JP6390304B2 - 樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置 - Google Patents

樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置に関する。
画像形成装置に備えられる樹脂管状体としては、以下に示すものが知られている。
例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂からなるシート状フィルムの間にガラス、セラミック或いはカーボンを挟み込んだフィルムを円柱部材に巻き付け、該巻き付けたフィルムの外側に管状型部材をはめ込み、少なくとも前記フィルムを加熱して、前記フィルムの重ね合わせ部を接合し、前記シート状フィルムを管状に成形することで得られる管状フィルムによる管状体が開示されている。
また、特許文献2には、フィラーと、有機樹脂とを含有するものであり、有機樹脂マトリックス内にフィラーが樹枝状に凝集し厚み方向に配向しているシート状複合材料が開示されている。
特開2000−296552号公報 特開2007−332224号公報
本発明の課題は、樹脂と熱伝導性充填剤とを含有する樹脂塗料を管状に塗布、乾燥し成形してなる樹脂管状体に比べて、高い機械的強度と高い熱伝導性とを両立した樹脂管状体を提供することにある。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
樹脂Aおよび熱伝導性充填剤を含む繊維(A)と、樹脂Bを含み、且つ熱伝導性充填剤を含まないか又は前記繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で熱伝導性充填剤を含む繊維(B)と、が三次元的に絡み合った構造を有する管状の繊維集合体、
並びに該管状の繊維集合体の空隙に含まれ、前記樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂Cを有する樹脂管状体である。
請求項2に係る発明は、
前記樹脂Cがフッ素含有樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂管状体である。
請求項3に係る発明は、
前記樹脂Aおよび樹脂Bが、ポリイミド、およびポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の樹脂管状体である。
請求項4に係る発明は、
前記繊維(A)における前記熱伝導性充填剤の含有率が体積分率で10体積%以上50体積%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂管状体である。
請求項5に係る発明は、
請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂管状体を含む定着部材を備えた定着装置である。
請求項6に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記トナー像を記録媒体に定着する請求項に記載の定着装置である定着手段と、
を少なくとも備える画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、樹脂と熱伝導性充填剤とを含有する樹脂塗料を管状に塗布、乾燥し成形してなる樹脂管状体に比べて、高い機械的強度と高い熱伝導性とを両立した樹脂管状体が提供される。
請求項2に係る発明によれば、樹脂Cがポリエーテルイミドである場合に比べて、耐摩擦性に優れた樹脂管状体が提供される。
請求項3に係る発明によれば、樹脂Aおよび樹脂Bがポリアミドイミドである場合に比べて、機械的強度に優れた樹脂管状体が提供される。
請求項4に係る発明によれば、繊維(A)における前記熱伝導性充填剤の含有率が上記範囲を下回る場合に比べて、熱伝導性に優れた樹脂管状体が提供される。
請求項5および6に係る発明によれば、樹脂と熱伝導性充填剤とを含有する樹脂塗料を管状に塗布、乾燥し成形してなる樹脂管状体を備える場合に比べて、高い機械的強度と高い熱伝導性とを両立した樹脂管状体を備えた定着装置および画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る樹脂管状体の一例を示す概略断面図である。 第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の樹脂管状体、定着装置、および画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。
なお、図面を用いて説明する場合、実質的に同一の機能を有する部材には、同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
≪樹脂管状体≫
本実施形態に係る樹脂管状体は、樹脂Aおよび熱伝導性充填剤を含む繊維(A)と、樹脂Bを含み、且つ熱伝導性充填剤を含まないか又は前記繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で熱伝導性充填剤を含む繊維(B)と、が三次元的に絡み合った構造を有する管状の繊維集合体、並びに該管状の繊維集合体の空隙に含まれ、前記樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂Cを有する。
尚、本明細書における熱伝導性充填剤(以下単に「充填剤」とも称す)とは、少なくとも樹脂A、樹脂B、および樹脂Cよりも熱伝導性が高い充填剤であることを表す。
ここで、図を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る樹脂管状体の一例の構造を概略的に説明する概略断面図である。尚、図1に示される樹脂管状体2は、図における上側が管状の外周面側表面に相当し、下側が管状の内周面側表面に相当する。
図1に示される樹脂管状体2は、繊維4(A)と繊維4(B)とが三次元的に絡み合った三次元網目構造の繊維集合体4を有する。三次元網目構造状に絡み合った繊維集合体4は管状に成形されている。繊維4(A)には、樹脂6Aと熱伝導性の充填剤8が含まれ、一方繊維4(B)には、樹脂6Bが含まれ且つ充填剤8を含まないか又は前記繊維4(A)より少ない含有率(体積分率)で充填剤8を含む。尚、図1では繊維4(B)が充填剤8を含まない態様を示す。また、繊維集合体4は繊維4(A)や繊維4(B)の間に空隙を有しており、この管状の繊維集合体4が基材となって、該繊維集合体4の空隙中に樹脂6Cが含まれてなる。
本実施形態に係る樹脂管状体は、上記の構成であることにより、高い機械的強度と高い熱伝導性とを両立し得る。
樹脂と熱伝導性充填剤とを含有する樹脂塗料を管状に塗布し且つ乾燥し成形してなる樹脂管状体、即ち充填剤が添加された樹脂マトリックスが管状に成形された態様では、高い熱伝導性を達成するためには、該充填剤の量を増加する必要がある。しかし、一方で充填剤の量が多くなるに伴い機械的強度が低下し、これらの両立は容易でなかった。
これに対し、本実施形態に係る樹脂管状体は、以下の作用から、上記の課題を解決し得ると推測される。
まず熱伝導性については、本実施形態に係る樹脂管状体2では、繊維集合体4に樹脂6Aと充填剤8とを含有する繊維4(A)を含み、この繊維集合体4中の繊維同士が三次元的に絡み合った構造を有している。つまり、繊維4(A)が樹脂管状体2の内周表面から外周表面の領域を縦横に入り組んだ構造となっている。そのため、充填剤8を含む繊維4(A)に沿って熱を伝導する経路が形成されるものと考えられ、その結果樹脂管状体2の厚み方向において高い熱伝導性が達成される。
一方機械的強度については、まず繊維4(A)と繊維4(B)とが三次元的に絡み合い且つその空隙に樹脂6Cが含まれた構造を有しており、この三次元網目構造により得られる強度と、その空隙を埋める樹脂6Cにより得られる強度から、高い機械的強度が実現される。
また、繊維集合体4は、充填剤8を含まないか又は少なくとも繊維4(A)より充填剤8の含有率(体積分率)が少ない繊維4(B)を含んでおり、三次元網目構造を形成する繊維としてこの繊維4(B)を含むことで、繊維集合体4が繊維として繊維4(A)のみを含む態様に比べて、更に優れた機械的強度が達成される。
また、本実施形態に係る樹脂管状体2では充填剤8を含む繊維4(A)によって熱伝導経路が形成されるため、充填剤が添加された樹脂マトリックスが管状に成形された態様に比べ、同程度の熱伝導性を得るための充填剤8の充填率(つまり樹脂管状体2全体に占める充填剤8の体積分率)を少なくし得る。その結果、充填剤8の増加に伴う機械的強度の低下がより低減される。
尚、本実施形態では繊維集合体4を構成する繊維4(A)および繊維4(B)は、三次元的に絡み合うと共に、その繊維同士の接点(例えば図1で示す接点X1、X2等)が接合していることが好ましい。繊維同士の接点が接合していることで、伸縮性が低減され且つ優れた形状保持性が得られ、その結果更に高い機械的強度が得られる。
・フッ素含有樹脂
ここで、本実施形態に係る樹脂管状体では、優れた耐摩擦性を得る観点、更には表面の離型性能を向上させる観点から、樹脂C(図1においては樹脂6C)としてフッ素含有樹脂から選択される少なくとも1種を適用することが望ましい。
尚、一般的に樹脂管状体を構成する樹脂にフッ素含有樹脂を用いると、耐摩擦性や離型性に優れる反面、ポリエーテルイミド等に比べて機械的強度が低下する傾向にある。しかし、本実施形態では、前記繊維(A)および前記繊維(B)が三次元的に絡み合い且つその空隙に樹脂Cが含まれる構造とすることで、該樹脂Cにフッ素含有樹脂を用いて耐摩擦性や離型性を向上させつつも、更に優れた機械的強度をも達成し得る。
以下、本実施形態に係る樹脂管状体において、管状の繊維集合体を構成する繊維(A)および繊維(B)、並びに繊維集合体の空隙に含まれる樹脂Cについて説明する。
〔繊維(A)〕
本実施形態において、管状の繊維集合体は繊維(A)と繊維(B)とが三次元的に不規則に絡み合い集合してなる集合体である。この繊維(A)には、樹脂Aおよび熱伝導性充填剤が含まれる。
・樹脂A
繊維(A)を構成する樹脂Aとしては、特に限定されるものではないが、機械的強度、寸法安定性等に優れることが望ましく、また繊維集合体を構成する繊維との接点において互いに接合(例えば融着)し得る材料であることが好ましい。繊維同士が接点において接合(融着)していることにより、伸縮性が低く、且つ優れた形状保持性が得られる。
これらの観点から樹脂Aとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール等が挙げられる。
その中でも、耐熱性、前駆体を含めた有機溶剤への溶解性の点から、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイドが好ましく、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイドがより好ましい。
・熱伝導性充填剤
繊維(A)に含まれる充填剤は、少なくとも樹脂A、樹脂B、および樹脂Cよりも熱伝導性が高いものであれば有機フィラー、無機フィラーと呼ばれる周知の充填剤が用いられる。
尚、充填剤の熱伝導率は、本実施形態に係る樹脂管状体においてより高い熱伝導性を得る観点から、0.3W/mK以上が好ましく、更には50W/mK以上がより好ましく、100W/mK以上が更に好ましい。また、上記熱伝導率の上限値は、特に限定されるものではない。
充填剤の材質としては、炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)、酸化チタン、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、酸化鉄、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、金属ケイ素等の周知の無機充填剤が挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性と加熱冷却時の反応性の点から、窒化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、窒化ホウ素、炭化物が好ましい。
充填剤の形状は、特に限定されるものではなく、例えば球状、板状、針状、繊維状、チューブ状等の形状が挙げられる。これらの中でも、繊維中において長手方向に配向させることが容易であるとの観点から、板状、針状、繊維状、チューブ状の形状であることがより好ましい。繊維中において充填剤が繊維の長手方向に配向することにより、繊維に沿った熱伝導の経路がより少ない量の充填剤によって形成され、その結果同程度の熱伝導性を得るための充填剤の充填率をより少なくし得る。
上記の充填剤の粒径(数平均粒径)としては、製造上の点から、繊維の繊維径よりも小さいものであることがよい。
具体的には、充填剤の粒径としては、製造上の有意点と、熱伝導性を付与する効率の点から、0.01μm以上10μm以下の範囲がよく、望ましくは0.05μm以上5μm以下、より望ましくは0.2μm以上1μm以下である。
充填剤の粒径は、走査型電子顕微鏡を用いた直接観察によって測定し得る。
また、充填剤の含有量は、適用用途に応じて求められる熱伝導性および機械的強度、並びにこの両者のバランスにより決定されればよい。例えば、本実施形態に係る樹脂管状体の用途が画像形成装置における定着ベルトであれば、後述のように測定した引張り強度が230MPa以上(望ましくは250MPa以上)を満たすように、充填剤の量を調整すればよい。
具体的に、繊維(A)における充填剤の含有率は、体積分率で10体積%以上50体積%以下が好ましく、30体積%以上40体積%以下がより好ましく、35体積%以上40体積%以下が更に好ましい。
また、樹脂管状体全体に占める充填剤の含有率は、体積分率で3体積%以上30体積%以下が好ましく、10体積%以上20体積%以下がより好ましく、12体積%以上15体積%以下が更に好ましい。
〔繊維(B)〕
繊維(B)は、樹脂Bを含み且つ充填剤を含まないか又は繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で充填剤を含む。
・樹脂B
繊維(B)を構成する樹脂Bについても、特に限定されるものではないが、機械的強度、寸法安定性等に優れることが望ましく、また繊維集合体を構成する他の繊維との接点において互いに接合(例えば融着)し得る材料であることが好ましい。
これらの観点から樹脂Bの例としても、前述の樹脂Aの具体例として列挙した樹脂が好適に挙げられ、より好ましい例も同様である。
尚、繊維同士の接合を良好に行う観点から、樹脂Aと同じ材料の樹脂、つまり原料となるモノマーが樹脂Aの原料のモノマーと同じ樹脂を用いることがより好ましい。
繊維(B)は熱伝導性の充填剤を含まないか、又は充填剤を含む場合であっても繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で含む。尚、繊維(B)中の該充填剤の含有率は0体積%であること、つまり該充填剤を含まないことがより好ましい。繊維(B)が該充填剤を含まないことにより、繊維(B)に専ら機械的強度を向上させる機能を担わせられる。
繊維(B)に前記充填剤を含有させる場合、その含有率は体積分率で5体積%以下が好ましく、1体積%以下がより好ましい。
〔繊維集合体の物性〕
繊維集合体、並びにそれを構成する繊維(A)および繊維(B)の物性としては、以下のものが好ましい。
繊維集合体中における繊維(A)と繊維(B)との割合(繊維(A):繊維(B))は、体積分率で25:75乃至75:25の範囲が好ましく、30:70乃至70:30の範囲がより好ましく、40:60乃至60:40の範囲が更に好ましい。
尚、繊維(A)の割合が多いほど熱伝導性に優れ、一方繊維(B)の割合が多いほど機械的強度に優れる。
繊維径としては、0.1μm以上5μm以下の範囲がよく、望ましくは0.5μm以上4μm以下、より望ましくは1μm以上3μm以下である。
また、繊維集合体の空隙率(樹脂Cによって埋められた領域と樹脂Cで埋められていない領域との合計)は、体積分率にて30%以上70%以下の範囲がよく、望ましくは40%以上65%以下、より望ましくは45%以上60%以下である。
この繊維集合体の空隙率は、樹脂管状体の断面をSEM観察(X−Y軸面、Y−Z面)し、空隙の測定面積から空隙部の体積を算出して空隙部の体積分率を測定し得る。
管状の繊維集合体の長さ(周長)および厚みは、本実施形態に係る樹脂管状体の長さ(周長)および厚みに相当するため、樹脂管状体の用途に求められる長さ(周長)および厚みに応じて決定されればよい。
〔樹脂C〕
本実施形態における樹脂Cは、繊維集合体の空隙に含まれるものであり、樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂である。ここで、樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂とは、樹脂Aの原料となるモノマーおよび樹脂Bの原料となるモノマーとは異なる化学構造のモノマーを少なくとも含んで合成された樹脂を意味する。
尚、樹脂Cとしては、製造上の点から、繊維集合体の繊維(A)、繊維(B)を構成する樹脂Aおよび樹脂Bを溶解しない溶媒に、溶解又は分散し得るものを選択することが望ましく、溶解し得るものがより望ましい。
樹脂Cとしては、優れた耐摩擦性が得られ、更に表面の離型性能をも向上させ得る観点から、フッ素含有樹脂が望ましく用いられる。尚、フッ素含有樹脂とは、少なくともフッ素原子を分子構造中に有する樹脂を表す。
フッ素含有樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテル共重合体(MFA)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロエチルビニルエーテル共重合体(EFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
これらの中でもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)がより好ましい。
また、樹脂Cとして上記フッ素含有樹脂以外のものを用いてもよい。尚、その場合にも樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂であり、且つ樹脂Aおよび樹脂Bを溶解しない溶媒に溶解又は分散し得るものが望ましい。
中でも、機械的強度に優れるとの観点から、例えばポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、前記樹脂Cがポリエーテルイミドおよびポリサルフォンからなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記の樹脂であれば望まない硬化が生じ難いことから、繊維集合体の空隙への樹脂Cの充填が良好に行われ、繊維集合体において樹脂Cが偏在化することを抑制し得る。その結果、機械的強度および熱伝導性の面内均一性に優れた樹脂管状体が得られる。
樹脂管状体中における樹脂Cの含有量としては、熱伝導性発現の点から、体積分率にて10%以上40%以下の範囲がよく、望ましくは20%以上35%以下、より望ましくは25%以上30%以下である。
〔その他の成分〕
本実施形態に係る樹脂管状体は、繊維(A)、繊維(B)並びに樹脂Cの他に、その他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、レベリング剤、イオン導電剤等が挙げられる。
これらのその他の成分の含有量としては、本実施形態に係る樹脂管状体中、望ましくは5質量%以下であり、より望ましくは3質量%以下である。
〔樹脂管状体の作製方法〕
・繊維集合体の作製
まず、管状の繊維集合体の作製について説明する。
繊維集合体の作製方法としては、繊維(A)および繊維(B)が三次元的に不規則に絡み合い集合してなる集合体を作製し得る方法であれば、特に限定されず、公知の方法を適用し得る。尚、繊維同士の接点において互いに接合(融着)している形態の繊維集合体を作製し得る方法であることがより好ましい。
上記のごとき作製方法としては、例えば、エレクトロスピニング法、スパンレース法(水流絡合法)、メルトブロー法、サーマルボンド法、ケミカルボンド法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法、スチームジェット法等が適用される。
ここで具体例として、ポリイミド(樹脂A)およびカーボンナノチューブフィラー(熱伝導性の充填剤)を含む繊維(A)と、ポリイミド(樹脂B)を含み且つ熱伝導性の充填剤を含まない繊維(B)と、の管状の繊維集合体の作製方法を例に挙げて説明する。また、樹脂Cとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パウダーを用いた場合を例にして、本実施形態に係る樹脂管状体の作製方法を説明する。尚、本実施形態では、樹脂管状体の製造方法は無論この態様に限られるわけではない。
まず、管状の繊維集合体の作製について説明する。例えば、ポリイミド(PI)前駆体であるポリアミック酸溶液にカーボンナノチューブフィラーを混合攪拌して分散させ、充填剤分散PI溶液(繊維(A)用溶液)を調製する。また、カーボンナノチューブフィラーを混合せずにポリイミド(PI)前駆体であるポリアミック酸溶液を準備し、充填剤なしPI溶液(繊維(B)用溶液)を調製する。
この繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液を金属柱等の導電性材料に対して一辺に噴射し、エレクトロスピニング法を適用して、管状の繊維集合体を形成する。尚、両溶液を一辺に噴射する方法としては、金属柱を軸を中心に回転させ、該金属柱に対して該金属柱を挟んで向かい合う方向から両溶液を噴射する方法、等が挙げられる。
ここで、エレクトロスピニング法とは、高分子化合物溶液に高電圧を印加することによって、金属柱等の導電性材料上に高分子化合物溶液を噴射し、かかる高分子化合物からなる繊維を形成させる方法である。
エレクトロスピニング法を適用した電界紡糸装置は、公知のものを使用し得るが、一例としては、「井本製作所の電界紡糸装置(標準機)1369」が挙げられる。
また、エレクトロスピニング法を行う際には、印加電圧、高分子化合物溶液の濃度、噴射の飛散距離、高分子溶液の吐出速度等を調整することで、繊維径を適宜変更し得る。尚、繊維径の調整により空隙率をも調整し得る。また、高分子化合物溶液の噴射時間を調整することで、繊維集合体の膜厚も変更し得る。
更に、繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液のそれぞれの濃度や、吐出量、吐出速度を調整することで、繊維集合体中における繊維(A)と繊維(B)との割合を調整し得る。
本実施形態では、以下のような条件であることが望ましい。
即ち、印加電圧が5kV以上20kV以下、噴霧の飛散距離(ノズル金型間距離)が10cm以上30cm以下、高分子溶液(繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液)の吐出速度が1ml/hr以上5ml/hr以下である。
上記のようにして、繊維(A)用溶液による繊維と繊維(B)用溶液による繊維とが三次元的に絡み合った管状の構造物をエレクトロスピニング法にて形成し、イミド化処理(焼成)することにより、本実施形態における繊維集合体となる。
イミド化の処理(焼成)条件としては、例えば、250℃以上450℃以下(望ましくは300℃以上400℃以下)で、20分間以上60分間以下で加熱することがよい。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。
また、上記では、カーボンナノチューブフィラー(充填剤)を含む繊維(A)と充填剤を含まない繊維(B)との繊維集合体の作製方法について説明したが、繊維(B)にも熱伝導性の充填剤を含む繊維集合体を作製する場合、前記繊維(B)用溶液として前記充填剤を繊維(A)用溶液よりも少ない含有率(対樹脂比)で含む溶液を準備することで作製し得る。
・樹脂Cの充填
次に、管状の繊維集合体への樹脂Cの充填の方法について説明する。
例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パウダーを分散した水分散液を、前述の方法で得られた繊維集合体に対し加圧含浸させた後、外型で保持して、乾燥する方法が挙げられる。
なお、加圧含浸は、以下の方法にて行われることが望ましい。
即ち、真空加圧含浸装置(協真エンジニアリング製VPG−4250S)にサンプルを入れ、真空度6Pa以上10Pa以下の環境下に30min静置する。そこへ、液温40℃以上50℃以下に調整した含浸液を導入後、圧力0.1MPa以上0.5MPa以下で加圧し、その状態を1hr維持する方法である。
また、外型による保持と乾燥条件としては、以下のようなものが望ましい。
サンプルを外型に移し、回転乾燥オーブンを用い、回転をさせながら80℃6hr→100℃6hr→200℃1hrでステップ乾燥する。
なお、外型による保持とは、円筒体サンプル(繊維集合体)を、0mm以上0.5mm以下程度外側から支持し得るサイズに調整してなる金属円筒体であることを指す。
以上のようにして、繊維(A)および繊維(B)が三次元的に絡み合った繊維集合体の空隙中にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含まれた、本実施形態に係る樹脂管状体が得られる。
なお、繊維集合体の空隙は樹脂Cにより充填されるが、熱伝導性と機械的強度を著しく低下させないといった範囲においては、空隙が残存していてもよい。本実施形態に係る樹脂管状体の樹脂Cによる充填率(樹脂管状体中の体積分率)としては、10体積%以上がよく、20体積%以上が望ましく、25体積%以上がより望ましい。
〔用途〕
本実施形態に係る樹脂管状体は、熱伝導性と機械的強度との両方に優れるため、これらの物性が求められる種々の用途に適用し得る。また、樹脂Cとしてフッ素含有樹脂を用いる場合には、更に耐摩擦性や表面の離型性にも優れるため、これらの物性が求められる種々の用途にも適用し得る。
特に、本実施形態に係る樹脂管状体は、画像形成装置における定着部材として好適であって、具体的には、画像定着の際の加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。尚、加熱ベルトとしては、電磁誘導方式により加熱する加熱ベルト、外部の熱源から加熱する加熱ベルトのいずれであってもよい。特に樹脂Cとしてフッ素含有樹脂を用いる場合には、内周表面における摺動部材との摺動性や、外周表面におけるトナーの離型性にも優れた定着部材とし得る。
上述のごとく、本実施形態に係る樹脂管状体が、画像形成装置における定着部材に適用される場合、かかる樹脂管状体は基材層として機能し、該基材層上に、以下に示す弾性層、表面層等が積層される態様であることがより望ましい。
例えば、本実施形態に係る樹脂管状体の用途が定着ベルトであれば、樹脂管状体からなる基材層の厚さは、20μm以上200μm以下の範囲がよく、望ましくは30μm以上150μm以下、より望ましくは40μm以上130μm以下である。
また、例えば、本実施形態に係る樹脂管状体の用途が定着ベルトであれば、樹脂管状体からなる基材層の長さ(周長)は、250mm以上500mm以下の範囲がよく、望ましくは300mm以上450mm以下、より望ましくは350mm以上400mm以下である。
(弾性層)
弾性層は、耐熱性弾性材料を含んで構成される。
耐熱性弾性材料としては、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
なお、「耐熱性」とは、定着装置の昇温温度(例えば定着温度)に達しても、溶けたり分解したりしない特性を意味する。以下、同様である。
弾性層には、各種添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)、機能性充填剤(アルミナ等)等が挙げられる。
弾性層の厚みは、例えば、定着部材がベルト状の場合、30μm以上600μm以下であることがよく、望ましくは100μm以上500μm以下である。
(表面層)
表面層は、例えば、耐熱性離型材料を含んで構成される。
耐熱性離型材料としては、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。フッ素樹脂として具体的には、例えば、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
表面層の厚みは、例えば、定着部材がベルト状の場合、5μm以上50μm以下であることがよく、望ましくは10μm以上40μm以下である。
〔その他の層〕
本実施形態に係る樹脂管状体である基材と弾性層との間、また、弾性層と表面層との間に接着層を有していてもよい。
接着層は、耐熱性を有する接着剤により形成されていればよく、公知のものが適用される。
また、本実施形態に係る樹脂管状体である基材層と弾性層との間に、電磁誘導により発熱する金属層(発熱層)を設けてもよい。
≪定着装置≫
本実施形態に係る定着装置は、前述した本実施形態に係る樹脂管状体を含む定着部材を備える。
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備える構成がある。そして、第1回転体および第2回転体の少なくとも一方を構成する要素として、本実施形態に係る樹脂管状体が適用される。
以下に、第1および2実施形態として、加熱ベルトと加圧ロールと備えた定着装置を説明する。そして、第1および2実施形態において、本実施形態に係る樹脂管状体は、加熱ベルトと加圧ロールのいずれにも適用され得る。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1および第2実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る樹脂管状体は、加熱ロール、加熱ベルトおよび加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
また、本実施形態に係る定着装置は、第1および第2実施形態に限られず、電磁誘導加熱方式の定着装置であってもよい。
〔定着装置の第1実施形態〕
第1実施形態に係る定着装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第1実施形態に係る定着装置60は、図2に示すように、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)とを備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加圧ベルト62に加圧されてもよい。
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)を維持される。
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64aおよび剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。なお、ベルト走行ガイド63には、加圧ベルト62の内周面に潤滑剤(オイル)を供給する手段である潤滑剤供給装置67が取り付けられていてもよい。
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
また、第1実施形態に係る定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
〔定着装置の第2実施形態〕
第2実施形態に係る定着装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る定着装置の一例を示す概略図である。
第1実施形態に係る定着装置80は、図3に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧および加熱されトナー像が定着される。
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90とを備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88とが接触する領域である挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84を内周面から張力を付与する支持ロール98とが設けられている。
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱手段の一例)が設けられている。
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚み20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90および支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれると、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
なお、第2実施形態に係る定着装置80では、加熱源の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に厚膜抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
≪画像形成装置≫
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電させる帯電手段と、帯電された像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
この定着装置60が既述の第1実施形態に係る定着装置60である。なお、画像形成装置100は、既述の第2実施形態に係る定着装置80を備える構成であってもよい。
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16および感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚みは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に定められた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(図示せず)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して一定の張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
一方、二次転写ロール22は、シャフトと、シャフトの周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層とで構成されている。シャフトは鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が接離自在に設けられている。
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、および二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせてレジストロール(図示せず)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55では、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱および圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34および中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
以上、本実施形態について説明したが、本実施形態は上記の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良をし得るものであり、本実施形態の要件を満足する範囲内で実現し得るものであることは言うまでもない。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
カーボンナノチューブ(CNT)フィラー(熱伝導性の充填剤)がポリイミド(樹脂A)中に分散された繊維(A)と、ポリイミド(樹脂B)を含み熱伝導性の充填剤を含まない繊維(B)と、が三次元的に絡み合った繊維集合体の間隙に、更にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂が充填された構造を有するシームレス樹脂管状体を、次の手順にて作製した。
まず、ポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス「U−ワニスS」(宇部興産社製)に対し、体積分率で35体積%になるようCNT(カーボンナノチューブ)フィラー(昭和電工社製「VGCF−H」)を混合してビーズミルにて分散し、フィラー分散ポリイミド前駆体溶液(繊維(A)用溶液)を得た。
また、CNTフィラーを分散せずにポリイミド前駆体溶液(ポリイミドワニス「U−ワニスS」(宇部興産社製))(繊維(B)用溶液)を準備した。
前記繊維(A)用溶液および繊維(B)用溶液を、回転するφ30mm金属柱に対し該金属柱を挟んで向かい合う方向から同じ条件(吐出量、吐出速度等)で噴射し、エレクトロスピニングして、シームレス管状体状のファイバー積層体(繊維集合体)を形成した。その後、380℃までステップ昇温(25℃→120℃1hr→250℃1hr→380℃1hr→25℃)して焼成した。
なお、エレクトロスピニングには、次の構成の装置を使用した。
回転円筒体金型(金属柱)に対向し且つ該円筒体金型を挟んで向かい合う方向に高分子溶液塗出ノズルが配置され、そのノズルを耐溶剤チューブを介しシリンジポンプ(アズワン製マイクロシリンジポンプIC−3100)に接続しつつ、更に円筒体金型とノズルの間に任意の電圧を印加し得る高電圧電源を配置してなる構成の装置を使用した。また、条件としては、電圧15kV、ノズル金型間距離17cm、高分子溶液の塗出速度3ml/hrであった。
これにより、内径30mm、膜厚60μmで、前記繊維(A)と繊維(B)とが三次元的に絡み合った繊維集合体を得た。
得られた繊維集合体において、繊維径は2μmであり、空隙率(体積分率)は32%であった。また、上記CNTフィラーの熱伝導率は1200W/m・Kであり、これは樹脂Aおよび樹脂Bとしてのポリイミドよりも高いものであった。
次に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)パウダー(Fluon(登録商標)PTFE モールディングパウダー:G190)を水に分散した水分散液(濃度26質量%)を用い、最終的なシームレス樹脂管状体に対して体積分率で32体積%となるPTFEパウダーを加圧含浸させた後、外側で支持し得る金型(外型)で保持して乾燥した。
尚、加圧含浸は、真空加圧含浸装置(協真エンジニアリング製VPG−4250S)に繊維集合体を入れ、真空度8Pa環境下に30min静置した。そこへ液温43℃に調整した含浸液(PTFEパウダー水分散液)を導入後、圧力0.5MPaで加圧し、その状態を1hr維持して加圧含浸を行った。
また、乾燥は80℃6hr→100℃6hr→200℃1hrのプロファイルにて行った。
こうして得られたシームレス樹脂管状体は、内径30mm、膜厚60μmのシームレス樹脂管状体であった。
〔実施例2〕
実施例1において、繊維集合体に加圧含浸させるPTFEパウダー水分散液を、18質量%ポリエーテルイミド(PEI、日本GEプラスチック株式会社製「ウルテム」)NMP溶液に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔実施例3〕
実施例1において、繊維(A)でのCNT(カーボンナノチューブ)フィラーの添加量を体積分率20%となるよう変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔実施例4〕
実施例1において、繊維(A)でのCNT(カーボンナノチューブ)フィラーの添加量を体積分率40%となるよう変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔実施例5〕
実施例1において、エレクトロスピニング時の吐出量(流速)を、繊維(A)用溶液流速:繊維(B)用溶液流速=1:3(繊維A:繊維B=25:75)に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔実施例6〕
実施例1において、繊維(A)および繊維(B)に用いたポリイミド前駆体溶液を、ポリアミドイミド溶液(PAI、ソルベイスペシャルティポリマーズ株式会社製「トーロン」の18質量%Nメチルピロリドン溶液)へ変更した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔比較例1〕
実施例1において、エレクトロスピニングで繊維集合体を作製する際にフィラー分散ポリイミド前駆体溶液(繊維(A)用溶液)のみを使用した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔比較例2〕
実施例1において、エレクトロスピニングで繊維集合体を作製する際にポリイミド前駆体溶液(繊維(B)用溶液)のみを使用した以外は、実施例1に記載の方法によりシームレス樹脂管状体を作製した。
〔比較例3〕
ポリイミド樹脂のみで形成されたシームレス樹脂管状体を次の手順で作製した。
ポリイミド前駆体のNMP溶液を、φ30mmの金型上にフローコートにて塗布し、380℃までステップ昇温(25℃→120℃1hr→250℃1hr→380℃1hr→25℃)して焼成した。
これにより、内径30mm、膜厚60μmのポリイミド(樹脂単一層)のみによるシームレス樹脂管状体を得た。
〔比較例4〕
体積分率にて10体積%となるCNT(カーボンナノチューブ)フィラーを分散したポリイミドによるシームレス樹脂管状体を次の方法で作製した。
即ち、樹脂管状体に対し体積分率にて10体積%となるCNT(カーボンナノチューブ)フィラー(昭和電工社製「VGCF−H」)と、ポリイミド前駆体のNMP溶液と、をビーズミルにて分散して塗料を調液した。
その塗料を、φ30mmの金型上にフローコートにて塗布し、380℃までステップ昇温(25℃→120℃1hr→250℃1hr→380℃1hr→25℃)して焼成した。
これにより、内径30mm、膜厚60μmのポリイミド(樹脂単一層)中にCNT(カーボンナノチューブ)フィラーが分散してなるシームレス樹脂管状体を得た。
〔比較例5〕
比較例4において、CNT(カーボンナノチューブ)フィラーの体積分率を20体積%とした以外は比較例4と同じ方法で、シームレス樹脂管状体を得た。
〔比較例6〕
比較例4において、CNT(カーボンナノチューブ)フィラーの体積分率を30体積%とした以外は比較例4と同じ方法で、シームレス樹脂管状体を得た。
<評価>
(熱伝導率の測定)
前述の方法により得られたシームレス樹脂管状体の熱伝導率(W/m・K)は、樹脂管状体の厚み方向に関し、以下の方法にて測定した。
即ち、シームレス樹脂管状体を、30mm角に切り出し、熱伝導率測定機(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のai−Phase Mobile)を用いて測定した。結果を表2に示す。
なお、熱伝導率の評価指標は以下の通りである。
A:熱伝導率が0.90W/m・K以上である
B:熱伝導率が0.70W/m・K以上、0.90W/m・K未満である
C:熱伝導率が0.70W/m・K未満である
(引張り強度の測定)
前述のようにして得られたシームレス樹脂管状体の引張り強度(MPa)は、樹脂管状体の軸方向に関し、以下のようにして測定した。
即ち、シームレス樹脂管状体を、幅5mmの短冊形状に切り出し、これを引張試験機Model 1605N(アイコーエンジニアリング社製)に設置し、10mm/sec等速で引張った際の引張破断強度(Mpa)にして測定した。結果を表2に示す。
なお、引張り強度の評価指標は以下の通りである。
A:引張り強度が300MPa以上である
B:引張り強度が250MPa以上300MPa未満である
C:引張り強度が250MPa未満である
(内周表面オイル存在下摩擦係数)
前述のようにして得られたシームレス樹脂管状体の内周表面におけるオイル存在下での摩擦係数は、以下のようにして測定した。
即ち、シームレス樹脂管状体から切り出したサンプルの内周表面側に、潤滑オイル(信越化学工業社製、製品名:KF−968−100cs)を0.04g/mの量で付与し、摩擦係数測定器(株式会社レスカ社製、Friction Player FPR−2000)を用いて動摩擦係数を測定した。結果を表2に示す。
なお、摩擦係数の評価指標は以下の通りである。
A:摩擦係数が0.10以下である
B:摩擦係数が0.10を超え0.20以下である
C:摩擦係数が0.20を超える
(外周表面水接触角)
前述のようにして得られたシームレス樹脂管状体の外周表面における水の接触角は、以下のようにして測定した。
即ち、接触角計(協和界面科学社製、型番:CA−X−FACE)を用いて、20℃においてθ/2法で、水の接触角(°)を測定した。結果を表2に示す。
なお、接触角の評価指標は以下の通りである。
A:接触角が100°以上である
B:接触角が70°以上、100°未満である
C:接触角が70°未満である
上記の結果から、本実施例における樹脂管状体は、比較例における樹脂管状体に比べ、引張り強度を低下させることなく、高い熱伝導率を示すことが分かる。また、樹脂CとしてPTFEを用いている実施例1では、PEIを用いている実施例2に比べ、高い引張り強度および熱伝導率を得つつ且つ優れた摩擦係数および接触角を示すことが分かる。
2 樹脂管状体
4 繊維集合体
4(A)、4(B) 繊維
6A、6B、6C 樹脂
8 充填剤
11 感光体(像保持体)
12 帯電器(帯電手段)
13 レーザ露光器(潜像形成手段)
14 現像器(現像手段)
16 一次転写ロール(転写手段)
22 二次転写ロール(転写手段)
60 定着装置
62 加熱ベルト
64 加圧ローラ
66 押圧パッド
68 支持部材
70 電磁誘導コイル
72 コイル支持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A、90A、92A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90、92、98 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
100 画像形成装置

Claims (6)

  1. 樹脂Aおよび熱伝導性充填剤を含む繊維(A)と、樹脂Bを含み、且つ熱伝導性充填剤を含まないか又は前記繊維(A)より少ない含有率(体積分率)で熱伝導性充填剤を含む繊維(B)と、が三次元的に絡み合った構造を有する管状の繊維集合体、
    並びに該管状の繊維集合体の空隙に含まれ、前記樹脂Aおよび樹脂Bとは異なる樹脂Cを有する樹脂管状体。
  2. 前記樹脂Cがフッ素含有樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1に記載の樹脂管状体。
  3. 前記樹脂Aおよび樹脂Bが、ポリイミド、およびポリフェニレンサルファイドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は請求項2に記載の樹脂管状体。
  4. 前記繊維(A)における前記熱伝導性充填剤の含有率が体積分率で10体積%以上50体積%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂管状体。
  5. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の樹脂管状体を含む定着部材を備えた定着装置。
  6. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記トナー像を記録媒体に定着する請求項に記載の定着装置である定着手段と、
    を少なくとも備える画像形成装置。
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