JP5614060B2 - 管状体、転写ユニット及び画像形成装置 - Google Patents

管状体、転写ユニット及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、管状体、転写ユニット及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、従来、電子写真感光体などの像保持体に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を無端ベルトである中間転写ベルト上に静電気的に転写(一次転写工程)した後、転写紙などの被転写媒体上に再度転写(二次転写工程)して画像を形成する画像形成装置が知られている。特に、異なる複数色のトナー像を重ねることでフルカラー画像を得る方式(タンデム方式)の画像形成装置においては、中間転写ベルトが好適に用いられている。この種の画像形成装置においては、導電性を有する導電性中間転写ベルトが広く用いられてきた。
例えば、特許文献1には、中間転写体が3層構造からなり、中央部の体積抵抗率を3.0〜7.0LogΩ・cmであり、両側の層の体積抵抗率を9.0LogΩ・cm以上とする技術が開示されている。
特開平9−34269号公報
本発明の課題は、内層の導電性が厚み方向において一定である場合に比べ、管状体の厚み方向に局所的な電流が流れ難い管状体を提供することである。
上記課題は、以下の本発明によって達成される。
即ち、請求項1に係る発明は、
請求項1に係る発明は、
少なくとも、樹脂と導電性粒子とを含んで構成される外層及び内層の2層を有してなり、
前記内層が、厚み方向において他の領域に比べ導電性が高い第1領域と、前記第1領域の外側に前記第1領域よりも導電性が低い第2領域と、前記第1領域の内側に前記第1領域よりも導電性が低く前記第2領域よりも導電性が高い第3領域と、を有する構成、又は前記内層が、厚み方向において他の領域に比べ導電性が高い第1領域と、前記第1領域の内側に前記第1領域よりも導電性が低い第2領域と、前記第1領域の外側に前記第1領域よりも導電性が低く前記第2領域よりも導電性が高い第3領域と、を有する構成である管状体。
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の管状体である転写ベルトと、該転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置本体に対して脱着される転写ユニット。
請求項3に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を被転写媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備え、
前記中間転写体が、請求項1に記載の管状体である画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、内層の導電性が厚み方向において一定である場合に比べ、管状体の厚み方向に局所的な電流が流れ難くなる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、画像形成装置で使用した際に、濃度ムラ、又は白点といった画像欠陥が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、濃度ムラ、又は白点といった画像欠陥が抑制される。
本実施形態に係る転写ベルトを示す概略斜視図である。 図1のA−A概略断面図である。 他の本実施形態に係る転写ベルトを示す概略断面図である。 表面抵抗率測定装置の断面概略図を示す。 体積抵抗率測定装置の断面概略図を示す。 表面抵抗率測定装置又は体積抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図を示す。 本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。 回転塗布方法を説明するための模式図である。 他の本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。 他の本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。 他の回転塗布方法を説明するための模式図である。 本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 実施例1で作製しが管状体における、内層の内周面からの研磨量に対する外層の外周面の表面抵抗率の変化を示す図である。 実施例1で作製しが管状体における、外層の外周面からの研磨量に対する内層の内周面の表面抵抗率の変化と、特定した境界位置2を示す。 実施例17で作製した管状体23の断面写真を示す図である。 実施例18で作製した管状体27の断面写真を示す図である。 比較例8で作製した管状体25の断面写真を示す図である。
(転写ベルト:管状体)
図1は、本実施形態に係る転写ベルトを示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A概略断面図である。図3は、他の本実施形態に係る転写ベルトを示す概略断面図である。なお、図3は、図1のA−A断面図に相当する。
本実施形態に係る転写ベルト120は、図1及び図2に示すように、無端状に形成され、少なくとも、樹脂及び導電性粒子124を含んで構成される外層121及び内層122の積層体からなる管状体で構成されている。なお、本実施形態に係る転写ベルト120は、2層の積層体からなっているが、これに限られず、内層122と外層121との間に、少なくとも樹脂、及び導電性粒子を含む中間層を設けてもよいし、ベルト外周面(外層のさらに外側)や内周面(内層のさらに内側)に他の機能層を設けてもよい。
そして、内層122には、厚み方向において、導電点となる導電性粒子124が偏在した導電点偏在領域が存在している。具体的には、例えば、導電点偏在領域124Aは、ベルト外周面側に当該ベルト周方向に沿って層状に存在している。そして、導電点偏在領域124Aは、他の領域(導電点偏在領域124A以外の内層122領域、及び外層121領域)よりも導電性粒子124が密集した状態で含有されており、当該他の領域よりも導電性が高い領域となっている。
なお、導電点偏在領域124Aは、ベルトの外周面側に限られず、内層122の内部に存在すれば、特に制限はなく、例えば、図3に示すように、内層122の内周面側に存在していてもよい。
ここで、ベルトの内周面に放電が発生すると、転写ベルト120の内周面に電荷が蓄積して、局所的な帯電が生じたりすることがある。また、ベルトの内周面から電子が流入すると、流入する電子がベルトの内部を流れてベルトの外周面に到達し、ベルトの外周面で正電荷と電子が対消滅し、ベルトの厚み方向に放電による電流経路が形成されて放電による電流が増大し、厚み方向に局所的な電流が流れることがある。
そこで、本実施形態に係る転写ベルト120では、外層121と内層122との少なくとも2層構成において、他の領域(導電点偏在領域124A以外の内層122領域、及び外層121領域)よりも導電性が高い導電点偏在領域124Aを持つ内層122を適用することで、ベルトの内周面に放電が発生したとき、ベルトの内周面に電荷が供給されても、内層122中おける導電点偏在領域124Aを伝わって電荷がベルトの周方向(ベルトの厚み方向と交差する方向)に流れると考えられ、ベルトの内周面に電荷が蓄積され難くなり、局所的な帯電が抑制されるものと推察される。
また、ベルトの内周面から電子が流入しても、流入した電子は、内層122中における導電点偏在領域124Aまでには到達するが、当該導電点偏在領域124Aよりもベルトの外周面側の領域が導電点偏在領域124Aよりも導電性が低いことから、導電点偏在領域124Aを超えてベルトの外周面に到達し難くなると考えられる。このため、ベルト厚み方向に放電による電流経路が形成され難くなり、厚み方向に局所的な電流が流れ難くなるものと推察される。
したがって、本実施形態に係る転写ベルト120では、厚み方向に局所的な電流が流れ難くなる。また、内周面に局所的な帯電も生じ難くなる。
そして、本実施形態に係る転写ベルト120を中間転写ベルトとして画像形成装置に適用すると、濃度ムラ(例えばウロコ状の濃度ムラ)、又は白点といった画像欠陥が抑制される。この理由は定かではないが、以下に示す理由によるものと考えられる。
中間転写ベルトを用いた画像形成装置においては、出力画像上に濃度ムラ(例えばウロコ状の濃度ムラ)が発生したり、出力画像上にトナー像が部分的に白く抜ける(微小な)白点が発生したりすることがある。
この濃度ムラ(例えばウロコ状の濃度ムラ)が発生するという現象は、2次転写工程において、中間転写ベルトの内周面に当接するバックアップロールと中間転写ベルトの裏面との間で放電が発生することにより、中間転写ベルトの裏面の表面に電荷が蓄積し、蓄積した電荷に応じた電界が中間転写体の外周面上に到達しトナー像を乱すことで、出力した画像上に濃度ムラ(例えばウロコ状の濃度ムラ)が発生すると考えられる。
また、同じく2次転写工程においては、中間転写ベルトの外周面に記録媒体を介して当接する2次転写ロールと中間転写ベルトの外周面との間で放電が発生し、正電荷が供給される。このとき、中間転写ベルトの裏面にバックアップロールから流入する電子が中間転写ベルトの内部を流れ中間転写ベルトの表面に到達すると、中間転写ベルトの表面で正電荷と電子が対消滅し、バックアップロールから2次転写ロールにいたる放電による電流経路が形成され、放電による電流が増大する。するとベルトの厚み方向に局所的に電流が流れることで、中間転写ベルトの表面のトナーが逆極性に帯電し、被転写媒体に転写されないことにより、出力画像上に微小な白点が発生すると考えられる。
このため、中間転写ベルトが、内周面に局所的な帯電が生じ難いと共に、厚み方向に局所的な電流が流れ難くなると、濃度ムラ(例えばウロコ状の濃度ムラ)、又は白点といった画像欠陥が抑制されると考えられる。
本実施形態に係る転写ベルト120において、内層122の導電点偏在領域124Aの導電性は、例えば、ベルト断面における印加電圧5Vのコンダクティブ原子間力顕微鏡観察像において検出される電流の大値が20pA以上150pA以下(望ましくは25pA以上150pA以下)であって、二乗平均電流値が2pA以上20pA以下(望ましくは2.3pA以上20pA以下)であることがよい。
一方、導電点偏在領域124A以外の領域の導電性は、ベルト断面における印加電圧5Vのコンダクティブ原子間力顕微鏡観察像において検出される電流の最大値が11pA以上20pA未満(望ましくは17pA以上20pA以下)であって、二乗平均電流値が2pA以上3pA以下(望ましくは2.1pA以上3pA以下)であることがよい。
このコンダクティブ原子間力顕微鏡(cAFM)によるベルト断面の電流値の測定には、原子間力顕微鏡(Veeco Instruments社製 Dimension 3000)、コントローラー(Veeco Instruments社製 Nanoscope IIIa)からなるシステムを使用する。
そして、測定試料は次のように作製する。ベルトを1mm×10mm程度の大きさに切り取り、二液混合硬化型のエポキシ樹脂に包埋する。一昼夜放置して、エポキシ樹脂が硬化したことを確認した後、ウルトラミクロトームを用いてベルト断面を作製する。
この測定試料としてのベルト断面での電流値を前記cAFMシステムで測定する。得られたcAFM像を、システム付属の画像処理ソフトにより解析を行い、最大電流値と二乗平均電流値を算出する。なお、本実施形態では、このベルト断面における対象となる領域を観察したcAFM像において、最大電流値と二乗平均電流値の算出を2箇所で実施し、その平均値を最大電流値と二乗平均電流値とする。
本実施形態に係る転写ベルト120は、外層121及び内層122の双方は、少なくとも樹脂及びこれに分散された導電性粒子を含んで構成されている。外層121と内層122(導電点偏在領域124A以外の内層122領域)との導電性は、同じであってもよし、異なっていてもよい。但し、外層121の導電性は、内層122の導電点偏在領域124Aよりも小さい。
以下、本実施形態に係る転写ベルト120の構成材料や特性について説明する。
まず、樹脂(以下、樹脂材料と称する)について説明する。
樹脂材料は、そのヤング率が、ベルト厚みによっても異なるが、望ましくは、3500MPa以上、より望ましくは4000MPa以上であればよく、ベルトとしての機械特性が満足される。樹脂としては、上記ヤング率を満たせば、制限はないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂などが挙げられる。
なお、ヤング率は、JIS K7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求める。測定条件としては、短冊状試験片(幅6mm、長さ130mm)、ダンベル1号、試験速度500mm/分、厚さはベルト本体の厚さの各設定で測定するものとする。
上記樹脂材料の中でも、ポリイミド樹脂が好適である。ポリイミド樹脂は、高ヤング率材料であることから、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が他の樹脂に比べ少ないので、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい転写ベルトとなる。ポリイミド樹脂は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、ジアミンとを溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液として得られる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。

(一般式(I)中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族を組み合わせたもの、又はそれらの置換された基である。)
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点より極性溶媒(有機極性溶媒)が好適に挙げられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が望ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用してもよい。
なお、ポリアミド酸溶液の固形分濃度は、5重量%以上40重量%以下 であることが好ましく、10重量%30重量%以下であることがより好ましい。前記固形分濃度が40重量%以内であることにより、塗布が容易に行えて塗膜の均一性が確保される。また、前記固形分濃度が5重量%以上であることにより、強度を有する膜厚が得られ易くなる。ポリアミド酸溶液の粘度について特に制限はないが、一般的に、1Pa・s以上500Pa・s以下の粘度のものが扱い易い。
次に、導電性粒子について説明する。
導電性粒子としては、導電性又は半導電性の粉末が使用でき、ベルトとして特定の電気抵抗を安定して得ることができれば、導電性に制限はないが、例えば、ケッチエンブラック、アセチレンブラック、pH5以下の酸化処理カーボンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示される。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよいが価格面で有利なカーボンブラックが望ましい。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が10 Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が10以上1013 Ωcm以下であることを意味する。他も同様である。
次に、本実施形態に係る転写ベルトの特性について説明する。
本実施形態に係る転写ベルトが中間転写ベルトの場合、その外周面の表面抵抗率は、常用対数値で9(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが望ましく、10(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより望ましい。電圧印加の30msec後の表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)を超えると、二次転写時に記録媒体と中間転写ベルトとが静電吸着し、記録媒体の剥離ができなくなる場合がある。一方、電圧印加の30msec後の表面抵抗率の常用対数値が9(LogΩ/□)未満であると、中間転写ベルトに一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、後述する導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
ここで、表面抵抗率の測定方法は、次の通り行う。図4に表面抵抗率測定装置の断面概略図を示す。GNDに接続された裏面電極23の上に絶縁シート24、さらにその上に測定サンプル27を配置する。測定サンプル27の上に表面電極21とガード電極22を配置し、絶縁シート24を介して裏面電極23と表面電極21及びガード電極22で、測定サンプル27を挟んだサンドイッチ構成となっている。ガード電極22に接続された直流電源25により直流電圧を印加し、表面電極21に接続された微小電流計26により流れる電流量を測定し、表面抵抗率を算出する。
図6に、表面抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図を示す。表面電極21を中心とし、同心円環状にガード電極22が配置されている。ここで、d1〜d3は、それぞれ表面電極21の直径、ガード電極22の内周円の直径、ガード電極22の外周円の直径を表す。これらの値は、測定サンプルの大きさ及び形状に併せて任意に設定可能である。なお、本実施例中の表面抵抗率の測定には、URプローブ(三菱化学社製)を用い、d1〜d3はそれぞれ下記の値とした。
d1=16mm
d2=30mm
d3=40mm
表面抵抗率ρsは下記式にて算出した。
式:ρs=[π(d2+d1)/(d2−d1)]×(V/I)
(ここで、Vは表面電極21に印加する電圧値(V)を、Iは微小電流計26で検出する電流値(A)をそれぞれ表す。本実施例中の表面抵抗率の測定では、表面電極21に印加する電圧は500Vとした。また、電流値Iは電圧Vを印加してから10s後の値とした。表面抵抗率の測定は温度20℃、相対湿度40%の環境下で行った。)
本実施形態に係る転写ベルトが中間転写ベルトの場合、その全体の体積抵抗率は、常用対数値で8(LogΩcm)以上13(LogΩcm)以下であることが望ましい。前記体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)未満であると、像保持体から中間転写ベルトに転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジのフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい、ノイズの大きい画像が形成される場合がある。一方、前記体積抵抗率の常用対数値が13(LogΩcm)を超えると、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で転写ベルト表面が帯電するために除電機構が必要となる場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、後述する導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
ここで、体積抵抗率の測定は、次の通り行う。図5に体積抵抗率測定装置の断面概略図を示す。直流電源25を介してGNDに接続された裏面電極23の上に測定サンプル27を配置する。測定サンプル27の上に表面電極21とガード電極22を配置し、裏面電極23と表面電極21及びガード電極22で、測定サンプル27を挟んだサンドイッチ構成となっている。ガード電極22はGNDに接続されている。裏面電極23に接続された直流電源25により直流電圧を印加し、表面電極21に接続された微小電流計26により流れる電流量を測定し、体積抵抗率を算出する。
図6に、体積抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図を示す。表面電極21を中心とし、同心円環状にガード電極22が配置されている。ここで、d1〜d3は、それぞれ表面電極21の直径、ガード電極22の内周円の直径、ガード電極22の外周円の直径を表す。これらの値は、測定サンプルの大きさ及び形状に併せて任意に設定可能である。なお、本実施例中の体積抵抗率の測定には、URプローブ(三菱化学社製)を用い、d1〜d3はそれぞれ下記の値とした。
d1=16mm
d2=30mm
d3=40mm
体積抵抗率ρvは下記式にて算出した。
式:ρv=[(π×d1)/4]×(V/I)×(1/t)
(ここで、Vは表面電極21に印加する電圧値(V)を、Iは微小電流計26で検出する電流値(A)を、tは測定サンプルの膜厚(cm)をそれぞれ表す。本実施例中の体積抵抗率の測定では、表面電極21に印加する電圧は500Vとした。また、電流値Iは電圧Vを印加してから10s後の値とした。また、測定サンプルの膜厚tの測定には、マイクロメーターや渦電流式膜厚系など公知のいかなる方法も好適に用いることができるが、本実施例中では、渦電流式膜厚計ISOSCOPE MP30(Fischer社製)にて膜厚を測定した。体積抵抗率の測定は温度20℃、相対湿度40%の環境下で行った。)
以下、本実施形態に係る転写ベルトの製造方法について説明する。図7は、本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。
本実施形態に係る転写ベルト120の製造方法では、まず、導電性粒子124と樹脂材料と溶媒とを含有した内層用塗布液を準備する。そして、図7(A)に示すように、内層用塗布液を円筒成形管11の外周面に塗布して、当該塗布液の内層用塗膜122Aを形成する。
ここで、塗布液として、カーボンブラック(導電性粒子)を分散させたポリアミド酸溶液を調製する例を例示するが、材料はこれに限定するものではない。まず、精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散させ、カーボンブラック分散液を調整する。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が望ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が望ましく、特に高粘度溶液のバラツキを抑制して分散するジェットミルが望ましい。
得られたカーボンブラック分散液中にジアミン成分と酸二無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を作製する。
この際、モノマー濃度(溶媒中におけるジアミン成分と酸無水物成分の濃度)は種々の条件により設定されるが、5重量%以上30重量%以下が望ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが望ましく、特に望ましくは5℃以上50℃以下であり、反応時間は5時間以上10時間以下である。
カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液は高粘度の溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが望ましい。
また、内層用塗布液の円筒成形管11上への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、外周面に浸漬する方式や、外周面や内周面に回転塗布する方法などを利用して、無端状に内層用塗膜122Aを形成する。なお、ベルトの形成に際しては、型の離型処理を施すことがよい。
内層用塗布液の円筒成形管11上への塗布方法の具体的な一例として、回転塗布方法について説明する。回転塗布法は、図8に示すように、例えば、転写ベルト120の長さに対応した外径を有する円筒成形管11を用意する。円筒成形管11の外周面に沿った位置に、塗布液16を円筒成形管11の外周面上に吐出するためのノズル15を配し、ノズル15は配管を通じて塗布液容器14に接続されており、さらに塗布液容器14は配管を通じて加圧装置17に接続している。また、ノズル15の下方には、吐出された塗布液16を円筒成形管11の外周面上において均すためのブレード18が配置されている。
円筒成形管11を円筒成形管の回転方向(矢印D)の向きに回転し、ノズル15から塗布液16(内層用塗布液)を円筒成形管11の外周面上に吐出し、ブレード18で円筒成形管11の外周面上に均す。ノズル15とブレード18は、ノズル及びブレード移動方向(矢印E)の方向に一定速度で移動し、塗布液16が円筒成形管11の外周面上に一定の厚みで塗布される。なお、塗布液16は加圧装置17によりノズル15から一定量吐出するように調節されている。これにより、円筒成形管11の外周面上に塗布液16の塗膜が形成される。
次に、円筒成形管11に塗布された内層用塗膜122Aを乾燥する。本乾燥では、内層用塗膜122Aの残留溶媒量が50重量%以下、特に25%以下になるように行うことがよく、望ましくは20%以下であり、さらに望ましくは16%以下である。内層用塗膜122Aの残留溶媒量が多すぎると、後述する導電性粒子124の偏在(密度の上昇)が生じ難くなる。一方、残留溶媒量が低い程、後述する導電性粒子124の偏在(密度の上昇)が生じ易くなる。この内層用塗膜122Aの残留溶媒量、つまり内層用塗膜122Aの乾燥状態を制御することで、後述する導電性粒子124の偏在(密集)度合いが制御される他、得られる転写ベルト120における導電性粒子124が偏在した領域(導電点偏在領域124A)の厚み方向の位置制御もされる。
ここで、残留溶媒量とは、塗布する塗布液中に存在する溶媒重量の固形分量(樹脂材料の固形分の重量+導電性粒子の重量)に対する割合を示している。この残留溶媒量の求め方は、以下の通りである。
例えば、固形分量として樹脂材料の固形分の重量(樹脂材料の乾燥重量)と導電性粒子の重量が判明している場合には、乾燥前の塗膜の全重量を正確に秤量し、塗膜の全重量に含まれる溶媒の重量を算出する。その後、上記乾燥後の塗膜の全重量を正確に秤量し、減少分を消失した溶媒の重量として、乾燥前に算出した溶媒の重量から消失した溶媒の重量を差し引きすることで、残留溶媒の重量を求める。これより、残留溶媒の重量/(導電性粒子の重量+樹脂固形の分重量+残留溶媒の重量)を計算し、残留溶媒量が求められる。
また、熱抽出ガスクロマトグラム質量分析装置を用いて、残留溶媒量を求めてもよい。この測定の一例を以下に示す。例えば、上記乾燥後の塗膜から2mg以上3mg以下程度に切り取り出して試料を得て、この試料を秤量後、熱抽出装置(PY2020D:フロンティアラボ社製)に入れて400℃に加熱する。揮発成分を320℃のインターフェイスを経てガスクロマトグラム質量分析装置(GCMS−QP2010:島津製作所製)に注入し、定量する。すなわち、ヘリウムガスをキャリアガスとして、試料から揮発した量の1/51(スプリット比50:1)を線速度153.8cm/秒(カラム温度50℃でのキャリアガス流量1.50ml/分、圧力50kPa)で、 内径0.25μ mφ×30mのカラム(フロンティアラボ社製キャピラリーカラムUA−5)に注入する。次いで、50℃で3分間保持した後、カラムを毎分8℃ の割合で400℃まで昇温させ、同温度で10分間保持して、揮発成分を脱着させた。さらに、インターフェイス温度320℃で揮発成分を質量分析装置に注入し、溶媒に相当するピークの面積を求める。定量は、既知量の同一溶媒で予め検量線を作成して行った。これより求めた溶媒重量を上記乾燥後試料重量で除算して残留溶媒量が求められる。但し、上記測定例は、一例であって、使用する樹脂の分解や変化する温度、又は、溶媒の沸点により測定条件は変更して行なうことがよい。
次に、図7(B)に示すように、導電性粒子124と樹脂材料と溶媒とを含有した外層用塗布液を準備し、これを円筒成形管11に形成・乾燥された内層用塗膜122Aに塗布して、当該塗布液の外層用塗膜121Aを形成する。外層用塗膜121Aが塗布された領域では、外層用塗膜121Aの溶媒が乾燥された内層用塗膜122Aに浸透し、内層用塗膜122Aの塗布面下の領域を膨潤状態とする。このとき、内層用塗膜122Aの塗布面下の領域に比べて、内層用塗膜122Aの塗布面上に存在する外層用塗膜121Aの溶媒量の方が多い、即ち溶媒濃度が高くなることから、内層用塗膜122Aの塗布面上に存在する外層用塗膜121A側に溶出して移動し易くなる。
すると、図7(C)に示すように、導電性粒子124は外層用塗膜121Aの溶媒に溶出することはないから、樹脂材料が溶出すると、当該樹脂材料が溶出した領域では、他の領域に比べ、樹脂材料が溶出した分、導電性粒子124の密度が上昇することとなる。結果、導電性粒子124が偏在した領域が形成される。なお、図7中、124Bは、導電性粒子124が偏在した領域を示す。
なお、外層用塗布液の円筒成形管11に形成・乾燥された内層用塗膜122A上への塗布方法は、内層用塗布液と同様である。
次に、図7(D)に示すように、内層用塗膜122A表面に塗布された外層用塗膜121Aを乾燥させる。本乾燥では、例えば、残留溶媒量が10%以下となるように行うことがよい。この残留溶媒量は、使用する樹脂材料種、得られる転写ベルトの使用用途、得られる転写ベルトの強度や維持性等などから決定される。
本乾燥により、上記導電性粒子124が偏在した領域と外層用塗膜121Aとの間の領域では、含浸した外層用塗布液の溶剤に溶出した樹脂材料も、外層用塗膜121Aを乾燥させることで、樹脂材料が析出し、これが上記導電性粒子124が偏在した領域上に層状に形成されることなる。このとき、上記導電性粒子124が偏在した領域と外層用塗膜121Aとの間の領域は、導電性粒子124が偏在した分、他の領域に比べて少なく含まれた領域となる。但し、当該領域は、ベルト全体の厚みに対して薄いため、当該領域における導電性低下は無視し得る。具体的には、外層の膜厚が内層の膜厚以上であれば、外層の表面抵抗は影響を受けにくい。他の領域に比べて導電性粒子124が少なく含まれた領域の厚さは1μm以上5μm以下程度であることがよい。
そして、導電性粒子124が偏在した領域が乾燥されると、導電点となる導電性粒子124が偏在した導電点偏在領域124Aが形成される。
なお、外層用塗膜121Aが内層用塗膜122Aよりも厚みが厚い場合、外層用塗膜121Aに加えるエネルギーの総和は内層用塗膜122Aに加えるエネルギーの総和よりも大きいことがよい。具体的には、例えば、同じ乾燥温度であれば、外層用塗膜121Aの乾燥時間は内層用塗膜122Aよりも長くすることがよい。これにより、内層用塗膜122Aの溶媒は、外層用塗膜121Aを通じて乾燥するので、内層用塗膜122A及び外層用塗膜121A同時に乾燥が行われる。
ここで、樹脂材料として、ポリイミド樹脂等に代表される樹脂前駆体(ポリアミド酸溶液)を用いた場合、上記溶出用溶媒123の乾燥後、焼成を行うことで、転写ベルト120が製造される。この焼成、即ちポリアミド酸をイミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなるため、転写ベルトの特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。
上記工程を経て、本実施形態に係る転写ベルトが製造される。
以下、他の本実施形態に係る転写ベルトの製造方法について説明する。図9及び図10は、他の本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。
他の本実施形態に係る転写ベルト120の製造方法では、まず、導電性粒子124と樹脂材料と溶媒とを含有した外層用塗布液を準備する。そして、図9(A)に示すように、外層用塗布液を円筒成形管11の内周面に塗布して、当該塗布液の外層用塗膜121Aを形成する。
外層用塗布液の円筒成形管11上への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、内周面に回転塗布する方法などを利用して、無端状に外層用塗膜121Aを形成する。なお、ベルトの形成に際しては、型の離型処理を施すことがよい。
外層用塗布液の円筒成形管11上への塗布方法の具体的な一例として、回転塗布方法について説明する。回転塗布法は、図11に示すように、例えば、転写ベルト120の長さに対応した内径を有する円筒成形管11を用意する。円筒成形管11の内周面に沿った位置に、塗布液16を円筒成形管11の内周面上に吐出するためのノズル15を配し、ノズル15は配管を通じて塗布液容器14に接続されており、さらに塗布液容器14は配管を通じて加圧装置17に接続している。また、ノズル15の下方には、吐出された塗布液16を円筒成形管11の内周面上において均すためのブレード18が配置されている。
円筒成形管11を円筒成形管の回転方向(矢印D)の向きに回転し、ノズル15から塗布液16(外層用塗布液)を円筒成形管11の内周面上に吐出し、ブレード18で円筒成形管11の内周面上に均す。ノズル15とブレード18は、ノズル及びブレード移動方向(矢印E)の方向に一定速度で移動し、塗布液16が円筒成形管11の内周面上に一定の厚みで塗布される。なお、塗布液16は加圧装置17によりノズル15から一定量吐出するように調節されている。これにより、円筒成形管11の内周面上に塗布液16の塗膜が形成される。
次に、円筒成形管11に塗布された外層用塗膜121Aを乾燥する。本乾燥では、外層用塗膜121Aの残留溶媒量については特に制限はなく、当該残留溶媒量25%を超えていてもよい。なお、形成する外層121に導電点偏在領域を形成しない方がよい場合には、当該残留溶媒量25%を超えるように乾燥することがよい。
次に、図9(B)に示すように、導電性粒子124と樹脂材料と溶媒とを含有した内層用塗布液を準備し、これを円筒成形管11に形成・乾燥された外層用塗膜121Aに塗布して、当該塗布液の内層用塗膜122Aを形成する。
また、内層用塗布液の円筒成形管11上への塗布方法は、導電性粒子124と樹脂材料とが含まれる外層用塗布液の塗布方法で挙げられた塗布方法が利用される。
次に、円筒成形管11に塗布された内層用塗膜122Aを乾燥する。本乾燥では、上記同様に、内層用塗膜122Aの残留溶媒量が50重量%以下、特に25%以下になるように行うことがよく、望ましくは20重量%以下であり、さらに望ましくは16重量%以下である。
次に、図9(C)に示すように、乾燥された内層用塗膜122Aの表面(内周面)に、樹脂材料を溶出させるための溶出用溶媒123を塗布する。溶出用溶媒123が塗布された領域では、溶出用溶媒123が乾燥された内層用塗膜122Aに浸透し、内層用塗膜122Aの塗布面下の領域を膨潤状態とする。このとき、内層用塗膜122Aの塗布面下の領域に比べて、内層用塗膜122Aの塗布面上に存在する溶出用溶媒123の溶媒量の方が多い、即ち溶媒濃度が高くなることから、内層用塗膜122Aの塗布面上に存在する溶出用溶媒123側に溶出し移動し易くなる。
すると、図10(D)に示すように、導電性粒子124は溶出用溶媒123に溶出することはないから、樹脂材料が溶出すると、当該した樹脂材料が溶出した領域では、他の領域に比べ、樹脂材料が溶出した分、導電性粒子124の密度が上昇することとなる。結果、導電性粒子124が偏在した領域が形成される。なお、図10中、124Bは、導電性粒子124が偏在した領域を示す。
ここで、溶出用溶媒123は、樹脂材料を溶出させる溶媒である。このため、溶出用溶媒は、樹脂材料を溶解する溶媒から選択される。ここで、樹脂材料を溶解するとは、25℃において溶媒に対する樹脂材料の飽和溶解度が10wt%以上であることを意味する。
溶出用溶媒としては、当該内層用塗布液に含まれる溶媒と同じ種類の溶媒を適用することがよい。例えば、塗布液としてポリアミド酸溶液をする場合、極性溶媒が挙げられ、例えば、N,N−ジアルキルアミド類が望ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用してもよい。
また、溶出用溶媒123の塗布量は、例えば0.001g/cm以上1g/cm以下であり、望ましくは0.01g/cm以上1g/cm以下であり、より望ましくは0.01g/cm以上0.5g/cm以下である。
また、溶出用溶媒123の塗布方法は、導電性粒子124と樹脂材料とが含まれる外層用塗布液の塗布方法で挙げられた塗布方法が利用される。
次に、図10(E)に示すように、内層用塗膜122Aの表面(内周面)に塗布された溶出用溶媒123を乾燥させる。本乾燥では、例えば、残留溶媒量が10%以下となるように行うことがよい。この残留溶媒量は、使用する樹脂材料種、得られる転写ベルトの使用用途、得られる転写ベルトの強度や維持性等などから決定される。
本乾燥により、溶出用溶媒123には上述のように溶出した樹脂材料が含まれることから、当該溶出用溶媒123を乾燥させることで、樹脂材料が析出し、これが上記導電性粒子124が偏在した領域上に層状に形成されることなる。このとき、塗布された溶出用溶媒123には、導電性粒子124が偏在した分、他の領域に比べて少なく含まれた領域となる、但し、当該領域は、ベルト全体の厚みに対して薄いため、当該領域における導電性低下は無視し得る。
ここで、樹脂材料として、ポリイミド樹脂等に代表される樹脂前駆体(ポリアミド酸溶液)を用いた場合、上記溶出用溶媒123の乾燥後、焼成を行うことで、転写ベルト120が製造される。この焼成、即ちポリアミド酸をイミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなるため、転写ベルトの特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。
上記工程を経て、他の本実施形態に係る転写ベルトが製造される。
(転写ユニット)
図12は、本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。本実施形態に係る転写ユニット130は、図12に示すように、前記実施形態に係る転写ベルト120を備えており、転写ベルト120は対向配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、単に「張架」という場合がある。)。また、図示されていないが、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト120上に1次転写させるためのロールと、転写ベルト120上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。なお、転写ベルト120を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ユニット130は画像形成装置に組み込まれて使用され、画像形成の際、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って転写ベルト120も張架した状態で回転する。
(画像形成装置)
図13は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式であり、中間転写ベルトとして上記本実施形態に係る転写ベルトを適用した形態である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図13に示すように、電子写真感光体からなる4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、1次転写装置(1次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
また、中間転写ベルト107が、テンションロール106a〜106d、駆動ロール111及びバックアップロール108に張架され、転写ユニットを構成している。これらのテンションロール106a〜106d、駆動ロール111及びバックアップロール108により、中間転写ベルト107は、各像保持体101a〜101dの表面に接触しながら各像保持体101a〜101dと1次転写ロール105a〜105dとの間を矢印Aの方向に移動することができる。1次転写ロール105a〜105dが中間転写ベルト107を介して像保持体101a〜101dに接触する部位が1次転写部となり、像保持体101a〜101dと1次転写ロール105a〜105dとの接触部には1次転写電圧が印加される。
また、2次転写装置として、中間転写ベルト107を介してバックアップロール108と2次転写ロール109が対向配置されている。紙等の被転写媒体115が中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と2次転写ロール109との間を矢印Bの方向に移動し、その後、定着装置110を通過する。2次転写ロール109が中間転写ベルト107を介してバックアップロール108に接触する部位が2次転写部となり、2次転写ロール109とバックアップロール108との接触部には2次転写電圧が印加される。更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置112及び113が配置されている。
この構成のフルカラー画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Cの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって一様に帯電された後、レーザー光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーで現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー像は、1次転写部を通過する際に、1次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(1次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、1次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう1次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、2次転写部を通過する際に、被転写媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された被転写媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱及び/又は加圧により定着処理された後、機外に排出される。
1次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、2次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置112及び113により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
〔像保持体〕
像保持体101a〜101dとしては、公知の電子写真感光体を広く適用することができる。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などを用いることができる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状或いはプレート状等、公知の形状が採用される。
〔帯電装置〕
帯電装置102a〜102dとしては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)又は半導電性(ここで、「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10〜1013Ωcmを意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)のローラ、ブラシ、フィルム、又はゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器を広く適用することができる。これらの中でも、オゾンの発生が少なく、効率的な帯電を行うことができる接触型帯電器が好ましい。
帯電装置102a〜102dは、像保持体101a〜101dに対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
〔露光装置〕
露光装置114a〜114dとしては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザー光、LED光、又は液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光できる光学系機器など、公知の露光装置を広く適用することができる。
〔現像装置〕
現像装置103a〜103dとしては、目的に応じて選択することができる。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
本実施形態の画像形成装置100に用いるトナー(現像剤)は特に限定されず、例えば、結着樹脂と着色剤を含んで構成される。
〔一次転写ロール〕
1次転写ロール105a〜105dは単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡又は無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。その抵抗値は10Ω以上1010Ω以下の範囲にあることが好ましい。1次転写ロール105a〜105dには1.0kV以上5.5kV以下の電圧が印加され、像保持体101a〜101dとの間に発生する電界により、トナーを転写する。
〔像保持体クリーニング装置〕
像保持体クリーニング装置104a〜104dは、1次転写工程後の像保持体101a〜101dの表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、又はロールクリーニング等を用いることができる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
〔2次転写ロール〕
2次転写ロール109の層構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。2次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが好ましい。また、中間層を除いた2層構造とすることも可能である。
〔バックアップロール〕
バックアップロール108は、2次転写ロール109の対向電極を形成する。バックアップロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、又はEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のようなゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。バックアップロール108の表面抵抗率は10Ω/□以上1011Ω/□以下の範囲にあることが好ましい。
バックアップロール108と2次転写ロール109とのシャフトの間には、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。また、バックアップロール108のシャフトへの電圧印加に代えて、バックアップロール108に接触させた電気良導性の電極部材と2次転写ロール109との間に電圧を印加することもできる。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、又は導電性樹脂プレート等が挙げられる。
〔定着装置〕
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器や加圧ローラ定着器、又はフラッシュ定着器など公知の定着器を広く適用することができる。
〔中間転写ベルトクリーニング装置〕
中間転写ベルトクリーニング装置112及び113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができ、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、又はシリコーンゴム等が挙げられる。
上述した実施形態においては、像保持体が複数個で構成される所謂タンデム方式の画像形成装置を説明したが、これに限られず、例えば、像保持体が1個で、色数分だけ中間転写ベルトが回転・作像プロセスを行う所謂複数サイクル方式(例えば4サイクル方式等)の画像形成装置等、周知の装置が適用され得る。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(管状体1の作製)
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)100重量部にカーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を80重量部添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行った。得られた分散液に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが21重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
一方、図8に示す円筒成形管11として、外径166mm、長さ650mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、表面を切削して外径を189mmとした後、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、表面をRa:1.52μmに粗面化したものである。その円筒成形管11の表面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施した。さらに、回転塗布工程として、図8に示すように、円筒成形管11を軸方向を水平にして矢印Dの方向に40rpmで回転させた。ブレード18は幅20mm、厚さ0.5mmのSUSからなり、弾力性を有している。ブレード18を円筒成形管11に押付け、塗布液16として前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用い、塗布液容器14から口径2mmのノズル15を通して押し出した。ポリイミド前駆体溶液がブレード18を通過する際、ブレード18が押し広げられ、ブレード18と円筒成形管11の間には隙間ができた。次いで、ノズル15とブレード18を矢印Eの方向に120mm/分の速さで移動させた。次に、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら145℃で18分間加熱乾燥させ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。
なお、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜中の残留NMP量は24.9wt%であった。残留NMP量は、内層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、内層用塗膜塗布時と同様にして、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用いて、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。外層用塗膜塗布に当たっては、内層と外層がそれぞれ単層となる領域が得られる様に、内層用塗膜塗布領域より少しずらして外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。その後、20分間放置した。
次に、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら内層用塗膜同様145℃で18分間加熱乾燥させ、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。なお、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。
得られた内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を積層した円筒成形管11を、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。その後、円筒成形管11の温度が室温にまで冷えたところで、円筒成形管11よりポリイミド樹脂皮膜を剥離した。得られたポリイミド樹脂皮膜の中央部を369mmの幅で切断し、管状体1を得た。
次に、前記の様に作製した内層と外層が単層となった領域の膜厚を測定したところ、内層は50.1μm、外層は50.5μmであった。膜厚の測定は、内層及び外層ともに、周方向に20点測定して平均値を求めた。また、得られた管状体1の体積抵抗率を測定したところ、12.5LogΩ・cmであった。体積抵抗率の測定は500Vの印加電圧で行い、管状体1の周方向20点、周方向に対して直角方向に4点、合わせて80点について測定し平均値を求めた。
(管状体2〜7の作製)
管状体1の作製において、内層用塗膜と外層用塗膜塗布後の乾燥時間、及び内層用塗膜と外層用塗膜のイミド化後の膜厚を、それぞれ表1に示す値とした以外は、管状体1と同様にして管状体2〜7を作製した。管状体2〜7の内層用塗膜乾燥後残留NMP量と体積抵抗率を表1に示す。
(管状体8の作製)
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)100重量部にカーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を80重量部添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行った。得られた分散液に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが23.0重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
一方、図8に示す円筒成形管11として、外径166mm、長さ650mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、表面を切削して外径を189mmとした後、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、表面をRa:1.52μmに粗面化したものである。その円筒成形管11の表面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施した。さらに、回転塗布工程として、図8に示すように、円筒成形管11を軸方向を水平にして矢印Dの方向に40rpmで回転させた。ブレード18は幅20mm、厚さ0.5mmのSUSからなり、弾力性を有している。ブレード18を円筒成形管11に押付け、塗布液16として前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用い、塗布液容器14から口径2mmのノズル15を通して押し出した。ポリイミド前駆体溶液がブレード18を通過する際、ブレード18が押し広げられ、ブレード18と円筒成形管11の間には隙間ができた。次いで、ノズル15とブレード18を矢印Eの方向に120mm/分の速さで移動させた。次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら145℃で32分間加熱乾燥させ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。
なお、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜中の残留NMP量は11.3wt%であった。なお残留NMP量は、内層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、前記分散液に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが19重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。得られた外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を、内層用塗膜塗布時と同様にして、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に塗布した。外層用塗膜塗布に当たっては、内層と外層がそれぞれ単層となる領域が得られる様に、内層用塗膜塗布領域より少しずらして外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。その後、20分間放置した。
次に、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら内層用塗膜同様145℃で32分間加熱乾燥させ、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。なお、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。
得られた内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を積層した円筒成形管11を、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。その後、円筒成形管11の温度が室温にまで冷えたところで、円筒成形管11よりポリイミド樹脂皮膜を剥離した。得られたポリイミド樹脂皮膜の中央部を369mmの幅で切断し、管状体8を得た。
次に、前記の様に作製した内層と外層が単層となった領域の膜厚を測定したところ、内層は50.8μm、外層は50.1μmであった。また、体積抵抗率を測定したところ、12.5LogΩ・cmであった。体積抵抗率の測定は500Vの印加電圧で行い、環状体8の周方向20点、周方向に対して直角方向に4点、合わせて80点について測定し平均値を求めた。
(管状体9の作製)
管状体1の作製において、内層用塗膜と外層用塗膜塗布後の乾燥時間、及び内層用塗膜と外層用塗膜のイミド化後の膜厚を、それぞれ表1に示す値とした以外は、管状体1と同様にして管状体9を作製した。管状体9の内層用塗膜乾燥後残留NMP量と体積抵抗率を表1に示す。
(管状体10〜11の作製)
管状体8の作製において、内層用塗膜と外層用塗膜塗布後の乾燥時間、及び内層用塗膜と外層用塗膜のイミド化後の膜厚を、それぞれ表1に示す値とした以外は、管状体8と同様にして管状体10〜11を作製した。管状体10〜11の内層用塗膜乾燥後残留NMP量と体積抵抗率を表1に示す。
(管状体12の作製)
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)100重量部にカーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を80重量部添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行った。得られた分散液に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが21重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
一方、図11に示す円筒成形管11として、内径166mm、長さ650mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、その円筒成形管11の内周面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施した。さらに、回転塗布工程として、図11に示すように、円筒成形管11を軸方向を水平にして矢印Dの方向に40rpmで回転させた。ブレード18は幅20mm、厚さ0.5mmのSUSからなり、弾力性を有している。ブレード18を円筒成形管11の内面に押付け、塗布液16として前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用い、塗布液容器14から口径2mmのノズル15を通して押し出した。ポリイミド前駆体溶液がブレード18を通過する際、ブレード18が押し広げられ、ブレード18と円筒成形管11内面の間には隙間ができた。次いで、ノズル15とブレード18を矢印Eの方向に120mm/分の速さで移動させた。次に、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら145℃で18分間加熱乾燥させ、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。
なお、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜中の残留NMP量は22wt%であった。なお残留NMP量は、外層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、外層用塗膜塗布時と同様にして、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に前記カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用いて、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。内層用塗膜塗布に当たっては、外層と外層がそれぞれ単層となる領域が得られる様に、内層用塗膜塗布領域より少しずらして外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。
次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら外層用塗膜同様145℃で18分間加熱乾燥させ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。なお、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜中の残留NMP量は25.0wt%であった。なお残留NMP量は、内層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、外層用塗膜及び内層用塗膜塗布と同様にして、NMPを塗布した(塗布量0.1g/cm)。その後、20分間放置した。
次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、NMPが塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら外層用塗膜同様145℃で18分間加熱乾燥させ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。
得られた外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を積層した円筒成形管11を、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。その後、円筒成形管11の温度が室温にまで冷えたところで、円筒成形管11よりポリイミド樹脂皮膜を剥離した。得られたポリイミド樹脂皮膜の中央部を369mmの幅で切断し、管状体12を得た。
次に、前記の様に作製した内層と外層が単層となった領域の膜厚を測定したところ、内層は49.2μm、外層は50.1μmであった。膜厚の測定は、内層及び外層ともに、周方向に20点測定して平均値を求めた。また、得られた管状体12の体積抵抗率を測定したところ、12.3LogΩ・cmであった。体積抵抗率の測定は500Vの印加電圧で行い、管状体12の周方向20点、周方向に対して直角方向に4点、合わせて80点について測定し平均値を求めた。
(管状体13〜18の作製)
管状体12の作製において、内層用塗膜塗布後、外層用塗膜塗布後及びNMP塗布後の乾燥時間、及び内層用塗膜と外層用塗膜のイミド化後の膜厚を、それぞれ表1に示す値とした以外は、管状体12と同様にして管状体13〜18を作製した。管状体13〜18の内層用塗膜乾燥後残留NMP量と体積抵抗率を表1に示す。
(管状体19の作製)
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)100重量部にカーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を80重量部添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行った。得られた分散液に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが19重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
一方、図11に示す円筒成形管11として、内径166mm、長さ650mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、その円筒成形管11の内面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施した。さらに、回転塗布工程として、図11に示すように、円筒成形管11を軸方向を水平にして矢印Dの方向に40rpmで回転させた。ブレード18は幅20mm、厚さ0.5mmのSUSからなり、弾力性を有している。ブレード18を円筒成形管11の内面に押付け、塗布液16として前記外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用い、塗布液容器14から口径2mmのノズル15を通して押し出した。ポリイミド前駆体溶液がブレード18を通過する際、ブレード18が押し広げられ、ブレード18と円筒成形管11内面の間には隙間ができた。次いで、ノズル15とブレード18を矢印Eの方向に120mm/分の速さで移動させた。次に、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら145℃で18分間加熱乾燥させ、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。
なお、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜中の残留NMP量は22.5wt%であった。なお残留NMP量は、外層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、前記分散液に対して、得られた分散液に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18wt%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが23.0重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
次に、外層用塗膜塗布時と同様にして、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に前記内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用いて、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。内層塗布に当たっては、外層と外層がそれぞれ単層となる領域が得られる様に、内層用塗膜塗布領域より少しずらして外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を塗布した。
次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら外層用塗膜同様145℃で25分間加熱乾燥させ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。なお、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜中の残留NMP量は15.2wt%であった。なお残留NMP量は、内層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、外層用塗膜及び内層用塗膜塗布と同様にして、NMPを塗布した(塗布量0.1g/cm)。その後、20分間放置した。
次に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、NMPが塗布された円筒成形管11を水平のまま、6rpmで回転させながら外層用塗膜同様145℃で18分間加熱乾燥させ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を得た。
得られた外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を積層した円筒成形管11を、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。その後、円筒成形管11の温度が室温にまで冷えたところで、円筒成形管11よりポリイミド樹脂皮膜を剥離した。得られたポリイミド樹脂皮膜の中央部を369mmの幅で切断し、管状体19を得た。
次に、前記の様に作製した内層と外層が単層となった領域の膜厚を測定したところ、内層は39.8μm、外層は59.9μmであった。膜厚の測定は、内層及び外層ともに、周方向に20点測定して平均値を求めた。また、得られた管状体19の体積抵抗率を測定したところ、12.4LogΩ・cmであった。体積抵抗率の測定は500Vの印加電圧で行い、管状体19の周方向20点、周方向に対して直角方向に4点、合わせて80点について測定し平均値を求めた。
(管状体20の作製)
管状体12の作製において、内層用塗膜塗布後、外層用塗膜塗布後及びNMP塗布後の乾燥時間、及び内層用塗膜と外層用塗膜のイミド化後の膜厚を、それぞれ表1に示す値とした以外は、管状体12と同様にして管状体20を作製した。管状体20の内層用塗膜乾燥後残留NMP量と体積抵抗率を表1に示す。
(管状体21〜22の作製)
管状体19の作製において、内層用塗膜塗布後、外層用塗膜塗布後及びNMP塗布後の乾燥時間、及び内層用塗膜と外層用塗膜のイミド化後の膜厚を、それぞれ表1に示す値とした以外は、管状体19と同様にして管状体21〜22を作製した。管状体21〜22の内層用塗膜乾燥後残留NMP量と体積抵抗率を表1に示す。
〔導電点偏在領域の特定〕
(管状体1の導電点偏在領域の特定)
管状体1の作製において得られた管状体1の外層の外周面の表面抵抗率を特定した。次に、測定した箇所の内層の内周面を研磨フィルム(ラッピングフィルム#2000[A3−9SHT]:住友スリーエム社製)で研磨し、次いで研磨フィルム(ラッピングフィルム#10000[C3−0.5SHT]:住友スリーエム社製)で仕上げ研磨を行った。研磨後の膜厚を測定したところ、削り膜厚は0.2μmであった。研磨後、再び外層の外周面の表面抵抗率を測定した。以降、内層の内周面からの研磨と外層の外周面の表面抵抗率の測定を繰り返した。図14に、内層の内周面からの研磨量と外層の外周面の表面抵抗率の測定結果、つまり内層の内周面からの研磨量に対する外層の外周面の表面抵抗率の変化を示す。
外層の外周面の表面抵抗率測定時に流れる電流は、主に外層の内部と内層の導電点偏在領域を流れると考えられる。そのため、内層の内周面から研磨を行った場合、導電点偏在領域より内層の内周面側では、研磨による表面抵抗率変化は見られない。しかし、導電点偏在領域に研磨が及んだ場合、表面抵抗率測定にかかる電流値が減少するため表面抵抗率が上昇する。したがって、内層の内周面からの研磨量に対して、外層の外周面の表面抵抗率の変化が生じる研磨量により、導電点偏在領域の内層の内周面側の境界位置1を特定することができる。図14に、表面抵抗率の変化点から特定した境界位置1を示す。変化点の特定は、内層の内周面からの研磨量に対して表面抵抗率が変化していない領域での近似直線と、変化が生じる領域での近似直線の交点として求めた。管状体1においては、境界位置1は42.3μmであった。
次に、導電点偏在領域の内層側の境界位置1の特定と同様にして、外層の外周面側の境界位置2を特定した。すなわち、外層の外周面からの研磨量に対する内層の内周面の表面抵抗率の変化点から、導電点偏在領域の外層の外周面側の境界位置2を特定した。図15に外層の外周面からの研磨量に対する内層の内周面の表面抵抗率の変化と、特定した境界位置2を示す。管状体1においては、境界位置2は53.7μmであった。
(管状体2〜8の導電点偏在領域の特定)
管状体1の導電点偏在領域の特定と同様にして、管状体2〜8の導電点偏在領域の境界位置1及び境界位置2の特定を行った。管状体2〜8の導電点偏在領域の境界位置1及び境界位置2を、それぞれ表1に示す。
(管状体9〜11の導電点偏在領域の特定)
管状体1の導電点偏在領域の特定と同様にして、内層の内周面からの研磨量に対する外層の外周面の表面抵抗率の変化と、外層の外周面からの研磨量に対する内層の内周面の表面抵抗率の変化を調べたが、管状体9〜11のいずれにおいても、表面抵抗率の変化が見られず、導電点偏在領域が存在しないことが確認された。
(管状体12〜19導電点偏在領域の特定)
管状体1の導電点偏在領域の特定と同様にして、管状体12〜19の導電点偏在領域の境界位置1及び境界位置2の特定を行った。管状体12〜19の導電点偏在領域の境界位置1及び境界位置2を、それぞれ表1に示す。
(管状体20〜22の導電点偏在領域の特定)
管状体1の導電点偏在領域の特定と同様にして、内層の内周面からの研磨量に対する外層の外周面の表面抵抗率の変化と、外層の外周面からの研磨量に対する内層の内周面の表面抵抗率の変化を調べたが、管状体20〜22のいずれにおいても、表面抵抗率の変化が見られず、導電点偏在領域が存在しないことが確認された。
〔コンダクティブ原子間力顕微鏡観察(cAFM)像〕
内層の導電点偏在領域と他の領域(導電点偏在領域以外の内層領域、及び外層領域)との導電性について、コンダクティブ原子間力顕微鏡観察(cAFM)像による最大電流値及び二乗平均電流値を調べた。結果を表2に示す。
(実施例1)
図1に示す基本構成を有するフルカラープリンター(DocuPrint C5450:富士ゼロックス社製)を改造した評価機に管状体1を搭載した。
この画質評価機を用い、A3用紙(J紙:富士ゼロックス社製)に両面プリントを行った。プリント時に、2次転写ロールに印加される転写電圧を4.0kVに設定した。出力画像として、ハーフトーンパターン(Cyan70%濃度)を印字し、ウロコ状の濃度ムラ及び白点を、目視にてグレード評価した。画質評価は両面プリントの裏面側で行った。また、画像出力は10℃、15RH%の環境下で実施した。各画像欠陥のグレード判定基準は以下の通り。画質評価の結果を表2に示す。
<ウロコ状の濃度ムラ>
G0:発生が無い
G1:わずかに発生が見られる(許容レベル内)
G2:発生が見られる(許容レベル内)
G3:発生が容易に確認できる(許容レベル内)
G4:発生が確認でき許容できなくなるレベル
G5:発生が顕著になり許容レベルを大きく超える
G6:はっきりとしたウロコ形態が確認できるレベル
<白点>
G0:発生が無い
G1:わずかに発生が見られる(許容レベル内)
G2:発生が見られる(許容レベル内)
G3:発生が容易に確認できる(許容レベル内)
G4:発生が確認でき許容できなくなるレベル
G5:発生が顕著になり許容レベルを大きく超える
G6:発生数、大きさも大きくなり許容レベルをはるかに超える
(実施例2〜16)
実施例1において、管状体1の代わりに表1に示す管状体に変えた以外は、実施例1と同様にして画質評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例1〜6)
実施例1において、管状体1の代わりに表1に示す管状体に変えた以外は、実施例1と同様にして画質評価を行った。結果を表2に示す。
上記結果から、実施例1〜16においては、比較例に比べ、白点及びウロコ状の濃度ムラが抑制されているのがわかる。一方、比較例1〜6においては、白点及びウロコ状の濃度ムラが発生し、出力画像品質の低下が見られることがわかる
(実施例17)
−管状体23の作製−
ポリイミド前駆体溶液(商品名:Uワニス、宇部興産製、固形分濃度18%、溶媒はN−メチルピロリドン)100重量部に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分重量比で22%、及びN−メチルピロリドン15重量部を混合し、次いで対向衝突型分散機(株式会社ジーナス製、GeanusPY)により分散し、25℃での粘度が約12Pa・sの内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を得た。
一方、円筒成形管11として、外径600mm、肉厚8mm、長さ900mmのSUS304製円筒体を用意した。かかる円筒体は、厚さ8mm、外径が円筒体に嵌まる径、150mm径の通風孔を4つ設けたSUS製の円板状の保持板を、円筒体の両端に嵌めて溶接したものである。また、かかる円筒体は、その表面を、球形アルミナ粒子によるブラスト処理によりRa0.4μmに粗面化したものである。
次に、その円筒成形管11の表面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施した。
円筒成形管11の両端に、マスキング部材(商品名:スコッチテープ#232、住友スリーエム社製で、クレープ紙基材とアクリル系粘着材からなる幅24mmのもの)を全周にわたって貼り付けた。
次に、図8に示す回転塗布方法により、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を円筒成形管11に形成する。塗布は、ポリイミド前駆体溶液16として10Lの内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が入った容器14に加圧装置20(モーノポンプ)を連結し、ノズル15から毎分20mlの吐出を行い、円筒成形管11を周方向(矢印D)に20rpmで回転させ、吐出されたポリイミド前駆体溶液16が円筒成形管11に付着後、その表面にブレード18を押し当て、円筒成形管11軸方向(矢印E)に210mm/分の速度で移動させて行う。平滑化手段であるブレード22は、厚さ0.2mmのステンレス板を幅20mm、長さ50mmに加工したものである。塗布幅は円筒成形管11の端部10mmの位置から、他端部10mmの位置までとした。
塗布後、円筒成形管11をそのまま5分間回転を続けることで、塗膜表面のらせん筋は消失した。これにより、膜厚が160μmの内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜が形成された。この厚さは、でき上がり膜厚33μmに相当する。
その後、円筒成形管11を10rpmで回転させながら180℃の乾燥炉に入れ、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜を20分間乾燥させた。乾燥炉から取り出した後、乾燥した内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の端部を覆うようにマスキング部材(商品名:スコッチテープ#232、住友スリーエム社製で、クレープ紙基材とアクリル系粘着材からなる幅24mmのもの)を全周にわたって貼り付けた。
なお、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の乾燥状態での残留溶媒量は、35重量%であった。この残留溶媒量は、内層用塗膜塗布後の円筒成形管11の重さから、乾燥後の円筒成形管11の重さの差分より算出した。
次に、ポリイミド前駆体溶液(商品名:Uワニス、宇部興産製、固形分濃度18%、溶媒はN−メチルピロリドン)100重量部に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分重量比で18%混合し、次いで対向衝突型分散機(株式会社ジーナス製、GeanusPY)により分散し、25℃での粘度が約44Pa・sの外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を得た。
次に、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を、上記同様の回転塗布法により、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に塗布した。但し、ノズル15から吐出量は毎分40mlとした。塗布幅はやはり円筒成形管11の端部10mmの位置から、他端部10mmの位置までとした。
塗布後、円筒成形管11をそのまま回転を5分間続けることで、塗膜表面のらせん筋は消失した。これにより、膜厚が300μmの外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜が形成された。この厚さは、でき上がり膜厚67μmに相当する。
その後、円筒成形管11を10rpmで回転させながら180℃の乾燥炉に入れ、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜を30分間で乾燥させた。これにより、内外層合わせたカーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の残留溶剤量が40重量%であり、円筒成形管11の回転をやめても皮膜が垂れることがない状態の皮膜を得ることができた。
次いで、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜と外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の端部のマスキング部材を手で引き剥がした。その際には、一方の手で乾燥皮膜の端部を押さえて、皮膜が裂けないようにした。この工程の後、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜端部の下に、幅5〜8mmの隙間が形成された。
得られた内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜を積層した円筒成形管11を回転台からおろして垂直にして加熱炉に入れ、200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、残留溶剤の乾燥とポリイミド樹脂のイミド化反応を同時に行って、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。
次に、室温(25℃)に冷えた後、円筒成形管11から、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を抜き取り、この中央を切断し、さらに不要部分を両端から切断して、幅360mmの2本の管状体23を得た。
得られた管状体の膜厚をダイヤルゲージで測定すると、内層及び外層の合計で100μmであった。また、得られた管状体から厚さ約1μmの縦断面の薄片を作製し、光学顕微鏡にて透過光で断面を観察すると、図16に示すように、内層と外層との界面における内層側にカーボンブラックが偏在した領域(カーボンブラック偏在領域:つまり、カーボンブラックの密度が高い領域)が約5μmの厚さで存在していることが確認された。
得られた管状体は、外層の表面抵抗率が12.5LogΩ/□、内層の表面抵抗率(裏面の表面抵抗率)が12.1LogΩ/□、体積抵抗率が13.8LogΩ・cmであり、中間転写ベルトとして好ましい値であった。
(比較例7)
−管状体24の作製−
実施例17と同様にして、円筒成形管11上に内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜を形成し、円筒成形管11を10rpmで回転させながら180℃の乾燥炉に入れ、20分間乾燥させた。
次に、得られた内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の端部のマスキング部材を手で引き剥がし、円筒成形管11を回転台からおろして垂直にして加熱炉に入れ、200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、残留溶剤の乾燥とポリイミド樹脂のイミド化反応を同時に行って、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成し、これを内層とした。
次に、室温(25℃)に冷えた後、内層の端部を覆うようにマスキング部材(商品名:スコッチテープ#232、住友スリーエム社製で、クレープ紙基材とアクリル系粘着材からなる幅24mmのもの)を全周にわたって貼り付けた。
次に、実施例17と同様にして、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜上に外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜を形成して、円筒成形管11を10rpmで回転させながら180℃の乾燥炉に入れ、30分間で乾燥させた。
次に、得られた外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の端部のマスキング部材を手で引き剥がし、円筒成形管11を回転台からおろして垂直にして加熱炉に入れ、200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、残留溶剤の乾燥とポリイミド樹脂のイミド化反応を同時に行って、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成し、これを外層とした。
その後、実施例17と同様にして、管状体24を得た。
得られた管状体から厚さ約1μmの縦断面の薄片を作製し、光学顕微鏡にて透過光で断面を観察したが、カーボンブラックが偏在した領域(カーボンブラック偏在領域:つまり、カーボンブラックの密度が高い領域)は形成されていなかった。
得られた管状体は、外層の表面抵抗率が15LogΩ/□以上、体積抵抗率15LogΩ・cm以上であり、中間転写ベルトとして好ましいものではなかった。
(比較例8)
−管状体25の作製−
実施例17において、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜の乾燥条件を180℃、8分間に変更した以外は、実施例17と同様に管状体25を得た。なお、乾燥した内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の残留溶媒は55重量%であった。
得られた管状体から厚さ約1μmの縦断面の薄片を作製し、光学顕微鏡にて透過光で断面を観察したが、図18に示すように、カーボンブラックが偏在した領域(カーボンブラック偏在領域:つまり、カーボンブラックの密度が高い領域)は形成されていなかった。
得られた管状体は、外層の表面抵抗率が14.5LogΩ/□、内層の表面抵抗率(裏面の表面抵抗率)が14.5LogΩ/□、体積抵抗率が14.1LogΩ・cmであった。
(比較例9)
−管状体26の作製−
実施例17において、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜の乾燥条件を180℃、35分間に変更した以外は、実施例17と同様に管状体26を得た。なお、乾燥した内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の残留溶媒は、19重量%であった。
得られた管状体は、表面全面に気泡欠陥があった。また、得られた管状体の抵抗測定も気泡欠陥にリング電極が触れるため均一に荷重がかからず、測定ができなかった。
(実施例18)
−管状体27の作製−
実施例17において、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜の乾燥条件を190℃、25分間に変更し、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜の乾燥条件を180℃、30分間に変更した以外は、実施例17と同様に管状体27を得た。なお、乾燥した内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥塗膜の残留溶媒は、22重量%であり、得られた内層及び外層は形状が保持され、外層形成後も気泡欠陥は発生しなかった。
得られた管状体から厚さ約1μmの縦断面の薄片を作製し、光学顕微鏡にて透過光で断面を観察すると、図17に示すように、内層と外層との界面における内層側にカーボンブラックが偏在した領域(カーボンブラック偏在領域:つまり、カーボンブラックの密度が高い領域)が約5μmの厚さで存在していることが確認された。また、内層と外層との界面とカーボンブラック偏在領域との間に(つまり外層とカーボンブラック偏在領域との間に)、他の領域に比べてカーボンブラックが少なく含まれた領域(カーボンブラック低密度領域)が約1μmの厚さで存在していることが確認された。
得られた管状体は、外層の表面抵抗率が12.2LogΩ/□、内層の表面抵抗率(裏面の表面抵抗率)が10.9LogΩ/□、体積抵抗率が13.3LogΩ・cmであり、中間転写ベルトとしては、好ましい範囲であった。
(実施例19)
−管状体28の作製−
実施例17において、内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜の乾燥条件を125℃、50分間に変更し、外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体塗膜の乾燥条件を180℃、30分間に変更した以外は、実施例17と同様に管状体28を得た。
得られた管状体から厚さ約1μmの縦断面の薄片を作製し、光学顕微鏡にて透過光で断面を観察すると、内層と外層との界面における内層側にカーボンブラックが偏在した領域(カーボンブラック偏在領域:つまり、カーボンブラックの密度が高い領域)が約2.5μmの厚さで存在していることが確認された。
得られた管状体は、外層の表面抵抗率が13.6LogΩ/□、内層の表面抵抗率(裏面の表面抵抗率)が13.3LogΩ/□、体積抵抗率14.0LogΩ・cmであり、中間転写ベルトとして好ましい値であった。
以下、実施例17〜19、比較例8〜9につき、一覧にして表3に示す。
11 円筒成形管
14 容器
15 ノズル
16 ポリイミド前駆体溶液
17 加圧装置
18 ブレード
21 表面電極
22 ガード電極
23 裏面電極
24 絶縁シート
25 直流電源
26 微小電流計
27 測定サンプル
101a〜101d 像保持体
102a〜102d 帯電装置
103a〜103d 現像装置
104a〜104d 像保持体クリーニング装置
105、105a〜105d 一次転写ロール
106a〜106d テンションロール
107 中間転写ベルト
107b 転写ユニット
108 バックアップロール
109 二次転写ロール
110 定着装置
111 駆動ロール
112 中間転写ベルトクリーニングブレード
113 中間転写ベルトクリーニングブラシ
114a〜114d 像露光装置
115 被転写媒体
120 転写ベルト
121 外層
121A 外層用塗膜
122 内層
122A 内層用塗膜
123 溶出用溶媒
124 導電性粒子
124A 導電点偏在領域
130 転写ユニット
131 駆動ロール
132 従動ロール

Claims (3)

  1. 少なくとも、樹脂と導電性粒子とを含んで構成される外層及び内層の2層を有してなり、
    前記内層が、厚み方向において他の領域に比べ導電性が高い第1領域と、前記第1領域の外側に前記第1領域よりも導電性が低い第2領域と、前記第1領域の内側に前記第1領域よりも導電性が低く前記第2領域よりも導電性が高い第3領域と、を有する構成、又は前記内層が、厚み方向において他の領域に比べ導電性が高い第1領域と、前記第1領域の内側に前記第1領域よりも導電性が低い第2領域と、前記第1領域の外側に前記第1領域よりも導電性が低く前記第2領域よりも導電性が高い第3領域と、を有する構成である管状体。
  2. 請求項1に記載の管状体である転写ベルトと、該転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置本体に対して脱着される転写ユニット。
  3. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を被転写媒体に二次転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備え、
    前記中間転写体が、請求項1に記載の管状体である画像形成装置。
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