JP4831740B2 - 電子写真用ベルト、電子写真装置および電子写真用ベルトの製造方法、ならびに、中間転写ベルト - Google Patents
電子写真用ベルト、電子写真装置および電子写真用ベルトの製造方法、ならびに、中間転写ベルト Download PDFInfo
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Description
106≦ρv≦1010 ・・・(1)
108≦ρs≦1013 ・・・(2)
ρs/ρv≧102 ・・・(3)
熱可塑性樹脂を用いて前記基層を形成する基層形成工程と、
該基層形成工程により形成された基層上に、前記樹脂硬化膜の原料であるモノマー/オリゴマー成分、導電性粒子および溶剤を含有する表面層形成用塗工液を塗布し、これを乾燥および硬化させることによって前記表面層を形成する表面層形成工程と
を有することを特徴とする電子写真用ベルトの製造方法である。
106≦ρv≦1010 ・・・(1)
108≦ρs≦1013 ・・・(2)
ρs/ρv≧102 ・・・(3)
以下、本発明の電子写真用ベルトについて、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真用ベルトの概略断面図であり、15は熱可塑性樹脂を含有する基層であり、また、16は該基層上に塗布により形成された樹脂硬化膜である。そして、この電子写真用ベルトにおいて、その体積抵抗率をρv[Ω・cm]とし、表面抵抗率をρs[Ω/□]とすると、該ρvおよびρsは下記式(1)、(2)および(3)の関係をすべて満たすものである。
106≦ρv≦1010 ・・・(1)
108≦ρs≦1013 ・・・(2)
ρs/ρv≧102 ・・・(3)
(基層)
基層は、屈曲によっても表面に割れなどが生じない耐屈曲性に優れたものであることが好ましい。このような基層に用いることのできる材料としては、以下のような熱可塑性樹脂材料およびこれらの混合物、ならびに、該混合物により形成される熱可塑性エラストマーなどが挙げられる:ポリカーボネート,ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルペンテン−1,ポリスチレン,ポリアミド,ポリサルフォン,ポリアリレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリフェニレンサルファイド,ポリエーテルサルフォン,ポリエーテルニトリル,熱可塑性ポリイミド系材料,ポリエーテルエーテルケトン,サーモトロピック液晶ポリマー,ポリアミド酸など。
表面層は、基層への密着性や厚さの均一性の観点から、基層上に塗布により形成された樹脂硬化膜からなる。そして、該表面層は、該電子写真用ベルトのテーバー摩耗試験(ASTM−D−1175、荷重4.9N、500回転)後の質量減少率が0.050%以下となるような優れた耐摩耗性を電子写真用ベルトの表面に与えるものである。
本発明においては、樹脂硬化膜からなる表面層に所定の抵抗率を付与するため、導電性粒子を添加する。導電性粒子としては、抵抗制御が可能であればどのようなものでも使用が可能であり、例えば、以下のものが挙げられる:
本発明の電子写真用ベルトにおいて、その体積抵抗率をρv[Ω・cm]、表面抵抗率をρs[Ω/□]とすると、該ρvおよびρsは下記式(1)、(2)および(3)の関係をすべて満たすものである。
106≦ρv≦1010・・・(1)
108≦ρs≦1013・・・(2)
ρs/ρv≧102 ・・・(3)
表面層の形成に用いる表面層形成用塗工液は、電子写真用ベルトの表面の耐摩耗性の改善のためにアクリルモノマーやアクリルオリゴマーなどの樹脂硬化膜の原料を含有し、また、表面層の電気的特性を調整するための導電性粒子と、溶剤を基本組成として含有する。そして、上述したように、表面層形成用塗工液を基層上に塗布した後の導電性粒子の表面移行を抑えるために、表面層形成用塗工液はすみやかに乾燥するような組成とすることが好ましい。該溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、エタノールおよびイソブタノールなどが挙げられる。特に、基層上に塗布した表面層形成用塗工液を、高温低湿環境下でない環境下、例えば常温常圧環境下で乾燥(および硬化)させる場合には、上述したように、メチルエチルケトンを主溶剤として用いることが好ましい。
次に、本発明の電子写真用ベルトの使用形態について説明する。
図2は、本発明の電子写真用ベルトを中間転写ベルトとして用いた電子写真装置の概略説明図である。
(i)基層の作製
厚さ50μm、体積抵抗率ρv=2.5×109[Ω・cm]、表面抵抗率ρs=1.8×1011[Ω/□]の、イオン導電剤を含有するポリフッ化ビニリデン樹脂からなるフィルムを押し出し成形によって作製した。このフィルムを用い、特開2002−326287号公報の実施例1に記載された方法にしたがって、厚さ100μmの円筒状無端ベルトを作製した。この円筒状無端ベルトを電子写真用ベルトの基層とした。この円筒状無端ベルトの体積抵抗率および表面抵抗率は、上記フィルムのそれらと同じであった。また、ベルトの表面(後述する表面層形成用塗工液の塗布面)のテーバー摩耗試験(ASTM−D−1175、荷重4.9N、500回転)後の質量の減少率は0.41%であった。
紫外線を遮蔽した容器中において、導電性粒子としてのアンチモン酸亜鉛のイソプロピルアルコールゾル(商品名:セルナックス、日産化学(株)製)12質量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有するアクリル系紫外線硬化型ハードコート材料(商品名:デソライト;JSR(株)製)50質量部を混合した。その後、メチルイソブチルケトンを38質量部添加して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。なお、得られた紫外線硬化性樹脂組成物の導電性粒子の分散安定性は良好であった。
40℃/10%RHの環境下、上記(i)で作製した基層の表面に上記(ii)で得られた表面層形成用塗工液をディップコート法により塗布して表面層形成用塗工液の薄い塗膜を形成した。該塗膜を上記環境下で30秒間乾燥させた後、該塗膜にUV照射機(商品名:UE06/81−3、アイグラフィック(株)製、積算光量:1200mJ/cm2)を用いて紫外線を照射し、該塗膜を硬化させ、厚さ1.0μmの樹脂硬化膜を形成した。該樹脂硬化膜が電子写真用ベルトの表面層となる。
ρv=3.0×109[Ω・cm]
ρs=9.0×1011[Ω/□]
ρs/ρv=3.0×102
電子写真感光体:有機感光体
暗部電位(非画像部電位):−700V
明部電位(画像部電位):−150V
現像剤:非磁性一成分トナー(4色とも)
転写電圧:1.5kV
プロセススピード:122mm/s
表面層形成用塗工液の基層への塗布および乾燥を25℃/40%RHの環境下において行った以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを作製した。
ρv=2.6×109[Ω・cm]
ρs=7.5×108[Ω/□]
ρs/ρv=3×10−1
表面層(樹脂硬化膜)の厚さを3.0μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真用ベルトを作製し、実施例1と同様にして評価した。
ρv=6.5×109[Ω・cm]
ρs=1.5×1012[Ω/□]
ρs/ρv=2.3×102
表面層形成用塗工液および該表面層形成用塗工液の基層上への塗布および乾燥条件を下記のとおりとした以外は、実施例1と同様にして実施例3の電子写真用ベルトを作製した。
導電性粒子としてのアンチモン酸亜鉛のイソプロパノールゾル(商品名:セルナックス;日産化学(株)製)12質量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有するアクリル系紫外線硬化型ハードコート材料(商品名:デソライト;JSR(株)製)を50質量部混合した。その後、メチルエチルケトン(MEK)を38質量部添加して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
実施例1の(i)と同様の方法で作製した基層の表面に上記(i)で調製した表面層形成用塗工液を25℃/40%RHの環境下で塗布し、これを乾燥させた後、これに紫外線を照射して表面層(樹脂硬化膜)を形成し、実施例3の電子写真用ベルトを得た。
ρv=3.8×109[Ω・cm]
ρs=5.0×1011[Ω/□]
ρs/ρv=1.3×102
表面層(樹脂硬化膜)の厚さを1.0μmから10.0μmに変更した以外は、比較例1と同様にして電子写真用ベルトを作製した。
ρv=8.0×109[Ω・cm]
ρs=2.0×1012[Ω/□]
ρs/ρv=2.5×102
2 一次帯電器
3 露光光
6 バイアス印加手段
7 中間転写ベルト
8 残留トナーの帯電装置
10 転写材供給ローラー
11 転写材ガイド
12 転写材搬送ベルト
13 クリーニング装置
14 定着器
41 現像器
42 現像器
43 現像器
44 現像器
62 一次転写バイアス印加手段
63 二次転写バイアス印加手段
64 ローラー
65 ローラー
66 ローラー
S1、S3、S4、S5 電源
P 転写材
15 基層
16 表面層(樹脂硬化膜)
Claims (14)
- 熱可塑性樹脂を含有しテーバー摩耗試験(ASTM−D−1175、荷重4.9N、500回転)後の質量の減少率が0.30%以上である基層と、該基層上に塗布により形成された導電性粒子を含有する厚さ0.5μm以上3.0μm以下の樹脂硬化膜とを有し、
該樹脂硬化膜の表面におけるテーバー摩耗試験(ASTM−D−1175、荷重4.9N、500回転)後の質量の減少率が0.050%以下である電子写真用ベルトであって、
体積抵抗率ρv[Ω・cm]および該樹脂硬化膜の表面における表面抵抗率ρs[Ω/□]が下記式(1)、(2)および(3)の関係をすべて満たしていることを特徴とする電子写真用ベルト。
106≦ρv≦1010 ・・・(1)
108≦ρs≦1013 ・・・(2)
ρs/ρv≧102 ・・・(3) - 前記樹脂硬化膜が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよび前記導電性粒子を含有する塗工液を前記基層上に塗布し、これを硬化させることにより形成された硬化膜である請求項1に記載の電子写真用ベルト。
- 前記基層に含有される熱可塑性樹脂が、ポリフッ化ビニリデンまたはポリカーボネートである請求項1または2に記載の電子写真用ベルト。
- 前記樹脂硬化膜の厚さが、1.0μm以上3.0μm以下である請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真用ベルト。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真用ベルトを有することを特徴とする電子写真装置。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子写真用ベルトを製造する方法であって、
熱可塑性樹脂を含む基層上に、前記樹脂硬化膜の原料であるモノマーおよび/またはオリゴマー成分、導電性粒子および溶剤を含有する表面層形成用塗工液を塗布し、これを乾燥および硬化させることによって前記表面層を形成する表面層形成工程を有することを特徴とする電子写真用ベルトの製造方法。 - 前記表面層形成用塗工液が、前記モノマーおよび/またはオリゴマー成分を30乃至60質量%、前記導電性粒子を10乃至20質量%、および、前記溶剤を30乃至60質量%含有する請求項6に記載の電子写真用ベルトの製造方法。
- 前記表面層形成工程を温度が35乃至45℃、湿度が5乃至20%RHの環境下において行う請求項6または7に記載の電子写真用ベルトの製造方法。
- 前記溶剤がメチルエチルケトンを含む請求項6乃至8のいずれか1項に記載の電子写真用ベルトの製造方法。
- 前記モノマーおよび/またはオリゴマー成分がジペンタエリスリトールヘキサアクリレートである請求項6乃至9のいずれか1項に記載の電子写真用ベルトの製造方法。
- 熱可塑性樹脂を含有しテーバー摩耗試験(ASTM−D−1175、荷重4.9N、500回転)後の質量の減少率が0.30%以上である基層と、該基層上に塗布により形成された導電性粒子を含有する厚さ0.5μm以上3.0μm以下の樹脂硬化膜とを有し、
該樹脂硬化膜の表面におけるテーバー摩耗試験(ASTM−D−1175、荷重4.9N、500回転)後の質量の減少率が0.050%以下である中間転写ベルトであって、
体積抵抗率ρv[Ω・cm]および該樹脂硬化膜の表面における表面抵抗率ρs[Ω/□]が下記式(1)、(2)および(3)の関係をすべて満たしていることを特徴とする中間転写ベルト。
106≦ρv≦1010 ・・・(1)
108≦ρs≦1013 ・・・(2)
ρs/ρv≧102 ・・・(3) - 前記樹脂硬化膜が、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよび前記導電性粒子を含有する塗工液を前記基層上に塗布し、これを硬化させることにより形成された硬化膜である請求項11に記載の中間転写ベルト。
- 前記基層に含有される熱可塑性樹脂が、ポリフッ化ビニリデンまたはポリカーボネートである請求項11または12に記載の中間転写ベルト。
- 前記樹脂硬化膜の厚さが、1.0μm以上3.0μm以下である請求項11乃至13のいずれか1項に記載の中間転写ベルト。
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