JP6424526B2 - 半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 - Google Patents
半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6424526B2 JP6424526B2 JP2014185203A JP2014185203A JP6424526B2 JP 6424526 B2 JP6424526 B2 JP 6424526B2 JP 2014185203 A JP2014185203 A JP 2014185203A JP 2014185203 A JP2014185203 A JP 2014185203A JP 6424526 B2 JP6424526 B2 JP 6424526B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- intermediate transfer
- semiconductive film
- transfer belt
- belt
- image
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Electrophotography Configuration And Component (AREA)
- Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)
Description
樹脂と導電剤粒子とを含み、体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出された導電パス数が110以上である半導電性フィルムである。
前記導電剤粒子が凝集体として含まれ、該凝集体の平均粒径が45nm以下である請求項1に記載の半導電性フィルムである。
前記導電剤粒子がカーボンブラックである請求項1又は請求項2に記載の半導電性フィルムである。
前記樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導電性フィルムである。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である中間転写ベルトである。
請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である用紙搬送ベルト。
請求項5に記載の中間転写ベルト、及び、請求項6に記載の用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える電子写真方式の画像形成装置である。
請求項3に係る発明によれば、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる、導電剤粒子としてカーボンブラックを含む半導電性フィルムが提供される。
請求項4に係る発明によれば、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる、樹脂として前記した群より選択される樹脂を含む半導電性フィルムが提供される。
本実施形態に係る半導電性フィルムは、樹脂と導電剤粒子とを含み、体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出された導電パス数が110以上である半導電性フィルムである。
ここで、導電パスとは、樹脂中に導電剤粒子が分散している状態である半導電性フィルムにおいて、この半導電性フィルムを流れる電流のパス(経路)である。また、導電パス数とは、後述する厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出されたものであって、半導電性フィルムの1μm(縦)×1μm(横)×0.5μm(厚み)の3次元領域における電流のパスの総数である。
上記のような構成を有することで、本実施形態に係る半導電性フィルムは、体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下の範囲で高抵抗でありつつ、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性に優れるものである。
その理由は明確ではないが、以下のように推測されている。
特に、プロセススピードの速い画像形成装置(所謂高速機、例えばプロセススピード400mm/s以上)において、高品質の画像を形成する点からは、上記の範囲の体積抵抗率を有する半導電性フィルムが適用された中間転写ベルトが好適である。このような高速機では、中間転写ベルトに印加される電圧が高くなるため、放電時の過大電流の突き抜けによる微細な白点(マイクロホワイトスポット)が画像に生じ易い。そこで、この微細な白点の発生を抑制するため、上記のような体積抵抗率の半導電性フィルムを中間転写ベルトに適用することがよい。
しかしながら、単に樹脂中に導電剤粒子を分散させたのみで、本実施形態でいう「導電パス数」が少ないと、電圧の印加が繰り返されると、装置内での放電により、半導電性フィルム内への負荷及び通電による負荷が一部に集中し、樹脂の絶縁破壊が起きることで、表面抵抗率が低下してしまうことがあった。
一方、半導電性フィルムは、上記のような用途を考慮すれば、表面抵抗率の低下を抑制することに加え、帯電状態が速やかに減衰する、所謂、除電性に優れることが望まれる。
この導電パス数は、電流のパスを半導電性フィルムの断面の2次元で捉えるではなく、3次元で捉えたものである。そのため、半導電性フィルムに対する電圧の印加方向が、かかる半導電性フィルムの厚み方向と平行とならなくとも、電流の流れが阻害されることが少ない。
このようなことから、体積抵抗率が上記の範囲内にありつつ、導電パス数が多いことで、導電剤粒子の量及びその分散性が好適であることになり、半導電性フィルム内での放電による負荷及び通電による負荷が分散することから、樹脂の絶縁破壊が抑制される。また、半導電性フィルムの表面に帯電した電荷も、多くの導電パスを通じて除電し易くなる。
これらの結果、電圧の印加が繰り返されても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れる半導電性フィルムとなると推測される。
その結果、本実施形態に係る半導電性フィルムのように、電圧の印加を繰り返したときの表面抵抗率の低下が抑制されない。
本実施形態に係る半導電性フィルムは、体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、好ましくは5×106以上5×1010以下であり、より好ましくは5×107以上5×109以下である。
半導電性フィルムの体積抵抗率は、樹脂の種類、導電剤粒子の種類、含有量、分散性等により調整される。
体積抵抗率がこの範囲であることで、先に列記したような用途(電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルトや用紙搬送ベルト等)に適用しうる。
一方、体積抵抗率が1×1012Ω・cmを超えると、ゴーストレベルが悪化する。
具体的には、図面を用いて説明する。
まず、表面抵抗率の測定方法は以下の通りである。
図1は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図1に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間にベルトTを支持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、半導電性フィルムTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
体積抵抗率の測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図1に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’とを備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間にベルトTを支持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加した際に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式中、tは、半導電性フィルムTの厚さを示す。
式ρv=2.011×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
ここで、上記式に示される19.6は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd2/4tとして算出される。また、ベルトTの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定する。
次に、本実施形態に係る半導電性フィルムの導電パス数について説明する。
半導電性フィルムの導電パス数は、110以上であり、好ましくは115以上、より好ましくは120以上である。
また、導電パス数の上限値は、解析する体積領域、導電性粒子の大きさの点から、160である。
導電パス数が110未満であると、体積抵抗率が前記範囲内であっても、表面抵抗率が低下し、除電性も劣る。
具体的な調整方法は、後述する、樹脂、導電剤粒子、及び半導電性フィルムの製造方法の説明の項にて合わせて説明する。
ここで、導電パス数は、以下のようにして算出されたものである。
半導電性フィルムの任意の一箇所を幅1mmの短冊状に加工し、包埋処理を行う。その後、ミクロトームを用いて、断面加工を行い、ブロック断面を作製する。
作製したブロック断面をFIB−SEM用試料台に固定し、蒸着処理を施す。そして、FEI社製FIB−SEM Helios NanoLab 600iにてブロック断面表面のFIB加工、SEM観察を繰り返すことで、2次元スタッキング画像を得る。
この時、SEM観察は、半導電性フィルム中に分散する導電剤粒子(凝集体)が観察可能な拡大倍率で観察する。
得られた2次元スタッキング画像を、VSG社製3次元画像解析ソフトAvizo−Fireに導入し、3次元画像に再構成する。再構成した3次元画像から、半導電性フィルム中に分散する導電剤粒子の座標情報を取得する。
同時に、再構成した3次元画像による全ての導電剤粒子の体積に基づいて、導電剤粒子の平均直径を算出する。
上記のような導電パス数を算出するためのアルゴリズムでは、まず、対象とする試料は直方体(例えば、縦1μm×横1μm×厚さ0.5μm)を想定する。また、試料は、樹脂と樹脂による媒質中に分散した導電剤粒子(凝集体)とから構成されることを前提とする。更に、導電剤粒子の分散状態は、前記した、FIB−SEM及び3次元画像解析により取得した導電剤粒子の座標情報(位置情報)を読み込むことで与えられたものとする。
本アルゴリズムでは、試料である直方体の上面(1μm×1μmの正方形)と、その面に対抗する下面に平板電極がそれぞれ接触しており、その電極間に電位差が与えられる状態を想定している。試料に電圧が印加された場合、電流は、導電剤粒子と導電剤粒子との間、すなわち樹脂中にも流れることを想定する。
電流の流れる流路は、最も電流が流れやすい粒子間を結ぶ経路であって、起点となる導電剤粒子と、この起点の導電剤粒子に対し、電界の向きに最も近い方向で、そして、最も近い距離に存在する導電剤粒子と、の間を結ぶ経路が選択されると仮定する。
最も電極に近い1つの導電剤粒子を起点とすれば、この起点から、最も電流が流れやすい隣接の導電剤粒子を次々に選択していくことにより、試料の、例えば上面から反対側の下面へと至る一本のパスが得られる。これを導電パスとする。
複数の導電パスの求め方を図2に示す模式図を用いて説明する。
まず、起点となる各導電剤粒子について、それ以外のすべての導電剤粒子への距離を算出する。そして、起点となった導電材粒子を含み、且つ、電界の向きと直交する面を仮想面とした際、この仮想面よりも電界の向き方向の下流側(下方)に存在し、且つ、距離が最短となる導電剤粒子を選択する。ここで最短となる導電パスは、空間的な距離の要素と電界の向きの要素の重み付けで決定される。例えば、導電剤粒子間の距離の2乗を電界と導電剤粒子間の距離の内積で除した値が最小になる導電剤粒子を次の導電剤粒子として選択する(具体的には、下記式(1)参照。)。ここで、距離が最短となる粒子が2つ以上存在すれば、それぞれの粒子が選択され、起点となった導電材粒子から経路が分岐することになる。
なお、図2の粒子1を起点として、複数の導電パスが形成されることもあるし、また、粒子5から図示されない粒子9が選択される導電パスが形成されてもよい。
上記のアルゴリズムに基づき求められた、半導電性フィルムの縦1μm×横1μm×厚さ0.5μm領域における導電パスの総数を、本実施形態における「導電パス数」と定義する。
続いて、半導電性フィルムを構成する材料について説明する。
半導電性フィルムは、樹脂及び導電剤粒子を含有し、必要に応じて、他の添加剤を含んでいてもよい。
半導電性フィルムに用いる樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂が用いられる。
具体的には、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルホン(PPSU)、ポリサルホン(PSF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポラセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等が挙げられる。
その中でも、半導電性フィルムの強度、耐久性、環境安定性、クリーニング性等の点から、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂がより好ましく、特に、ポリイミドが好ましい。
また、樹脂は、1種のみ単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
半導電性フィルムに用いる導電剤粒子としては、公知の粒子状の電子導電剤が用いられる。
導電剤粒子として具体的には、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の各種導電性金属又は合金;酸化錫、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体、酸化錫−酸化インジウム固溶体等の各種導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理したもの;などの粒状物(粉末)が挙げられる。
中でも、コスト、塗布液生産性、塗布液安定性、フィルム強度、環境安定性の点から、カーボンブラックが好ましい。
表面処理としては、樹脂コーティング処理、フッ素コーティング処理等の公知の表面処理が挙げられる。
この中でも、フッ素コーティング処理、樹脂コーティング処理は、導電剤粒子自体の導電性を低めることができる。
導電剤粒子自体の導電性が低まれば、より多くの導電材粒子を半導電性フィルムに含ませられ、その場合、1つの導電パスを流れる電流は少なくなるものの、導電パス数を多くしうる。
そのため、導電パス数を増やすためには、上記のような導電性を低める表面処理が施された導電材粒子を用いることが好ましい。
オリオンエンジニアドカーボンズ社製の「スペシャルブラック350(31nm、3.5)」、同「スペシャルブラック100(50nm、3.3)」、同「スペシャルブラック250(56nm、3.1)」、同「スペシャルブラック5(20nm、3.0)」、同「スペシャルブラック4(25nm、3.0)」、同「スペシャルブラック4A(25nm、3.0)」、同「スペシャルブラック550(25nm、2.8)」、同「スペシャルブラック6(17nm、2.5)」、同「カラーブラックFW200(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW2(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW2V(13nm、2.5)」、同「カラーブラックFW1(13nm、4.5)」、キャボット社製「MONARCH1000」、キャボット社製「MONARCH1300」、キャボット社製「MONARCH1400」、キャボット社製「MOGUL−L」、キャボット社製「REGAL400R」等が挙げられる。
なお、凝集体の平均直径は、前記したように、再構成した3次元画像から求められたものである。
この範囲であることで、本実施形態に係る半導電性フィルムを中間転写ベルト(特に、高速機における中間転写ベルト)に適用した場合、微小な領域における画像濃度の低下が抑制される。
上記の直径の凝集体を得るためには、例えば、1次粒径が20nm以下の導電性粒子を用いることが好ましい。
電子導電剤の含有量は、体積抵抗率の値に合わせて決定されればよく、具体的には、例えば、樹脂100質量部に対して、1質量部以上50質量部以下であることがよく、好ましくは15質量部以上40質量部以下である。
半導電性フィルム中の導電剤粒子の分散性及びその安定性を高める観点からは、以下のような樹脂と導電剤粒子との組み合わせが好ましい。
即ち、好ましい組み合わせとして具体的には、樹脂と導電剤粒子との間に、イオン性相互作用などの相互作用を形成しうる組み合わせが好ましく、例えば、塩基性官能基を有する樹脂と酸性の導電剤粒子との組み合わせが挙げられる。
より具体的には、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸として末端がアミノ基であるものを用い、これとpHのより低いカーボンブラックとを併用することが、イオン性の相互作用が形成され易い点で、好ましい。なお、末端がアミノ基であるポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との反応の際、ジアミン化合物を多く用いることで合成しうる。
上記のような組み合わせの結果、導電剤粒子の分散性を向上させ、その分散性を安定化しうる。
その他の材料としては、例えば、可塑剤、硬化剤、軟化剤、酸化防止剤、界面活性剤などの通常の樹脂層に添加され得る材料が挙げられる。
また、電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルトや用紙搬送ベルトとして用いる場合には、反応抑制剤、金属触媒の他、界面活性剤、整泡剤、脱泡剤、難燃剤、顔料、染料、安定剤、制菌剤、充填剤など、物性制御のための添加剤を含んでいてもよい。
半導電性フィルムの厚みとしては、その用途に応じて決定すればよい。
例えば、単層にて電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトに適用する場合には、例えば、40μm以上120μm以下がよく、好ましくは60μm以上100μm以下である。
また、中間転写ベルト又は用紙搬送ベルトが多層ベルトであり、その表面層として半導電性フィルムを用いる場合には、その厚み(表面層の厚み)は、例えば、10μm以上120μm以下がよく、好ましくは20μm以上80μm以下である。
半導電性フィルムは、樹脂及び導電剤粒子を含む塗布液を調製し(塗布液調製工程)、この塗布液を基材上に塗布し(塗布工程)、乾燥(乾燥工程)、必要に応じて焼成(焼成工程)することにより製造される。
以下、各工程について詳細に説明する。
塗布液調製工程では、樹脂を溶解しうる溶剤(例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等)が用いられ、この溶剤に樹脂を溶解し、導電材粒子を分散して、塗布液が調製される。
また、塗布液調製工程では、導電剤粒子の分散性を高める点から、ジェットミル又はホモジナイザー等の衝突型分散機を利用して塗布液を調製することがよく、特に、ジェットミルを用いることが好ましい。
なお、目的とする導電パス数とするためには、例えば、ジェットミルによる分散回数(通過回数)を5回以上(好ましくは、10回以上)繰り返すことが好ましい。
ここで用いられる分散助剤としては、界面活性剤が挙げられ、特にアニオン性界面活性剤が好適である。
前述のようにして得られた塗布液は、公知の塗布法により、基材などの被塗布物に対し塗布される。
中間転写ベルトや用紙搬送ベルトなど、無端ベルト状に成形する際には、回転塗布法、浸漬塗布法、遠心塗布法、スプレー塗布法等を用いればよい。
続いて、塗布液を乾燥させる。
乾燥条件は、塗布液の組成(特に樹脂の種類や溶剤の種類)に応じて、決定されればよい。
塗布液の乾燥後、樹脂の種類によっては、必要に応じて焼成がなされる。
例えば、塗布液中の樹脂がポリイミドの前駆体であるポリアミック酸である場合には、焼成工程を行うことでイミド転化を行う。
この際、加熱温度は、イミド転化を生じさせ、ポリアミック酸の変性を抑制する観点から、例えば、290℃以上350℃以下が好ましく、295℃以上320℃以下がより好ましい。なお、この条件内にて段階的に昇温して加熱してもよい。
本実施形態の半導電性フィルムは、後述するように、電子写真方式の画像形成装置における中間転写ベルト、用紙搬送ベルト、及び定着装置を通過した後の用紙を冷却するための冷却ベルトに好適であるが、その他、駆動ベルト、ラミネートベルト、電気絶縁材、配管被覆材、電磁波絶縁材、熱源絶縁体、電磁波吸収フィルム、フレキシブル基板、液晶ディスプレイのブラックマトリックス材料、遮光フィルム、などに使用し得る。
本実施形態に係る中間転写ベルト、又は用紙搬送ベルトは、前記した本実施形態に係る半導電性フィルムからなる単層体、又は、前記した本実施形態に係る半導電性フィルムを表面層として有する多層体である。
本実施形態に係る電子写真方式の画像形成装置(以降、単に「画像形成装置」と称する)は、本実施形態に係る中間転写ベルト、及び、本実施形態に係る用紙搬送ベルトの少なくとも一方として備える。
本実施形態に係る中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトは、電圧の印加を繰り返しても表面抵抗率の低下を抑制し、除電性にも優れるものである。
そのため、これらの中間転写ベルト及び用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える画像形成装置によれば、多くの導電パスを有する半導電性フィルムの存在により、印加される電圧が高くなっても、放電痕が生じず、かかる放電痕による微細な白点(マイクロホワイトスポット)が画像に起こり難く、更に除電性に優れることに起因して、ゴーストの発生も低減しうる。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の1例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置は、像保持体としての感光体ドラム101、中間転写体としての中間転写ベルト102、転写電極であるバイアスロール103、記録媒体である用紙を供給する記録媒体収納部104、BK(ブラック)トナーによる現像装置105、Y(イエロー)トナーによる現像装置106、M(マゼンタ)トナーによる現像装置107、C(シアン)トナーによる現像装置108、ベルトクリーナー109、剥離爪113、ベルト支持ロール121、123及び124、背面ロール122、導電性ロール125、電極ロール126、クリーニングブレード131、用紙(束)141、用紙送りロール142、並びに搬送ロール143を備えてなる。ここで、中間転写ベルト102は、本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた中間転写ベルト(本実施形態に係る中間転写ベルト)である。
導電性ロール125は、図3に示したように感光体ドラム101の直下に配置していても、図示してはいないが、感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置させてもよい。
なお、中間転写ベルト102は、前述の本実施形態に係る半導電性フィルムを用いてなるものである。そのため、導電性ロール125が感光体ドラム101の直下からずれた位置に配置されて、1次転写の際の印加電圧が、中間転写ベルト102の厚み方向と平行とならなくとも、電流の流れが阻害されず、転写不良を起こし難い。
以上のようにして、画像が形成される。
図4に示す画像形成装置は、ユニットY、M、C、BKと、用紙搬送ベルト206と、転写ロール(転写手段)207Y、207M、207C、207BKと、用紙搬送ロール208と、定着器(定着手段)209とを備えている。ここで、用紙搬送ベルト206は、本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた用紙搬送ベルト(本実施形態に係る用紙搬送ベルト)である。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、図4のように感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、図示してはいないが、直下からずれた位置に配置してもよい。
なお、用紙搬送ベルト206は、前述の本実施形態に係る半導電性フィルムを用いてなるものである。そのため、転写ロール207Y、207M、207C、207BKが、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKそれぞれの直下からずれた位置に配置されて、転写の際の印加電圧が、用紙搬送ベルト206の厚み方向と平行とならなくとも、電流の流れが阻害されず、転写不良を起こし難い。
以上のようにして記録紙上に所望の画像が形成される。
図5は、中間転写ベルト86を用いたタンデム式の画像形成装置の要部を説明する模試図である。
具体的には、図5において感光体(像保持体)79表面を帯電する帯電ロール83(帯電装置)、感光体79表面を露光し静電潜像を形成するレーザー発生装置78(露光装置)、感光体79表面に形成された潜像を、現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像器85(現像装置)、現像したトナー像を中間転写ベルト86に転写する転写ロール80、感光体に付着したトナーやゴミ等を除去する感光体クリーナー84(クリーニング装置)、記録用紙(記録媒体)上のトナー像を定着する定着ロール72等が備えられる。感光体79と転写ロール80は、図5のように感光体直下からずれた位置に配置していても、感光体直下に配置(図示せず)していてもよい。ここで、中間転写ベルト86として、本実施形態に係る半導電性フィルムを用いた中間転写ベルト(本実施形態に係る中間転写ベルト)を用いる。
図5に示す画像形成装置は、4つのトナーカートリッジ71、1対の定着ロール72、背面ロール73、張架ロール74、2次転写ロール75、用紙経路76、記録媒体収納部77、レーザー発生装置78、4つの感光体79、4つの1次転写ロール80、駆動ロール81、転写クリーナー82、4つの帯電ロール83、感光体クリーナー84、現像器85、中間転写ベルト86等を主用な構成部材として含んでなる。
トナー像の形成は各現像ユニット毎に行なわれ、帯電ロール83により反時計方向に回転する感光体79表面を帯電した後に、レーザー発生装置78(露光装置)により帯電された感光体79表面に潜像を形成し、次に、この潜像を現像器85から供給される現像剤により現像してトナー像を形成し、1次転写ロール80と感光体79との圧接部に運ばれたトナー像を矢印A方向に回転する中間転写ベルト86の外周面に転写する。なお、トナー像を転写した後の感光体79は、その表面に付着したトナーやゴミ等が感光体クリーナー84によりクリーニングされ、次のトナー像の形成に備える。
以下において「部」及び「%」は特に断りのない限り質量基準である。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1(一次粒径13nm、pH4.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(A)を得た。
このアルミニウム製円筒体を水平にし、50rpmで回転させながら、かかるアルミニウム製円筒体の外面に口径2.4mmのディスペンサーを介してカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(1)を吐出させつつ、ブレードにて予め定められた圧力で押し付け、塗布を行った。このとき、ディスペンサーユニットをアルミニウム製円筒体の軸方向に移動させることによって、アルミニウム製円筒体上に螺旋状にカーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(1)を塗布した。これにより、厚み0.5mmの均一な塗布膜を得た。
その後、200℃で30分間、260℃で30分間、300℃で30分間、320℃で20分間加熱させて、カーボンブラック分散ポリイミド皮膜を形成した。
得られたカーボンブラックポリイミド皮膜を、369mmの幅で切断し、外径366mm、幅369mm、膜厚80μmの中間転写ベルト(1)を得た。
この中間転写ベルト(1)の体積抵抗率は5×108Ω・cmであり、導電パス数は130、カーボンブラック凝集体の平均直径は35nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、フッ素化処理を施したカーボンブラック(Color Black FW1(一次粒径13nm、pH4.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、分散液(B)を作製し、この分散液(B)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(2)を得た。
この中間転写ベルト(2)の体積抵抗率は5×108Ω・cmであり、導電パス数は135、カーボンブラック凝集体の平均直径は30nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(FW1)を、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Special Black 5(一次粒径20nm、pH3.0):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、分散液(C)を作製し、この分散液(C)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが26量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(3)を得た。
この中間転写ベルト(3)の体積抵抗率は5×108Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが21質量部になるように、カーボンブラック分散ポリイミド前駆体溶液(2)を調製した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(4)を得た。
この中間転写ベルト(4)の体積抵抗率は1×1012Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数を「X」とし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数を「Y」とする時、Y/X=0.965となるように重合したポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Color Black FW200(一次粒径13nm、pH2.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(D)を得た。
この分散液(D)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数を「X」とし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数を「Y」とする時、Y/X=0.965となるように重合したポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(5)を得た。
この中間転写ベルト(5)の体積抵抗率は5×107Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は42nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、カーボンブラック(Color Black FW1(一次粒径13nm、pH4.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、NMP溶液中に、かかるカーボンブラックと共に、有効成分がカーボンブラックに対し4質量%になる量のフッ素系アニオン性界面活性剤(メガファック(登録商標)F−511:DIC社製)を添加した以外は、実施例1と同様にして、分散液(E)を得た。
この分散液(E)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(6)を得た。
この中間転写ベルト(6)の体積抵抗率は1×107Ω・cmであり、導電パス数は120、カーボンブラック凝集体の平均直径は37nmであった。
実施例6の中間転写ベルトの作製において、フッ素系アニオン性界面活性剤(メガファック(登録商標)F−511:DIC社製)の添加量を、有効成分がカーボンブラックに対し1質量%となる量に変えた以外は、実施例6と同じ手順で中間転写ベルト(7)を得た。
この中間転写ベルト(7)の体積抵抗率は1×106Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は43nmであった。
実施例6の中間転写ベルトの作製において、フッ素系アニオン性界面活性剤(メガファック(登録商標)F−511:DIC社製)の添加量を、有効成分がカーボンブラックに対し7質量%となる量に変えた以外は、実施例6と同じ手順で中間転写ベルト(8)を得た。
この中間転写ベルト(8)の体積抵抗率は1×107Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ジェットミル分散機の分散ユニット部の通過回数を5回とした以外は、実施例1と同じ手順で中間転写ベルト(9)を得た。
この中間転写ベルト(9)の体積抵抗率は5×107Ω・cmであり、導電パス数は115、カーボンブラック凝集体の平均直径は40nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Special Black 350(一次粒径31nm、pH3.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更して分散液(F)を作製し、この分散液(F)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが30質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(10)を得た。
この中間転写ベルト(10)の体積抵抗率は5×108Ω・cmであり、導電パス数は110、カーボンブラック凝集体の平均直径は60nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、樹脂コーティングを施したカーボンブラック(Color Black FW1)を、樹脂コーティングなしのカーボンブラック(Special Black 5(一次粒径20nm、pH3.0):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)に変更し、分散液(G)を作製し、この分散液(G)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが20質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C1)を得た。
この中間転写ベルト(C1)の体積抵抗率は1×109Ω・cmであり、導電パス数は60、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、分散液(A)を比較例1で用いた分散液(G)に変更し、この分散液(G)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが17質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C2)を得た。
この中間転写ベルト(C2)の体積抵抗率は1×1013Ω・cmであり、導電パス数は35、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、分散液(A)を比較例1で用いた分散液(G)に変更し、この分散液(G)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとからなるポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが28質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C3)を得た。
この中間転写ベルト(C3)の体積抵抗率は1×104Ω・cmであり、導電パス数は180、カーボンブラック凝集体の平均直径は45nmであった。
実施例1の中間転写ベルトの作製において、ジェットミル分散機の分散ユニット部の通過回数を3回とした以外は、実施例1と同じ手順で中間転写ベルト(C4)を得た。
この中間転写ベルト(C4)の体積抵抗率は1×105Ω・cmであり、導電パス数は95、カーボンブラック凝集体の平均直径は55nmであった。
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数を「X」とし、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数を「Y」とする時、Y/X=1.035となるように重合したポリアミック酸のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)に、ポリアミック酸の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(Color Black FW200(一次粒径13nm、pH2.5):オリオンエンジニアドカーボンズ社製)を80質量部となるように添加し、ジェットミル分散機(Geanus PY[衝突部の最小部断面積0.032mm2]:ジーナス社製)を用い、圧力200MPaで分散ユニット部を10回通過させて分散・混合を行い、分散液(H)を得た。
この分散液(H)に対して、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物のモル数X、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルのモル数Yとする時、Y/X=0.965となるように重合したポリアミック酸のNMP溶液(イミド転化後の固形分率が18質量%)を、ポリアミック酸100質量部に対してカーボンブラックが24質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様の手順で、中間転写ベルト(C5)を得た。 この中間転写ベルト(C5)の体積抵抗率は1×105Ω・cmであり、導電パス数は98、カーボンブラック凝集体の平均直径は50nmであった。
作製した各中間転写ベルトについて、以下のようにして、表面抵抗率の低下量及び除電性を評価した。
評価結果を表1に示す。
作製した各中間転写ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置「700 Digital Color Press(中間転写ベルトを備える中間転写方式の装置)改造機」にそれぞれ組み込んだ。
この装置を用いて、10℃/15%RH環境下で、A3サイズ用紙(富士ゼロックス社製Xerox Color Xpression Elite)に、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を両面で100000枚出力した。
出力前後での中間転写ベルトの表面抵抗率の差を、表面抵抗率の低下量(LogΩ/□)とした。
作製した各中間転写ベルトを2枚の金属電極に挟み、−500V、30秒電圧印加した後、ベルト表面電位の変化を測定した。
電圧印加終了直後の表面電位をV(0s)、印加終了5秒後の表面電位をV(5s)とする時、[V(0s)−V(5s)]/V(0s)を帯電減衰率とした。
帯電減衰率が高いほど除電性に優れることを意味し、この帯電減衰率の値を除電性の指標とした。
・濃度ムラの評価
作製した各中間転写ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置「700 Digital Color Press(中間転写ベルトを備える中間転写方式の装置)改造機」にそれぞれ組み込んだ。
この装置を用いて、10℃/15%RH環境下で、A3サイズ用紙(富士ゼロックス社製Xerox Color Xpression Elite)に、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を両面で100000枚出力した。
その後、更に同じA3サイズ用紙に、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を出力し、その画像の濃度ムラについて目視にて評価した。
評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G0:濃度ムラは確認されなかった。
G1:A3サイズ用紙の端部にて、微小な領域での濃度低下が確認された(画質上、許容の範囲)。
G2:濃度ムラが確認された。
濃度ムラの評価に用いた改造機にて、21℃/10%RH環境下で、用紙にOSコート紙W(富士ゼロックス社製、坪量127g/m2)、を用い、動作モードをモノクロモード(BK以外の一次転写ロールは中間転写ベルトとは離間している)にし、1サイクル目で図6(A)に示すゴーストチャート(画像濃度20%〜70%)を出力し、2サイクル目で図6(B)に示すゴースト評価チャート(画像濃度40%、70%、及び100%)を出力した。
出力したゴースト評価チャートにおいて、ゴースト有無を確認し、グレード付をした。評価基準は以下の通りである。
−評価基準−
G0:ゴーストの発生が確認されない。
G1:ゴーストの発生が非常に軽微ではあるが確認された。
G2:ゴーストの発生が軽微に確認された。
G3:ゴーストの発生が確認された。
G4:ゴーストの発生が多く確認された。
G5:ゴーストの発生が非常に多く確認された。
なお、比較例3は、導電剤粒子が多く含まれており、導電パス数が110を超えていることで、表面抵抗率の低下量が少なく、帯電減衰率が高く、更に、画像濃度ムラ及びゴーストの画質評価について良好な結果が得られている。しかし、比較例3の中間転写ベルトは体積抵抗率が1×105Ω・cmよりも低いため、放電時の過大電流の突き抜けによる微細な白点(マイクロホワイトスポット)が発生した。
206 用紙搬送ベルト
Claims (7)
- 樹脂と導電剤粒子とを含み、体積抵抗率が1×105Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であり、且つ、厚み方向の断面の3次元構造解析に基づいて算出された導電パス数が110以上である半導電性フィルム。
- 前記導電剤粒子が凝集体として含まれ、該凝集体の平均粒径が45nm以下である請求項1に記載の半導電性フィルム。
- 前記導電剤粒子がカーボンブラックである請求項1又は請求項2に記載の半導電性フィルム。
- 前記樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデンからなる群より選択される1種の樹脂である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導電性フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である中間転写ベルト。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムからなる単層体、又は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導電性フィルムを表面層として有する多層体である用紙搬送ベルト。
- 請求項5に記載の中間転写ベルト、及び、請求項6に記載の用紙搬送ベルトの少なくとも一方を備える電子写真方式の画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014185203A JP6424526B2 (ja) | 2014-09-11 | 2014-09-11 | 半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014185203A JP6424526B2 (ja) | 2014-09-11 | 2014-09-11 | 半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016057525A JP2016057525A (ja) | 2016-04-21 |
JP6424526B2 true JP6424526B2 (ja) | 2018-11-21 |
Family
ID=55758434
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014185203A Active JP6424526B2 (ja) | 2014-09-11 | 2014-09-11 | 半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6424526B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7447452B2 (ja) | 2019-12-06 | 2024-03-12 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 無端ベルト、転写装置、及び画像形成装置 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4666606B2 (ja) * | 2005-06-27 | 2011-04-06 | 鹿島建設株式会社 | カルシウム塊を含む有機性廃棄物の処理システム |
JP2008040231A (ja) * | 2006-08-08 | 2008-02-21 | Fuji Xerox Co Ltd | 樹脂ベルト及びそれを備えた画像形成装置、並びに樹脂ベルトの製造方法 |
JP2010195879A (ja) * | 2009-02-24 | 2010-09-09 | Nitto Denko Corp | カーボンブラック分散液およびこれを用いた半導電性ポリイミドベルトの製造方法 |
US20110143115A1 (en) * | 2009-12-10 | 2011-06-16 | Xerox Corporation | Intermediate transfer member and method of manufacture |
JP5744506B2 (ja) * | 2010-12-22 | 2015-07-08 | キヤノン株式会社 | 半導電性フィルム及び電子写真画像形成装置 |
JP2012177811A (ja) * | 2011-02-25 | 2012-09-13 | Canon Inc | 電子写真用ベルトの電気抵抗経時安定性の評価方法 |
JP6242194B2 (ja) * | 2013-01-28 | 2017-12-06 | キヤノン株式会社 | 電子写真用ベルト及び電子写真装置 |
JP2014130379A (ja) * | 2014-04-04 | 2014-07-10 | Fuji Xerox Co Ltd | 転写装置、及び画像形成装置 |
-
2014
- 2014-09-11 JP JP2014185203A patent/JP6424526B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016057525A (ja) | 2016-04-21 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5899852B2 (ja) | 画像形成装置用ベルト、及びそれを用いた画像形成装置 | |
JP6728958B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2014010383A (ja) | 転写装置及び画像形成装置 | |
JP6862962B2 (ja) | 中間転写体、及び画像形成装置 | |
JP6686618B2 (ja) | 画像形成装置用導電性部材、画像形成装置用転写ユニット及び画像形成装置 | |
JP2007011117A (ja) | 中間転写ベルト | |
JP6452041B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP5257194B2 (ja) | 樹脂成形体、管状体、転写ユニット、及び画像形成装置 | |
US11042107B2 (en) | Intermediate transfer medium and image forming apparatus | |
JP2014145817A (ja) | 中間転写ベルト、画像形成装置、及び、中間転写ベルトの製造方法 | |
JP6424526B2 (ja) | 半導電性フィルム、中間転写体、用紙搬送ベルト、及び画像形成装置 | |
US9519244B2 (en) | Intermediate transfer belt with elastic layer formed on base layer and image forming apparatus including same | |
JP6623582B2 (ja) | 導電性ロール、転写ユニット、及び画像形成装置 | |
JP6492795B2 (ja) | 転写ベルト、転写ベルトユニット、及び画像形成装置 | |
JP7367501B2 (ja) | 転写装置及び画像形成装置 | |
JP6922191B2 (ja) | 画像形成装置用導電性部材、画像形成装置用転写ユニット及び画像形成装置 | |
JP2019128585A (ja) | 中間転写体及び画像形成装置 | |
JP2018159829A (ja) | 転写部材及び画像形成装置 | |
JP2023111245A (ja) | 無端ベルト、ベルトユニット、及び画像形成装置 | |
JP2010127990A (ja) | 中間転写体、及び画像形成装置 | |
JP4206722B2 (ja) | 半導電性ベルト、及びそれを用いた画像形成装置 | |
JP2023111246A (ja) | 無端ベルト、ベルトユニット及び画像形成装置 | |
JP2001166605A (ja) | 中間転写体用組成物、該組成物を用いた中間転写体、並びに該中間転写体を用いた画像形成装置 | |
JP2018159861A (ja) | 無端ベルト、無端ベルトユニット、及び画像形成装置 | |
JP6132195B6 (ja) | 中間転写体及びこれを用いた画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20170831 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20180515 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20180516 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180925 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20181008 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6424526 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |