JP6390304B2 - 樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
樹脂Aおよび熱伝導性充填剤を含む繊維(A)と、樹脂Bを含み、且つ熱伝導性充填剤を含まないか又は前記繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で熱伝導性充填剤を含む繊維(B)と、が三次元的に絡み合った構造を有する管状の繊維集合体、
並びに該管状の繊維集合体の空隙に含まれ、前記樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂Cを有する樹脂管状体である。
前記樹脂Cがフッ素含有樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂管状体である。
前記樹脂Aおよび樹脂Bが、ポリイミド、およびポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の樹脂管状体である。
前記繊維(A)における前記熱伝導性充填剤の含有率が体積分率で10体積%以上50体積%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂管状体である。
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂管状体を含む定着部材を備えた定着装置である。
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を記録媒体に定着する請求項5に記載の定着装置である定着手段と、
を少なくとも備える画像形成装置である。
なお、図面を用いて説明する場合、実質的に同一の機能を有する部材には、同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
本実施形態に係る樹脂管状体は、樹脂Aおよび熱伝導性充填剤を含む繊維(A)と、樹脂Bを含み、且つ熱伝導性充填剤を含まないか又は前記繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で熱伝導性充填剤を含む繊維(B)と、が三次元的に絡み合った構造を有する管状の繊維集合体、並びに該管状の繊維集合体の空隙に含まれ、前記樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂Cを有する。
尚、本明細書における熱伝導性充填剤(以下単に「充填剤」とも称す)とは、少なくとも樹脂A、樹脂B、および樹脂Cよりも熱伝導性が高い充填剤であることを表す。
図1に示される樹脂管状体2は、繊維4(A)と繊維4(B)とが三次元的に絡み合った三次元網目構造の繊維集合体4を有する。三次元網目構造状に絡み合った繊維集合体4は管状に成形されている。繊維4(A)には、樹脂6Aと熱伝導性の充填剤8が含まれ、一方繊維4(B)には、樹脂6Bが含まれ且つ充填剤8を含まないか又は前記繊維4(A)より少ない含有率(体積分率)で充填剤8を含む。尚、図1では繊維4(B)が充填剤8を含まない態様を示す。また、繊維集合体4は繊維4(A)や繊維4(B)の間に空隙を有しており、この管状の繊維集合体4が基材となって、該繊維集合体4の空隙中に樹脂6Cが含まれてなる。
まず熱伝導性については、本実施形態に係る樹脂管状体2では、繊維集合体4に樹脂6Aと充填剤8とを含有する繊維4(A)を含み、この繊維集合体4中の繊維同士が三次元的に絡み合った構造を有している。つまり、繊維4(A)が樹脂管状体2の内周表面から外周表面の領域を縦横に入り組んだ構造となっている。そのため、充填剤8を含む繊維4(A)に沿って熱を伝導する経路が形成されるものと考えられ、その結果樹脂管状体2の厚み方向において高い熱伝導性が達成される。
また、繊維集合体4は、充填剤8を含まないか又は少なくとも繊維4(A)より充填剤8の含有率(体積分率)が少ない繊維4(B)を含んでおり、三次元網目構造を形成する繊維としてこの繊維4(B)を含むことで、繊維集合体4が繊維として繊維4(A)のみを含む態様に比べて、更に優れた機械的強度が達成される。
また、本実施形態に係る樹脂管状体2では充填剤8を含む繊維4(A)によって熱伝導経路が形成されるため、充填剤が添加された樹脂マトリックスが管状に成形された態様に比べ、同程度の熱伝導性を得るための充填剤8の充填率(つまり樹脂管状体2全体に占める充填剤8の体積分率)を少なくし得る。その結果、充填剤8の増加に伴う機械的強度の低下がより低減される。
ここで、本実施形態に係る樹脂管状体では、優れた耐摩擦性を得る観点、更には表面の離型性能を向上させる観点から、樹脂C(図1においては樹脂6C)としてフッ素含有樹脂から選択される少なくとも1種を適用することが望ましい。
尚、一般的に樹脂管状体を構成する樹脂にフッ素含有樹脂を用いると、耐摩擦性や離型性に優れる反面、ポリエーテルイミド等に比べて機械的強度が低下する傾向にある。しかし、本実施形態では、前記繊維(A)および前記繊維(B)が三次元的に絡み合い且つその空隙に樹脂Cが含まれる構造とすることで、該樹脂Cにフッ素含有樹脂を用いて耐摩擦性や離型性を向上させつつも、更に優れた機械的強度をも達成し得る。
本実施形態において、管状の繊維集合体は繊維(A)と繊維(B)とが三次元的に不規則に絡み合い集合してなる集合体である。この繊維(A)には、樹脂Aおよび熱伝導性充填剤が含まれる。
繊維(A)を構成する樹脂Aとしては、特に限定されるものではないが、機械的強度、寸法安定性等に優れることが望ましく、また繊維集合体を構成する繊維との接点において互いに接合(例えば融着)し得る材料であることが好ましい。繊維同士が接点において接合(融着)していることにより、伸縮性が低く、且つ優れた形状保持性が得られる。
その中でも、耐熱性、前駆体を含めた有機溶剤への溶解性の点から、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイドが好ましく、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドがより好ましい。
繊維(A)に含まれる充填剤は、少なくとも樹脂A、樹脂B、および樹脂Cよりも熱伝導性が高いものであれば有機フィラー、無機フィラーと呼ばれる周知の充填剤が用いられる。
これらの中でも、熱伝導性と加熱冷却時の反応性の点から、窒化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、窒化ホウ素、炭化物が好ましい。
具体的には、充填剤の粒径としては、製造上の有意点と、熱伝導性を付与する効率の点から、0.01μm以上10μm以下の範囲がよく、望ましくは0.05μm以上5μm以下、より望ましくは0.2μm以上1μm以下である。
充填剤の粒径は、走査型電子顕微鏡を用いた直接観察によって測定し得る。
具体的に、繊維(A)における充填剤の含有率は、体積分率で10体積%以上50体積%以下が好ましく、30体積%以上40体積%以下がより好ましく、35体積%以上40体積%以下が更に好ましい。
繊維(B)は、樹脂Bを含み且つ充填剤を含まないか又は繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で充填剤を含む。
繊維(B)を構成する樹脂Bについても、特に限定されるものではないが、機械的強度、寸法安定性等に優れることが望ましく、また繊維集合体を構成する他の繊維との接点において互いに接合(例えば融着)し得る材料であることが好ましい。
尚、繊維同士の接合を良好に行う観点から、樹脂Aと同じ材料の樹脂、つまり原料となるモノマーが樹脂Aの原料のモノマーと同じ樹脂を用いることがより好ましい。
繊維(B)に前記充填剤を含有させる場合、その含有率は体積分率で5体積%以下が好ましく、1体積%以下がより好ましい。
繊維集合体、並びにそれを構成する繊維(A)および繊維(B)の物性としては、以下のものが好ましい。
繊維集合体中における繊維(A)と繊維(B)との割合(繊維(A):繊維(B))は、体積分率で25:75乃至75:25の範囲が好ましく、30:70乃至70:30の範囲がより好ましく、40:60乃至60:40の範囲が更に好ましい。
尚、繊維(A)の割合が多いほど熱伝導性に優れ、一方繊維(B)の割合が多いほど機械的強度に優れる。
この繊維集合体の空隙率は、樹脂管状体の断面をSEM観察(X−Y軸面、Y−Z面)し、空隙の測定面積から空隙部の体積を算出して空隙部の体積分率を測定し得る。
本実施形態における樹脂Cは、繊維集合体の空隙に含まれるものであり、樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂である。ここで、樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂とは、樹脂Aの原料となるモノマーおよび樹脂Bの原料となるモノマーとは異なる化学構造のモノマーを少なくとも含んで合成された樹脂を意味する。
尚、樹脂Cとしては、製造上の点から、繊維集合体の繊維(A)、繊維(B)を構成する樹脂Aおよび樹脂Bを溶解しない溶媒に、溶解又は分散し得るものを選択することが望ましく、溶解し得るものがより望ましい。
フッ素含有樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
これらの中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましい。
中でも、機械的強度に優れるとの観点から、例えばポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、前記樹脂Cがポリエーテルイミドおよびポリサルフォンからなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記の樹脂であれば望まない硬化が生じ難いことから、繊維集合体の空隙への樹脂Cの充填が良好に行われ、繊維集合体において樹脂Cが偏在化することを抑制し得る。その結果、機械的強度および熱伝導性の面内均一性に優れた樹脂管状体が得られる。
本実施形態に係る樹脂管状体は、繊維(A)、繊維(B)並びに樹脂Cの他に、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、レベリング剤、イオン導電剤等が挙げられる。
これらのその他の成分の含有量としては、本実施形態に係る樹脂管状体中、望ましくは5質量%以下であり、より望ましくは3質量%以下である。
・繊維集合体の作製
まず、管状の繊維集合体の作製について説明する。
繊維集合体の作製方法としては、繊維(A)および繊維(B)が三次元的に不規則に絡み合い集合してなる集合体を作製し得る方法であれば、特に限定されず、公知の方法を適用し得る。尚、繊維同士の接点において互いに接合(融着)している形態の繊維集合体を作製し得る方法であることがより好ましい。
上記のごとき作製方法としては、例えば、エレクトロスピニング法、スパンレース法(水流絡合法)、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スチームジェット法等が適用される。
この繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液を金属柱等の導電性材料に対して一辺に噴射し、エレクトロスピニング法を適用して、管状の繊維集合体を形成する。尚、両溶液を一辺に噴射する方法としては、金属柱を軸を中心に回転させ、該金属柱に対して該金属柱を挟んで向かい合う方向から両溶液を噴射する方法、等が挙げられる。
エレクトロスピニング法を適用した電界紡糸装置は、公知のものを使用し得るが、一例としては、「井本製作所の電界紡糸装置(標準機)1369」が挙げられる。
更に、繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液のそれぞれの濃度や、吐出量、吐出速度を調整することで、繊維集合体中における繊維(A)と繊維(B)との割合を調整し得る。
即ち、印加電圧が5kV以上20kV以下、噴霧の飛散距離(ノズル金型間距離)が10cm以上30cm以下、高分子溶液(繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液)の吐出速度が1ml/hr以上5ml/hr以下である。
イミド化の処理(焼成)条件としては、例えば、250℃以上450℃以下(望ましくは300℃以上400℃以下)で、20分間以上60分間以下で加熱することがよい。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。
次に、管状の繊維集合体への樹脂Cの充填の方法について説明する。
例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パウダーを分散した水分散液を、前述の方法で得られた繊維集合体に対し加圧含浸させた後、外型で保持して、乾燥する方法が挙げられる。
なお、加圧含浸は、以下の方法にて行われることが望ましい。
即ち、真空加圧含浸装置(協真エンジニアリング製VPG−4250S)にサンプルを入れ、真空度6Pa以上10Pa以下の環境下に30min静置する。そこへ、液温40℃以上50℃以下に調整した含浸液を導入後、圧力0.1MPa以上0.5MPa以下で加圧し、その状態を1hr維持する方法である。
サンプルを外型に移し、回転乾燥オーブンを用い、回転をさせながら80℃6hr→100℃6hr→200℃1hrでステップ乾燥する。
なお、外型による保持とは、円筒体サンプル(繊維集合体)を、0mm以上0.5mm以下程度外側から支持し得るサイズに調整してなる金属円筒体であることを指す。
本実施形態に係る樹脂管状体は、熱伝導性と機械的強度との両方に優れるため、これらの物性が求められる種々の用途に適用し得る。また、樹脂Cとしてフッ素含有樹脂を用いる場合には、更に耐摩擦性や表面の離型性にも優れるため、これらの物性が求められる種々の用途にも適用し得る。
特に、本実施形態に係る樹脂管状体は、画像形成装置における定着部材として好適であって、具体的には、画像定着の際の加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。尚、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。特に樹脂Cとしてフッ素含有樹脂を用いる場合には、内周表面における摺動部材との摺動性や、外周表面におけるトナーの離型性にも優れた定着部材とし得る。
また、例えば、本実施形態に係る樹脂管状体の用途が定着ベルトであれば、樹脂管状体からなる基材層の長さ(周長)は、250mm以上500mm以下の範囲がよく、望ましくは300mm以上450mm以下、より望ましくは350mm以上400mm以下である。
弾性層は、耐熱性弾性材料を含んで構成される。
耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
なお、「耐熱性」とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
表面層は、例えば、耐熱性離型材料を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。フッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
本実施形態に係る樹脂管状体である基材と弾性層との間、また、弾性層と表面層との間に接着層を有していてもよい。
接着層は、耐熱性を有する接着剤により形成されていればよく、公知のものが適用される。
また、本実施形態に係る樹脂管状体である基材層と弾性層との間に、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けてもよい。
本実施形態に係る定着装置は、前述した本実施形態に係る樹脂管状体を含む定着部材を備える。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える構成がある。そして、第1回転体および第2回転体の少なくとも一方を構成する要素として、本実施形態に係る樹脂管状体が適用される。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1および第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る樹脂管状体は、加熱ロール、加熱ベルトおよび加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1および第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加圧ベルト62に加圧されてもよい。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
カーボンナノチューブ(CNT)フィラー(熱伝導性の充填剤)がポリイミド(樹脂A)中に分散された繊維(A)と、ポリイミド(樹脂B)を含み熱伝導性の充填剤を含まない繊維(B)と、が三次元的に絡み合った繊維集合体の間隙に、更にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂が充填された構造を有するシームレス樹脂管状体を、次の手順にて作製した。
また、CNTフィラーを分散せずにポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス「U−ワニスS」(宇部興産社製))(繊維(B)用溶液)を準備した。
前記繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液を、回転するφ30mm金属柱に対し該金属柱を挟んで向かい合う方向から同じ条件(吐出量、吐出速度等)で噴射し、エレクトロスピニングして、シームレス管状体状のファイバー積層体(繊維集合体)を形成した。その後、380℃までステップ昇温(25℃→120℃1hr→250℃1hr→380℃1hr→25℃)して焼成した。
回転円筒体金型(金属柱)に対向し且つ該円筒体金型を挟んで向かい合う方向に高分子溶液塗出ノズルが配置され、そのノズルを耐溶剤チューブを介しシリンジポンプ(アズワン製マイクロシリンジポンプIC−3100)に接続しつつ、更に円筒体金型とノズルの間に任意の電圧を印加し得る高電圧電源を配置してなる構成の装置を使用した。また、条件としては、電圧15kV、ノズル金型間距離17cm、高分子溶液の塗出速度3ml/hrであった。
これにより、内径30mm、膜厚60μmで、前記繊維(A)と繊維(B)とが三次元的に絡み合った繊維集合体を得た。
得られた繊維集合体において、繊維径は2μmであり、空隙率(体積分率)は32%であった。また、上記CNTフィラーの熱伝導率は1200W/m・Kであり、これは樹脂Aおよび樹脂Bとしてのポリイミドよりも高いものであった。
尚、加圧含浸は、真空加圧含浸装置(協真エンジニアリング製VPG−4250S)に繊維集合体を入れ、真空度8Pa環境下に30min静置した。そこへ液温43℃に調整した含浸液(PTFEパウダー水分散液)を導入後、圧力0.5MPaで加圧し、その状態を1hr維持して加圧含浸を行った。
また、乾燥は80℃6hr→100℃6hr→200℃1hrのプロファイルにて行った。
実施例1において、繊維集合体に加圧含浸させるPTFEパウダー水分散液を、18質量%ポリエーテルイミド(PEI、日本GEプラスチック株式会社製「ウルテム」)NMP溶液に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
実施例1において、繊維(A)でのCNT(カーボンナノチューブ)フィラーの添加量を体積分率20%となるよう変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
実施例1において、繊維(A)でのCNT(カーボンナノチューブ)フィラーの添加量を体積分率40%となるよう変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
実施例1において、エレクトロスピニング時の吐出量(流速)を、繊維(A)用溶液流速:繊維(B)用溶液流速=1:3(繊維A:繊維B=25:75)に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
実施例1において、繊維(A)および繊維(B)に用いたポリイミド前駆体溶液を、ポリアミドイミド溶液(PAI、ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製「トーロン」の18質量%Nメチルピロリドン溶液)へ変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
実施例1において、エレクトロスピニングで繊維集合体を作製する際にフィラー分散ポリイミド前駆体溶液(繊維(A)用溶液)のみを使用した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
実施例1において、エレクトロスピニングで繊維集合体を作製する際にポリイミド前駆体溶液(繊維(B)用溶液)のみを使用した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
ポリイミド樹脂のみで形成されたシームレス樹脂管状体を次の手順で作製した。
ポリイミド前駆体のNMP溶液を、φ30mmの金型上にフローコートにて塗布し、380℃までステップ昇温(25℃→120℃1hr→250℃1hr→380℃1hr→25℃)して焼成した。
これにより、内径30mm、膜厚60μmのポリイミド(樹脂単一層)のみによるシームレス樹脂管状体を得た。
体積分率にて10体積%となるCNT(カーボンナノチューブ)フィラーを分散したポリイミドによるシームレス樹脂管状体を次の方法で作製した。
即ち、樹脂管状体に対し体積分率にて10体積%となるCNT(カーボンナノチューブ)フィラー(昭和電工社製「VGCF−H」)と、ポリイミド前駆体のNMP溶液と、をビーズミルにて分散して塗料を調液した。
その塗料を、φ30mmの金型上にフローコートにて塗布し、380℃までステップ昇温(25℃→120℃1hr→250℃1hr→380℃1hr→25℃)して焼成した。
これにより、内径30mm、膜厚60μmのポリイミド(樹脂単一層)中にCNT(カーボンナノチューブ)フィラーが分散してなるシームレス樹脂管状体を得た。
比較例4において、CNT(カーボンナノチューブ)フィラーの体積分率を20体積%とした以外は比較例4と同じ方法で、シームレス樹脂管状体を得た。
比較例4において、CNT(カーボンナノチューブ)フィラーの体積分率を30体積%とした以外は比較例4と同じ方法で、シームレス樹脂管状体を得た。
(熱伝導率の測定)
前述の方法により得られたシームレス樹脂管状体の熱伝導率(W/m・K)は、樹脂管状体の厚み方向に関し、以下の方法にて測定した。
即ち、シームレス樹脂管状体を、30mm角に切り出し、熱伝導率測定機(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のai−Phase Mobile)を用いて測定した。結果を表2に示す。
なお、熱伝導率の評価指標は以下の通りである。
A:熱伝導率が0.90W/m・K以上である
B:熱伝導率が0.70W/m・K以上、0.90W/m・K未満である
C:熱伝導率が0.70W/m・K未満である
前述のようにして得られたシームレス樹脂管状体の引張り強度(MPa)は、樹脂管状体の軸方向に関し、以下のようにして測定した。
即ち、シームレス樹脂管状体を、幅5mmの短冊形状に切り出し、これを引張試験機Model 1605N(アイコーエンジニアリング社製)に設置し、10mm/sec等速で引張った際の引張破断強度(Mpa)にして測定した。結果を表2に示す。
なお、引張り強度の評価指標は以下の通りである。
A:引張り強度が300MPa以上である
B:引張り強度が250MPa以上300MPa未満である
C:引張り強度が250MPa未満である
前述のようにして得られたシームレス樹脂管状体の内周表面におけるオイル存在下での摩擦係数は、以下のようにして測定した。
即ち、シームレス樹脂管状体から切り出したサンプルの内周表面側に、潤滑オイル(信越化学工業社製、製品名:KF−968−100cs)を0.04g/m2の量で付与し、摩擦係数測定器(株式会社レスカ社製、Friction Player FPR−2000)を用いて動摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
なお、摩擦係数の評価指標は以下の通りである。
A:摩擦係数が0.10以下である
B:摩擦係数が0.10を超え0.20以下である
C:摩擦係数が0.20を超える
前述のようにして得られたシームレス樹脂管状体の外周表面における水の接触角は、以下のようにして測定した。
即ち、接触角計(協和界面科学社製、型番:CA−X−FACE)を用いて、20℃においてθ/2法で、水の接触角(°)を測定した。結果を表2に示す。
なお、接触角の評価指標は以下の通りである。
A:接触角が100°以上である
B:接触角が70°以上、100°未満である
C:接触角が70°未満である
4 繊維集合体
4(A)、4(B) 繊維
6A、6B、6C 樹脂
8 充填剤
11 感光体(像保持体)
12 帯電器(帯電手段)
13 レーザ露光器(潜像形成手段)
14 現像器(現像手段)
16 一次転写ロール(転写手段)
22 二次転写ロール(転写手段)
60 定着装置
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A、90A、92A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90、92、98 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
100 画像形成装置
Claims (6)
- 樹脂Aおよび熱伝導性充填剤を含む繊維(A)と、樹脂Bを含み、且つ熱伝導性充填剤を含まないか又は前記繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で熱伝導性充填剤を含む繊維(B)と、が三次元的に絡み合った構造を有する管状の繊維集合体、
並びに該管状の繊維集合体の空隙に含まれ、前記樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂Cを有する樹脂管状体。 - 前記樹脂Cがフッ素含有樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂管状体。
- 前記樹脂Aおよび樹脂Bが、ポリイミド、およびポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の樹脂管状体。
- 前記繊維(A)における前記熱伝導性充填剤の含有率が体積分率で10体積%以上50体積%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂管状体。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の樹脂管状体を含む定着部材を備えた定着装置。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を記録媒体に定着する請求項5に記載の定着装置である定着手段と、
を少なくとも備える画像形成装置。
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