以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1(a)は、本発明の実施例1に係る画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した画像形成装置である。図1(a)に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有する。装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部50が設けられる。画像形成部50は、感光体ドラム1、転写ローラ9等を含む。
『像担持体』である感光体ドラム1は、矢印Aの方向へ回転する。感光体ドラム1の周囲には、帯電装置2、露光装置3、現像装置4k、パッチセンサ17、転写ローラ9、クリーニング装置11が配置されている。『帯電手段』である帯電装置2は、感光体ドラム1の表面を一様に帯電させる装置である。『露光手段』である露光装置3は、帯電装置2によって帯電された感光体ドラム1の表面に対して、画像情報に基づいて感光体ドラム1の表面を露光し、感光体ドラム1の表面に静電像を形成する装置である。『現像手段』である現像装置4kは、例えばブラック(k)トナーを内包し、露光装置3によって感光体ドラム1の表面に形成された静電像をトナーで現像し、感光体ドラム1の表面にトナー像を形成する装置である。ここでは、静電像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
『検出手段』であるパッチセンサ17は、感光体ドラム1の表面に対向して配置される。パッチセンサ17は、感光体ドラム1の表面の画像形成領域の周囲の画像制御用領域に画像制御に用いられる『画像制御用トナー像』である画像制御用パッチが形成された場合に、画像制御用パッチの濃度を検出するセンサである。画像制御用パッチは、感光体ドラム1の表面で、通常の画像形成に用いられる第1画像形成領域N1(図3(a)参照)よりも感光体ドラム1の軸方向の端部側に確保される画像制御用の画像形成に用いられる第2画像形成領域N2(図3(a)参照)に形成される。したがって、この第2画像形成領域が、『画像制御用領域』(テストパターン形成領域)に相当する。
なお、第1画像形成領域N1は、感光体ドラム1の表面で通常の出力画像が形成される領域を副走査方向Kに延長した領域であり、こうした「通常の出力画像領域の主走査方向Jの寸法」×「感光体ドラム1の円周分の寸法」に相当する領域である。図3(a)中で「出力画像領域」と記載される部位が含まれる。第2画像形成領域N2は、感光体ドラム1の表面で画像制御用の出力画像が形成される領域を副走査方向Kに延長した領域であり、こうした「画像制御用の出力画像領域の主走査方向Jの寸法」×「感光体ドラム1の円周分の寸法」に相当する領域である。図3(a)中で画像制御用パッチが形成されている領域が相当する。
なお、画像形成領域の周囲の画像制御用領域といった場合には、例えば、図10(a)及び図10(b)の中間転写ベルト6の表面のように、出力画像領域及び出力画像領域の間の領域も含む。これは、実施例5のような中間転写ベルト6の場合ではなくて実施例1のような感光体ドラム1の場合でも同様である。
パッチセンサ17は、感光体ドラム1に対向して配置されると共に、現像装置4k及び転写ローラ9の間に配置される。パッチセンサ17は、感光体ドラム1の表面に現像される画像制御用パッチの濃度を検知する。
前述の『転写手段』である『1次転写ローラ』としての転写ローラ9は、現像装置4kによって感光体ドラム1の表面に形成されたトナー像を転写材Pに転写するローラである。転写ローラ9は、感光体ドラム1に対向して配置される。転写ローラ9には、転写高圧検知センサ29が接続され、転写高圧検知センサ29には、転写バイアス印加装置28が接続される。転写バイアス印加装置28は、レジストローラ対8で搬送される転写材Pに対して感光体ドラム1の表面の未定着トナー像を転写するときに、転写ローラ9にトナーと異なる極性のバイアスを印加する。転写バイアス印加装置28は、例えば、転写ローラ9に+2000〜+3000Vを印加し、感光体ドラム1から転写ローラ9へと+20〜+30μAの電流が流れるようにする。そして、1次転写後の感光体ドラム1の一回転毎に、感光体ドラム1の表面はクリーニング装置11で転写残トナーをクリーニングし、繰り返して作像工程に入る。なお、例えば、転写ローラ9の抵抗が経時的に上昇することで、転写ローラ9から感光体ドラム1に流れる電流が減少してしまい、マイナストナーが感光体ドラム1から転写ローラ9に移動しなくなる虞がある。これを抑制するため、すなわち転写ローラ9及び感光体ドラム1の間の電流を一定に維持するために、転写高圧検知センサ29が転写ローラ9及び感光体ドラム1の間の電圧又は電流を絶えず検知する。
この一方で、転写材Pは、レジストローラ対8で一旦停止されて位置決めされ、その後に、所定のタイミングで1次転写位置(感光体ドラム1及び転写ローラ9のニップ位置)に搬送される。それから、転写材Pが不図示の定着装置へと搬送され、転写材Pにはトナーが溶融して固着される。
清掃装置171(図2(a)参照)は、クリーニング容器71を有する。クリーニング容器71の内部には、ファーブラシ25、バイアスローラ26、クリーニングブレード27等が設けられている。そして、転写ローラ9に対向する位置には、ファーブラシ25が配置されている。『清掃手段』である清掃装置171(図2(a)参照)の一部としてのファーブラシ25は、転写ローラ9を静電的に清掃するブラシである。ファーブラシ25は、バイアスローラ26を介して印加されたトナーと逆極性のバイアスによって、転写ローラ9に付着した画像制御用パッチ(トナー濃度検知用のトナー像)を静電的にクリーニングする。ファーブラシ25に転移したトナーは、次いでバイアスローラ26に転移し、クリーニングブレード27で掻き落として回収される。なお、バイアスローラ26は、バイアス印加装置30に接続されている。そして、バイアス印加装置30からバイアスローラ26にバイアスが印加される。
転写ローラ9は、外径が8〜12mmの金属製の芯金を有し、その外周面に導電性材料層が形成され、外径が16〜30mmとなるように構成されている。この導電性材料層は、ゴム、例えばヒドリンゴムやEPDM等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料を基材として用い、それにイオン性導電物質を混入することにより、導電性を1[MΩ]から100[MΩ]という中抵抗領域に調整したものである。また、転写ローラ9の表層には、樹脂コート例えばウレタンやナイロンなどを2〜10μmでコーティングしたものを用いている。硬度は、転写ローラ全体でAskerCで25〜40のものを用いている。なお、アスカーCとはSRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)の一つで、硬さを測定するための測定器である。
ファーブラシ25には、毛長が4mmで、芯金径が10mmで、外径が18mm、抵抗値がN/N(23℃、50%RH)測定の100V印加で1×10+5〜1×+10Ωのものが使用された。バイアスローラ26には、外径が13〜20mmのSUS製の金属ローラが使用された。クリーニングブレード27には、弾性を有するポリウレタンゴムが使用された。ファーブラシ25は、転写ローラ9とバイアスローラ26にそれぞれ1〜2mm侵入するように配置された。また、ファーブラシ25は、転写ローラ9とはカウンタ回転(対向面同士を互いに反対方向に回転)させ、バイアスローラ26とは順回転(対向面同士を互いに同方向に回転)させた(図2(a)参照)。
コントローラ60(図1(a)参照)は、装置本体100Aの各種の内部機器の駆動を制御する。その他に、コントローラ60は、感光体ドラム1の画像形成領域の周囲の画像制御用領域から転写された転写ローラ9の表面の画像制御用パッチがファーブラシ25を通過するときに、以下の制御をする。即ち、コントローラ60は、パッチセンサ17が検出した画像制御用パッチの濃度に基づいて転写ローラ9及びファーブラシ25の間に印加される清掃電圧又は清掃電流を変化させる(図4(a)参照)。以下の説明では、清掃電圧のことをクリーニング電圧といい、清掃電流のことをクリーニング電流という。
図1(b)は、コントローラ60は、CPU(中央処理装置、Central Processing Unit)を有する。コントローラ60は、外部入力機器61、パッチセンサ17、給送高圧装置62及び搬送高圧装置63と接続されている。また、コントローラ60は、メインモータ64、画像制御装置65、1次転写高圧装置67、定着高圧装置69に接続される。なお、後述する実施例2〜5の場合は、コントローラ60は、2次転写高圧装置68にも接続される。ただし、実施例1の場合は、コントローラ60は、2次転写高圧装置68には接続されていない。
画像制御装置65は、帯電装置2、露光装置3、現像装置4kを駆動するドライバとして機能する。また、1次転写高圧装置67、定着高圧装置69の各々は、1次転写ローラである転写ローラ9(実施例2〜5では、1次転写ローラ5Y〜5k)、定着装置を駆動するドライバとして機能する。また、2次転写高圧装置68は、2次転写ローラ(実施例2〜5では、2次転写ローラ19)を駆動するドライバとして機能する。そして、コントローラ60は、外部入力機器61から受信した駆動信号及びパッチセンサ17から受信した検知信号に基づいて、画像制御装置65の駆動を制御し、画像制御装置65を介して帯電装置2、露光装置3、現像装置4kを駆動させる。その他、コントローラ60は、メインモータ64を駆動させて感光体ドラム1を回転させ、1次転写高圧装置67を駆動させて転写ローラ9を駆動させ、定着高圧装置69を駆動させて定着装置を駆動させる。なお、実施例2以後で記載される2次転写ローラ19がある場合には、コントローラ60は、2次転写高圧装置68を駆動させて2次転写ローラ19を駆動させる。
図2(a)は、ファーブラシ25、バイアスローラ26、クリーニングブレード27の構成を示す断面図である。図2(a)に示されるように、クリーニング容器71の内部には、転写ローラ9、ファーブラシ25、バイアスローラ26、クリーニングブレード27が配置されている。転写ローラ9の対向位置には、ファーブラシ25が配置される。ファーブラシ25の対向位置には、バイアスローラ26が配置される。バイアスローラ26の対向位置には、クリーニングブレード27の先端部が配置される。なお、バイアスローラ26は、バイアス印加装置30に接続されている。
ファーブラシ25は、転写ローラ9に対向して配置される。コントローラ60は、ファーブラシ25を転写ローラ9に対してカウンター回転するように制御する。すなわち、ファーブラシ25の対向位置でのブラシ回転方向及び転写ローラ9の対向位置でのローラ回転方向は、互いに逆向きである。このように、ファーブラシ25が転写ローラ9に対してカウンター回転していることで、転写ローラ9に付着した画像制御用のトナー像を機械的に掻き取る力が働き、転写ローラ9の清掃をより安定させることができる。
図2(b)は、単位面積当たりのパッチ帯電量、及び、パッチ濃度の関係を示すグラフである。図2(b)に示されるように、単位面積当たりのパッチの帯電量(以下、パッチ帯電量という)は、パッチの濃度(以下、パッチ濃度という)ごとに異なる。したがって、画像制御用パッチに対する最適なクリーニング電流が、濃度の薄いパッチと濃いパッチで異なる。そして、単位面積当たりのパッチのトナー帯電量に対してクリーニング電流が少ないと、トナーを回収するクリーニング電界が不足する。反対に、単位面積当たりのパッチのトナー帯電量に対してクリーニング電流が多すぎると、パッチトナーが極性反転してしまい、ファーブラシ25がトナーを回収できない。すなわち、パッチトナーの電荷が例えばマイナスであったものがプラスに変化すると、トナーの向きが転写ローラ9からファーブラシ25へと向かわないで、ファーブラシ25から転写ローラ9へと向かってしまう。こうなると、転写ローラ9に付着したトナーのクリーニングがされないことになる。
図2(c)は、クリーニング残濃度、及び、クリーニング電流の関係を示すグラフである。図2(c)に示されるように、パッチ濃度が0.1の場合には、トナーを回収するのに最適なクリーニング電流は+2μAであった。パッチ濃度が1.2の場合には、トナーを回収するのに最適なクリーニング電流は+10μAであった。そして、クリーニング電流が+2μAに設定されると、パッチ濃度が0.1の画像制御用パッチは適度にクリーニングされる。しかし、パッチ濃度が1.2の画像制御用パッチでは適度なクリーニング電流が+10μAであるからクリーニング電流が+2μAではクリーニング電流が少ないことになってファーブラシ25による充分なクリーニングがなされない。また、クリーニング電流が+10μAに設定されると、パッチ濃度が1.2の画像制御用パッチが適度にクリーニングされる。しかし、パッチ濃度が0.1の画像制御用パッチでは適度なクリーニング電流が+2μAであるからクリーニング電流が+10μAではクリーニング電流が多すぎてパッチトナーが極性反転してしまって、ファーブラシ25による充分なクリーニングがなされない。なお、本実施例における画像形成装置のコントローラ60では、クリーニング電流が目標電流値となるような定電流制御を行うものである。
図3(a)は、画像制御用パッチが感光体ドラム1の表面に形成される様子を示す平面図である。図3(a)に示されるように、画像制御用パッチでは、1つのパッチ(画素)の形状は、感光体ドラム1の表面移動方向に相当する副走査方向Kに20mmで、主走査方向Jに16mmで構成される。各パッチ濃度は1.6、1.2、0.8、0.5、0.3、0.1であり、計で6個が副走査方向Kに連続形成される。それらのパッチ濃度を検出し、その結果に応じてトナーの画像制御を行う。すなわち、パッチの濃度がずれている場合には、レーザ露光出力信号を補正する。ここでいうパッチ濃度は、転写材Pに転写した時に濃度測定器(X−Rite社製)で測定した値である。なお、このパッチの濃度には、単位はない。
図3(b)は、コントローラ60の制御システムを示すブロック図である。パッチセンサ17には例えばフォトセンサが用いられる。パッチセンサ17で検知した検知信号は、A/D変換回路51でアナログ信号からデジタル信号に変換され、濃度変換回路52でパッチ濃度の度合いが所定の数値に変換されて、コントローラ60に送信される。そして、コントローラ60は、受信した所定の数値情報をクリーニング高圧回路53へと送信し、クリーニング高圧回路53はバイアスローラ26に所定の電圧を印加する。こうして、バイアスローラ26には、濃度情報に応じたクリーニング電流が流れる。また、コントローラ60は、露光制御装置54で露光装置3の駆動を制御してレーザを出力する。
図4(a)は、クリーニング電流、及び、パッチがパッチセンサ17を通過する時間の関係を示すグラフである。また、グラフ中の上方の四角形は、画像制御用パッチのパッチ濃度を表している。さらに、グラフ中の下方の階段状のグラフは、クリーニング電流の大小を表している。このグラフの実験を行うにあたっては、コントローラ60は、感光体ドラム1の表面に形成された画像制御用パッチのパッチ濃度をパッチセンサ17で検出する。そして、コントローラ60は、転写ローラ9に付着したパッチがファーブラシ25を通過するのに同期して、定電流制御で電圧を印加することで、クリーニング電流を流し、かつ、パッチ濃度に応じてクリーニング電流を変えていく。この場合に、コントローラ60は、画像制御用パッチの濃度が高いほどに、転写ローラ9及びファーブラシ25の間に印加されるクリーニング電圧又はクリーニング電流を高く設定する。また、コントローラ60は、画像制御用パッチの濃度が低いほどに、転写ローラ9及びファーブラシ25に印加されるクリーニング電圧又はクリーニング電流を低く設定する。
詳しくは、コントローラ60は、マイナスのトナーが用いられる場合には、ファーブラシ25に印加する電圧を転写ローラ9に印加する電圧よりも高く設定する。そして、コントローラ60は、画像制御用パッチの濃度が高いほどにファーブラシ25に印加する電圧を高く設定してファーブラシ25から転写ローラ9に流れるクリーニング電流を高く設定する。また、コントローラ60は、画像制御用パッチの濃度が低いほどにファーブラシ25に印加する電圧を低く設定してファーブラシ25から転写ローラ9に流れるクリーニング電流を低く設定する。なお、マイナストナーの向きは、電流の向きとは反対である。
また、反対に、コントローラ60は、プラスのトナーが用いられる場合には、転写ローラ9に印加する電圧をファーブラシ25に印加する電圧よりも高く設定する。そして、コントローラ60は、画像制御用パッチの濃度が高いほどにファーブラシ25に印加する電圧を低く設定してファーブラシ25から転写ローラ9に流れるクリーニング電流を高く設定する。また、コントローラ60は、画像制御用パッチの濃度が低いほどにファーブラシ25に印加する電圧を高く設定してファーブラシ25から転写ローラ9に流れるクリーニング電流を低く設定する。
また、コントローラ60は、画像制御用パッチが複数の濃度を有する場合に、所定範囲の濃度毎にクリーニング電圧又はクリーニング電流を設定する。グラフ中では、パッチ濃度は、1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)、0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)としている。この順に対応して、コントローラ60は、クリーニング電流を+12、+10、+8、+6、+4、+2μAの定電流で制御した。これにより、単位面積当たりのパッチのトナー帯電量に対して、クリーニング電界の過不足(クリーニング電界不足によるクリーニング不良、クリーニング電流量が過剰によるトナーの極性反転)を発生させることなく、トナーをファーブラシ25で回収できる。なお、それ以外のクリーニング高圧はファーブラシ25からトナーの吐き出しがないように約0.1〜1.0μAの電流を流した。
図4(b)は、転写材Pの裏面の汚れ状態を示す表である。図4(b)中で、○は紙裏汚れが無いと判断できる場合であり、×は紙裏汚れが有ると判断される場合を示している。図4(b)に示されるように、実施例1の方法でクリーニング電流を制御すると、全ての濃度のパッチを転写ローラ9から回収して転写ローラ9を清掃できた。一方、クリーニング電流を+10μA、+6μA、+2μAの各々で固定したクリーニング電流の制御方法を用いると、全ての濃度パッチを転写ローラ9から清掃できず、その結果、一部のパッチ濃度のトナーは回収されず、転写材Pの裏面に汚れが発生した。
すなわち、実施例1では、コントローラ60は、パッチセンサ17が検知する画像制御用パッチの濃度に応じて、バイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を変更する。このために、全てのパッチ濃度のトナーが回収された。
これに対して、コントローラ60がバイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を+10μAに設定する。パッチ濃度が0.1、0.3、0.5の場合には、適度なクリーニング電流が+2μA、+4μA、+6μAであり、クリーニング電流が+10μAでは、過剰ということになる。したがって、これらのパッチ濃度の場合には、トナーの回収がされず、転写材Pの裏面に汚れが生じた。
また、コントローラ60がバイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を+6μAに設定する。パッチ濃度が0.1の場合には、適度なクリーニング電流が+2μAであり、クリーニング電流が+6μAでは、過剰ということになる。また、パッチ濃度が1.2、1.6の場合には、適度なクリーニング電流が+10μA、+12μAであり、クリーニング電流が+6μAでは、不足ということになる。したがって、これらのパッチ濃度の場合には、トナーが回収されず、転写材Pの裏面に汚れが生じた。
さらに、コントローラ60がバイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を+2μAに設定する。パッチ濃度が0.5、0.8、1.2、1.6の場合には、適度なクリーニング電流が+6μA、+8μA、+10μA、+12μAであり、クリーニング電流が+2μAでは、不足ということになる。したがって、これらのパッチ濃度の場合には、トナーが回収されず、転写材Pの裏面に汚れが生じた。
図5(a)は、本発明の実施例2に係る画像形成装置200の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した画像形成装置である。図1(a)に示されるように、画像形成装置200は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)200Aを有する。装置本体200Aの内部には、画像を形成する画像形成部150が設けられる。画像形成部150は、感光体ドラム1Y、1M、1C、1k、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5k等を含む。以下、詳述する。
装置本体200Aの内部には、『第1像担持体』である感光体ドラム1Y、1M、1C、1kが配置されている。感光体ドラム1Y、1M、1C、1kは、矢印Aの方向へ回転する。感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面には、帯電装置2Y、2M、2C、2k、露光装置3Y、3M、3C、3k、現像装置4Y、4M、4C、4kが対向して配置されている。また、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面には、1次転写ローラ5Y、5M、5C、5k、クリーニング装置11Y、11M、11C、11kが対向して配置されている。『帯電手段』である帯電装置2Y、2M、2C、2kは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面を一様に帯電させる装置である。『露光手段』である露光装置3Y、3M、3C、3kは、帯電装置2Y、2M、2C、2kで帯電された感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面に対して、画像情報に基づいて露光し、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面に静電像を形成する装置である。
『現像手段』である現像装置4Y、4M、4C、4kは、露光装置3によって感光体ドラム1の表面に形成された静電像をトナーで現像してトナー像を形成する装置である。現像装置4Y、4M、4C、4kは、それぞれ有彩色トナーのイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)とブラック(k)を内包する。前述の静電像はそれら現像装置4Y、4M、4C、4kにより現像され、各感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面上にトナー像が形成される。静電像の露光部にトナーを付着させて現像する反転現像方式が用いられる。
また、現像装置4Y、4M、4C、4kから見て感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの回転方向の下流側の位置では、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kと対向する位置に中間転写ベルト6が配置されている。『像担持体』である『第2像担持体』としての中間転写ベルト6は、感光体ドラム1に対向して配置されるベルトである。中間転写ベルト6は、感光体ドラム1の表面に当接するように配設されている。中間転写ベルト6は、複数の張架ローラ20、22、対向ローラ21に張架され、矢印Gの方向へ回動するようになっている。張架ローラ20は中間転写ベルト6の張力を一定に制御するようにしたテンションローラ、張架ローラ22は中間転写ベルト6の駆動ローラ、対向ローラ21は2次転写用の対向ローラである。ここでは、中間転写ベルト6として、ポリイミド、ポリカーボネート等の樹脂または各種ゴム等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させ、体積抵抗率を1×108〜1×1013[Ω・cm]、厚みを0.07〜0.1[mm]としたものを用いている。
『第1転写ローラ』である1次転写ローラ5Y、5M、5C、5kは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面に形成されたトナー像を中間転写ベルト6に転写するローラである。
感光体ドラム1Y、1M、1C、1kに対して無端のベルト状の中間転写ベルト6を対向して配置し、感光体ドラム1Y上の未定着トナー像を1次転写ローラ5Yにより中間転写ベルト6上に静電的に1次転写する。次いで重ね合わせるように感光体ドラム1M、1C、1k上の未定着トナー像を、順次、1次転写し、中間転写ベルト6上に4色の未定着トナー像が重ね合わされたフルカラー画像を得る。
1次転写ローラ5Y、5M、5C、5kは、中間転写ベルト6の各感光体ドラム1Y、1M、1C、1kに対向する1次転写位置において、中間転写ベルト6の裏面側に配設されている。この1次転写ローラ5Y、5M、5C、5kに、トナーの帯電極性と逆極性の正極性の1次転写バイアスを印加することで、感光体ドラム1上のトナー像が中間転写ベルト6上に1次転写されるようになっている。
クリーニング装置11Y、11M、11C、11k(ドラムクリーニング装置)は、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの1回転毎に、1次転写後の感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面に残留したトナーを除去する。そして、感光体ドラム1Y、1M、1C、1kの表面では繰り返して作像工程に入る。
転写材Pの搬送経路に面した中間転写ベルト6の2次転写位置には、2次転写ローラ19及び対向ローラ21を備える。『転写手段』である『第2転写ローラ』としての2次転写ローラ19は、中間転写ベルト6の表面に形成されたトナー像を転写材Pに転写するローラである。2次転写ローラ19は、中間転写ベルト6のトナー像担持面側に圧接配置される。2次転写ローラ19は、アースされている。対向ローラ21は、中間転写ベルト6の裏面側に配設されて2次転写ローラ19の対向電極をなしバイアスが印加される。中間転写ベルト6上のトナー像を転写材Pに転写するときに、対向ローラ21には、トナーと同極性のバイアスが転写バイアス印加装置28により印加され、例えば−2000〜−3000Vが印加される。そうして、対向ローラ21から2次転写ローラ19へと−40〜−50μAの電流が流れる。更に、2次転写位置の下流側には、2次転写後の中間転写ベルト6上に残留したトナーを除去するクリーニング装置12(ベルトクリーニング装置)が設けられている。転写電圧の設定方法は、予め設定された目標電流になるように定電流制御を行う構成或いは予め設定された目標電圧になるようにように定電圧制御を行う構成がある。なお、本実施例では、画像制御用パッチ画像が2次転写位置を通過するときの転写電圧の条件は、画像制御用パッチの濃度を変更しても、同一の条件である。
また、レジストローラ対8で一旦位置決めして停止させた後、所定のタイミングで2次転写位置へと転写材Pを送り込むようになっている。更に、2次転写後の転写材Pを不図示の搬送部材により不図示の定着装置へ搬送し、転写材Pにトナーを溶融固着するようになっている。
『清掃手段』であるファーブラシ25は、2次転写ローラ19を静電的に清掃するブラシである。ファーブラシ25は、2次転写ローラ19に付着したトナー濃度検知用のトナー像をバイアスローラ26を介して印加されたトナーと逆極性のバイアスで静電クリーニングする。ファーブラシ25に転移したトナーは、バイアスローラ26に転移し、クリーニングブレード27で掻き落として回収される。
『検出手段』であるパッチセンサ17は、中間転写ベルト6の表面に対向して配置される。パッチセンサ17は、中間転写ベルト6の表面で、画像制御に用いられる『画像制御用トナー像』である画像制御用パッチが形成された場合に、画像制御用パッチの濃度を検出するセンサである。画像制御用パッチは、通常の画像形成に用いられる第3画像形成領域N3(図6(a)参照)よりも感光体ドラム1の軸方向の端部側に確保される画像制御用の画像形成に用いられる第4画像形成領域N4(図6(a)参照)に形成される。
『制御手段』であるコントローラ60は、画像制御用パッチがファーブラシ25を通過するときに、パッチセンサ17が検出した画像制御用パッチの濃度に基づいて、以下のことをする。すなわち、コントローラ60は、2次転写ローラ19及びバイアスローラ26の間に印加するクリーニング電圧又はクリーニング電流を変化させる。
図5(b)は、ファーブラシ25、バイアスローラ26、クリーニングブレード27の構成を示す断面図である。図5(b)に示されるように、クリーニング装置172が有するクリーニング容器72の内部には、2次転写ローラ19、ファーブラシ25、バイアスローラ26、クリーニングブレード27が配置されている。2次転写ローラ19の対向位置には、ファーブラシ25が配置される。ファーブラシ25の対向位置には、バイアスローラ26が配置される。バイアスローラ26の対向位置には、クリーニングブレード27の先端部が配置される。
より詳しくは、ファーブラシ25は、2次転写ローラ19に対向して配置されると共に、2次転写ローラ19に対してカウンター回転するように設定されている。すなわち、ファーブラシ25の対向位置における回転方向、及び、2次転写ローラ19の対向位置の回転方向は、互いに逆向きに設定される。このように、ファーブラシが2次転写ローラ19に対してカウンター回転していることで、2次転写ローラ19に付着した画像制御用のトナー像を機械的に掻き取る力が働き、2次転写ローラ19の清掃をより安定させることができる。なお、ファーブラシ25とバイアスローラ26とは順回転(対向面同士を互いに同方向に回転)する。
図6(a)は、画像制御用パッチが中間転写ベルト6の表面に形成される様子を示す平面図である。図6(a)のように、画像制御用パッチは、1つのパッチの形状が副走査方向Kに20mmで、主走査方向Jに16mmである。各々の画像制御用パッチは、パッチ濃度が1.6、1.2、0.8、0.5、0.3、0.1の部位を順に計で6個で副走査方向Kに連続形成される。
また、ここで、中間転写ベルト6の表面で中間転写ベルト6の移動方向に所定の間隔を有して互いに隣接する先の画像制御用パッチ像及び後の画像制御用パッチがある場合を想定する。この場合には、コントローラ60は、先の画像制御用パッチ及び後の画像制御用パッチ像の濃度差が大きいほどに、先の画像制御用パッチ及び後の画像制御用パッチの間の所定の間隔を広く設定する。これは、実施例1の感光体ドラム1の表面でも、実施例3〜5の中間転写ベルト6の表面でも同様である。
例えば、連続形成パッチの間は少なくとも3mm以上の間隔を設けた。つまり、「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が0.1の部位」と「画像制御用パッチYのパッチ濃度が1.6の部位」との間の距離が少なくとも3mm以上に設定された。同様に、「画像制御用パッチYのパッチ濃度が0.1の部位」と「画像制御用パッチMのパッチ濃度が1.6の部位」の間の距離が少なくとも3mm以上に設定された。「画像制御用パッチMびパッチ濃度が0.1の部位」と「画像制御用パッチCのパッチ濃度が1.6の部位」の間の距離が少なくとも3mm以上に設定された。また、図6(a)では、中間転写ベルト6の右端が切れていて明らかとなっていない。ただし、図6(a)中で、画像制御用パッチCの右方に画像制御用パッチBkが来る場合には、画像制御用パッチCのパッチ濃度が0.1の部位と画像制御用パッチBkのパッチ濃度が1.6の部位の間の距離が少なくとも3mm以上に設定される。それらパッチ濃度を検出し、その結果に応じてトナーの画像制御を行う。ここでいうパッチ濃度とは転写材Pに転写した時に濃度測定器(X−Rite社製)で測定した値である。
実施例2の画像制御用パッチに関しては、コントローラ60は、ファーブラシ25に印加される出力を切り替える場合には、前後の画像制御用パッチの濃度差が大きい程に、副走査方向Kに画像制御用パッチの間の間隔を広くするように制御する。これは、後述の実施例3〜5でも同様である。このコントローラ60の制御により、濃度が高い画像制御用パッチ及び濃度が低い画像制御用パッチが副走査方向Kに所定の間隔を有して隣り合う場合に、中間転写ベルト6を静電クリーニングする際、それらトナー像の副走査方向Kの所定の間隔が広く設定される。このことで、パッチトナーに適した静電クリーニング電界の形成、つまり、バイアスローラ26に印加するクリーニング電圧又はクリーニング電流の制御追従時間を確保できるので、安定した清掃を行うことができる。
1次転写ローラ5、2次転写ローラ19は、外径が8〜12mmの金属製の芯金を有し、その外周面に導電性材料層が形成されたものであり、外径が16〜30mmに構成されている。この導電性材料層はゴム、例えばヒドリンゴムやEPDM等の高分子エラストマーや高分子フォーム材料を基材として用い、それにイオン性導電物質を混入することにより、導電性を1[MΩ]から100[MΩ]という中抵抗領域に調整したものである。また、2次転写ローラ19の表層には、樹脂コート、例えばウレタンやナイロンなどを2〜10μmでコーティングしたものを用いている。硬度は2次転写ローラ19全体でAskerCで25〜40のものが用いられる。
ファーブラシ25には、毛長が4mm、芯金の径が10mm、外径が18mm、抵抗値がN/N(23℃、50%RH)測定の100V印加で1×105〜1×1010Ωのものを使用した。バイアスローラ26には、外径13〜20mmのSUS製の金属ローラを使用した。クリーニングブレード27には、弾性を有するポリウレタンゴムを使用した。ファーブラシ25は2次転写ローラ19とバイアスローラ26にそれぞれ1〜2mm侵入させ、ファーブラシ25は2次転写ローラ19とカウンター回転させ、バイアスローラ26とは順回転させた。なお、コントローラ60の制御システムは、図3(b)を参照しつつ前述したのと同様である。
図6(b)は、クリーニング電流、及び、パッチがパッチセンサ17を通過する時間の関係を示すグラフである。また、グラフ中の上方の四角形は、画像制御用パッチのパッチ濃度を表している。さらに、グラフ中の下方の階段状のグラフは、クリーニング電流の大小を表している。このグラフの実験を行うにあたっては、コントローラ60は、中間転写ベルト6の表面に形成された画像制御用パッチのパッチ濃度をパッチセンサ17で検出する。そして、コントローラ60は、2次転写ローラ19に付着したパッチがファーブラシ25を通過するのに同期して、定電流制御で電圧を印加することで、クリーニング電流を流し、かつ、パッチ濃度に応じてクリーニング電流を変えていく。
ここでは、コントローラ60は、パッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)の部位に対してはクリーニング電流を+10μAの定電流で制御した。また、コントローラ60は、パッチ濃度が0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)の部位に対してはクリーニング電流を+4μAの定電流で制御した。これにより単位面積当たりのパッチトナー帯電量に対し、クリーニング電界の過不足(クリーニング電界不足によるクリーニング不良、クリーニング電流量が過剰によるトナーの極性反転)を発生させることなく、ファーブラシ25で回収できる。なお、それ以外のクリーニング高圧はファーブラシ25からトナーの吐き出しがないように約0.1〜1.0μAの電流を流した。
図6(c)は、転写材Pの裏面の汚れ状態を示す表である。図6(c)中で、○は紙裏汚れが無いと判断できる場合であり、×は紙裏汚れが有ると判断される場合を示している。図6(c)に示されるように、実施例2のクリーニング電流の制御方法を用いると全ての濃度のパッチを2次転写ローラ19から清掃できた。一方、クリーニング電流を固定したクリーニング電流の制御方法を用いると全ての濃度のパッチを2次転写ローラ19から清掃できず、結果、転写材Pの裏面に汚れが発生した。
すなわち、実施例2では、コントローラ60は、パッチセンサ17が検知する画像制御用パッチの濃度に応じて、バイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を変更する。このために、全てのパッチ濃度のトナーが回収された。
これに対して、コントローラ60がバイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を+10μAに設定する。パッチ濃度が0.1、0.3、0.5の場合には、適度なクリーニング電流が+2μA、+4μA、+6μAであり、クリーニング電流が+10μAでは、過剰ということになる。したがって、これらのパッチ濃度の場合には、トナーの回収がされず、転写材Pの裏面に汚れが生じた。
また、コントローラ60がバイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を+6μAに設定する。パッチ濃度が0.1の場合には、適度なクリーニング電流が+2μAであり、クリーニング電流が+6μAでは、過剰ということになる。また、パッチ濃度が1.2、1.6の場合には、適度なクリーニング電流が+10μA、+12μAであり、クリーニング電流が+6μAでは、不足ということになる。したがって、これらのパッチ濃度の場合には、トナーが回収されず、転写材Pの裏面に汚れが生じた。
さらに、コントローラ60がバイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を+4μAに設定する。パッチ濃度が0.8、1.2、1.6の場合には、適度なクリーニング電流が+8μA、+10μA、+12μAであり、クリーニング電流が+4μAでは、不足ということになる。したがって、これらのパッチ濃度の場合には、トナーが回収されず、転写材Pの裏面に汚れが生じた。
図7(a)は、実施例3に係る画像形成装置を使用した場合の画像制御用パッチが中間転写ベルト6の表面に形成される様子を示す平面図である。実施例3の画像形成装置の構成は、実施例2の画像形成装置200と同一の構成であるから、画像形成装置の説明は省略する。また、実施例3の画像形成装置が実施例2の画像形成装置200と異なる点は、実施例3の画像形成装置では、コントローラ60が中間転写ベルト6に転写させる画像制御用パッチの形状が異なる点である。
図7(a)に示されるように、1つのパッチの形状が副走査方向Kに20mmで、主走査方向Jに16mmで構成される。そして、「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」、「画像制御用パッチYのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」の順に合計で6個の部位が副走査方向Kに連続して形成される。その上流側に連続して、「画像制御用パッチMのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」、「画像制御用パッチCのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」の順に合計で6個の部位が副走査方向Kに連続して形成される。このように異なる色及びパッチ濃度の12個の部位が副走査方向Kに連続して形成される。
また、「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」、「画像制御用パッチYのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」の順に合計で6個の部位が副走査方向Kに連続して形成される。その上流側に連続して、「画像制御用パッチMのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」 、「画像制御用パッチCのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」の順に合計で6個の部位が副走査方向Kに連続して形成される。このように異なる色及びパッチ濃度の12個の部位が副走査方向Kに連続して形成される。
また、連続形成パッチの間の間隔は少なくとも3mm以上の間隔を設けた。つまり、「画像制御用パッチCのパッチ濃度が0.8の部位」と「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が0.5の部位」の間の間隔が少なくとも3mm以上に設定された。また、図7(a)では、中間転写ベルト6の右端が切れていて明らかとなっていない。ただし、図7(a)中で、画像制御用パッチCの右方に画像制御用パッチBkのパッチ濃度が1.6の部位が来る場合を想定する。この場合には、「画像制御用パッチCのパッチ濃度が0.1の部位」と「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が1.6の部位」の間の間隔が少なくとも3mm以上に設定された。それらパッチ濃度を検出しその結果に応じてトナーの画像制御を行う。ここでいうパッチ濃度とは転写材Pに転写した時に濃度測定器(X−Rite社製)で測定した値である。
図7(b)は、パッチ濃度に対するファーブラシ25に流すクリーニング電流を表したグラフである。感光体ドラム1の表面に形成したパッチ濃度をパッチセンサ17で検出した後、2次転写ローラ19に付着したパッチがファーブラシ25を通過するのに同期して電圧を印加してクリーニング電流を流し、かつ、パッチ濃度に応じてクリーニング電流を変えていく。図7(b)に示されるように、パッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)のものに対してはクリーニング電流を+10μAの定電流で制御した。パッチ濃度が0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)のものに対してはクリーニング電流を+4μAの定電流で制御した。これにより単位面積当たりのパッチトナー帯電量に対し、クリーニング電界の過不足(クリーニング電界不足によるクリーニング不良、クリーニング電流量が過剰によるトナーの極性反転)を発生させることなく、ファーブラシ25で回収できる。なお、それ以外のクリーニング高圧はファーブラシ25からトナーの吐き出しがないように約0.1〜1.0μAの電流を流した。
その結果、実施例2の場合と同様に、図6(c)に示されるように、実施例3のクリーニング電流の制御方法を用いると全ての濃度のパッチを2次転写ローラ19から清掃できた。一方、クリーニング電流を固定したクリーニング電流の制御方法を用いると全ての濃度パッチを2次転写ローラ19から清掃できず、結果、転写材Pの裏面に汚れが発生した。
図8(a)は、実施例4に係る画像形成装置を使用した場合の画像制御用パッチが中間転写ベルト6の表面に形成される様子を示す平面図である。実施例4の画像形成装置の構成は、実施例2の画像形成装置200と同一の構成であるから、画像形成装置の説明は省略する。また、実施例4の画像形成装置が実施例2の画像形成装置200と異なる点は、実施例4では、コントローラ60が中間転写ベルト6に転写させる画像制御用パッチの形状が異なっており、また、画像制御用パッチが主走査方向Jに2列あるものがある点である。
コントローラ60は、主走査方向Jの画像制御用パッチの数、形状、又は、寸法に応じて、ファーブラシ25に印加する出力値を異ならせる。すなわち、コントローラ60は、2次転写ローラ19の軸方向で、感光体ドラム1又は中間転写ベルト6の表面に形成された画像制御用パッチの数、形状、又は寸法に基づいて、以下のことをする。すなわち、コントローラ60は、2次転写ローラ19及びファーブラシ25の間に印加されるクリーニング電圧又はクリーニング電流を変化させる。こうしたコントローラ60の制御によれば、画像制御用パッチの形状、主走査方向Jに並ぶ個数又は寸法に応じて画像制御用パッチの合計のパッチ帯電量は異なるので、それに対して適したクリーニング電界を形成できる。その結果、安定した清掃を行うことができる。
すなわち、コントローラ60は、感光体ドラム1又は中間転写ベルト6の表面に形成された画像制御用パッチの2次転写ローラ19の軸方向の数又は寸法が大きいほどに、以下のことをする。すなわち、コントローラ60は、2次転写ローラ19及びファーブラシ25に印加されるクリーニング電圧又はクリーニング電流を高く設定する。コントローラ60は、感光体ドラム1又は中間転写ベルト6の表面に形成された画像制御用パッチの2次転写ローラ19の軸方向の数又は寸法が小さいほどに、以下のことをする。すなわち、コントローラ60は、2次転写ローラ19及びファーブラシ25の間に印加されるクリーニング電圧又はクリーニング電流を低く設定する。
図8(a)に示されるように、1つのパッチの形状が副走査方向Kに20mmで、主走査方向Jに16mmで構成される。そして、「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」、「画像制御用パッチMのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」の順に合計で6個の部位を副走査方向Kに連続形成する。また、「画像制御用パッチYのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」、「画像制御用パッチCのパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の部位」の順に合計で6個の部位を副走査方向Kに連続形成する。さらに、それらの6個ずつを主走査方向Jに並列して連続して形成する。
同様に、その上流側には、「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」、「画像制御用パッチMのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」の順に合計で6個の部位を副走査方向Kに連続形成する。また、「画像制御用パッチYのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」、「画像制御用パッチCのパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の部位」の順に合計で6個の部位を副走査方向Kに連続形成する。さらに、それらの6個ずつを主走査方向Jに並列して連続して形成する。
また、前述の4色フルカラー画像の上流側には、例えば2色カラー画像の混載Jobなどの場合で、Y、Cトナー画像を使用しないときなどは、主走査方向Jに前述のように並列させず以下のようにする。すなわち、図8(a)に示されるように、Bkパッチ濃度が1.6、1.2、0.8、Mパッチ濃度が1.6、1.2、0.8の順に合計で6個を副走査方向Kに連続形成する。同様に、Bkパッチ濃度が0.5、0.3、0.1、Mパッチ濃度が0.5、0.3、0.1の順に合計で6個を副走査方向Kに連続形成する。
また、連続形成パッチの間は少なくとも3mm以上の間隔を設けた。「画像制御用パッチC・Mのパッチ濃度が0.8の部位」と「画像制御用パッチY・Bkのパッチ濃度が0.5の部位」の間の距離が少なくとも3mm以上に設定された。「画像制御用パッチMのパッチ濃度が0.1の部位」と「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が1.6の部位」の間の間隔が少なくとも3mm以上に設定された。「画像制御用パッチMのパッチ濃度が0.8の部位」と「画像制御用パッチBkのパッチ濃度が0.5の部位」の間の距離が少なくとも3mm以上に設定された。また、図8(a)では、中間転写ベルト6の右端が切れていて明らかとなっていない。「下流側から4つ目の1列の画像制御用パッチにおける画像制御用パッチMのパッチ濃度が0.1の部位」の右に、下流側から1つ目と同様の「主走査方向Jに2列の画像制御用パッチY・Bkのパッチ濃度が1.6の部位」が来る場合を想定する。この場合には、「画像制御用パッチMの濃度が0.1の部位」と「画像制御用パッチBkの濃度が1.6の部位」の間の距離が少なくとも3mm以上に設定された。それらパッチ濃度を検出しその結果に応じてトナーの画像制御を行う。ここでいうパッチ濃度とは転写材Pに転写した時に濃度測定器(X−Rite社製)で測定した値である。
図8(b)は、コントローラ60の制御システムを示すブロック図である。図8(b)に示されるように、コントローラ60は、パッチ形成回路55から受信するトナー濃度、トナー形状、トナー数の情報に基づいて、クリーニング高圧回路53によってクリーニング電流を調節する。感光体ドラム1Y〜1k上に形成したパッチ濃度をパッチセンサ17で検出後、2次転写ローラ19に付着した画像制御用パッチがファーブラシ25を通過するのに同期して電圧を印加してクリーニング電流を流す。それと共に、パッチ濃度に応じてクリーニング電流を変えていく。
図9(a)は、画像制御用パッチの濃度、及び、クリーニング電流の対応関係を示すグラフである。図9(a)のように、主走査方向Jに2つ並列連続形成されている場合は、パッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)の部位に対してクリーニング電流を+12μAの定電流で制御した。パッチ濃度が0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)の部位に対してクリーニング電流を+6μAの定電流で制御した。主走査方向Jに1つパッチしかない場合は、パッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)の部位に対してはクリーニング電流を+10μAの定電流で制御した。パッチ濃度が0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)の部位に対してはクリーニング電流を+4μAの定電流で制御した。これにより単位面積当たりのパッチトナー帯電量に対し、クリーニング電界の過不足(クリーニング電界不足によるクリーニング不良、クリーニング電流量が過剰によるトナーの極性反転)を発生させることなく、ファーブラシ25で回収できる。なお、それ以外のクリーニング高圧はファーブラシからトナーの吐き出しがないように約0.1〜1.0μAの電流を流した。
図9(b)及び図9(c)は、転写材Pの裏面の汚れ状態を示す表である。図9(b)及び図9(c)中で、○は紙裏汚れが無いと判断できる場合であり、×は紙裏汚れが有ると判断される場合を示している。図9(b)及び図9(c)に示されるように、実施例4のクリーニング電流の制御方法を用いると主走査方向Jにパッチが2つある場合、1つある場合の全ての濃度のパッチを2次転写ローラ19から清掃できた。一方、クリーニング電流を固定したクリーニング電流制御方法を用いると全ての濃度パッチを2次転写ローラ19から清掃できず、その結果、転写材Pの裏面に汚れが発生した。
すなわち、実施例4では、コントローラ60は、パッチセンサ17が検知する画像制御用パッチの濃度に応じて、バイアス印加装置30によってバイアスローラ26に印加する出力によってクリーニング電流を変更する。特に、主走査方向Jに2列に亘って画像制御用パッチがある場合と、主走査方向Jに1列だけ画像制御用パッチがある場合とでは、クリーニング電流の大きさを異ならせている。このために、全てのパッチ濃度のトナーが回収された。
これに対して、特に、図9(b)の+10μA固定及び+4μAの横列に着目されたい。ここで、画像制御用パッチが主走査方向Jに2つある場合又は1つある場合に関係なく、パッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)の部位に対してクリーニング電流を+10μAとする。また、パッチ濃度が0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)に対してクリーニング電流を+4μAとする。そうすると、パッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、0.5(0.6未満〜0.4以上)の部位で裏汚れが発生した。これは、主走査方向Jにパッチ数が増えた場合クリーニングすべき画像制御用パッチの電荷量が増えたためである。本実施例では清掃能力を安定させるために、主走査方向Jのパッチの数、つまりは画像制御用パッチ(全体)の形状に応じてクリーニング電流を制御した。
その他、図9(b)及び図9(c)中で、他の横列に関しても、実施例1〜3で説明したのと同様に、○×の実験結果が得られた。
図10(a)は、実施例5に係る画像形成装置を使用した場合の画像制御用パッチの濃度、及び、クリーニング電流の対応関係を示すグラフである。実施例5の画像形成装置の構成は、実施例2の画像形成装置200と同一の構成であるから、画像形成装置の説明は省略する。また、実施例5の画像形成装置が実施例2の画像形成装置200と異なる点は、実施例5の画像形成装置では、コントローラ60が中間転写ベルト6に転写する画像制御用パッチの形状が異なっており、画像制御用パッチが主走査方向Jに分離されて4列ある点である。また、出力画像領域及び出力画像領域の副走査方向Kの間に画像制御用パッチが形成される点である。
図10(a)に示されるように、1つのパッチの形状が副走査方向Kに20mmで、主走査方向Jに16mmで構成される。各色のパッチ濃度が1.6、1.2、0.8、 0.5、0.3、0.1のパッチは、転写材Pの間に相当する位置の出力画像領域同士の間に1個ずつ形成する。それらパッチ濃度を検出しその結果に応じてトナーの画像制御を行う。ここでいうパッチ濃度とは転写材Pに転写した時に濃度測定器(X−Rite社製)で測定した値である。なお、図10中で上から下へ向かって、Bk、Y、M、Cの順に画像制御用パッチが配列されている。
図10(b)は、画像制御用パッチの濃度、及び、クリーニング電流の対応関係を示すグラフである。図10(b)に示されるように、感光体ドラム1上に形成したパッチ濃度をパッチセンサ17で検出し後、2次転写ローラ19に付着したパッチがファーブラシ25を通過するのに同期して電圧を印加してクリーニング電流を流する。そして、パッチ濃度に応じてクリーニング電流を変えていく。ここでは、主走査方向Jに4つ並列形成されている。各々のパッチ濃度が1.6(1.8未満〜1.4以上)、1.2(1.4未満〜1.0以上)、0.8(1.0未満〜0.6以上)の部位に対してはクリーニング電流を+13μAの定電流で制御した。各々のパッチ濃度が0.5(0.6未満〜0.4以上)、0.3(0.4未満〜0.2以上)、0.1(0.2未満〜0以上)の部位に対してはクリーニング電流を+7μAの定電流で制御した。これにより単位面積当たりのパッチトナー帯電量に対し、クリーニング電界の過不足(クリーニング電界不足によるクリーニング不良、クリーニング電流量が過剰によるトナーの極性反転)を発生させることなく、ファーブラシ25で回収できる。なお、それ以外のクリーニング高圧はファーブラシ25からトナーの吐き出しがないように約0.1〜1.0μAの電流を流した。
図10(c)は、転写材Pの裏面の汚れ状態を示す表である。図10(c)中で、○は紙裏汚れが無いと判断できる場合であり、×は紙裏汚れが有ると判断される場合を示している。図10(c)に示されるように、実施例5のクリーニング電流の制御方法を用いると全ての濃度のパッチを2次転写ローラ19から清掃できた。一方、クリーニング電流を固定したクリーニング電流の制御方法を用いると全ての濃度のパッチを2次転写ローラ19から清掃できず、結果、転写材Pの裏面に汚れが発生した。
実施例1〜5の構成によれば、以下の効果が得られる。即ち、幅広い濃度階調がある画像制御用トナー像が感光体ドラム又は中間転写ベルトの表面の画像形成領域の周囲の画像制御用領域に形成された場合を想定する。この場合に、感光体ドラム又は中間転写ベルトから転写ローラ9、2次転写ローラ19に転写された画像制御用トナー像のトナーがファーブラシ25によって従来よりも確実にクリーニングされる。