JP3927785B2 - ローラ、これを用いた加熱定着装置及び電子写真用ローラの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置の加熱定着装置とこれに用いられるローラ及び電子写真用ローラの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の加熱定着方式の一例として、熱ローラ定着装置101を図15に示す。定着装置101は、内部に加熱源としてハロゲンランプ103を内包し矢印X方向に不図示の駆動手段により駆動される加熱ローラ104に、加圧ローラ102が不図示のバネ等により圧接され、加圧ローラ102は矢印Y方向に加熱ローラ104に従動又は駆動回転される。加熱ローラ104の温度制御は、加熱ローラ104外周面に設けられた温度検知素子(サーミスタ)105の情報に基づいて加熱源であるハロゲンランプ103を不図示の制御手段によりON/OFFして加熱ローラ104を所定温度に制御する。未定着現像剤(以下、 トナーとする)Tを担持した転写材Pは、定着ニップ部Nに挿入され、加熱・加圧されてトナーTは転写材P上に永久定着される。
【0003】
又、他の加熱定着方式の一例として、フィルム定着装置201を図16に示す。定着装置201において、204はエンドレスの耐熱性フィルムであり、加熱源である加熱体(ヒーター)203を含むフィルム204のガイド部材である加熱体支持体206に外嵌させてある。このフィルム204は加熱体支持体206に対して周長が余裕を持ってルーズに外嵌している。
【0004】
加熱体203は、アルミナ等のセラミック基板上に、発熱抵抗体として、電気抵抗材料をスクリーン印刷等により塗工・焼成し、その上に保護層としてガラスコートしてある。102は加熱体203との間でフィルム204を挟んで定着ニップ部Nを形成し、フィルム204を駆動する回転体としての加圧ローラであり、端部より不図示の駆動手段により駆動する。
【0005】
加熱体203の温度制御は、記録材Pの通紙域に設けられた温度検知素子(サーミスタ)205の情報に基づいて加熱体203の発熱抵抗体8への通電電力を不図示の制御手段により制御することで行っている。未定着トナーTを担持した転写材Pは、定着ニップ部Nに挿入され、加熱・加圧されてトナーTは転写材P上に永久定着される。
【0006】
熱ローラ定着装置は、加熱ローラの熱容量が大きいため、電源を投入してから加熱ローラが所定の温度に立ち上がるまでに可成りの待ち時間(ウェイトタイム)を要する。温度立ち上げ後も、画像形成装置からいつでもすぐに画像出力ができるように、装置待機中も加熱ローラの加熱源(ハロゲンランプ等)に通電して、加熱ローラ温度を常時高温に維持する制御が必要なため、消費エネルギーが大きい等の問題があった。それに対し、フィルム定着装置は、熱ローラ定着装置とは異なり、加熱源として昇温の速い低熱容量の加熱体や薄膜のフィルムを用いるため、短時間に加熱体の温度が上昇するため、ウェイトタイムの短縮化(クイックスタート、オンデマンド)や画像形成装置の待機中に加熱源である加熱体に通電して加熱を行う必要がないことから省電力化が可能となる等の利点を有する。
【0007】
上述のように、画像形成装置に従来から用いられている加熱定着装置は、転写材上の未定着トナーに加圧しながら熱を付与することによって定着を行うが、この際、半溶融又は溶融トナーのオフセット現象を防止しながら、且つ、転写材を排紙部へと安定して搬送する必要があるため、加熱部材及び加圧部材は、高温・高圧という厳しい条件下での搬送性・離型性・耐摩耗性・定着性及び耐久性において高い性能が要求される。
【0008】
一般に、トナーを加熱し、紙に定着させる加熱定着装置の加熱ローラ又は加圧ローラとして、芯金上にシリコーンゴム等の弾性層を設け、更にその表層にフッ素樹脂層を設けたものが知られている。
【0009】
このフッ素樹脂は、トナーに対する離型性がシリコーンゴム等に比べて高く、加熱ローラ又は加圧ローラのトナー汚れに対して非常に効果的なものである。
【0010】
しかしながら、その高い離型性故にフッ素樹脂が弾性層のゴムから剥がれ易く、如何に両者の接着強度を上げるかが悩みの種であった。
【0011】
この問題に対し、従来、以下の方法が提案され、例えば以下の方法によって作成される。
【0012】
1)弾性層のゴム表面を化学的又は物理的に荒らし、その上にフッ素樹脂を塗布して焼成溶融させ、フッ素樹脂と弾性層とのアンカー効果で強固に接着させる。
【0013】
2)中間層としてフッ素樹脂粒子を分散させた未加硫ゴム(ラテックス)を弾性層のゴム上に塗布、加硫焼成し、その上に表層のフッ素樹脂を塗布して焼成溶融させる。中間層としてのフッ素樹脂分散ゴム層は、弾性層のゴムとは加硫によりゴム同士が接着し、表層のフッ素樹脂とは内部に分散されたフッ素樹脂と表層が溶け合うことで強固な接着力が得られる。表層は中間層を焼成後に塗布、再焼成しても良く、中間層を焼成しないまま塗布、焼成しても良い。<中間層:フッ素樹脂を含有させたゴム(ラテックス)>
3)特開平10−272745号公報に示されるようなフッ素樹脂の側鎖に官能基等を付与し、化学的な反応性を強めた変成フッ素樹脂を弾性層のゴム上に塗布、焼成する。その上に通常の化学反応性の低いフッ素樹脂を塗布、焼成溶融させる。中間層である変成フッ素樹脂と、下地のゴムは化学的に結合することで接着され、表層の通常のフッ素樹脂は、変成フッ素樹脂と相溶性が非常に良いために溶融時に界面を消失し、強固に接着する。表層は、中間層を焼成後に塗布、再焼成しても良く、中間層を焼成しないまま塗布、焼成しても良い。<中間層:変成フッ素樹脂>
4)押し出し成形等で作製したフッ素樹脂チューブの内面をナトリウムエッチング(液体アンモニアに金属ナトリウムを溶かした溶液で処理)等で表面処理し、その表面を化学的に活性化して弾性層のゴム上に未加硫ゴムを塗布後、前記フッ素樹脂チューブを被せて加熱処理を行い、フッ素樹脂チューブと弾性層のゴムを接着させる。
【0014】
前記1)のアンカー効果を用いたローラは、粗面化処理に手間が掛かり、又、接着強度は初期には得られても、繰り返し温度変化を与えたり、高温で使用したりしたときにアンカー効果の減衰を起こす。
【0015】
前記4)の押し出し成形チューブを用いたローラは、処理液が環境汚染を引き起こす可能性があるとともに、その取り扱いが危険を伴うこと、チューブ成形時に表面に傷、へこみ等ができ、これにより離型性が低下するという問題がある。
【0016】
前記2),3)の塗装ローラは低コストで、表面が平滑で欠陥が少なく、高い離型性を得られる。
【0017】
ここで、上記2)で挙げた構成例について詳細に説明する。
【0018】
前記加圧部材としての加圧ローラ102と、加熱部材としての加熱ローラ104は、図13及び図14に示すように、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等の芯金11上、又は加熱源を内包できような中空芯金21上に耐熱ゴム弾性層12aと、表層12cの離型層と前記弾性層12aと表層との間に接着強度を増すための中間層12bを設ける3層構成となっている。
【0019】
弾性層のゴム上に中間層を塗布し、この中間層であるフッ素樹脂を分散させたラテックスを焼成することにより、通常はフッ素樹脂が表面にブリードしてきて下面側にゴム層、上面に樹脂層が形成される。この状態から更に離型層である表層のフッ素樹脂層を塗布した後に再焼成することによって、弾性層のゴムと表層のフッ素樹脂の密着強度が増し、更に表層であるフッ素樹脂層の表面均一性も向上する。
【0020】
前記耐熱ゴム弾性層12aに使用されるゴム材料としては耐熱性の高いエチレン・プロピレンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等と、それらの発泡体(スポンジ)形状のゴムが一般的である。本例ではソリッドゴムを用いた。又、表層12cとしてはフッ素樹脂を用いるのが一般的であり、これはフッ素樹脂が耐熱性及びトナーとの離型性の良い材料であるからである。
【0021】
こうしたフッ素樹脂としては、加熱定着装置として必要な連続使用可能温度が200℃程度であることから、FEP樹脂(4−フッ化エチレン−6フッ化プロピレン樹脂)、PFA樹脂(4フッ化エチレン樹脂、4フッ化エチレン−パーフロロアルコキシエチレン共重合体)が一般的である。
【0022】
その他には、耐熱ゴム弾性層の周面に設けられるフッ素樹脂を分散させたラテックスを接着剤としての中間層ではなく、離型層として使用する構成が挙げられる。これは前述の通り、フッ素樹脂を分散させたラテックスを焼成すると、表面にフッ素樹脂がブリードしてくるため、離型層としてのフッ素樹脂層は、前記3層構成に比べて薄くなるために耐久性には劣るが、コストダウンが図れるといったメリットがある。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フッ素樹脂の溶融温度は、弾性層のゴム、例えばシリコーンゴムの耐熱温度より高く、上記1)〜3)の塗装ローラでは、フッ素樹脂焼成によるシリコーンゴムの劣化を防止するためにゴム材料選択の幅が狭まる。場合によってはコストが上がってしまう。又、表層である離型層の焼成時に前記耐熱ゴム弾性層より発生する熱分解ガスにより表層に穴があいたり、汚染により離型性が低下したりする。
【0024】
更に、中間層や表層のフッ素樹脂塗料は非常に微妙なものであり、ちょっとした塗布、乾燥、焼成条件等の変化により表面が荒れたり(凹凸)、ヒビ(クラック)が入ったりすることがある。特に、中間層や表層の厚みを薄くする場合には、中間層や表層の焼成時に弾性層のゴムが膨張するためにヒビが入り易くなる。これをより安定させるために成膜剤を塗料中に入れることもできるが、この場合、焼成後の表面の荒れやヒビはなくなるが、フッ素樹脂以外の物質の存在により離塑性が低下するという問題がある。
【0025】
ローラの表層に穴やヒビ、荒れ(凹凸)があると、そのローラを用いた加熱定着装置において通紙耐久が進むと、前記穴やビビ、凹部にトナーが入り込み、それを核としてローラがトナーで汚れてしまい、加熱ローラの場合には、転写材上のトナー画像を剥ぎ取ってしまい、更に剥ぎ取ったトナーを転写材に再定着させてしまうといったオフセット現象により、転写材をトナーで汚してしまう。
【0026】
又、加圧ローラの場合にはオフセット現象は発生しにくいが、耐久により加圧ローラに付着・堆積したトナーが或る機会に加圧ローラから剥ぎ取られ、転写材にトナー塊が付着し、 転写材をトナーで汚してしまう。更に、ローラのトナー汚れが進行するとローラの離型性が低下し、ローラ上のトナーに転写材が巻き付いて転写材を搬送できないといった様々な問題が発生する。
【0027】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、中間層と表層の接着強度が高く、表層の穴、荒れ、ヒビ、汚染等を防止し、均一で平滑な表層を持ち、耐久性に優れた(耐久でもトナーが付着しない)ローラとこれを用いた加熱定着装置及び電子写真用ローラの製造方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかるローラは、少なくとも芯金と弾性層と中間層と表層から成り、前記中間層及び前記表層が、各々フッ素樹脂を含む塗料の塗工膜であり、且つ、前記中間層に無機フィラーが分散されているローラであって、
前記無機フィラーが、扁平状であり、且つ前記無機フィラーの長径が前記中間層の厚みより大きいことを特徴とする。
また本発明にかかるローラは、少なくとも芯金と弾性層と中間層と表層から成り、前記中間層及び前記表層が、各々フッ素樹脂粒子を含む塗料の塗工膜であり、且つ、前記中間層に無機フィラーが分散されているローラであって、
前記中間層の形成用の塗料中のフッ素樹脂粒子の粒径が前記無機フィラーの長径より小さいことを特徴とする。
また、本発明に係る加熱定着装置は、定着部にて未定着画像を担持した転写材を挟持搬送し、加熱源を内包する一対の回転体を圧接するように配設され、未定着画像を転写材に永久定着させる加熱定着装置において、
前記一対の回転体のうち少なくとも一方の回転体として上記のローラを具備することを特徴とする。
【0029】
更に、本発明は、芯金、弾性層、中間層及び表層をこの順に有している電子写真用ローラの製造方法として、フッ素樹脂粒子及び該フッ素樹脂粒子の粒径よりも大きい長径を有する無機フィラーを含んでいる中間層の形成用の塗料を用いてフッ素樹脂及び無機フィラーを含んでいる中間層を形成する工程と、フッ素樹脂を含んでいる表層の形成用の塗料を該中間層上に塗工してフッ素樹脂を含んでいる表層を形成する工程と、を有していることを特徴とする。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明に係る形態を添付図面に基づいて説明する。
【0031】
<形態1>
図1〜図3に基づいて本発明に係る参考の形態1について説明する。
【0032】
本形態は、少なくとも芯金と弾性層と中間層及び表層から成るローラであって、前記中間層と表層はフッ素樹脂を含む塗料をコートすることによって作製され、前記中間層に無機フィラーを含有させた。
【0033】
従来の中間層に無機フィラーを含有しないローラにおいては、図3に示すように、弾性層12aで発生した熱分解ガス24が中間層12bと表層12cを通り抜け、表層12cに穴が多数発生してしまっていた。
【0034】
本形態においては、図1の加圧ローラ102で示すように、無機フィラーを0.1〜30wt%(塗料中の樹脂分に対する重量比)分散した中間層12bにより、表層12cのフッ素樹脂焼成時においても、図2に示すように、弾性層12aのゴムから発生する熱分解ガス24を中間層12b中の前記無機フィラー23によりブロックするために、中間層12bを通過して表層12cに達する熱分解ガスの量を減少させることが可能であり、表層12cの穴を激減させることができる。又、中間層12bや表層12cのビビ(クラック)に対しても、前記無機フィラーによりヒビの経路がブロックされるためにビビが入りにくく、平滑な表層のフッ素樹脂コートが得られる。
【0035】
無機フィラーとしては、フレーク状、球状、不定形の各種金属(アルミニウム等)、金属酸化物(酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク等)、セラミックス(アルミナ(Al2 O3 )、窒化硼素(BN)等)、ガラス(ガラスビーズ等)、グラファイト、 マイカ(雲母)等の各種フィラーを用いても良い。
【0036】
本形態では、中間層にフッ素樹脂粒子を分散させたゴム(ラテックス)を用い、平均粒径:1μmの球状シリカを5wt%中間層に分散した。
【0037】
本形態では、弾性層にシリコーンゴムを用いた。弾性層のゴム表面は中間層との接着性改善のため、シランカップリング剤或は既知の方法により化学的活性化処理を行うと良い。
【0038】
中間層塗料はスプレー法等の既知の方法で弾性層上に塗布する。塗料は水性分散液、有機溶媒分散液の形態を採る。本形態では、水性分散液を用いた。
【0039】
又、中間層塗料としてフッ素樹脂粒子を分散させたゴム(ラテックス)は、例えばフッ素ゴム(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロペン−テトラフルオロエチレン3元共重合体)のラテックス液にPFA、FEP等の既知のフッ素樹脂分散液を混合した塗料を用いる。本形態では、FEP樹脂分散液を用いた。
【0040】
表層としてはPFA、FEP等の各種フッ素樹脂を用いる。本形態ではFEP樹脂を用いた。表層の塗料はスプレー法等の既知の方法で中間層上に塗布する。塗料は、水性分散液、有機溶媒分散液の形態を採る。本形態では水性分散液を用いた。例えば水性分散液においては、平均粒子径0.01〜1.0μmのフッ素樹脂の微粒子が水中に分散された形態の組成物であるのが好ましい。一般にその中に分散安定化のために界面活性剤が配合されていても良い。又、水性分散液に粘度調整剤、レベリング剤等の添加物を入れることもできる。水性分散液のフッ素樹脂濃度は、通常5〜70%の範囲内で選ばれる。
【0041】
下記は加圧ローラ(芯金、弾性層、中間層、表層)102の構成例である。
【0042】
<芯金>
アルミニウム:φ12mm
<弾性層>
シリコーンゴム(LTV)、ソリッド、JIS硬度18°、ゴム厚み:4mm、ローラ外径:φ20mm
<中間層>
FEP樹脂を含有させたフッ素ゴムラテツクス、平均FEP樹脂粒径は0.1μm、中間層厚みは5μm。
【0043】
<中間層分散フィラー>
球状シリカ(平均粒径:1μm<5wt%)
<表層>
FEPディスパージョン(ND1)、平均FEP樹脂粒径:0.2μm、表層厚みは8μm。
【0044】
図1において、11は金属製のφ12mmの芯金部材であり、円柱状に形成されている。本形態においては、芯金上に弾性層12a、中間層12b、表層である離型層12cの3層から成るゴム及び樹脂層を設ける。
【0045】
先ず、芯金部材11の上には外径φ20mm(肉厚4mm)のシリコーンゴム層12aを形成する。弾性層であるシリコーンゴム層12aは以下の材料及び方法により形成する。
【0046】
先ず、材料は、ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部、乾式微粉末シリカ5重量部、石英粉20重量部、ベンガラ1重量部及び白金系触媒から成る粘度900ポアズの付加反応型液状シリコーンゴム組成物であるA液と、ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン及び活性水素含有ジオルガノポリシロキサンの混合物100重量部、乾式微粉末シリカ5重量部、石英粉20重量部、ベンガラ1重量部から成る粘度600ポアズの付加反応型液状シリコーンゴム組成物であるB液を重量比100対100で混合したものを用いる。
【0047】
その後、芯金部材11を設置して130℃に予備加熱しておいた円筒状金型内に、前記未加硫のシリコーンゴム組成物を射出成形し、前記温度にて10分間保持して硬化させる。
【0048】
次に、弾性層であるシリコーンゴム層12aの外周面に中間層としてシリカを5wt%分散してFEP樹脂を含有させたフッ素ゴムラテックスをスプレーガンにて均一に塗布し、前記ラテックス層22bの厚さを5μmにて形成する。
【0049】
ここで、中間層塗料に無機フィラーを分散すると、中間層塗料液内でフィラーの沈降が発生する場合があるが、中間層塗料液の粘度を上げて無機フィラーの粒子(材質、粒径)に応じて粘度を適正化し、或は中間層塗料液を撹拌しながらローラに塗布することにより、フィラーの沈降を抑えてフィラーが均一に分散した中間層を塗布することができる。
【0050】
その後、200℃に加熱された炉で30分間焼成することによって、前記ラテックス層22bの上層側にFEP樹脂がブリードし、1〜3μmのFEP樹脂層を形成する。そのとき、ラテックス層22bの下層側にはフッ素ゴム層が形成されており、シリコーンゴム12aと強固に接着される。
【0051】
中間層22bが形成された後に、FEP樹脂ディスパージョンを同じくスプレーガンにて8μmの厚さに均一に塗布する。その後、320℃に加熱された炉で60分焼成することによってFEP樹脂層が形成され、離型層12cとなる。そのとき、中間層のラテックス層22bの上層側にブリードしたFEP樹脂と、表層のFEP樹脂とが溶融して強固に接着される。
【0052】
<結果>
上記で作製した中間層無機フィラー有り加圧ローラと、比較例として上記と同様に作製した中間層無機フィラー無し加圧ローラを比較した。
【0053】
中開展無機フィラー無しのものは、所々にヒビが入っており、且つ、表層に穴が多数あり、凹凸が残っているが、中間層無機フィラー有りのものは表層に穴が非常に少なく、且つ、中間層5μm、表層8μmと薄層化してもビビは全く無い平滑な表面性である。
【0054】
実際に、画像形成装置の加熱定着装置201において、上記2種の加圧ローラを10万枚通紙耐久したところ、無機フィラー無し加圧ローラは、ローラ上にトナーが堆積し、転写材にトナーが付着して排出されたり、加圧ローラに転写材の巻き付きが発生した。
【0055】
一方、中間層無機フィラー有り加圧ローラは、10万枚通紙耐久においても、ローラ上には殆どトナー付着が無く、転写材へのトナー付着もなく、加圧ローラヘの転写材の巻き付きも発生せず、常に良好な定着画像を出力することができた。
【0056】
又、前記の加圧・加熱された通紙耐久においても、弾性展と表層の接着強度の低下はなく、十分の接着強度を保持していた。
【0057】
本形態では、フッ素樹脂としてFEP樹脂を用いたが、この他にもフッ素樹脂としてPFA樹脂、PTFE樹脂、ETFE樹脂等があり、これらフッ素樹脂を単品又は混合して使用して用いても、それぞれの樹脂に適した焼成温度で加熱することによって本形態と同様の効果が得られる。
【0058】
又、本形態では、中間層塗布後、200℃に加熱された炉で30分間焼成したが、中間層塗布後に焼成をしないで表層を塗布し、焼成することによっても前記ラテックス層22bの上層側にFEP樹脂がブリードし、1〜3μmのFEP樹脂層を形成し、そのとき、ラテックス層12bの下層側にはフッ素ゴム層が形成されており、シリコーンゴム12aと強固に接着される。この場合には、焼成工程が省けるためにタクトが短くなり、コストダウンとなる。
【0059】
更に、本形態では、加圧ローラに関して述べたが、加熱ローラ104の構成に関して適用しても効果は同様である。
【0060】
<形態2>
図1〜図3に基づいて本発明に係る参考の形態2について説明する。
【0061】
前記形態1では、中間層としてフッ素樹脂を含有させたフッ素ゴムラテックスを用いた場合に関して述べたが、本形態では、中間層として官能基含有含フッ素エチレン性重合体のような化学的活性を持つ既知の変成フッ素樹脂を用いたローラに関して説明する。
中間層として変成フッ素樹脂を用いた場合においても、形態1と同様の効果が得られる。
【0062】
本形態は、少なくとも芯金と弾性層と中間層及び表層から成るローラであって、表層の離型層をフッ素樹脂、中間層を変成フッ素樹脂にて構成し、前記中間層に無機フィラーを含有させた。
【0063】
本形態においても、形態1と同様に、図1の加圧ローラ102で示すように、無機フィラーを0.1〜30wt%分散した中間層22bにより、表層12cのフッ素樹脂焼成時においても、図2に示すように、弾性層12aのゴムから発生する熱分解ガス24を中間層中の前記フィラー23によりブロックするために、中間層を通過して表層に達する熱分解ガス量を減少させることが可能であり、表層の穴を激減させることができる。又、ビビ(クラック)に対しても、前記無機フィラーによりビビの経路がブロックされるためにビビが入りにくく、平滑な表層のフッ素樹脂コートが得られる。
【0064】
無機フィラーとしては、フレーク状、球状、不定形の各種金属(アルミニウム等)、金属酸化物(酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク等)、セラミックス(アルミナ(Al2 O3 )、窒化硼(BN)等)、ガラス(ガラスビーズ等)、グラファイト、マイカ(雲母)等の各種フィラーを用いても良い。
【0065】
本形態では、中間層に変成フッ素樹脂を用い、平均粒径:1μmの球状シリカを5wt%中間層に分散した。
【0066】
本形態では、中間層以外の芯金、弾性層、表層は形態1と同様のものを用いた。
【0067】
中間層としての官能基含有含フッ素エチレン性重合体のような化学的活性を持つ既知の変成フッ素樹脂塗料は、例えば水溶性分散液においては、平均粒子径0.01〜1.0μmの前記重合体の微粒子が水中に分散された形態の組成物であるのが好ましい。一般にその中に分散安定化のために界面活性剤が配合されていても良い。又、水性分散液に粘度調整剤、レベリング剤等の添加物を入れることもできる。水性分散液の重合体濃度は通常5〜70%の範囲内で選ばれる。
【0068】
次に、官能基含有フッ素エチレン性共重合体について説明する。
【0069】
官能基含有フッ素エチレン性共重合体の官能基は、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボン酸塩、カルボキシエステル基及びエポキシ基から選ばれる少なくとも1種であるが、耐熱性の面でヒドロキシル基を有するものが最も望ましい。
【0070】
この官能基含有含フッ素エチレン性重合体を構成する成分の1つである前記官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)としては(a−1)式(1):
CX2 =CX1 −Rf −Y (1)
(式中、Yは−CH2 OH、−COOH、カルボン酸塩、カルボキシエステル基又はエボキシ基、X及びX1 は同じか又は異なり、水素原子又ははフッ素原子、Rf は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基、炭素数1〜40の含フッ素オキシアルキレン基、炭素数1〜40のエーテル基を含む含フッ素アルキレン基又は炭素数1〜40のエーテル結合を含む含フッ素オキシアルキレン基を表す)で示される官能基含有含フッ素エチレン性単量体であるのが好ましい。
【0071】
又、官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の具体例としては、式(3):
CF2 =CF−Rf 3−Y (3)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 3は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基又はORf 4(Rf 4は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数1〜40のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]、式(4):
CF2 =CFCF2 −ORf 5−Y (4)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 5は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基を表わす]、式(5):
CH2 =CFCF2 −Rf 6−Y (5)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 6は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基又はORf 7(Rf 7は炭素数1〜39の2価の含フッ素アルキレン基又は炭素数1〜39のエーテル結合を含む2価の含フッ素アルキレン基)を表わす]又は式(6):
CH2 =CH−Rf 8−Y (6)
[式中、Yは式(1)のYと同じ、Rf 8は炭素数1〜40の2価の含フッ素アルキレン基]で示されるもの等が挙げられる。
【0072】
式(3)〜式(6)の官能基含有含フッ素エチレン性単量体が、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)との共重合性が比較的良好な点で、又、共重合して得られた重合体の耐熱性を著しく低下させない理由で好ましい。
【0073】
これらの中でも、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)との共重合性や、得られた重合体の耐熱性の面より式(3)、式(5)の化合物が好ましく、特に式(5)の化合物が好ましい。
【0074】
式(3)で示される官能基含有含フッ素エチレン性単量体として、更に詳しくは、
【0075】
【化1】
等が例示される。
【0076】
式(4)で示される官能基含有含フッ素単量体としては、
【0077】
【化2】
等が例示される。
【0078】
式(5)で示される官能基含有含フッ素単量体としては、
【0079】
【化3】
等が例示される。
【0080】
式(6)で示される官能基含有含フッ素単量体としては、
【0081】
【化4】
等が例示される。
【0082】
その他、
【0083】
【化5】
等も挙げられる。
【0084】
官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と共重合する官能基を含有しない含フッ素エチレン性単量体(b)は公知の単量体より適宜選択することができ、優れた防汚性に加えて耐候性、非粘着性、耐熱性、耐薬品性、低摩擦性を重合体に与える。
【0085】
具体的な含フッ素エチレン性単量体(b)としては、テトラフルオロエチレン、式(2):CF2 =CF−Rf 1[Rf 1はCF3 又はORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基)を表わす]、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、フッ化ビニル、ヘキサフルオロイソブテン、
【0086】
【化6】
CH2 =CF−(CF2 )n −X2 、CH2 =CF−(CF2 )n −X2
(式中、X2 は水素原子、塩素原子又はフッ素原子から選ばれる。nは1〜5の整数)等が挙げられる。
【0087】
又、官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と前記官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)に加えて、防汚性や耐熱性、非粘着性を低下させない範囲でフッ素原子を有さないエチレン性単量体を共重合しても良い。この場合、フッ素原子を有さないエチレン性単量体は、耐熱性を低下させないためにも炭素数5以下のエチレン性単量体から選ぶことが好ましく、具体的にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン等が挙げられる。
【0088】
本発明において用いられる官能基含有含フッ素エチレン性重合体中の官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の含有率は、重合体中の単量体の全量の0.05〜30モル%である。官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の含有率は、好ましくは0.05〜20モル%、特に好ましくは0.1〜10モル%である。
【0089】
官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)の含有率が0.05%未満であると、基材の表面との接着性が充分得られにくく、温度変化等により剥離等を起こし易い。又、30モル%を超えると耐熱性を低下させ、高温での焼成時又は高温での使用時に接着不良や着色、発泡、ピンホール等が発生し、被覆層の剥離や熱分解生成物の溶出等を起こし易い。
【0090】
本発明で用いる官能基含有含フッ素エチレン性重合体の好ましいものを次に挙げる。
【0091】
(I)官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)0.05〜30モル%とテトラフルオロエチレン70〜99.95モル%との重合体(I)(反応性PTFE)。
【0092】
(II)官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)を単量体の全量に対して0.05〜30モル%含み、更に該単量体(a)を除く単量体の全量に対して、テトラフルオロエチレン85〜99.7モル%と前記式(2):
CF2 =CF−Rf 1 (2)
[Rf 1はCF3 、ORf 2(Rf 2は炭素数1〜5のパールオロアルキル基)から選ばれる]で示される単量体0.3〜15モル%との重合体(II)。例えば官能基を有するテトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(反応性PFA)又は官能基を有するテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体(反応性FEP)。
【0093】
前記官能基含有含フッ素重合体は前述の官能基含有含フッ素エチレン性単量体(a)と、官能基を有さない含フッ素エチレン性単量体(b)とを周知の重合方法で共重合することによって得ることができる。その中でも主としてラジカル共重合による方法が用いられる。即ち、重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、例えば有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光或は電離放射線等によって開始される。
【0094】
重合の種類も溶液重合、バルク重合、懸濁重合、乳化重合等を用いることができる。又、分子量は、重合に用いるモノマーの濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度によって制御される。生成する共重合体の組成は、仕込みモノマーの組成によって制御可能である。
【0095】
本形態では、反応性FEPを用いた。
【0096】
下記はローラ(芯金、弾性層、中間層、表層)の構成例である。
【0097】
<芯金>
アルミニウム:φ12mm
<弾性層>
シリコーンゴム(LTV)、ソリッド、JIS硬度18°、ゴム厚み:4mm、ローラ外径:φ20mm
<中間層>
ヒドロキシル基を含むテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン重合体(反応性FEP)を塗料化したもの。溶媒は、水:ディスパージョン。平均フッ素樹脂粒径は0.1μm、中間層厚みは5μm。
【0098】
<中間層分散フィラー>
球状シリカ(平均粒径:1μm、5wt%)
<表層>
FEPディスパージョン(ND1)、平均フッ素樹脂粒径:0.2μm、表層厚みは8μm。
【0099】
図1において、11は金属製のΦ12mmの芯金部材であり、円柱状に形成されている。本形態においては、芯金11上に弾性層12a、中間層12b、離型層12cの3層から成るゴム及び樹脂層12を設ける。
【0100】
先ず、該芯金部材11の上にはφ20mm(肉厚6mm)のシリコーンゴム層12aを形成する。弾性層であるシリコーンゴム層12aは以下の材料及び方法より形成する。
【0101】
先ず、材料は、ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部、乾式微粉末シリカ5重量部、石英粉20重量部、ベンガラ1重量部及び白金系触媒から成る粘度900ポアズの付加反応型液状シリコーンゴム組成物であるA液と、ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン及び活性水素含有ジオルガノポリシロキサンの混合物100重量部、乾式微粉末シリカ5重量部、 石英粉20重量部、ベンガラ1重量部から成る粘度600ポアズの付加反応型液状シリコーンゴム組成物であるB液を重量比100対100で混合したものを用いる。
【0102】
その後、芯金部材11を設置して130℃に予備加熱しておいた円筒状金型内に、前記未加硫のシリコーンゴム組成物を射出成形し、前記温度にて10分間保持して硬化させる。
【0103】
次に、弾性層であるシリコーンゴム層12aの外周面に、中間層としてシリカを5wt%分散した上記の変成フッ素樹脂塗料をスプレーガンにて均一に塗布し、中間層12bの厚さを5μmにて形成する。
【0104】
ここで、中間層塗料に無機フィラーを分散すると、中間層塗料液内でフィラーの沈降が発生する場合があるが、中間層塗料液の粘度を上げてフィラーの粒子(材質、粒径)に応じて粘度を適正化し、或は中間層塗料液を撹拌しながら塗布することにより、フィラーの沈降を抑えてフィラーが均一に分散した中間層を塗布することができる。
【0105】
その後、300℃に加熱された炉で30分間焼成することによって、中間層22bの変成フッ素樹脂と弾性層12aのシリコーンゴムは化学的に結合することによって中間層12bと弾性層12aが強固に接着される。
【0106】
中間層12bが形成された後に、FEP樹脂ディスパージョンを同じくスプレーガンにて8μmの厚さに均一に塗布する。その後、320℃に加熱された炉で60分焼成することによってFEP樹脂展が形成され離型層12cとなる。そのとき、中間層の変成フッ素樹脂層22bと表層12cのフッ素樹脂は溶融時に界面が消失し、中間層の変成フッ素樹脂と表層のFEP樹脂とが強固に接着される。
【0107】
<結果>
上記で作製した中間層無機フィラー有り加圧ローラと、比較例として上記と同様に作製した中間層無機フィラー無し加圧ローラを比較した。
【0108】
中間層無機フィラー無しのものは所々にビビが入っており、且つ、表層に穴が多数あって凹凸が残っているが、中間層無機フィラー有りのものは表層に穴が非常に少なく、且つ、中間層5μm、表層8μmと薄層化してもビビは全く無い平滑な表面性である。
【0109】
実際に、画像形成装置の加熱定着装置201において、上記2種の加圧ローラを10万枚通紙耐久したところ、無機フィラー無し加圧ローラは、ローラ上にトナーが堆積し、転写材にトナーが付着して排出されたり、加圧ローラに転写材の巻き付きが発生した。
【0110】
一方、中間層無機フィラー有り加圧ローラは、10万枚通紙耐久においても、ローラ上には殆どトナー付着がなく、転写材へのトナー付着もなく、加圧ローラヘの転写材の巻き付きも発生せず、常に良好な定着画像を出力することができた。
【0111】
又、前記の加圧・加熱された通紙耐久においても弾性層と表層の接着強度の低下はなく、十分な接着強度を保持していた。
【0112】
本形態では、表層のフッ素樹脂としてFEP樹脂を用いたが、この他にもフッ素樹脂としてPFA樹脂、PTFE樹脂、ETFE樹脂等があり、これらフッ素樹脂を単品又は混合して使用して用いても、それぞれの樹脂に適した焼成温度で加熱することによって本形態と同様の効果が得られる。
【0113】
又、本形態では、中間層の変成フッ素樹脂として反応性FEP樹脂を用いたが、 表層のフッ素樹脂の種類に応じて、反応性PFA樹脂等を選択しても本形態と同様の効果が得られる。
【0114】
又、本形態では、中開展塗布後、300℃に加熱された炉で30分間焼成したが、中間層塗布後に焼成しないで表層を塗布し、焼成することによっても、中間層12bの変成フッ素樹脂と弾性層12aのシリコーンゴムは化学的に結合することによって中間層12bと弾性層12aが強因に接着され、又、中間層12bの変成フッ素樹脂と表層12cのフッ素樹脂は溶融時に界面が消失し、中間層の変成フッ素樹脂と表層のFEP樹脂とが強固に接着される。この場合には、焼成工程が省けるためにタクトが短くなり、コストダウンとなる。
【0115】
更に、本形態では、加圧ローラに関して述べたが、加熱ローラ104の構成に関して適用しても効果は同様である。
【0116】
<形態3>
図4〜図6に基づいて本発明に係る形態3について説明する。
【0117】
形態1では、中間層に無機フィラーを分散した構成について述べたが、本形態では、中間層に無機扁平状フィラーを分散した構成に関して説明する。
【0118】
本形態は、少なくとも芯金と弾性層と中間層及び表層から成るローラであって、前記中間層と表層はフッ素樹脂を含む塗料をコートすることで作製され、前記中間層に無機扁平伏フィラーを含有させた。
【0119】
本形態においては、図4の加圧ローラ102で示すように、無機扁平状フィラー25を中間層32bに0.1〜30wt%分散することにより、表層12cのフッ素樹脂焼成時においても、図5に示すように、弾性層12aのゴムから発生する熱分解ガス24を中間層中の前記無機扁平状フィラー25によりブロックするために、中間層を通過して表層に達する熱分解ガスのほぼ全量を無くすことが可能であり、表層に穴があくこともない。
【0120】
フィラーが扁平伏のため、熱分解ガス穴に蓋をするように働き、熱分解ガスがフィラーを擦り抜ける確率が低くなり、表層に達する熱分解ガスを効率良く遮断できる。又、ヒビ(クラック)に対しても、前記無機扁平伏フィラーにより、前記ガスと同様に、ヒビがフィラーを擦り抜ける確率が低くなり、ビビの経路がブロックされるためにヒビが入りにくく、平滑な表層のフッ素樹脂コートが得られる。
【0121】
更に、形態1では、不定形又は球状フィラーを用いたが、本形態では扁平状フィラーを用いることにより、中間層に分散させるフィラー量が少量でも、弾性層から発生する熱分解ガスをより効果的に遮断できる利点を持ち、低コスト化できる。
【0122】
無機扁平状フィラーとしては、扁平状の各種金属(アルミニウム等)、金属酸化物(酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク等)、セラミックス(アルミナ(Al2 O3 )、窒化硼素(BN)等)、ガラス(ガラスビーズ等)、グラファイト、マイカ(雲母)等の各種フィラーを用いても良い。
【0123】
本形態では、中間層にフッ素樹脂粒子を分散させたゴム(ラテックス)を用い、平均厚み:0.5μm/平均長径:3μmのチタン系扁平状フィラーを3wt%中間層に分散した。
【0124】
下記はローラ(芯金、弾性層、中間層、表層)の構成例である。
【0125】
<芯金>
アルミニウム:φ12mm
<弾性層>
シリコーンゴム(LTV)、ソリッド、JIS硬度18°、ゴム厚み:4mm、ローラ外径:φ20mm
<中間層>
FEP樹脂を含有させたフッ素ゴムラテックス、平均FEP樹脂粒径は0.14m、中間層厚みは5μm。
【0126】
<中間層分散フィラー>
チタン系扁平状フィラー(平均厚み:0.5μm、平均長径:3μm、3wt%)
<表層>
FEPディスパージョン(ND1)、平均FEP樹脂粒径:0.2μm、表層厚みは8μm。
【0127】
図4において、11は金属製のφ12mmの芯金部材であり、円筒状に形成されている。本形態においては、芯金上に弾性層12a、中間層32b、離型層12cの3層から成るゴム及び樹脂層12を設ける。
【0128】
先ず、芯金部材11の上にはφ20mm(肉厚4mm)のシリコーンゴム層12aを形成する。弾性層であるシリコーンゴム層12aは以下の材料及び方法より形成する。
【0129】
先ず材料は、ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン100重量部、乾式微粉末シリカ5重量部、石英粉20重量部、ベンガラ1重量部及び白金系触媒から成る粘度900ポアズの付加反応型液状シリコーンゴム組成物であるA液と、ビニル基含有ジオルガノポリシロキサン及び活性水素含有ジオルガノポリシロキサンの混合物100重量部、乾式微粉末シリカ5重量部、石英粉20重量部、ベンガラ1重量部から成る粘度600ポアズの付加反応型液状シリコーンゴム組成物であるB液を重量比100対100で混合したものを用いる。
【0130】
その後、芯金部材11を設置して130℃に予備加熱しておいた円筒状金型内に、前記未加硫のシリコーンゴム組成物を射出成形し、前記温度にて10分間保持して硬化させる。
【0131】
次に、弾性層であるシリコーンゴム層12aの外周面に中間層としてチタン系扁平状フィラーを3wt%分散してFEP樹脂を含有させたフッ素ゴムラテックスをスプレーガンにて均一に塗布し、前記ラテックス層32bの厚さを5μmにて形成する。
【0132】
ここで、中間層に無機扁平状フィラーを分散すると、中間層塗料液内でフィラーの沈降が発生する場合があるが、中間層塗料液の粘度を上げて無機扁平状フィラーの粒子(材質、粒径)に応じて粘度を適正化し、又は中間層塗料液を撹拌しながら塗布することにより、フィラーの沈降を抑えてフィラーが均一に分散した中間層を塗布することができる。
【0133】
その後、200℃に加熱された炉で30分間焼成することによって、前記ラテックス層32bの上層側にFEP樹脂がブリードし、1〜3μmのFEP樹脂層を形成する。そのとき、ラテックス層32bの下層側にはフッ素ゴム層が形成されており、シリコーンゴム12aと強固に接着される。
【0134】
中間層32bが形成された後に、FEP樹脂ディスパージョンを同じくスプレーガンにて8μmの厚さに均一に塗布する。その後、320℃に加熱された炉で60分焼成することによってFEP樹脂層が形成されて離型層12cとなる。そのとき、中間層のラテックス層32bの上層側にブリードしたFEP樹脂と表層のFEP樹脂とが強固に接着される。
【0135】
<結果>
上記で作製した中間層無機扁平状フィラー(チタン系)入り加圧ローラと、比較例として形態1で作製した中間層無機フィラー(球状シリカ)入り加圧ローラを比較した。
【0136】
中間層無機フィラー(球状シリカ)入りのものは、表層に穴が非常に少なく、且つ、ヒビは全く無い平滑な表面性である。中間層無機扁平状フィラー(チタン系)入りのものは表層に穴は全く無く、且つ、ヒビも全く無い平滑な表面性である。
【0137】
実際に、画像形成装置の加熱定着装置201において、上記2種の加圧ローラを20万枚通紙耐久したところ、無機フィラー(シリカ)入り加圧ローラは、15万枚を過ぎた辺りから数少ない穴に付着したトナーが成長し、加圧ローラ上に若干のトナー汚れが見られ、20万枚付近では、転写材に微小なトナー付着が見られた。
【0138】
一方、中間層無機扁平状フィラー(チタン系)入り加圧ローラは、20万枚通紙耐久においても、ローラ上には全くトナー付着がなく、綺麗な離型層を維持したままであり、転写材へのトナー付着もなく、常に良好な定着画像を出力することができた。尚、両者とも加圧ローラヘの転写材の巻き付きは発生しなかった。又、両者とも前記加圧・加熱された通紙耐久においても弾性層と表層の接着強度の低下はなく、十分の接着強度を保持していた。
【0139】
中間層に、扁平状フィラーを分散することによって、より平滑で凹凸の無い表層を形成することができ、ローラの耐久性も向上することができた。
【0140】
又、本形態では、「フィラーの長径<中間層厚み」の構成に関して述べたが、図6に示すように、「フィラーの長径>中間層厚み」の構成の場合には、例えば扁平状フィラー25が中間層中において長径面が中間層32b面と垂直になることがなく、長径面が中間層32b面と平行になるように配置され、熱分解ガスの発生経路をブロックするように配置されるため、フィラー量を更に減量して低コスト化ができ、より効果的に表層でのガス抜け穴の発生を防止することができる。
【0141】
実際に、中間層分散フィラーとして、チタン系扁平状フィラーを平均厚み:0.5μm、平均長径:8μm、1.5wt%として、フィラー量を上記構成例の半分とした場合においても、上記構成例と同様に、表層に穴は全く無く、且つ、ヒビも全く無い平滑な表面性を得ることができ、20万枚通紙耐久においてもローラ上には全くトナー付着がなく、綺麗な離型層を維持したままであり、転写材へのトナー付着もなく、常に良好な定着画像を出力することができた。
【0142】
本形態では、フッ素樹脂としてFEP樹脂を用いたが、この他にもフッ素樹脂としてPFA樹脂、PTFE樹脂、ETFE樹脂等があり、これらフッ素樹脂を単品又は混合して使用して用いても、それぞれの樹脂に適した焼成温度で加熱することによって本形態と同様の効果が得られる。
【0143】
又、本形態では、中間層塗布後、200℃に加熱された炉で30分間焼成したが、中間層塗布後に焼成しないで表層を塗布し、焼成することによっても、前記ラテックス層32bの上層側にFEP樹脂がブリードし、1〜3μmのFEP樹脂層を形成し、そのとき、ラテックス層32bの下層側にはフッ素ゴム層が形成されており、シリコーンゴム12aと強固に接着される。この場合には、焼成工程が省けるため、タクトが短くなってコストダウンとなる。
【0144】
又、本形態では、加圧ローラに関して述べたが、加熱ローラ104の構成に関して適用しても効果は同様である。
【0145】
更に、本形態においても、形態2の中間層に変成フッ素樹脂を用いた構成と同様に、中間層に無機扁平状フィラー分散変成フッ素樹脂を適用した場合でも同様な効果が得られる。
【0146】
<形態4>
図7及び図8に基づいて本発明に係る形態4について説明する。
【0147】
本形態においては、前記中間層塗料中のフッ素樹脂粒子の粒径が中間層に分散する前記無機フィラー又は無機扁平状フィラーの長径より小さい。
【0148】
図7に示すように、「中間層塗料中のフッ素樹脂粒径<中間層分散フィラー長径」の場合には、中間層32bとして、無機扁平状フィラー25を分散してフッ素樹脂40を含有させたフッ素ゴムラテックスを塗布後、200℃に加熱された炉で30分間焼成することによって、フィラー25によってフッ素樹脂40の移動が妨げられないため、前記中間層であるラテックス層32bの上層側にフッ素樹脂40がブリードし、1〜3μmのフッ素樹脂層を形成する。そのとき、ラテックス層32bの下層側にはフッ素ゴム層が形成されており、弾性層12aのシリコーンゴムと強固に接着される。
【0149】
中間層32bが形成された後に、フッ素樹脂ディスパージョンを同じくスプレーガンにて均一に塗布する。その後、320℃に加熱された炉で60分焼成することによってフッ素樹脂層が形成され、表層12cである離型層となる。そのとき、中間層32bのラテックス層の上層側にブリードしたフッ素樹脂40と表層のフッ素樹脂とが強固に接着される。
【0150】
しかしながら、図8に示すように、「中間層塗料中のフッ素樹脂粒径>中間層分散フィラー長径」の場合には、中間層焼成時に、前記中間層であるラテックス層32bの上層側にフッ素樹脂40がブリードする際、前記フィラー25によってフッ素樹脂40の移動が妨げられるため、前記中間層であるラテックス層32bの上層側へのフッ素樹脂40のブリードが阻害されてしまう。従って、中間層のラテックス層32bの上層側でのフッ素樹脂40のブリード量が減少し、表層12cのフッ素樹脂との接着力が低下してしまうこととなる。
【0151】
従って、前記中間層塗料中のフッ素樹脂の粒径が中間層に分散する前記無機フィラー又は無機扁平状フィラーの長径より小さいことが必要となる。
【0152】
例えば形態3において、
(1)中間層の平均FEP樹脂粒径を、形態3と同様に、チタン系扁平状フィラー(平均厚み:0.5μm、平均長径:3μm)の長径より小さい0.1μmとしたローラ
(2)比較例として、中間層の平均FEP樹脂粒径を、形態3のチタン系扁平状フィラー(平均厚み:0.5μm、平均長径:3μm)の長径より大きい3.5μmとしたローラ
を比較検討したところ、
(1)中間層の平均FEP樹脂粒径:0.1μmとしたローラは、ローラ表面温度:300℃でも中間層と表層の剥離はなし
(2)中間層の平均FEP樹脂粒径:3.5μmとしたローラは、ローラ表面温度:240℃で中間層と表層の剥離が発生
という結果となった。
【0153】
本形態では、中間層に分散する無機フィラー又は無機扁平状フィラーの大きさと、中間層塗料中のフッ素樹脂粒径の関係に関して述べたが、前記中間層塗料中のフッ素樹脂の粒径が、中間層に分散する前記無機フィラー又は無機扁平状フィラーの長径より小さいことにより、中間層と表層の接着強度を確保することが可能となる。
【0154】
又、前記は中間層としてフッ素樹脂を含有させたフッ素ゴムラテックスの場合に関して述べたが、中間層として変成フッ素樹脂を用いた場合においては、「中間層塗料中の変成フッ素樹脂粒径く中間層分散フィラー長径」の場合には、中間層塗布後及び中間層焼成後の中間層表面は凹凸が無く、平滑な表面性を持ち、更に表層の塗布・焼成後も平滑で穴・ヒビの無い表面を持つ。
【0155】
一方、「中間層塗料中の変成フッ素樹脂粒径>中間層分散フィラー長径」の場合には、中間層塗布後及び中間層焼成後の中開展表面は凹凸が残ってしまい、表層の塗布・焼成後も中間層の凹凸を拾ってしまい、表面が平滑なローラを得ることができない。
【0156】
更に、中間層の変成フッ素樹脂粒径がフィラー長径よりも大きい場合には、中間層又は表層の焼成時において、弾性展の熱膨張により、中間層においては変成フッ素樹脂粒子の界面でヒビが入り易く、前記界面がフィラー長径よりも大きいために、フィラーによりヒビの経路を遮断することができず、中間層及び表層にヒビが入ってしまうこととなる。
【0157】
従って、中間層として変成フッ素樹脂を用いた場合においても、前記中間層塗料中の変成フッ素樹脂粒子の粒径が、中間層に分散する前記無機フィラー又は無機扁平状フィラーの長径より小さいことにより、凹凸やヒビの無い平滑な表面を持つローラを得ることができる。
【0158】
<形態5>
図9〜図12に基づいて本発明に係る参考の形態5について説明する。
【0159】
本形態においては、前記表層塗料中のフッ素樹脂粒子の粒径が、中間層に分散する前記無機フィラー又は無機扁平状フィラーの長径より小さい。
【0160】
例えば本形態において、
(3)表層の平均FEP樹脂粒径を、形態3と同様に、チタン系扁平状フィラー(平均厚み:0.5μm、平均長径:3μm)の長径より小さい0.2μmとしたローラ
(4)比較例として、表層の平均FEP樹脂粒径を、形態3のチタン系扁平状フィラー(平均厚み:0.5μm、平均長径:3μm)の長径より大きい3.5μmとしたローラ
を比較したところ、
(3)表層の平均FEP樹脂粒径:0.2μmとしたローラは、ローラ表面温度:300℃でも中間層と表層の剥離はなし
(4)表層の平均FEP樹脂粒径:3.5μmとしたローラは、ローラ表面温度:280℃で中間層と表層の剥離が発生
という結果となった。
【0161】
これは、▲4▼「表層のフッ素樹脂粒径>フィラー長径」とした場合には、表層12cの焼成前を図9に示すように、フィラー25が中間層32bから突き出た場合に、フッ素樹脂50が中間層32bから突き出たフィラー25の隙間に入り込むことができないため、表層12cの焼成後を図10に示すように、表層12cの焼成後においても中間層から突き出たフィラーの隙間に空気層が残存してしまう。そのために、中間層32bと表層12cとの接着力が減少してしまう。更には、中間層表面のフィラーや空気層による凹凸に応じて、表層の表面が凹凸になってしまう。
【0162】
これに対し、▲3▼「表層のフッ素樹脂粒径<フィラー長径」とした場合には、表層12cの焼成前を図11に示すように、フィラー25が中間層32bから突き出た場合でも、フッ素樹脂50が中間層32bから突き出たフィラー25の隙間に入り込むことができるため、表層12cの焼成後を図12に示すように、中間層32bと表層12cとの間に空気層が残存しない。従って、中間層32bと表層12cとの接着力が低下することもない。更に、この場合には、中間層表面のフィラーによる凹凸があっても、表層の表面は平滑となる。
【0163】
本形態では、中間層に分散する前記無機フィラー又は無機扁平状フィラーの大きさと表層塗料中のフッ素樹脂粒径の関係に関して述べたが、前記表層塗料中のフッ素樹脂の粒径が中間層に分散する無機フィラー又は無機扁平状フィラーの長径より小さいことにより、中間層と表層の接着強度と表層の凹凸が無い平滑性とを確保することが可能となる。
【0164】
更に、中間層表面のフィラーによる凹凸があっても、表層の表面性を平坦且つ平滑とするためには、表層のフッ素樹脂の粒径が1μm以下であることが望ましい。これは、表層のフッ素樹脂の粒径が小さい程、表層表面が平滑になるためである。
【0165】
又、最近、解像度の向上、画質の向上を目的に、トナー平均粒径が6μm程度と小さくなっているため、トナー粒径としては約2μm〜10μm程度の分布を持つため、トナー粒径より表層のフッ素樹脂粒径を小さくすることにより、フッ素樹脂粒子間の凹凸の周期をトナー粒径より小さくすることにより、表層のフッ素樹脂の微小な凹凸にトナーが入り込まないようにすることによって、ローラにトナーが付着することを防止するためである。
【0166】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、中間層と表層の接着強度が高く、表層の穴、荒れ、ヒビ、汚染等を防止し、均一で平滑な表層を持ち、耐久性に優れた(耐久でもトナーが付着しない)ローラとこれを用いた加熱定着装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る参考の形態1,2に係る加圧ローラの概略図である。
【図2】 本発明に係る参考の形態1,2における弾性層からの熱分解ガスをフィラーにより遮断(ブロック)する状態を示す概略図である。
【図3】 本発明に係る参考の形態1,2との比較を行う従来の弾性層からの熱分解ガス発生を示す概略図である。
【図4】 本発明に係る形態3に係る加圧ローラの概略図である。
【図5】 本発明に係る形態3における弾性層からの熱分解ガスをフィラーにより遮断(ブロック)する状態を示す概略図である。
【図6】 本発明に係る形態3の改良形態における弾性層からの熱分解ガスをフィラーにより遮断(ブロック)する状態を示す概略図である。
【図7】 本発明に係る形態4における中間層のフッ素樹脂粒子のブリード形態を示す概略図である。
【図8】 本発明に係る形態4との比較を行う中間層のフッ素樹脂粒子のブリード形態を示す概略図である。
【図9】 本発明に係る参考の形態5との比較を行う表層塗料塗布後の表層のフッ素樹脂形態を示す概略図である。
【図10】 本発明に係る参考の形態5との比較を行う表層焼成後の表層のフッ素樹脂形態を示す概略図である。
【図11】 本発明に係る参考の形態5における表層塗料塗布後の表層のフッ素樹脂形態を示す概略図である。
【図12】 本発明に係る参考の形態5における表層焼成後の表層のフッ素樹脂形態を示す概略図である。
【図13】 従来の加圧ローラの一例を示す概略図である。
【図14】 従来の加熱ローラの一例を示す概略図である。
【図15】 従来の画像形成装置における加熱定着装置の一例である熱ローラ定着装置を示す概略図である。
【図16】 従来の画像形成装置における加熱定着装置の一例であるフィルム定着装置を示す概略図である。
【符号の説明】
11 芯金
12a 弾性層
12b 中間層
12c 表層
21 中空芯金
22b 中間層(無機フィラー分散)
23 無機フィラー
24 熱分解ガス
25 無機扁平フィラー
32b 中間層(無機扁平状フィラー分散)
25 無機扁平状フィラー
40 中間層のフッ素樹脂粒子
50 表層のフッ素樹脂粒子
60 空気層
P 転写材
T トナー
Claims (10)
- 少なくとも芯金と弾性層と中間層と表層から成り、前記中間層及び前記表層が、各々フッ素樹脂を含む塗料の塗工膜であり、且つ、前記中間層に無機フィラーが分散されているローラであって、
前記無機フィラーが、扁平状であり、且つ前記無機フィラーの長径が前記中間層の厚みより大きいことを特徴とするローラ。 - 前記ローラが、加圧ローラである請求項1記載のローラ。
- 前記ローラが、加熱ローラである請求項1記載のローラ。
- 前記中間層が少なくともフッ素樹脂を含有させたゴム(ラテックス)を含む請求項1記載のローラ。
- 前記中間層が変成フッ素樹脂を含む請求項1記載のローラ。
- 少なくとも芯金と弾性層と中間層と表層から成り、前記中間層及び前記表層が、各々フッ素樹脂粒子を含む塗料の塗工膜であり、且つ、前記中間層に無機フィラーが分散されているローラであって、
前記中間層の形成用の塗料中のフッ素樹脂粒子の粒径が前記無機フィラーの長径より小さいことを特徴とするローラ。 - 前記中間層が、その表層側にフッ素樹脂層を有している請求項6記載のローラ。
- 定着部にて未定着画像を担持した転写材を挟持搬送し、加熱源を内包する一対の回転体を圧接するように配設され、未定着画像を転写材に永久定着させる加熱定着装置において、
前記一対の回転体のうち少なくとも一方の回転体として請求項1〜5の何れか1つに記載のローラを具備することを特徴とする加熱定着装置。 - 定着部にて未定着画像を担持した転写材を挟持搬送し、加熱源を内包する一対の回転体を圧接するように配設され、未定着画像を転写材に永久定着させる加熱定着装置において、
前記一対の回転体のうち少なくとも一方の回転体として請求項6または7に記載のローラを具備することを特徴とする加熱定着装置。 - 芯金、弾性層、中間層及び表層をこの順に有している電子写真用ローラの製造方法であって、
フッ素樹脂粒子及び該フッ素樹脂粒子の粒径よりも大きい長径を有する無機フィラーを含んでいる中間層の形成用の塗料を用いてフッ素樹脂及び無機フィラーを含んでいる中間層を形成する工程と、
フッ素樹脂を含んでいる表層の形成用の塗料を該中間層上に塗工してフッ素樹脂を含んでいる表層を形成する工程と、
を有していることを特徴とする電子写真用ローラの製造方法。
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