JP2018084759A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中間転写体の残留電荷に起因する画像不良を軽減することができる画像形成装置を提供する。【解決手段】中間転写方式の画像形成装置Aにおいて、制御部20は、複数の一次転写部3の一部でのみ一次転写を行う場合、一次転写を行う一次転写部3Kよりも中間転写ベルト56の移動方向の上流側に配置された一次転写部3Yにおいて、二次転写によって形成された中間転写ベルト56の残留電位を除電するために感光体ドラム50Yの表面電位と一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスとの電位差であるコントラスト電位を形成するゴースト対策モードを備え、ゴースト対策モードにおいて該上流側に配置された一次転写部3Yにおいて形成するコントラスト電位の大きさを、画像形成枚数が増加するにつれて大きくする。【選択図】図7
Description
本発明は、例えば電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えばレーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)などの画像形成装置に関するものである。
中間転写方式の画像形成装置においては、まず感光体ドラム表面にトナー像を形成し、形成されたトナー像を一次転写ローラ(一次転写部材)にバイアスを印加して中間転写体に一次転写する。その後、二次転写ローラ(二次転写部材)にバイアスを印加することで、トナー像を記録材に二次転写する。
中間転写体としては、一般的に樹脂材料をシームレスのベルト状に成形した中間転写ベルトが用いられる。中間転写ベルトは、樹脂材料に導電剤を添加して所望の電気抵抗率(以下、抵抗率という)に調整したものが使用される。
ここで中間転写ベルトの抵抗率を所定の範囲に設定することで画像不良を抑制する構成が従来から提案されている。例えば特許文献1では、中間転写ベルトを構成する層に関して、表面の層を高抵抗にし、裏面の層を低抵抗にすることで、うろこ模様や画像抜け等の画像不良を抑制する構成が記載されている。
一般的に中間転写ベルトは、抵抗率を低く設定しすぎると感光体ドラムと一次転写ローラから形成される一次転写部においてトナーが飛び散ってプレ転写が発生するため、このようなプレ転写が起こらない程度に抵抗率を高く設定するのが望ましい。一方、特許文献1に記載の構成のように、中間転写ベルトの表層の抵抗率を高く設定する場合、二次転写ローラにバイアスを印加した後に、残留電荷によって中間転写ベルトの表面電位の減衰に要する時間が長くなり、次の課題が生じ得る。
図11は、二次転写後の中間転写ベルト上の表面電荷の様子を模式的に表した摸式図である。中間転写ベルト表面の抵抗率が高い場合、図11に示す様に、二次転写後において、中間転写ベルト上には残留電荷が蓄積される。そして残留電荷が蓄積されたまま、蓄積された部分が一次転写部に進入すると、感光体ドラムと中間転写ベルトが接する前に感光体ドラム上のトナー像の一部が残留電荷の影響で飛び散って画質の低下を招く。また残留電荷にムラがある場合、飛び散りのムラを引き起こし、画像ムラとなって所謂ゴーストと呼ばれる画像不良が生じる。
そこで本発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、中間転写体の残留電荷に起因する画像不良を軽減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る画像形成装置は、中間転写体の移動方向に並んで配置された複数の感光体の表面にトナー像を形成し、形成されたトナー像を中間転写体に一次転写し、二次転写部材にバイアスを印加することで中間転写体から記録材にトナー像を二次転写して画像を形成する画像形成装置において、前記感光体を帯電させる帯電部材と、前記感光体から前記中間転写体にトナー像を一次転写して、前記複数の感光体とともに複数の一次転写部を形成する複数の一次転写部材と、前記一次転写部材、前記帯電部材にバイアスを印加する印加手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記複数の一次転写部の一部でのみ前記一次転写を行う場合、前記一次転写を行う一次転写部よりも前記中間転写体の移動方向の上流側に配置された一次転写部において、前記二次転写によって帯電した前記中間転写体の表面を除電するために前記感光体の表面電位と前記一次転写部材に印加するバイアスとの電位差であるコントラスト電位を形成するモードを備え、該モードにおいて該上流側に配置された一次転写部において形成する前記コントラスト電位の大きさを、画像形成枚数が増加するにつれて大きくすることを特徴とする。
本発明によれば、中間転写体の残留電荷に起因する画像不良を軽減することができる。
(第1実施形態)
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<画像形成装置>
以下、まず本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の全体構成を画像形成時の動作とともに図面を参照しながら説明する。なお、記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
画像形成装置Aは、イエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの4色のトナー(現像剤)を中間転写ベルトに転写した後、シートに画像を転写して画像を形成する中間転写タンデム方式、電子写真方式のカラー画像形成装置である。なお、以下の説明において、上記各色のトナーを使用する部材には添え字として対応する色を表すY、M、C、Kを付するものの、各部材の構成は使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じであるため、区別を要する場合以外には添え字を適宜省略する。
図1に示す様に、画像形成装置Aは、記録材としてのシートにトナー像を転写する画像形成部と、画像形成部へシートを供給するシート給送部と、シートにトナー像を定着させる定着部と、を備える。
画像形成部は、各色のトナー像を形成する画像形成ユニット80(80Y、80M、80C、80K)と、中間転写ベルト56(中間転写体)を備える中間転写ユニット81を備える。各々の画像形成ユニット80が形成するトナー像の色は、中間転写ベルト56の移動方向(矢印R2方向)において、上流からイエローY、マゼンダM、シアンC、ブラックKの順である。
各々の画像形成ユニット80は、トナー像を担持する感光体ドラム50(50Y、50M、50C、50K)と、感光体ドラム50を帯電させる帯電部材としての帯電ローラ51(51Y、51M、51C、51K)を備える。つまり画像形成装置Aは複数の感光体ドラム50を備え、中間転写ベルト56の移動方向(矢印R2方向)において、感光体ドラム50Y、50M、50C、50Kの順に並んで配置されている。また画像形成ユニット80は、クリーニングブレード55(55Y、55M、55C、55K)、レーザスキャナユニット52(52Y、52M、52C、52K)、現像装置53(53Y、53M、53C、53K)を備える。
中間転写ユニット81は、複数の一次転写ローラ54(54Y、54M、54C、54K)、中間転写ベルト56、二次転写ローラ64、二次転写対向ローラ62、クリーニング装置65を備える。また中間転写ベルト56は、無端円筒状のベルトであって、二次転写対向ローラ62、中間転写ベルト56を支持するアイドラローラ61、中間転写ベルト56に一定の張力を与えるテンションローラ60、駆動ローラ63によって張架されている。また中間転写ベルト56は、駆動ローラ63が定速性に優れた不図示のモータに駆動されて図1に示す矢印R1方向に回転することで、矢印R2方向に回転移動する。なお、テンションローラ60に対するベルトテンションは3〜12kgf程度になるように構成されている。
図2は、中間転写ベルト56の一部の断面を示す断面概略図である。図2に示す様に、中間転写ベルト56は、基層56aと表層56bの二層で構成されている。本実施形態では、基層56aにポリイミド樹脂又はポリエーテルエーテルケトン樹脂を使用し、表層56bにアクリル樹脂にフッ素樹脂を添加した表層コートを使用した。また基層56aの厚みは60〜70μm程度とし、表層56bの厚みは5〜7μm程度とした。また表層コート後の表面抵抗率は1×1012〜2×1012Ω/□、体積抵抗率は4×1011〜6×1011Ω・cmとした。なお、抵抗の測定は、測定器として三菱化学株式会社製のハイレスタUPを使用し、測定プローブとして三菱化学株式会社製のURS(ガード電極外径Φ17.9mm)を使用し、測定条件として印加電圧100Vでチャージを10秒間行った。
なお、基層56aの材料としては、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリサルフォン等が使用可能である。またポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルニトリル、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリエーテルエーテルケトン等の単体樹脂が使用可能である。またこれらの混合物が使用可能である。
また、表層56bの材料としては、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂等が使用可能である。またアクリル樹脂(アクリルモノマー、アクリル樹脂のプレポリマー、ジペンタエリストリトールヘキサンアクリレート)、シリコン系ハードコート、フッ素系樹脂等の単体樹脂が使用可能である。またこれらの混合物、又はこれらの複合材料等が使用可能である。
一次転写ローラ54(一次転写部材)は、材質がSUMやSUS等の金属で形成されたローラであり、スラスト方向にストレートの形状で、ローラ径は6〜10mm程度のもので構成されている。また一次転写ローラ54は、各々の感光体ドラム50に対して、それぞれ中間転写ベルト56を介して対向して配置されており、感光体ドラム50とともに一次転写が行われる一次転写部3(3Y、3M、3C、3K)を形成する。また画像形成装置Aは、ブラックのトナー像を転写する一次転写ローラ54K以外の一次転写ローラ54Y、54M、54Cを中間転写ベルト56に対して接触、離間させる不図示の離接機構を備える。なお、本実施形態では離接機構を備えるものの、これを備えない構成としてもよい。
二次転写ローラ64(二次転写部材)は、金属錯体等のイオン導電剤を含有したNBRゴムやEPDMゴム等からなる弾性層と芯金から構成され、芯金径が12mm、弾性層を含むローラ径が24mmになるように形成されている。また抵抗値は3.0×107Ω〜5.0×107Ωである。なお、二次転写ローラ64は、中間転写ベルト56に対して、一次転写ローラ54が配置された側と反対側に配置されている。
また二次転写対向ローラ62はEPDMゴムからなり、ローラ径が20mm、ゴム厚0.5mmとなるように形成され、アスカーC硬度は70°程度に設定されている。また二次転写対向ローラ62は接地されている。なお、二次転写対向ローラ62と中間転写ベルト56の抵抗値は、二次転写ローラ64の抵抗値よりも十分小さくなっている。
次に、図1を用いて、カラー画像を形成するときの画像形成動作について説明する。まず制御部20(図3参照)が画像形成ジョブ信号を受信すると、給紙トレイ(不図示)に積載収納されたシートPがピックアップローラ(不図示)によってレジストローラ66に搬送される。レジストローラ66は、画像形成部の動作とタイミングを合わせた上で画像形成部にシートPを搬送する。
一方、画像形成部においては、まず感光体ドラム50が帯電ローラ51によって表面を帯電させられる。その後、不図示の外部機器等から送信された画像信号に応じて、レーザスキャナユニット52が感光体ドラム50表面にレーザ光を照射し、感光体ドラム50表面に静電潜像を形成する。この静電潜像を現像装置53によってトナーを付着させて現像することにより感光体ドラム50上にトナー像が形成される。
その後、一次転写ローラ54にトナーの帯電極性と逆極性の一次転写バイアスが印加され、感光体ドラム50の表面電位と一次転写バイアスとの電位差であるコントラスト電位が形成される。これにより一次転写部3において、各々の感光体ドラム50上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト56に対して静電吸引され、中間転写ベルト56上に順次一次転写される。なお、本実施形態では、感光体ドラム50は帯電ローラ51により負極性に帯電され、トナーの正規の帯電極性は負極性であり、一次転写バイアスは正極性である。
その後、中間転写ベルト56上のトナー像は、中間転写ベルト56の矢印R2方向の移動により二次転写ローラ64と二次転写対向ローラ62から形成される二次転写部4に送られる。この二次転写部4において、二次転写ローラ64にトナーの帯電極性と逆極性である正極性の二次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト56上のトナー像がシートPに二次転写される。
その後、トナー像が転写されたシートPは、不図示の定着装置に送られて、加熱、加圧されてトナー像がシートPに定着された後、不図示の排出部に排出される。
なお、一次転写後に感光体ドラム50上に残ったトナーは、クリーニングブレード55によって掻き取られて除去される。同様に、二次転写後に中間転写ベルト56上に残ったトナーは、クリーニング装置65により掻き取られて除去される。
<制御部>
次に、画像形成装置Aの制御部の構成について説明する。
次に、画像形成装置Aの制御部の構成について説明する。
図3は画像形成装置Aの制御系の一部の構成を示すブロック図である。図3に示す様に、画像形成装置Aは、制御手段としての制御部20を備える。制御部20は、ROM22、RAM23、演算部24を備える。
ROM22には各種の制御に必要な設定値等が記録されており、必要に応じて制御部20により呼び出される。RAM23には、画像形成によって変化する画像形成枚数、画像印字率などの様々なデータが一時的に記録され、各種制御に利用される。演算部24は、各種の制御に必要な演算を行う。
また制御部20には、温度を検知する温度センサ25(温度検知手段)と、湿度を検知する湿度センサ26(湿度検知手段)が接続されている。また演算部24は、温度センサ25の検知温度と湿度センサ26の検知湿度から絶対水分量(絶対湿度)を算出してROM22に記憶する。
また制御部20には、印加手段としての一次転写電源27、二次転写電源28、帯電電源29が接続されている。一次転写電源27は一次転写ローラ54に、二次転写電源28は二次転写ローラ64に、帯電電源29は帯電ローラ51にそれぞれ電気的に接続されている。制御部20は、一次転写電源27、二次転写電源28、帯電電源29を制御して、一次転写ローラ54、二次転写ローラ64、帯電ローラ51に所定のバイアスを印加する。
<ゴースト発生実験>
次に、画像形成装置Aにおいて、いくつかの条件下でゴースト発生実験を行った結果を説明する。
次に、画像形成装置Aにおいて、いくつかの条件下でゴースト発生実験を行った結果を説明する。
まず1つ目の条件として、低湿環境下(設定温度23℃、設定湿度5%)において、ブラックのトナー像のみをシートPに転写してモノクロ画像を形成するモノクロモードで画像形成を行った。この結果、約5千枚の画像形成を行ったところでゴーストが発生し始めた。これは次の理由によるものと考えらえる。
図4は、画像形成装置Aの画像形成枚数と、二次転写後の中間転写ベルト56の表面電位である残留電位との関係を示すグラフである。図4に示す様に、画像形成枚数が増加するにつれて中間転写ベルト56の残留電位は増加する。これは残留電荷が中間転写ベルト56の抵抗率に相関し、中間転写ベルト56の抵抗率は画像形成枚数が増加するにつれて中間転写ベルト56の摩耗等によって上昇するためである。なお、一般的に製造時においては、残留電荷に起因するトナーの飛び散りの発生を抑えるため、飛び散りが発生しない下限値付近に抵抗値が設定される。このように画像形成枚数が増加することで残留電荷が増加するため、残留電荷が蓄積された部分が一次転写部3に突入することにより、約5千枚の画像形成を行ったところでゴーストが発生し始めたと考えらえる。
次に、ゴーストが発生し始めた後に、A3サイズのシートPを用いてモノクロモードで5枚連続して画像形成を行った。この結果、3枚目からゴーストが発生した。これは1、2枚目においては、中間転写ベルト56の二次転写バイアス印加中の二次転写部4を通過した部分が、後続する画像が転写される部分と重ならないため、残留電荷の影響を受けないからと考えらえる。一方、3枚目以降は残留電荷が蓄積した部分付近に一次転写が行われるため、ゴーストが出現したと考えらえる。
以上説明した通り、残留電荷に起因する画像不良は、画像形成枚数が増加するにつれて発生し易く、また連続して画像形成を行うときに発生し易い。また連続して画像形成を行う場合、中間転写ベルト56の二次転写バイアス印加中の二次転写部を通過した部分が、後続の画像が転写される部分と重なるタイミングはシートPのサイズによって異なる。また画像形成枚数によって残留電荷の量が異なるため、残留電荷の減衰に要する時間も異なる。このため、連続して画像形成を行う場合に残留電荷に起因する画像不良が発生する画像形成枚数は、シートPのサイズや画像形成装置Aの総画像形成枚数によって異なる。
次に、ゴースト発生実験の2つ目の条件として、画像形成装置Aの設置環境温度と湿度を変えてモノクロモードで連続して画像形成を行った。この結果、図5に示す様に、設置環境の絶対水分量が5g/m3未満の場合にはゴーストが発生し、5g/m3以上の場合にはゴーストが発生しなかった。これは、低湿度環境では中間転写ベルト56とトナーとの間の付着力が小さく、またトナーの帯電量が大きくなるため、トナーが飛び散りやすいためと考えられる。
なお、ゴーストの発生は、中間転写ベルト56の移動方向に関して、イエローのトナー画像を形成する画像形成部が最上流に配置され、ブラックのトナー像を形成する画像形成部が最下流に配置される構成において、モノクロモードを実行するときに顕著になる。これはイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像をシートPに転写するフルカラーモードにおいては、イエローのトナー像の転写時にトナーの飛び散りが発生し得るものの、イエローではこれが目立ちにくいためである。またフルカラーモードにおいて、ブラックのトナー像を転写する時点では、上流側で他の色のトナー像が一次転写されたときに流れる一次転写電流によって中間転写ベルト56上の残留電荷が除電されるためである。
<画像形成モード>
次に、画像形成装置Aが有する画像形成モードについて説明する。画像形成装置Aは、画像形成モードとして、モノクロモード、カラーモード、ゴースト対策モードの3つのモードを有している。
次に、画像形成装置Aが有する画像形成モードについて説明する。画像形成装置Aは、画像形成モードとして、モノクロモード、カラーモード、ゴースト対策モードの3つのモードを有している。
モノクロモードは、ブラックのトナー像のみをシートPに転写してモノクロ画像を形成するモードである。モノクロモードにおいては、ブラックのトナー像を中間転写ベルト56に転写する一次転写ローラ54Kのみを中間転写ベルト56に接触させ、他の一次転写ローラ54Y、54M、54Cを離接機構により中間転写ベルト56から離間させた状態で画像形成を行う。
フルカラーモードは、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色のトナー像をシートPに転写してフルカラー画像を形成するモードである。フルカラーモードにおいては、全ての一次転写ローラ54を中間転写ベルト56に接触させ、中間転写ベルト56上で各色のトナー像を重ね合わせて画像を形成する。なお、フルカラーモードにおいては、予めROM22に記憶された設置環境と一次転写バイアスとが関連付けされたテーブルを参照して一次転写バイアス値が決定され、定電圧印加される。
ゴースト対策モードは、ブラックのトナー像のみをシートPに転写してモノクロ画像を形成するモードであって、尚且つ、残留電荷に起因する画像不良を抑制するためのモードである。ゴースト対策モードにおいては、モノクロ画像を形成するものの、フルカラーモードと同様に、全ての一次転写ローラ54を中間転写ベルト56に接触させた状態で画像形成を行う。そして、中間転写ベルト56の二次転写バイアスを印加中の二次転写部4を通過した部分が、イエローのトナー画像が転写される一次転写部3Yに突入する直前に、二次転写時に印加される二次転写バイアスと同極性のバイアスを一次転写ローラ54Yに印加する。なお、本実施形態では二次転写バイアスは正極性のため、一次転写ローラ54Yに印加するバイアスも正極性である。
このように画像が転写される一次転写部3Kよりも上流側の一次転写部3Yにおいて、一次転写ローラ54Kに二次転写バイアスと同極性のバイアスを印加することで、二次転写バイアスによって帯電した中間転写ベルト56表面を除電することができる。従って、画像が転写される一次転写部3Kにおいて、中間転写ベルト56上の残留電荷に起因する画像不良を抑制することができる。
なお、ゴースト対策モードは画像形成ジョブが開始されてから1枚目のシートが出力されるまでの時間はモノクロモードとほぼ同等であり、フルカラーモードと比較して短い。また以下の説明において、ゴースト対策モード実行時に一次転写ローラ54Yに印加するバイアスを除電バイアスと称する。
またROM22には、画像形成枚数とゴースト対策モード実行時に一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアス値を関連付けた図6に示すテーブルαが記憶されている。制御部20は、ゴースト対策モード実行時には、テーブルαを参照して一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスの値を決定する。
テーブルαは、図6に示す様に、画像形成枚数が増加するにつれて除電バイアスの絶対値を大きくするように設定されている。例えば画像形成枚数が20×103枚の場合には、一次転写ローラ54Yに400Vの除電バイアスを印加し、画像形成枚数が80×103枚の場合には一次転写ローラ54Yに700Vの除電バイアスを印加する。
前述したように、画像形成枚数が増加することで、二次転写後の中間転写ベルト56上の残留電荷は増加する。これに対し、このように画像形成枚数が増加するにつれて一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスの絶対値を増加させることで、効果的に除電を行うことができ、中間転写ベルト56の残留電荷に起因する画像不良を軽減する効果を向上させることができる。
また、中間転写ベルト56の残留電荷の除電については、上記除電バイアス印加と同様のタイミングで、帯電ローラ51Yによって感光体ドラム50Y表面を二次転写バイアスの極性と逆極性に帯電させる構成でも行うことができる。これにより一次転写ローラ54Yに除電バイアスを印加する構成と同様の効果を得ることができる。
また、例えば一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスを一定にしておき、感光体ドラム50Yの帯電電位の絶対値を、画像形成枚数が増加するにつれて大きくする構成としてもよい。反対に、例えば感光体ドラム50Yの帯電電位を一定にしておき、一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスの絶対値を画像形成枚数が増加するにつれて大きくする構成としてもよい。つまり一次転写部3Yにおいて、中間転写ベルト56の残留電位を除電するためのコントラスト電位を形成し、コントラスト電位の大きさを画像形成枚数が増加するにつれて大きくする構成であればよい。
しかし、感光体ドラム50の寿命の観点から、感光体ドラム50の帯電電位はその絶対値を小さくすることが望ましい。このため、感光体ドラム50によって除電を行う構成よりも、一次転写ローラ54によって除電を行う構成の方がより好ましい。
また、他の残留電荷の除電するための構成として、二次転写後に中間転写ベルト56を除電するための除電手段を別途設ける構成も考えられる。しかし、除電を行うための部材や高圧電源を別途取り付ける必要があるため、コストアップや装置の大型化を招来する。一方、本実施形態の構成によれば、コストアップや装置の大型化を招来することなく、残留電荷を除電することができる。
<モード選択シーケンス>
次に、画像形成モードを選択するモード選択シーケンスを図7に示すフローチャートを用いて説明する。
次に、画像形成モードを選択するモード選択シーケンスを図7に示すフローチャートを用いて説明する。
図7に示す様に、まず制御部20が画像形成ジョブを受信すると(S1)、画像形成ジョブで選択されたモードがフルカラーモードか否かを判定する(S2)。ここでフルカラーモードの場合、フルカラーモードを開始する(S8)。
フルカラーモードでない場合、次に制御部20は、画像形成ジョブが連続して画像形成を行うジョブ(連続通紙ジョブ)か否かを判定する(S3)。ここで連続通紙ジョブでない場合、上述した理由により中間転写ベルト56上の残留電荷に起因する画像不良が起きにくいため、ゴースト対策モードは実行せず、モノクロモードを開始する(S9)。
一方、連続通紙ジョブの場合、次に制御部20は、演算部24が算出した絶対水分量が5g/m3以上か否かを判定する(S4)。ここで5g/m3以上の場合、上述した理由により中間転写ベルト56上の残留電荷による画像不良が起きにくいため、ゴースト対策モードは実行せず、モノクロモードを開始する(S9)。
絶対水分量が5g/m3未満(所定未満)の場合、次に制御部20は、画像形成装置Aの累計の画像形成枚数が5千枚以上か否かを判定する(S5)。ここで画像形成枚数が5千枚未満の場合、上述した理由により中間転写ベルト56上の残留電荷による画像不良が起きにくいため、ゴースト対策モードを実行せず、モノクロモードを開始する(S9)。
画像形成枚数が5千枚以上(所定以上)の場合、中間転写ベルト56上の残留電荷に起因する画像不良が起きやすい状況にある。このため、制御部20は、ROM22に記憶されたテーブルαを参照して一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスを決定し(S6)、ゴースト対策モードを開始する(S7)。
次に、ゴースト対策モードを実行したときのゴースト評価の結果について説明する。1つ目の条件は、低湿環境下(設定温度23℃、設定湿度5%)において5千枚の画像形成を行った後、坪量が209g/m2のA3サイズのシートPを用いて5枚連続で画像形成を行った。この結果、ゴーストが発生しないことが確認された。
次に、2つ目の条件として、画像形成装置Aの設置環境の温度と湿度を変えてモノクロモードで連続して画像形成を行った。設置環境の温度と湿度は、図5に示す温度、湿度、絶対水分量と同じ条件とした。この結果、いずれの環境においてもゴーストは発生しなかった。
このように本発明によれば、中間転写ベルト56上の残留電荷に起因するトナーの飛び散りやゴースト等の画像不良を軽減することができる。
(第2実施形態)
次に、本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の図面、同一の符号を付して説明を省略する。
次に、本発明に係る画像形成装置の第2実施形態について図を用いて説明する。上記第1実施形態と説明の重複する部分については、同一の図面、同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の構成は、中間転写ベルト56の抵抗率が第1実施形態の構成と異なる構成である。具体的には、中間転写ベルト56の表層コート後の表面抵抗率が1×1010〜2×1010Ω/□、体積抵抗率が1×1011〜2×1011Ω・cm程度になっている。つまり本実施形態に係る中間転写ベルト56は、第1実施形態に係る中間転写ベルト56よりも抵抗率が小さく設定されている。
まず本実施形態の構成でゴースト発生実験を行った結果を説明する。実験条件としては、低湿環境下(設定温度23℃、設定湿度5%)においてモノクロモードを実行した。この結果、約9千枚の画像形成を行ったところでゴーストが発生し始めた。これは前述した通り、画像形成枚数が増加すると中間転写ベルト56上の残留電荷が増加するためと考えらえる。
図8は、画像形成装置Aの画像形成枚数と、第1実施形態及び第2実施形態に係る中間転写ベルト56の二次転写後の残留電位との関係を示すグラフである。このグラフにおいて、第1実施形態に係る中間転写ベルト56の残留電位を線Vで示し、第2実施形態に係る中間転写ベルト56の残留電位を線Wで示す。
図8に示す様に、画像形成装置Aの画像形成枚数が増加するにつれて、第1、第2実施形態に係る中間転写ベルト56の残留電位がともに上昇していることがわかる。またゴーストが発生する残留電位の閾値である100V付近に達する画像形成枚数は、第1実施形態に係る中間転写ベルト56の方が、第2実施形態に係る中間転写ベルト56より少ないことがわかる。この理由は、第2実施形態に係る中間転写ベルト56の抵抗率の方が、第1実施形態に係る中間転写ベルト56の抵抗率よりも小さいためである。
図9は、ゴースト対策モード実行時において一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスの大きさと、除電バイアス印加後の中間転写ベルト56の残留電位との関係を示すグラフである。図9においては、第1実施形態に係る中間転写ベルト56の残留電位を実線で示し、本実施形態に係る中間転写ベルト56の残留電位を破線で示す。
図9に示す様に、第1実施形態に係る中間転写ベルト56と、本実施形態に係る中間転写ベルト56とで、残留電位を0Vにするための除電バイアス値が異なることが分かる。また同じ中間転写ベルト56であっても、画像形成枚数によって残留電位を0Vにするための除電バイアスが異なることが分かる。このような違いは、中間転写ベルト56の抵抗率が高い方が、残留電荷による中間転写ベルト56の表面電位の減衰に要する時間が長くなることに由来する。
以上説明した理由から、本実施形態では、ゴースト対策モード実行時に一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスを、第1実施形態で参照するテーブルαではなく、図10に示すテーブルβを参照して決定する。テーブルβは予めROM22に記憶されている。
すなわち、図10に示す様に、例えば画像形成枚数が150×103枚の場合には一次転写ローラ54Yに300Vの除電バイアスを印加し、600×103枚の場合には500Vの除電バイアスを印加する。このように中間転写ベルト56の抵抗率に対応してテーブル上に設定する除電バイアスの設定を変えることで、中間転写ベルト56上の残留電荷に起因する画像不良を軽減する効果を向上させることができる。
また本実施形態において、画像形成モードを選択するモード選択シーケンスは、第1実施形態に係るモード選択シーケンスと同様である。但し、図7に示すステップS5においては、画像形成枚数が90k枚以上か否かを判定する。またステップS6においては、テーブルβを参照して一次転写ローラ54Yに印加する除電バイアスを決定する。
このように本発明によれば、中間転写ベルト56上の残留電荷に起因するトナーの飛び散りやゴースト等の画像不良を軽減することができる。
なお、第1、第2実施形態では、ゴースト対策モードを自動で選択して実行する構成としたものの、本発明はこれに限られない。すなわち、ユーザがゴースト対策モードを選択して実行できる構成としてもよい。
また第1、第2実施形態では、絶対水分量が所定未満の場合にゴースト対策モードを実行する構成としたが、本発明はこれに限られない。すなわち、絶対水分量に代えて、温度センサ25が検知した温度が所定以下の場合や、湿度センサ26が検知した湿度が所定以下の場合にゴースト対策モードを実行する構成としても、上記同様の効果を得ることができる。
また中間転写ユニット81や中間転写ベルト56が交換可能な構成の場合、交換後の画像形成枚数が増加するにつれて除電バイアスの絶対値を大きくすることで、上記同様の効果を得ることができる。
3…一次転写部
4…二次転写部
20…制御部(制御手段)
25…温度センサ(温度検知手段)
26…湿度センサ(湿度検知手段)
27…一次転写電源(印加手段)
28…二次転写電源(印加手段)
29…帯電電源(印加手段)
50…感光体ドラム(感光体)
51…帯電ローラ(帯電部材)
54…一次転写ローラ(一次転写部材)
56…中間転写ベルト(中間転写体)
64…二次転写ローラ(二次転写部材)
A…画像形成装置
4…二次転写部
20…制御部(制御手段)
25…温度センサ(温度検知手段)
26…湿度センサ(湿度検知手段)
27…一次転写電源(印加手段)
28…二次転写電源(印加手段)
29…帯電電源(印加手段)
50…感光体ドラム(感光体)
51…帯電ローラ(帯電部材)
54…一次転写ローラ(一次転写部材)
56…中間転写ベルト(中間転写体)
64…二次転写ローラ(二次転写部材)
A…画像形成装置
Claims (9)
- 中間転写体の移動方向に並んで配置された複数の感光体の表面にトナー像を形成し、形成されたトナー像を中間転写体に一次転写し、二次転写部材にバイアスを印加することで中間転写体から記録材にトナー像を二次転写して画像を形成する画像形成装置において、
前記感光体を帯電させる帯電部材と、
前記感光体から前記中間転写体にトナー像を一次転写して、前記複数の感光体とともに複数の一次転写部を形成する複数の一次転写部材と、
前記一次転写部材、前記帯電部材にバイアスを印加する印加手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記複数の一次転写部の一部でのみ前記一次転写を行う場合、前記一次転写を行う一次転写部よりも前記中間転写体の移動方向の上流側に配置された一次転写部において、前記二次転写によって帯電した前記中間転写体の表面を除電するために前記感光体の表面電位と前記一次転写部材に印加するバイアスとの電位差であるコントラスト電位を形成するモードを備え、
該モードにおいて該上流側に配置された一次転写部において形成する前記コントラスト電位の大きさを、画像形成枚数が増加するにつれて大きくすることを特徴とする画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記コントラスト電位を形成するとき、前記上流側に配置された一次転写部を構成する前記一次転写部材に対して、前記二次転写において前記二次転写部材に印加されたバイアスと同極性のバイアスを印加することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、前記コントラスト電位を形成するとき、前記上流側に配置された一次転写部を構成する前記感光体の表面を、前記二次転写において前記二次転写部材に印加されたバイアスと逆極性に帯電させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、画像形成枚数が所定以上の場合に、前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、連続して画像形成を行う場合に、前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
- 湿度を検知する湿度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記湿度検知手段が検知した湿度が所定以下の場合に前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 温度を検知する温度検知手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検知手段が検知した温度が所定以下の場合に前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。 - 前記制御手段は、前記温度検知手段が検知した温度と、前記温度検知手段が検知した湿度から絶対水分量を算出し、算出された絶対水分量が所定未満の場合に前記モードを実行することを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
- 前記制御手段は、ブラックのトナー像を前記記録材に転写してモノクロ画像を形成する場合に、前記モードを実行することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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JP2016229150A JP2018084759A (ja) | 2016-11-25 | 2016-11-25 | 画像形成装置 |
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JP2020160190A (ja) * | 2019-03-25 | 2020-10-01 | キヤノン株式会社 | 画像形成装置 |
-
2016
- 2016-11-25 JP JP2016229150A patent/JP2018084759A/ja active Pending
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JP7313855B2 (ja) | 2019-03-25 | 2023-07-25 | キヤノン株式会社 | 画像形成装置 |
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