b)とは別に、樹脂Aに含まれる構成単位と構造が異なる構成単位(b2)を含有する態様であってもよい。また、上記(2)の態様の場合、構成単位(b)は樹脂Aに含まれる構成単位(a)と同じ構造であってもよい。
ただし、樹脂Aと樹脂Bとの馴染みが良好でありそれによりベルト本体部と端部補強部との接着性に優れることが好ましいことから、樹脂A及び樹脂Bには同じ構造の構成単位を含まれることが好ましい。この観点から、上記(2)の態様であってかつ構成単位(b)が構成単位(a)と同じ構造であることがより好ましい。
また、樹脂Bは樹脂Aよりもヤング率の高い樹脂であることが好ましい。よって、樹脂Bに含まれる「樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位」の構造は、ヤング率をより上昇させる方向に寄与する構造であることが好ましい。樹脂Bのヤング率を樹脂Aよりも高めるには、例えば前述の方法等によって制御し得る。
また、無端ベルトにおけるベルト本体部及び端部補強部は、導電性を付与する観点で導電剤が含有されてもよい。また、その他周知の添加剤、例えばフッ素樹脂粒子等の離型性材料を含んで構成されてもよい。
ただし、端部補強部には粒子状の添加剤(導電性粒子、フッ素樹脂粒子、その他添加剤粒子等)を添加しないことがより好ましい。端部補強部に粒子状の添加剤を含む場合、亀裂発生の起点となることがあると考えられ、粒子状の添加剤を含まないことで、蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生をより抑制し易くなると考えられる。
なお、端部補強部には導電性粒子を含めた粒子状の添加剤を含まない方が好ましく、この場合ベルト本体部との間に導電性の差を生じることが考えられる。そのため、端部補強部は無端ベルトが画像形成装置に搭載された際に画像の形成に寄与しない領域(所謂、非画像部)に形成されていることがより好ましい。
また、仮に端部補強部がベルト本体部と同程度の量の導電剤を含有する場合であっても、端部補強部に含まれる樹脂Bはベルト本体部に含まれる樹脂Aはとは異なる構造の構成単位を含む樹脂であるため、導電剤の分散状態や凝集状態に差が生じることが考えられ、その結果ベルト本体部との間に導電性の差を生じることが有り得る。この観点から、端部補強部は無端ベルトが画像形成装置に搭載された際に画像の形成に寄与しない領域(非画像部)に形成されていることがより好ましい。
・樹脂材料
ベルト本体部は樹脂Aを含有する。樹脂Aはイミド結合を有する構成単位(a)を含んでいればよく、例えば(I)イミド結合を有する構成単位(a)のみからなる樹脂であっても、(II)イミド結合を有する構成単位(a)とイミド結合を有し前記構成単位(a)とは構造が異なる構成単位(a2)とを含む樹脂であっても、(III)イミド結合を有する構成単位(a)とイミド結合を有しない構成単位(a3)とを含む樹脂であってもよい。また、上記の構成単位(a)、(a2)及び(a3)以外にさらに他の構成単位を含んでいてもよい。
樹脂Aとしては、例えばポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
端部補強部は樹脂Bを含有する。樹脂Bはイミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有していればよい。例えば、(i)イミド結合を有しかつ樹脂Aに含まれる全ての構成単位とは構造が異なる構成単位(b)のみからなる樹脂であっても、(ii)イミド結合を有する構成単位(b)と、イミド結合を有し、樹脂Aに含まれる全ての構成単位とは構造が異なりかつ前記構成単位(b)とも構造が異なる構成単位(b2)とを含む樹脂であっても、(iii)イミド結合を有する構成単位(b)と、イミド結合を有さず、樹脂Aに含まれる全ての構成単位とは構造が異なりかつ前記構成単位(b)とも構造が異なる構成単位(b3)とを含む樹脂であってもよい。また、上記の構成単位(b)、(b2)及び(b3)以外にさらに他の構成単位を含んでいてもよい。
樹脂Bとしては、例えばポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
なお、ベルト本体部及び端部補強部では、それぞれ樹脂A又は樹脂Bを1種単独で用いてもよいし、さらに他の樹脂材料を併用してもよい。
ただし、樹脂A及び樹脂Bは、それぞれベルト本体部及び端部補強部における主成分であることが好ましい。例えば、ベルト本体部における樹脂Aの含有量は、ベルト本体部の全質量に対し、75質量%以上100質量%以下が好ましく、より好ましくは90質量%以上100質量%以下である。一方、端部補強部における樹脂Bの含有量は、端部補強部の全質量に対し、30質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以上50質量%以下である。
樹脂A及び樹脂Bに用いられる樹脂材料としては、前記の通りポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂等が挙げられるが、これらの中でもポリイミド樹脂がより好ましい。
ポリイミド樹脂としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)のイミド化物が挙げられる。ポリイミド樹脂として具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との等モル量を溶媒中で重合反応させてポリアミド酸の溶液として得て、そのポリアミド酸をイミド化して得られたものが挙げられる。
ポリイミド樹脂としては、例えば、下記一般式(I)で示される構成単位を有する樹脂が挙げられる。

(一般式(I)中、Rは4価の有機基であり、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基を組み合わせた基、又はそれらが置換された基である。Rは2価の有機基であり、芳香族基、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基と脂肪族基を組み合わせた基、又はそれらが置換された基である。)
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、ジアミン化合物の具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点より極性溶媒(有機極性溶媒)が好適に挙げられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が好ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用してもよい。
・導電剤
無端ベルトには、ベルト本体部及び端部補強部のいずれにおいても、導電性を付与する観点で導電剤が含有されてもよい。
ただし、蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生をより抑制し易くする観点で、端部補強部には導電性粒子を含めた粒子状の添加剤を添加しないことがより好ましい。
導電剤としては、導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm未満、以下同様である)もしくは半導電性(例えば体積抵抗率10Ω・cm以上1013Ω・cm以下、以下同様である)の粉末(1次粒径が10μm未満の粒子からなる粉末がよく、好ましくは1次粒径が1μm以下の粒子からなる粉末)が挙げられる。
導電剤としては、特に制限はないが、例えば、カーボンブラック(例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、表面が酸化処理されたカーボンブラック等)、金属(例えばアルミニウムやニッケル等)、金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等)、イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等)等が挙げられる。
導電剤は、その使用目的により選択されるが、カーボンブラックがよく、特に電気抵抗の経時での安定性や、転写電圧による電界集中を抑制する電界依存性の観点から、pH5以下(好ましくはpH4.5以下であり、より好ましくはpH4.0以下)の酸化処理カーボンブラック(例えば表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与して得られたカーボンブラック)がよい。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、例えば10nm以上50nm以下がよく、15nm以上30nm以下がより好ましい。
カーボンブラックの平均一次粒子径は、次の方法により測定される。
まず、測定対象となる無端ベルトから、ミクロトームにより切断して、100nmの厚さの測定サンプルを採取し、本測定サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。そして、カーボンブラックの粒子50個の各々の投影面積に等しい円の直径を粒子径として、その平均値を平均一次粒子径とする。
導電剤の含有量は、目的とする抵抗により選択されるが、例えば、ベルト本体部においては、全質量に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、更には2質量%以上40質量%以下がより好ましく、4質量%以上30質量%以下が更に好ましい。
一方、端部補強部においては、含有しない、つまり含有量が0質量%に近いほど好ましく、より具体的には全質量に対して0質量%以上10質量%以下が好ましく、さらには0質量%以上5質量%以下がより好ましい。
導電剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
・他の添加剤
導電剤以外のその他の添加剤としては、例えば、カーボンブラックの分散性を向上するための分散剤、機械強度などの各種機能を付与するための各種充填剤、イミド化反応促進のための触媒、製膜品質向上のためのレベリング剤、離型性を向上させるための離型性材料(例えばPTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂粒子)等が挙げられる。
(無端ベルトの製造方法)
ここで、本実施形態に係る無端ベルトを製造する方法について説明する。なお、一例として、図1及び図2に示すベルト本体部103及び端部補強部105Aからなる無端ベルト101Aを製造する方法を取り上げて説明する。
無端ベルト101Aにおけるベルト本体部103及び端部補強部105Aを形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法を採用して形成し得る。
例えば、以下の各工程を有する製造方法が挙げられる。
・(塗布液準備工程)ベルト本体部103を形成するためのベルト本体部用塗布液と、端部補強部105Aを形成するための端部補強部用塗布液と、を準備する工程
・(ベルト本体部塗布工程)円筒状又は円柱状の芯体の表面に対し、軸方向両端部の定められた領域には端部補強部105Aを形成するための領域が残るよう、薄い膜厚でベルト本体部用塗布液を塗布し、一方で軸方向中央部の定められた領域には無端ベルトの厚さとなるよう、厚い膜厚でベルト本体部用塗布液を塗布して、両端部に端部補強部105Aを形成するための領域が残ったベルト本体部塗布膜を形成する工程
・(端部補強部塗布工程)
前記ベルト本体部塗布膜表面における、両端部の端部補強部105Aを形成するための領域に端部補強部用塗布液を塗布し、端部補強部塗布膜を形成する工程
・(乾燥工程)乾燥してベルト本体部塗布膜及び端部補強部塗布膜中の溶媒を除去する工程
・(焼成工程)ベルト本体部塗布膜及び端部補強部塗布膜中に含まれるポリアミド酸をイミド化する工程
・(脱型工程)一体に成形された無端ベルト(ベルト本体部及び端部補強部)を芯体から脱型する工程
なお、ベルト本体部塗布工程と端部補強部塗布工程との間に別途、ベルト本体部塗布膜乾燥工程を設けてもよい。つまり、端部補強部塗布工程では、ベルト本体部塗布工程で形成されたベルト本体部塗布膜を一旦乾燥し、ベルト本体部塗布膜から定められた量の溶媒を除去してから、端部補強部塗布液を塗布してもよい。ベルト本体部塗布膜乾燥工程を設けることで、ベルト本体部及び端部補強部の形成精度(形成したい領域に形成し得る度合い)が高められる。
一方で、ベルト本体部と端部補強部との接着性を向上させて両者の剥がれを抑制する観点からは、ベルト本体部塗布工程で形成されたベルト本体部塗布膜が乾燥されていない状態のまま、未乾燥のベルト本体部塗布膜に対して端部補強部用塗布液を塗布することが好ましい。つまり、上記接着性を得る観点では、ベルト本体部塗布工程と端部補強部塗布工程との間にはベルト本体部塗布膜乾燥工程を設けないことが好ましい。
ここで、ベルト本体部塗布工程で、軸方向両端部の定められた領域には端部補強部105Aを形成するための領域が残るよう、薄い膜厚でベルト本体部用塗布液を塗布し、一方軸方向中央部の定められた領域には無端ベルトの厚さとなるよう、厚い膜厚でベルト本体部用塗布液を塗布して、両端部に端部補強部105Aを形成するための領域が残ったベルト本体部塗布膜を形成する方法について説明する。特に限定されず従来公知の方法を採用して行い得るが、例えば、図5に示すらせん塗布装置を用いて、ベルト本体部塗布膜を形成する方法が挙げられる。
図5に示すらせん塗布装置は、芯体30をその軸方向を水平にして、回転装置40により軸周り(矢印B方向)に回転させながら、塗布液53を流下装置52のノズル52Aから流下して芯体30表面に付着させる装置である。塗布液(ベルト本体部用塗布液)53は、タンク54からポンプ56により供給管58を通じて流下装置52に供給される。芯体30に付着した塗布液53は、平滑化機構の一例としてのブレード(へら)62によって平滑化が行われる。流下装置52とブレード62とは、芯体30の軸方向(矢印C方向)に移動可能に支持されており、芯体30を予め設定された回転速度で回転させた状態で、流下装置52とブレード62とが芯体30の軸方向(矢印C方向)に移動しつつベルト本体部用塗布液53を吐出することで、芯体30の表面の定められた領域に螺旋状にベルト本体部用塗布液が塗布され、ベルト本体部塗布膜105が形成される。
なお、この際に塗布開始から定められた領域までの塗布の量、及び塗布終了までの定められた領域での塗布の量が少なくなるよう調整することで、軸方向両端部の定められた領域に端部補強部105Aを形成するための領域が残るよう、薄い膜厚でベルト本体部用塗布液を塗布する。これにより、無端ベルトの端部領域(端部補強部を有する領域)となる部分にベルト本体部塗布膜の薄膜部103aを形成し得る。
一方で、無端ベルトの中央部領域(端部補強部を有しない領域)となる部分での塗布の量が多くなるよう調整することで、軸方向中央部の定められた領域には無端ベルトの厚さとなるよう、厚い膜厚でベルト本体部用塗布液を塗布する。これにより、無端ベルトの中央部領域(端部補強部を有しない領域)となる部分にベルト本体部塗布膜の厚膜部103bを形成し得る。
次いで、図6に示すように、ベルト本体部塗布膜の薄膜部103a上に端部補強部用塗布液55を塗布して、端部補強部塗布膜を形成する。その後、乾燥工程、焼成工程、脱型工程等を経ることで、図1及び図2に示すベルト本体部103及び端部補強部105Aからなる無端ベルト101Aが得られる。
なお、図3に示す、軸方向両端部の内周面側にのみ端部補強部105Bを有する無端ベルト101Bを製造する場合であれば、例えば図1及び図2に示す無端ベルト101Aを製造する上記の製造方法において、ベルト本体部塗布工程と端部補強部塗布工程との順番を入れ替えることで製造し得る。
また、図4に示す、軸方向両端部の内周面側及び外周面側に露出する端部補強部105Cを有する無端ベルト101Cを製造する場合であれば、例えば図1及び図2に示す無端ベルト101Aを製造する上記の製造方法において、ベルト本体部塗布工程では中央部領域にのみ塗布を行い、端部補強部塗布工程で端部領域に塗布を行うことで製造し得る。
得られた無端ベルト101には、更に穴あけ加工やリブ付け加工、等が施されることがある。また、外周面側にさらに離型層等のその他の層を有する無端ベルトの場合には、公知の方法によってさらに離型層等のその他の層を形成することで、無端ベルトが得られる。
−無端ベルトの特性−
本実施形態に係る無端ベルトの外周面(ただし無端ベルトが画像形成装置に搭載された際に画像の形成に寄与する領域(画像部))の表面抵抗率は、例えば、画像形成装置において中間転写ベルト、記録媒体搬送転写ベルト等として用いる場合であれば、転写性の観点から、常用対数値で9(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが好ましく、10(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより好ましい。
なお、表面抵抗率の常用対数値は、導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
ここで、表面抵抗率の測定方法は、次の通り行う。円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS−K6911に従って測定する。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図7は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図7に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間にベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
本実施形態に係る無端ベルト101の全体の体積抵抗率(ただし無端ベルトが画像形成装置に搭載された際に画像の形成に寄与する領域(画像部)の厚さ方向全体の体積抵抗率)は、例えば、画像形成装置において中間転写ベルト、記録媒体搬送転写ベルト等として用いる場合であれば、転写性の観点から、常用対数値で8(LogΩcm)以上13(LogΩcm)以下であることが好ましい。なお、体積抵抗率の常用対数値は、導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
ここで、体積抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用い、JIS−K6911に従って測定する。前記体積抵抗率の測定方法を、図7を用いて説明する。測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図7に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’とを備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間にベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加した時に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式中、tは、ベルトTの厚さを示す。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
また、上記式に示される19.6の数値は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd/4tとして算出される。また、ベルトTの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定する。
−寸法−
本実施形態に係る無端ベルトの平均厚さ(図2に示す無端ベルト101Aであれば、中央部領域(端部補強部105Aを有しない領域)におけるベルト本体部103の厚さと、端部領域(端部補強部105Aを有する領域)における該端部補強部105A及びベルト本体部103の厚さと、の平均)は、例えば0.05mm以上0.5mm以下が好ましく、より好ましくは0.06mm以上0.30mm以下、さらに好ましくは0.06mm以上0.15mm以下である。
また、無端ベルトの平均厚さに対する、端部領域(端部補強部を有する領域)での端部補強部の平均厚さの比率は、50%以上が好ましく、より好ましくは75%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。端部補強部の平均厚さの無端ベルトの平均厚さに対するの比率が50%以上であることで、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生がより抑制され易くなる。
一方、この比率の上限値は、100%以下が好ましく、より好ましくは95%以下であり、さらに好ましくは90%以下である。
なお、具体的な端部補強部の好ましい厚さの範囲は、0.01mm以上0.1mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上0.1mm以下である。
さらに、端部補強部の幅(ベルト軸方向長さ)は、3mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは3mm以上8mm以下である。なお、端部補強部は、無端ベルトが画像形成装置に搭載された際に、画像の形成に寄与しない領域に配置されていることがより好ましい。
−用途−
本実施形態に係る無端ベルトは、画像形成装置におけるベルト部材、例えば、像保持体上のトナー画像が転写(一次転写)されその後記録媒体上に再び転写(二次転写)させる中間転写ベルト、中間転写体上に保持されたトナー画像を記録媒体に二次転写させる際に該記録媒体の裏面(非転写面)に接して記録媒体を搬送すると共に二次転写のため電圧を印加する二次転写ベルト、像保持体上のトナー画像を記録媒体表面に直接転写させる態様において記録媒体を搬送すると共に転写のための電圧を印加する記録媒体搬送転写ベルト、等として用いられる。
(画像形成装置)
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、本実施形態に係る前述の無端ベルトを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を前記無端ベルトを介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば転写手段が、中間転写体と像保持体に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と、中間転写体に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、を備え、当該中間転写体として上記本実施形態に係る無端ベルトを備える構成が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば転写手段が、記録媒体を搬送するための記録媒体搬送転写体(記録媒体搬送転写ベルト)と、像保持体に形成されたトナー像を記録媒体搬送転写体により搬送された記録媒体に転写するための転写手段と、を備え、当該記録媒体搬送転写体として上記本実施形態に係る無端ベルトを備える構成が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置としては、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。図8は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図9は、本実施形態に係る他の画像形成装置を示す概略構成図である。図8は、中間転写体(中間転写ベルト)を備える画像形成装置であり、図9は、記録媒体搬送転写体(記録媒体搬送転写ベルト)を備える画像形成装置である。
図8に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに特定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻回されて設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるように、画像形成装置用の転写ユニットを構成している。
なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に特定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を特定の電位に帯電させる帯電ロール2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ロール5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを、クリーニングブレードにて除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
なお、1次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って特定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き特定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が特定の1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ロール5Yに特定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2ユニット10M以降の1次転写ロール5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ロール(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ロール26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に特定のタイミングで給紙され、特定の2次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。なお、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録媒体Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録媒体P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録媒体Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録媒体Pに転写される構造であってもよい。
一方、図9に示す画像形成装置は、画像形成ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に特定の周速度(プロセススピード)をもって回転するように、それぞれ感光体201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体201Y、201M、201C、201BKの周囲には、帯電装置202Y、202M、202C、202BKと、露光器203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体清掃部材205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
画像形成ユニットY、M、C、BKは、記録媒体搬送転写ベルト206に対して4つ並列に、画像形成ユニットBK、C、M、Yの順に配置されているが、画像形成ユニットBK、Y、C、Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定する。
記録媒体搬送転写ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって内面側から支持され、画像形成装置用の転写ユニットを形成している。該記録媒体搬送転写ベルト206は、矢印の反時計方向に感光体201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転するようになっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその一部が感光体201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。記録媒体搬送転写ベルト206は、ベルト用清掃部材214が備えられている。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、記録媒体搬送転写ベルト206の内側であって、記録媒体搬送転写ベルト206と感光体201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体201Y、201M、201C、201BKと、記録媒体搬送転写ベルト206を介してトナー画像を記録媒体216に転写する転写領域を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、感光体201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、直下からずれた位置に配置してもよい。
定着装置209は、記録媒体搬送転写ベルト206と感光体201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域を通過した後に搬送するように配置されている。
記録媒体搬送ロール208により、記録媒体216は記録媒体搬送転写ベルト206に搬送される。
画像形成ユニットBKにおいては、感光体201BKを回転駆動させる。これと連動して帯電装置202BKが駆動し、感光体201BKの表面を特定の極性及び電位に帯電させる。表面が帯電された感光体201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときの現像剤は一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
このトナー画像は、感光体201BKと記録媒体搬送転写ベルト206との転写領域を通過し、記録媒体216が静電的に記録媒体搬送転写ベルト206に吸着して転写領域まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写バイアスによって形成される電界により、記録媒体216の表面に順次転写される。
この後、感光体201BK上に残存するトナーは、感光体清掃部材205BKによって清掃及び除去される。そして、感光体201BKは、次の画像転写に供される。
以上の画像転写は、画像形成ユニットC、M及びYでも上記の方法によって行われる。
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された記録媒体216は、さらに定着装置209に搬送され、定着が行われる。
以上により記録媒体上に画像が形成される。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1>
−ベルト本体部用塗布液の調製−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100部に対し、カーボンブラック粒子(Special Black4:オリオンエンジニアドカーボンズ社製)24部を添加し、混合、攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。これをベルト本体部用塗布液とした。
−端部補強部用塗布液の調製−
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)(以下PI液A)と、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とp−フェニレンジアミンからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)(以下PI液B)を5:5(質量比)の割合で混合させ、ポリイミド前駆体溶液を調製した。これを端部補強部用塗布液とした。
−無端ベルトの作製−
・ベルト本体部用塗布液の塗布工程
外径216mm、長さ600mmのアルミニウム製円筒体を用意した。
上記アルミニウム製円筒体を50rpmで回転させながら、円筒体外面にディスペンサー(らせん塗布装置)にて、ベルト本体部用塗布液を塗布した。なお、その際の塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから90mmの領域では3.7g/10secとし、90mmから406mmの領域では7.4g/10secとし、406mmから600mmの領域では3.7g/10secとした。
円筒体を水平のまま、10rpmで回転させながら140℃で30分間加熱乾燥させ、両端部が薄膜状となっているカーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜(ベルト本体部乾燥膜)を得た。
・端部補強部用塗布液の塗布工程
次いで、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜の両端部の薄膜状の部分に対し、ディスペンサー(らせん塗布装置)にて端部補強部用塗布液を塗布した。その際の塗布液の塗布量は、塗布開始側0mmから90mmの領域では3.7g/10secとし、406mmから600mmの領域では3.7g/10secとした。
円筒体を水平のまま、10rpmで回転させながら140℃で30分間加熱乾燥させ、端部補強部を含めた無端ベルト前駆体乾燥膜を得た。
次いで、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱して焼成し、ポリイミド皮膜を形成した。得られたポリイミド皮膜を、両端部に端部補強部を幅3mmずつ含むように322mmの幅で切断し、無端ベルトを作製した。
なお、得られた無端ベルトの各部の寸法は、以下の通りである。
・無端ベルトの厚さ(平均厚さ):0.08mm
・端部補強部の厚さ(平均厚さ):0.08mm
・端部補強部の片側の幅:3mm
・中央部領域分の長さ(両端の端部補強部間の距離):316mm
<実施例2>
実施例1の端部補強部用塗布液の調製において、PI液AとPI液Bを「A:B=1:9」の割合で混合させた。それ以外の工程は実施例1と同様に作製した。
<実施例3>
実施例1の端部補強部用塗布液の調製において、PI液AとPI液Bを「A:B=3:7」の割合で混合させた。それ以外の工程は実施例1と同様に作製した。
<実施例4>
実施例1の端部補強部用塗布液の調製において、PI液AとPI液Bを「A:B=7:3」の割合で混合させた。それ以外の工程は実施例1と同様に作製した。
<実施例5>
実施例1の端部補強部用塗布液の調製において、PI液AとPI液Bを「A:B=9:1」の割合で混合させた。それ以外の工程は実施例1と同様に作製した。
<実施例6>
実施例1の無端ベルトの作製におけるベルト本体部用塗布液の塗布工程において、ベルト本体部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域で3.7g/10secとし、92mmから404mmの領域で7.4g/10secとし、404mmから600mmの領域で3.7g/10secとした。
また、端部補強部用塗布液の塗布工程において、端部補強部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域で3.7g/10secとし、404mmから600mmの領域で3.7g/10secとした。
なお、それ以外は乾燥及び焼成を含めて実施例1と同様に行い、最終的に切断する際に端部補強部を幅5mmずつ含むように322mmの幅で切断し、無端ベルトを得た。
<実施例7>
実施例1の無端ベルトの作製におけるベルト本体部用塗布液の塗布工程において、ベルト本体部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから97mmの領域で3.7g/10secとし、97mmから399mmの領域で7.4g/10secとし、399mmから600mmの領域で3.7g/10secとした。
また、端部補強部用塗布液の塗布工程において、端部補強部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから97mmの領域で3.7g/10secとし、399mmから600mmの領域で3.7g/10secとした。
なお、それ以外は乾燥及び焼成を含めて実施例1と同様に行い、最終的に切断する際に端部補強部を幅10mmずつ含むように322mmの幅で切断し、無端ベルトを得た。
<実施例8>
実施例1の無端ベルトの作製におけるベルト本体部用塗布液の塗布工程において、ベルト本体部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域及び404mmから600mmの領域で、3.7g/10secから0.34g/10secに変更した。
また、端部補強部用塗布液の塗布工程において、端部補強部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域及び404mmから600mmの領域で、3.7g/10secから7.16g/10secに変更した。
それ以外は実施例1と同様に行って無端ベルトを得た。
<実施例9>
実施例1の無端ベルトの作製におけるベルト本体部用塗布液の塗布工程において、ベルト本体部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域及び404mmから600mmの領域で、3.7g/10secから7.16g/10secに変更した。
また、端部補強部用塗布液の塗布工程において、端部補強部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域及び404mmから600mmの領域で、3.7g/10secから0.34g/10secに変更した。
それ以外は実施例1と同様に行って無端ベルトを得た。
<実施例10>
実施例1において、ベルト本体部用塗布液の塗布工程での140℃30分間の加熱乾燥を行わず、未乾燥のまま端部補強部用塗布液の塗布工程を行なった。それ以外の工程は実施例1と同様に作製した。
<実施例11>
実施例1の無端ベルトの作製におけるベルト本体部用塗布液の塗布工程において、ベルト本体部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域及び404mmから600mmの領域で、3.7g/10secから0g/10secに変更した。
また、端部補強部用塗布液の塗布工程において、端部補強部用塗布液の塗布量を、塗布開始側0mmから92mmの領域及び404mmから600mmの領域で、3.7g/10secから7.4g/10secに変更した。
それ以外は実施例1と同様に行って無端ベルトを得た。
<実施例12>
実施例1の無端ベルトの作製において、ベルト本体部用塗布液の塗布工程と端部補強部用塗布液の塗布工程の順番を逆にした。
つまり、アルミニウム製円筒体に対しまず端部補強部用塗布液を、塗布開始側0mmから90mmの領域で3.7g/10sec、406mmから600mmの領域で3.7g/10secの塗布量で塗布し、実施例と同様にして加熱乾燥し端部補強部乾燥膜を得た。次いで、ベルト本体部用塗布液を、塗布開始側0mmから90mmの領域で3.7g/10sec、90mmから406mmの領域で7.4g/10sec、406mmから600mmの領域で3.7g/10secの塗布量で塗布し、実施例と同様にして加熱乾燥し無端ベルト前駆体乾燥膜を得た。
それ以外は実施例1と同様に行って無端ベルトを得た。
<比較例1>
実施例1において、端部補強部用塗布液の塗布を行わず、塗布開始側から塗布終了側まで7.4g/10secの塗布量でベルト本体部用塗布液を塗布し、それ以外は実施例1と同様に行って無端ベルトの本体を得た。
その後、この無端ベルトの本体の両端部の外周面上に3mm幅でポリエステルテープ(日東電工製、ポリエステルテープNo.31C、総膜厚80μm)を貼り付けて、無端ベルトを得た。
<比較例2>
実施例1において、端部補強部用塗布液を、ポリエチレンテレフタレート(タキロン社製、製品名:PET−6010)の樹脂板を破砕しN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(固形分率が18質量%)に溶解させた。それ以外の工程は実施例1と同様に作製した。
<比較例3>
実施例1において、端部補強部用塗布液の塗布を行わず、塗布開始側から塗布終了側まで7.4g/10secの塗布量でベルト本体部用塗布液を塗布し、それ以外は実施例1と同様に行って無端ベルトの本体を得た。
〔測定〕
・ヤング率
各例で得れた無端ベルトについて、中央部領域(=ベルト本体部)のヤング率、端部補強部のヤング率、及び端部領域(端部補強部とベルト本体部とを有する領域)のヤング率を、前述の方法により行った。
〔評価〕
・ベルトライフ試験
以下の方法により、各例で得れた無端ベルトに対しベルトライフを迎えるまでの耐久試験を実施した。
DOCUPRINT_C3350(富士ゼロックス社製)の実機内の転写ユニットへ対し、各実施例で作製した転写ベルトを装着し、プロセススピード175mm/secで空回し運転を実施した。端部に変形・微小クラック(ひび)・破断が発生した場合、その時点で評価を終了し、ベルトライフとした。
結果を、回転数[kCycle(=1000回転)]として示す。
なお、併せてベルトライフを迎えたと判断した理由も、表1に示す。
表1に示す結果から、本実施例では比較例に比べて、端部に蛇行抑制ガイドを有するロールを少なくとも含む複数のロールに張力がかかった状態で掛け渡されて繰返し回転駆動された際に生じる亀裂の発生が抑制されていることがわかる。
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次転写ロール
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 2次転写ロール
30 芯体
51 塗布液
52 流下装置
52A ノズル
53 ベルト本体部用塗布液
55 端部補強部用塗布液
62 ブレード(平滑化機構の一例)
101、101A、101B、101C 無端ベルト(転写ベルト)
103 ベルト本体部
103a ベルト本体部塗布膜の薄膜部(端部領域部)
103b ベルト本体部塗布膜の厚膜部(中央部領域部)
105A、105B、105C 端部補強部
107 蛇行抑制ガイド
107S 傾斜部
109 ロール
201Y、201M、201C、201BK感光体
202Y、202M、202C、202BK 帯電装置
203Y、203M、203C、203BK 露光器
204Y、204M、204C、204BK 現像装置
205Y、205M、205C、205BK 感光体清掃部材
206 記録媒体搬送転写ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール
208 記録媒体搬送ロール
209 定着装置
210、211、212、213 ベルト支持ロール
214 ベルト用清掃部材
216 記録媒体
301、401 無端ベルト
303 ベルト本体
403 ベルト本体部
405 補強テープ
Y、M、C、BK 画像形成ユニット

Claims (7)

  1. イミド結合を有する構成単位(a)を含む樹脂Aを含有するベルト本体部と、
    ベルト軸方向の少なくとも一方の端部であってかつ前記ベルト本体部に対し少なくともベルト軸方向中央側の表面が接する位置に配置され、イミド結合を有する構成単位(b)を含みかつ前記樹脂Aに含まれる構成単位とは異なる構造の構成単位を有する樹脂Bを含有する端部補強部と、
    を有し、
    ベルト軸方向において前記端部補強部を有する領域のヤング率[Y]が、ベルト軸方向において前記端部補強部を有しない領域のヤング率[Y]よりも高い画像形成装置用の無端ベルト。
  2. 前記端部補強部は、内周面側の表面が前記ベルト本体部と接し、かつ外周面側の表面が露出している請求項1に記載の無端ベルト。
  3. 前記端部補強部は、粒子状の添加剤を含有しない請求項1又は請求項2に記載の無端ベルト。
  4. 前記端部補強部を有する領域のヤング率[Y]が4500MPa以上6500MPa以下であり、前記端部補強部を有しない領域のヤング率[Y]が2500MPa以上3500MPa以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  5. 前記無端ベルトの平均厚さに対する、前記端部補強部の平均厚さの比率が50%以上である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の無端ベルト。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の無端ベルトと、
    前記無端ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールを備えるロール群であって、前記複数のロールのうちの少なくとも1つのロールが、前記無端ベルトのベルト軸方向への蛇行を抑制するための蛇行抑制ガイドを少なくとも一方の端部に有するロール群と、
    を備え、画像形成装置に対して脱着される無端ベルトユニット。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
    請求項6に記載の無端ベルトユニットを有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を前記無端ベルトを介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
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