JP2004115564A - 表面離型性材料および表面離型性部材 - Google Patents

表面離型性材料および表面離型性部材 Download PDF

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Abstract

【課題】オフセット防止特性と耐摩耗性とを兼ね備えた加熱定着ローラ等の表面離型性部材を提供する。
【解決手段】本発明の加熱ローラは、アルミニウム合金からなる基体(芯金)3の表面に、接着層としてPAI(ポリアミドイミド)からなる耐熱性中間層4と、耐熱性に富むフッ素系TPE(熱可塑性エラストマー)からなる弾性体層5と、含フッ素高分子の共重合物からなるオフセット防止層6とをこの順に積層したものであり、このオフセット防止層がこの加熱定着ローラの最外層を形成している。上記オフセット防止層の表面にフッ素化処理を施すことで、動摩擦係数が特に低い加熱ローラを得ることができる。上記フッ素化処理は、フッ化炭素ガスを用いるプラズマ処理法で行うことが好ましい。この加熱ローラは、電子写真方式による画像形成装置の加熱定着装置を構成する加熱ローラとして有効に応用できる。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明(第1発明)は、表面に非粘着・非付着性に加えて、耐摩耗性などの機械的耐久性を要求される加工用ローラ、ベルト、パッド、押し圧工具、または加熱ローラ、加熱ベルト、加圧ローラの構成、あるいは熱定着用部材の材料およびその層構成に関する。より具体的には電子写真式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる、耐摩耗性・低摩擦性に優れ、且つ非粘着表面層を有する加熱定着ローラ、ベルト等の加熱定着部材に関するものである。
【0002】
また本発明(第2発明)は、表面に非粘着、非付着性に加えて、耐摩耗性などの機械的耐久性を要求される加工用ローラ、ベルト、パッド、押し圧工具、または加熱ローラ、加熱ベルト、加圧ローラの構成、あるいは熱定着用部材の材料およびその表面処理方法に関する。より具体的には電子写真式の複写機、プリンタ等の画像形成装置に用いられる、耐摩耗性、低摩擦性に優れ、且つ非粘着表面層を有する加熱定着ローラ、ベルト等の加熱定着部材の表面処理方法に関するものである。
【0003】
本発明が応用できる技術分野としては、非粘着性表面の機能と機械的耐久性に優れた工具、ヒートローラ、圧延ローラなどの加工工具、プロセス装置。特徴的には電子写真式の複写機、レーザープリンタ等の画像形成装置などの静電転写プロセスを利用する機器の加熱定着ローラ、加熱定着ベルト、定着用加圧ローラ、定着フィルム、定着パッド等及びその表面処理方法、並びにこれらを用いた定着装置及び画像形成装置等が挙げられる。
【0004】
【従来の技術】
本発明が関連する公知発明として、下記特許文献に開示されたものがある。
(i)定着ローラの耐オフセット性、耐摩耗性の両立のため導電性酸化物の外殻を持つ二重シェル構造の充填剤を使用する。シェルの内殻は耐摩耗の無定形シリカ、外殻は酸化スズなどの導電性のもので形成する(特許文献1参照)。
(ii)加圧ローラの弾性および特性の改善を目的として、シリコーンゴム組成物の表面にフッ素樹脂チューブを被覆する。また、シリコーン組成物の低温硬化によって歪を小さくし、フッ素樹脂チューブとの接着性を改善する(特許文献2参照)。
(iii)定着ローラの熱伝導性向上、トナー飛び散り防止および耐摩耗性向上を目的として、SiCのウイスカーや粒体を充填剤として用いる(特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−348165号公報
【特許文献2】
特開平9−255875号公報
【特許文献3】
特開2000−19879号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な電子写真複写機等の画像形成装置用の定着装置として、様々な定着方式のものが提案され、実施されている。最近ではローラ定着タイプのもの、特にローラ対の少なくとも一方が熱源によって加熱される、ローラタイプの加熱ローラ定着装置(ヒートローラ定着方式)が主流をなしている。ここで一対のローラのうち、記録材の画像担持側の面に接するローラを定着ローラ又は加熱定着ローラと呼び、他方のローラを加圧ローラと呼ぶ。
【0007】
ローラ定着タイプの定着装置において、定着ローラは記録材の画像担持面に直接に接触するため、永らく稼動しているうちに、記録材上の画像を構成している顕画剤(トナー)の一部が定着ローラ表面に粘着しやすくなり、この付着したトナーがローラ回転に伴い再び記録材上に転写される、いわゆる「オフセット現象」を発生することがある。
【0008】
そこで、このオフセット現象を防止する手段として、従来技術では下記のような種々の手段が採用されている。
a:定着ローラ外周面に、ポリテトラフロロエチレン樹脂(以下、PTFEと記す)などのフッ素樹脂やシリコーンゴム等の高離型性材料のオフセット防止層を設けて定着ローラ層の離型性(非粘着性)を向上させる。
b:定着ローラ周面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布する手段を設ける。
c:定着ローラ周面の汚染物を清掃除去するブレードやウェブ等の摺擦クリーニング手段を設ける。
d:定着ローラの芯金に、記録材上に担持させた未定着画像のトナーと同極性の直流バイアスを印加する。
e:上記a〜dの手段の組み合わせ。
【0009】
しかしながら、上記従来のオフセット防止手段については、以下のような問題点があった。
(1)従来技術aの問題点
(1−1)PTFE等のフッ素樹脂の被覆層を設けたローラは優れた非粘着性を示すが、トナー結着樹脂の種類によっては離型性の悪いものがあり、トナーの一部が粘着してローラ面を汚染することがある。
【0010】
また近年、低コスト化の要求、サービス性の向上、産業廃棄物の規制等から定着ローラ等の各種部品の高耐久化が強く求められているが、フッ素樹脂は表面が無機硬質粒子ほど硬くはなく、表面摩耗に対しては、PTFE等のフッ素樹脂の被覆層を設けた定着ローラの耐摩耗性は十分でなく、寿命が短いという欠点を有する。定着ローラの表面はブレート等のクリーニング手段、離型剤塗布手段、記録材分離爪、温度検出素子、加圧ローラ等で摺擦を受けて摩耗する。また定着ローラと加圧ローラの間を通過する記録材との摺擦も受ける。そして、大量の紙(記録材)を通した時、紙から紙粉が発生し定着ローラに付着する。この紙粉は定着ローラに当接させたクリーニングブレード等で除去されることになるが、特に紙のエッジ部では紙端部によって惹き起こされる摩耗や紙粉の発生が顕著であり、紙粉に含まれる種々の無機充填剤によりローラ表面は摩耗する。また、定着ローラは表面の摩耗により平滑性を失うことで、本来の離型性が低下する。
【0011】
(1−2)純粋なフッ素樹脂の被覆層は一般に絶縁性もしくは高抵抗であるため、その表面が記録材や、加圧ローラ等の対ローラ当接部材との摺擦による摩擦帯電により大きく帯電し、記録材上のトナーが静電作用により定着ローラ表層に吸着されて、いわゆる「静電オフセット現象」が発生しやすい。フッ素樹脂は記録材等との摺擦により負(−)に大きく帯電する。トナーが正(+)の極性を持つ場合、トナーは負帯電のフッ素樹脂被覆層の電界にひきつけられ定着ローラ表面に静電オフセット現象で付着しやすくなる。
【0012】
(1−3)一般にフッ素樹脂等の耐摩耗性はこれにガラス粉、シリカ、炭化ケイ素粉末、ダイヤモンド粉末、コランダム粉、ニッケルや鉄などの金属粉等の比較的高い硬度をもつ無機充填剤を混入することにより向上させることができるが、混合量が少ないと耐摩耗性向上の効果が十分でなく、混合量を増加していくと、離型性が悪くなり、また定着ローラの表面性も悪くなり、オフセット防止効果が低下する。一般にこれらの充填剤はフッ素樹脂中への分散性が悪く、また分散できたとしても充填剤とフッ素樹脂との接着性が悪くなり、使用等により定着ローラ被覆層の充填剤の一部が離脱する等の現象が生じていた。また、充填剤が分散不良の場合は、使用等により充填剤の少ない部分が先にスジ状あるいは、まだら状に削れたりし、この削れた部分にトナーが埋め込まれて定着ローラの非粘着性低下をきたすことが多かった。さらに、充填剤が離脱した場合は、離脱した部分にトナーが埋まり、あるいは離脱した充填剤が逆に研摩剤として作用し、摩耗を加速するなどの問題が生じた。
【0013】
(1−4)静電オフセット防止手段として、被覆層にカーボンブラック、金属粉、二酸化チタン等の低抵抗の微粉末、又はチタン酸カリウム等の導電化したウイスカー状単結晶繊維等の導電性充填剤を混入させ、被覆層を低抵抗化させて被覆層の摩擦帯電を防止する方法もある。この場合、導電性充填剤に要求される性能は、
・被覆層材料中への分散性が良好で均一であること、
・被覆層材料に対する接着性が良好であること
・被覆層の耐摩耗性が向上すること、
・被覆層に十分な導電性を付与できること、
・被覆層表面の平滑性が得られること、
などである。
【0014】
しかしながら、従来の充填剤では上記のような性能をすべて満足させることが難しかった。例えば、カーボンあるいは導電化したウイスカー状単結晶繊維の場合、フッ素樹脂被覆層を強靭化し耐摩耗性を良くする効果はあまり認められず、長期間の使用により、被覆層がスジ状に摩耗したりして表面平滑性が悪くなり、オフセット現象を生じたり、定着性が悪くなったりする場合あった。
【0015】
これは、カーボン等の微粉末の充填剤は、粒径が微細で樹脂を強化させるいわゆるフィラー効果がないからである。また分散性が悪く2次凝集し易いという欠点をもち、耐静電オフセット性を満足させるためには必要以上の量を使用する必要があった。チタン酸カリウム等のウイスカー状単結晶繊維は、比較的に比表面積が大であるために耐静電オフセット性は良好であったが、やはり耐摩耗性を向上させる効果は薄かった。これは、この材料がウイスカー状であるために比較的もろく、かつフッ素樹脂中で樹脂の強度を補強するために要求される3次元橋かけ構造を取りにくいからであると考察されている。
【0016】
(1−5)定着ローラの耐久性を重視するあまり、充填剤等を利用し表面を必要以上に硬質化すると、画像形成工程において、トナー定着性の不良などで逆に定着後の画質が悪くなるという欠点があった。
【0017】
(2)上記従来技術b〜dの問題点
前記bのシリコーンオイル等の離型剤塗布手段、cの摺擦クリーニング手段、dのバイアス印加手段は、前記aのオフセット防止被覆層を形成した定着ローラの補助的なオフセット防止手段である。離型剤塗布手段により定着ローラ表面にオイルを供給することにより汚れは軽減するが、オイルのぬれ性が悪く、ツブツブになったり、まだら状になったりして、均一に塗布することが困難であった。従ってオイルの供給量を多くせざるを得なくなり、記録材へのオイルのボタ落ち、シミ等の問題が生じていた。前記dのバイアス印加は静電力による付着防止効果はあるが、電圧印加機構が付加され、ブラシ等の接触や電源の新たな追加が必要であり、複写スピードの速い機械には対応が難しいなどの難点がある。
【0018】
(3)従来技術の問題点のまとめ(高離型性と耐摩耗性の両立について)
・オフセット防止層形成用のベース樹脂の代表例であるフッ素樹脂に高硬度無機充填剤を配合する場合には、充填量の最適値の設定が難しく、配合量が多すぎると離型性に大きな悪影響を及ぼす。
・ベース樹脂への充填剤の分散性、均一性の制御が難しい。
・微粉体、ウイスカー等の充填剤は一般に二次凝集しやすい。
・表面離型性と弾性を付与するため加圧ローラの内層にシリコーンゴム組成物を用いる場合、高温加硫などの処理が必要となるだけでなく、加工時のエネルギーが大きいなる。また、最外層のフッ素樹脂層(PFAチューブなど)との接着性の問題があるし、フッ素樹脂の粉体材料を用いる場合には最外層の高温焼成が必要になり、シリコーンゴム組成物が劣化する。
・充填剤を配合したベース樹脂表面(フッ素樹脂、PTFE,PFAなど)は、ベース樹脂単独に比べて表面の摩擦係数が大きく、撥水・撥油性を示す表面の濡れ特性も低下する。
【0019】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、その第1の目的は、記録材上に未定着画像を加熱定着させる際に、非粘着性を具備すべきオフセット防止層、いわゆる離型層について離型効果を失うことなく耐摩耗性を維持し、かつ定着ローラ表層を導電性に保持したまま静電オフセットの防止効果を持続するため、以下の解決策を提供することである。
【0020】
本発明の第2の目的は、定着画像の高画質化の要求に応えて、適度な弾性を付与するための材料構成を提供すると同時に、定着ローラ最表層に対して耐摩耗性を維持する層を強固に付与することで、従来技術のいくつかの問題点を同時に、かつ抜本的に解決するため、以下の解決策を提供することである。
【0021】
本発明の第3の目的は、定着画像の高画質化の要求に応えて、適度な弾性を付与するための材料構成を提供すると同時に、定着ローラ最表層に対して耐摩耗性と低い表面自由エネルギーを維持する層を強固に付与することにより、従来技術のいくつかの問題点を同時に、かつ抜本的に解決するため、以下の解決策を提供することである。
【0022】
1)表面が硬質であるローラ(ハードローラ)に適度な弾性を付与することで、低加圧力のまま、定着ローラ・加圧ローラ間のニップ幅を確保し、画質向上を図るとともに、摩耗によるローラ表面の損傷を防止する。
2)部材表面の耐摩耗性を確保するため、導電性の硬質充填剤の分散特性を改善し、均一分散性や特性の面内のばらつきを低減する。
3)適度な弾性を持つ樹脂またはゴム組成物を低温でローラ基体に固定化し、ゴム層、樹脂層間の接着性や、稼動時の安定性を確保する。
4)適度な弾性を持つゴム組成物を高温加硫することなく、少ない加工エネルギーでローラ基体に固定化する。
5)適度な弾性と高い離型性、耐摩耗性を持つ部材で構成された定着装置や離型を要求される加工装置を提供する。
6)高寿命な部材と高い機能をもつ定着装置を備えた電子写真式画像形成装置を提供する。
7)部材表面の耐摩耗性を確保するため、最外層表面の表面自由エネルギーを低減し、摩擦係数を下げる。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記第1発明の各構成は下記請求項1〜20に、上記第2発明の各構成は下記請求項21〜35に、それぞれ示すとおりである。
【0024】
請求項1に係る発明は、少なくとも含フッ素高分子の共重合物と弾性体材料とを含有する混合物からなることを特徴とする表面離型性材料である。
【0025】
請求項2に係る発明は、含フッ素高分子の共重合物を主成分とする表層と、その内側に積層された弾性体材料からなる層とを備えていることを特徴とする表面離型性部材である。
請求項3に係る発明は、前記表層が含フッ素高分子の共重合物と、弾性体材料との混合物で形成されていることを特徴とする表面離型性部材である。
請求項4に係る発明は、前記混合物が、含フッ素高分子の共重合物の海に弾性体材料が島状に分散した海島構造のものであることを特徴とする請求項3に記載の表面離型性部材である。
請求項5に係る発明は、前記表層が、導電性充填物を配合した含フッ素高分子の共重合物で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表面離型性部材である。
請求項6に係る発明は、前記表層が含フッ素高分子の共重合物と、弾性体材料と、導電性充填物との混合物で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の表面離型性部材である。
請求項7に係る発明は、前記弾性体材料が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする2〜6のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項8に係る発明は、前記熱可塑性エラストマーがフッ素系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項7に記載の表面離型性部材である。
請求項9に係る発明は、前記弾性体材料がシリコーンゴムであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項10に係る発明は、前記含フッ素高分子の共重合物が、含フッ素化合物の単量体同士の共重合で得られたものであることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項11に係る発明は、前記含フッ素高分子の共重合物が、含フッ素化合物の多量体同士の共重合で得られたものであることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項12に係る発明は、前記含フッ素高分子の共重合物が、含フッ素化合物の単量体と、含フッ素化合物の多量体との共重合で得られたものであることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項13に係る発明は、当該表面離型性部材が、フィルム状部材またはシート状部材を加圧するための表面離型性加圧部材である特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項14に係る発明は、当該表面離型性部材が、フィルム状またはシート状のワークに圧接してこれを加熱するための表面離型性加熱部材であって、内部または外部に加熱源を備えたものであること特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の表面離型性部材である。
【0026】
請求項15に係る発明は、請求項13に記載の表面離型性加圧部材及び/又は請求項14に記載の表面離型性加熱部材を備え、これらの加圧部材及び/又は加熱部材を用いて、フィルム状またはシート状のワークを挟圧加熱することを特徴とする加熱装置である。
請求項16に係る発明は、前記表面離型性加圧部材および前記加熱部材がローラ状のものであることを特徴とする請求項15に記載の加熱装置である。
請求項17に係る発明は、請求項13に記載の表面離型性加圧部材と、請求項14に記載の表面離型性加熱部材とを備え、これらの加圧部材と加熱部材とで、トナー像を担持した記録材を挟圧加熱することを特徴とする、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置である。
請求項18に係る発明は、前記表面離型性加圧部材が加圧ローラ、前記表面離型性加熱部材が定着ローラであることを特徴とする請求項17に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置である。
請求項19に係る発明は、前記表面離型性加圧部材が加圧ローラであり、前記表面離型性加熱部材が無端状定着ベルト、有端状定着シートまたは定着パッドであることを特徴とする請求項17に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置である。
請求項20に係る発明は、請求項18または19に記載の定着装置を備えていることを特徴とする電子写真式画像形成装置である。
【0027】
請求項21に係る発明は、含フッ素高分子の共重合物を主成分とする表層と、その内側に積層された弾性体材料からなる層とを備えている表面離型性部材であって、前記表層の表面がフッ素化処理されていることを特徴とする表面離型性部材である。
【0028】
請求項22に係る発明は、前記表層が、表面がフッ素化された導電性充填物を配合した含フッ素高分子の共重合物で形成されていることを特徴とする請求項21に記載の表面離型性部材である。
請求項23に係る発明は、前記導電性充填物が、炭素または炭素−炭素複合体の微粉体であることを特徴とする請求項22に記載の表面離型性部材である。
請求項24に係る発明は、表層が含フッ素高分子の共重合物と、弾性体材料との混合物で形成され、かつ前記表層の表面がフッ素化処理されていることを特徴とする表面離型性部材である。
【0029】
請求項25に係る発明は、前記フッ素化処理方法が、フッ化炭素ガスを用いたプラズマ処理法であることを特徴とする請求項21〜24のいずれかに記載の表面離型性部材である。
【0030】
請求項26に係る発明は、前記弾性体材料がフッ素系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項21〜25のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項27に係る発明は、前記弾性体材料がシリコーンゴムであることを特徴とする請求項21〜25のいずれかに記載の表面離型性部材である。
【0031】
請求項28に係る発明は、当該表面離型性部材が、フィルム状部材またはシート状部材を加圧するための表面離型性加圧部材である特徴とする請求項21〜27のいずれかに記載の表面離型性部材である。
請求項29に係る発明は、当該表面離型性部材が、フィルム状またはシート状のワークに圧接してこれを加熱するための表面離型性加熱部材であって、内部または外部に加熱源を備えたものであること特徴とする請求項21〜27のいずれかに記載の表面離型性部材である。
【0032】
請求項30に係る発明は、請求項28に記載の表面離型性加圧部材及び/又は請求項29に記載の表面離型性加熱部材を備え、これらの加圧部材及び/又は加熱部材を用いて、フィルム状またはシート状のワークを挟圧加熱することを特徴とする加熱装置である。
請求項31に係る発明は、前記表面離型性加圧部材および前記加熱部材がローラ状のものであることを特徴とする請求項30に記載の加熱装置である。
請求項32に係る発明は、請求項28に記載の表面離型性加圧部材と、請求項29に記載の表面離型性加熱部材とを備え、これらの加圧部材と加熱部材とで、トナー像を担持した記録材を挟圧加熱することを特徴とする、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置である。
請求項33に係る発明は、前記表面離型性加圧部材が加圧ローラ、前記表面離型性加熱部材が定着ローラであることを特徴とする請求項32に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置である。
請求項34に係る発明は、前記表面離型性加圧部材が加圧ローラであり、前記表面離型性加熱部材が無端状定着ベルト、有端状定着シートまたは定着パッドであることを特徴とする請求項32に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置である。
請求項35に係る発明は、請求項33または34に記載の定着装置を備えていることを特徴とする電子写真式画像形成装置である。
【0033】
【発明の実施の形態】
図1〜図12は第1発明の実施の形態を示し、図13〜図24は第2発明の実施の形態をそれぞれ示している。
【0034】
図1は本発明(第1発明)の表面離型性部材あるいは表面離型性加熱部材について、代表例として、電子写真式画像形成装置(例えば、乾式複写機、レーザープリンタ等)の加熱定着ローラを例にとった概略構成図である。本発明はローラ以外にも無端形状をもつ定着用のベルトやフィルム、有端状のシートやパッド、表面離型性を要求される加圧部材にも適用可能である。また、上記の部材ばかりでなく、フィルムを延伸加工する熱ローラ、押圧ローラなど表面の非粘着性を要求される部材にも利用可能である。
【0035】
図1の加熱定着ローラは、基体(芯金)1の表面に、弾性体材料と含フッ素高分子の共重合物とが含まれているオフセット防止層2を、表層として形成したものである。図2の加熱定着ローラは基体3の表面に、接着層としての耐熱性中間層4と、耐熱性TPEからなる弾性体層5と、含フッ素高分子の共重合物からなるオフセット防止層6をこの順に積層したものである。
【0036】
図3の加熱定着ローラは、基体7の表面に、接着層としての耐熱性中間層8と、耐熱性フッ素系TPEからなる弾性体層9と、含フッ素高分子の共重合物からなるオフセット防止層10と、耐熱性フッ素系TPEからからなる弾性体層9と、含フッ素高分子の共重合物からなるオフセット防止層10(合計5層)とを、この順に積層したものである。すなわち、図3の加熱定着ローラでは、弾性体層9とオフセット防止層10とからなる積層構造が2層組み合わせて設けられている。
【0037】
図4に示す加熱定着ローラは、基体11の表面に、接着層としての耐熱性中間層12と、オフセット防止層14とを、この順に積層したものである。このオフセット防止層14は、含フッ素高分子の共重合物14aの海に、弾性体材料(TPE)13が島状に分散した形態の海島構造となっている。また、図5に示す表面離型性加圧部材すなわち、表面離型性回転体(無端状ベルトまたはローラ)は、基体15の表面に、シリコーンゴムからなる弾性体層16と、接着層としての耐熱性中間層17と、含フッ素高分子の共重合物からなるオフセット防止層18とを、この順に積層したものである。
【0038】
上記オフセット防止層2,6,10,14または18中には、導電性充填剤として、図6(a)〜(c)に示す球形充填剤20、ファイバー状充填剤21、または不定形充填剤22を配合することが好ましい。
【0039】
図7に示す、表面離型性加熱部材および表面離型性加圧部材を備えた加熱装置は、フィルム状ワーク(延伸フィルム)25を走行させながら挟持加熱するためのもので、図2〜図5に示すローラまたは回転体(表面離型性部材)を加熱ローラ27および加圧ローラ28として用いている。符号26は加熱源である。上記加熱ローラ27は、図略の加熱源を内蔵している。
【0040】
図10は、例えば図8の表面離型性加熱部材(ヒートローラ)40と、図9の表面離型性加圧部材(加圧ローラ)42とを設けて構成した加熱定着装置を示す。この加熱定着装置は、顕画剤(トナー)44を担持した記録材(紙)43を、加熱部材40と加圧部材42とのニップ部を通過させる間に加熱してトナー44を定着するものである。上記加熱部材40は熱源41を備えている。
【0041】
また、図11は、図2〜図5に示すローラまたは回転体(表面離型性部材)を用いて構成した電子写真式画像形成装置の加熱定着装置を示す説明図である。図8、図9に示す符号について説明すると30は基体、31は中間層、33はオフセット防止層、34は基体、35は弾性体層、36は接着層、37はオフセット防止層である(構造の詳細は後記する)。
【0042】
本発明の実施の形態において加熱定着ローラは、図1のようなアルミニウム合金A5052等の基体(芯金)1の表面に、接着層であるプライマー層を塗布した後、その上にオフセット防止層2を被覆したものである。従来技術では、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)やPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の、粉体またはディスパージョンを塗布・焼成してオフセット防止層を形成していた。
【0043】
本発明の構成は、図2に示されるように、少なくとも1種類の耐熱性弾性体材料と、少なくとも1種類の含フッ素高分子の共重合物を含む材料を表面離型性材料とすることを特徴とする。図2の構成では、基体(アルミニウム合金)3上に耐熱性の中間層4(接着の役目をする)に弾性体層5として熱可塑性エラストマー(TPE)を用いる。この熱可塑性エラストマーはフッ素系TPEであって、フッ素ゴムとフッ素樹脂が結合した一種のポリマーアロイであり、分子中に互いに非相溶な硬質成分と軟質成分の両成分を有しているため、例えばフッ素樹脂であるPFAのみを焼成(焼成温度は約380℃)した場合と異なり、適度な弾性を具備する膜形成が可能である。フッ素系TPEの耐熱性は200℃程度(使用可能な最高温度)である。
【0044】
オフセット防止層6としては、含フッ素高分子の共重合物を用いる。PFAのようなフッ素樹脂の粉体材料を用いると、高温の焼成工程が入るため弾性体層を中間に積層したり、混在したりすることができない。本発明では、このようなPFA等の既存材料を用いず、高分子ポリマー溶液で含フッ素高分子のブロック共重合体を形成し、塗布・乾燥後に低温(150℃程度)で固定化できるため、弾性体層5の混在が容易である。図2では、含フッ素高分子の共重合体を最外層として用いている。表面が硬質な加熱定着ローラ(ハードローラ)に比べて、より低い加圧力で加熱定着ローラと加圧ローラ間のニップ幅が確保できるため、画像品質が良く、加圧力も低いため表面の摩耗に対しても有利である。
【0045】
図3は図2と同様に、含フッ素高分子の共重合体からなるオフセット防止層10と、その内側に弾性体層9とを積層するとともに、この弾性体層9の内側に、層10および9を積層して多重構造としたものである。基体7上には耐熱性中間層8を配設し、それに続く層を強固に固定化する。図3の構成では、図2に比べて弾性体の効果が大きく現れ、加圧力の低減が可能であるうえ、高速(高線速)な複写スピードが必要な場合には特に効果がある。
【0046】
図4は含フッ素高分子の共重合体をベースとして弾性体材料を混合したものである。この場合、含フッ素高分子の共重合体14aの海に対して、弾性体材料13が島状に混在される海島構造をとる。これをオフセット防止層14として用いている。この層は図3と同様に、基体11上に耐熱性中間層12を介して形成される。この場合の利点は、図2および図3で示されるような耐熱性TPEの弾性体層を成形する押出成形などの工程が不要になることである。
【0047】
図5は、図2〜図4とは異なる目的で、表面離型性とともに弾性を要求される場合の例である。ローラやドラムなどの回転体が代表例であるが、押出パッドのようなものであってもよい。プラスチックやフィルムの加工で非粘着性を要求される場合や、加熱定着系の離型性表面を維持する目的の場合に有効である。この場合、基体15上に接着層(図示せず)を介して弾性体層16が配設されている。加熱定着ローラの例ではシリコーンゴムが使用され、その上にPFAチューブが熱収縮被覆されるが、温度により、またはや経時的な変化でシリコーンゴム層とPFAチューブの剥離が起こる。これは、シリコーンゴムは一般に加硫工程が必要で、150℃〜200℃で硬化させることが必要であるが、シリコーンゴム組成物とフッ素樹脂との線膨張率の差から、ローラ表面上のPFAチューブに皺が生じることが多い。
【0048】
図5はこの難点を解決したものである。すなわち、シリコーンゴム上に中間層(接着層)17を介して含フッ素高分子の共重合体で形成されたオフセット防止層18を設けることで、PFAチューブ被覆の収縮や剥離の問題を解決している。図5のような加圧部材は、たとえば表面剥離性を要求される定着装置の加圧ローラとして用いられる。
【0049】
図2〜図5に見られるオフセット防止層には、図6に示すような充填剤が配合される。オフセット防止層は、含フッ素高分子の被膜であり、摩擦等による帯電現象によって負帯電する傾向がある。したがって、正に帯電したトナー(正帯電トナー)を画像形成プロセスに用いる場合、静電的付着現象(静電オフセット)を避けるため、充填剤は導電性を示す炭素材や、炭素−炭素複合体が良く、これらの具体例として球形充填剤20、ファイバー状充填剤21および不定形充填剤22が挙げられる。これらはオフセット防止層形成の過程で微粉体(サブミクロン〜数μm)の状態で混合され、膜の中に取り込まれる。オフセット防止層中に分散された炭素系材料または炭素−炭素複合材料の微粉体は、硬質の導電性充填剤であり、オフセット防止層の体積抵抗を所望の値にコントロールし、帯電による静電オフセットを防止するとともに、オフセット防止層の摩耗による損傷や劣化を防止する。
【0050】
本発明(第1発明)の構成の概要は上記のとおりであるが、以下、本発明の動作について従来技術と対比しながら説明する。
【0051】
(1)従来の加熱定着ローラでは、オフセット防止層は20〜30μm厚のフッ素樹脂膜(PFA)であり、400℃近くの高温焼成が必要である。この場合は、基本的にハードローラとなり、画質を確保するために大きな加圧力で定着部のニップ幅を確保することになり、摩耗に対しても不利な状況にある。
【0052】
本発明では、ポリマー溶液反応で含フッ素高分子の共重合物を作り、これを弾性体材料と混合して固定化(150℃程度の熱工程)することにより、または、上記共重合物の層を弾性体層上に積層することによりソフト成分が作用し、厚い弾性体を配設することなくソフトローラとして動作させることができる。また、利用のし方によっては、ソフト成分をもつ本発明のローラを対にして加熱定着装置の加熱部材、加圧部材として動作させることも可能である。
【0053】
(2)離型性部材でさらに弾性が必要とされるものは、分厚いシリコーンゴムを配設することなく、上記(1)のソフトローラと併用することによって、基体やシリコーンゴムの厚みを軽減した加圧部材とすることができる。
(3)表面離型性部材でさらに弾性が必要とされるものでは、最外層はチューブ被覆によらなくとも離型性が確保できるので、層同士の剥離や最外層の皺などの欠陥が生じない加圧部材としての動作が可能となる。
【0054】
図13は本発明(第2発明)の表面離型性部材あるいは表面離型性加熱部材について、代表例として、電子写真式画像形成装置(例えば、乾式複写機、レーザープリンタ当)の加熱定着ローラを例にとった概略構成図である。本発明はローラ以外にも、無端形状をもつ定着用のベルトやフィルム、有端状のシートやパッド、表面離型性を要求される加圧部材にも適用可能である。また、上記部材ばかりでなく、フィルムを延伸加工する熱ローラ、押圧ローラなど表面の非粘着性を要求される部材にも利用可能である。
【0055】
図13の加熱定着ローラは、基体(芯金)151の表面に、弾性体材料と含フッ素高分子の共重合物とが含まれている表層(オフセット防止層)152を形成した後、この表層(の表面)をフッ素化処理したものである。その他の構成は、図1の加熱定着ローラと同様である。
【0056】
図14の加熱定着ローラは基体153の表面に、接着層としての耐熱性中間層154と、耐熱性TPEからなる弾性体層155と、含フッ素高分子の共重合物からなるオフセット防止層156をこの順に積層した後、この表層をフッ素化処理したものである。符号157はオフセット防止層表面であり、その他の構成は、図2の加熱定着ローラと同様である。
【0057】
図13,14の加熱定着ローラでは、図15に示すように、オフセット防止層160を、含フッ素高分子の共重合物161aに導電性充填剤161bを配合した形態とすることが好ましい。この導電性充填剤の具体例としては、図16(a)〜(c)に示すように、球形充填剤162、ファイバー状充填剤163または不定形充填剤164であって、表面にフッ素化処理膜165を形成したものが望ましい。
【0058】
図17に示す加熱定着ローラは、図3の加熱定着ローラと同様に、オフセット防止層を多層に設けたものであり、最外層(表層)の表面であるオフセット防止層表面174をフッ素化処理している点で、図3のものと相違する。図17に記載の符号について説明すると、170は基体、171は耐熱性中間層(接着層)172は弾性体層(耐熱性フッ素系TPE)、173はオフセット防止層である。
【0059】
図18に示す加熱定着ローラは、図4の加熱定着ローラと同様に、オフセット防止層183が、含フッ素高分子の共重合体183aの海に、弾性体材料(耐熱性TPE)182を島状に混在させた海島構造をもつものである。ただし、最外層(表層)の表面であるオフセット防止層表面184をフッ素化処理している点で、図4のものと相違する。図18において符号180は基体、符号181は耐熱性中間層(接着層)である。
【0060】
図19に示す表面離型性加熱部材からなる加熱装置は、図7と同様に、フィルム状ワーク(延伸フィルム)186を走行させながら加熱するためのもので、図13、図14、図17、図18に示すローラまたは回転体(表面離型性部材)を加熱ローラ187および加圧ローラ188として用いている。符号189は加熱源である。上記加熱ローラ187は、図略の加熱源を内蔵している。
【0061】
図20の加圧部材は図5と同様のもので、基体190上に接着層(図示せず)を介して弾性体層191が配設され、その上に中間層(接着層)192およびオフセット防止層193がこの順に積層されている。この加圧部材は、最外層表面であるオフセット防止層表面194をフッ素化処理している点で、図5のものと相違している。
【0062】
図20の加圧部材は、シリコーンゴムの弾性体層191上に接着層192を介して含フッ素高分子の共重合体で形成されたオフセット防止層193を設けることで、PFAチューブ被覆の収縮や剥離の問題を解決している。図20のような加圧部材は、たとえば表面剥離性を要求される定着装置の加圧ローラとして用いられる。
【0063】
上記オフセット防止層193には、図15に示されるように、導電性充填剤161bが混合されている。図15で、オフセット防止層160は含フッ素高分子化合物161aの被膜であり、摩擦等による帯電現象によって負帯電する傾向がある。したがって、正に帯電したトナー(正帯電トナー)を画像形成プロセスに用いる場合、静電的付着現象(静電オフセット)を避けるため、充填剤は導電性を示す炭素材や炭素−炭素複合体が良い。図16(a)〜(c)に示す導電性充填剤162〜164は、オフセット防止層形成の過程で微粉体(サブミクロン〜数μm)の状態で混合され膜の中に取り込まれる。オフセット防止層中に分散された炭素系材料または、炭素−炭素複合材料の微粉体は硬質の導電性充填剤であり、オフセット防止層の体積抵抗を所望の値にコントローラし、帯電による静電オフセットを防止するとともに、オフセット防止層の摩耗による損傷や劣化を防止する。本発明では、図16に示される充填剤表面がフッ素化処理されていることを特徴としている。
【0064】
図23に示す加熱定着装置の構造は図10に示すものと同様で、図21のヒートローラ(加熱部材)210と、図22の加圧ローラ(加圧部材)212とを備えて構成されている。ただし、これらヒートローラおよび加圧ローラでは、最外層表面がフッ素化処理されている点で、それぞれ図8、図9に示すものと相違している。図21〜図23に記載の符号について説明すると、200は基体、201は中間層、202はオフセット防止層、203はシリコーンゴム弾性体層、204は接着層、211は熱源、213は記録材、214はトナーである。
【0065】
以上は、本発明(第2発明)の構成の概要であるが、動作について従来技術との対比で以下に説明する。
1)従来の熱定着ローラでは、オフセット防止層は20〜30μm厚のフッ素樹脂膜(PFA)であり、400℃近くの高温焼成が必要である。この場合は、基本的にハードローラとなり、画質を確保するために大きな加圧力で定着部のニップ幅を確保することになり、摩耗に対しても不利な状況にある。
【0066】
本発明は、ポリマー溶液反応で含フッ素高分子の共重合物を作り、これを弾性体材料と混合して固定化(150℃程度の熱工程)することにより、または弾性体層上に上記共重合物の層を積層することによりソフト成分が作用し、厚い弾性体を配設することなくソフトローラとして動作させることができる。本発明では、高い離型特性を示すオフセット防止層の表面をフッ素化処理することにより、低い表面自由エネルギーをもつ表面作用で物体の物理化学的付着を著しく低減させ、摩擦係数等のトライボロジー特性を大きく向上させることが可能となっている。また、利用のし方によっては、ソフト成分をもつ本発明のローラを対にして、表面離型に有利な加熱定着装置の加熱部材および加圧部材として動作させることも可能である。
【0067】
2)離型性部材でさらに弾性が必要とされるものは、分厚いシリコーンゴムを配設することなく、上記1)のソフトローラと併用することによって、基体の肉厚やシリコーンゴムの厚みを軽減した表面離型性加圧部材とすることが可能になっている。
3)面離型性部材でさらに弾性が必要とされるものは、最外層はチューブ被覆によらなくとも離型性が確保できるので、層同士の剥離や最外層の皺などの欠陥が生じない加圧部材としての動作が可能になっている。
【0068】
【実施例】
以下の実施例1〜9は第1発明に係るものであり、 実施例11〜20は第2発明に係るものである。
【0069】
実施例1
図2に示されるようにアルミニウム合金A5052等の基体3の表面にPAI等の耐熱性中間層4を塗布した後、その上に弾性体層4を概ね50〜100μmの膜厚で被覆する。弾性体層5は熱可塑性エラストマー(TPE)であり、望ましくはフッ素系の耐熱性TPEを用いる。これは、熱可塑性樹脂成形機によって容易に成形できる。例えばダイキン工業(株)のダイエルサーモプラスチックのブロックポリマーを用いた。
【0070】
弾性体層5の上には、オフセット防止層6として、含フッ素高分子の共重合体を形成している。作製法はフッ化ビニリデン単量体と、これと共重合しうる単量の混合物を使用した。フッ化ビニリデン単量体と共重合しうる単量体として撥水・撥油性(以下、撥水性と記す)に優れたもので、高いフッ素含有量を示すパーフルオロアルキレン化合物や、含フッ素アルキル基を置換基にもつ化合物(パーフルオロアルキル基を側鎖に含む)があり、より具体的には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンやPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)が用いられる。本発明の実施例はポリフッ化ビニリデン系ポリマーの溶液にPFAポリマーの溶液を加えた混合溶液を用いた。
【0071】
混合の割合は、含フッ素アルキル基を置換基にもつ化合物ポリマー含有量がポリフッ化ビニリデン系ポリマーに対して数%から40%の範囲である。ポリフッ化ビニリデン系ポリマーの溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどを用意し、濃度を5重量%から50重量%に調整する。一方、含フッ素アルキル基を置換基にもつ化合物ポリマーの溶媒として1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを用意し、ポリマー溶液を調製する。上記ポリマー溶液を用いてブロック共重合体を作製するが、共重合体の製造方法としては、一般に知られている重付加あるいは重縮合法、ラジカル重合、カップリング法が用いられる。このような共重合体はフッ化ビニリデン系ブロック共重合体の海構造と含フッ素高分子量体の島構造をもつ混合体となる。これはミクロ的な相分離構造を成しており、相反する性質が高度に調和して柔構造と機械的強度、耐久性の両方の性質を併せ持つことが可能である。
【0072】
このように作られたブロック共重合体を塗膜マトリックス樹脂の原料とし、さらに図6に示されるような導電性充填剤を2〜4重量%混合して水溶性ディスパージョンを作る。これをスプレーや浸漬などの塗布手段で15〜30μmの厚さに塗布して150℃の温度で数十分乾燥・焼成後に冷却してローラに固定化する。冷却後は表面を研磨テープ等で磨いて表面を、表面粗さRaが0.8μm程度となるように平坦化する。
【0073】
実施例2
図3は図2の形態を拡張したもので、作製法は同様である。アルミニウム合金A5052等の基体7の表面に耐熱性中間層8を塗布した後、その上に弾性体層9を概ね20〜40μmの膜厚で被覆する。弾性体層9はフッ素系の耐熱性TPEを用い、例えばダイキン工業(株)のダイエルサーモプラスチックのブロックポリマーを用いて成形加工した。弾性体層9上には、オフセット防止層10として、含フッ素高分子の共重合体を15〜20μm厚で形成し、この層構成を数回繰り返して積層体を作製した。
【0074】
含フッ素高分子の共重合体の作製法は、フッ化ビニリデン単量体と共重合しうる単量体としてテトラフルオロエチレンの単量体を使用した。ポリフッ化ビニリデン系ポリマーの溶液にテトラフルオロエチレンポリマーの溶液を加えた混合溶液を用いた。混合の割合は、パーフルオロアルキレン基を置換基にもつ化合物ポリマー含有量がポリフッ化ビニリデン系ポリマーに対して数%から50%の範囲である。ポリフッ化ビニリデン系ポリマーの溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどを用意し、濃度を5重量%から50重量%に調整する。一方、パーフルオロアルキレン基を置換基にもつ化合物ポリマーの溶媒として1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロエタンを用意し、ポリマー溶液を調製する。上記ポリマー溶液を用いてブロック共重合体を作製するが、共重合体の製造方法としては、一般に知られている重付加あるいは重縮合法、ラジカル重合が用いられる。このように作られたブロック共重合体を塗膜マトリックス樹脂の原料とし、表面に導電性が必要な部材に対してはさらに、図6に示される導電性充填剤を2〜3重量%混合して水溶性ディスパージョンを作る。これをスプレーや浸漬などの塗布手段で塗布し、150℃の温度で数十分乾燥・焼成後に冷却してローラに固定化する。
【0075】
実施例3
図2および図3に示される層構成で、含フッ素高分子の共重合体は含フッ素高分子単量体同士だけではなく、含フッ素高分子多量体同士、あるいは単量体と多量体の共重合でも同様なことが可能である。一例として、TFEオリゴマー微粉体を用いる。TFEオリゴマー微粉体はポリテトラフルオロエチレン粉末をフッ素ガス雰囲気中でフッ素化処理したもので、分子鎖の末端までフッ素で置換したものである。このTFEオリゴマー微粉体を適切な溶媒に溶かし、ポリマー溶液としてPFAのポリマー溶液と混合し、ブロック共重合体を作製した。また、フッ化ビニリデン単量体とTFEオリゴマーとのブロック共重合体も適切な溶媒を用いることで可能である。TFEオリゴマーと他の含フッ素高分子多量体の組み合わせでは、たとえば、パーフルオロプロピルエーテルオリゴマーなどが挙げられる。
【0076】
実施例4
図4は実施例1〜実施例3で含フッ素高分子の共重合体を形成する際に耐熱性TPE、例えばダイキン工業(株)のダイエルサーモプラスチックのブロックポリマーを混合した混合物を形成する。この場合、耐熱性フッ素系TPEのブロックポリマーと含フッ素高分子共重合体は非相溶性のままとなり、含フッ素高分子共重合体の海構造中に、耐熱性フッ素系TPEポリマー粒体が島状に浮かんだ構造となる。図4で基体11上に耐熱性中間層12を接着層として、上に示された混合物の形態でオフセット防止層14を形成する。
【0077】
実施例5
図5は、基体15上に接着層(図示せず)を介してシリコーンゴム弾性層体層16を300μm〜数mmの厚さに被覆したのち、中間層17を配設したのち、実施例1などの方法でオフセット防止層を形成した実施例である。PFAチューブを最外層として被覆する場合と異なり、フッ化ビニリデン系ブロック共重合体の海構造と含フッ素高分子量体の島構造をもつ混合体を実施例1の方法によって形成した場合には、シリコーンゴム層への固定化が低温(150℃程度)で行えるため、下層の変性や劣化を招くことなくオフセット防止層が15〜30μmの厚さで形成される。
【0078】
実施例6
図7は実施例1〜実施例5の方法で得られた表面離型性部材を加熱ローラとして用いた一例である。プラスチックフィルムの延伸加工でのローラ表面については、加熱工程でフィルムの加工を行うと同時に、ローラへの巻き付きやワーク25の皺発生を防止するため離型性が要求される。加熱源を具備するローラ形状の加熱体27と、圧力を加えるローラ形状の加圧体28の間に挟持・搬送されるワーク25を補助加熱源26で加熱しながら加工する。加圧体28は、実施例5と同様な方法でやや厚い弾性体層を具備したローラであり、加熱体27は、例えば実施例1と同様な方法で作製された表面離型性加熱部材である。
【0079】
実施例7
図10は加熱定着装置の実施例を示す。この定着装置の具体的利用先は、電子写真式画像形成装置である乾式複写機やレーザープリンタのトナー画像定着装置である。図8は内部に加熱源(図略)を具備したヒートローラ40である。アルミニウム合金等の円筒形の基体30に中間層31を介してオフセット防止層33が形成されている。このオフセット防止層33は実施例1〜実施例4のいずれかの方法で作製されたものである。
【0080】
図9はやや厚いシリコーンゴムの弾性体層35を有する加圧ローラ42であり、基体34上に弾性体層35、接着層36およびオフセット防止層37を積層したものである。作製方法は実施例5に示される方法と同様である。内部に熱源41を有する加熱部材として図8で示されるヒートローラ40を用い、加圧部材として図9で示される加圧ローラ42を用いた加熱定着装置が、図10に示すものである。表面離型性部材40および42に挟持・搬送される記録材43上の、未定着画像を構成する顕画剤(トナー)44は、両部材の接点で加熱定着される。この接点では、定着ニップと呼ばれる一定の面積で加熱押圧され、トナーが記録材上に固定される。
【0081】
従来の技術、例えば金属基体上にPFA樹脂のみの被膜30μm厚で作製された加熱部材40の表面硬度が、マイクロゴム硬度で80度以上あったのに対し、本発明の実施例5で作製された加熱部材40のマイクロゴム硬度は62度であった。また、本発明の実施例5で作製された加圧部材42のマイクロゴム硬度は41度であった。また本発明の実施例2で作製された部材表面のマイクロゴム硬度は48度であったため、シリコーンゴムを弾性体層とした加圧部材を用いなくても、加圧部材42として使用することに何ら支障はなかった。
【0082】
実施例8
図11は、実施例7と同様に電子写真式画像形成装置の加熱定着装置に用いた例である。記録材55上の顕画剤(トナー)56は、下部加圧ローラ54と上部加圧ローラ52の間にあり、かつ循環走行する無端状の定着ベルト50によって加熱定着される。定着ベルト50は熱源51によって、定着時は加熱定着に適する温度に保持される。未定着画像の定着を確実に行うため上部加圧ローラ52内に圧力印加部材53が配設されている。この定着装置の機能は実施例7の定着装置と同様であり、本発明によって無端状ベルトの基体上に形成されたオフセット防止層は、従来法によった定着ベルトと比べて表面のマイクロゴム硬度が20%低くなったうえ、圧力印加部材53で押圧する加圧力を15%低減させても同一の定着品質が確保できた。このため同一期間、同一複写枚数に対しても、ベルト表面の割れや皺の発生が確認できなかった。
【0083】
実施例9
図10に示す定着装置を搭載してなる、図12の電子写真式画像形成装置を稼動評価した。従来技術との比較を行うため、直径40mmの定着ローラ(加熱定着部材)と直径55mmの加圧ローラ(加圧定着部材)について、定着装置の構成部材の組み合わせを以下のようにして評価した結果、[表1]のようになった。この[表1]において、◎は「特性が非常に良い」、○は「特性が良い」、△は「特性がやや良い」、×は「特性が不十分」をそれぞれ意味する(後記[表2]においても同じ)。
【0084】
【表1】
Figure 2004115564
【0085】
表1において、符号A−1〜G−1およびX−1で示す定着装置の構成は、それぞれ以下のとおりである。
・A−1:本発明の実施例1で作製した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・B−1:本発明の実施例2で作製した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・C−1:本発明の実施例3で作製した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・D−1:本発明の実施例4で作製した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・E−1:本発明の実施例1で作製した定着ローラと、本発明の実施例2で作製した加圧ローラとで構成した定着装置
・F−1:本発明の実施例1で作製した定着ローラと、本発明の実施例5で作製した加圧ローラとで構成した定着装置
・G−1:本発明の実施例2で作製した定着ローラと、本発明の実施例5で作製した加圧ローラとで構成した定着装置
・X−1:PFAの粉体を静電塗装して焼成した定着ローラとシリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラで構成した定着装置
【0086】
実施例11
図14に示す構造の加熱定着ローラを、実施例1と同一の手順・条件で作製した。実施例1との相違点は、オフセット防止層表面157をフッ素化処理したことである。
【0087】
実施例12
図16に示される導電性充填剤は、特に炭素−炭素複合体が良く、これらの充填剤には球形充填剤162、ファイバー状充填剤163および不定形充填剤164がある。炭素系材料は一般にC−C結合が強く、ぬれにくい性質を持つ。そのため炭素と炭素(C−C)複合体を作るために、あらかじめ電解酸化で表面処理を行って複合化し、その後でフッ素ガスに直接接触させて表面フッ素化処理を行う。実施例11のオフセット防止層材料に混合する前には、フッ素ガスを用いたフッ素化処理を行った。フッ素圧4Pa、25℃、8分の処理を行い、ぬれ性が改善されたためマトリックス化合物への分散性が向上した。
【0088】
実施例13
図17に示す加熱定着ローラを実施例2と同一の手順・条件で作製した。実施例2との相違点は、オフセット防止層表面174をフッ素化処理したことである。
【0089】
実施例14
図14および図17に示される層構成で、含フッ素高分子の共重合体は含フッ素高分子単量体同士だけではなく、含フッ素高分子多量体同士、あるいは単量体と多量体の共重合でも同様なことが可能である。一例としてTFEオリゴマー微粉体を用いる。TFEオリゴマー微粉体はポリテトラフルオロエチレン粉末をフッ素ガス雰囲気中でフッ素化処理したもので、分子鎖の末端までフッ素で置換したものである。このTFEオリゴマー微粉体を適切な溶媒に溶かし、ポリマー溶液としてPFAのポリマー溶液と混合し、ブロック共重合体を作製した。また、フッ化ビニリデン単量体とTFEオリゴマーとのブロック共重合体も適切な溶媒を用いることで可能である。TFEオリゴマーと他の含フッ素高分子多量体の組み合わせとしては、たとえば、パーフルオロプロピルエーテルオリゴマーなどが挙げられる。この場合も上記の実施例と同様にオフセット防止層表面にフッ素化処理を施した。
【0090】
実施例15
図18は含フッ素高分子の共重合体を形成する際に耐熱性TPE、例えばダイキン工業(株)のダイエルサーモプラスチックのブロックポリマーを混合した混合物を形成する。この場合、耐熱性フッ素系TPEのブロックポリマーと含フッ素高分子共重合体は非相溶性のままとなり、含フッ素高分子共重合体の海構造に、耐熱性フッ素系TPEポリマー粒体が島状に浮かんだ構造となる。図18で基体180上に耐熱性中間層181を接着層として、上記した混合物の形態でオフセット防止層183を形成している。この場合も上記の実施例と同様にオフセット防止層表面にフッ素化処理を施した。
【0091】
実施例16
図20は、基体190上に接着層(図示せず)を介してシリコーンゴム弾性体層191を300μm〜数mmの厚さに被覆し、中間層192を配設したのち、実施例11などの方法でオフセット防止層を形成した実施例である。PFAチューブを最外層として被覆する場合と異なり、フッ化ビニリデン系ブロック共重合体の海構造と含フッ素高分子量体の島構造をもつ混合体を実施例11の方法によって形成した場合には、シリコーンゴム層への固定化が低温(150℃程度)で行えるため、下層の変性や劣化を招くことなくオフセット防止層が15〜30μmの厚さで形成されている。この場合も上記の実施例と同様にオフセット防止層表面にフッ素化処理を行った。
【0092】
実施例17
図24は、上記の実施例で示したオフセット防止層表面をフッ素化処理する具体的方法の説明図である。一例として、円筒状の表面離型性部材(ローラ)の表面処理を行う例を示す。フッ素化の前に気相で部材表面の酸化処理を行う。フッ素化処理前の酸化処理は図24に示されるよる気相酸化法によって行った。真空容器270内のプラズマ源282に酸素、オゾン、窒素酸化物等のガスをガス導入系283から導入し、プラズマ化したガスを定着用回転体である定着用部材274を回転させながら照射する。符号276は部材の保持機構、符号275はローラの回転駆動系、符号277はその制御装置である。
【0093】
真空容器270は真空排気装置272、真空バルブ273を用いて真空状態にされる。符号278は加熱用ヒータ、符号279はその電源である。プラズマ源は種々の方式が利用可能であるが磁場発生装置280、マイクロ波発生装置281を具備した有磁場マイクロ波プラズマ発生装置を使用した。プラズマは200Wの出力で5分間放電を行い酸化処理を行った。気相の酸化処理の後にフッ素系ガスをガス導入系271から導入し5×1.33Paの圧力下で部材274を回転しながら30℃、10分間実施した。部材274の加熱にはヒータ278を用いている。これによってC−F共有結合を形成しえない温度で−CF 基の生成を行うことができた。このように表面処理されたローラの特性を調べたところ、水に対する静的接触角が118度以上、マイクロゴム硬度が41〜52度、動摩擦係数が0.051となった。
【0094】
実施例18
図19は、上述の実施例に示された方法で得られた表面離型性部材を加熱ローラとして用いた一例である。プラスチックフィルムの延伸加工でローラ表面については、加熱工程でフィルムの加工を行うと同時に、ローラへの巻き付きやワークの皺発生のため離型性が要求される。加熱源を具備するローラ形状の加熱体187と圧力を加えるローラ形状の加圧体188の間に挟持・搬送されるワーク186を補助加熱源189で加熱しながら加工する。加圧体188は、実施例16と同様な方法でやや厚い弾性体層を具備したローラであり、加熱体187は、例えば実施例11と同様な方法で作製された表面離型性加熱部材である。
【0095】
実施例19
図21〜図23は、加熱定着装置の実施例を示す。この定着装置の具体的利用先は、電子写真式画像形成装置である乾式複写機やレーザープリンタのトナー画像定着装置である。図21は内部に加熱源を具備したヒートローラ210である。アルミニウム合金等の円筒形の基体200に中間層201を介してオフセット防止層202が形成されている。このオフセット防止層は実施例11〜実施例14のいずれかの方法で作製されたものである。図22はやや厚いシリコーンゴムの弾性体層203を有する加圧ローラ212である。基体200上に弾性体層203、接着層204、およびオフセット防止層202がある。作製方法は上述の実施例に示される方法と同様である。図21で示される部材を、内部に熱源(図略)を有する加熱部材210として用い、図22で示される部材を加圧部材212として用いた加熱定着装置を図23に示す。
【0096】
表面離型性部材210および212に挟持・搬送される記録材213にある未定着画像を構成する顕画剤(トナー)214は両部材の接点で加熱定着される。この接点では定着ニップと呼ばれる一定の面積で加熱押圧され、トナーが記録材上に固定される。従来の技術、例えば金属基体上にPFA樹脂のみの被膜30μm厚で作製された加熱部材210の表面硬度が、マイクロゴム硬度で80度以上あったのに対し、本発明の実施例11で作製された加熱部材210のマイクロゴム硬度は61度であった。また、本発明の実施例16で作製された加圧部材212のマイクロゴム硬度は43度であった。また本発明の実施例13で作製された部材表面のマイクロゴム硬度は47度であったため、シリコーンゴムを弾性体層として用いた加圧部材を用いずとも、加圧部材212として使用することに何ら支障はなかった。
【0097】
実施例20
図23に示す定着装置を搭載して図12の電子写真式画像形成装置を稼動評価した。従来技術との比較を行うため、直径40mmの定着ローラ(加熱定着部材)と直径55mmの加圧ローラ(加圧定着部材)について、定着装置を構成する部材の組み合わせを以下のようにして評価した結果、下記[表2]のようになった。
【0098】
【表2】
Figure 2004115564
【0099】
・A−2:本発明の実施例11で作製した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・B−2:本発明の実施例11で作製した定着ローラであるが、ローラ表面のフッ素化処理を行わなかったものと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・C−2:本発明の実施例13で作製した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・D−2:本発明の実施例13で作製した定着ローラであるが、ローラ表面のフッ素化処理を行わなかったものと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
・E−2:本発明の実施例13で作製した定着ローラと、本発明の実施例16で作製した加圧ローラとで構成した定着装置
・F−2:本発明の実施例14で作製した定着ローラと、本発明の実施例16で作製した加圧ローラとで構成した定着装置
・G−2:本発明の実施例15で作製した定着ローラと、本発明の実施例13で作製した加圧ローラとで構成した定着装置
・X−2:PFAの粉体を静電塗装し焼成した定着ローラと、シリコーンゴム弾性体層にPFAチューブを被覆した加圧ローラとで構成した定着装置
【0100】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば以下の効果が得られる。
(1)請求項1に係る発明の効果
本発明の表面離型性材料は、ハードセグメントとソフトセグメントという、相反する性質をもつ成分を含有しているので、表面がトナー等に対して優れた離型性を発揮する。この表面離型性材料は同時に、適切な弾性を保持するものであるから、表面への機械的ストレスに対して充分な耐摩耗性および耐擦傷性を発揮する。
【0101】
(2)請求項2〜12に係る発明の効果
これらの発明の表面離型性部材は、表層中に含フッ素高分子の共重合体を含有しているから、優れた表面剥離性を発揮すると同時に、この表層中または、表層より内側の層中に弾性材料を含有しているから、請求項1の表面離型性材料と同様に、優れた耐摩耗性および耐擦傷性を発揮する。また、弾性体材料として、熱可塑性エラストマーやシリコーンゴムを用いるので、高温加硫等の工程が不要であり、エネルギー消費量が少ない部材作製法が実現できる。さらに熱可塑性エラストマーは、そのスクラップの再利用が可能であるため、資源の有効利用が可能である。
【0102】
また、請求項3,4の発明では単一の層(単一被膜)により表面剥離性、耐摩耗性および耐擦傷性が得られるので、部材作製工程の削減や、材料使用量の低減が可能となる。また、フッ素系熱可塑性エラストマーを混合した含フッ素高分子の共重合体により表層を形成した場合には、フッ素を含む官能基の作用により、表面の離型性が特に高まる。
請求項5,6の表面離型性部材では、表面に摺擦による帯電が生じても、この静電気を的確に放電させることができる。また、請求項5,6の発明において導電性充填剤は硬質粒であるから、表面離型性部材表面の機械的摩耗を防止する機能を発揮する。
さらに、請求項9の発明ではシリコーンゴム弾性層上に、低温で形成可能かつシリコーンゴムとの良好な密着性をもつ表層が形成されているため、高寿命な表面離型性部材を提供することができる。さらに、請求項10〜12の発明では、含フッ素高分子の共重合体を含有する表層を低温処理によって形成できるため、充填剤や他の材料を混合することによる機能の複合化が容易となる。
【0103】
(3)請求項13〜20に係る発明の効果
これらの発明に係る加圧部材、加熱部材、加熱装置および加熱定着装置は、上記表面離型性部材からなるものであるため、この表面離型性部材による各種特性、すなわち表面離型性(特にトナー離型性)、耐摩耗性および耐擦傷性、放電特性を発揮するうえ、これらの加圧部材、加熱部材等を簡便な製造工程で安価に製造することができる。また、ワークを狭圧するニップ圧力を低く設定することが可能となり、ワークの加圧工程、加熱工程やトナー画像の加熱定着工程の高速化が実現できるとともに加圧部材、加熱部材の耐久性を高めることができる。
また、本発明に係る加圧部材では、加圧対象物に対応する適切な弾性と高度な表面離型特性とを具備することで、加圧対象物を加熱加工する場合に、これに損傷や変形を与えることなくスムーズに加工できる加熱装置が提供できる。また、本発明に係る加熱定着装置(請求項5,6を参照)によれば、帯電に起因するトナー等の静電的付着を、したがってオフセット画像を的確に防止することができる。
さらに本発明によれば、高度な弾性が要求される表面離型性部材が実現でき、他の表面離型性部材との併用により、低い加圧力で大きなニップ幅が確保でき、電子写真式画像形成装置の定着画質の向上と高耐久化が容易に実現できる。
【0104】
(4)請求項21〜35に係る発明の効果
これらの発明(第2発明)に係る表面離型性部材や、この表面離型性部材を用いた表面離型性加圧部材、表面離型性加熱部材、加熱装置および加熱定着装置では、上記第1発明の構成に加えて、表層表面をフッ素化処理するという構成を具備している。このため、第1発明(請求項1〜20)による種々の効果が得られるうえ、低い表面自由エネルギーをもつ表面作用により物体の物理化学的付着を著しく低減させ、摩擦係数等のトライボロジー特性を大きく向上させる(たとえば動摩擦係数の低下)ことが可能となる。
【0105】
とくに、請求項22に係る表面離型性部材では、導電性充填剤が凝集しにくくなっているため充填剤の分散が均一となり、表層表面の特性均一性を確保することができる。また、請求項25に係る表面離型性部材では、表層(オフセット防止層)のフッ素化処理をプラズマの物理化学的作用を用いて行う。この結果、表面の分子鎖が切断された部分には−CF 基が形成され、表面自由エネルギーが低下する。また、フッ素化処理によって機械的特性が更に改善され低摩擦係数で、耐摩耗性に富んだ表面が実現できる。また、プラズマ処理は、廃液を伴わない処理法であるため、処理に係る廃棄物などの環境負荷が非常に少ない。
さらに、本発明によれば、高度な表面離型性と適度な弾性とを具備する定着用回転体(ローラ状またはベルト状)を離型部材として用いることにより、低加圧力でも広いニップ幅が確保できて良好な画質を実現することができるうえ、加圧力による表面の損傷や変形が抑制され、高耐久性の加熱定着装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明に係る加熱定着ローラの基本的構造を示す斜視図である(以下、図2〜図12は第1発明の実施の形態を示す)。
【図2】本発明の実施の形態に係る加熱定着ローラを示す模式的断面図である。
【図3】本発明の別の実施の形態に係る加熱定着ローラを示す模式的断面図である。
【図4】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱定着ローラを示す模式的断面図である。
【図5】本発明の更に別の実施の形態に係る加圧ローラを示す模式的断面図である。
【図6】図2〜図5のオフセット防止層内に配合される各種導電性充填剤の形状を示す説明図である。
【図7】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱装置を示す軸断面図である。
【図8】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱ローラを示す軸断面図である。
【図9】本発明の更に別の実施の形態に係る加圧ローラを示す軸断面図である。
【図10】本発明に係る加熱定着装置の構造説明図であって、加熱部材および加圧部材を軸断面図で示すものである。
【図11】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱定着装置を示す模式的断面図である。
【図12】本発明の更に別の実施の形態に係る、電子写真式の画像形成装置を要部構造を示す説明図である。
【図13】第2発明に係る加熱定着ローラの基本的構造を示す斜視図である(以下、図14〜図24は第2発明の実施の形態を示す)。
【図14】本発明の実施の形態に係る加熱定着ローラを示す模式的断面図である。
【図15】本発明の別の実施の形態に係る、加熱定着ローラまたは加圧ローラの最外層(オフセット防止層)の構造を示す模式的断面図である。
【図16】図15に示すオフセット防止層に配合される各種導電性充填剤の形状を示す説明図である。
【図17】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱定着ローラを示す模式的断面図である。
【図18】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱定着ローラを示す模式的断面図である。
【図19】本発明に係る加熱ローラおよび加圧ローラを備えた加熱装置を示す説明図である。
【図20】本発明の更に別の実施の形態に係る加圧ローラを示す軸断面図である。
【図21】本発明の更に別の実施の形態に係る加熱ローラを示す軸断面図である。
【図22】本発明の更に別の実施の形態に係る加圧ローラを示す軸断面図である。
【図23】本発明に係る加熱定着装置の構造説明図であって、加熱部材および加圧部材を軸断面図で示すものである。
【図24】本発明の実施例で使用したフッ素化処理装置の構造を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基体(芯金)
2 オフセット防止層
3 基体(アルミニウム合金)
4 耐熱性中間層
5 弾性体層
6 オフセット防止層
7 基体
8 耐熱性中間層
9 弾性体層
10 オフセット防止層
11 基体
12 耐熱性中間層
13 弾性体材料
14 オフセット防止層
14a 含フッ素高分子の共重合体
15 基体
16 弾性体層
17 中間層(接着層)
18 オフセット防止層
20 球形充填剤
21 ファイバー状充填剤
22 不定形充填剤
25 ワーク
26 補助加熱源
27 加圧体
28 加熱体
30 基体
31 中間層
33 オフセット防止層
34 基体
35 弾性体層(シリコーンゴム)
36 接着層
37 オフセット防止層
40 加熱部材(ヒートローラ)
41 熱源
42 加圧部材(加圧ローラ)
43 記録材(紙)
44 顕画剤(トナー)
50 無端状の定着ベルト
51 熱源
52 上部加圧ローラ
53 圧力印加部材
54 下部加圧ローラ
55 記録材
56 顕画剤(トナー)
151 基体(芯金)
152 オフセット防止層
153 基体
154 耐熱性中間層
155 弾性体層
156 オフセット防止層
157 オフセット防止層表面
160 オフセット防止層
161a 含フッ素高分子化合物
(含フッ素高分子の共重合物)
161b 導電性充填剤
162 球形充填剤
163 ファイバー状充填剤
164 不定形充填剤
165 フッ素化処理膜
170 基体
171 耐熱性中間層(接着層)
172 弾性体層
173 オフセット防止層
174 オフセット防止層表面
180 基体
181 耐熱性中間層(接着層)
182 弾性体材料
183 オフセット防止層
183a 含フッ素高分子の共重合体
184 オフセット防止層表面
186 フィルム状ワーク
187 加熱ローラ
188 加圧ローラ
189 補助加熱源
190 基体
191 シリコーンゴム弾性体層
192 中間層(接着層)
193 オフセット防止層
194 オフセット防止層表面
200 基体
201 中間層
202 オフセット防止層
203 シリコーンゴム弾性体層
204 接着層
210 加熱ローラ
211 熱源
212 加圧ローラ
213 記録材
214 顕画剤(トナー)

Claims (35)

  1. 少なくとも含フッ素高分子の共重合物と弾性体材料とを含有する混合物からなることを特徴とする表面離型性材料。
  2. 含フッ素高分子の共重合物を主成分とする表層と、その内側に積層された弾性体材料からなる層とを備えていることを特徴とする表面離型性部材。
  3. 前記表層が含フッ素高分子の共重合物と、弾性体材料との混合物で形成されていることを特徴とする表面離型性部材。
  4. 前記混合物が、含フッ素高分子の共重合物の海に弾性体材料が島状に分散した海島構造のものであることを特徴とする請求項3に記載の表面離型性部材。
  5. 前記表層が、導電性充填物を配合した含フッ素高分子の共重合物で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の表面離型性部材。
  6. 前記表層が含フッ素高分子の共重合物と、弾性体材料と、導電性充填物との混合物で形成されていることを特徴とする請求項5に記載の表面離型性部材。
  7. 前記弾性体材料が熱可塑性エラストマーであることを特徴とする2〜6のいずれかに記載の表面離型性部材。
  8. 前記熱可塑性エラストマーがフッ素系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項7に記載の表面離型性部材。
  9. 前記弾性体材料がシリコーンゴムであることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の表面離型性部材。
  10. 前記含フッ素高分子の共重合物が、含フッ素化合物の単量体同士の共重合で得られたものであることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の表面離型性部材。
  11. 前記含フッ素高分子の共重合物が、含フッ素化合物の多量体同士の共重合で得られたものであることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の表面離型性部材。
  12. 前記含フッ素高分子の共重合物が、含フッ素化合物の単量体と、含フッ素化合物の多量体との共重合で得られたものであることを特徴とする請求項2〜9のいずれかに記載の表面離型性部材。
  13. 当該表面離型性部材が、フィルム状部材またはシート状部材を加圧するための表面離型性加圧部材である特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の表面離型性部材。
  14. 当該表面離型性部材が、フィルム状またはシート状のワークに圧接してこれを加熱するための表面離型性加熱部材であって、内部または外部に加熱源を備えたものであること特徴とする請求項2〜12のいずれかに記載の表面離型性部材。
  15. 請求項13に記載の表面離型性加圧部材及び/又は請求項14に記載の表面離型性加熱部材を備え、これらの加圧部材及び/又は加熱部材を用いて、フィルム状またはシート状のワークを挟圧加熱することを特徴とする加熱装置。
  16. 前記表面離型性加圧部材および前記加熱部材がローラ状のものであることを特徴とする請求項15に記載の加熱装置。
  17. 請求項13に記載の表面離型性加圧部材と、請求項14に記載の表面離型性加熱部材とを備え、これらの加圧部材と加熱部材とで、トナー像を担持した記録材を挟圧加熱することを特徴とする、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置。
  18. 前記表面離型性加圧部材が加圧ローラ、前記表面離型性加熱部材が定着ローラであることを特徴とする請求項17に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置。
  19. 前記表面離型性加圧部材が加圧ローラであり、前記表面離型性加熱部材が無端状定着ベルト、有端状定着シートまたは定着パッドであることを特徴とする請求項17に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置。
  20. 請求項18または19に記載の定着装置を備えていることを特徴とする電子写真式画像形成装置。
  21. 含フッ素高分子の共重合物を主成分とする表層と、その内側に積層された弾性体材料からなる層とを備えている表面離型性部材であって、前記表層の表面がフッ素化処理されていることを特徴とする表面離型性部材。
  22. 前記表層は、表面がフッ素化された導電性充填物を配合した含フッ素高分子の共重合物で形成されていることを特徴とする請求項21に記載の表面離型性部材。
  23. 前記導電性充填物は、炭素または炭素−炭素複合体の微粉体であることを特徴とする請求項22に記載の表面離型性部材。
  24. 表層が含フッ素高分子の共重合物と、弾性体材料との混合物で形成され、かつ前記表層の表面がフッ素化処理されていることを特徴とする表面離型性部材。
  25. 前記フッ素化処理方法が、フッ化炭素ガスを用いたプラズマ処理法であることを特徴とする請求項21〜24のいずれかに記載の表面離型性部材。
  26. 前記弾性体材料がフッ素系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項21〜25のいずれかに記載の表面離型性部材。
  27. 前記弾性体材料がシリコーンゴムであることを特徴とする請求項21〜25のいずれかに記載の表面離型性部材。
  28. 当該表面離型性部材が、フィルム状部材またはシート状部材を加圧するための表面離型性加圧部材である特徴とする請求項21〜27のいずれかに記載の表面離型性部材。
  29. 当該表面離型性部材が、フィルム状またはシート状のワークに圧接してこれを加熱するための表面離型性加熱部材であって、内部または外部に加熱源を備えたものであること特徴とする請求項21〜27のいずれかに記載の表面離型性部材。
  30. 請求項28に記載の表面離型性加圧部材及び/又は請求項29に記載の表面離型性加熱部材を備え、これらの加圧部材及び/又は加熱部材を用いて、フィルム状またはシート状のワークを挟圧加熱することを特徴とする加熱装置。
  31. 前記表面離型性加圧部材および前記加熱部材がローラ状のものであることを特徴とする請求項30に記載の加熱装置。
  32. 請求項28に記載の表面離型性加圧部材と、請求項29に記載の表面離型性加熱部材とを備え、これらの加圧部材と加熱部材とで、トナー像を担持した記録材を挟圧加熱することを特徴とする、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置。
  33. 前記表面離型性加圧部材が加圧ローラ、前記表面離型性加熱部材が定着ローラであることを特徴とする請求項32に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置。
  34. 前記表面離型性加圧部材が加圧ローラであり、前記表面離型性加熱部材が無端状定着ベルト、有端状定着シートまたは定着パッドであることを特徴とする請求項32に記載の、電子写真式画像形成装置の加熱定着装置。
  35. 請求項33または34に記載の定着装置を備えていることを特徴とする電子写真式画像形成装置。
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