JP2007292888A - 画像形成装置用の多層エンドレスベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】ベース層とエラストマーを有する中間層と、フッ素含有ポリマーにより形成される表層とが確実に接着された画像形成装置用の多層エンドレスベルトを提供する。ベース層とエラストマーを有する中間層と、バインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層のバインダー層とが確実に接着された画像形成装置用の多層エンドレスベルトを提供する。
【解決手段】ベース層とエラストマーを有する中間層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトの、表層の接着面に接着性改善処理を施していることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルト。ベース層とエラストマーを有する中間層とバインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトのバインダー層に接着性改善処理を施していることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
【選択図】図5
【解決手段】ベース層とエラストマーを有する中間層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトの、表層の接着面に接着性改善処理を施していることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルト。ベース層とエラストマーを有する中間層とバインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトのバインダー層に接着性改善処理を施していることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
【選択図】図5
Description
本発明は、画像形成装置用の多層エンドレスベルトに関し、特に感光ドラム上のトナー像を転写材(紙)に転写するために用いられる画像形成装置用の転写ベルト等の多層エンドレスベルトのフッ素含有ポリマーからなる表層に接着性改善処理を施して製造した多層エンドレスベルトに関する。
カラー複写機、カラーレーザープリンター等のカラー画像形成装置における画像の転写や定着等に、感光ドラム上に形成されたトナー像を、画像形成装置用の転写ベルトや定着ベルト等のエンドレスベルト(以下、特に従来技術の場合には、単に「ベルト」とも記す)を用いて用紙等に転写や定着等を行うことが、標準的になりつつある。
図9は、この様な処理装置の1つである中間転写装置における転写ベルトの使用の様子の概略を示す説明図である。図9に示す通り、トナー1と現像ローラ2により、感光ドラム3上に、トナー像が形成される。この方式は、4連タンデム方式であるため、黒(K)と3色(シアンC、マゼンタM、イエローY)のトナーとそれぞれに対応する現像ローラ、感光ドラムが、設けられている。感光ドラム3上に形成されたトナー像は、一次転写ローラ4と、感光ドラム3と、画像形成装置用転写ベルト5とにより、画像形成装置用転写ベルト5に転写される。形成されたカラー画像は、二次転写ローラ6と、画像形成装置用転写ベルト5と、転写材(紙)7とにより、転写材(紙)7に転写され、定着ローラ(図示されていない)により定着される。多重転写方式の場合も、基本的な原理は、同様である。
これらの装置で用いられる画像形成装置用転写ベルト等のベルトについては、ベルトの周方向の大きな抵抗率(表面抵抗率)および表面抵抗率よりは小さい厚み方向の抵抗率(体積抵抗値)を有し、かつこれらの抵抗率がベルト面上の位置、使用環境、電圧等により変動しないこと、ベルトの周方向の引張弾性率が高いこと、表面が平滑でかつ接触角が大きくトナーがベルトから転写材(紙)に転写されやすいこと(優れた離トナー性)、感光ドラムやトナー等を化学的に汚染しないこと(優れた非汚染性)、難燃性であること等の特性が望まれている。
単層の画像形成装置用ベルトにより、これらの多数の特性を満たすことは困難であるため、多層からなる画像形成装置用ベルト、例えば転写ベルトが提案されており、例えば、特開2002−287531号公報(特許文献1)には、低抵抗値の熱可塑性エラストマーのベース層と、高抵抗値の熱可塑性エラストマーの表層とを有し、前記ベース層と前記表層とが加熱成形により形成されていることを特徴とする画像形成装置用転写ベルトが開示されている。
また、近年は、厚み方向に弾性を有する画像形成装置用のエンドレスベルトも望まれており、この性質を満たす画像形成装置用転写ベルトとして、前記のようなベース層と表層に加えて、弾性体により形成される中間層(弾性層)を有するものも考えられる。
この多層の画像形成装置用ベルトにおいては、ベルトの周方向の高引張弾性率はベース層により、厚み方向の弾性は中間層により達成される。一方、安定した体積抵抗値は、ベース層および中間層を形成する材質の選択等により制御される。また、大きな表面抵抗率、優れた離トナー性、優れた非汚染性は、表層により達成されることが望まれる。
しかし、大きな表面抵抗率、優れた離トナー性、優れた非汚染性等画像形成装置用ベルトに望まれる諸特性を十分満足する画像形成装置用ベルトは得られていなかった。
このような要求を満足させられる画像形成装置用ベルトの1つとして、本発明者らは、かって以下の発明をした。即ち、ベース層と、前記ベース層上に設けられたエラストマーにより形成される中間層と、前記弾性層上に設けられたフッ素含有ポリマーにより形成される表層を有することを特徴とする画像形成装置用の多層の転写ベルトを発明した。
このような要求を満足させられる画像形成装置用ベルトの1つとして、本発明者らは、かって以下の発明をした。即ち、ベース層と、前記ベース層上に設けられたエラストマーにより形成される中間層と、前記弾性層上に設けられたフッ素含有ポリマーにより形成される表層を有することを特徴とする画像形成装置用の多層の転写ベルトを発明した。
前記発明は、表層として、フッ素含有ポリマーにより形成される表層が用いられているため、大きな表面抵抗率、優れた離トナー性、優れた非汚染性を達成することができ、またベース層と表層の間に、ウレタン等のエラストマーにより形成される中間層が設けられているため、厚み方向の十分な柔軟性を有しており、トナーを潰すことなく、搬送ができ、高画質化に対応できる画像形成装置用の多層の転写ベルトが得られる。
しかし、元来フッ素含有ポリマーは、フッ素原子とポリマーの骨格を形成する炭素原子との化学的結合力が強いため、他の物質との接着性が極めて悪い。このため、前記発明では、表層を構成するフッ素含有ポリマーと、中間層を構成するウレタン等のエラストマーとの接着は、両層の間に融点が低い等物理的、化学的に特定の特徴がある材料からなるバインダー層を設けて行う技術を提案している。
特開2002−287531号公報(請求項1)
しかしながら、近年機器が使用される環境、特に温度条件は益々厳しくなってきており、さらにその下で長期の使用時の信頼性への要求も極めて過度になってきており、歴史の新しい前記技術は、必ずしも全てのユーザを納得させるものではない。
さらに、画像の出来具合に対するユーザの要望は将来益々高度化するものと思われるが、そのためにはカラー画像形成装置の画像形成装置用をはじめとする多層ベルトも益々精度良好に製造する必要があるが、今日開示されているベース層とエラストマーを有する中間層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用転写ベルト、あるいはさらに表層の接着側面にバインダー層を有する画像形成装置用転写ベルト等の多層ベルトは、必ずしも将来にわたって全てのユーザを満足させるものではない。
さらに、画像の出来具合に対するユーザの要望は将来益々高度化するものと思われるが、そのためにはカラー画像形成装置の画像形成装置用をはじめとする多層ベルトも益々精度良好に製造する必要があるが、今日開示されているベース層とエラストマーを有する中間層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用転写ベルト、あるいはさらに表層の接着側面にバインダー層を有する画像形成装置用転写ベルト等の多層ベルトは、必ずしも将来にわたって全てのユーザを満足させるものではない。
このため、ベース層とエラストマーを有する中間層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層を有する画像形成装置用転写ベルト、あるいはさらに表層の接着側面にバインダー層を有する多層の画像形成装置用転写ベルト等の多層ベルトであって、その結果大きな表面抵抗率、優れた離トナー性、優れた非汚染性等の性能が従来以上に優れているだけでなく、表層を構成するフッ素含有ポリマーと中間層を構成するウレタン等のエラストマーとの接着が確実であり、高温等の過酷な使用環境で長期にわたって信頼性を有する画像形成装置用の多層ベルトの開発が望まれていた。
また、低コストかつ容易に製造可能な画像形成装置用の多層ベルトの開発が望まれていた。
本発明者は、鋭意研究の結果、表層のフッ素含有ポリマーの接着側(内側)面に、例えばラジカル処理やプラズマ処理等の接着性改善処理を施すことにより、良好な接着が得られることを見出し、本発明を完成した。
また、特定の極性基を持たせると中間層を形成するウレタンと馴染みがよくなることを見出し、本発明を完成した。
また、同じく、エラストマーを有する中間層と表層のフッ素含有ポリマーとは、真空雰囲気中で加熱しつつ押圧することにより良好な接着が得られることを見出し、本発明を完成した。
以下、各請求項の発明を説明する。
また、特定の極性基を持たせると中間層を形成するウレタンと馴染みがよくなることを見出し、本発明を完成した。
また、同じく、エラストマーを有する中間層と表層のフッ素含有ポリマーとは、真空雰囲気中で加熱しつつ押圧することにより良好な接着が得られることを見出し、本発明を完成した。
以下、各請求項の発明を説明する。
請求項1に記載の発明は、
ベース層上に、エラストマーを有する中間層と、フッ素含有ポリマーにより形成される表層とがこの順に形成された画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記表層は、前記中間層と接着がなされる面に接着性改善処理がなされていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
ベース層上に、エラストマーを有する中間層と、フッ素含有ポリマーにより形成される表層とがこの順に形成された画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記表層は、前記中間層と接着がなされる面に接着性改善処理がなされていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明においては、フッ素含有ポリマーからなる表層の接着面(内面)側には、相手方樹脂やバインダー(接着剤)との接着性を改善する接着性改善処理が施されているので、エラストマーを有する中間層(以下、明細書では、原則として「エラストマーを有する」は、省略する)と表層の接着性が強固となる。
なお、表層の接着性改善処理は、中間層と接着される側の面にのみなされるため、の多層エンドレスベルトのトナー等と接触する外面(表面)側は鏡面のそして本来のフッ素含有ポリマーであるため、画像形成能力には悪影響が生じない。
またここに、中間層と表層の間に接着を良好ならしめるために接着剤等の層が形成されていても良い。
なお、表層の接着性改善処理は、中間層と接着される側の面にのみなされるため、の多層エンドレスベルトのトナー等と接触する外面(表面)側は鏡面のそして本来のフッ素含有ポリマーであるため、画像形成能力には悪影響が生じない。
またここに、中間層と表層の間に接着を良好ならしめるために接着剤等の層が形成されていても良い。
また、ベース層、中間層、表層の他に、求められる特性に応じて第2の中間層等の層をさらに設けていても良い。
なお、画像形成装置用の多層エンドレスベルトとは、感光ドラム等に形成されたトナー像を、紙等の転写材に転写したり定着させたりする機能を有するエンドレスベルトを指し、用途は電子写真方式を用いた複写機、レーザープリンター等に限定されない。
また、エンドレスベルトとは、転写ベルト、定着ベルト、転写定着ベルト等の複数個のローラ間に転写用紙を搬送する役目を兼ねて嵌めこんで使用される様なエンドレスベルトの他に、画像形成装置に使用される限り帯電ローラ、現像ローラ等の1個のローラの外周面に嵌め込んで使用されるエンドレスベルトも含める。
なお、画像形成装置用の多層エンドレスベルトとは、感光ドラム等に形成されたトナー像を、紙等の転写材に転写したり定着させたりする機能を有するエンドレスベルトを指し、用途は電子写真方式を用いた複写機、レーザープリンター等に限定されない。
また、エンドレスベルトとは、転写ベルト、定着ベルト、転写定着ベルト等の複数個のローラ間に転写用紙を搬送する役目を兼ねて嵌めこんで使用される様なエンドレスベルトの他に、画像形成装置に使用される限り帯電ローラ、現像ローラ等の1個のローラの外周面に嵌め込んで使用されるエンドレスベルトも含める。
次に、前記ベース層としては、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)およびポリビニリデンフロライド(PVDF)からなる群から選択された少なくとも1つを基材(本来の役割、強度等を受持つ材料)とする樹脂が挙げられる。これらの樹脂を基材とすることにより、引張り強度、屈曲性、弾性率等の機械的性質が良好であり、さらにカーボンブラック(アセチレンブラック)等の導電材を添加して体積抵抗値を制御することが可能である。
なお、弾性率は、1GPa以上であるのが好ましい。
また、ベース層の厚さは、画像形成装置用の多層エンドレスベルトの周方向の高い引張弾性率を付与する等の面から、30〜100μmが好ましく、特に40〜80μmが好ましい。
なお、弾性率は、1GPa以上であるのが好ましい。
また、ベース層の厚さは、画像形成装置用の多層エンドレスベルトの周方向の高い引張弾性率を付与する等の面から、30〜100μmが好ましく、特に40〜80μmが好ましい。
また、中間層は、厚み方向の柔軟性を付与する役割を果たすため、ウレタン、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンゴム(EP)、シリコンゴム(SR)、ポリアミド、またはこれらの2種以上のエラストマーを用いることが好ましい。
また、電気抵抗については、ベース層でなく中間層により抵抗値を制御して面内ばらつきや電圧依存性を防止する面からは、ベース層よりも抵抗を大きくすることが好ましい。具体的には、ベース層の抵抗値(Ω)の10倍以上、108倍以下であり、トナーの受け渡しの点より108〜1014Ω・cmであることが好ましい。ただし、ベース層の周方向への電気の流れを防止し、転写ローラから感光体へ適切に流れるようにするという面からは、逆にベース層の方が中間層より大きな抵抗を有していることが望ましい。このため、何れを採用するかは、他の設計条件をも考慮しつつ、最適な選択がなされることとなる。
また、厚みは、画像形成装置用の多層エンドレスベルトに適度な厚み方向の弾性(柔軟性)を付与する点から、50〜300μmが好ましく、100〜250μmが特に好ましい。
また、電気抵抗については、ベース層でなく中間層により抵抗値を制御して面内ばらつきや電圧依存性を防止する面からは、ベース層よりも抵抗を大きくすることが好ましい。具体的には、ベース層の抵抗値(Ω)の10倍以上、108倍以下であり、トナーの受け渡しの点より108〜1014Ω・cmであることが好ましい。ただし、ベース層の周方向への電気の流れを防止し、転写ローラから感光体へ適切に流れるようにするという面からは、逆にベース層の方が中間層より大きな抵抗を有していることが望ましい。このため、何れを採用するかは、他の設計条件をも考慮しつつ、最適な選択がなされることとなる。
また、厚みは、画像形成装置用の多層エンドレスベルトに適度な厚み方向の弾性(柔軟性)を付与する点から、50〜300μmが好ましく、100〜250μmが特に好ましい。
前記表層としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキビニルエーテル(PFA)が挙げられる。表層が、これらの樹脂からなると、接触角が高く(大きく)、トナー等の付着物をきれいに剥がすことができる。
請求項2に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記接着性改善処理とは、接着がなされる面側のフッ素含有ポリマーの分子に極性を持たせる処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記接着性改善処理とは、接着がなされる面側のフッ素含有ポリマーの分子に極性を持たせる処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明においては、表層の接着面側のフッ素含有ポリマーの分子の一部が、フッ素に代えて極性を(親水性基)を持たされているため、表層と中間層の確実で信頼性が高い接着が得られる。
なお、極性を持たす方法としては、例えば付加する極性を有する物質をアルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等で希釈し、その希釈ガス雰囲気中で、表層の内面にエネルギーの大きなエキシマ紫外光等の照射やプラズマの照射を行い、これによりフッ素含有ポリマーの分子を励起させ、あるいは一部の原子の放出を行わせ、それらの結果フッ素含有ポリマーと極性を有する物質とを反応させることによりなされる。
なお、極性を持たす方法としては、例えば付加する極性を有する物質をアルゴン、ヘリウム、炭酸ガス等で希釈し、その希釈ガス雰囲気中で、表層の内面にエネルギーの大きなエキシマ紫外光等の照射やプラズマの照射を行い、これによりフッ素含有ポリマーの分子を励起させ、あるいは一部の原子の放出を行わせ、それらの結果フッ素含有ポリマーと極性を有する物質とを反応させることによりなされる。
請求項3に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記エラストマーを有する中間層はウレタンであり、
前記極性を持たせる処理とは、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基のいずれかを付加する処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記エラストマーを有する中間層はウレタンであり、
前記極性を持たせる処理とは、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基のいずれかを付加する処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
中間層は、厚み方向に適度な柔軟性が必要であり、このためウレタン(ポリウレタン)が使用される。表層の接着面側のフッ素含有ポリマーの分子の一部に、フッ素や水素に代えて極性基(親水性基)、特にウレタンと馴染みがよい水酸基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基のいずれかを付加して極性を持たせる。このため、中間層と表層との接着性が優れた画像形成装置用の多層エンドレスベルトとなる。
請求項4に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記接着性改善処理とは、表層の接着側面に凹凸をつける処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記接着性改善処理とは、表層の接着側面に凹凸をつける処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明においては、表層の接着側面のフッ素樹脂ポリマーの接着側面に凹凸が形成されているため、接着面積の増大と絡み付が生じるため、中間層との接着性が改善される。
なお、フッ素樹脂ポリマーの接着側面に凹凸をつける方法としては、フッ素樹脂ポリマーの接着面を、プラズマ、ブラストまたはラジカル(原子状の塩素や液体金属ナトリウム等の強反応性物質、アルキル化リチウム等の脱フッ素化物)に晒して機械的に荒らし、小さな凹凸を緻密かつ多数つけることによりなされる。
また、凹凸をつけた後、極性を持たせる処理を施してもよい。これにより、接着性が一層改善される。
なお、フッ素樹脂ポリマーの接着側面に凹凸をつける方法としては、フッ素樹脂ポリマーの接着面を、プラズマ、ブラストまたはラジカル(原子状の塩素や液体金属ナトリウム等の強反応性物質、アルキル化リチウム等の脱フッ素化物)に晒して機械的に荒らし、小さな凹凸を緻密かつ多数つけることによりなされる。
また、凹凸をつけた後、極性を持たせる処理を施してもよい。これにより、接着性が一層改善される。
請求項5に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記接着性改善処理とは、プラズマ処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記接着性改善処理とは、プラズマ処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明においては、表層の接着面側のフッ素含有ポリマーにプラズマ処理がなされるため、表層と中間層の確実で信頼性が高い接着が得られる。
ここに、「プラズマ処理」とは、接着性を改善するためにプラズマを照射する処理を含む限り、極性を有するガス雰囲気中でプラズマを照射し反応を生じさせることに限定されず、表面をプラズマの照射で機械的に荒らして凹凸を形成すること等をも含む。
ここに、「プラズマ処理」とは、接着性を改善するためにプラズマを照射する処理を含む限り、極性を有するガス雰囲気中でプラズマを照射し反応を生じさせることに限定されず、表面をプラズマの照射で機械的に荒らして凹凸を形成すること等をも含む。
請求項6に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記接着性改善処理とは、ラジカル処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記接着性改善処理とは、ラジカル処理であることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明においては、表層の接着面側のフッ素含有ポリマーにラジカル処理がなされるため、表層と中間層の確実で信頼性が高い接着が得られる。
ここに、「ラジカル処理」とは、接着性を改善するためにラジカルに晒す処理を含む限り、表面をラジカルに晒して機械的に荒らすことにより凹凸を形成することに限定されず、ラジカル等を表層の接着面側のフッ素含有ポリマーに化学結合させること等をも含む。
ここに、「ラジカル処理」とは、接着性を改善するためにラジカルに晒す処理を含む限り、表面をラジカルに晒して機械的に荒らすことにより凹凸を形成することに限定されず、ラジカル等を表層の接着面側のフッ素含有ポリマーに化学結合させること等をも含む。
請求項7に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記表層は、厚さが1μmから15μmであることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記表層は、厚さが1μmから15μmであることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
表層がこの範囲であれば、充分な耐摩耗性と柔軟性を両立させられるだけでなく、中間層との接着がなされる側の面への接着性改善処理の影響が紙と接触する側の面に及ばない。
なお、表層の厚さは、あまり薄いと接着性改善処理を慎重に行う必要があり、トナーの付着防止を図るという表層の意義達成のためにはあまり厚くする必要もないため、3μm〜8μmが好ましく、4μm〜6μmがより好ましい。
なお、表層の厚さは、あまり薄いと接着性改善処理を慎重に行う必要があり、トナーの付着防止を図るという表層の意義達成のためにはあまり厚くする必要もないため、3μm〜8μmが好ましく、4μm〜6μmがより好ましい。
請求項8に記載の発明は、前記の画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記表層の接着性改善処理がなされた面と、前記中間層とは、熱融着で接着されていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
前記表層の接着性改善処理がなされた面と、前記中間層とは、熱融着で接着されていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明においては、前記複合体のエラストマーを有する中間層と前記表層とは、熱融着により接着されている。このため、接着剤が不必要かつ製造が簡単となるだけでなく、接着剤による画像形成装置用の多層エンドレスベルトの性質への悪影響もない。
なお、熱融着の手段としては、例えばナイロン(熱膨張係数8.0×10―7/℃)製かつ円筒状の中子の外周に、ベース層の外周に中間層を形成した半製品の複合体を嵌め込み、さらに表層を内周に固定したSUS(熱膨張係数1.76×10−5/℃)製の外筒の内部に挿入し、この状態で全体を樹脂類が変質しない範囲で加熱する方法がある。
この際、外筒の内側を鏡面仕上げしておき、その内側にフッ素含有ポリマーからなる表層を形成し、固定しておれば、表層は鏡面仕上げとなり、さらに複合体を熱融着した後の外筒の内側からの取り外しも容易になる。
また、熱融着時には、中子と外筒は真空雰囲気中に置かれていることが望ましい。
この際、外筒の内側を鏡面仕上げしておき、その内側にフッ素含有ポリマーからなる表層を形成し、固定しておれば、表層は鏡面仕上げとなり、さらに複合体を熱融着した後の外筒の内側からの取り外しも容易になる。
また、熱融着時には、中子と外筒は真空雰囲気中に置かれていることが望ましい。
また、シリコンゴム製かつ円筒状の中子の外周に、ベース層の外周に中間層を形成した半製品の複合体を嵌め込み、さらに表層を内周に固定したSUS製の外筒の内部に挿入し、この状態で中子の上下両端を押圧して直径を膨らませ、併せて全体を樹脂類が変質しない範囲で加熱する方法がある。
あるいは、両端部が閉じられた中空円筒状のウォーターバックにベース層上に中間層が形成された複合体を嵌め込み、金属製の外筒の内周に固着されている表層内に挿入し、圧力調整用ポンプによりウォーターバック内に充填されている流体の圧力を上げてウォーターバックの径をベース層とエラストマーを有する中間層の複合体ごと増大させ、この状態で真空にし、真空室ごと加熱して中間層と表層の接着を行うことによりなされる。
請求項9に記載の発明は、
ベース層上に、エラストマーを有する中間層と、融点が前記中間層を構成する熱融着性樹脂の熱分解点以下であり、熱分解点が前記表層を構成する材料の融点以上であるフッ素含有ポリマーからなるバインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とがこの順に形成されている画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記バインダー層は、前記中間層と接着がなされる面に接着性改善処理が施されていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
ベース層上に、エラストマーを有する中間層と、融点が前記中間層を構成する熱融着性樹脂の熱分解点以下であり、熱分解点が前記表層を構成する材料の融点以上であるフッ素含有ポリマーからなるバインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とがこの順に形成されている画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記バインダー層は、前記中間層と接着がなされる面に接着性改善処理が施されていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルトである。
本請求項の発明は、請求項1の発明における表層が、表層の片側面に融点が前記中間層を構成する熱融着性樹脂の熱分解点以下であり、熱分解点が前記表層を構成する材料の融点以上であるフッ素含有ポリマーからなるバインダー層を形成し、このバインダー層に接着性改善処理を行うものである。
バインダー層は、融点が前記中間層を構成する熱融着性樹脂の熱分解点以下であり、熱分解点が前記表層を構成する材料の融点以上であるフッ素含有ポリマーからなるため、ウレタン(分解温度約170℃)等からなる中間層を劣化させない温度(約140℃)で中間層とアニール(熱融着、焼付け)を行うことができる。
バインダー層のフッ素含有ポリマーとしては、ビニリデンフロライドの単独重合体(ポリビニリデンフロライド)やビニリデンフロライドを含む2種以上の単量体の共重合体、例えばビニリデンフロライド、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、テトラフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロピレン等が挙げられる。特に、これらのビニリデンフロライドを含む単量体の重合体の中では、接触角が高く、比較的融点が低いためウレタン(分解温度約170℃)等からなる中間層を劣化させない温度(約140℃)でアニール(焼付け)を行うことができる場合が多く、その結果離トナー性を向上させる面からポリビニリデンフロライド(PVDF)が特に好ましい。
また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびビニリデンフロライドの共重合体(THV)を使用すれば、これらの材料はポリビニリデンフロライド(PVDF)以上に接触角が高く、ブリードが少なく、非汚染性も優れており、さらにフッ素含有ポリマーの中では、比較的融点が低く、ウレタン(分解温度約170℃)等の中間層を劣化させない温度(約140℃)で、接着を行うことができる。
本発明においては、ベース層と、エラストマーを有する中間層と、フッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトにおいて、表層の内側、接着側面に接着性改善処理が施されているため、表層と中間層との接着性が良好である。
また同じく、ベース層と、エラストマーを有する中間層と、バインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とを有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトにおいて、融点が前記中間層を構成する熱融着性樹脂の熱分解点以下であり、熱分解点が前記表層を構成する材料の融点以上であるフッ素含有ポリマーからなるバインダー層を形成し、さらにこのバインダー層に接着性改善処理を施しているため、バインダー層と中間層との接着性が改善される。
さらに、接着は、熱融着によりなされるため、確実な接着がなされる。
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
以下、図面を参照しつつ本発明の画像形成装置用の多層エンドレスベルトを説明する。
以下、図面を参照しつつ本発明の画像形成装置用の多層エンドレスベルトを説明する。
(完成状態1)
先ず、本発明の1の実施の形態としての画像形成装置用の多層エンドレスベルトの1例としての転写用エンドレスベルトを、図1を参照しつつ説明する。図1において、9はフッ素含有ポリマーからなる表層であり、11はポリイミド樹脂を基材とするベース層であり、12はエラストマーを有する中間層であり、14はフッ素含有ポリマーからなるバインダー層である。
先ず、本発明の1の実施の形態としての画像形成装置用の多層エンドレスベルトの1例としての転写用エンドレスベルトを、図1を参照しつつ説明する。図1において、9はフッ素含有ポリマーからなる表層であり、11はポリイミド樹脂を基材とするベース層であり、12はエラストマーを有する中間層であり、14はフッ素含有ポリマーからなるバインダー層である。
表層9は、優れた離トナー性を得るため高い接触角と高い平滑性を必要とし、このためPTFEを基材としている。
中間層12は、水性ウレタンを基材とし、厚み方向の適度な柔軟性を得るため、その厚さは50〜300μmが好ましく、特に100〜250μmが好ましい。
ベース層11は、画像形成装置用の多層エンドレスベルトに周方向の高い引張弾性率を付与することとなるため、1〜10GPaの範囲内のポリイミドにより形成されている。また、その厚みは30〜100μmが好ましく、特に40〜80μmが好ましい。
中間層12は、水性ウレタンを基材とし、厚み方向の適度な柔軟性を得るため、その厚さは50〜300μmが好ましく、特に100〜250μmが好ましい。
ベース層11は、画像形成装置用の多層エンドレスベルトに周方向の高い引張弾性率を付与することとなるため、1〜10GPaの範囲内のポリイミドにより形成されている。また、その厚みは30〜100μmが好ましく、特に40〜80μmが好ましい。
バインダー層14は、表層9と中間層12とをより一層良好に接着するため設けたものであり、その厚みは、接着性改善処理をする際に貫通孔が発生しないこと、厚過ぎても意義が少ないことから、1μm程度であることが望ましい。
画像形成装置用の多層エンドレスベルト全体の体積抵抗値は、ベース層および中間層の体積抵抗値の和である。従って、一方を他方よりかなり大きくし、他方の体積抵抗値の画像形成装置用の多層エンドレスベルト全体の体積抵抗値への影響を小さくすることにより、一方の体積抵抗値のみの制御で、画像形成装置用の多層エンドレスベルト全体の体積抵抗値を制御することが可能である。本実施の形態の画像形成装置用の多層エンドレスベルトの1例としての転写用エンドレスベルトでは、ベース層11にカーボンブラック等の導電材を添加して導電性を制御している。
なお、画像形成装置用の多層エンドレスベルト全体の好ましい体積抵抗値は、その使用形態により変動するが、転写用エンドレスベルトでは、通常は体積抵抗値として、108〜1014Ω・cmとされている。
なお、画像形成装置用の多層エンドレスベルト全体の好ましい体積抵抗値は、その使用形態により変動するが、転写用エンドレスベルトでは、通常は体積抵抗値として、108〜1014Ω・cmとされている。
(完成状態2)
本完成状態は、バインダー層を設けていないことが、図1に示す画像形成装置用の多層エンドレスベルトと相違する。即ち、表層9の接着側となる面に接着性改善処理を施して中間層との良好な接着を図っているので、コスト削減の面からバインダー層を省略したものである。
本完成状態は、バインダー層を設けていないことが、図1に示す画像形成装置用の多層エンドレスベルトと相違する。即ち、表層9の接着側となる面に接着性改善処理を施して中間層との良好な接着を図っているので、コスト削減の面からバインダー層を省略したものである。
以下、完成状態1に示す画像形成装置用の多層エンドレスベルトの1例としての転写用エンドレスベルトを対象として、その接着性改善処理、その処理後の接着について説明する。
(ベース層と中間層からなる複合体の製造)
図2を参照しつつ、樹脂ベルトの半(中間)製品としてのベース層と中間層からなる複合体について、その製造方法を説明する。図2において、10はドラム状の金型であり、11はベース層であり、12は中間層である。
図2を参照しつつ、樹脂ベルトの半(中間)製品としてのベース層と中間層からなる複合体について、その製造方法を説明する。図2において、10はドラム状の金型であり、11はベース層であり、12は中間層である。
ドラム状金型10を回転させながら、その外側にポリイミドワニスを塗布し、その後金型を加熱してイミド化反応を行い、金型の周囲を覆う厚み60μmのポリイミド層(ベース層)11を形成した。次に、水性ウレタンに増粘剤を加え10Pa・s程度の粘度とし、さらに脱泡を行った後、該ポリイミド層の上にディップにより塗布した。塗布後、常温にて水分を乾燥させ、さらに160℃でアニールを行い、厚み200μmのウレタン層(中間層)12を、ポリイミド層(ベース層)11上に形成した。
(表層とその片側面上へのバインダー層の形成)
図3を参照しつつ、表層とその片側面(中間層側面)上へバインダー層を形成してなる半製品の製造について説明する。図3において、8は外筒であり、9は表層であり、14はバインダー層である。
外筒8は、ステンレス製(熱膨張係数1.76×10−5/℃)であり、その内面を鏡面加工している。
先ず、外筒8の内面に、PTFE(融点327℃)のディスパージョン溶液を、ディップ法により塗布し、380℃で焼成し、表層9を設けた。
図3を参照しつつ、表層とその片側面(中間層側面)上へバインダー層を形成してなる半製品の製造について説明する。図3において、8は外筒であり、9は表層であり、14はバインダー層である。
外筒8は、ステンレス製(熱膨張係数1.76×10−5/℃)であり、その内面を鏡面加工している。
先ず、外筒8の内面に、PTFE(融点327℃)のディスパージョン溶液を、ディップ法により塗布し、380℃で焼成し、表層9を設けた。
さらに、THV(融点120℃)を酢酸ブチルに溶融し、表層9上にディップ法により製膜して乾燥させ、バインダー層14を設けた。その後、全体をPTFEとTHVの融点を超える350℃で加熱し、表層9とバインダー層14とを密着させた。
(接着性改善処理)
接着性改善処理の1として、1のサンプルでは、前記の表層9の片側(内周側)に密着して形成された状態のバインダー層14の内表面、即ち接着側面に、ヘリウムで希釈したNH3OHガス雰囲気中でエキシマ紫外光を照射して、バインダー層14の表面近くのフッ素含有ポリマーの分子の一部にOH基を持たせた。エキシマ紫外光の照射を採用したのは、被照射物が円筒の内面にあっても容易に作業できるからである。
接着性改善処理の1として、1のサンプルでは、前記の表層9の片側(内周側)に密着して形成された状態のバインダー層14の内表面、即ち接着側面に、ヘリウムで希釈したNH3OHガス雰囲気中でエキシマ紫外光を照射して、バインダー層14の表面近くのフッ素含有ポリマーの分子の一部にOH基を持たせた。エキシマ紫外光の照射を採用したのは、被照射物が円筒の内面にあっても容易に作業できるからである。
接着性改善処理の他の1として、他の1のサンプルでは、前記の表層9と密着された状態のバインダー層14の内表面、即ち接着側面に、アルゴンで希釈したアンモニウムガス雰囲気中で水銀ランプによる紫外光を照射して、バインダー層14の表面近くのフッ素含有ポリマーの分子の一部にアンモニア基を持たせた。水銀ランプを採用したのは、被照射物が円筒の内部にあっても容易に作業できるからである。
接着性改善処理の他の1として、他の1のサンプルでは、前記の表層9に密着された状態のバインダー層14の内表面、即ち接着側面に、ヘリウムで希釈したアンモニウムガス雰囲気中でグロー放電を利用したプラズマ照射を行って、バインダー層14の表面近くのフッ素含有ポリマーの分子の一部にアンモニア基を持たせた。
接着性改善処理の他の1として、他の1のサンプルでは、前記の表層9に密着された状態のバインダー層14の内表面、即ち接着側面でコロナ放電を行い、これによりバインダー層14の表面に凹凸をつけた。
接着性改善処理の他の1として、他の1のサンプルでは、この状態のバインダー層14の内表面、即ち接着側面にシリカの細粒を圧縮空気で吹き付けるブラストを行い、これによりバインダー層14の表面を荒らして、小さな凹凸を密に形成した。
(バインダー層と中間層との中子を使用した接着)
次に、ドラム状金型10表面に設けられたベース層11と中間層12が固着されてなる円筒状に形成された複合体を、ドラム状金型10から剥がし、図4に示す通り、ナイロン製(熱膨張係数8.0×10―7/℃)の中子13外周に嵌め込んだ。
次に、ドラム状金型10表面に設けられたベース層11と中間層12が固着されてなる円筒状に形成された複合体を、ドラム状金型10から剥がし、図4に示す通り、ナイロン製(熱膨張係数8.0×10―7/℃)の中子13外周に嵌め込んだ。
次に、図5に示す通り、ベース層11と中間層12からなる複合体が嵌め込まれた中子13を、内周に表層9とさらにバインダー層14とが設けられた外筒8の内部に挿入し、真空中で140℃に加熱した。この加熱により、中子13の熱膨張係数が外筒8に比べてはるかに大きいため、熱膨張した中子13が、外筒8の内面を押圧し、ベース層11と中間層12からなる複合体と、バインダー層14と表層9とが熱融着した4層構造の積層体(複合体としての多層エンドレスベルト)が得られた。
次に、中子13、外筒8を冷却し、これらから4層構造の積層体を分離し、画像形成装置用の多層エンドレスベルトを得た。
得られた画像形成装置用の多層エンドレスベルトは、厚み60μmのベース層(ポリイミド)上に、厚み200μmの中間層(ウレタン)と、厚み1μmのバインダー層(THV)と、厚み5μmの表層(PTFE)を有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトであり、表面抵抗率、離トナー性、非汚染性共に優れた画像形成装置用の多層エンドレスベルトを得ることができた。
また、表層9とバインダー層14の間、バインダー層14と中間層12の間は、強固に接着されており、ブリードも発生していなかった。
また、バインダー層のTHVポリマーの融点は、120℃であるが、表側層の焼成温度は380℃であるため、ディップ法等を利用して、ベース層より順次、中間層、バインダー層、表側層を設ける方法では、中間層の熱分解温度が150℃であるため中間層が熱分解されるため、表側層を焼成することが困難であるが、前記製法によることにより、中間層とベース層、バインダー層とを強固に接着することができた。しかもこの際、バインダー層の接着面側は、接着性改善処理を行っているため、接着は強固であった。
また、バインダー層のTHVポリマーの融点は、120℃であるが、表側層の焼成温度は380℃であるため、ディップ法等を利用して、ベース層より順次、中間層、バインダー層、表側層を設ける方法では、中間層の熱分解温度が150℃であるため中間層が熱分解されるため、表側層を焼成することが困難であるが、前記製法によることにより、中間層とベース層、バインダー層とを強固に接着することができた。しかもこの際、バインダー層の接着面側は、接着性改善処理を行っているため、接着は強固であった。
(弾性体製の中子を使用したバインダー層と中間層の接着)
本方法で接着している様子を、図6に概念的に示す。図6において、15は押圧プレスの先端部であり、16は柔軟なシリコンゴム製(弾性材料製)の中子であり、Pは押圧力である。
本方法では、ドラムから抜き取った前記半製品のベルトを、シリコンゴム製の中子16の外周に嵌めこみ、さらに嵌め込んだ中子16ごと前記外筒8内面に焼成されて形成されている表層9の内面側に挿入し、真空引きをした後、加熱下でシリコンゴム製の中子16の両端を押圧プレスの先端15で押圧することにより接着するものである。
本方法においても、先の方法と同様に優れた性質の画像形成装置用の多層エンドレスベルトが得られた。
本方法で接着している様子を、図6に概念的に示す。図6において、15は押圧プレスの先端部であり、16は柔軟なシリコンゴム製(弾性材料製)の中子であり、Pは押圧力である。
本方法では、ドラムから抜き取った前記半製品のベルトを、シリコンゴム製の中子16の外周に嵌めこみ、さらに嵌め込んだ中子16ごと前記外筒8内面に焼成されて形成されている表層9の内面側に挿入し、真空引きをした後、加熱下でシリコンゴム製の中子16の両端を押圧プレスの先端15で押圧することにより接着するものである。
本方法においても、先の方法と同様に優れた性質の画像形成装置用の多層エンドレスベルトが得られた。
(表層と中間層のウォーターバックを使用した接着)
先ず、装置について説明する。
表層と中間層の接着を、図7と図8を参照しつつ説明する。図7は、ウォーターバックの作動の様子を示す図である。図7において、50はウォーターバック全体を指し、実線で示す51はその胴部であり、破線で示す52は径が増大した状態の胴部であり、55は胴部の上下両端のエンドプレート(鏡板)であり、59はポンプである。60は真空室であり、61はその蓋であり、62は真空ポンプである。
先ず、装置について説明する。
表層と中間層の接着を、図7と図8を参照しつつ説明する。図7は、ウォーターバックの作動の様子を示す図である。図7において、50はウォーターバック全体を指し、実線で示す51はその胴部であり、破線で示す52は径が増大した状態の胴部であり、55は胴部の上下両端のエンドプレート(鏡板)であり、59はポンプである。60は真空室であり、61はその蓋であり、62は真空ポンプである。
ウォーターバック50は全体が一種の液体容器となっており、さらにその胴部51はシリコンゴム製である。このため、図7に示す様にポンプ59により内部の流体の圧力を増加させることにより、その胴部51を膨らますことができる。なお、胴部51の厚さは、自立性を持たせるため10mmとしているが、これは膨張性に何等悪影響を及ぼさない。
また、接着面の中央から側部(上下)方向に良好にガスが抜ける様に、胴部51の中央部のゴムの厚さは少し薄めにしている。
また、真空室60は一種の容器であり、外周に半製品の樹脂ベルトを巻いたウォーターバック50を外部にあるポンプ59と連結した状態でその内部に出し入れ可能となっている。このため、その上部には開閉自在の蓋61が設けられおり、また内部は真空ポンプ62に接続されている。
なお、実際にはこれら各部は、例えばウォーターバック50の胴部51とエンドプレート55との接続には複雑なシール機構を有している等、構造は多少複雑であるが、本発明の趣旨には関係が薄いので、それらは図示していない。
次に、接着を行っている時の様子を、図8を参照しつつ説明する。なお、図8において、70は、加熱用の電気ヒータである。図8は、ベース層11と中間層12からなる複合体が嵌め込まれたウォーターバック50を、表層9とバインダー層14とが内部側に固着して形成され、そしてさらにバインダー層14の接着性改善処理を施された面が最内周側に位置している状態の外筒8内に挿入し、さらにこの状態でウォーターバック50と外筒8を真空室60内部に設置し、ウォーターバック50の内部の流体の圧力を上昇させた状態を示す。
このため、内圧で膨らんだウォーターバック50の胴部52と外筒8の内面により、ウォーターバックの外周にある複合体と、外筒の内周にある表層とバインダー層からなる樹脂層とは、バインダー層14の接着性改善処理を施された面をはさんで、相互に押圧しあっている。
なおこの際、外筒8はステンレス製であり全く変形しない。一方、ウォーターバック50の胴部51、52はシリコンゴム製の膜であるため、ウォーターバック50内の流体圧を100気圧に上げると、両端のエンドプレート55の有る無しに無関係に、全体が均一に樹脂層を外筒8の内側面に押圧することとなる。
この際、真空室60内部の空気も真空ポンプ62により排出されており、このため真空室60内部は真空になっている。
この状態で、真空室60内部を120℃に保持して4層からなるエンドレス樹脂を加熱した。この加熱時にウォーターバック50の膨らんだ胴部52が、外筒8を内面側から均一に押圧し、中間層12とバインダー層14とがしっかりと接着し、これにより4層構造の樹脂ベルトが得られた。
この状態で、真空室60内部を120℃に保持して4層からなるエンドレス樹脂を加熱した。この加熱時にウォーターバック50の膨らんだ胴部52が、外筒8を内面側から均一に押圧し、中間層12とバインダー層14とがしっかりと接着し、これにより4層構造の樹脂ベルトが得られた。
次に、真空室60内を大気圧に戻し、併せて室温に低下させ、その後ウォーターバック50内の流体圧を低下させて内側面に4層の樹脂層が付着した外筒8を真空室60外に取り出した。そしてさらに、外筒8から4層構造の樹脂ベルトを取外し、画像形成装置用の多層エンドレスベルトを得た。
得られた画像形成装置用の多層エンドレスベルトは、厚み60μmのベース層(ポリイミド)上に、厚み200μmの中間層(ウレタン)と、厚み1μmのバインダー層(THV)と、厚み5μmの表層(PTFE)を有する画像形成装置用の多層エンドレスベルトであり、表面抵抗率、離トナー性、非汚染性共に優れた画像形成装置用の多層エンドレスベルトを得ることができた。
さらに、中間層とバインダー層との接着性も、接着性改善処理を行っているため、極めて良好であった。
さらに、中間層とバインダー層との接着性も、接着性改善処理を行っているため、極めて良好であった。
1 トナー
2 現像ローラ
3 感光ドラム
4 一次転写ローラ
5 画像形成装置用転写ベルト
6 二次転写ローラ
7 転写材
8 外筒
9 表層
10 ドラム状金型
11 ベース層
12 中間層
13 中子
14 バインダー層
15 押圧プレスの先端
16 弾性材料製の中子
50 ウォーターバック
51 ウォーターバックの胴部
52 径が増大した状態の胴部
55 エンドプレート
59 ポンプ
60 真空室
61 蓋
62 真空ポンプ
70 電気ヒータ
2 現像ローラ
3 感光ドラム
4 一次転写ローラ
5 画像形成装置用転写ベルト
6 二次転写ローラ
7 転写材
8 外筒
9 表層
10 ドラム状金型
11 ベース層
12 中間層
13 中子
14 バインダー層
15 押圧プレスの先端
16 弾性材料製の中子
50 ウォーターバック
51 ウォーターバックの胴部
52 径が増大した状態の胴部
55 エンドプレート
59 ポンプ
60 真空室
61 蓋
62 真空ポンプ
70 電気ヒータ
Claims (9)
- ベース層上に、エラストマーを有する中間層と、フッ素含有ポリマーにより形成される表層とがこの順に形成された画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記表層は、前記中間層と接着がなされる面に接着性改善処理がなされていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルト。 - 前記接着性改善処理とは、接着がなされる面側のフッ素含有ポリマーの分子に極性を持たせる処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
- 前記エラストマーを有する中間層はウレタンであり、
前記極性を持たせる処理とは、水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基のいずれかを付加する処理であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。 - 前記接着性改善処理とは、表層の接着側面に凹凸をつける処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
- 前記接着性改善処理とは、プラズマ処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
- 前記接着性改善処理とは、ラジカル処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
- 前記表層は、厚さが1μmから15μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
- 前記表層の接着性改善処理がなされた面と、前記中間層とは、熱融着で接着されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
- ベース層上に、エラストマーを有する中間層と、融点が前記中間層を構成する熱融着性樹脂の熱分解点以下であり、熱分解点が前記表層を構成する材料の融点以上であるフッ素含有ポリマーからなるバインダー層とフッ素含有ポリマーにより形成される表層とがこの順に形成されている画像形成装置用の多層エンドレスベルトであって、
前記バインダー層は、前記中間層と接着がなされる面に接着性改善処理が施されていることを特徴とする画像形成装置用の多層エンドレスベルト。
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Cited By (3)
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WO2009145174A1 (ja) * | 2008-05-26 | 2009-12-03 | コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 | 中間転写体 |
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-
2006
- 2006-04-21 JP JP2006118410A patent/JP2007292888A/ja active Pending
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