JP4844643B2 - 管状体、転写ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents

管状体、転写ユニット、及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、転写ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置に関する。
電子写真方式を用いた画像形成装置は、無機又は有機材料を用いた光導電性感光体である像保持体上に電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電濳像を形成した後、帯電したトナーで前記静電濳像を現像して可視化したトナー像とする。次いで、トナー像を、中間転写体を介して、あるいは直接記録紙等の転写材に静電的に転写することにより再生画像が得られる。例えば、像保持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、更に中間転写体上のトナー像を記録紙等の記録媒体に二次転写する方式を採用した画像形成装置が知られている(特許文献1参照)。
例えば、特許文献2には、酸化処理カーボンブラックを含有してなるポリイミド樹脂皮膜を有し、酸化処理カーボンブラックの少なくとも1種が導電性指標15以下であり、表面抵抗率が101 0 〜101 4(Ω/□)である中間転写体が提案されている。
また、特許文献3には、予め装置により抵抗低下を促進し、表面の抵抗を低下させた中間転写体が提案されている。
特開昭62−206567号公報 特開2001−324880公報 特開2005−266338公報
本発明の課題は、特定の領域を持つ層を有さない場合に比べ、電気抵抗の変化が少ない管状体を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、本発明は、
請求項1に係る発明は、
樹脂と導電性粒子とを含んで構成される層であって、最外面に前記導電性粒子を含有しない第1領域と当該第1領域よりも最内面側に他の領域よりも導電性が高い第2領域とを持つ層を有し、
前記最外面から厚み方向15μmまでに前記第1領域及び第2領域を有し、当該第2領域の導電性が前記最外面から厚み方向15μmを超えた第3領域の導電性よりも5倍以上高く、
前記第1の領域の厚みが、0.5μm以上3μm以下である管状体。
請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の管状体からなる転写ベルトと、該転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置本体に対して脱着される転写ユニット。
請求項に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備え、
前記中間転写体が、請求項1に記載の管状体である画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、特定の領域を持つ層を有さない場合に比べ、電気抵抗の変化が少なくなる。
請求項に係る発明によれば、特定の導電性関係の領域を持つ層を有さない場合に比べ、体積抵抗の低減を抑制しつつ、表面抵抗が低くなる。
請求項に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、管状体の電気抵抗の変化に起因する画像欠陥が抑制される。
請求項に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べ、管状体の電気抵抗の変化に起因する画像欠陥が抑制される。
本実施形態に係る転写ベルトを示す概略斜視図である。 図1のA−A断面図である。 円形電極の一例を示す概略平面図(a)及び概略断面図(b)である。 本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。 本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。 実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。 実施例2及び比較例1で作製したポリイミド無端ベルトについて、デジタル・インスツルメンツ社製D3000及びNanoscopeIIIを用いて調べた電流像と高さ像(深さ像)を示す図である。
以下、実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
(転写ベルト:管状体)
図1は、実施形態に係る転写ベルトを示す概略斜視図である。図2は、図1のA−A断面図である。
本実施形態に係る転写ベルト101は、図1及び図2に示すように、無端状に形成され、少なくとも樹脂、及び導電性粒子を含む基材層単層からなる管状体から構成されている。なお、本実施形態に係る転写ベルト101は、単層からなっているが、これに限られず、その外周面や内周面に他の機能層を設けてもよい。
そして、本実施形態に係る転写ベルト101は、最外面から導電性粒子112が含まれていない粒子非含有樹脂領域111A(第1領域)と、粒子非含有樹脂領域111Aよりも最内面側の下層領域に導電性粒子112が偏在した粒子偏在樹脂領域111B(第2領域)と、粒子偏在樹脂領域111Bよりも最内面側の下層に当該粒子偏在樹脂領域111Bよりも粒子密度が低く導電性粒子112が含まれる粒子含有樹脂領域111C(第3領域)と、を有している。この粒子偏在樹脂領域111Bは、粒子含有樹脂領域111Cよりも導電性粒子112が密集した状態で含有されており、他の領域(粒子非含有樹脂領域111A及び粒子含有樹脂領域111C)よりも導電性が高い領域である。なお、各領域は、ベルト周方向に沿って層状に存在する領域である。
ここで、ベルトの電気抵抗の低下は、導電粒子を起点として、発生する放電(例えば記録媒体とベルトが剥離する際に発生する放電)の繰り返しにより、導電性粒子とその周辺の樹脂が劣化することにより発生すると推定されている。ベルト最外面の微細分析により、電気抵抗の低下が発生する場所には、導電性粒子由来の突起が存在していることが観察されている。そして、表面抵抗が高くなるにつれて電気抵抗の低下が大きくなる傾向がある。一方で、表面抵抗を下げる(即ちベルト表面の導電性を上げる)には、ベルトに導電性粒子を多く添加する必要があり、表面抵抗を下げると同時に体積抵抗が低下してしまう。
それに対し、本実施形態に係る転写ベルト101では、最外面に前記導電性粒子を含有しない粒子非含有樹脂領域111A(第1領域)が存在するので、最外面に凹凸が少なくなる、即ち導電性粒子112由来の突起が少なることから、電気抵抗の低下を発生させる起点が少なくなる。そして、粒子非含有樹脂領域111Aよりも最内面側に、他の領域(粒子非含有樹脂領域111A及び粒子含有樹脂領域111C)よりも導電性が高い粒子偏在樹脂領域111Bが存在するので、体積抵抗の低減を抑制しつつ、表面抵抗が低くなる。
加えて、最外面の表層領域(即ち粒子非含有樹脂領域111A(第1領域))において、仮に樹脂が劣化し低抵抗部が生成されたとしても、当該最外面の表層領域には導電性粒子が存在しないことから、導電性の変化割合は非常に小さく、実質的な抵抗変化を無視してもよくなる。
したがって、本実施形態に係る転写ベルト101では、電気抵抗の変化が少なくなる。結果、繰り返し使用されることによる電気抵抗の変化に起因する画像欠陥、例えば有効にトナーを転写するための電界が得られずに転写不良が生じること等が抑制される。
また、本実施形態に係る転写ベルト101において、ベルトの保護層として機能する他、表面を平滑にする機能を持たせる観点から、粒子非含有樹脂領域111Aの厚みは、0.5μm以上3μm以下であり、望ましくは0.5μm以上1.5μm以下であることがよい。粒子非含有樹脂領域111Aの厚みが小さすぎると、電気抵抗の低下が抑制され難くなる。また、粒子非含有樹脂領域111Aの厚みが大きすぎると、ベルトの最外面の絶縁性が高くなり過ぎて、表面抵抗率及び体積抵抗率が高くなり易くなる。
そして、最外面から厚み方向15μm(望ましくは10μm)までに粒子非含有樹脂領域111A及び粒子偏在樹脂領域111Bを有する。加えて、当該粒子偏在領域の導電性が最外面から厚み方向15μm(望ましくは10μm)を超えた粒子含有樹脂領域111Cの導電性よりも5倍以上高く、望ましくは5倍以上100倍以下、より望ましくは5倍以上50倍以下である。
これは、最外面から厚み方向15μmまでの領域において流れる最大の電流値(即ち粒子偏在樹脂領域111Bにおいて流れる最大の電流値)が、最外面から厚み方向15μmを越えたところから最内面までの領域(即ち粒子含有樹脂領域111Cにおいて流れる最大電流値)において流れる最大の電流値に対して高いことを意味する。そして、上記導電性(最大の電流値)関係を持たせることで、体積抵抗の低減を抑制しつつ、表面抵抗が低くなる。
ここで、粒子非含有樹脂領域111A、粒子偏在樹脂領域111B、及び粒子含有樹脂領域111Cにおける導電性粒子112の有無は、集束イオンビーム(FIB)によりベルト断面の切片を作製し、透過型電子顕微鏡で直接粒子の有無を観察する方法、ミクロトームによりベルト断面の切片を作製し、原子間力顕微鏡(AFM)の高さ情報から粒子の有無を観察する方法がある。
また、最外面からベルト厚み方向15μmまでの領域の導電性と最外面からベルト厚み方向15μmを越えたところから内周面までの領域の導電性は、ミクロトームによりベルト断面の切片を作製し、コンダクティングモードのAFM観察を行なうことで比較される。具体的な測定方法としては、デジタル・インスツルメンツ社製D3000及びNanoscopeIIIを用いて、測定モード: コンタクトモード、カンチレバー:Auコート導電性カンチレバー、バネ定数 0.2N/m、印加電圧:−5 Vの条件で、ベルト断面の切片(試料)を10μm四方で観察したときの各領域での電流値の最大値を調べる。
なお、ベルト断面の切片(試料)は、包埋後ミクロトームにより断面の切片(試料)を作製し、試料深さ方向と平行に銀ペースト電極を貼り合わせカンチレバーの対向電極とした。このベルト断面の切片(試料)を10μm四方で観察し電流値(導電性)と高さ情報を得る。
但し、本条件は、一例であって、同条件に限定するものでない。ベルト断面切片(試料)により、測定範囲、印加電圧、バネ定数など任意に変更してもよい。
そして、上記手法で得られた電流値の最大値により導電性の比較を行なう。
以下、本実施形態に係る転写ベルト101の構成材料や特性について説明する。
まず、樹脂(以下、樹脂材料と称する)について説明する。
樹脂材料は、そのヤング率が、ベルト厚みによっても異なるが、望ましくは、3500MPa以上、より望ましくは4000MPa以上であればよく、ベルトとしての機械特性が満足される。樹脂としては、上記ヤング率を満たせば、制限はないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、補強材を添加してなるポリエステル樹脂などが挙げられる。
なお、ヤング率は、JIS K7127(1999)に準じて引張試験を行い、得られた応力・歪曲線の初期ひずみ領域の曲線に接線を引き、その傾きにより求める。測定条件としては、短冊状試験片(幅6mm、長さ130mm)、ダンベル1号、試験速度500mm/分、厚さはベルト本体の厚さの各設定で測定するものとする。
上記樹脂材料の中でも、ポリイミド樹脂が好適である。ポリイミド樹脂は、高ヤング率材料であることから、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が他の樹脂に比べ少ないので、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい転写ベルトとなる。ポリイミド樹脂は、通常、等モルのテトラカルボン酸二無水物或いはその誘導体と、ジアミンとを溶媒中で重合反応させてポリアミド酸溶液として得られる。テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、下記の一般式(I)で示されるものが挙げられる。
(一般式(I)中、Rは4価の有機基であり、芳香族、脂肪族、環状脂肪族、芳香族と脂肪族を組み合わせたもの、又はそれらの置換された基である。)
テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
一方、ジアミンの具体例としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ベンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン、HN(CHO(CHO(CH)NH、HN(CHS(CHNH、HN(CHN(CH(CHNH等が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを重合反応させる際の溶媒としては、溶解性等の点より極性溶媒(有機極性溶媒)が好適に挙げられる。極性溶媒としては、N,N−ジアルキルアミド類が望ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用してもよい。
なお、ポリアミド酸溶液の固形分濃度は、5質量%以上40質量%以下 であることが好ましく、10質量%30質量%以下であることがより好ましい。前記固形分濃度が40質量%以内であることにより、塗布が容易に行えて塗膜の均一性が確保される。また、前記固形分濃度が5質量%以上であることにより、強度を有する膜厚が得られ易くなる。ポリアミド酸溶液の粘度について特に制限はないが、一般的に、1Pa・s以上500Pa・s以下の粘度のものが扱い易い。
次に、導電性粒子について説明する。
導電性粒子としては、導電性又は半導電性の粉末が使用でき、ベルトとして特定の電気抵抗を安定して得ることができれば、導電性に制限はないが、例えば、ケッチエンブラック、アセチレンブラック、pH5以下の酸化処理カーボンブラック等のカーボンブラック、アルミニウムやニッケル等の金属、酸化錫等の酸化金属化合物、チタン酸カリウム等が例示される。そしてこれらを単独、あるいは併用して使用してもよいが価格面で有利なカーボンブラックが望ましい。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が10 Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が10以上1013 Ωcm以下であることを意味する。他も同様である。
カーボンブラックは2種類以上含有してもよい。そのとき、これらのカーボンブラックは実質的に互いに導電性の異なるものであると望ましく、例えば酸化処理の度合い、DBP吸油量、窒素吸着を利用したBET法(吸着した窒素量から、1g当たりの表面積を算出する方法)による比表面積等の物性が異なるものを用いる。ここで、DBP吸油量(cc/100g)とは、カーボンブラック100gに吸収されるジブチルフタレート(DBP)の量を示すものであり、ASTM(アメリカ標準試験法)D2414−6TTに定義される値である。また、BET法は、JIS6217に定義される方法である。
導電性の異なる2種類以上のカーボンブラックを添加する場合、例えば高い導電性を発現するカーボンブラックを先に添加した後、導電率の低いカーボンブラックを添加して表面抵抗率を調整すること等が可能である。このように2種類以上のカーボンブラックを含有させる場合も、少なくとも、そのうちの1種類に酸化処理カーボンブラックを使うことによって、両方のカーボンブラックの混合や分散が高められる。
次に、本実施形態に係る転写ベルトの特性について説明する。
本実施形態に係る転写ベルトが中間転写ベルトの場合、その外周面の表面抵抗率は、常用対数値で9(LogΩ/□)以上13(LogΩ/□)以下であることが望ましく、10(LogΩ/□)以上12(LogΩ/□)以下であることがより望ましい。電圧印加の30msec後の表面抵抗率の常用対数値が13(LogΩ/□)を超えると、二次転写時に記録媒体と中間転写ベルトとが静電吸着し、記録媒体の剥離ができなくなる場合がある。一方、電圧印加の30msec後の表面抵抗率の常用対数値が9(LogΩ/□)未満であると、中間転写ベルトに一次転写されたトナー像の保持力が不足し画質の粒状性や像乱れが発生する場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、後述する導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
ここで、表面抵抗率の測定方法は、次の通り行う。円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPの「URプローブ」)を用い、JIS K6911に従って測定する。表面抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。図3は、円形電極の一例を示す概略平面図(A)及び概略断面図(B)である。図3に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間にベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)を算出する。ここで、下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
なお、表面抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
本実施形態に係る転写ベルトが中間転写ベルトの場合、その全体の体積抵抗率は、常用対数値で8(LogΩcm)以上13(LogΩcm)以下であることが望ましい。前記体積抵抗率の常用対数値が8(LogΩcm)未満であると、像保持体から中間転写ベルトに転写された未定着トナー像の電荷を保持する静電的な力が働きにくくなるため、トナー同士の静電的反発力や画像エッジのフリンジ電界の力によって、画像の周囲にトナーが飛散してしまい、ノイズの大きい画像が形成される場合がある。一方、前記体積抵抗率の常用対数値が13(LogΩcm)を超えると、電荷の保持力が大きいために、1次転写での転写電界で転写ベルト表面が帯電するために除電機構が必要となる場合がある。尚、前記体積抵抗率の常用対数値は、後述する導電剤の種類、及び導電剤の添加量により制御される。
ここで、体積抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ)を用い、JIS K6911に従って測定する。前記体積抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する。測定は表面抵抗率と同一の装置で測定する。但し、図3に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’とを備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間にベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極Bとの間に電圧V(V)を印加した時に流れる電流I(A)を測定し、下記式により、ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出する。ここで、下記式中、tは、ベルトTの厚さを示す。
式ρv=19.6×(V/I)×t
なお、体積抵抗率は、円形電極(三菱油化(株)製ハイレスターIPのURプローブ:円柱状電極部Cの外径Φ16mm、リング状電極部Dの内径Φ30mm、外径Φ40mm)を用い、22℃/55%RH環境下、電圧500V、10秒印加後の電流値を求め算出する。
また、上記式に示される19.6は、抵抗率に変換するための電極係数であり、円柱状電極部の外径d(mm)、試料の厚さt(cm)より、πd/4tとして算出される。また、ベルトTの厚さは、サンコー電子社製渦電流式膜厚計CTR−1500Eを使用し測定する。
以下、本実施形態に係る転写ベルトの製造方法について説明する。図4は、本実施形態に係る転写ベルトの製造方法を示す工程図である。
本実施形態に係る転写ベルト101の製造方法では、まず、導電性粒子112と樹脂材料と溶媒とを含有した塗布液を準備する。そして、図4(A)に示すように、塗布液を円筒状金型120に塗布して、当該塗布液の塗膜122を形成する。
そして、塗布液の円筒状金型120上への塗布方法は、特に制限はなく、例えば、の外周面に浸漬する方式や、内周面に塗布する方式、内周面に塗布して遠心する方式、又は注形型に充填する方式などを利用して、無端状に塗膜122を形成する。なお、ベルトの形成に際しては、金型に離型処理を施すことがよい。
ここで、塗布液として、カーボンブラック(導電性粒子)を分散させたポリアミド酸溶液を調製する例を例示するがこれに限定するものではない。まず、精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散する。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が望ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が望ましく、特に高粘度溶液のバラツキを抑制して分散するジェットミルが望ましい。
得られたカーボンブラック分散液中にジアミン成分と酸二無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を作製する。
先に得られたカーボンブラック分散液中に、上記ジアミン成分及び上記酸無水物成分を溶解・重合させてカーボンブラック分散したポリアミド酸溶液を作製する。この際、モノマー濃度(溶媒中におけるジアミン成分と酸無水物成分の濃度)は種々の条件により設定されるが、5質量%以上30質量%以下が望ましい。また、反応温度は80℃以下に設定することが望ましく、特に望ましくは5℃以上50℃以下であり、反応時間は5時間以上10時間以下である。
カーボンブラックを分散したポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが望ましい。
次に、円筒状金型120に塗布された塗膜122を乾燥する。本乾燥では、塗膜122の残留溶媒量が25%以下になるように行うことがよく、望ましくは20%以下であり、さらに望ましくは15%以下である。塗膜122の残留溶媒量が多すぎると、後述する導電性粒子112の偏在(密度の上昇)が生じ難くなる。一方、残留溶媒量が低い程、後述する導電性粒子112の偏在(密度の上昇)が生じ易くなる。この塗膜122の残留溶媒量、つまり塗膜122の乾燥状態を制御することで、後述する導電性粒子112の偏在(密集)度合いが制御される他、得られる転写ベルト101における導電性粒子112が偏在した領域(粒子偏在樹脂領域111B)の厚み方向の位置も制御される。
ここで、残留溶媒量とは、塗布する塗布液中に存在する溶媒重量に対する乾燥後の塗膜中に残留する溶媒重量の割合を示している。この残留溶媒量の求め方は、以下の通りである。
例えば、固形分量として樹脂材料固形分重量(樹脂材料乾燥重量)と導電性粒子重量が判明している場合には、乾燥前の塗膜の全重量を正確に秤量し、塗膜の全重量に含まれる溶媒重量を算出する。その後、上記乾燥後の塗膜の全重量を正確に秤量し、減少分を消失溶媒重量として、(乾燥前塗膜重量-乾燥後塗膜重量)/(乾燥前塗布重量-樹脂固形分重量-機能性粒子重量)を計算し、残留溶媒量を求める
また、熱抽出ガスクロマトグラム質量分析装置を用いて、残留溶媒量を求めてもよい。この測定の一例を以下に示す。例えば、上記乾燥後の塗膜から2mg以上3mg以下程度に切り取り出して試料を得て、この試料を秤量後、熱抽出装置(PY2020D:フロンティアラボ社製)に入れて400℃に加熱する。揮発成分を320℃のインターフェイスを経てガスクロマトグラム質量分析装置(GCMS−QP2010:島津製作所製)に注入し、定量する。すなわち、ヘリウムガスをキャリアガスとして、試料から揮発した量の1/51(スプリット比50:1)を線速度153.8cm/秒(カラム温度50℃でのキャリアガス流量1.50ml/分、圧力50kPa)で、 内径0.25μ mφ×30mのカラム(フロンティアラボ社製キャピラリーカラムUA−5)に注入する。次いで、50℃で3分間保持した後、カラムを毎分8℃ の割合で400℃まで昇温させ、同温度で10分間保持して、揮発成分を脱着させた。さらに、インターフェイス温度320℃で揮発成分を質量分析装置に注入し、溶媒に相当するピークの面積を求める。定量は、既知量の同一溶媒で予め検量線を作成して行った。これより求めた溶媒重量を上記乾燥後試料重量で除算して残留溶媒量が求められる。但し、上記測定例は、一例であって、使用する樹脂の分解や変化する温度、又は、溶媒の沸点により測定条件は変更して行なうことがよい。
次に、図4(B)に示すように、乾燥された塗膜122の表面に、樹脂材料を溶出させるための溶出用溶媒124を塗布する。溶出用溶媒124が塗布された領域では、溶出用溶媒124が乾燥された塗膜122に浸透し、塗膜122の塗布面下領域を膨潤状態とする。このとき、塗膜122の塗布面下領域に比べて、塗膜122の塗布面上に存在する溶出用溶媒124の溶媒量の方が多い、即ち溶媒濃度が高くなることから、塗膜122の塗布面上に存在する溶出用溶媒124側に溶出し易くなる。
すると、図4(C)に示すように、導電性粒子112は溶出用溶媒124に溶出することはないから、樹脂材料が溶出すると、当該した樹脂材料が溶出した領域では、他の領域に比べ、樹脂材料が溶出した分、導電性粒子112の密度が上昇することとなる。結果、導電性粒子112が偏在した領域が形成される。なお、図4中、122Aは、導電性粒子112が偏在した領域を示す。
ここで、溶出用溶媒124は、樹脂材料を溶出させる溶媒である。このため、溶出用溶媒は、樹脂材料を溶解する溶媒から選択される。ここで、樹脂材料を溶解するとは、25℃において溶媒に対し、樹脂固形分が10wt%以上溶解する事を意味する。
溶出用溶媒としては、当該塗布液に含まれる溶媒と同じ種類の溶媒を適用することがよい。例えば、塗布液としてポリアミド酸溶液をする場合、極性溶媒が挙げられ、例えば、N,N−ジアルキルアミド類が望ましく、具体的には、例えば、これの低分子量のものであるN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、テトラメチレンスルホン、ジメチルテトラメチレンスルホン等が挙げられる。これらは単数又は複数併用してもよい。
また、溶出用溶媒124の塗布量は、例えば0.001g/cm以上1g/cm以下であり、望ましくは0.01g/cm以上1g/cm以下であり、より望ましくは0.01g/cm以上0.5g/cm以下である。
また、溶出用溶媒124は、導電性粒子112と樹脂材料とが含まれる塗布液の塗布方法で挙げられた塗布方法が利用される。
次に、図4(D)に示すように、塗膜122表面に塗布された溶出用溶媒124を乾燥させる。本乾燥では、例えば、残留溶媒量が10%以下となるように行うことがよい。この残留溶媒量は、使用する樹脂材料種、得られる転写ベルトの使用用途、得られる転写ベルトの強度や維持性等などから決定される。
そして、溶出用溶媒124には上述のように溶出した樹脂材料が含まれることから、当該溶出用溶媒124を乾燥させることで、樹脂材料が析出し、これが上記導電性粒子112が偏在した領域上に層状に形成されることなる。このとき、塗布された溶出用溶媒124には導電性粒子112が含まれていない又は他の領域に比べて少なく含まることから、導電性粒子112が偏在した領域上には、導電性粒子112が含まれていない粒子非含有樹脂領域111Aが形成される。そして、粒子非含有樹脂領域111A下層領域に導電性粒子112が偏在した粒子偏在樹脂領域111Bと、粒子偏在樹脂領域111B下層領域に粒子偏在樹脂領域111Bよりも粒子密度が低く導電性粒子112が含まれる粒子含有樹脂領域111Cと、が形成される。なお、粒子非含有樹脂領域111Aには、粒子が含まれないが、製法上導電性粒子112が塗布された溶出用溶媒124へ若干移行し含まれる場合もある。
上記工程を経て、粒子密度が異なる3つの領域(粒子非含有樹脂領域111A、粒子偏在樹脂領域111B、及び粒子含有樹脂領域111C)からなる転写ベルト101が得られる。
ここで、樹脂材料として、ポリイミド樹脂等に代表される樹脂前駆体(ポリアミド酸溶液)を用いた場合、上記溶出用溶媒124の乾燥後、焼成を行うことで、転写ベルト101が製造される。この焼成、即ちポリアミドをイミドに転化するには200℃以上の高温処理が一般的である。200℃以下では十分なイミド転化が得られない。一方、高温処理はイミド転化に有利であり、安定した特性が得られるが、熱エネルギーを使用するため、熱効率が悪くコストが高くなるため、転写ベルトの特性と生産性を考慮して熱処理温度を決める必要がある。
(転写ユニット)
図5は、本実施形態に係る転写ユニットを示す概略斜視図である。本実施形態に係る転写ユニット130は、図5に示すように、前記実施形態に係る転写ベルト101を備えており、転写ベルト101は対向して配置された駆動ロール131及び従動ロール132により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、単に「張架」という場合がある。)。また、図示されていないが、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト101上に1次転写させるためのロールと、転写ベルト101上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。なお、転写ベルト101を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ユニット130は画像形成装置に組み込まれて使用され、画像形成の際、駆動ロール131,従動ロール132の回転に伴って転写ベルト101も張架した状態で回転する。
(画像形成装置)
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体表面を帯電する帯電手段と、像保持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を前記記録媒体に定着する定着手段と、を有し、転写手段が、上記本実施形態に係る転写ベルトを備えるものである。
具体的には、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が中間転写ベルトと像保持体に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写する一次転写手段と中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段とを備え、当該中間転写ベルトとして上記本実施形態に係る転写ベルトを備える構成が挙げられる。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、転写手段が記録媒体を搬送するための搬送転写ベルトと像保持体に形成されたトナー像を用紙転写ベルトにより搬送された記録媒体に転写するための転写手段とを備え、当該記録媒体転写ベルトとして上記本実施形態に係る転写ベルトを備える構成が挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置は、例えば、現像装置内に単色のトナーのみを収容する通常のモノカラー画像形成装置、像保持体上に保持されたトナー像を中間転写ベルトに順次一次転写を繰り返すカラー画像形成装置、各色毎の現像器を備えた複数の像保持体を中間転写ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置が挙げられる。
以下、本実施形態に係る画像形成装置を、図面を参照しつつ説明する。図6は、実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図7は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図6は、中間転写ベルトを備える画像形成装置であり、図7は、記録媒体搬送転写ベルトを備える画像形成装置である。
図6に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに特定距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ロール22及び中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24に巻回されて張架して設けられ、第1ユニット10Yから第4ユニット10Kに向う方向に走行されるように、画像形成装置用の転写ユニットを構成している。
なお、支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に付勢されており、両者に巻回された中間転写ベルト20に特定の張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収容されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給可能である。
上述した第1乃至第4ユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1ユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1ユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1ユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を特定の電位に帯電させる帯電ロール2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ロール5Y(1次転写手段)、及び1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを、クリーニングブレードにて除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配設されている。
尚、1次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ロールに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V以上−800V以下程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って特定の現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、イエロートナーが収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き特定速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が特定の1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写へ搬送されると、1次転写ロール5Yに特定の1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2ユニット10M以降の1次転写ロール5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1ユニットに準じて制御されている。
こうして、第1ユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4ユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4ユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト20内面に接する支持ロール24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ロール(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録媒体Pが供給機構を介して2次転写ロール26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に特定のタイミングで給紙され、特定の2次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録媒体Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録媒体P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録媒体Pは定着装置(定着手段)28へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録媒体P上へ定着される。カラー画像の定着が完了した記録媒体Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録媒体Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録媒体Pに転写される構造であってもよい。
一方、図7に示す画像形成装置は、画像形成ユニットY、M、C、BKは、矢印の時計方向に特定の周速度(プロセススピード)をもって回転可能に、それぞれ感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKが備えられる。感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの周囲には、帯電ロール202Y、202M、202C、202BKと、露光器203Y、203M、203C、203BKと、各色現像装置(イエロー現像装置204Y、マゼンタ現像装置204M、シアン現像装置204C、ブラック現像装置204BK)と、感光体ドラム清掃部材205Y、205M、205C、205BKとがそれぞれ配置されている。
画像形成ユニットY、M、C、BKは、記録媒体搬送転写ベルト206に対して4つ並列に、画像形成ユニットBK、C、M、Yの順に配置されているが、画像形成ユニットBK、Y、C、Mの順等、画像形成方法に合わせて適当な順序を設定する。
記録媒体搬送転写ベルト206は、ベルト支持ロール210、211、212、213によって内面側から張架され、画像形成装置用の転写ユニットを形成している。該記録媒体搬送転写ベルト206は、矢印の反時計方向に感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと同じ周速度をもって回転可能になっており、ベルト支持ロール212、213の中間に位置するその一部が感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとそれぞれ接するように配置されている。記録媒体搬送転写ベルト206は、ベルト用清掃部材214が備えられている。
転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、記録媒体搬送転写ベルト206の内側であって、記録媒体搬送転写ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとが接している部分に対向する位置にそれぞれ配置され、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKと、記録媒体搬送転写ベルト206を介してトナー画像を記録媒体216に転写する転写領域を形成している。転写ロール207Y、207M、207C、207BKは、感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKの直下に配置していても、直下からずれた位置に配置してもよい。
定着装置209は、記録媒体搬送転写ベルト206と感光体ドラム201Y、201M、201C、201BKとのそれぞれの転写領域を通過した後に搬送するように配置されている。
記録媒体搬送ロール208により、記録媒体216は記録媒体搬送転写ベルト206に搬送される。
画像形成ユニットBKにおいては、感光体ドラム201BKを回転駆動させる。これと連動して帯電ロール202BKが駆動し、感光体ドラム201BKの表面を特定の極性・電位に帯電させる。表面が帯電された感光体ドラム201BKは、次に、露光器203BKによって像様に露光され、その表面に静電潜像が形成される。
続いて該静電潜像は、ブラック現像装置204BKによって現像される。すると、感光体ドラム201BKの表面にトナー画像が形成される。なお、このときの現像剤は一成分系のものでもよいし二成分系のものでもよい。
このトナー画像は、感光体ドラム201BKと記録媒体搬送転写ベルト206との転写領域を通過し、記録媒体216が静電的に記録媒体搬送転写ベルト206に吸着して転写領域まで搬送され、転写ロール207BKから印加される転写バイアスによって形成される電界により、記録媒体216の表面に順次転写される。
この後、感光体ドラム201BK上に残存するトナーは、感光体ドラム清掃部材205BKによって清掃・除去される。そして、感光体ドラム201BKは、次の画像転写に供される。
以上の画像転写は、画像形成ユニットC、M及びYでも上記の方法によって行われる。
転写ロール207BK、207C、207M及び207Yによってトナー画像を転写された記録媒体216は、さらに定着装置209に搬送され、定着が行われる。
以上により記録媒体上に画像が形成される。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
まず、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)を含むポリアミド酸N−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(ユニチカ社製UイミドKX/固形分濃度20質量%)中にカーボンブラック(SPECIAL Black 4、エボニックデグサジャパン社製)を固形分質量比で8質量%投入し、ジェトミル分散機(ジーナス社製:GeanusPY)で分散処理(200N/mm、5パス)を行った。得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物及びカーボンブラック凝集物を取り除いた。更に、攪拌しながら真空脱泡を15分間行い、最終的な塗布液を作製した。
次に、塗布前に円筒状金型(外径302mm、長さ500mm、肉厚10mm)の重量を正確に秤量した。この円筒状金型の外周面に得られた塗布液を、ディスペンサーを介して0.5mmの厚みで塗布し、1500rpmで15分間回転させて展開し、塗膜を形成した。ここで、塗膜が形成された円筒状金型の総重量を正確に秤量し、塗膜の重量を算出した。合わせて、樹脂固形分とカーボンブラック投入量から塗膜の含有溶媒量を算出した。
その後、塗膜が形成された円筒状金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、120℃で40分間加熱して、塗膜を乾燥させた。乾燥終了後、乾燥塗膜が形成された円筒状金型の総重量を正確に秤量し、乾燥塗膜の重量を算出した。次に、乾燥前の塗膜重量から乾燥塗膜重量を減算し蒸発溶媒量を求めた。次に、乾燥前の塗膜含有溶媒量から蒸発溶媒量を減算して残留溶媒量を求め、これを乾燥塗膜重量で除算し乾燥塗膜中の残留溶媒量を求めた。その結果、残留溶媒量は25%であった。
次に、乾燥塗膜が形成された円筒状金型をNMP溶液中に10秒間浸漬した後引き上げ、NMP溶液を乾燥塗膜表面に塗布した(塗布量0.1g/cm)。この状態で15分間放置した後、外側より60℃の熱風を30分間あて、150℃で60分間加熱して、塗布したNMP溶液を乾燥させた。その後、乾燥塗膜が形成された円筒状金型を立てて焼成温度(250℃)まで昇温して1時間イミドの転化を行い、ポリイミド無端ベルトを得た。
(実施例2)
塗膜が形成された円筒状金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、120℃で60分間加熱して、塗膜を乾燥させた以外は、実施例1と同様にしてポリイミド無端ベルトを得た。なお、当該乾燥後の乾燥塗膜の残留溶媒量は18%であった。
(比較例1)
塗膜が形成された円筒状金型を250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あてた後、120℃で20分間加熱して、塗膜を乾燥させた以外は、実施例1と同様にしてポリイミド無端ベルトを得た。なお、当該乾燥後の乾燥塗膜の残留溶媒量は35%であった。
(比較例2)
乾燥塗膜に対して、NMP溶液を塗布しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリイミド無端ベルトを得た。
(評価)
得られたポリイミド無端ベルトについて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
−導電性粒子(カーボンブラック)有無、及び導電性の評価−
上記に従って、ベルト断面切片を作製し、透過型電子顕微鏡で直接粒子の有無を観察して、粒子非含有領域、粒子偏在領域、及び粒子含有領域の存在を確認した。
また、上記に従って、ベルト断面切片を作製し、デジタル・インスツルメンツ社製D3000及びNanoscopeIIIを用いて、ベルト断面切片(試料)を10μm四方で観察して、流れる電流値と高さ(深さ)を調べ、ベルト最外面から15μmまでの領域に流れる最大電流値と、ベルト最外面から15μmを超えたところから内周面までの領域に流れる最大電流値と、を求めた。
なお、図8に、実施例2及び比較例1で作製したポリイミド無端ベルトについて、デジタル・インスツルメンツ社製D3000及びNanoscopeIIIを用いて調べた電流像と高さ像(深さ像)を示す。
−表面抵抗率、体積抵抗率の測定−
上記に従って、ベルト最外面の体積抵抗率、及びベルトの体積抵抗率を測定した。
−電気抵抗変化の評価−
得られた無端ベルトを、中間転写ベルトとして富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220改造機(プロセス速度500mm/sec、一次転写電流45μA、二次転写電圧3.5kV)に装着し、10℃、RH15%の環境下で、プリント試験を行なった。試験は、富士ゼロックス社製C2紙A4紙を使用し、10000枚のプリントテストを行った。プリント試験前後のベルト最外面の体積抵抗率、及びベルトの体積抵抗率を測定して比較を行なった。
なお、表面抵抗率、体積抵抗率の測定は、上記に従って行った。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、電気抵抗の変化(低下)が抑制されることがわかる。
1Y、1M、1C、1K 感光体
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3 露光装置
4Y、4M、4C、4K 現像装置
5Y、5M、5C、5K 1次次転写ロール
6Y、6M、6C、6K クリーニング装置
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 2次転写ロール
30 中間転写体クリーニング装置
101 転写ベルト
111A 粒子非含有樹脂領域
111B 粒子偏在樹脂領域
111C 粒子含有樹脂領域
112 導電性粒子
120 円筒状金型
122 塗膜
124 溶出用溶媒
130 転写ユニット
131 駆動ロール
132 従動ロール
201Y、201M、201C、201BK 感光体ドラム
202Y、202M、202C、202BK 帯電ロール
203Y、203M、203C、203BK 露光器
204Y、204M、204C、204BK 現像装置
205Y、205M、205C、205BK 感光体ドラム清掃部材
206 記録媒体搬送転写ベルト
207Y、207M、207C、207BK 転写ロール
208 記録媒体搬送ロール
209 定着装置
210 ベルト支持ロール
212 ベルト支持ロール
214 ベルト用清掃部材
216 記録媒体
Y、M、C、BK 画像形成ユニット

Claims (3)

  1. 樹脂と導電性粒子とを含んで構成される層であって、最外面に前記導電性粒子を含有しない第1領域と当該第1領域よりも最内面側に他の領域よりも導電性が高い第2領域とを持つ層を有し、
    前記最外面から厚み方向15μmまでに前記第1領域及び第2領域を有し、当該第2領域の導電性が前記最外面から厚み方向15μmを超えた第3領域の導電性よりも5倍以上高く、
    前記第1の領域の厚みが、0.5μm以上3μm以下である管状体。
  2. 請求項1に記載の管状体からなる転写ベルトと、該転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備え、画像形成装置本体に対して脱着される転写ユニット。
  3. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像が転写される中間転写体と、
    前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体の表面に転写された前記トナー像を記録媒体に二次転写する二次転写手段と、
    前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
    を備え、
    前記中間転写体が、請求項1に記載の管状体である画像形成装置。
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