JP6424526B2 - 半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 - Google Patents

半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置に関する。
例えば、特許文献1には、「熱可塑性樹脂と該熱可塑性樹脂に対して19質量%以上、30質量%以下のアセチレンブラックとを含み、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である半導電性フィルムであって、該半導電性フィルムの断面で観察される該アセチレンブラックの粒子数密度が20個/μm以上であり、且つ、該アセチレンブラックの平均隣接壁面間距離が120nm以下であることを特徴とする半導電性フィルム」が開示されている。
また、特許文献2には、「ポリエーテルエーテルケトンとポリエーテルエーテルケトンに分散されてなるカーボンブラックとを含む電子写真用のベルトの電気抵抗の経時安定性の評価方法であって、該ベルトの切断面から観察されるカーボンブラック粒子の個数平均粒子径を求め、カーボンブラック粒子の平面重心座標値を中心として半径1.2μmの円形の範囲におけるRipleyのL関数を求め、該L関数の分布様式を判定する工程を含むことを特徴とする電子写真用のベルトの電気抵抗の経時安定性の評価方法。」が開示されている。この評価方法によれば、電子写真用ベルトの断面における2次元でのカーボンブラックの分散状態が確認される。
特開2012−133220号公報 特開2012−177811号公報
本発明の課題は、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下である半導電性フィルムであって、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる半導電性フィルムを提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。
請求項1に係る発明は、
樹脂と導電剤粒子とを含み、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出された導電パス数が110以上である半導電性フィルムである。
請求項2に係る発明は、
前記導電剤粒子が凝集体として含まれ、該凝集体の平均粒径が45nm以下である請求項1に記載の半導電性フィルムである。
請求項3に係る発明は、
前記導電剤粒子がカーボンブラックである請求項1又は請求項2に記載の半導電性フィルムである。
請求項4に係る発明は、
前記樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導電性フィルムである。
請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である中間転写ベルトである。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である用紙搬送ベルト。
請求項7に係る発明は、
請求項5に記載の中間転写ベルト、及び、請求項6に記載の用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える電子写真方式の画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、導電パス数が110未満である、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満である、又は、導電パス数が110未満且つ体積抵抗率が1×1012Ω・cmを超える場合に比べ、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる半導電性フィルムが提供される。
請求項2に係る発明によれば、凝集体の粒径が45nmを超える場合に比べ、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制しうる半導電性フィルムが提供される。
請求項3に係る発明によれば、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる、導電剤粒子としてカーボンブラックを含む半導電性フィルムが提供される。
請求項4に係る発明によれば、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる、樹脂として前記した群より選択される樹脂を含む半導電性フィルムが提供される。
請求項5、又は請求項6に係る発明によれば、導電パス数が110未満である、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満である、又は、導電パス数が110未満且つ体積抵抗率が1×1012Ω・cmを超える半導電性フィルムを用いた場合に比べ、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる中間転写ベルト、又は用紙搬送ベルトが提供される。
請求項7に係る発明によれば、導電パス数が110未満である、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満である、又は、導電パス数が110未満且つ体積抵抗率が1×1012Ω・cmを超える半導電性フィルムを用いた中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える場合に比べ、画像濃度ムラの発生を抑制し、前の画像形成サイクルの履歴が次の画像形成サイクルに画像として顕在化する現象(以降、ゴーストと称する)の発生を低減させうる画像形成装置が提供される。
円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。 複数の導電パスの求め方を説明するための模式図である。 本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた中間転写ベルトを備えた画像形成装置の概略図である。 本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた用紙搬送ベルトとして備えた画像形成装置の概略図である。 本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた中間転写ベルトとして備えた画像形成装置の概略図である。 実施例の評価に用いる、ゴーストチャート(A)及びゴースト評価チャート(B)を示す図である。
以下、本発明の一例である実施形態について図面を参照しつつ説明する。
<半導電性フィルム>
本実施形態に係る半導電性フィルムは、樹脂と導電剤粒子とを含み、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出された導電パス数が110以上である半導電性フィルムである。
ここで、導電パスとは、樹脂中に導電剤粒子が分散している状態である半導電性フィルムにおいて、この半導電性フィルムを流れる電流のパス(経路)である。また、導電パス数とは、後述する厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出されたものであって、半導電性フィルムの1μm(縦)×1μm(横)×0.5μm(厚み)の3次元領域における電流のパスの総数である。
上記のような構成を有することで、本実施形態に係る半導電性フィルムは、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下の範囲で高抵抗でありつつ、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性に優れるものである。
その理由は明確ではないが、以下のように推測されている。
体積抵抗率が1×1Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下の範囲の半導電性フィルムは、電子写真方式の画像形成装置(以下、単に「画像形成装置」と称する)における中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、冷却ベルト等に、また、駆動ベルト、ラミネートベルト、電気絶縁材、配管被覆材、電磁波絶縁材、熱源絶縁体、電磁波吸収フィルム、フレキシブル基板、液晶ディスプレイのブラックマトリックス材料、遮光フィルム等に用いられる。
特に、プロセススピードの速い画像形成装置(所謂高速機、例えばプロセススピード400mm/s以上)において、高品質の画像を形成する点からは、上記の範囲の体積抵抗率を有する半導電性フィルムが適用された中間転写ベルトが好適である。このような高速機では、中間転写ベルトに印加される電圧が高くなるため、放電時の過大電流の突き抜けによる微細な白点(マイクロホワイトスポット)が画像に生じ易い。そこで、この微細な白点の発生を抑制するため、上記のような体積抵抗率の半導電性フィルムを中間転写ベルトに適用することがよい。
半導電性フィルムは、通常、樹脂中に導電剤粒子が分散してなるものであって、かかる導電性粒子の含有量、粒径(凝集体の粒径)、分散性等により体積抵抗率が調整される。
しかしながら、単に樹脂中に導電剤粒子を分散させたのみで、本実施形態でいう「導電パス数」が少ないと、電圧の印加が繰り返されると、装置内での放電により、半導電性フィルム内への負荷及び通電による負荷が一部に集中し、樹脂の絶縁破壊が起きることで、表面抵抗率が低下してしまうことがあった。
一方、半導電性フィルムは、上記のような用途を考慮すれば、表面抵抗率の低下を抑制することに加え、帯電状態が速やかに減衰する、所謂、除電性に優れることが望まれる。
そこで、本実施形態の半導電性フィルムは、体積抵抗率が上記の範囲であって高抵抗であって、更に、「導電パス数」といった指標を用い、この導電パス数が多い(110以上)ことを特徴としている。
この導電パス数は、電流のパスを半導電性フィルムの断面の2次元で捉えるではなく、3次元で捉えたものである。そのため、半導電性フィルムに対する電圧の印加方向が、かかる半導電性フィルムの厚み方向と平行とならなくとも、電流の流れが阻害されることが少ない。
このようなことから、体積抵抗率が上記の範囲内にありつつ、導電パス数が多いことで、導電剤粒子の量及びその分散性が好適であることになり、半導電性フィルム内での放電による負荷及び通電による負荷が分散することから、樹脂の絶縁破壊が抑制される。また、半導電性フィルムの表面に帯電した電荷も、多くの導電パスを通じて除電し易くなる。
これらの結果、電圧の印加が繰り返されても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる半導電性フィルムとなると推測される。
ここで、従来の、2次元でのカーボンブラックの分散状態が特定された半導電性フィルム(前記特許文献1に記載)やベルト(前記特許文献2に記載)は、電界方向を考慮しておらず、異方性、導電パスという考え方がなく、また、空間内に分布があるときボトルネックが存在し、導電パスを形成できないこともあり、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、導電パス数が110以上である、といった条件を満たすものではない。
その結果、本実施形態に係る半導電性フィルムのように、電圧の印加を繰り返したときの表面抵抗率の低下が抑制されない。
〔体積抵抗率〕
本実施形態に係る半導電性フィルムは、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、好ましくは5×10以上5×1010以下であり、より好ましくは5×10以上5×10以下である。
半導電性フィルムの体積抵抗率は、樹脂の種類、導電剤粒子の種類、含有量、分散性等により調整される。
体積抵抗率がこの範囲であることで、先に列記したような用途(電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルトや用紙搬送ベルト等)に適用しうる。
前記したように、本実施形態に係る半導電性フィルムを高速機の中間転写ベルトに適用した場合、体積抵抗率が1×10Ω・cm未満であると、高い電圧が印加された際に放電痕ができ、画像には、この放電痕による微細な白点(マイクロホワイトスポット)が生じてしまうことがある。
一方、体積抵抗率が1×1012Ω・cmを超えると、ゴーストレベルが悪化する。
ここで、半導電性フィルムの表面抵抗率及び体積抵抗率は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用い、JIS K 6911に従って測定する。
具体的には、図面を用いて説明する。
まず、表面抵抗率の測定方法は以下の通りである。
図1は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間にベルトTを支持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、半導電性フィルムTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
次に、体積抵抗率の測定方法について説明する。
体積抵抗率の測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図1に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’とを備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間にベルトTを支持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加した際に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式中、tは、半導電性フィルムTの厚さを示す。
式ρv=2.011×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
ここで、上記式に示される19.6は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd/4tとして算出される。また、ベルトTの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定する。
〔導電パス数〕
次に、本実施形態に係る半導電性フィルムの導電パス数について説明する。
半導電性フィルムの導電パス数は、110以上であり、好ましくは115以上、より好ましくは120以上である。
また、導電パス数の上限値は、解析する体積領域、導電性粒子の大きさの点から、160である。
導電パス数が110未満であると、体積抵抗率が前記範囲内であっても、表面抵抗率が低下し、除電性も劣る。
このような導電パス数は、使用する樹脂の種類、導電性粒子の粒径、半導電性フィルムの製造工程における各種条件(分散条件、乾燥条件、焼成条件等)によって、調整しうる。
具体的な調整方法は、後述する、樹脂、導電剤粒子、及び半導電性フィルムの製造方法の説明の項にて合わせて説明する。
ここで、導電パス数は、以下のようにして算出されたものである。
(FIB−SEMによる導電剤粒子の可視化、及び導電剤粒子の座標情報の取得)
半導電性フィルムの任意の一箇所を幅1mmの短冊状に加工し、包埋処理を行う。その後、ミクロトームを用いて、断面加工を行い、ブロック断面を作製する。
作製したブロック断面をFIB−SEM用試料台に固定し、蒸着処理を施す。そして、FEI社製FIB−SEM Helios NanoLab 600iにてブロック断面表面のFIB加工、SEM観察を繰り返すことで、2次元スタッキング画像を得る。
この時、SEM観察は、半導電性フィルム中に分散する導電剤粒子(凝集体)が観察可能な拡大倍率で観察する。
得られた2次元スタッキング画像を、VSG社製3次元画像解析ソフトAvizo−Fireに導入し、3次元画像に再構成する。再構成した3次元画像から、半導電性フィルム中に分散する導電剤粒子の座標情報を取得する。
同時に、再構成した3次元画像による全ての導電剤粒子の体積に基づいて、導電剤粒子の平均直径を算出する。
(導電パス数の算出のアルゴリズム)
上記のような導電パス数を算出するためのアルゴリズムでは、まず、対象とする試料は直方体(例えば、縦1μm×横1μm×厚さ0.5μm)を想定する。また、試料は、樹脂と樹脂による媒質中に分散した導電剤粒子(凝集体)とから構成されることを前提とする。更に、導電剤粒子の分散状態は、前記した、FIB−SEM及び3次元画像解析により取得した導電剤粒子の座標情報(位置情報)を読み込むことで与えられたものとする。
本アルゴリズムでは、試料である直方体の上面(1μm×1μmの正方形)と、その面に対抗する下面に平板電極がそれぞれ接触しており、その電極間に電位差が与えられる状態を想定している。試料に電圧が印加された場合、電流は、導電剤粒子と導電剤粒子との間、すなわち樹脂中にも流れることを想定する。
電流の流れる流路は、最も電流が流れやすい粒子間を結ぶ経路であって、起点となる導電剤粒子と、この起点の導電剤粒子に対し、電界の向きに最も近い方向で、そして、最も近い距離に存在する導電剤粒子と、の間を結ぶ経路が選択されると仮定する。
最も電極に近い1つの導電剤粒子を起点とすれば、この起点から、最も電流が流れやすい隣接の導電剤粒子を次々に選択していくことにより、試料の、例えば上面から反対側の下面へと至る一本のパスが得られる。これを導電パスとする。
この導電パスは、一般に、一試料内に複数形成される。
複数の導電パスの求め方を図2に示す模式図を用いて説明する。
まず、起点となる各導電剤粒子について、それ以外のすべての導電剤粒子への距離を算出する。そして、起点となった導電材粒子を含み、且つ、電界の向きと直交する面を仮想面とした際、この仮想面よりも電界の向き方向の下流側(下方)に存在し、且つ、距離が最短となる導電剤粒子を選択する。ここで最短となる導電パスは、空間的な距離の要素と電界の向きの要素の重み付けで決定される。例えば、導電剤粒子間の距離の2乗を電界と導電剤粒子間の距離の内積で除した値が最小になる導電剤粒子を次の導電剤粒子として選択する(具体的には、下記式(1)参照。)。ここで、距離が最短となる粒子が2つ以上存在すれば、それぞれの粒子が選択され、起点となった導電材粒子から経路が分岐することになる。
式(1)中、i、j:粒子番号を表し、E:電界を表し、r:空間的距離を表し、θ:i、jの粒子が電界となす角を表す。
このような方法に従えば、図2では、粒子1に対して粒子3が、粒子2に対して粒子4が選択される。次に、粒子3及び粒子4に対しても同様の操作を行う。すると、粒子3に対して粒子5が、粒子4に対して粒子6が選ばれる。この操作を繰り返し、図2では、導電パス1と導電パス2との2つの導電パスが存在することになる。
なお、図2の粒子1を起点として、複数の導電パスが形成されることもあるし、また、粒子5から図示されない粒子9が選択される導電パスが形成されてもよい。
上記のアルゴリズムに基づき求められた、半導電性フィルムの縦1μm×横1μm×厚さ0.5μm領域における導電パスの総数を、本実施形態における「導電パス数」と定義する。
〔材料〕
続いて、半導電性フィルムを構成する材料について説明する。
半導電性フィルムは、樹脂及び導電剤粒子を含有し、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよい。
(樹脂)
半導電性フィルムに用いる樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂が用いられる。
具体的には、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポラセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等が挙げられる。
その中でも、半導電性フィルムの強度、耐久性、環境安定性、クリーニング性等の点から、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂がより好ましく、特に、ポリイミドが好ましい。
また、樹脂は、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
(導電剤粒子)
半導電性フィルムに用いる導電剤粒子としては、公知の粒子状の電子導電剤が用いられる。
導電剤粒子として具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体、酸化錫−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粒状物(粉末)が挙げられる。
中でも、コスト、塗布液生産性、塗布液安定性、フィルム強度、環境安定性の点から、カーボンブラックが好ましい。
導電材粒子は、種々の表面処理が施されていてもよい。
表面処理としては、樹脂コーティング処理、フッ素コーティング処理等の公知の表面処理が挙げられる。
この中でも、フッ素コーティング処理、樹脂コーティング処理は、導電剤粒子自体の導電性を低めることができる。
導電剤粒子自体の導電性が低まれば、より多くの導電材粒子を半導電性フィルムに含ませられ、その場合、1つの導電パスを流れる電流は少なくなるものの、導電パス数を多くしうる。
そのため、導電パス数を増やすためには、上記のような導電性を低める表面処理が施された導電材粒子を用いることが好ましい。
ここで、カーボンブラックとして具体的には以下のものが挙げられる。なお、カッコ内は、1次粒径及びpHである。
オリオンエンジニアドカーボンズ社製の「スペシャルブラック350(31nm、3.5)」、同「スペシャルブラック100(50nm、3.3)」、同「スペシャルブラック250(56nm、3.1)」、同「スペシャルブラック5(20nm、3.0)」、同「スペシャルブラック4(25nm、3.0)」、同「スペシャルブラック4A(25nm、3.0)」、同「スペシャルブラック550(25nm、2.8)」、同「スペシャルブラック6(17nm、2.5)」、同「カラーブラックFW200(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW2(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW2V(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW1(13nm、4.5)」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、キャボット社製「MOGUL−L」、キャボット社製「REGAL400R」等が挙げられる。
なお、導電性粒子は、半導電性フィルム中には凝集体として含まれることが好ましく、この凝集体の平均直径が45μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。また、凝集体の平均直径の下限値は、13μm以上である。
なお、凝集体の平均直径は、前記したように、再構成した3次元画像から求められたものである。
この範囲であることで、本実施形態に係る半導電性フィルムを中間転写ベルト(特に、高速機における中間転写ベルト)に適用した場合、微小な領域における画像濃度の低下が抑制される。
上記の直径の凝集体を得るためには、例えば、1次粒径が20nm以下の導電性粒子を用いることが好ましい。
導電剤粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電子導電剤の含有量は、体積抵抗率の値に合わせて決定されればよく、具体的には、例えば、樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることがよく、好ましくは15質量部以上40質量部以下である。
(樹脂と導電剤粒子との好ましい組み合わせ)
半導電性フィルム中の導電剤粒子の分散性及びその安定性を高める観点からは、以下のような樹脂と導電剤粒子との組み合わせが好ましい。
即ち、好ましい組み合わせとして具体的には、樹脂と導電剤粒子との間に、イオン性相互作用などの相互作用を形成しうる組み合わせが好ましく、例えば、塩基性官能基を有する樹脂と酸性の導電剤粒子との組み合わせが挙げられる。
より具体的には、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸として末端がアミノ基であるものを用い、これとpHのより低いカーボンブラックとを併用することが、イオン性の相互作用が形成され易い点で、好ましい。なお、末端がアミノ基であるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応の際、ジアミン化合物を多く用いることで合成しうる。
上記のような組み合わせの結果、導電剤粒子の分散性を向上させ、その分散性を安定化しうる。
(その他の材料)
その他の材料としては、例えば、可塑剤、硬化剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤などの通常の樹脂層に添加され得る材料が挙げられる。
また、電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルトや用紙搬送ベルトとして用いる場合には、反応抑制剤、金属触媒の他、界面活性剤、整泡剤、脱泡剤、難燃剤、顔料、染料、安定剤、制菌剤、充填剤など、物性制御のための添加剤を含んでいてもよい。
〔厚み〕
半導電性フィルムの厚みとしては、その用途に応じて決定すればよい。
例えば、単層にて電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトに適用する場合には、例えば、40μm以上120μm以下がよく、好ましくは60μm以上100μm以下である。
また、中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトが多層ベルトであり、その表面層として半導電性フィルムを用いる場合には、その厚み(表面層の厚み)は、例えば、10μm以上120μm以下がよく、好ましくは20μm以上80μm以下である。
〔半導電性フィルムの製造方法〕
半導電性フィルムは、樹脂及び導電剤粒子を含む塗布液を調製し(塗布液調製工程)、この塗布液を基材上に塗布し(塗布工程)、乾燥(乾燥工程)、必要に応じて焼成(焼成工程)することにより製造される。
以下、各工程について詳細に説明する。
(塗布液調製工程)
塗布液調製工程では、樹脂を溶解しうる溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等)が用いられ、この溶剤に樹脂を溶解し、導電材粒子を分散して、塗布液が調製される。
また、塗布液調製工程では、導電剤粒子の分散性を高める点から、ジェットミル又はホモジナイザー等の衝突型分散機を利用して塗布液を調製することがよく、特に、ジェットミルを用いることが好ましい。
なお、目的とする導電パス数とするためには、例えば、ジェットミルによる分散回数(通過回数)を5回以上(好ましくは、10回以上)繰り返すことが好ましい。
また、導電剤粒子の分散性を高め、導電パス数を多くする点から、塗布液に、分散助剤を添加してもよい。
ここで用いられる分散助剤としては、界面活性剤が挙げられ、特にアニオン性界面活性剤が好適である。
分散助剤の含有量としては、導電材粒子に対して0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上7質量%以下がより好ましく、2質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
(塗布工程)
前述のようにして得られた塗布液は、公知の塗布法により、基材などの被塗布物に対し塗布される。
中間転写ベルトや用紙搬送ベルトなど、無端ベルト状に成形する際には、回転塗布法、浸漬塗布法、遠心塗布法、スプレー塗布法等を用いればよい。
(乾燥工程)
続いて、塗布液を乾燥させる。
乾燥条件は、塗布液の組成(特に樹脂の種類や溶剤の種類)に応じて、決定されればよい。
(焼成工程)
塗布液の乾燥後、樹脂の種類によっては、必要に応じて焼成がなされる。
例えば、塗布液中の樹脂がポリイミドの前駆体であるポリアミック酸である場合には、焼成工程を行うことでイミド転化を行う。
この際、加熱温度は、イミド転化を生じさせ、ポリアミック酸の変性を抑制する観点から、例えば、290℃以上350℃以下が好ましく、295℃以上320℃以下がより好ましい。なお、この条件内にて段階的に昇温して加熱してもよい。
<その他の用途>
本実施形態の半導電性フィルムは、後述するように、電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、及び定着装置を通過した後の用紙を冷却するための冷却ベルトに好適であるが、その他、駆動ベルト、ラミネートベルト、電気絶縁材、配管被覆材、電磁波絶縁材、熱源絶縁体、電磁波吸収フィルム、フレキシブル基板、液晶ディスプレイのブラックマトリックス材料、遮光フィルム、などに使用し得る。
<中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置>
本実施形態に係る中間転写ベルト、又は用紙搬送ベルトは、前記した本実施形態に係る半導電性フィルムからなる単層体、又は、前記した本実施形態に係る半導電性フィルムを表面層として有する多層体である。
本実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置(以降、単に「画像形成装置」と称する)は、本実施形態に係る中間転写ベルト、及び、本実施形態に係る用紙搬送ベルトの少なくとも一方として備える。
本実施形態に係る中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトは、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れるものである。
そのため、これらの中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える画像形成装置によれば、多くの導電パスを有する半導電性フィルムの存在により、印加される電圧が高くなっても、放電痕が生じず、かかる放電痕による微細な白点(マイクロホワイトスポット)が画像に起こり難く、更に除電性に優れることに起因して、ゴーストの発生も低減しうる。
本実施形態に係る画像形成装置としては、例えば、感光体ドラム等の像保持体上に保持されたトナー像を中間転写体に順次1次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像装置を備えた複数の像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下に、本実施形態に係る画像形成装置の1例として、1次転写を繰り返すカラー画像形成装置を示す。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の1例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスロール103、記録媒体である用紙を供給する記録媒体収納部104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、背面ロール122、導電性ロール125、電極ロール126、クリーニングブレード131、用紙(束)141、用紙送りロール142、並びに搬送ロール143を備えてなる。ここで、中間転写ベルト102は、本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた中間転写ベルト(本実施形態に係る中間転写ベルト)である。
図3に示す画像形成装置において、感光体ドラム101は矢印F方向に回転し、図示しない帯電装置(帯電手段)でその表面が帯電される。帯電された感光体ドラム101にレーザー書込み装置などの画像書き込み手段(潜像形成手段)により、第一色(例えば、BK)の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置(現像手段)105によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは感光体ドラム101の回転で導電性ロール125が配置された1次転写部に到り、導電性ロール125からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより上記トナー像Tを静電的に中間転写ベルト102に吸着されつつ中間転写ベルト102の矢印G方向の回転で1次転写される。
導電性ロール125は、図3に示したように感光体ドラム101の直下に配置していても、図示してはいないが、感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置させてもよい。
なお、中間転写ベルト102は、前述の本実施形態に係る半導電性フィルムを用いてなるものである。そのため、導電性ロール125が感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置されて、1次転写の際の印加電圧が、中間転写ベルト102の厚み方向と平行とならなくとも、電流の流れが阻害されず、転写不良を起こし難い。
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され中間転写ベルト102において重ね合わせられて、多重トナー像が形成される。なお、このときのトナーは1成分系のものでもよいし2成分系のものでもよい。
中間転写ベルト102に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト102の回転でバイアスロール103が設置された2次転写部に到る。2次転写部は、中間転写ベルト102のトナー像が保持された表面側に設置されたバイアスロール103と該中間転写ベルト102の裏側からバイアスロールに対向して配置された背面ロール122及びこの背面ロール122に圧接して回転する電極ロール126から構成される。
用紙141は、記録媒体収納部104に収容された用紙束から用紙送りロール142で一枚ずつ取り出され、搬送ロール143で2次転写部の中間転写ベルト102とバイアスロール103との間に予め定められたタイミングで給送される。給送された用紙141には、バイアスロール103及び背面ロール122による圧接搬送と中間転写ベルト102の回転により、該中間転写ベルト102に保持されたトナー像が転写される。
トナー像が転写された用紙141は、最終トナー像の1次転写終了まで退避位置にある剥離爪113を作動せることにより中間転写ベルト102から剥離され、図示しない定着装置(定着手段)に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。なお、多重トナー像の用紙141への転写の終了した中間転写ベルト102は、2次転写部の下流に設けたベルトクリーナー109で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、バイアスロール103は、ポリウレタン等のクリーニングブレード131が接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
単色画像の転写の場合、1次転写されたトナー像Tを2次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が1次転写部で正確に合致するように中間転写ベルト102と感光体ドラム101との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。上記2次転写部では、バイアスロール103と中間転写ベルト102を介して対向配置した背面ロール122に圧接した電極ロール126にトナー像の極性と同極性の電圧を印加することで該トナー像を用紙141に静電反発で転写する。
以上のようにして、画像が形成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置における他の一例を示す。
図4に示す画像形成装置は、ユニットY、M、C、BKと、用紙搬送ベルト206と、転写ロール(転写手段)207Y、207M、207C、207BKと、用紙搬送ロール208と、定着器(定着手段)209とを備えている。ここで、用紙搬送ベルト206は、本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた用紙搬送ベルト(本実施形態に係る用紙搬送ベルト)である。
ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に予め定められた周速度(プロセススピード)をもって回転するようにそれぞれ感光体ドラム(像保持体)201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、スコロトロン帯電器(帯電手段)202Y、202M、202C、202BKと、露光器(潜像形成手段)203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(現像手段)(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラムクリーナー205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
ユニットY、M、C、BKは、用紙搬送ベルト206に対して4つ並列に、ユニットY、M、C、BKの順に配置されているが、ユニットBK、Y、C、Mの順等は、画像形成方法に合わせて適当な順序に設定してもよい。
用紙搬送ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転可能になっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその少なくとも一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。用紙搬送ベルト206には、ベルト用のクリーニング装置214が備えられている。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、用紙搬送ベルト206の内側であって、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、用紙搬送ベルト206を介してトナー画像を用紙(記録媒体)216に転写する転写領域(接触部分)を形成している。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、図4のように感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、図示してはいないが、直下からずれた位置に配置してもよい。
なお、用紙搬送ベルト206は、前述の本実施形態に係る半導電性フィルムを用いてなるものである。そのため、転写ロール207Y、207M、207C、207BKが、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKそれぞれの直下からずれた位置に配置されて、転写の際の印加電圧が、用紙搬送ベルト206の厚み方向と平行とならなくとも、電流の流れが阻害されず、転写不良を起こし難い。
定着装置209は、用紙搬送ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域(接触部分)を用紙216が通過した後に搬送されるように配置されている。
用紙搬送ロール208により、用紙216は用紙搬送ベルト206に搬送される。
図4に示す画像形成装置において、ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動してコロトロン帯電器202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を予め定められた極性・電位に帯電させる。表面が帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときのトナーは一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと用紙搬送ベルト206との転写領域(接触部分)を通過するときに、用紙216が静電的に用紙搬送ベルト206に吸着して転写領域(接触部分)まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写電圧により形成される電界により、用紙216の外周面に順次、転写される。
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラムクリーナー205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の転写サイクルに供される。
以上の転写サイクルは、ユニットC、M及びYでも同様に行われる。
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された用紙216は、更に定着装置209に搬送され、定着が行われる。
以上のようにして記録紙上に所望の画像が形成される。
次に、本実施形態に係る画像形成装置における他の一例を示す。
図5は、中間転写ベルト86を用いたタンデム式の画像形成装置の要部を説明する模試図である。
具体的には、図5において感光体(像保持体)79表面を帯電する帯電ロール83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する転写ロール80、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリーナー84(クリーニング装置)、記録用紙(記録媒体)上のトナー像を定着する定着ロール72等が備えられる。感光体79と転写ロール80は、図5のように感光体直下からずれた位置に配置していても、感光体直下に配置(図示せず)していてもよい。ここで、中間転写ベルト86として、本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた中間転写ベルト(本実施形態に係る中間転写ベルト)を用いる。
更に、図5に示す画像形成装置の構成について詳細に説明する。
図5に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、背面ロール73、張架ロール74、2次転写ロール75、用紙経路76、記録媒体収納部77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの1次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86等を主用な構成部材として含んでなる。
まず、感光体79の周囲には、反時計回りに帯電ロール83、現像器85、中間転写ベルト86を介して配置された1次転写ロール80、感光体クリーナー84が配置され、これら1組の部材が、1つの色に対応した現像ユニットを形成している。また、この現像ユニット毎に、現像器85に現像剤を補充するトナーカートリッジ71がそれぞれ設けられており、各現像ユニットの感光体79に対して、帯電ロール83と現像器85との間の感光体79表面に画像情報に応じたレーザー光を照射するレーザー発生装置78が設けられている。
4つの色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応した4つの現像ユニットは、画像形成装置内において水平方向に直列に配置されており、4つの現像ユニットの感光体79と1次転写ロール80との接触部分を挿通するように中間転写ベルト86が設けられている。中間転写ベルト86は、その内周側に以下の順序で反時計回りに設けられた、背面ロール73、張架ロール74、及び駆動ロール81により張架されている。また、中間転写ベルト86を介して駆動ロール81の反対側には中間転写ベルト86の外周面をクリーニングする転写クリーナー82が駆動ロール81に対して圧接するように設けられている。
また、中間転写ベルト86を介して背面ロール73の反対側には記録媒体収納部77から用紙経路76を経由して搬送される記録用紙の表面に、中間転写ベルト86の外周面に形成されたトナー像を転写するための2次転写ロール75が、背面ロール73に対して圧接するように設けられている。
また、画像形成装置の底部には記録用紙をストックする記録媒体収納部77が設けられ、記録媒体収納部77から用紙経路76を経由して2次転写部を構成する背面ロール73と2次転写ロール75との圧接部を通過するように記録用紙が供給される。この圧接部を通過した記録用紙は更に1対の定着ロール72の圧接部を挿通するように不図示の搬送手段により搬送され、最終的に画像形成装置外へと排出される。
次に、図5の画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。
トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
各色の現像ユニット毎に現像されたトナー像は、画像情報に対応するように中間転写ベルト86の外周面上に順次重ね合わされた状態で、2次転写部に運ばれ2次転写ロール75により、記録媒体収納部77から用紙経路76を経由して搬送されてきた記録用紙表面に転写される。トナー像が転写された記録用紙は、更に定着部を構成する1対の定着ロール72の圧接部を通過する際に加圧加熱されることにより定着され、記録媒体表面に画像が形成された後、画像形成装置外へと排出される。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
<実施例1:中間転写ベルトの作製>
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1(一次粒径13nm、pH4.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(A)を得た。
得られた分散液(A)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部になるよう添加し、プラネタリー式ミキサー(アイコーミキサー:愛工舎製作所製)を用いて混合・攪拌することにより、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(1)を調製した。
次に、内径366mm、長さ600mm、肉厚6mmのアルミニウム製円筒体を用意した。この円筒体の外面にシリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学工業製)を塗布し、300℃で1時間焼き付け処理を施してアルミニウム製円筒体を作製した。
このアルミニウム製円筒体を水平にし、50rpmで回転させながら、かかるアルミニウム製円筒体の外面に口径2.4mmのディスペンサーを介してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(1)を吐出させつつ、ブレードにて予め定められた圧力で押し付け、塗布を行った。このとき、ディスペンサーユニットをアルミニウム製円筒体の軸方向に移動させることによって、アルミニウム製円筒体上に螺旋状にカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(1)を塗布した。これにより、厚み0.5mmの均一な塗布膜を得た。
塗布膜を有するアルミニウム製円筒体を水平のまま、15rpmで回転させながら145℃で30分間加熱乾燥させ、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体乾燥膜を得た。
その後、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。
得られたカーボンブラックポリイミド皮膜を、369mmの幅で切断し、外径366mm、幅369mm、膜厚80μmの中間転写ベルト(1)を得た。
この中間転写ベルト(1)の体積抵抗率は5×10Ω・cmであり、導電パス数は130、カーボンブラック凝集体の平均直径は35nmであった。
<実施例2>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、フッ素化処理を施したカーボンブラック(Color Black FW1(一次粒径13nm、pH4.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、分散液(B)を作製し、この分散液(B)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(2)を得た。
この中間転写ベルト(2)の体積抵抗率は5×10Ω・cmであり、導電パス数は135、カーボンブラック凝集体の平均直径は30nmであった。
<実施例3>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(FW1)を、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Special Black 5(一次粒径20nm、pH3.0):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、分散液(C)を作製し、この分散液(C)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが26量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(3)を得た。
この中間転写ベルト(3)の体積抵抗率は5×10Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
<実施例4>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが21質量部になるように、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(2)を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(4)を得た。
この中間転写ベルト(4)の体積抵抗率は1×1012Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
<実施例5>
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数を「X」とし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数を「Y」とする時、Y/X=0.965となるように重合したポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Color Black FW200(一次粒径13nm、pH2.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(D)を得た。
この分散液(D)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数を「X」とし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数を「Y」とする時、Y/X=0.965となるように重合したポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(5)を得た。
この中間転写ベルト(5)の体積抵抗率は5×10Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は42nmであった。
<実施例6>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、カーボンブラック(Color Black FW1(一次粒径13nm、pH4.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、NMP溶液中に、かかるカーボンブラックと共に、有効成分がカーボンブラックに対し4質量%になる量のフッ素系アニオン性界面活性剤(メガファック(登録商標)F−511:DIC社製)を添加した以外は、実施例1と同様にして、分散液(E)を得た。
この分散液(E)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(6)を得た。
この中間転写ベルト(6)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は120、カーボンブラック凝集体の平均直径は37nmであった。
<実施例7>
実施例6の中間転写ベルトの作製において、フッ素系アニオン性界面活性剤(メガファック(登録商標)F−511:DIC社製)の添加量を、有効成分がカーボンブラックに対し1質量%となる量に変えた以外は、実施例6と同じ手順で中間転写ベルト(7)を得た。
この中間転写ベルト(7)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は43nmであった。
<実施例8>
実施例6の中間転写ベルトの作製において、フッ素系アニオン性界面活性剤(メガファック(登録商標)F−511:DIC社製)の添加量を、有効成分がカーボンブラックに対し7質量%となる量に変えた以外は、実施例6と同じ手順で中間転写ベルト(8)を得た。
この中間転写ベルト(8)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
<実施例9>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ジェットミル分散機の分散ユニット部の通過回数を5回とした以外は、実施例1と同じ手順で中間転写ベルト(9)を得た。
この中間転写ベルト(9)の体積抵抗率は5×10Ω・cmであり、導電パス数は115、カーボンブラック凝集体の平均直径は40nmであった。
<実施例10>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Special Black 350(一次粒径31nm、pH3.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更して分散液(F)を作製し、この分散液(F)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが30質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(10)を得た。
この中間転写ベルト(10)の体積抵抗率は5×10Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は60nmであった。
<比較例1>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、樹脂コーティングなしのカーボンブラック(Special Black 5(一次粒径20nm、pH3.0):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、分散液(G)を作製し、この分散液(G)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが20質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C1)を得た。
この中間転写ベルト(C1)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は60、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
<比較例2>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、分散液(A)を比較例1で用いた分散液(G)に変更し、この分散液(G)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが17質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C2)を得た。
この中間転写ベルト(C2)の体積抵抗率は1×1013Ω・cmであり、導電パス数は35、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
<比較例3>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、分散液(A)を比較例1で用いた分散液(G)に変更し、この分散液(G)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが28質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C3)を得た。
この中間転写ベルト(C3)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は180、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
<比較例4>
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ジェットミル分散機の分散ユニット部の通過回数を3回とした以外は、実施例1と同じ手順で中間転写ベルト(C4)を得た。
この中間転写ベルト(C4)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は95、カーボンブラック凝集体の平均直径は55nmであった。
<比較例5>
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数を「X」とし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数を「Y」とする時、Y/X=1.035となるように重合したポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Color Black FW200(一次粒径13nm、pH2.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(H)を得た。
この分散液(H)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数X、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数Yとする時、Y/X=0.965となるように重合したポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C5)を得た。 この中間転写ベルト(C5)の体積抵抗率は1×10Ω・cmであり、導電パス数は98、カーボンブラック凝集体の平均直径は50nmであった。
[評価]
作製した各中間転写ベルトについて、以下のようにして、表面抵抗率の低下量及び除電性を評価した。
評価結果を表1に示す。
(表面抵抗率の低下量)
作製した各中間転写ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置「700 Digital Color Press(中間転写ベルトを備える中間転写方式の装置)改造機」にそれぞれ組み込んだ。
この装置を用いて、10℃/15%RH環境下で、A3サイズ用紙(富士ゼロックス社製Xerox Color Xpression Elite)に、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を両面で100000枚出力した。
出力前後での中間転写ベルトの表面抵抗率の差を、表面抵抗率の低下量(LogΩ/□)とした。
(除電性の評価)
作製した各中間転写ベルトを2枚の金属電極に挟み、−500V、30秒電圧印加した後、ベルト表面電位の変化を測定した。
電圧印加終了直後の表面電位をV(0s)、印加終了5秒後の表面電位をV(5s)とする時、[V(0s)−V(5s)]/V(0s)を帯電減衰率とした。
帯電減衰率が高いほど除電性に優れることを意味し、この帯電減衰率の値を除電性の指標とした。
(画質評価)
・濃度ムラの評価
作製した各中間転写ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置「700 Digital Color Press(中間転写ベルトを備える中間転写方式の装置)改造機」にそれぞれ組み込んだ。
この装置を用いて、10℃/15%RH環境下で、A3サイズ用紙(富士ゼロックス社製Xerox Color Xpression Elite)に、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を両面で100000枚出力した。
その後、更に同じA3サイズ用紙に、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を出力し、その画像の濃度ムラについて目視にて評価した。
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G0:濃度ムラは確認されなかった。
G1:A3サイズ用紙の端部にて、微小な領域での濃度低下が確認された(画質上、許容の範囲)。
G2:濃度ムラが確認された。
・ゴーストの評価
濃度ムラの評価に用いた改造機にて、21℃/10%RH環境下で、用紙にOSコート紙W(富士ゼロックス社製、坪量127g/m)、を用い、動作モードをモノクロモード(BK以外の一次転写ロールは中間転写ベルトとは離間している)にし、1サイクル目で図6(A)に示すゴーストチャート(画像濃度20%〜70%)を出力し、2サイクル目で図6(B)に示すゴースト評価チャート(画像濃度40%、70%、及び100%)を出力した。
出力したゴースト評価チャートにおいて、ゴースト有無を確認し、グレード付をした。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G0:ゴーストの発生が確認されない。
G1:ゴーストの発生が非常に軽微ではあるが確認された。
G2:ゴーストの発生が軽微に確認された。
G3:ゴーストの発生が確認された。
G4:ゴーストの発生が多く確認された。
G5:ゴーストの発生が非常に多く確認された。
上記結果から、本実施例では、比較例1、2、4、及び5に比べ、表面抵抗率の低下量が少ない。また、本実施例では、比較例1及び2に比べ、帯電減衰率が高く、除電性が良好であることも分かる。更に、本実施例では、比較例1、2、4、及び5に比べ、画像濃度ムラ及びゴーストの画質評価について良好な結果が得られることが分かる。
なお、比較例3は、導電剤粒子が多く含まれており、導電パス数が110を超えていることで、表面抵抗率の低下量が少なく、帯電減衰率が高く、更に、画像濃度ムラ及びゴーストの画質評価について良好な結果が得られている。しかし、比較例3の中間転写ベルトは体積抵抗率が1×10Ω・cmよりも低いため、放電時の過大電流の突き抜けによる微細な白点(マイクロホワイトスポット)が発生した。
102、86 中間転写ベルト
206 用紙搬送ベルト

Claims (7)

  1. 樹脂と導電剤粒子とを含み、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出された導電パス数が110以上である半導電性フィルム。
  2. 前記導電剤粒子が凝集体として含まれ、該凝集体の平均粒径が45nm以下である請求項1に記載の半導電性フィルム。
  3. 前記導電剤粒子がカーボンブラックである請求項1又は請求項2に記載の半導電性フィルム。
  4. 前記樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導電性フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である中間転写ベルト。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である用紙搬送ベルト。
  7. 請求項5に記載の中間転写ベルト、及び、請求項6に記載の用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える電子写真方式の画像形成装置。
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