JP6492795B2 - 転写ベルト、転写ベルトユニット、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
(1)中間層の表面抵抗率<下層の表面抵抗率≦上層の表面抵抗率
(2)中間層の厚み≦下層の厚み<上層の厚み
前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
を備え、画像形成装置に脱着される転写ベルトユニットである。
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
請求項1又は請求項2に記載の転写ベルトを含み、前記像保持体の表面に形成されたトナー像が前記転写ベルトの外周面に転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記転写ベルトの外周面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置である。
本実施形態に係る転写ベルトは、内周面側から下層、中間層及び上層が積層された積層構造を有し、ベルト全体の体積抵抗率が10LogΩ・cm以上14LogΩ・cm以下、ベルト内周面の表面抵抗率(以下、「裏面抵抗率」という場合がある。」)が9LogΩ/□以上13LogΩ/□以下、前記上層単独の表面抵抗率及び前記下層単独の表面抵抗率がそれぞれ10LogΩ/□以上、前記中間層単独の表面抵抗率が2LogΩ/□以上10LogΩ/□以下であり、且つ、各層の表面抵抗率が下記(1)の関係を満たす転写ベルトである。
(1)中間層の表面抵抗率<下層の表面抵抗率≦上層の表面抵抗率
本実施形態に係る転写ベルトでは、外周面側に高抵抗の上層を備えることで点欠陥の発生が抑制され、ロール等と接触する内周面側にある程度抵抗が高い下層を備えることで画質の粒状性の低下が抑制されると考えられる。また、一次転写後にベルト表面側でギャップ放電が発生してトナー表面に大量の負電荷が発生すると考えられるが、本実施形態に係る転写ベルトは、中間層として導電性の高い高導電率層が存在することにより、正電荷が即座に発生して集中することで負電荷が打ち消され、円弧状の画像抜けの発生が抑制されると考えられる。
(1)中間層の表面抵抗率<下層の表面抵抗率≦上層の表面抵抗率
また、図1に示す定着ベルト10は、中間層10B、下層10A,上層10Cの順で厚みが大きくなっている。
本実施形態に係る転写ベルトは、ベルト全体の体積抵抗率が10LogΩ・cm以上14LogΩ・cm以下である。ベルト全体の体積抵抗率が上記範囲内であることで、点欠陥の発生が抑制される。
本実施形態に係る転写ベルトは、ベルト内周面の表面抵抗率(裏面抵抗率)が9LogΩ/□以上13LogΩ/□以下である。裏面抵抗率がこの範囲であることで、欠陥のない画質を得ることができる。
本実施形態に係る転写ベルトは、上層単独の表面抵抗率及び下層単独の表面抵抗率がそれぞれ10LogΩ/□以上であり、中間層単独の表面抵抗率が2LogΩ/□以上10LogΩ/□以下であり、且つ、各層の表面抵抗率が下記(1)の関係を満たしている。
(1)中間層の表面抵抗率<下層の表面抵抗率≦上層の表面抵抗率
本実施形態に係る転写ベルトは、下層単独の表面抵抗率が10LogΩ/□以上である。下層単独の表面抵抗率が10LogΩ/□未満であると、画質の粒状性が低下し易い。
なお、下層単独の表面抵抗率が高過ぎると円弧状の画像抜けと筋欠陥が生じる可能性がある。かかる観点から、下層単独の表面抵抗率は、10.5LogΩ/□以上14LogΩ/□以下が好ましく、12LogΩ/□以上14LogΩ/□以下がより好ましい。
本実施形態に係る転写ベルトは、上層単独の表面抵抗率が10LogΩ/□以上である。上層単独の表面抵抗率が10LogΩ/□未満であると、点欠陥が生じ易い。
なお、上層単独の表面抵抗率は高過ぎると、ゴーストが生じる可能性がある。かかる観点から、上層単独の表面抵抗率は、11LogΩ/□以上16LogΩ/□以下が好ましく、12LogΩ/□以上15LogΩ/□以下がより好ましい。
本実施形態に係る転写ベルトは、中間層単独の表面抵抗率が2LogΩ/□以上10LogΩ/□以下である。中間層単独の表面抵抗率が2LogΩ/□未満であると画質の粒状性が低下し易く、10LogΩ/□を超えると円弧状の画像抜けが生じ易い。
かかる観点から、中間層単独の表面抵抗率は、5LogΩ/□以上9LogΩ/□以下が好ましく、6LogΩ/□以上8LogΩ/□以下がより好ましい。
(1)中間層の表面抵抗率<下層の表面抵抗率≦上層の表面抵抗率
各層の表面抵抗率がそれぞれ前記した範囲内であっても、上記(1)の関係を満たさないと、画質の濃度ムラが生じ易い。かかる観点から、上層の表面抵抗率は下層の表面抵抗率より大きいことが好ましい。
転写ベルトの内周面側の表面抵抗率(裏面抵抗率)と各層の表面抵抗率の測定方法は以下の通りである。
図2は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図2に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に表面抵抗率を測定する側の面(測定面)をリング状電極部Dと接触させた状態でベルトTを支持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、転写ベルトTの測定面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
次に、転写ベルトの体積抵抗率の測定方法について説明する。
ベルト全体の体積抵抗率は、表面抵抗率の測定と同様の装置で測定することができる。但し、図2に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’とを備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間にベルトTを支持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加した際に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式中、tは、転写ベルトTの厚さを示す。
式ρv=19.63×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
本実施形態に係る転写ベルトの全体の厚み及び各層の厚みは、前記した体積抵抗率、裏面抵抗率、及び各層の表面抵抗率の条件を満たせば特に限定されないが、好ましくは、ベルト全体の厚みが80μm以上120μm以下であり、ベルト全体の厚みに対し、上層の厚みの割合が62%以上80%以下、中間層の厚みの割合が10%以上13%以下、下層の厚みの割合が10%以上25%以下であり、且つ、各層の厚みが下記(2)の関係を満たすことが好ましい。
(2)中間層の厚み≦下層の厚み<上層の厚み
また、ベルト全体の厚みに対する各層の厚みの割合がそれぞれ上記範囲内であり、且つ、上記(2)の関係を満たすことで、画質の濃度ムラを抑制できる。
続いて、転写ベルトを構成する材料について説明する。
本実施形態に係る転写ベルトの各層は、主に樹脂及び導電剤粒子を含有して構成され、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態に係る転写ベルトに用いる樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂が用いられる。
具体的には、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等が挙げられる。
その中でも、転写ベルトの強度、耐久性、環境安定性、クリーニング性等の点から、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂がより好ましく、特に、ポリイミドが好ましい。
また、樹脂は、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
転写ベルトに用いる導電剤粒子としては、公知の粒子状の導電剤粒子が用いられる。
導電剤粒子として具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体、酸化錫−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粒状物(粉末)が挙げられる。
中でも、コスト、塗布液生産性、塗布液安定性、フィルム強度、環境安定性の点から、カーボンブラックが好ましい。
表面処理としては、樹脂コーティング処理、フッ素コーティング処理等の公知の表面処理が挙げられる。
オリオンエンジニアドカーボンズ社製の「スペシャルブラック350(31nm、3.5)」、同「スペシャルブラック100(50nm、3.3)」、同「スペシャルブラック250(56nm、3.1)」、同「スペシャルブラック5(20nm、3.0)」、同「スペシャルブラック4(25nm、3.0)」、同「スペシャルブラック4A(25nm、3.0)」、同「スペシャルブラック550(25nm、2.8)」、同「スペシャルブラック6(17nm、2.5)」、同「カラーブラックFW200(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW2(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW2V(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW1(13nm、4.5)」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、キャボット社製「MOGUL−L」、キャボット社製「REGAL400R」等が挙げられる。
導電剤粒子の含有量は、体積抵抗率、裏面抵抗率、及び各層単独の表面抵抗率の目標値に合わせて選択すればよい。
導電剤粒子の種類等もよるが、導電剤粒子の含有量が多いほど抵抗値は小さくなるため、例えば、下層においては樹脂100質量部に対して、導電剤粒子20質量部以上30質量部以下、中間層においては樹脂100質量部に対して、導電剤粒子29質量部以上45質量部以下、上層においては樹脂100質量部に対して、導電剤粒子17.5質量部以上30質量部以下とすることが挙げられる。
各層に含み得るその他の材料としては、例えば、可塑剤、硬化剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤などの通常の転写ベルトに添加され得る材料が挙げられる。
また、反応抑制剤、金属触媒の他、界面活性剤、整泡剤、脱泡剤、難燃剤、顔料、染料、安定剤、制菌剤、充填剤など、物性制御のための添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態に係る転写ベルトの製造方法は特に限定されないが、例えば、各層を形成するための樹脂又は樹脂前駆体と導電剤粒子とを含む塗布液をそれぞれ調製する工程(塗布液調製工程)、下層、中層、上層の順で、各塗布液を円筒又は円柱状の芯体の表面(外周面)に塗布して塗布膜を形成する工程(塗布工程)、塗布膜を加熱して硬化させる工程(加熱工程)を経て製造される。例えば、ポリイミドを含む転写ベルトを製造する場合は、加熱工程として乾燥工程と焼成工程を行うことでポリイミド皮膜が形成される。
塗布液調製工程では、下層、中間層、上層をそれぞれ形成するための樹脂又は樹脂前駆体と導電剤粒子とを含む塗布液をそれぞれ調製する。
樹脂又は樹脂前駆体を溶解しうる溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等)が用いられ、この溶剤に樹脂又は樹脂前駆体を溶解し、導電剤粒子を分散して、塗布液が調製される。
塗布液調製工程では、導電剤粒子の分散性を高める点から、ジェットミル又はホモジナイザー等の衝突型分散機を利用して塗布液を調製することがよく、特に、ジェットミルを用いることが好ましい。
例えば、ジェットミルによる分散回数(通過回数)を5回以上(好ましくは、10回以上)繰り返すことが好ましい。
ここで用いられる分散助剤としては、界面活性剤が挙げられ、特にアニオン性界面活性剤が好適である。
前述のようにして得られた各層を形成するための塗布液は、公知の塗布法により、円筒状又は円柱状の芯体の外周面に塗布される。塗布法としては、回転塗布法、浸漬塗布法、遠心塗布法、スプレー塗布法等が挙げられる。
続いて、塗布膜を乾燥させる。
乾燥条件は、塗布膜の組成(特に樹脂の種類や溶剤の種類)に応じて、決定すばよい。
塗布液の乾燥後、樹脂の種類によっては、必要に応じて焼成がなされる。
例えば、塗布液中の樹脂成分がポリイミドの前駆体であるポリアミック酸である場合には、焼成工程を行うことでイミド転化を行う。
この際、加熱温度は、イミド転化を生じさせ、ポリアミック酸の変性を抑制する観点から、例えば、290℃以上350℃以下が好ましく、295℃以上320℃以下がより好ましい。なお、この条件内にて段階的に昇温して加熱してもよい。
本実施形態に係る転写ベルトユニットは、前記本実施形態に係る転写ベルトと、前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置に脱着される構成を有する。
本実施形態に係る転写ベルトユニット130は、図3に示すように、本実施形態に係る転写ベルト10を備えており、例えば、転写ベルト10は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている。
ここで、本実施形態に係る転写ベルトユニット130は、転写ベルト10を中間転写体として適用させる場合、転写ベルト10を支持するロールとして、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト10上に一次転写させるためのロールと、転写ベルト10上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に二次転写させるためのロールが配置される。
なお、転写ベルト10を支持するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ベルトユニット130は、装置に組み込まれて使用され、駆動ロール131、従動ロール132の回転に伴って転写ベルト10も回転する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記本実施形態に係る転写ベルトを含み、前記像保持体の表面に形成されたトナー像が前記転写ベルトの外周面に転写される中間転写体と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、前記転写ベルトの外周面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備える。
図4は、本実施形態に係る転写ベルトを用いた画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図4に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極である一次転写ロール103、記録媒体である用紙を供給する記録媒体収納部104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、背面ロール122、導電性ロール125、電極ロール126、クリーニングブレード131、用紙(束)141、用紙送りロール142、並びに搬送ロール143を備えてなる。ここで、中間転写ベルト102として、本実施形態に係る中間転写ベルトを備えている。
導電性ロール125は、図4に示したように感光体ドラム101の直下に配置していても、図示してはいないが、感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置させてもよい。
以上のようにして、画像が形成される。
図5において感光体(像保持体)79の表面を帯電する帯電ロール83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する一次転写ロール80、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリーナー84(クリーニング装置)、記録用紙(記録媒体)上のトナー像を定着する定着ロール72等が備えられる。感光体79と転写ロール80は、図5のように感光体直下からずれた位置に配置していても、感光体直下に配置(図示せず)していてもよい。ここで、中間転写ベルト86として、本実施形態に係る転写ベルトを用いる。
図5に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、背面ロール73、支持ロール74、二次転写ロール75、用紙経路76、記録媒体収納部77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの一次転写ロール80、駆動ロール81、転写ベルトクリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86等を主用な構成部材として含んでなる。
トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、反時計方向に回転する感光体79の表面を帯電ロール83により帯電した後、帯電した感光体79の表面にレーザー発生装置78(露光装置)によって潜像を形成する。次に、感光体79の表面に形成された潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、一次転写ロール80と感光体79との対向部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
以下において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
[中間転写ベルトの作製]
(下層用塗布膜の形成)
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Special Black 5:オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(A)を得た。
次いで、アルミニウム製円筒体の軸方向を水平にした状態で50rpmで回転させながら、円筒体の外周面にディスペンサーを介してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(A)を塗布し、厚みが0.15mmの塗布膜(A)を得た。
ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが31.5質量部になるようにカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(B)を調製した。アルミニウム製円筒体の軸方向を水平にした状態で50rpmで回転させながら、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(A)塗布膜の上に、ディスペンサーを介してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(B)を塗布し、厚みが0.07mmの塗布膜(B)を得た。
ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが20質量部になるようにカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(C)を調製した。アルミニウム製円筒体を50rpmで回転させながらカーボンブラック分散ポリイミド皮膜(A/B)の上にディスペンサーを介してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(C)を塗布し、厚みが0.42mmの塗布膜(C)を得た。
製造した無端ベルトを、369mmのベルト幅となるように両端部を切断し、外径366mm、幅369mm、膜厚100μm、上層単独膜厚65.5μm、中間層単独膜厚11μm、下層単独膜厚23.4μmの中間転写ベルト(1)を得た。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ポリイミド前駆体溶液におけるカーボンブラックの含有量又は各層の厚みを表1に示すように変更して各層を形成したこと以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを作製した。
なお、実施例3、4におけるベルトの総膜厚と各層の厚みは、塗布直後の塗布膜厚を変更して調整した。実施例3のベルト各膜厚52.5/8.8/18.7(μm)は、塗布直後の膜厚を各々0.34/0.06/0.12(mm)とし、実施例4のベルト各膜厚78.7/13.2/28.1(μm)は 、塗布直後の膜厚を各々0.50/0.08/0.18(mm)として調整した。
ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが23質量部になるように調製したカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(CA)を、実施例1の中間転写ベルトの作製と同様にして、アルミニウム製円筒体の軸方向を水平にした状態で50rpmで回転させながら円筒体の外周面にディスペンサーを介して塗布し、厚み0.20mmの塗布膜を得た。
円筒体の軸方向を水平にした状態で、15rpmで回転させながら145℃で30分間加熱乾燥させ、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜(CA)を得た。
円筒体の軸方向を水平にした状態で、15rpmで回転させながら145℃で30分間加熱乾燥させ、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜(CC)を得た。
製造した無端ベルトを、369mmのベルト幅となるように両端部を切断し、外径366mm、幅369mm、膜厚100μmの中間転写ベルト(C1)を得た。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ポリイミド前駆体溶液におけるカーボンブラックの含有量を表1に示すように変更して各層を形成したこと以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを作製した。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ポリイミド前駆体溶液における各層の厚みを表1に示すように変更して各層を形成したこと以外は実施例1と同様にして中間転写ベルトを作製した。
なお、実施例8のベルトにおける各層の厚み50/7.7/16.3(μm)は、塗布直後の膜厚を各々0.30/0.05/0.10(mm)とし、実施例9のベルトにおける各層の厚み85.3/14.3/30.4(μm)は、塗布直後の膜厚を各々0.55/0.09/0.20(mm)として調整した。
作製した各中間転写ベルトについて、以下のようにして、厚み、体積抵抗率、裏面抵抗率、及び表面抵抗率を測定した。
ベルトの厚さtは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用して測定した。
ベルト全体の体積抵抗率、裏面抵抗率、各層の表面抵抗率は、それぞれ、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのUR−100プローブ)を用い、既述の方法により、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出した。
−円弧状の画像抜け−
フルカラー複合機(700 Digital Color Press:富士ゼロックス社製)を改造した画質評価機(二次転写ロールを評価機本体内蔵の電源から切り離して、外部電源(TRek社製 MODEL 610D)に接続し、二次転写ロールに外部から直接電圧を印加できるように改造)に、各例で作製した中間転写ベルトを搭載した。 この画質評価機を用い、A3用紙(OSコート127gsm紙:富士ゼロックス社製)にハーフトーンパターン1(黒色80%)で画像を形成した。画像形成は28℃、85RH%の環境下、用紙の搬送速度440mm/sで30枚連続して実施した。
G1:わずかに円弧状の画像抜けの発生が見られる(許容レベル内)
G2:円弧状の画像抜けの発生が見られる(許容レベル内)
G3:円弧状の画像抜けの発生が容易に確認できる(許容レベル内)
G4:円弧状の画像抜けの発生が確認でき、許容できないレベル
G5:円弧状の画像抜けの発生が顕著になり許容レベルを大きく超える
10A 下層
10B 中間層
10C 上層
72 定着ロール(定着手段)
75 二次転写ロール(二次転写手段)
78 レーザー発生装置(露光手段)
79 感光体(像保持体)
80 一次転写ロール(一次転写手段)
83 帯電ロール(帯電手段)
85 現像器(現像手段)
86 中間転写ベルト
101 感光体ドラム(像保持体)
102 中間転写ベルト
103 一次転写ロール(一次転写手段)
105、106、107、108 現像装置
122 背面ロール(二次転写手段)
125 導電性ロール(二次転写手段)
126 電極ロール(二次転写手段)
Claims (5)
- 内周面側から下層、中間層及び上層が積層された積層構造を有し、ベルト全体の体積抵抗率が10LogΩ・cm以上14LogΩ・cm以下、ベルト内周面の表面抵抗率が9LogΩ/□以上13LogΩ/□以下、前記上層単独の表面抵抗率及び前記下層単独の表面抵抗率がそれぞれ10LogΩ/□以上、前記中間層単独の表面抵抗率が2LogΩ/□以上10LogΩ/□以下であり、且つ、各層の表面抵抗率が下記(1)の関係を満たす転写ベルト。
(1)中間層の表面抵抗率<下層の表面抵抗率≦上層の表面抵抗率 - ベルト全体の厚みが80μm以上120μm以下であり、前記ベルト全体の厚みに対し、前記上層の厚みの割合が62%以上80%以下、前記中間層の厚みの割合が10%以上13%以下、前記下層の厚みの割合が10%以上25%以下であり、且つ、各層の厚みが下記(2)の関係を満たす請求項1に記載の転写ベルト。
(2)中間層の厚み≦下層の厚み<上層の厚み - 請求項1又は請求項2に記載の転写ベルトと、
前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、
を備え、画像形成装置に脱着される転写ベルトユニット。 - 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
請求項1又は請求項2に記載の転写ベルトを含み、前記像保持体の表面に形成されたトナー像が前記転写ベルトの外周面に転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写ベルトの外周面に一次転写する一次転写手段と、
前記転写ベルトの外周面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。 - 前記記録媒体を搬送する速度が、350mm/s以上である請求項4に記載の画像形成装置。
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