JP6623582B2 - 導電性ロール、転写ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、導電性ロール、転写ユニット、及び画像形成装置に関する。
例えば、特許文献1には、「芯金とその外周に設けられる弾性体層とからなるゴムローラであって、前記弾性体層は、パラフィンワックスを滑剤として含む発泡ゴム組成物からなる発泡ゴム層からなり、前記発泡ゴム層の外周面は、円筒形金型を用いて加硫・成形されてなることを特徴とする発泡ゴムローラ」が開示されている。
特許文献2には、「導電性支持体の外周面上に、少なくとも、1層以上の導電性弾性層を含む下地弾性層と、該下地弾性層の外周面に設けられた導電性表面層と、をこの順に設けた導電性ロールにおいて、前記下地弾性層の体積抵抗値(Rv1)の30℃85%RHと10℃15%RHとにおける常用対数値の差が、1.5以下であり、前記導電性ロールの体積抵抗値(Rv3)の30℃85%RHと10℃15%RHとにおける常用対数値の差が、1.0以下であることを特徴とする導電性ロール」が開示されている。
特許文献3には、「円筒金型の内壁に導電性チューブを添装し、該円筒金型内に導電性ローラーの芯金を挿入し、該芯金と該チューブの間に液状ゴムを注入し、該液状ゴムを発泡硬化させることにより該チューブ内面と該発泡ゴムを接着させることを特徴とする、該チューブに被覆された導電性ローラーの製造方法」が開示されている。
特開2001−74037号公報 特開2004−271836号公報 特開平11−223979号公報
本発明は、弾性層の表層部が発泡構造を有し、弾性層の外周面にポリイミド及び導電剤を含む表面樹脂層が配置されている導電性ロールに比べ、繰り返し使用したときの電気抵抗の上昇が抑制される導電性ロールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
<1>に係る発明は、発泡領域、及び、外周面を含む表層部に位置する非発泡領域を有するイオン導電性の弾性層と、
ポリイミド又はポリアミドイミド、及び導電剤を含み、前記弾性層の前記非発泡領域である外周面に接触して配置されている表面樹脂層と、
を備えた導電性ロール。
<2>に係る発明は、前記表面樹脂層の内周面の表面粗さRaが、0.3μm以上2.5μm以下である<1>に記載の導電性ロール。
<3>に係る発明は、像保持体の表面に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
前記中間転写体の表面に接触する<1>又は<2>に記載の導電性ロールと、を備え、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する転写ユニット。
<4>に係る発明は、像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に接触する二次転写ロールとして<1>又は<2>に記載の導電性ロールを含み、前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備えた画像形成装置。
<1>に係る発明によれば、弾性層の表層部が発泡構造を有し、弾性層の外周面にポリイミド及び導電剤を含む表面樹脂層が配置されている導電性ロールに比べ、繰り返し使用したときの電気抵抗の上昇が抑制される導電性ロールが提供される。
<2>に係る発明によれば、前記表面樹脂層の内周面の表面粗さRaが0.3μmを超える場合に比べ、外周面のクリーニング不良が抑制される導電性ロールが提供される。
<3>に係る発明によれば、弾性層の表層部が発泡構造を有し、弾性層の外周面にポリイミド及び導電剤を含む表面樹脂層が配置されている導電性ロールを二次転写ロールとして適用した場合に比べ、繰り返し使用したときの電気抵抗の上昇によるトナー画像の転写不良の発生が抑制される転写ユニットが提供される。
<4>に係る発明によれば、弾性層の表層部が発泡構造を有し、弾性層の外周面にポリイミド及び導電剤を含む表面樹脂層が配置されている導電性ロールを二次転写ロールとして適用した場合に比べ、繰り返し使用したときの電気抵抗の上昇によるトナー画像の転写不良の発生が抑制される画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る導電性ロールの構成の一例を示す概略斜視図である。 図1に示す導電性ロールのA−A断面図である。 図2の点線で囲んだ断面部分Sを拡大した概略図である。 本実施形態に係る導電性ロールの表面樹脂層を形成するために用いられる塗布装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 実施例における導電性ロール(二次転写ロール)の体積電気抵抗値の測定方法を説明するための概略図である。
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
<導電性ロール>
本実施形態に係る導電性ロールは、発泡領域、及び、外周面を含む表層部に位置する非発泡領域を有するイオン導電性の弾性層と、ポリイミド又はポリアミドイミド、及び導電剤を含み、前記弾性層の前記非発泡領域である外周面に接触して配置されている表面樹脂層と、を備えている。
本実施形態に係る導電性ロールは、繰り返し使用したときの電気抵抗の上昇が抑制される。その理由は以下のように推測される。
導電性ロールの一例として、例えば中間転写方式の画像形成装置における二次転写ロールは、一般的に、導電性の弾性層を備えているが、二次転写ロールの表面に付着したトナーが記録媒体の裏面に転移して記録媒体の裏面汚れ(以下、「用紙裏面汚れ」と称する場合がある。)が発生する場合がある。このようなトナーの転移による用紙裏面汚れの発生等を抑制するため、二次転写ロールの表面に付着したトナーをブレード等で除去し易いように弾性層上に表面樹脂層を設けた構成が採用される。
しかし、特にイオン導電性の弾性層上に表面樹脂層を設けた二次転写ロールを備えた画像形成装置において画像形成を繰り返すと、トナーの抜け、トナー画像の濃度低下などの転写不良が生じ易いことが分かった。このような転写不良の原因の1つとして、二次転写ロールの電気抵抗の上昇(以下、「抵抗上昇」と記す場合がある。)が挙げられる。二次転写ロールの抵抗上昇はロール内部に電荷が蓄積して発生し、電荷の蓄積の原因として、(1)材質が異なる界面の存在、(2)弾性層と表面樹脂層との間の密着性の不足(空隙の存在等)、(3)給電元となるロールシャフト(支持体)の径よりも二次転写ロールと対向部材(中間転写体)との接触領域の方が狭いことによる電荷移動の阻害が考えられる。特に、イオン導電性の弾性層を備えた二次転写ロールでは、弾性層と表面樹脂層との界面に電荷が蓄積し易い。
一方、本実施形態に係る導電性ロールは、弾性層と表面樹脂層とが接着剤層を介さずに接触しているため、異種材料の界面が少なく、界面での電荷の蓄積が抑制される。また、弾性層の外周面が表層部に存在する非発泡領域で構成されているため、弾性層と表面樹脂層との間で接着剤層を介さずに密着する。
そして、弾性層と表面樹脂層との間で広い接触面積を確保することができる。これにより、本実施形態に係る導電性ロールは、弾性層と表面樹脂層との界面への電荷の蓄積が抑制され、通電使用時の抵抗上昇が抑制されると考えられる。
また、本実施形態に係る導電性ロールにおける弾性層は発泡領域を有するため、対向部材との接触による弾性層の繰り返し変形に伴い、表面樹脂層も変形を繰り返すが、表面樹脂層は耐久性が高いポリイミド又はポリアミドイミドを含むため、変形耐久性が高く、表面樹脂層におけるひび割れ(クラック)の発生を抑制することができる。
なお、上述のように、画像形成装置における二次転写ロールに発現する課題を例に挙げて説明したが、本実施形態に係る導電性ロールはこれに限定されず、例えば、帯電ロールとして使用した場合でも抵抗上昇が抑制され、帯電不良による画像の濃度ムラ等を抑制することができる。
図1は、本実施形態に係る導電性ロールの構成の一例を示す概略斜視図である。図1に示す導電性ロール111は、円柱状又は円筒状の支持体112と、支持体112の外周面上に設けられた円筒状の弾性層113と、弾性層113上に設けられた表面樹脂層114と、を備える。
図2は、図1に示す導電性ロールのA−A断面図であり、図3は、図2の点線で囲んだ断面部分Sを拡大した概略図である。
弾性層113は、イオン導電性であり、発泡領域113A、及び、外周面を含む表層部に位置する非発泡領域113Bを有する。
表面樹脂層114は、ポリイミド又はポリアミドイミド、及び導電剤を含み、弾性層113の非発泡領域113Bである外周面に接触して配置されている。
−支持体−
支持体112は、二次転写ロール111の電極及び支持部材として機能する導電性部材である。
支持体112としては、例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属の部材が挙げられる。
また、支持体112としては、例えば、外側の面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂やセラミック部材)、導電剤の分散された部材(例えば樹脂やセラミック部材)等も挙げられる。
支持体112は、中空状の部材(筒状部材)であってもよいし、非中空状の部材であってもよい。
−弾性層−
弾性層113は、弾性及びイオン導電性を有する円筒状の層であり、内周面側に位置する発泡領域113Aと、外周面を含む表層部に位置する非発泡領域113Bとを有する。
発泡領域113Aと非発泡領域(スキン領域)113Bは、弾性層113において同じ材料で連続して構成されている。発泡領域113Aにおける発泡構造は、独立気泡構造でもよいし、連続気泡構造でもよい。
弾性層113は、例えば、ゴム材料(弾性材料)を含み、必要に応じて、イオン導電剤、その他の添加剤を含んでもよい。
弾性層に含まれるゴム材料(弾性材料)としては、例えば、少なくとも化学構造中に二重結合を有する弾性材料が挙げられる。
ゴム材料として具体的には、例えば、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム等、及びこれらを混合したゴムが挙げられる。
これらのゴム材料の中でも、エピクロルヒドリンゴム、ポリウレタン、EPDM、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR、及びこれらを混合したゴムが好適に挙げられる。
イオン導電剤は、ゴム材料のイオン導電性が低い場合やゴム材料がイオン導電性を有しない場合などに用いる。なお、導電剤としては、イオン導電剤のほかに、カーボンブラック等の電子導電剤もあるが、電子導電剤よりもイオン導電剤を用いることで抵抗の面内均一性を高めることができる。
イオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(例えばラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(例えば、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)等)、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩、各種ベタイン、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
イオン導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン導電剤の含有量は、例えば、ゴム材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることがよく、望ましくは0.5質量部以上3.0質量部以下である。
弾性層に含み得る、又は弾性層の形成に用いられるその他の添加剤としては、例えば、発泡剤、発泡助剤、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)などの通常弾性層に添加され得る材料が挙げられる。
弾性層113の厚さは、例えば、5mm以上20mm以下がよく、望ましくは5mm以上15mm以下である。
弾性層113の表層部における非発泡領域113Bの厚さは、例えば、0.05mm以上0.2mm以下がよく、望ましくは0.05mm以上0.1mm以下である。
−表面樹脂層−
表面樹脂層114は、ポリイミド又はポリアミドイミド、及び導電剤を含む層である。表面樹脂層114の内周面が、弾性層113の非発泡領域113Bによって構成されている外周面と接触している。
表面樹脂層114は、樹脂としてポリイミド又はポリアミドイミドを含んでいる。本実施形態に係る導電性ロールは、中間転写体等の対向部材との接触により弾性層113が繰り返し変形し、それに伴って表面樹脂層114も変形を繰り返すが、表面樹脂層114がポリイミド又はポリアミドイミドを含むことで、耐久性が高く、表面樹脂層114におけるひび割れ(クラック)の発生を抑制することができる。
なお、表面樹脂層114は、ポリイミド又はポリアミドイミド以外の樹脂を含んでもよいが、表面樹脂層114に含まれる樹脂のうち、ポリイミド又はポリアミドイミドの含有量が最も多いことが好ましく、50質量%以上がポリイミド又はポリアミドイミドであることがより好ましい。
表面樹脂層114に含まれる導電剤としては、電子導電剤とイオン導電剤とが挙げられる。
電子導電剤としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体、酸化錫−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粉末が挙げられる。
ここで、カーボンブラックとして具体的には、オリオンエンジニアドカーボンズ社製の「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、同「MOGUL−L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
電子導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン導電剤としては、例えば、四級アンモニウム塩(例えばラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エトサルフェート塩、ハロゲン化ベンジル塩(例えば、臭化ベンジル塩、塩化ベンジル塩等)等)、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩、各種ベタイン、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステルなどが挙げられる。
イオン導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
表面樹脂層114としては、例えば、ポリイミドを主成分(主成分とは、表面樹脂層中のポリイミドの含有量が50質量%を超えることを指す。)とし、導電剤としてカーボンブラックなどの導電性粒子を分散させた表面樹脂層が、機械的強度の強さや弾性率に優れることなどから、特に好適に用いられる。
その他の添加剤としては、例えば、可塑剤、硬化剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤などの通常樹脂層に添加され得る材料が挙げられる。
更に、表面樹脂層114の厚みは、導電性ロールの用途等に応じて選択すればよい。
本実施形態に係る導電性ロールを例えば二次転写ロールとして使用する場合は、トナーの転移による用紙裏面汚れを防止するための表面平滑性確保、また、弾性層113のオゾン劣化を防止する、といった機能の発現、及び層の耐摩耗性(膜がなくなり機能しなくなることの防止)のために、例えば、5μm以上60μm以下がよく、望ましくは10μm以上40μm以下である。
また、導電性ロール111は、表面樹脂層114の一部が、他の部材、例えば中間転写体と接触して支持体112と中間転写体との間で導通が確保されるが、表面樹脂層114の内周面の表面粗さが大きければ、弾性層の外周面(非発泡領域113B)との接触面積が増加し、支持体112と中間転写体との間で広い導通路を確保し易くなる。一方、表面樹脂層114の内周面の表面粗さが大き過ぎると、表面樹脂層114の外周面の凹凸に反映され、転写不良やクリーニング不良の原因となる可能性がある。このような観点から、表面樹脂層114の内周面の表面粗さRaは、0.3μm以上2.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。
ここで、表面樹脂層114の内周面の表面粗さRaは、東京精密社製サーフコム1500SD2 測定条件は、カットオフ波長0.8mm、測定長さ3.0mm、測定速度0.6mm/sによって測定した値である。
以上、本実施形態に係る導電性ロールの一例として主に二次転写ロールの形態を説明したが、これに限られず、例えば、帯電ロール、1次転写ロール等、導電性が要求される他のロールとして使用することができる。
[導電性ロールの製造方法]
本実施形態に係る導電性ロールの製造方法は限定されるものでないが、例えば以下の方法によって好適に製造することができる。
−表面樹脂層の形成−
図4は、表面樹脂層114を形成するための塗布装置の一例を示す概略構成図である。この塗布装置は、円筒状金型91の外周面に沿った位置に、塗布液80を円筒状金型91の外周面上に吐出するためのノズル92が配置されている。ノズル92は、配管を通じて塗布液容器93に接続しており、塗布液容器93は、別の配管を通じて加圧装置94に接続している。また、ノズル92の下方には、吐出された塗布液80を円筒状金型91の外周面上において均すためのブレード95が配置されている。
まず、樹脂材料としてポリイミド前駆体又はポリアミドイミド樹脂、導電剤、溶媒等とを含む塗布液を準備する。塗布液80には、表面樹脂層に要求される表面抵抗率に応じた量の導電剤を溶解あるいは分散させる。分散方法としては、ジェットミル、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、またはペイントシェーカーなどの公知の方法を用いてよい。
溶媒は、樹脂材料に合わせて選択する。塗布液80の固形分濃度は、例えば10質量%以上40質量%以下、粘度は1Pa・s以上100Pa・s以下としてよい。
また、表面樹脂層114の内径(弾性層113の外径)に対応した外径を有する円筒状金型91を用意する。円筒状金型91の少なくとも外周面には、例えばシリコーン系離型剤などの離型剤を塗布し、焼き付け処理を施して、表面に離型剤層を形成しておく。
なお、表面樹脂層の内周面側を粗面化するため、金型91の外周面に離型剤を塗布する前に金型91の外周面を粗面化してもよい。粗面化の方法としては、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法が挙げられる。
上記の塗布装置によって、離型剤層を有する円筒状金型91に塗布液80を塗布する。具体的には、円筒状金型91を円筒状金型の回転方向(矢印D)の向きに回転させ、ノズル92から塗布液80を円筒状金型91の外周面上に吐出し、ブレード95で円筒状金型91の外周面上に均す。ノズル92とブレード95は、ノズル及びブレード移動方向(矢印E)に一定速度で移動し、塗布液80が円筒状金型91の外周面上に一定の厚みで塗布される。塗布液80は加圧装置94によりノズル92から一定量吐出するように調節されている。これにより、円筒状金型91の外周面上に塗布液80の塗膜が形成される。得られる表面樹脂層114を構成する部材の厚みは、塗布液80の吐出量とノズル92及びブレード95の移動速度、さらに塗布液80の固形分濃度により調整される。
続いて、塗布液80の塗膜を加熱乾燥させ、さらに冷却後、円筒状金型91から剥離し、目標とするロール幅に応じて端部を切断することで、表面樹脂層114を構成する管状の部材を得る。
塗布液80の樹脂材料としてポリイミド前駆体を用いる場合には、円筒状金型91の外周面上に塗布液80の塗膜を形成した後、80℃以上170℃以下で乾燥することにより溶媒を除去し(乾燥工程)、さらに200℃以上350℃以下に加熱することでイミド転化(焼成工程)させてポリイミド膜を形成する。冷却後、ポリイミド膜を円筒状金型91から剥離し、弾性層113の幅に応じた幅で切断し、表面樹脂層114を構成する管状の部材(以下、「被覆チューブ」と記す場合がある。)を得る。
なお、金型91の外周面を粗面化しておくことで、金型の表面粗さRaが反映された内周面を有する被覆チューブが得られる。
−弾性層の形成−
ゴム材料と、必要に応じて、イオン導電剤と、その他の添加剤とを含む混合物を混練し、支持体(シャフト)112に巻き付ける。
一方、上記のように製造した被覆チューブの外径に相当する内径を有する円筒状の金型を用意し、この金型の内側に被覆チューブを挿入後、上記混練物を巻き付けたシャフトを挿入する。この状態で加熱することによりシャフト周囲の混練物を加硫発泡させる。これにより弾性層の外周面に表面樹脂層が配置された発泡ロールを作製し、次いで、ロールの両端部を切断して導電性ロールが得られる。
このような方法によって製造された導電ロールは、弾性層の表層部が非発泡領域となり、弾性層の非発泡領域である外周面と表面樹脂層の内周面とが密着した導電性ロールが得られる。
<転写ユニット、画像形成装置>
本実施形態に係る転写ユニットは、像保持体の表面に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、前記中間転写体の表面に接触する前述した本実施形態に係る導電性ロールと、を備え、前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する転写ユニットである。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナーを含む静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、前記中間転写体の表面に接触する二次転写ロールとして前述した本実施形態に係る導電性ロールを含み、前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備えた画像形成装置である。
以下、図5を参照して、本実施形態に係る転写ユニット及び画像形成装置について説明する。ここで、図5は本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図5に示される画像形成装置は、二次転写部に、本実施形態に係る導電性ロールを含む転写ユニット(本実施形態に係る転写ユニット)を備えた中間転写方式の装置である。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、図5に示すように、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段の一例)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。
なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して脱着されるプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト20(中間転写体の一例)が延びて設けられている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22及び中間転写ベルト20内面に接する背面ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。なお、背面ロール24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の外周面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。なお、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、感光体1Y(像保持体の一例)を有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電装置2Y(例えば帯電ロール:現像手段の一例)、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置3(静電荷像形成手段の一例)、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置4Y(現像手段の一例)、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置6Y(クリーニング手段の一例)が順に配置されている。
なお、一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電装置2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた一次転写部へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が一次転写へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1のユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する背面ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール26(二次転写手段の一例、本実施形態に係る導電性ロール)とから構成された二次転写部へと至る。
一方、記録紙P(記録媒体の一例)が供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが背面ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
転写後、二次転写ロール26の表面はブレード(不図示)によるクリーニングが施される。
記録紙Pは定着装置28(定着手段の一例)における一対の定着ロールの接触部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
トナー像を転写する記録紙(記録媒体)Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。また、記録紙P以外にも、記録媒体として、OHPシート等を適用してもよい。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了する。
本実施形態に係る画像形成装置は、上記構成に限られず、本実施形態に係る導電性ロールを含む転写ユニット(本実施形態に係る転写ユニット)を備えていれば、周知の中間転写方式の画像形成装置が適用される。
また、上記構成では、二次転写ロールとして本実施形態に係る導電性ロールが採用された画像形成装置を示しているが、本実施形態に係る導電性ロールは一次転写ロールとして採用されてもよい。
更に、本実施形態に係る導電性ロールは、中間転写方式の画像形成装置に限られず、周知の直接転写方式の画像形成装置に適用されてもよい。
また、本実施形態に係る導電性ロールは、帯電ロール2として採用されてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
実施例で用いる表面樹脂層として、下記の被覆チューブを作製した。
[被覆チューブ1の作製]
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Special Black 4:オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加した。ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を5回通過させて分散・混合を行い、分散液(A)を得た。
得られた分散液(A)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが27質量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を調製した。
金型として、外径28mm、長さ500mm、肉厚6mmのアルミニウム製円筒体を用意した。このアルミニウム製円筒体は、球形ガラス粒子によるブラスト処理により、外周面の表面粗さRa:0.35μmに粗面化したものである。なお、金型の外周面の表面粗さRaは、サーフコム1500SD2によって測定した。
その後、外周面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学工業(株)製)を塗装し、300℃で1時間焼き付け処理を施したアルミニウム製円筒体を使用した。
アルミニウム製円筒体を50rpmで回転させ、円筒体の外周面にディスペンサーを介してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液を0.625mmの厚さに塗布した。
外周面にカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液が塗布された円筒体を水平のまま、6rpmで回転させながら60℃で25分間及び120℃で40分間加熱乾燥させ、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜を得た。
続いて、この乾燥膜を200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。幅410mmに切断して被覆チューブ1を得た。
被覆チューブ1の内周面の表面粗さRaを測定したところ、金型の外周面の表面粗さと同じであった。
[被覆チューブ2の作製]
円筒体の外周面に対する球形ガラス粒子によるブラスト処理を変更して表面粗さRa:2.0μmに粗面化したアルミニウム製円筒体を使用したこと以外は、被覆チューブ1の作製と同様にカーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成し、被覆チューブ2を得た。
[被覆チューブ3の作製]
円筒体の外周面に対する球形ガラス粒子によるブラスト処理を変更して表面粗さRa:3.0μmに粗面化したアルミニウム製円筒体を使用したこと以外は、被覆チューブ1の作製と同様にカーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成し、被覆チューブ3を得た。
[被覆チューブ4の作製]
溶剤可溶型ポリアミドイミド樹脂(日立化成社製HPC−9000、固形分率18%、溶剤:n−メチル−2−ピロリドン)にカーボンブラック(FW1、オリオンエンジニアドカーボンズ製、一次粒子径13nm)を50質量部添加し、高圧衝突型分散機(ジーナス社製)を用い200Mpaにてφ0.1mmのオリフィスを通過させるとともに2分割したスラリーを衝突させることを5回行い分散を行った。この分散液にカーボンブラックの配合量が全体量100質量部に対して20質量部になるように高粘度のポリアミドイミドワニスを攪拌しながら加え、塗布液(B)とした。
塗布液(B)を被覆チューブ1の作製と同様にアルミニウム製円筒体の外周面(Ra:0.35μm)に塗布し、120℃で20分回転乾燥を行った(乾燥工程)。次いで、第一段階温度を130℃20分とし、第二段階温度を175℃20分、第三段階温度を220℃20分、第四段階温度を250℃20分とした炉中で溶剤除去を行い、樹脂皮膜(B)を形成し、幅410mmに切断して被覆チューブ4を得た。
<実施例1>
イオン伝導性が高いエピクロルヒドリンゴム(ECO:エピクロマーCG−102:ダイソー社製)60質量部とアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR:ニポールDN−219:日本ゼオン社製)30質量部とを混合し、硫黄(鶴見化学工業社製 200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製 ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤としてベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを添加した。この混合物をオープンロールで混練した混合物をφ12mm、長さ440mmのSUS製のシャフトに410mm幅で巻き付け、外径が概ね20mmになる様にした。
内径28mm、長さ410mmの円筒状金型を用意し、この金型の内側に被覆チューブ1を挿入後、上記混練物を巻き付けたSUS製シャフトを挿入し、金型ごと160℃で加熱した。これによりシャフト周囲の混練物を加硫発泡させて弾性層を形成し、外径28mmの表面樹脂層を有する発泡ロールを作製した。次いで、ロールの両端部5mmを切断して導電性ロールとした。
切断部の断面観察により、弾性層の表層部以外は発泡体であり、表面樹脂層の内周面に、弾性層の表層部に位置する非発泡領域の外周面が密着したロールであった。
<実施例2>
表面樹脂層として被覆チューブ2を使用したこと以外は実施例1と同様に導電性ロールを作製した。
<実施例3>
表面樹脂層として被覆チューブ4を使用したこと以外は実施例1と同様に導電性ロールを作製した。
<実施例4>
表面樹脂層として被覆チューブ3を使用したこと以外は実施例1と同様に導電性ロールを作製した。
<比較例1>
実施例1の弾性層の作製に用いた混練物をφ12mm、440mm長さのSUS製のシャフトに410mm幅で巻き付け160℃で加硫発泡させた。作製したロールの外周を研磨機で研磨し、外径28mmの発泡ゴムロールとした。
被覆チューブ1に空気を送りこみながら発泡ゴムロールを挿入し、表面樹脂層を有する導電性ロールを作製した。
<比較例2>
ポリエーテル系ウレタン樹脂のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(固形分30%、商品名KK124、大日精化社製)100質量部、N,N−ジメチルホルムアミド250質量部、メチルエチルケトン50質量部からなるウレタン樹脂希釈液に、カーボンブラック#3030B(三菱化学社製)12質量部を添加し、ビーズミルにて分散した。
この分散液を比較例1と同様に作製した発泡ゴムロールの外周面にスプレーで塗布し、160℃で90分の条件で乾燥させて導電性ロールを作製した。
[評価]
各例で作製した導電性ロールを、二次転写方式の画像形成装置における二次転写ロールとして用い、連続印刷前後での電機抵抗の上昇と、印刷後の用紙裏面汚れについて評価を行った。
<体積電気抵抗の測定>
二次転写ロールと背面ロールとを荷重5kgで圧接した状態で、両ロール間にトレックジャパン社製610E電源を接続した評価用装置を用意した。
この評価用装置にて、両ロール間に100μA流れる電流になる電圧に設定し、定電圧で通電を行い、二次転写ロールを回転数175rpmで10時間回転駆動した。試験は、10℃30%の低温低湿環境で行った。
上記の10時間の回転通電試験後の二次転写ロールの体積電気抵抗値と、通電試験前の二次転写ロールの体積電気抵抗値と、をそれぞれ常用対数で表記しその差を算出して、抵抗上昇量を求めた。
ここで、体積電気抵抗値の測定方法を、図6を参照しつつ説明する。
図6に示す通り、二次転写ロール(導電性ロール)60を金属板70の上に置き、芯金50の両端の矢印A1及びA2の箇所に500gの荷重を掛けた状態で、温度22℃、湿度55%RHの環境下、芯金50と金属板70との間に印加電圧1000Vを印加して、10秒後の電流値I(A)を読み取り、式「R=V/I」によって体積抵抗値(R)を計算した。この測定と計算を、二次転写ロール(導電性ロール)60を90°ずつ周方向に回転させて4点について行い、その平均値を二次転写ロールの体積抵抗値(R)とした。
<用紙裏面汚れ>
各例で作製した導電性ロールを、富士ゼロックス社製 商品名:DocuCentre-II C6500の改造機に二次転写ロールとして使用し、富士ゼロックス社製 JDコート157gsm紙(A3)を200×1000枚給紙して印刷した。印刷した10000枚目毎に、40mm×40mmの穴を空けた用紙に、50%のMagentaハーフトーンを印字し、二次転写ロール上にトナー像を形成させ、クリーニング後の用紙の裏面におけるトナーの付着(用紙裏面汚れ)の有無(二次転写ロール上のトナークリーニング性能)を目視にして下記基準により評価した。
A:用紙の裏面にトナーの付着が無かった。
B:用紙の幅方向端部にトナーの付着が発生していた。
C:用紙の幅方向全体にトナーの付着が発生していた。
導電性ロールの弾性層、表面樹脂層、並びに評価結果を表1に示す。
なお、比較例2の導電性ロールは印刷後にクラックが確認され、耐久性が実施例の導電性ロールに比べて劣った。
Figure 0006623582
1、1Y、1M、1C、1K 感光体
2、2Y、2M、2C、2K 帯電ロール
3L、3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ロール
24 背面ロール
26 二次転写ロール
28 定着装置
30 中間転写体クリーニング装置
111 導電性ロール
112 支持体
113 弾性層
113A 発泡領域
113B 非発泡領域
114 表面樹脂層
P 記録媒体

Claims (3)

  1. 発泡領域、及び、外周面を含む表層部に位置する非発泡領域を有し、前記発泡領域と前記非発泡領域が同じ材料で連続して構成されているイオン導電性の弾性層と、
    ポリイミド又はポリアミドイミド、及び導電剤を含み、前記弾性層の前記非発泡領域である外周面に接触して配置されている表面樹脂層と、
    を備え
    前記表面樹脂層の内周面の表面粗さRaが、0.3μm以上2.5μm以下である導電性ロール。
  2. 像保持体の表面に形成されたトナー像が転写される中間転写体と、
    前記中間転写体の表面に接触する請求項1に記載の導電性ロールと、を備え、
    前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に転写する転写ユニット。
  3. 像保持体と、
    前記像保持体を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    トナーを含む静電荷像現像剤により、前記像保持体上に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体の表面に接触する二次転写ロールとして請求項1に記載の導電性ロールを含み、前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備えた画像形成装置。
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