JP2010060811A - 画像形成装置 - Google Patents

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政明 高橋
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Abstract

【課題】中間転写ベルトの幅方向の端部であって、内側の面に傷が出来ることによる中間転写ベルトの変形が好適に抑制される。
【解決手段】画像形成装置100によれば、発泡ロール200が、中間転写ベルト107の内周に接触して配置され、中間転写ベルト107を張架搬送する複数の張架ロール121の内の少なくとも1つの、中間転写ベルト107の搬送方向上流側の近傍に隣接して配置されている。また、この発泡ロール200は、中間転写ベルト107の搬送方向下流側に隣接して配置されている張架ロール10の軸方向長さより軸方向長さが長くなるように調整されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、画像形成装置に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置では、従来、電子写真感光体などの像保持体に静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、得られたトナー像を無端ベルトである中間転写ベルト上に静電気的に転写(一次転写工程)した後、転写紙などの記録媒体上に再度転写(二次転写工程)することで記録媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。このような中間転写ベルトを介して記録媒体に画像を転写する方式は、異なる複数色のトナー像を重ねることでフルカラー画像を得る方式(タンデム方式)の画像形成装置に好適に用いられている。
中間転写ベルトを介して記録媒体に画像を転写する方式を用いた画像形成装置において、中間転写ベルトは、複数のロールによって張架された状態で搬送され、この中間転写ベルトの裏面側のクリーニングを目的とした技術が知られている。
例えば、特許文献1には、中間転写ベルトの外周面側に配置された従動ローラに対して、中間転写ベルトを挟んでクリーニングローラを配置して、該クリーニングローラによって中間転写ベルトの内周面側をクリーニングする技術が開示されている。
また、特許文献2には、中間転写ベルトの外周面側にクリーニングブレードを配置して、該クリーニングブレードに中間転写ベルトを介して対向するように中間転写ベルトの内周面側に対向ローラを設ける技術が開示されている。
特開2006−337555 特開2004−198941
本発明は、中間転写ベルトの幅方向の端部であって、内側の面に傷が出来ることによる中間転写ベルトの変形を低減することを課題とする。
請求項1に係る発明は、回転する円筒状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトの内側の面に接触して配置され、前記中間転写ベルトを支持する複数の支持ロールと、前記中間転写ベルトの内側の面に接触配置されると共に、前記複数の支持ロールの内の少なくとも1つに対して前記中間転写ベルトの回転方向上流側に隣接して配置され、表面に発泡層を有すると共に軸方向長さが該回転方向下流側に隣接して配置された支持ロールの軸方向長さより長い発泡ロールと、を備えた画像形成装置である。
請求項2に係る発明は、前記発泡ロールは、前記複数の支持ロールの中で、前記中間転写ベルトが最も小さな角度を形成するように支持された位置に設けられた支持ロールの、該中間転写ベルトの回転方向上流側に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に係る発明は、前記発泡ロールは、前記中間転写ベルト及び前記発泡ロールの少なくとも一方が接触により変形する圧力未満の接触圧で該中間転写ベルトの内周面側に接触して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置である。
請求項4に係る発明は、前記発泡ロールが前記中間転写ベルトの内周面側に接触している位置と、該発泡ロールに対して前記中間転写ベルトの回転方向下流側に隣接して配置された前記支持ロールが前記中間転写ベルト内周面側に接触している位置と、の最短距離が、該発泡ロールの外周長さ以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項5に係る発明は、静電潜像を形成される像保持体と、前記像保持体上に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体上の前記トナー像が転写されると共に該転写されたトナー像を保持する中間転写ベルトと、前記トナー像を前記像保持体から前記中間転写ベルトへ転写する一次転写ロールと、前記中間転写ベルト上に保持された前記トナー像を記録媒体へ転写する二次転写ロールと、を備え、前記複数の張架ロールの内の少なくとも1つが、前記一次転写ロール及び前記二次転写ロールの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置である。
請求項1に記載の発明によれば、本発明の構成の発泡ロールが設けられた構成ではない場合に比べて、中間転写ベルトの幅方向一端部から他端部に渡って、中間転写ベルトの幅方向の端部であって、内側の面に傷が出来ることによる中間転写ベルトの変形が好適に抑制される、という効果を奏する。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の構成の位置に発泡ロールが設けられた構成では無い場合に比べて、異物付着を原因とした張架ロール傷、ベルト傷、ベルト反りが好適に抑制される、という効果を奏する。
請求項3に記載の発明によれば、発泡ロールが中間転写ベルト及び発泡ロールの少なくとも一方が変形する接触圧で中間転写ベルトの内周面に接触して配置された場合に比べて、効果的に中間転写ベルトの内周面側の傷が抑制される、という効果を奏する。
請求項4に記載の発明によれば、本発明の構成の位置に発泡ロールが設けられた構成では無い場合に比べて、更に好適に、中間転写ベルトの幅方向の端部であって、内側の面に傷が出来ることによる中間転写ベルトの変形が抑制される、という効果を奏する。
請求項5に記載の発明によれば、本発明の構成の発泡ロールが設けられた構成ではない場合に比べて、中間転写ベルトの幅方向の端部であって、内側の面に傷が出来ることによる中間転写ベルトの変形が好適に抑制される、という効果を奏する。
以下、図面を参照して好ましい実施形態について詳細に説明する。
図1は、好ましい実施形態に係る画像形成装置の構成の一例(一実施形態)を示す概略図である。本実施形態に係る画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式であり、電子写真感光体から構成される4つの像保持体101a〜101dの周囲に、その回転方向に沿って順次、帯電装置102a〜102d、露光装置114a〜114d、現像装置103a〜103d、一次転写装置(一次転写ロール)105a〜105d、像保持体クリーニング装置104a〜104dが配置されている。尚、転写後の像保持体101a〜101dの表面に残留している残留電位を除去するために除電器を備えていてもよい。
中間転写ベルト107は、張力を付与する部材としてのテンションロール106a、固定ロール106b、106c、中間転写ベルト107に駆動を与える部材としてのドライブロール111、および二次転写位置で中間転写ベルト107を支持する部材としてのバックアップロール108に張架され、環状体張架装置(ベルト張架装置)を形成している。
なお、以下では、中間転写ベルト107を張架搬送する上記テンションロール106a、固定ロール106b、106c、 ドライブロール111およびバックアップロール108を総称する場合には、張架ロール121と称して説明する場合がある。
これらの複数の張架ロール121は、円柱状に構成されている。テンションロール106a 、ドライブロール111およびバックアップロール108は、ドライブロール111が図示を省略する駆動部によって軸方向を回転軸として回転駆動されることで、テンションロール106a 、及びバックアップロール108が従動回転される。
そして、中間転写ベルト107は、これらのテンションロール 、ドライブロール111およびバックアップロール108によって張架搬送されることで、周方向(図1中、矢印A方向、すなわち、搬送方向)に搬送される。
ドライブロール111はベルト駆動のほか、上記複数の張架ロール121によって張架された中間転写ベルト107の、各張架ロール121の軸方向に対する位置を調整する。例えば、図8に示すように、ドライブロール111は、は、軸方向に位置調整可能に可動し、これによりベルト107の張力をベルトインアウト側で変更させることでベルトを軸方向に移動させ各張架ロール121の軸方向に対する位置を調整する。この上記張力の調整は、例えば、ドライブロール111の軸方向を他の張架ロール121の軸方向に対して傾ける方向(図9中、矢印Y方向)に回転可能に設けて、この傾き角を調整することで行えばよい。
中間転写ベルト107の内周面には、更に、複数の発泡ロール200が接触配置されている。発泡ロール200は、中間転写ベルト107の内周面に付着したトナーやキャリア、現像剤、トナー凝集体、紙粉等の異物を除去するための部材であって、円柱状に構成されている(詳細後述)。
この発泡ロール200の重力方向下流側には、発泡ロール200によって中間転写ベルト107の内周面から除去された各種異物を保持するための回収部材201が設けられている(図5参照)。なお、この回収部材201は、発泡ロール200に回収した異物等が再付着することを抑制するために、発泡ロール200に対して間隔を空けて配置されている。
なお、本実施の形態では、発泡ロール200として、2本の発泡ロール200a及び発泡ロール200bが設けられている場合を説明するが、3本以上であってもよく、このような形態に限られない。
一次転写ロール105a〜105dは、像保持体101a〜101dの各々との間で、間に中間転写ベルト107を挟むように中間転写ベルト107の内周面側に接触配置されている。この一次転写ロール105a〜105dの各々と、像保持体101a〜101dの各々と、の間の領域が一次転写領域となる(詳細後述)。この一次転写領域の各々には、一次転写ロール105a〜105dの各々によって一次転写電流が印加され、これによって、像保持体101a〜101dの各々上に保持されていたトナー像が、中間転写ベルト107上に転写される。
また、画像形成装置100には、中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介して、バックアップロール108と二次転写ロール109が対向配置されている。二次転写ベルト116は、二次転写ロール109とロール106dによって張架搬送される。この二次転写ロール109が中間転写ベルト107および二次転写ベルト116を介してバックアップロール108に接触する領域が二次転写領域となり、二次転写ロール109とバックアップロール108との接触部には二次転写電圧が印加される。
紙等の記録媒体115は、中間転写ベルト107の表面に接触しながら中間転写ベルト107と二次転写ロール109との間を矢印Aの方向に搬送され、その後、定着装置110を通過する。これによって、中間転写ベルト107上に保持されていたトナー像が記録媒体115に転写され、定着装置110によってトナー像が記録媒体115上に定着される。
画像形成装置100には、更に、転写後の中間転写ベルト107と接触するように、中間転写ベルトクリーニング装置117が配置されている。
中間転写ベルトクリーニング装置117は、中間転写ベルト107の外周面側に付着した異物を除去するための装置であって、クリーニングブラシ113と、クリーニングブレード112と、を含んで構成されている。クリーニングブラシ113、またはクリーニングブレード112によって、中間転写ベルト107上のトナーや紙粉等の異物は除去されて、中間転写ベルトクリーニング装置117の図示を省略する回収部に回収される。
なお、上記画像形成装置100が、本発明の画像形成装置に相当し、像保持体101a〜101dが、本発明の画像形成装置の像保持体に相当し、現像装置103a〜103dが、本発明の画像形成装置の現像手段に相当する。また中間転写ベルト107が本発明の画像形成装置の中間転写ベルトに相当する。
また、テンションロール106a、固定ロール106b、106c、ドライブロール111、及びバックアップロール108(総称した場合、張架ロール121)が、本発明の画像形成装置の張架ロールに相当する。また、上記発泡ロール200(発泡ロール200a及び発泡ロール200b)が、本発明の画像形成装置の発泡ロールに相当する。
この構成のフルカラーの画像形成装置100では、像保持体101aが矢印Yの方向に回転するとともに、その表面が帯電装置102aによって帯電された後、レーザー光等の露光装置114aにより第1色目の静電潜像が形成される。形成された静電潜像はその色に対応するトナーを収容した現像装置103aにより、トナーで現像(顕像化)されてトナー像が形成される。なお、現像装置103a〜103dには、各色の静電潜像に対応するトナー(例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)がそれぞれ収容されている。
像保持体101a上に形成されたトナー像は、一次転写領域を通過する際に、一次転写ロール105aによって中間転写ベルト107上に静電的に転写(一次転写)される。以降、第1色目のトナー像を保持した中間転写ベルト107上に、一次転写ロール105b〜105dによって、第2色目、第3色目、第4色目のトナー像が順次重ね合わせられるよう一次転写され、最終的にフルカラーの多重トナー像が得られる。
中間転写ベルト107上に形成された多重トナー像は、二次転写部を通過する際に、記録媒体115に静電的に一括転写される。トナー像が転写された記録媒体115は、定着装置110に搬送され、加熱および/または加圧により定着処理された後、機外に排出される。
一次転写後の像保持体101a〜101dは、像保持体クリーニング装置104a〜104dにより残留トナーが除去される。一方、二次転写後の中間転写ベルト107は、中間転写ベルトクリーニング装置117により残留トナーが除去され、次の画像形成プロセスに備える。
以下、各構成について詳細に説明する。なお、以下では、同じ機能を有する構成(部材)について説明する場合には、上記a〜dの符号を省略して説明する。例えば、像保持体101a〜101dを総称する場合には、像保持体101として説明する。
〔中間転写ベルト〕
本実施形態における中間転写ベルト107は、1層の構成であってもよいが、図2に示すように、複数の層が厚み方向に積層された構成とされていることが好ましい。
例えば、図2(A)に示すように、中間転写ベルト107は、最も内周面側に位置される最内層107B上に、最も外周面側に位置される最外層107Aが積層されて構成されている。画像形成装置100に装着された状態の中間転写ベルト107においては、最外層107Aに像保持体101が接触配置されると共に中間転写ベルト107の搬送方向(図1中、矢印X方向)に所定間隔をあけて配列された状態となる。また、一次転写ロール105は、これらの像保持体101との間で中間転写ベルト107を挟持するように中間転写ベルト107の内周面に接触配置されている。
なお、中間転写ベルト107の層構成は、複数層(2層以上)であればよく、図2(A)に示す2層である場合に限られず、図2(B)に示す3層構造、図2(C)に示す4層構造、または5層以上の層構成であってもよい。たとえば、3層構造である場合には、図2(B)に示すように、中間転写ベルト107を、最内層107B、中間層107C、及び最外層107Aの順に積層させた構成とすればよい。また、4層構造である場合には、図2(C)に示すように、中間転写ベルト107を、最内層107B、中間層107D、中間層107C、及び最外層107Aの順に積層した構成とすればよい。
この中間転写ベルト107は、下記式(1)、式(2)、及び式(3)の全てを満たすことが好ましい。
11.6LogΩ/□≦ρs≦14.0LogΩ/□ (1)
10.3LogΩ・cm≦ρv≦14.0LogΩ・cm (2)
9.8LogΩ/□≦ρexs≦≦13.4LogΩ/□ (3)
(上記式(1)〜(3)中、ρsは前記中間転写ベルト107の外周面の表面抵抗率の常用対数値を、ρvは前記中間転写ベルト107の体積抵抗率の常用対数値を、ρexsは前記中間転写ベルト107内周面極表面の沿面抵抗率の常用対数値を、それぞれ表す。)
なお、上記「外周面の表面抵抗率の常用対数値」とは、中間転写ベルト107のトナー像を保持する側の面が外周面側であるときにおける、該外周面の表面抵抗率の常用対数値を示している。すなわち、上記(1)〜上記(3)式は、像保持体101上から中間転写ベルト107の外周面側にトナー像が転写される構成であるときに成り立つ式である。
前記「ρs」は、11.9LogΩ/□≦ρs≦13.3LogΩ/□であることがより好ましい。
ρs≧11.6LogΩ/□であれば、二次転写工程において、二次転写ロール109より印加される転写電界が中間転写ベルト107上のトナー周辺に回り込むことによりトナーが周辺に飛び散り、記録媒体上にトナー像がぼやけた状態で転写されて起こる粒状性の悪化が回避されるが、ρs≧11.9LogΩ/□とすることでさらに1グレード粒状性が向上される。
前記「ρv」は11.0LogΩ・cm≦ρv≦13.5LogΩ・cmであることがより好ましい。ρv<10.3LogΩ・cmである場合、2次転写工程において、2次転写ロール109と中間転写ベルト107外周面の間で放電が発生し、放電領域のトナーが逆極性に帯電し被転写媒体に転写されないことにより、出力画像上にトナー像が抜けた領域(白点)が発生し、出力画像の品質を損なってしまう。また、14.0LogΩ・cm<ρvである場合、2次転写ロール109により中間転写ベルトが繰り返し電圧を印加されることで、中間転写ベルト107外周面の帯電電位が上昇し、感光体等の中間転写ベルト107外周面と当接する他の部材との間で放電が発生し、放電領域のトナーが逆極性に帯電し被転写媒体に転写されないことにより、出力画像上にトナー像が抜けた領域(白点)が発生し、出力画像の品質を損なってしまう。
前記ρexsは10.6LogΩ/□≦ρexs≦13.0LogΩ/□であることがより好ましい。ρexs<9.8の場合、放電発生すると共に、白点が発生する。ρexs≦13.4LogΩ/□であれば、二次転写工程において中間転写ベルト107内周面に接触するバックアップロール108と中間転写ベルト107裏面の間で放電して、中間転写ベルト107外周面上のトナー像が乱れ、ウロコ状の濃度ムラとなって発生する画質欠陥が許容レベルまで軽減される。そして、さらにρexs≦13.0LogΩ/□とすることで前記ウロコ状の濃度ムラが抑制される。
本実施形態における中間転写ベルト107は、総膜厚が60μm以上120μm以下であることが望ましい。総膜厚が50μm以上であれば、十分な機械的強度を保持することができ、画像形成装置内での長期の使用においても、より良好な出力画像を得ることができる。また、総膜厚が130μm以下であれば、十分な可撓性を保持することができ、画像形成装置内で長期に張架された状態においても、中間転写ベルト107に張架跡がつくことなく、より良好な出力画像が得られる。
さらに、最外層107Aと最内層107Bとの層厚は、下記式(4)を満たすことが望ましい。
1.2≦du/dl≦4.0 (4)
(上記式(4)中、duは最外周層の膜厚(μm)を、dlは最内周層の膜厚(μm)を、それぞれ表す。)
前記「du/dl」は1.5≦du/dl≦3.0であることが好ましく、1.6≦du/dl≦2.7であることがより好ましい。
ここで、二次転写工程においては、中間転写ベルト107内周面に接触するバックアップロール108から流入した電荷が、中間転写ベルトの最外周層と最内周層の間に蓄積されることにより局所電界が発生する。この局所電界の電界強度が閾値を超えたところで最外周層に一気に電荷が流入し、二次転写ロール109との間で放電が発生する。放電領域のトナーが逆極性に帯電し記録媒体に転写されないことによって、出力画像上におけるトナー像が抜けた領域(HTムラ)が発生するということを、本発明者らは見出した。
1.2≦du/dlである場合、二次転写工程において、二次転写ロール109と中間転写ベルト107外周面の間で放電が発生するのを抑制しトナーが逆極性になるのを防止することから、トナー像が抜けた領域(白点)が発生せず、良好な出力画像となる。また、du/dl≦4.0である場合、バックアップロール108から流入した電荷が中間転写ベルト107の最外周層と最内周層の間に蓄積されないため、二次転写ロール109との間で放電が発生せず、トナーが逆極性になるのを防止することから、トナー像が抜けた領域(HTムラ)が発生せず、良好な出力画像となる。
中間転写ベルト107の材質としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリアルキレンフタレート樹脂、ポリカーボネート/ポリアルキレンフタレートのブレンド材料、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体等の熱可塑性樹脂、またはポリイミド、ポリイミドとポリアミドの共重合体等の熱硬化性樹脂に、導電剤を溶解或いは分散させたものが用いられる。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、またはチタン酸カリウム等の導電性粒子や、ポリアニリン、ポリチオフェン等の有機導電性物質などが用いられる。中でも、ポリイミド樹脂を主成分(主成分とは、中間転写ベルト中のポリイミド樹脂含有量が50質量%を超えることを指す。)とし、カーボンブラックなどの導電性粒子を分散させた中間転写ベルト107が、機械的強度の強さや高弾性率、更に耐クリープ性(物体に持続応力が作用すると時間の経過とともに歪みが増大する現象、に耐える性質)に優れることなどから、特に好適に用いられる。
上記式(1)〜(3)中の、ρs(中間転写ベルト107の外周面の表面抵抗率の常用対数値)、ρv(中間転写ベルト107の体積抵抗率の常用対数値)、及びρexs(中間転写ベルト107内周面極表面の沿面抵抗率の常用対数値)の各々は、中間転写ベルト107を構成する複数層の各層に含有される導電剤の量により調整される。
具体的には、最外層107Aに含有される導電性物質の量により、最外層107Aの表面抵抗率の常用対数値及び体積抵抗率の常用対数値が調整され、最内層107Bに含有される導電剤の量によりρexsが調整される。
さらに、円筒成形管11外周面上に形成された塗布液16塗膜を乾燥する際に、所定の温度に設定することにより、ρvおよびρexsと独立してρsが制御される。より詳しくは、乾燥温度を高くするとρsが高く、乾燥温度を低くするとρsが低く調整される。尚、上記ρs、ρvおよびρexsの独立制御に関しては、塗布液16樹脂材料としてポリイミド前駆体を、導電性物質としてカーボンブラックを用いた場合に、より好適に用いられる。ポリイミド前駆体とカーボンブラックを用いる場合、乾燥工程後の残留溶媒量を一定とし、乾燥工程における温度を調整することにより、ρvおよびρexsと独立してρsが制御される。
〔像保持体〕
像保持体101としては、公知の電子写真感光体が広く適用される。電子写真感光体としては、感光層が無機材料で構成される無機感光体や、感光層が有機材料で構成される有機感光体などが用いられる。有機感光体においては、露光により電荷を発生する電荷発生層と、電荷を輸送する電荷輸送層を積層する機能分離型の有機感光体や、電荷を発生する機能と電荷を輸送する機能を同一の層が果たす単層型有機感光体が好適に用いられる。また、無機感光体においては、感光層がアモルファスシリコンにより構成されているものが、好適に用いられる。
また、像保持体の形状には特に限定はなく、例えば、円筒ドラム状、シート状或いはプレート状等、公知の形状が採用される。
〔帯電装置〕
帯電装置102としては、特に制限はなく、例えば、導電性(ここで、「導電性」とは例えば体積抵抗率が10Ω・cm未満を意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)または半導電性(ここで、「半導電性」とは例えば体積抵抗率が10〜1013Ωcmを意味する。本明細書においては、特記がない限り同様である。)のローラ、ブラシ、フィルム、またはゴムブレード等を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器など、公知の帯電器を広く適用することができる。これらの中でも、オゾンの発生が少なく、効率的な帯電を行うことができる接触型帯電器が好ましい。
帯電装置102は、像保持体101に対し、通常、直流電流を印加するが、交流電流を更に重畳させて印加してもよい。
〔露光装置〕
露光装置114としては、特に制限はなく、例えば、像保持体101a〜101dの表面に、半導体レーザー光、LED光、または液晶シャッタ光等の光源、或いはこれらの光源からポリゴンミラーを介して所望の像様に露光する光学系機器など、公知の露光装置が広く適用される。
〔現像装置〕
現像装置103としては、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤または二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用い接触或いは非接触させて現像する公知の現像器などが挙げられる。
本実施形態の画像形成装置100に用いるトナー(現像剤)は特に限定されず、例えば、結着樹脂と着色剤を含んで構成される。
結着樹脂としては、スチレン類、モノオレフィン類、ビニルエステル類、α−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類等の単独重合体または共重合体を例示することができ、特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、またはポリプロピレン等が挙げられる。更に、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、またはパラフィンワックス等も挙げられる。
着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、またはC.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして挙げられる。
トナーには、帯電制御剤、離型剤、他の無機粒子等の公知の添加剤を内添加処理や外添加処理してもよい。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、またはキャンデリラワックス等を代表的なものとして挙げられる。
帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプ等の帯電制御剤が用いられる。
他の無機粒子としては、粉体流動性、帯電制御等の目的で、平均一次粒径が40nm以下の小径無機粒子を用い、更に必要に応じて、付着力低減の為、それより大径の無機或いは有機粒子を併用してもよい。これらの他の無機粒子は公知のものが使用される。
また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性をあげる効果が大きくなるため有効である。
トナーの製造方法としては、高い形状制御性を得られることから、乳化重合凝集法や溶解懸濁法等の重合法が好ましく用いられる。また、これらの方法で得られたトナーをコアにして、更に凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法を行ってもよい。
なお、外添剤を添加する場合、トナーおよび外添剤をヘンシェルミキサー或いはVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナーを湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することもある。
〔一次転写ロール〕
一次転写ロール105は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば、単層構造の場合は、発泡または無発泡のシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。
この一次転写ロール105の体積抵抗値は7LogΩ以上8.5LogΩ以下の範囲であり、7.4LogΩ以上7.9LogΩ以下の範囲がより好ましい。
一次転写ロール105の体積抵抗値が7LogΩ以上8.5LogΩ以下であることで、高温・高湿(27℃以上及び80%RH以上の少なくとも一方を満たす環境。以下同じとする。)の環境条件下においても、中間転写ベルトや一次転写ロールの抵抗が低すぎて像保持体101上のトナー像を中間転写ベルト107に転写するために十分な転写電界(電圧)が得られなくなる事が抑制され、転写不良(ムラ)が抑制される。また、逆に、低温・低湿(15℃以下及び30%RH以下の少なくとも一方を満たす環境。以下同じとする。)の環境条件下においても、中間転写ベルト107や一次転写ロール105の抵抗が高すぎて、像保持体101と一次転写ロール105との間に形成される転写電界(電圧)が過剰となることが抑制される。このため、結果、トナー像を構成しているトナーに電荷が注入(逆極性化)されて、該トナー像が部分的(細かな白点状)に像保持体101から中間転写ベルト107へ転写されない放電マークという画質欠陥の発生が抑制される。
すなわち、一次転写ロール105の体積抵抗値を7LogΩ以上8.5LogΩ以下とすることで高温・高湿下での前記転写不良(ムラ)や低温・低湿下での前記放電マークの発生が許容レベルまで抑えられる。さらに、一次転写ロール105の体積抵抗値を7.4LogΩ以上7.9LogΩ以下とすることで前記転写不良(ムラ)や前記放電マークが抑制される。
この一次転写ロール105には例えば30μA以上60μA以下の電流が印加され、像保持体101との間に形成される電界(電圧)によって、像保持体101上に保持されていたトナー像が中間体ベルト上の一次転写ロール105側へと転写される。
一次転写ロール105の外径(直径)としては、寿命の観点から18mm以上30mm以下であることが好ましく、26mm以上30mm以下であることがより好ましい。
〔像保持体クリーニング装置〕
像保持体クリーニング装置104は、一次転写工程後の像保持体101の表面に付着する残存トナーを除去するためのものであり、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、またはロールクリーニング等を用いることができる。これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
〔二次転写ロール〕
二次転写ロール109の構造は、特に限定されるものではないが、例えば、三層構造の場合、コア層と中間層とその表面を被覆するコーティング層により構成される。コア層は導電性粒子を分散したシリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等の発泡体で、中間層はこれらの無発泡体で構成される。コーティング層の材料としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、パーフルオロアルコキシ樹脂などが挙げられる。二次転写ロール109の体積抵抗率は10Ωcm以下であることが好ましい。また、中間層を除いた2層構造としてもよい。
〔バックアップロール〕
バックアップロール108は、二次転写ロール109の対向電極を形成する。バックアップロール108の層構造は、単層或いは多層のいずれでもよい。例えば単層構造の場合は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、またはEPDM等にカーボンブラック等の導電性粒子が適量配合されたロールで構成される。二層構造の場合は、上記のようなゴム材料で構成される弾性層の外周面を高抵抗層で被覆したロールから構成される。バックアップロール108の表面抵抗率は10Ω/□以上1011Ω/□以下の範囲にあることが好ましい。
バックアップロール108と二次転写ロール109との間には、通常1kV以上6kV以下の電圧が印加される。また、バックアップロール108のシャフトへの電圧印加に代えて、バックアップロール108に接触させた電気良導性の電極部材と二次転写ロール109との間に電圧を印加することもできる。上記電極部材としては、金属ロール、導電性ゴムロール、導電性ブラシ、金属プレート、または導電性樹脂プレート等が挙げられる。
〔ドライブロール、〕
ドライブロール111の構造についても特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性樹脂;などの材質が挙げられるが、これらに限られない。またこれにウレタンゴムやEPDMゴムのコート層を設けられたものでもかまわない。
〔定着装置〕
定着装置110としては、例えば、熱ローラ定着器や加圧ローラ定着器、またはフラッシュ定着器など公知の定着器が広く適用される。
〔中間転写ベルトクリーニング装置〕
中間転写ベルトクリーニング装置112および113としては、クリーニングブレードの他、ブラシクリーニング、ロールクリーニング等を用いることができ、これらの中でもクリーニングブレードを用いることが好ましい。また、クリーニングブレードの材質としてはウレタンゴム、ネオプレンゴム、またはシリコーンゴム等が挙げられる。
ここで、画像形成装置100においては、装置が駆動されることで画像形成処理が行われるに伴って、中間転写ベルト107が複数の張架ロール121によって搬送されるが、これらの複数の張架ロール121の内の少なくとも1つの表面に汚れや傷が付着する場合がある。
これは、装置が稼働されることによって、紙粉、トナー、及び現像剤に含まれるキャリア等の異物が中間転写ベルト107の両端部より、ベルトユニット内部の中間転写ベルト107と各張架ロール121との間に入り込むためであると考えられる。異物が中間転写ベルト107と各張架ロール121との間に入り込むと、異物が入り込んだ状態で中間転写ベルト107の搬送が継続されることにより、結果的には異物の多い張架ロール121の軸方向端部に汚れが付着したり、長期に渡っては異物によりロールが傷つきロール粗さが増し、バリ状になったりすることとなる。具体的には、図3に示すように、例えば、ステアリングロール118及びドライブロール111等の張架ロール121の軸方向端部に、各々傷や汚れの付着した傷領域(図3中、傷領域E、及び傷領域F参照)が発生することとなる。
このように張架ロール121の軸方向端部に傷が発生したり、汚れや異物等が付着した状態となると、これらの傷発生、汚れ及び異物付着の発生初期には、該傷領域に接する中間転写ベルト107の領域(内周側の幅方向端部)に傷、汚れ、及び異物付着等が発生することとなる。そして、さらにこの状態が長期にわたり継続されると、中間転写ベルト107裏面(張架ロールと当接する面)の幅方向(図3中、矢印X方向)端部の傷の入った領域の表面応力が解放されて、中間転写ベルト107の幅方向端部が、傷の発生した内周面側に対して反対方向(外周面方向)に反り上がることとなる。
具体的には、図4に示すように、中間転写ベルト107の幅方向(図4中、矢印X方向)端部が外周面側に向かって反り上がった状態となる。このような状態となると、例えば、画像形成装置100に設けられた各種部品の交換時に、中間転写ベルト107のこの反り上がったベルト端部領域が引っかかり、これを原因としてさらに中間転写ベルト107に新たな折れ、傷を発生させる場合があった。また、中間転写ベルト107の内周面側には、本実施例では図示を省略しているが、中間転写ベルト107の位置を検出するための位置センサが設けられており、この位置センサからの検出信号に基づいて各種動作タイミング制御が行われるのが一般的である。しかし、中間転写ベルト107の幅方向端部が反り上がった状態となることで、このセンサによる検出精度の低下も発生し、長期に渡る場合検出不能となり機械動作が出来なくなる。
そこで、本実施の形態の画像形成装置100では、中間転写ベルト107の内周面に、発泡ロール200が接触配置されている。発泡ロール200は、中間転写ベルト107の内周面に付着したトナーや紙粉等の異物を除去するための部材であって、円柱状に構成されている。
この発泡ロール200は、詳細には、その外周面が、中間転写ベルト107の内周面に接触するように配置されている。そして、この発泡ロール200は、中間転写ベルト107を張架搬送する複数の張架ロール121の内の少なくとも1つの張架ロール121の搬送方向(中間転写ベルト107の)上流側の近傍に隣接して配置されている。
上記「近傍」とは、各張架ロール121の、中間転写ベルト107の内周面側に接触配置されている位置から、該中間転写ベルト107の搬送方向上流側に向かって発泡ロール200の周長に相当する位置までの領域を示している。
具体的には、各張架ロール121が中間転写ベルト107の内周面に接触している位置と、発泡ロール200が中間転写ベルト107の内周面に接触している位置と、の最短距離が、発泡ロール200の周長以下である事を、「近傍に配置されている」と称している。
また、上記「隣接して配置」とは、張架ロール121と、該張架ロール121に隣接して配置された発泡ロール200と、の間には、中間転写ベルト107に内周に接触して配置された他のローラ等の部材が存在しない状態を示している。
このように、発泡ロール200が張架ロール121の近傍に隣接して配置されることで、効果的に発泡ロール200の該搬送方向下流側に隣接して配置された張架ロール121への異物付着や汚れが抑制され、結果的に、中間転写ベルト107の内周面側への傷による反りの発生が抑制される。
この発泡ロール200の軸方向長さは、中間転写ベルト107の搬送方向下流側に隣接して配置されている張架ロール121(発泡ロール200aに対してドライブロール111、発泡ロール200bに対してアイドラーロール118)の軸方向長さ以上の長さに調整されている。
具体的には、図7に示すように、発泡ロール200の軸方向(図7中、矢印X方向)長さは、中間転写ベルト107の搬送方向(図7中、矢印A方向)下流側に隣接して配置されている張架ロール121(発泡ロール200aに対してドライブロール111、発泡ロール200bに対してアイドラーロール118)の軸方向(図7中、矢印A方向)長さ以上の長さに調整されている。
このため、張架ロール121の軸方向の一端から他端に渡る領域に異物や汚れが付着することが発泡ロール200によって好適に抑制され、結果的に、中間転写ベルト107の幅方向(図7中、矢印X方向)両端部の傷によるベルト反りが好適に抑制される。
この発泡ロール200の中間転写ベルト107への接触圧は、発泡ロール200及び中間転写ベルト107の双方が変形する圧力未満であることが好ましい。すなわち、発泡ロール200及び中間転写ベルト107の双方が変形しない程度の弱い圧力で、発泡ロール200の外周面が中間転写ベルト107の内周面に接するように配置されている。このように、発泡ロール200が弱い圧力で中間転写ベルト107の内周面に接触配置されることで、発泡ロール200によって中間転写ベルト107の内周面に傷が付く事が抑制されると共に、好適に中間転写ベルト107の内周面側に付着した異物の除去がなされる。
なお、発泡ロール200は、上述のように、中間転写ベルト107を張架搬送する複数の張架ロール121の内の少なくとも1つの張架ロール121の、中間転写ベルト107の搬送方向上流側の近傍に隣接して配置されていればよいが、好ましくは、上記複数の張架ロール121の内の、中間転写ベルト107が最も鋭角に曲げられた箇所に設けられている張架ロール121の近傍(中間転写ベルト107の搬送方向上流側の近傍)に配置されていることが好ましい。これはベルト内部に入り込んだ異物が張架ロール121とベルト間で圧力を受けることで張架ロール傷が発生し、ひいてはベルト傷になるが、このロールとベルト間の圧力(ベルト張力のロールに与える力)が最大となるのが最も鋭角に曲げられたロール位置で、実際にこのロール傷が最も大きい状況であった。
例えば、本実施の形態においては、図1に示すように、複数の張架ロール121の内、ドライブロール111が、中間転写ベルト107の最も鋭角に曲げられた箇所に設けられている張架ロール121であることから、このドライブロール111の近傍で、且つ中間転写ベルト107の搬送方向上流側に発泡ロール200としての発泡ロール200aを設けた構成とすればよい。この場合には、この発泡ロール200aの重力方向下流側に、発泡ロール200aによって中間転写ベルト107の内周面から除去された各種異物を保持するための回収部材201としての回収部材201aを設けた構成とすればよい。
このように、発泡ロール200が、複数の張架ロール121の内の、中間転写ベルト107が最も鋭角に曲げられた箇所に設けられている張架ロール121の近傍(中間転写ベルト107の搬送方向上流側の近傍)に配置されていることで、複数の張架ロール121の内の最も中間転写ベルト107に負荷を加えることとなる張架ロール121への異物付着が好適に抑制される。このため、張架ロール121表面への異物付着や汚れによる、中間転写ベルト107の内周面側の傷の発生やベルト反りが効果的に抑制される。
また本実施例ではステアリングロールはドライブロールを兼ねたロール111であるがは、ドライブロールとステアリングロールが別ロールである場合も、ステアリングロール上流に発泡ロールを配置することが好ましい。ステアリングロールは上述のように、中間転写ベルト107を該ベルトの幅方向に移動させる部材であることから、このステアリングロールと中間転写ベルト107との間に異物が挟まると、この異物がステアリングロールの軸方向全体に渡って広がることとなり、他の張架ロール121に比べて広範囲にわたって傷が付きやすいといえる。
このため、発泡ロール200を、ステアリングロール近傍(中間転写ベルト107の搬送方向上流側の近傍)に配置することによって、中間転写ベルト107の内周面側の汚れ及び傷の発生が効果的に抑制されることとなる。
また、発泡ロール200は、各張架搬送ロール109の各々の、中間転写ベルト107の搬送方向上流側の近傍に隣接して配置された形態であってもよい。このようにすれば、複数の張架ロール121の全てについて、各張架ロール121の汚れによる中間転写ベルト107の内周面側の汚れや傷が抑制される。
この発泡ロール200は、図6に示すように、芯材203の外周に発泡層202が設けられた構成とされている。
発泡層202としては、少なくとも中間転写ベルト107の内周に接する面とされる最外層が発泡層202で構成されていればよいため、本実施の形態のように単層に限られないが、低コストの理由から単層であることが好ましい。
芯材203は、発泡ロール200の回転軸となる支持部材として機能する円柱状の部材である。芯材203としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属又は合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性樹脂;などの材質が挙げられるが、これらに限られない。
発泡層202として用いられる材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、天然ゴム等、及びこれらのブレンドゴムが挙げられる。
発泡層202は、上記ゴム材料に、発泡剤を添加することによって作製される。
発泡剤としては、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミド(ADCA)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン(DPT)、ジニトロソペンタスチレンテトラミンやベンゼンスルホニルヒドラジド誘導体、オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、二酸化炭素を発生する重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、窒素を発生するニトロソスルホニルアゾ化合物、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソフタルアミド、トルエンスルホニルヒドラジド、P−トルエンスルホニルセミカルバジド、P,P’−オキシービス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)等が挙げられる。
これらの発泡剤の中でも、発泡制御のし易さを考慮すると、ベンゼンスルホニルヒドラジド、アゾジカルボンアミドが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記発泡剤の形態としては、特に制限はなく目的に応じて、粒子状、液状等の中から適宜選択される。なお、前記発泡剤の形態は、例えば顕微鏡等を用いて観察される。また、前記粒子状の発泡剤の体積平均一次粒径は、例えば、コールターカウンター等を用いて測定される。
この発泡層202の厚みは、異物回収性、コストの観点から、1mm〜15mmが好ましく、3〜8mmが特に好ましい。
この発泡ロール200の発泡層202のアスカーC硬度は、発泡ロール200が接触配置されることによる中間転写ベルト107の傷の発生を抑制すると共に、中間転写ベルト107の内周面に付着した異物の良好な回収の観点から、アスカーC硬度が15度以上50度以下の範囲内であることが好ましく、25度以上40度以下であること好ましい。
アスカーC硬度は、JISK―7312に準じて、アスカーC型硬度計(高分子計器社製)の押針を比測定物表面に当接させ測定される。
アスカーC硬度を、上述の範囲内となるように調製するためには、発泡層202を構成する上記材料の種類、上記発泡剤の添加による平均発泡率、平均気泡径、及び導電剤の添加量によって調製される。
発泡層202の体積抵抗は、通電し、転写ロールとして用いるものでは無いため得に規定されるものではない。
上述のように発泡ロール200の設けられた画像形成装置100が稼働されることで、複数の張架ロール121によって張架された状態の中間転写ベルト107が搬送方向に搬送されて、上述のように画像形成がなされる。このとき、装置の駆動されることによって、上述のように、紙粉、トナー、及び現像剤に含まれるキャリア等の異物が中間転写ベルト107の内周面に付着する場合がある。しかしながら、本実施の形態の画像形成装置100によれば、上記説明したように、発泡ロール200が、中間転写ベルト107の内周に接触して配置され、中間転写ベルト107を張架搬送する複数の張架ロール121の内の少なくとも1つの搬送方向(中間転写ベルト107の)上流側の近傍に隣接して配置されている。また、この発泡ロール200は、中間転写ベルト107の搬送方向下流側に隣接して配置されている張架ロール10の軸方向長さより軸方向長さが長くなるように調整されている。このため、中間転写ベルト107の内周面に付着した各種異物や汚れ等が、中間転写ベルト107の搬送によって各張架ロール121に到達する前に、各張架ロール121に対して中間転写ベルト107の搬送方向上流側近傍に配置されている発泡ロール200によって除去される。そして、各発泡ロール200の軸方向長さは、中間転写ベルト107の搬送方向下流側に隣接して配置されている張架ロール121の軸方向長さより長くなるように調整されていることから、張架ロール121の軸方向の一端から他端に渡る領域に到るまで各種異物や汚れが付着することが抑制され、張架ロール121が異物により傷つくことに起因する、中間転写ベルト107の内周面への傷の発生や、ベルトの反りによる前記不具合が抑制される。
なお、上述した実施の形態においては、像保持体が複数個で構成される所謂タンデム方式の画像形成装置を説明したが、像保持体が1個で、色数分だけ中間転写ベルトが回転・作像プロセスを行う所謂複数サイクル方式(例えば4サイクル方式等)の画像形成装置であっても良いことはいうまでもない。
以下、実施例及び比較例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、下記実施例及び比較例において、表面抵抗率の常用対数値、体積抵抗率の常用対数値、極表面の沿面抵抗率の常用対数値、及び一次転写ロールの体積抵抗率の常用対数値の測定は、下記方法にて測定した。
(表面抵抗率の常用対数値ρsの測定)
図10に表面抵抗率測定装置の断面概略図を示す。GNDに接続された裏面電極23の上に絶縁シート24、さらにその上に測定サンプル27を配置する。測定サンプル27の上に中心電極21とガード電極22を配置し、絶縁シート24を介して裏面電極23と中心電極21およびガード電極22で、測定サンプル27を挟んだサンドイッチ構成とされている。以下の実施例及び比較例では、この測定サンプル27にかえて、測定対象物を挟み、ガード電極22に接続された直流電源25により直流電圧を印加し、該直流電圧を印加した後に中心電極21に接続された微小電流計26により測定された電流量の測定結果から、表面抵抗率を算出した。
詳細を下記に示す。図13に、図10に示す表面抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図を示した。中心電極21を中心とし、同心円環状にガード電極22が配置されている。ここで、d1〜d3は、それぞれ中心電極21の直径、ガード電極22の内周円の直径、ガード電極22の外周円の直径を表す。これらの値は、測定サンプルの大きさおよび形状に併せて任意に設定可能である。なお、本実施例及び比較例中の表面抵抗率の測定には、URプローブ(三菱化学社製)を用い、d1〜d3はそれぞれ下記の値とした。
d1=16mm,d2=30mm,d3=40mm
そして、表面抵抗率は下記式(7)にて算出し、得られた表面抵抗率の常用対数値をρsとして求めた。
表面抵抗率=[π(d2+d1)/(d2−d1)]×(V/I) (7)
ここで、式(7)中、Vは中心電極21に印加する電圧値(V)を、Iは微小電流計26で検出する電流値(A)をそれぞれ表す。本発明の実施例中の表面抵抗率の測定では、中心電極21に印加する電圧は500Vとした。また、電流値Iは電圧Vを印加してから10秒後の値とした。表面抵抗率の測定は温度20℃、相対湿度40%の環境下で行った。
(体積抵抗率の常用対数値ρvの測定)
図11に体積抵抗率測定装置の断面概略図を示した。直流電源25を介してGNDに接続された裏面電極23の上に測定サンプル27を配置する。測定サンプル27の上に中心電極21とガード電極22を配置し、裏面電極23と中心電極21およびガード電極22で、測定サンプル27を挟んだサンドイッチ構成となっている。ガード電極22はGNDに接続されている。裏面電極23に接続された直流電源25により直流電圧を印加し、中心電極21に接続された微小電流計26により流れる電流量を測定し、体積抵抗率を算出し、算出した体積抵抗率の常用対数値を、ρvとして求めた。
詳細を以下に説明する。図13に、体積抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図を示した。中心電極21を中心とし、同心円環状にガード電極22が配置されている。ここで、d1〜d3は、それぞれ中心電極21の直径、ガード電極22の内周円の直径、ガード電極22の外周円の直径を表す。これらの値は、測定サンプルの大きさおよび形状に併せて任意に設定可能である。なお、本実施例及び比較例中の体積抵抗率の測定には、URプローブ(三菱化学社製)を用い、d1〜d3はそれぞれ下記の値とした。
d1=16mm,d2=30mm,d3=40mm
体積抵抗率を下記式(8)にて算出し、算出した体積抵抗率の常用対数値を、ρvとして求めた。
体積抵抗率=[(π×d12)/4]×(V/I)×(1/t) (8)
ここで、式(8)中、Vは中心電極21に印加する電圧値(V)を、Iは微小電流計26で検出する電流値(A)を、tは測定サンプルの膜厚(cm)をそれぞれ表す。実施例中の表面抵抗率の測定では、中心電極21に印加する電圧は500Vとした。また、電流値Iは電圧Vを印加してから10秒後の値とした。また、測定サンプルの膜厚tの測定には、マイクロメーターや渦電流式膜厚系など公知のいかなる方法も好適に用いられるが、本発明の実施例中では、渦電流式膜厚計ISOSCOPE MP30(FFischer社製)にて膜厚を測定した。体積抵抗率の測定は温度20℃、相対湿度40%の環境下で行った。
(極表面の沿面抵抗率の常用対数値ρexsの測定)
図12に極表面の沿面抵抗率測定装置の断面概略図を示す。GNDに接続された裏面電極23の上に測定サンプル27を配置する。測定サンプル27の上に電圧印加電極28と電流印加電極29を配置し、裏面電極23と電圧印加電極28および電流印加電極29で、測定サンプル27を挟んだサンドイッチ構成となっている。電圧印加電極28に接続された直流電源25により直流電圧を印加し、電流印加電極29に接続された微小電流計26により流れる電流量を測定し、極表面の沿面抵抗率を算出した。
詳細を以下に示す。図14には、極表面の沿面抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図を示した。電圧印加電極28を中心とし、その両側に電圧印加電極28と平行になるように電流印加電極29が配置されている。ここで、d4〜d6は、それぞれ電圧印加電極28および電流印加電極29の幅、電圧印加電極28および電流印加電極29の長さ、電圧印加電極28と電流印加電極29の間隔を表す。これらの値は、測定サンプルの大きさおよび形状に併せて任意に設定可能である。なお、本実施例及び比較例中の表面抵抗率の測定においては、d4〜d6はそれぞれ下記の値とした。
d4=10mm,d5=50mm,d6=10mm
そして、極表面の沿面抵抗率を下記式(9)にて算出し、算出した値の常用対数値を、ρexsとして求めた。
極表面の沿面抵抗率=V/(I/2)×(d5/d6)=2×(V/I)×(d5/d6) (9)
上記式(9)中、Vは電圧印加電極28に印加する電圧値(V)を、Iは微小電流計26で検出する電流値(A)をそれぞれ表す。本実施例中の極表面の沿面抵抗率の測定では、電圧印加電極28に印加する電圧は500Vとした。また、電流値Iは電圧Vを印加してから15秒後の値とした。極表面の沿面抵抗率の測定は温度20℃、相対湿度40%の環境下で行った。
なお、上記極表面の沿面抵抗率は、上記の電極形状および測定条件とすることで、従来測定されてきた所謂表面抵抗率とは異なり、より膜の表層部近傍の横方向(沿面方向)抵抗率を測定するものである。
(中間転写ベルトの作製)
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のN-メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部にカーボンブラック(Special Black 4:Degussa社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行い、分散液(A)を得た。得られた分散液(A)に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100重量部に対してカーボンブラックが22.5重量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、最内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
一方外径366mm、長さ600mm、肉厚6mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、表面をRa:0.40μmに粗面化したものである。その円筒成形管11の表面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施してアルミニウム製円筒体を作製した。さらに、回転塗布工程として、円筒成型管を、軸方向を水平にして50rpmで回転させた。ブレードは幅20mm、厚さ0.5mmのSUSからなり、弾力性を有している。ブレードを円筒成型管に押付け、ポリイミド前駆体溶液として前記最内層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用い、容器から口径2mmのノズルを通して押し出した。ポリイミド前駆体溶液がブレードを通過する際、ブレードが押し広げられ、ブレードと円筒成型管の間には隙間ができた。
次いで、ノズルとブレードを上記軸方向に120mm/分の速さで移動させた。なお、塗布の際には、円筒成型管の両端に20mmずつの不塗布領域を設けた。次に、内周層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成型管を水平のまま、6rpmで回転させながら125℃で40分間加熱乾燥させ、最内層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜を得た。なお、最内層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値となるよう、塗布時のノズル15からの押出し液量を調整した。また、最内層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜中の残留NMP量は24.0質量%であった。なお残留NMP量は、最内層塗布後の円筒成型管の重さから、乾燥後の円筒成型管の重さの差分より算出した。
次に、前記分散液(A)に対して、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’-ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが18.7質量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、最外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。得られた最外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を用い、円筒成型管の回転速さを40rpm、ノズルの移動速さを90mm/分とした以外は最内層塗布時と同様にして、最内層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜上に塗布した。
次に、最外層用カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒成型管を水平のまま、6rpmで回転させながら120℃で40分間加熱乾燥させ、最外層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜を得た。なお、最外層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜の膜厚は、後に示すイミド化後の膜厚が所望の値になるよう、塗布時のノズルからの押出し液量を調整した。乾燥後の残留NMP量は35.2質量%であった。なお、この残留NMP量は、最外層乾燥後に測定しているので、最内層と最外層を併せた残留NMP量となっている。
上記のようにして得られた最内層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜上に、最外層カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜を積層した円筒成型管を、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。その後、円筒成型管の温度が室温(25℃)にまで冷えたところで、円筒成型管よりポリイミド樹脂皮膜を剥離した。得られたポリイミド樹脂皮膜を362mmの幅で切断し、中間転写ベルトAを得た。得られた中間転写ベルトAを2枚つなぎ合わせて周長2111mmの中間転写ベルトを得た。
また、中間転写ベルトAの残りの切れ端を用いて、中間転写ベルトA1のρs、ρvおよびρexsを測定したところ、それぞれρs=12.2LogΩ/□、ρv=12.5LogΩ・cm、及びρexs=11.8LogΩ/□であった。このため、作製した中間転写ベルトは、上記式(1)〜(3)の式の全てを満たしていた。
(発泡ロールの作製)
発泡ロール200としては本実施例では、金属シャフト(Pbフリー快削鋼材:SUM材)上にウレタン発泡ゴムをつけた単層発泡ロールを用いた。ロール外径は18mmでゴム硬度(AskerC硬度)は35°であるものを用いた。
(実施例1)
図1に示す基本構成を有するフルカラー複合機(DocuColor 8000 Digital Press:富士ゼロックス社製)に、上記調整した中間転写ベルトを搭載すると共に、上記作製した発泡ロールを、アイドラーロール118の設けられた位置より中間転写ベルトの搬送方向上流側で、且つ一次転写ロール(最も該搬送方向下流側に配置された一次転写ロール)より該搬送方向下流側の位置に配置させた。
なお、このフルカラー複合機は、中間転写ベルトの内周面側に、中間転写ベルトの内周面側の幅方向前面側端部に設けられた検出用パッチを検出するための検出センサが設けられている。そして、この検出センサによって中間転写ベルトの外周上の位置が検出されることでタイミング制御がなされて画像形成処理が実行されるように構成されている。なお、上記前面側とは、複合機の前面側を意味し、操作時に操作者が立つ側を意味している。
このため、該フルカラー複合機に搭載した中間転写ベルトの内周面の幅方向前面側端部の、該装置の仕様により定められている位置に上記検出用パッチを貼り付けた後に該フルカラー複合機に搭載した。
なお、発泡ロールは、該発泡ロールの外周面が中間転写ベルトの内周面に接触するように配置し、このとき、発泡ロール及び中間転写ベルトの双方が変形していないことを確認した。
また、このとき、アイドラーロールの中間転写ベルトに接触している領域の該中間転写ベルトの搬送方向上流側端部から、該発泡ロールの中間転写ベルトへ接触している領域の該中間転写ベルトの搬送方向下流側端部までの距離は、略30mmであり、互いに近傍に配置されていた。
同様に、上記作製した発泡ロールを、ドライブロールの設けられた位置より中間転写ベルトの搬送方向上流側で、且つアイドラーロールより該搬送方向下流側の位置に配置させた。
なお、発泡ロールは、該発泡ロールの外周面が中間転写ベルトの内周面に接触するように配置し、このとき、発泡ロール及び中間転写ベルトの双方が変形していないことを確認した。
また、このとき、ドライブロールの中間転写ベルトに接触している領域の該中間転写ベルトの搬送方向上流側端部から、該発泡ロールの中間転写ベルトへ接触している領域の該中間転写ベルトの搬送方向下流側端部までの距離は、略30mmであり、互いに近傍に配置されていた。
上記構成の画像形成装置において、温度22℃、湿度55RH%の環境下において、A3用紙(J coat紙:富士ゼロックス社製)に300,000枚の連続プリントを行い、出力画像として、トータルチャート(パッチ/文字混合チャート、各色5%画像密度)を印字した。
そして、10,000枚プリント毎に、中間転写ベルトの幅方向端部の反り量を測定した。
なお、この反り量の測定は、ドライブロール111とアイドラーロール118で張架されたベルトの長手方向中央部(感光体101bと101cの略中間)のベルト前面側端部の浮き上がり量を、スタート時を0mmとし、そこからの差分で測定を行い、最大の反り量を、該中間転写ベルトの各プリント枚数時の反り量として測定した。測定結果を図15に線図80で示した。
(比較例1)
実施例1においては、2つの発泡ロールを上記フルカラー複合機に設けたが、これらの2つの発泡ロールを上記フルカラー複合機に搭載しなかった以外は、実施例1と同一構成のフルカラー複合機を用い、実施例と同じようにプリントテストを行い、反り量を測定した。測定結果を図15に線図82で示した。
図15に線図82で示されるように、比較例1では、プリント枚数の増加に従って、中間転写ベルトの幅方向端部の反り量が増加し、200,000枚プリント時に装置動作が異常停止してしまった。
詳細には、60,000枚の連続プリントで反り量が8mm程度に達し、この状態で感光体の取り外しを行おうとしたところ、中間転写ベルトの端部に引っかかってしまい、この引っかかりによって中間転写ベルトの端部に折れが生じた。さらに、形成された画像についても、白抜けが見られた。さらにプリント枚数が増加すると、上述のように200,000枚の連続プリント時に装置動作が異常停止してしまった。
これは、中間転写ベルトの端部に傷が発生した事により、端部の反りが増加し、この反りによってベルトの位置を検出するための位置検出センサによる位置検出が困難となったためと考えられる。
一方、図15に線図80で示されるように、実施例1では、プリント枚数が増加しても中間転写ベルトの幅方向の反り量の変化は比較例1に比べて小さいことが分かる。また、ベルトのハンドリング不良(感光体等との引っかかり)も無く装置の異常停止も、300,000枚の連続プリントでも生じなかった。これは、発泡ロールによって中間転写ベルトへの傷及び異物付着等が抑制されたためだと考えられる。
そして、実施例1で装置に搭載した中間転写ベルトを、上記300,000枚の連続プリント後に装置から取り外し、アイドラーロール及びドライブロール表面の傷、及びベルト裏面端部を目視観察したが、軸方向の一端部から他端部に渡る全領域について実施例1のプリントテストによる傷は見られなかった。このため、発泡ロールによる効果が証明されたといえる。
本実施形態の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 (A)〜(C)は、本実施形態の中間転写ベルトの一例を示す模式断面図である。 本実施形態の中間転写ベルトに傷が発生するメカニズムを示す模式図である。 本実施の形態の中間転写ベルトが傷により端部が反った状態を示す模式図である。 中間転写ベルトに設けられた発泡ロールの配置位置の一例を示す模式図である。 発泡ロールの構成を示す模式図である。 中間転写ベルトに接触配置された発泡ロールと張架ロールとの大小関係及び配置位置関係の一例を示す模式図である。 中間転写ベルトに接触配置された発泡ロールと張架ロールと配置位置関係の一例を示す模式図である。 中間転写ベルトに接触配置された発泡ロールと張架ロールと配置位置関係の一例を示す模式図である。 本実施形態の中間転写ベルトの表面抵抗率測定装置の断面概略図である。 本実施形態の中間転写ベルトの体積抵抗率測定装置の断面概略図である。 本実施形態の中間転写ベルトの極表面の沿面抵抗率測定装置の断面概略図である。 本実施形態の中間転写ベルトの表面抵抗率および体積抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図である。 本実施形態の中間転写ベルトの極表面の沿面抵抗率測定装置に用いる電極の平面概略図である。 実施例及び比較例において測定された、プリント枚数とベルト端部反り量との関係を示す線図である。
符号の説明
101a〜101d 像保持体
103a〜103d 現像装置
105a〜105d 一次転写ロール
106a テンションロール
107 中間転写ベルト
108 バックアップロール
109 二次転写ロール
111 ドライブロール
117 電圧測定部
118 ステアリングロール
119 二次転写バイアス電流印加部
121 張架ロール
200 発泡ロール

Claims (5)

  1. 回転する円筒状の中間転写ベルトと、
    前記中間転写ベルトの内側の面に接触して配置され、前記中間転写ベルトを支持する複数の支持ロールと、
    前記中間転写ベルトの内側の面に接触配置されると共に、前記複数の支持ロールの内の少なくとも1つに対して前記中間転写ベルトの回転方向上流側に隣接して配置され、表面に発泡層を有すると共に軸方向長さが該回転方向下流側に隣接して配置された支持ロールの軸方向長さより長い発泡ロールと、
    を備えた画像形成装置。
  2. 前記発泡ロールは、前記複数の支持ロールの中で、前記中間転写ベルトが最も小さな角度を形成するように支持された位置に設けられた支持ロールの、該中間転写ベルトの回転方向上流側に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記発泡ロールは、前記中間転写ベルト及び前記発泡ロールの少なくとも一方が接触により変形する圧力未満の接触圧で該中間転写ベルトの内周面側に接触して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記発泡ロールが前記中間転写ベルトの内周面側に接触している位置と、該発泡ロールに対して前記中間転写ベルトの回転方向下流側に隣接して配置された前記支持ロールが前記中間転写ベルト内周面側に接触している位置と、の最短距離が、該発泡ロールの外周長さ以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の画像形成装置。
  5. 静電潜像を形成される像保持体と、
    前記像保持体上に形成された前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体上の前記トナー像が転写されると共に該転写されたトナー像を保持する中間転写ベルトと、
    前記トナー像を前記像保持体から前記中間転写ベルトへ転写する一次転写ロールと、
    前記中間転写ベルト上に保持された前記トナー像を記録媒体へ転写する二次転写ロールと、
    を備え、
    前記複数の張架ロールの内の少なくとも1つが、前記一次転写ロール及び前記二次転写ロールの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7494601B2 (ja) 2020-06-30 2024-06-04 コニカミノルタ株式会社 画像形成装置

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