JP5713225B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、中間転写体とこれに当接する部材とによって形成した転写ニップに流す転写電流の制御目標値を、出力画像の画像面積に応じて変化させる構成を具備する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
従来より、画像形成装置として、中間転写方式を採用したものが広く知られている(例えば特許文献1に記載のもの)。中間転写方式は、感光体等の像担持体の表面に形成したトナー像を中間転写体に中間転写した後、中間転写体とこれに当接する部材とによって形成した転写ニップ内で、中間転写体上のトナー像を記録紙等の記録シートに転写する方式である。中間転写体として、弾性体で構成された柔軟性に優れたものを用いることで、転写ニップ内における記録シートとトナー像との密着性を高めて転写性を向上させることができる。
しかしながら、それでもなお、記録シートとして表面の凹凸の大きなざら紙などを用いると、次に説明する理由により、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラを発生させることがある。即ち、転写ニップ内で中間転写体をシート表面に押し付けても、凹凸の大きい記録シートのシート表面における微小凹部では、中間転写体との間にどうしても空隙を発生させてしまう。この空隙では、中間転写体の表面上のトナーと、記録シートとが密着せずに、トナーに対して押圧力が働かないことで、中間転写体から記録シートへのトナーの転写性が低下する。このため、シート表面の微小凹部に対応する領域の画像濃度が凸部に対応する領域の画像濃度に比べて薄くなってしまうのである。
特に、転写ニップに流れる転写電流を所定の制御目標値になるようにする定電流制御を行う画像形成装置では、次に説明する理由により、その種の画像濃度ムラを発生させ易かった。即ち、画像濃度ムラのないトナー像の転写を実現するためには、シート表面の微小凹部と中間転写体との間の空隙で放電を発生させないままに、転写電流の殆どを中間転写体からシート表面へのトナー移動に寄与させる必要がある。ところが、転写電流を定電流制御する構成では、転写ニップ内での画像部面積と非画像部面積との比率が変わるだけで、トナーの移動に寄与する電流量と、寄与せずに中間転写体からシート表面の非画像領域に流れる電流量との比率が変化してしまう。具体的には、画像面積率の比較的低いトナー像を転写する際には、前者の電流量が非常に多くなって、上述した間隙で放電を発生させ易くなってしまう。これにより、シート表面の微小凹部でトナーを逆帯電させて、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラを発生させてしまうのである。
一方、特許文献2や特許文献3には、出力画像の画像面積率(印字率や出力画素数)が高くなるほど、定電流制御における転写電流の制御目標値を高い値に補正する構成が開示されている。この構成を採用すれば、画像面積率の異なる画像を出力することによる画像濃度ムラの発生を、ある程度までは抑えることができる。
しかしながら、画像面積率に応じて転写電流の制御目標値を補正してもなお、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラを発生させてしまうことが、本発明者らの実験によって明らかになった。そこで、本発明者らは、その原因を明らかにすべく鋭意研究を行ったところ、次のようなことがわかってきた。即ち、転写電流のうち、トナーの移動に寄与する電流量と、寄与せずに中間転写体からシート表面の非画像領域に流れる電流量との比率は、画像面積率の他、記録シートの電気抵抗や厚みによっても異なってくる。また、トナーの移動に寄与しない電流は、中間転写体とシート表面の非画像領域との間で流れる電流だけからなるものではない。転写ニップの全領域のうち、中間転写体と転写ローラ等とがシートを介在させずに直線接触している領域では、転写電流がシートを介することなく中間転写体と転写ローラとの間で直接流れるが、この電流も、トナーの移動には寄与しない電流である。このため、同じ電気抵抗で且つ同じ厚みの記録シートを使用しても、そのサイズが異なれば、上述の比率が異なってくる。つまり、トナーの移動に寄与する電流量と、寄与しない電流量との比率は、画像面積率の他、記録シートの電気抵抗、厚み、サイズによっても異なってしまうのである。このことが、画像面積率に応じて転写電流の制御目標値を変化させる構成を採用してもなお、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラを発生させてしまう原因になっていた。
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラの発生を従来よりも抑えることができる画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持体と、自らの移動する表面に前記像担持体上のトナー像が転写せしめられる中間転写体と、自らの表面層を前記中間転写体に当接させて転写ニップを形成しながら、前記転写ニップで自らの表面を前記中間転写体と同じ方向に移動させるように回転する回転体と、前記中間転写体と前記回転体との間に流す転写電流の制御目標値を出力画像の画像面積に応じて変化させる転写電流制御手段とを備え、前記転写ニップ内に送り込んだ記録シートの表面に、前記中間転写体上のトナー像を転写する画像形成装置において、前記回転体の前記表面層の体積抵抗率ρv,r[Ωm]と、前記表面層の厚みt[m]と、前記転写ニップにて前記中間転写体と前記回転体との間で転写電流をやりとりする回転体回転軸線方向の長さであるニップ内通電長さL[m]と、前記転写ニップの回転体表面移動方向の長さであるニップ幅W[m]との間に、次式の関係を具備させたことを特徴とするものである。
Figure 0005713225
また、請求項2の発明は、トナー像を担持する像担持体と、自らの移動する表面に前記像担持体上のトナー像が転写せしめられる中間転写ベルトと、自らの表面を前記中間転写ベルトに当接させて転写ニップを形成しながら、前記転写ニップで自らの表面を前記中間転写ベルトと同じ方向に移動させるように回転する第1回転体と、前記転写ニップの裏側で前記中間転写ベルトの裏面に当接しながら回転する第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に流す転写電流の制御目標値を出力画像の画像面積に応じて変化させる転写電流制御手段とを備え、前記転写ニップ内に送り込んだ記録シートの表面に、前記中間転写ベルト上のトナー像を転写する画像形成装置において、前記第2回転体の表面層の体積抵抗率ρv,r[Ωm]と、前記表面層の厚みt[m]と、前記転写ニップにて前記第1回転体と前記第2回転体との間で転写電流をやりとりする回転体回転軸線方向の長さであるニップ内通電長さL[m]と、前記転写ニップの回転体表面移動方向の長さであるニップ幅W[m]との間に、次式の関係を具備させたことを特徴とするものである。
Figure 0005713225
また、請求項3の発明は、請求項1の画像形成装置において、前記転写ニップを通過した後の前記回転体を除電する除電手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項2の画像形成装置において、前記転写ニップを通過した後の前記第2回転体を除電する除電手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、前記画像面積に加えて、画像形成に用いるトナーについて予め記憶しているトナー帯電量にも基づいて前記制御目標値を変化させる処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、前記中間転写体又は前記中間転写ベルトとして、引っ張り弾性率が2[GPa]以上である中間転写ベルトを用いたことを特徴とするものである。
これらの発明においては、出力画像の画像面積に応じて転写電流の制御目標値を変化させることで、従来の画像形成装置と同様に、画像面積率の異なる画像を出力することによる画像濃度ムラの発生を抑える。
これらの発明において、請求項の発明特定事項の全てを備えるものでは、制御目標値を画像面積に応じて変化させることに加えて、上記数の式の関係を具備する。これにより、本発明者らが後述する実験で明らかにしたように、転写電流のうち、トナーの移動に寄与する電流量と、寄与せずに中間転写体からシート表面の非画像領域に流れる電流量との比率が、記録シートの電気抵抗、厚み、サイズによらず、画像面積だけに左右されるようになる。かかる構成では、電気抵抗、厚み、サイズの異なる記録シートを用いて前記比率を変化させてしまうことによる画像濃度ムラの発生を回避することが可能になるので、従来に比べて、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
また、請求項の発明特定事項の全てを備えるものでは、制御目標値を画像面積に応じて変化させることに加えて、上記数の式の関係を具備する。これにより、本発明者らが後述する実験で明らかにしたように、転写電流のうち、トナーの移動に寄与する電流量と、寄与せずに中間転写ベルトからシート表面の非画像領域に流れる電流量との比率が、記録シートの電気抵抗、厚み、サイズによらず、画像面積だけに左右されるようになる。かかる構成では、電気抵抗、厚み、サイズの異なる記録シートを用いて前記比率を変化させてしまうことによる画像濃度ムラの発生を回避することが可能になるので、従来に比べて、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラの発生を抑えることができる。
参考形態に係るプリンタを示す概略構成図。 ベタパターンの一例を示す模式図。 ベタパターンの他の例を示す模式図。 2次転写電流と、2次転写バイアスと、記録シートの体積抵抗率と、印字率との関係を示すグラフ。 2次転写率と、2次転写電流と、記録シートの体積抵抗率と、印字率との関係を示すグラフ。 2次転写率と、2次転写電流と、印字率との関係を示すグラフ。 同プリンタの電気回路の一部を示すブロック図。 施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
以下、本発明を画像形成装置としてのタンデム型の画像形成部によってカラー画像を形成するカラープリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した実施形態について説明する前に、本発明を理解する上で参考になる参考形態に係るプリンタについて説明する
まず、参考形態に係るプリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、参考形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、図示しない光書込ユニット、タンデム画像形成部10、転写ユニット20、紙搬送ユニット39、定着装置40、再送装置50などを備えている。タンデム画像形成部10は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)の各色トナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kを有している。
転写ユニット20は、無端状の中間転写ベルト21、駆動ローラ22、従動ローラ23、2次転写対向ローラ24、4つの1次転写ローラ25Y,M,C,Kなどを有している。像担持体としての無端状の中間転写ベルト21は、側方からの眺めが逆三角形状の形状になる姿勢で、駆動ローラ22、従動ローラ23及び2次転写対向ローラ24に掛け回されている。そして、駆動ローラ22の回転駆動によって図中時計回り方向に無端移動せしめられる。中間転写ベルト20のループ内側には、駆動ローラ22、従動ローラ23、及び2次転写対向ローラ24の他に、4つの1次転写ローラ25Y,M,C,Kも配設されている。なお、1次転写ローラ25Y,M,C,Kの役割については後述する。
タンデム画像形成部10は、4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kを中間転写ベルト21の上張架面に沿って水平方向に並べる姿勢で、転写ユニット20の上方に配設されている。画像形成ユニット1Y,M,C,Kは、図中反時計回り方向に回転駆動されるドラム状の感光体2Y,M,C,Kと、現像ユニット3Y,M,C,Kと、帯電手段4Y,M,C,Kとを有している。また、図示しないY,M,C,K用のドラムクリーニング装置も有している。感光体2Y,M,C,Kは、それぞれ中間転写ベルト21の上張架面に当接してY,M,C,K用の1次転写ニップを形成しながら、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられる。現像ユニット3Y,M,C,Kは、感光体2Y,M,C,Kに形成された静電潜像をY,M,C,Kトナーによって現像するものである。また、帯電手段4Y,M,C,Kは、感光体2Y,M,C,Kの表面をトナーの帯電極性と同じ極性に一様帯電せしめるものである。
Y,M,C,K用の1次転写ニップの下方では、中間転写ベルト21のループ内で、1次転写ローラ25Y,M,C,Kが中間転写ベルト21を感光体2Y,M,C,Kに向けて押圧している。これら1次転写ローラ25Y,M,C,Kには、1次転写電源81Y,M,C,Kによって1次転写バイアスが印加される。
タンデム画像形成部10の上方には、図示しない光書込ユニットが配設されている。この光書込ユニットは、帯電手段4Y,M,C,Kによって一様帯電せしめられた感光体2Y,M,C,Kの表面に対し、走査光Lによる光書込処理を施して静電潜像を形成するものである。感光体2Y,M,C,Kに形成された静電潜像は、現像ユニット3Y,M,C,Kによって現像されてY,M,C,Kトナー像になる。これらY,M,C,Kトナー像は、上述したY,M,C,K用の1次転写ニップにて、中間転写ベルト21のおもて面に重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト21のおもて面には、4色重ね合わせトナー像が形成される。
なお、本プリンタにおいては、帯電手段4Y,M,C,Kとして、帯電バイアス電源80Y,M,C,Kによって帯電バイアスが印加される帯電部材を感光体2Y,M,C,Kに当接又は近接せしめた状態で、帯電部材と感光体2Y,M,C,Kとの間に放電を生じせしめて感光体2Y,M,C,Kを一様帯電させるものを採用している。このような帯電手段4Y,M,C,Kに代えて、スコロトロン帯電器などを採用してもよい。
転写ユニット20の下方には、無端状の紙搬送ベルト39aを、駆動ローラ39bと従動ローラ39cとによって水平方向に延在する横長の姿勢で張架しながら、駆動ローラ39bの回転駆動に伴って図中反時計回り方向に無端移動させる紙搬送ユニット39が配設されている。この紙搬送ユニット39は、紙搬送ベルト39aの無端移動方向における全領域のうち、従動ローラ39cに対する掛け回し領域を、中間転写ベルト21の無端移動方向における全領域のうち、2次転写対向ローラ24に対する掛け回し領域に当接させている。これにより、紙搬送ベルト39aの従動ローラ39cに対する掛け回し領域と、中間転写ベルト21の2次転写対向ローラ24に対する掛け回し領域とが当接する2次転写ニップが形成されている。
紙搬送ベルト39aのループ内側に配設された従動ローラ39cは、金属等の導電性材料からなり、アース線によって接地されている。これに対し、中間転写ベルト21のループ内側に配設された2次転写対向ローラ24には、2次転写バイアス電源82により、トナーの帯電極性と同極性の2次転写バイアスが印加されている。これにより、2次転写ニップには、トナーを2次転写対向ローラ24側から従動ローラ39c側に静電移動させる2次転写電界が形成される。
2次転写ニップには、記録シートが所定のタイミングで送り込まれる。そして、中間転写ベルト21上の4色重ね合わせトナー像が、ニップ圧や2次転写電界の作用によって記録シートに一括2次転写される。
2次転写ニップで4色重ね合わせトナー像が2次転写された記録シートは、2次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト39aの表面に吸着された状態で、ベルトの移動に伴って図中右側から左側に向けて搬送される。そして、駆動ローラ39bによるベルト掛け回し領域に到達すると、ローラ周面に沿って進むベルトに追従することなく、ベルトから分離されて、定着装置40に受け渡される。
定着装置40内では、記録シートが、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する加熱定着ローラ41と、これに向けて押圧される加圧ローラ42との当接による定着ニップに挟み込まれる。そして、定着ニップ内で加圧や加熱処理によるトナー像の定着処理が施される。このようにしてトナー像が定着せしめられた記録シートは、図示しない排出ローラ対を経由して機外へと排出される。
定着装置40から排出された記録シートについては、そのまま排紙ローラ対に送る場合と、排紙ローラ対に送らずに、再送装置50に送る場合とがある。具体的には、記録シートの第1面だけに画像を形成する片面モードのプリントジョブを実施する際には、定着装置40から排出された記録シートを例外なく排紙ローラ対に送る。これに対し、記録シートの両面に画像を形成する両面モードのプリントジョブを実施する際において、定着装置40から排出された記録シートが第1面だけにトナー像を担持するものである場合には、それを排紙ローラ対に送らずに、再送装置50に送る。但し、両面モードであっても、定着装置40から排出された記録シートが両面にトナー像を担持するものである場合には、それを排紙ローラ対に送る。定着装置40を通過した後の記録シートを排紙ローラ対に送るのか、再送装置50に送るのかの切り換えは、図示しない切り換え爪によるシート搬送先の切り換えによって行われる。
再送装置50は、定着装置40から送られてくる記録シートをスイッチバック路51でスイッチバック搬送することで、その上下を反転させる。その後、記録シートをスイッチバック路52に送る。スイッチバック路52を通過した記録シートは、記録シートを図示しない給紙カセットから2次転写ニップに搬送するための給紙路の途中に送り込まれる。これにより、上下を反転させた状態で、2次転写ニップに再送される。
なお、給紙路の後半領域では、記録シートは、後述する抵抗測定ローラ対31とレジストローラ対32とを順次通過する。再送装置50は、記録シートを給紙路における抵抗測定ローラ対31よりも上流側の位置に送り込む。よって、記録シートは、給紙カセットから送り出された直後のものであるか、再送値50によって再送されたものであるかにかかわらず、給紙路内において、抵抗測定ローラ対31とレジストローラ対32とを必ず経由することになる。
レジストローラ対32は、2つのローラの回転を停止させた状態で、記録シートの先端が突き当てられることで、記録シートのスキューを矯正する。その後、2つのローラを回転させて記録シートの先端部をレジストニップ内にくわえ込むが、その後すぐにローラの回転を停止させる。そして、記録シートを2次転写ニップでベルト上のトナー像に同期させ得るタイミングで、ローラの回転を再開する。
中間転写ベルト21や紙搬送ベルト39aとしては、それぞれ遠心成型法によって作成されたものを用いている。参考までに、遠心成型法によるポリイミドベルトの製造方法について説明する。まず、剛直性ポリアミド酸が適量のアミド系の溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン)に溶解された剛直性ポリイミド形成ワニス:UワニスS(商品名:宇部興産社製)と、屈曲性ポリアミド酸が適量のアミド系の溶媒であるNMP(N−メチルピロリドン)に溶解された屈曲性ポリイミド形成ワニス:UワニスA(商品名:宇部興産社製)とを、重量比で、剛直性ポリイミド形成ワニス:屈曲性ポリイミド形成ワニスが、5:5となるように混合して、混合ワニスを得る。得られた混合ワニスに対して、カーボンブラック[キャボット社製ケッツェンブラック]を分散させたマスターバッチ液を重量比で、8:2となるように混合して、ポリイミドベルト形成用ワニスを調製する。次いで、円筒形の成形型を有する遠心成形装置の回転軸を水平方向に配置し、その成形型を500rpmで高速回転させて、成形型内のキャビティの全面に離型液を塗布し、約50μmの均一な厚みの離型液膜層を形成する。そして、成形型の回転速度を100rpmに減速した後、ベルト素材液として、前述のポリイミドベルト形成用ワニスを、キャビティ内に挿入されるスプレーのノズルより噴出させて、キャビティの全面に前記ポリイミドベルト形成用ワニスを塗布する。その後、成形型の回転数を500rpmに上げて、ポリイミドベルト形成用ワニスの塗布液膜を均一化して、ベルト素材層を形成する。更に、約100℃のドライエアーをスプレー側からキャビティ内に導入して、前記ベルト素材層を乾燥する。次いで、成形型内からベルト素材層を取り出し、ベルト素材層を別の成形型内に配置して、約120℃、20分の条件で加熱することで、溶媒の乾燥と、予備的なイミド化とを行う。更に、ベルト素材層を320℃、120分の条件で加熱してイミド化を行って、目標とする膜厚の平滑なシームレスベルトポリイミドフィルムを得る。なお、中間転写ベルトと紙搬送ベルトとの抵抗差については、マスターバッチ液中に添加するカーボンブラックの割合によって調整する。
次に、本発明者らが行った実験について説明する。本発明者らは、図1に示したプリンタと同様の構成のプリンタ試験機を用意した。但し、このプリンタ試験機は、後述する実施形態に係るプリンタと同様に、中間転写ベルト21の下方に配設した2次転写ローラを中間転写ベルトに対して当接させて2次転写ニップを形成している点が、図1に示したプリンタと異なっている。2次転写ニップを通過した記録シートは、紙搬送ユニット39によって定着装置40まで搬送される。かかる構成のプリンタ試験機における諸条件は次に列記する通りである。
(1)中間転写ベルト21
厚さ60[μm]、体積抵抗率が1E9[Ω・cm](三菱化学製ハイレスターUP MCP HT450にて100Vの電圧印加条件で測定した値)のカーボン分散ポリイミドベルト。引っ張り弾性率は、2.6[GPa]。
(2)トナー
粉砕法によって製造され、母材樹脂がポリエステル系樹脂からなるもの。
(3)2次転写ローラ(中間転写ベルトに当接して2次転写ニップを形成)
ローラ部の表面に導電性ゴム材料からなる弾性層が被覆され、且つローラ部の体積抵抗率が1E9[Ω・cm]に調整されたもの。
(4)2次転写対向ローラ24
ローラ部の表面に導電性ゴム材料からなる弾性層が被覆され、且つローラ部の体積抵抗率が1E9[Ω・cm]に調整されたもの。
(5)定着装置40
定着温度(加熱定着ローラ71aの表面温度)を165[℃]に設定した。
(6)レジストローラ対32の一方のローラ
ステンレスローラ。
(7)プロセス線速
実験においては、中間転写ベルト21等の線速であるプロセスを280[mm/s]に設定した。
(8)2次転写ニップのベルト移動方向の長さW
3[mm]に設定した。
このようなプリンタ試験機を用いて、テスト画像のプリントテストを行った。記録シートのサイズとしては420[mm]×297[mm]のA3サイズを採用した。トナーとしては、常温常湿における帯電量が約−20[μC/g]となるものを用いた。また、テスト画像としては、図2に示すような、副走査方向(シート搬送方向)に延びる帯状のベタパターンを採用し、長辺方向に沿って搬送しているA3サイズの記録シートに対してそのベタパターンを形成した。ベタパターンの印字率については、5[%]及び100[%]の2通りを採用した。印字率は、主走査方向(搬送方向と直交する方向)における記録シートサイズに対する各色画像サイズの総和の割合を示す数値である。例えば、図2に示したベタパターンは、黒トナーからなる帯状パターンを1つだけ具備するものであり、その主走査方向のサイズが29.7[mm]になっている。これは、主走査方向の記録シートサイズ(297mm)の10[%]に相当するので、図示のベタパターンは10[%]の印字率で形成されていることになる。また例えば、図3に示すベタパターンは、Kトナーからなる帯状パターンBと、Mトナーからなる帯状パターンBとを具備するものであり、主走査方向のサイズがそれぞれ29.7[mm]になっている。この場合、Kの帯状パターン、Mの帯状パターンのそれぞれの印字率が10[%]ずつであることになる。
第1プリントテストでは、A3サイズの記録シートとして、NBSリコー社製の普通紙(マイペーパー)を用いた。2次転写バイアス電源82から出力される2次転写バイアスについては、定電流制御ではなく、定電圧制御を行った。普通紙の含水率を変化させたり、2次転写バイアスの電圧制御値を変化させたり、印字率を変化させたりしながら、それぞれの条件でベタパターンをプリントアウトした。この第1プリントテストにおける2次転写電流と、2次転写バイアスと、記録シートの体積抵抗率と、印字率との関係を図4に示す。
同図に示すように、普通紙として、体積抵抗率が1E9[Ωcm]であるものを用いた場合、印字率が5[%]であっても、100[%]であっても、2次転写電流と2次転写バイアスとの関係(以下、電流−電圧特性という)を示すグラフは、殆ど同じになる。これに対し、普通紙として、体積抵抗率が3E10[Ωcm]であるものや、2E11[Ωcm]であるものを用いた場合、印字率を5[%]にした条件と、印字率を100[%]にした条件とで、電流−電圧特性のグラフが大きく異なってくる。これは次に説明する理由による。即ち、転写ニップ内において、ベルトと普通紙との間にトナーを介在させている領域(以下、介在領域という)と、介在させていない領域(以下、非介在領域という)とでは、前者の方が電流の通りが良いのが一般的である。但し、普通紙の体積抵抗率が1E9[Ωcm]という比較的低い値である場合、転写ニップ内における非介在領域でも電流の通りが比較的良くなるので、印字率の違いによる転写電流の差が生じ難い。これに対し、普通紙の体積抵抗率が3E10[Ωcm]や2E11[Ωcm]といった比較的高い値である場合、転写ニップ内の非介在領域における電流の通りが悪くなるので、介在領域の面積がより大きくなる高印字率の場合の方が、低印字率に比べて転写電流が多くなるからである。
次に、本発明者らは、第2テストプリントを実施した。この第2テストプリントにおいても、記録シートとして、NBSリコー社製の普通紙(マイペーパー)を用いた。但し、2次転写バイアス電源82から出力される2次転写バイアスについては、定電流制御を行った。普通紙の体積抵抗率を加熱等によって変化させたり、2次転写電流の制御目標値を変化させたりしながら、それぞれの条件でベタパターンをプリントアウトした。この第2プリントテストにおける2次転写率と、2次転写電流と、記録シートの体積抵抗率と、印字率との関係を図5に示す。なお、2次転写率は、ベルト表面上のトナー量に対する、記録シートへの転写トナー量の割合を示す数値である。
同図に示すように、印字率を一定にした条件であっても、2次転写電流の制御目標値を比較的小さく設定すると、普通紙の体積抵抗率に応じて2次転写率が大きく異なってくることがわかる。これは、2次転写電流が比較的少ない条件において、普通紙の体積抵抗率に応じて、2次転写ニップ内での微小放電量が大きく変化するためだと考えられる。実験では普通紙を用いたが、粗面紙では、ベルトと紙表面との間に形成される空隙量がもっと増加することから、体積抵抗率の違いによる2次転写率の差がより顕著に生ずる。
次に、本発明者らは、第3テストプリントを実施した。第3テストプリントにおいても、記録シートとして、NBSリコー社製の普通紙(マイペーパー)を用いた。また、2次転写バイアス電源82から出力される2次転写バイアスを定電流制御した。普通紙の体積抵抗率を比較的高い2E11[Ωcm]に調整した条件で、2次転写電流の制御目標値を変化させたり、印字率を変化させたりしながら、ベタパターンをプリントアウトした。この第3プリントテストにおける2次転写率と、2次転写電流と、印字率との関係を図6に示す。
同図に示すように、普通紙の体積抵抗率が比較的高い場合に、90[%]を超える2次転写率を実現するためには、印字率に応じて2次転写電流の制御目標値を変化させなければならないことがわかる。この原因は、紙の非画像部を直接流れる電流の大きさが、紙の抵抗によって変化するからである。普通紙に代えて、粗面紙を用いた場合、印字率の違いによる2次転写電流の適正値の差は、より顕著になってくる。
また、2次転写電流の適正値は、紙の厚みやサイズによっても異なってくることがわかった。これは次に説明する理由による。即ち、2次転写ニップの全領域のうち、中間転写ベルト21と2次転写ローラとが紙を介在させずに直線接触している領域では、2次転写電流が紙を介することなくベルトとローラとの間で直接流れるが、この電流も、トナーの移動には寄与しない電流である。このため、同じ電気抵抗の紙を使用しても、そのサイズや厚みが異なれば、2次転写ニップ内でトナーの移動に寄与する電流量と寄与しない電流量との比率が異なってくるのである。
このように、従来の画像形成装置においては、紙の抵抗が環境変動や定着装置通過などによって変化したり、異なる厚みやサイズの紙が使用されたりすると、2次転写電流の適正値が変化して画質に大きく影響していた。このため、印字率やトナーの帯電量に応じて2次転写電流の制御目標値を補正しても、紙の凹凸にならった画像濃度ムラの発生を抑えることが困難であった。
本発明者らは、このような2次転写電流の適正値の変化に対応する方策として、中間転写ベルト21に当接して2次転写ニップを形成する当接部材(実施形態に係るプリンタでは紙搬送ベルト39a)の電気抵抗を高抵抗にすることを考えた。当接部材が高抵抗であれば、紙のサイズ、厚み、電気抵抗などが変化しても、2次転写ニップ内で、紙が介在していない領域には2次転写電流が殆ど流れないかもしれないと考えたからである。
このことについて詳述する。
トナーを転写するために必要な転写電流は、トナーの帯電量、付着量,プロセス線速などにもよるが、一般的には数〜数十[μA]である。定電流電源の電流制御精度を加味すると、紙の非画像部や紙の介在しないニップ領域に流れ込んでトナーの移動に寄与しなくなる電流量を0.1[μA]以下に留めることができれば、トナーの移動に寄与する電流量を的確にコントロールできるはずである。トナーの静電移動のために必要な電位差(トナー層に働く電位差)は高く見積もっても1000[V]程度である。よって、紙の非画像部などを流れる電流量を0.1[μA]以下に留めるためには、例えば当接部材として紙搬送ベルト39aを用いる場合には、オームの法則によれば、その抵抗Rを、1e9[Ω](=1000[V]/0.1e−6[A])以上にすればよいと考えられる。抵抗Rは、紙搬送ベルト39aの体積抵抗率と二次転写ニップにおけるベルト移動方向の長さであるニップ幅W[m]と、2次転写ニップにて中間転写ベルト21と紙搬送ベルト39aとの間で2次転写電流をやりとりするベルト幅方向の長さであるニップ内通電長さL[m]とで求められる。このニップ内通電長さLbとは、具体的には、2次転写ニップのベルト幅方向において、紙搬送ベルト39aを介して2次転写対向ローラ24と従動ローラ39cとが対向している領域である。すると、次の条件式(以下、基本式という)を満足させた条件下で、印字率に応じて2次転写電流の制御目標値を変化させれば、紙のサイズ、厚み、電気抵抗などが変化しても、トナーの移動に寄与しない電流量を0.1[μA]以下に留めることができるはずである。即ち、ρ v,b ×t ≧1e9×L ×W という基本式である。なお、本プリンタにおいて、基本式ρ v,b 、t は、紙搬送ベルト39aの体積固有抵抗率、厚みである。
そこで、本発明者らは、次のような実験を行った。即ち、まず、上述した試験機において、ニップ幅Wを測定した。詳しくは、全面ベタトナーを担持させた中間転写ベルト21に対して2次転写ローラを当接させて2次転写ニップを形成した後、2次転写ローラを中間転写ベルト21から離間させた。そして、2次転写ローラに付着したトナーの領域におけるローラ回転方向の長さをマイクロスコープ(キーエンス製VHX600)で測定し、その結果をニップ幅Wとした。測定結果は3[mm]であった。次に、中間転写ベルト21に対し、2次転写ローラを当接させて2次転写ニップを形成する代わりに、紙搬送ベルト39aにおける従動ローラ39cに対する掛け回し領域を当接させて2次転写ニップを形成する構成(図1の構成)するように、試験機を改造した。紙搬送ベルト39aとしては、厚さ=100[μm]で、体積抵抗率=1E13cm(1e11Ωm)のものを用いた。体積抵抗率は、三菱化学製ハイレスターUP MCP HT450により、100Vの印加電圧の条件で測定されたものである。2次転写ニップにおけるニップ内通電長さL[m]は、0.3[m]に設定した。この試験機において、上記基本式の左辺である「ρv,b×t」を計算すると、「1e11[Ωm]×100e−6[m]=1e7Ωm」となる。また、上記基本式の右辺である「1e9[Ω]×L[m]×W[m]を計算すると、「1e9[Ω]×0.3[m]×3e−3[m]=9e5Ωm」となる。「1e7Ωm≧9e5Ωm」であるので、試験機は上記基本式の条件を満足していることになる。
試験機のように体積抵抗率の高い紙搬送ベルト39aを用いると、2次転写ニップでベルトに放電電荷を蓄積させることがある。この蓄積をベルト複数周回に渡って繰り返していくと、2次転写ニップ内での転写性に悪影響を及ぼしてしまう。そこで、試験機には、図1に示すように、2次転写ニップを通過した後の紙搬送ベルト39aの表面を除電する除電ローラ39dを設けた。除電ローラ39dは、芯金の表面上に体積抵抗率が約1E8[Ωcm]であるゴム層を設けたものである。この除電ローラ39dに対し、振幅3kV、周波数2kHz、オフセット電圧0Vの交流電圧からなる除電バイアスを印加して、紙搬送ベルト39aを除電するようにした。
この試験機を用いて、表面の凹凸が大きい紙(NBSリコー FC和紙タイプ「さざ波」)に対して様々な2次転写電流の条件下でテスト画像を出力して、画質を評価する実験を行った。テスト画像としては、印字率5%の単色画像、及び、印字率100%の二色重ね画像の2種類を採用した。画質としては、紙表面の凹凸の凸部における画像濃度と、凹部における白抜けとを評価した。また、両評価を総合した総合評価も行った。この結果を、次の表1及び表2に示す。
Figure 0005713225
Figure 0005713225
印字率5%、印字率100%の何れにおいても、2次転写電流の増加に伴って凹部の白抜けが目立っていき、それによって画像品質が低下していくことがわかる。これは、既に説明したように、2次転写電流が増加していくにつれて、凹部と中間転写ベルト21との空隙で放電が発生してトナーを逆帯電させ易くなるからである。
2つの表からわかるように、印字率5%のときには2次転写電流の制御目標値を15[−μA]に設定する一方で、印字率100%のときには2次転写電流の制御目標値を25[−μA]に設定することで、凹凸の大きな紙を使用しても、濃度ムラのない良好な画像を得ることができる。
プリントに使用する紙(さざ波)の大きさや厚みを変えて同様の実験を行ったところ、同様の結果が得られた。よって、上記基本式の条件を満たすことで、印字率に応じて2次転写電流の制御目標値を変化させるだけで、紙の厚みやサイズにかかわらず、画像濃度ムラのない良好な画像が得られることがわかった。
そこで、参考形態に係るプリンタにおいては、実験に使用した試験機と同様に、紙搬送ベルト39aとして上記基本式の式の条件を満たすことが可能な高抵抗のものを用いている。また、試験機と同様の除電ローラ16cを備えている。紙搬送ベルト39aを除電する除電手段としては、これに限られるものではなく、例えばコロナチャージャーを用いたり、接地された除電針などを用いたりしてもよい。
図7は、参考形態に係るプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段たる制御部200は,演算手段たるCPU200a(Central Processing Unit)、不揮発性メモリたるRAM200c(Random Access Memory)、一時記憶手段たるROM200b(Read Only Memory)等を有している。制御部200は,装置全体の制御を司るものである。制御部200は、RAM200cやROM200b内に記憶している制御プログラムに基づいて、各機器の駆動を制御する。また、外部のパーソナルコンピューター等から送られてくる画像データ(露光時の書き込み信号)に基づいて、各色の画像の印字率を演算する。印字率の演算結果は、2次転写電源82に送られる。2次転写電源82は、2次転写電流を一定にするように出力電圧を調整する定電流制御部を具備している。この定電流制御部は、制御部200から送られてきた印字率の演算結果に基づいて、2次転写電流の制御目標値Iを次式のように変化させる。
Figure 0005713225
この式におけるA、Bはそれぞれ試験機を用いた実験に基づいて定められたものである。トナーと中間転写ベルト21との間には、非静電的な付着力が存在するため、制御目標値Iの値はベルト上の単位面積当たりの帯電量(Q/A[C/m])に対して画像領域の幅(ニップ内通電長さL)とベルトの線速(=プロセス速度v[m/s])とを乗じた値(Q/A×L×v)よりも大きくなるのが一般的である。数4の式において、印字率ηが0〜1になっているが、これは「η×Q」をY,M,C,Kの各色についてそれぞれ計算するからである。
の式からわかるように、本プリンタでは、各色のトナーの電荷量に基づいて制御目標値Iを求めている。但し、各色のトナーの帯電量にあまり差がない場合や、現像装置内のトナーの帯電量が環境やストレスに対して安定している場合には、印字率だけに基づいて2次転写電流を制御しても、大きな効果が得られる。制御目標値Iを求める関数も、数4の数式に限られるものではなく、もっと単純な関数を用いてもよい。逆に、温湿度、シートの体積抵抗率、中間転写ベルト21上のトナーの付着量などといった、他の物理量を考慮した、より複雑な関数を用いることも可能である。特に、トナーの帯電量は湿度によって大きく変化するため、温湿度センサで得られる湿度情報によって、数の式中のQ、切片、傾きなどを補正するのは有効である。更に、関数を使わずに、各色トナーの帯電量や印字率に応じて予め定められたテーブルに基づいて、制御目標値を求めてもよい。
本プリンタにおいては、表面凹凸の大きな記録シートを用いる場合には、転写効率よりも画像濃度ムラ抑制を優先する目的で、2次転写電流の制御目標値として、90%程度の転写効率が得られる値を採用する。これに対し、凹凸が少ないことから画像濃度ムラを発生させ難い普通紙が用いられる場合には、制御目標値をより大きくして、転写効率の向上を図っている。
具体的には、パーソナルコンピューターで起動するプリントユーティリティーや、プリンタ本体に設けられた操作パネルを操作するユーザーにより、「凹凸紙モード」が選択された場合には、次の数の式に基づいて制御目標値Iを決定する。一方、ユーザーにより、「普通紙モード」が選択された場合には、次の数の式に基づいて制御目標値Iを決定する。
Figure 0005713225
Figure 0005713225
これらの式からわかるように、「凹凸紙モード」が選択された場合には、「普通紙モード」が選択された場合に比べて、制御目標値Iを大きくする。これにより、シート表面凹凸にならった画像濃度ムラを発生させ難い「普通紙モード」では、「凹凸紙モード」に比べて、転写効率を向上させることができる。
制御目標値Iの補正のタイミングは、記録シートを1画素分だけ搬送する毎のタイミングとしている。つまり、本プリンタでは、記録シートの各画素ライン(主走査方向に延びる画素ライン)毎に、印字率を求め、その結果に基づいて制御目標値Iを補正している。但し、例えば、数〜数十ライン毎など、補正時間間隔をより広げてもよい。また、印字率については、二次転写ニップの出口部に限らず、ニップの中央や、ニップ内に存在する印字率の平均値を使うことも可能である。
中間転写ベルト21としては、2.6[GPa]の引張り弾性率(JIS K 7127に準じた引張試験方法で測定)を発揮するポリイミドベルトを用いている。このようなベルトは、ベルト速度変動に起因する各色の重ね合わせずれ(色ずれ)の発生を抑えることができる。なお、シート表面の凹凸パターンに対応する濃度ムラについては、ゴム製ベルトよりも発生させ易くなる。従来では、濃度ムラの抑制を優先する場合にはゴム製ベルトを選択する一方で、重ね合わせずれの抑制を優先する場合にはポリイミドベルトを選択していたため、ムラ抑制とずれ抑制とを両立させることが困難であったが、本プリンタでは、ポリイミドベルトであっても濃度ムラの発生を効果的に抑えることができる。よって、ムラ抑制とずれ抑制とを両立させることが可能になった。
かかる構成の本プリンタにおいては、制御目標値Iを補正することで、特に粗面紙において大きな効果が得られるが、普通紙においても、制御目標値Iを補正しない場合に比べて、2次転写率を数パーセント向上させることができた。
次に、本発明を適用した実施形態のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、実施形態に係るプリンタの構成は、参考形態と同様である。図8は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。このプリンタは、中間転写ベルト21に対して、回転体たる2次転写ローラ26を当接させて2次転写ニップを形成している点が、参考形態に係るプリンタと異なっている。2次転写ニップを通過した記録シートは、ニップ側方に配設された紙搬送ユニット39の紙搬送ベルトによって定着装置40まで搬送される。
2次転写対向ローラ24としては、無垢の金属表面をベルト裏面に接触させる金属ローラを用いている。また、2次転写ローラ26としては、金属ローラの表面に、厚さ150μm、体積抵抗率2E13Ωcm(三菱化学製ハイレスタ−UP MCP HT450印加電圧100V測定値)のポリフッ化ビニリデン(PVDF)シート(大倉工業製)を導電性カーボン両面テープ(日新EM)で接着して表面層を形成したものを用いている。この2次転写ローラ26に対しては、2次転写ニップよりも下流側で除電手段としての除電ローラ27を当接させている。除電ローラ27は、芯金の上に体積抵抗率約1E8Ωcmのゴム層が被覆されたものである。除電手段は、これに限られるものではなく、例えばコロナチャージャーを用いたり、接地した除電針などを用いたりしてもよい。
かかる構成の本プリンタにおいては、上記数の条件を具備させることで、印字率に応じて制御目標値Iを補正してやれば、記録シートの電気抵抗、厚み、サイズにかかわらず、画像濃度ムラの発生を抑えることができる。なお、本プリンタでは、上記数のρv,r、t、は、2次転写ローラ26の表面層の体積抵抗率、厚みである。
本発明者らは、本プリンタと同様の構成の試験機を用意した。そして、この試験機における中間転写ベルト21に全面ベタトナー像を形成した状態で、その領域に2次転写ローラ26を押し付けた後、離間させた。2次転写ローラ26に付着したトナーの幅をマイクロスコープ(キーエンス製VHX600)で測定し、その結果をニップ幅Wとした。結果は3[mm]であった。また、2次転写ニップにて中間転写ベルト21と回転体たる2次転写ローラ26との間で2次転写電流をやりとりするローラ回転軸線方向の長さであるニップ内通電長さL[m]は、3[m]であった。
この試験機において、上記数の式の左辺である「ρv,r×t」を計算すると、「2e11[Ωm]×150e−6[m]=3e7Ωm」となる。また、上記数2の式の右辺である「1e9[Ω]×L[m]×W[m]を計算すると、「1e9[Ω]×0.3[m]×3e−3[m]=9e5Ωm」となる。「3e7Ωm≧9e5Ωm」であるので、この試験機は上記数の条件を満足していることになる。
この試験機を用いてプリントテストを行ったところ、参考形態と同様に、記録紙の電気抵抗、厚さ、サイズにかかわらず、シート表面の凹凸にならった画像濃度ムラのない画像を形成することができた。そこで、実施形態に係るプリンタにおいては、試験機と同じ構成を採用している。
なお、2次転写対向ローラ24と2次転写ローラ26とのうち、2次転写ローラ26について、上記数の数式を具備させた例について説明したが、その代わりに、2次転写対向ローラ24について上記数の数式を具備させても、同様の効果を得ることができる。
これまで、トナー像の面積率として、印字率を採用した例について説明したが、画素数など、面積率を反映する他のパラメータを用いてもよい。
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、2次転写ニップを通過した後の紙搬送ベルト39aを除電する除電手段たる除電ローラ39d、2次転写ニップを通過した後の2次転写ローラ26を除電する除電手段たる除電ローラ27を設けている。かかる構成では、既に説明したように、紙搬送ベルト39aや2次転写ローラ26を2次転写ニップ進入毎にチャージアップさせてしまうことに起因する画質劣化の発生を回避することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、画像面積としての印字率に加えて、予め記憶しているトナー帯電量ηの情報にも基づいて制御目標値Iを補正する処理を実施するようになっている。かかる構成では、トナー帯電量を加味することで、より適切な値に制御目標値Iを補正することができる。
また、実施形態に係るプリンタにおいては、中間転写体として、引っ張り弾性率が2[GPa]以上である中間転写ベルト21を用いている。かかる構成では、既に説明したように、従来では困難であった、シート表面の凹凸パターンに対応した濃度ムラの抑制と、各色の重ね合わせずれの抑制とを両立させることができる。
2Y,M,C,K:感光体(像担持体)
21:中間転写ベルト(中間転写体)
26:2次転写ローラ(回転体)
27:除電ローラ(除電手段)
39a:紙搬送ベルト(ベルト部材)
39d:除電ローラ(除電手段)
82:2次転写電源(転写電流制御手段)
特開2007−121619号公報 特開平06−289682号公報 特開平07−175340号公報

Claims (6)

  1. トナー像を担持する像担持体と、自らの移動する表面に前記像担持体上のトナー像が転写せしめられる中間転写体と、自らの表面層を前記中間転写体に当接させて転写ニップを形成しながら、前記転写ニップで自らの表面を前記中間転写体と同じ方向に移動させるように回転する回転体と、前記中間転写体と前記回転体との間に流す転写電流の制御目標値を出力画像の画像面積に応じて変化させる転写電流制御手段とを備え、前記転写ニップ内に送り込んだ記録シートの表面に、前記中間転写体上のトナー像を転写する画像形成装置において、
    前記回転体の前記表面層の体積抵抗率ρv,r[Ωm]と、前記表面層の厚みt[m]と、前記転写ニップにて前記中間転写体と前記回転体との間で転写電流をやりとりする回転体回転軸線方向の長さであるニップ内通電長さL[m]と、前記転写ニップの回転体表面移動方向の長さであるニップ幅W[m]との間に、次式の関係を具備させたことを特徴とする画像形成装置。
    Figure 0005713225
  2. トナー像を担持する像担持体と、自らの移動する表面に前記像担持体上のトナー像が転写せしめられる中間転写ベルトと、自らの表面を前記中間転写ベルトに当接させて転写ニップを形成しながら、前記転写ニップで自らの表面を前記中間転写ベルトと同じ方向に移動させるように回転する第1回転体と、前記転写ニップの裏側で前記中間転写ベルトの裏面に当接しながら回転する第2回転体と、前記第1回転体と前記第2回転体との間に流す転写電流の制御目標値を出力画像の画像面積に応じて変化させる転写電流制御手段とを備え、前記転写ニップ内に送り込んだ記録シートの表面に、前記中間転写ベルト上のトナー像を転写する画像形成装置において、
    前記第2回転体の表面層の体積抵抗率ρv,r[Ωm]と、前記表面層の厚みt[m]と、前記転写ニップにて前記第1回転体と前記第2回転体との間で転写電流をやりとりする回転体回転軸線方向の長さであるニップ内通電長さL[m]と、前記転写ニップの回転体表面移動方向の長さであるニップ幅W[m]との間に、次式の関係を具備させたことを特徴とする画像形成装置。
    Figure 0005713225
  3. 請求項1の画像形成装置において、
    前記転写ニップを通過した後の前記回転体を除電する除電手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項2の画像形成装置において、
    前記転写ニップを通過した後の前記第2回転体を除電する除電手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4の何れかの画像形成装置において、
    前記画像面積に加えて、画像形成に用いるトナーについて予め記憶しているトナー帯電量にも基づいて前記制御目標値を変化させる処理を実施するように、前記転写電流制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
    前記中間転写体又は前記中間転写ベルトとして、引っ張り弾性率が2[GPa]以上である中間転写ベルトを用いたことを特徴とする画像形成装置。
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