JPH06274060A - 定着装置及び定着ローラー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れた諸特性を有するものの、成形困難な材
料であるパーフロロエラストマーの成形性を改善するこ
とで、該材料を利用して従来の定着ローラーのハードロ
ーラー及びソフトローラーの両者の長所を兼ね備えた定
着ローラー及び／又は加圧ローラー、即ち適度な弾性を
具備していて高画質で定着性能に優れ、かつ耐オフセッ
ト性・耐久性・耐熱性も具備したものを提供する。 【構成】 互いに圧接して回転する一対のローラー１・
２間の圧接ニップ部Ｎに未定着画像Ｔを形成担持させた
記録材Ｐを導入し挟持搬送させて未定着画像Ｔを記録材
Ｐ面に定着させる定着装置において、前記一対のローラ
ー１・２のうち少なくともいずれか一方のローラー１
を、芯金１ｃの上に、ゴム弾性を有するパーフロロエラ
ストマー、及びシリコン系かフッ素系の樹脂もしくはゴ
ムの混合物の層１ａを形成したローラーとしたことを特
徴とする定着装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複写機・記録装置・プ
リンター・マイクロリーダープリンター等の画像形成装
置において、電子写真・静電記録・磁気記録等の適宜の
作像原理・プロセスの作像手段部にて転写材・感光紙・
静電記録紙等の記録材に転写式（間接式）又は直接式で
形成担持させた、顕画材（トナー）の未定着画像を記録
材に定着させる定着装置に関する。

【０００２】より詳しくは、互いに圧接して回転する一
対のローラー間の圧接ニップ部（挟圧部、定着ニップ
部）に未定着画像を形成担持させた記録材を導入し挟持
搬送させて未定着画像を熱及び／又は圧力で記録材面に
定着させるローラー定着タイプの定着装置及び定着ロー
ラーに関する。

【０００３】

【従来の技術】従来、一般的な電子写真複写機等の画像
形成装置用の定着装置としては様々な定着方式のものが
提案され、また実施されているが、そのうちでも上記の
ようなローラー定着タイプのもの、特に、ローラー対の
少なくとも一方のローラーが熱源によって加熱される加
熱ローラーである加熱ローラー定着装置（ヒートロール
定着方式）が主流をなしている。

【０００４】ここで上記一対のローラーのうち、記録材
の画像担持側の面に接するローラーを定着ローラー又は
加熱ローラーと、他方のローラーを加圧ローラーとす
る。

【０００５】定着ローラーとしては、 ．アルミニウム・鉄等の芯金の外周に、ＰＦＡ（テト
ラフロロエチレンとパーフロロアルキルビニルエーテル
の共重合体樹脂）やＰＴＦＥ（ポリテトラフロロエチレ
ン樹脂）等のフッ素樹脂をコーティングした所謂「ハー
ドローラー」と、 ．芯金の外周に、シリコンゴム又はフッ素ゴム等の弾
性ゴム層を積層した所謂「ソフトローラー」が知られて
いる。

【０００６】ハードローラーは、離型性に優れ、したが
って耐オフセット性に優れる、耐熱性・耐久性に優れる
等の特長点が挙げられる。

【０００７】ソフトローラーは、弾性を有するため、記
録材上の顕画像をつぶしすぎず画像をみださない、した
がって定着画像が高画質である、圧接ニップ部において
ローラー表面が微細に弾性変形することにより記録材上
の顕画像との接触面積が広く取れるため定着性に優れる
等の特長点が挙げられる。

【０００８】加圧ローラーとしては顕画像を記録材へ付
着させるための適度な弾性が要求され、アルミニウム・
鉄等の芯金の外周に、シリコンゴム又はフッ素ゴムを積
層したもの、さらにはそのまた外周をＰＦＡチューブで
被覆したもの等が用いられている。

【０００９】

【発明が解決しようとしている課題】しかし定着ローラ
ーに関して、前述のハードローラーとソフトローラーの
各々の長所は逆に両ローラー相互に裏返しの短所でもあ
る。

【００１０】即ち、ハードローラーは弾性をもたないた
め、記録材上の顕画像をつぶすことによる画質の劣化、
さらに顕画像との接触面積が小さいため定着性に劣る等
の問題がある。

【００１１】またソフトローラーは１８０°〜２００°
Ｃの高温で使用されることでゴム被覆層の劣化が進み耐
久性に劣る等の問題がある。

【００１２】加圧ローラーにおいても、熱によるゴム被
覆層の劣化による弾性の低下やＰＦＡチューブのはく離
等の問題点があった。

【００１３】そこで、ハードローラー及びソフトローラ
ーの両者の長所を兼ね備えた定着ローラー、また上記の
ような問題のない加圧ローラーを得るためのローラー構
成材料として、弾性・耐熱性・耐食性・高離型性等の特
性を具備しゴム弾性を有する「パーフロロエラストマ
ー」及びその改良された材料（特開昭５０−１０９２８
０号公報・同５９−８０４５７号公報・同５９−１０９
５４６号公報・同６２−１５２１２号公報・特開平３−
１７２３１１号公報等）が注目され、その利用検討が行
われた。

【００１４】しかしながら、一般にゴム弾性を有するパ
ーフロロエラストマーを定着ローラー等に成形する場
合、成形型において圧縮成形しなければならないこと、
さらには該材料自身が弾性を有すること等のため、特開
昭５７−８００４０号公報・特開平３−２６５７６８号
公報に記載されているように、複雑な形状に加工するこ
とが困難であり、定着装置の定着ローラー及び／又は加
圧ローラーへの利用があまり進められていなかった。

【００１５】そこで本発明は、上記優れた諸特性を有す
るものの、成形困難な材料であるパーフロロエラストマ
ーについてその成形性を改善することで、該材料を利用
して従来の定着ローラーのハードローラー及びソフトロ
ーラーの両者の長所を兼ね備えた定着ローラー及び／又
は加圧ローラー、即ち適度な弾性を具備していて高画質
で定着性能に優れ、かつ耐オフセット性・耐久性・耐熱
性も具備したものを実現したものである。

【００１６】

【課題を解決するための手段】本発明は下記の構成を特
徴とする定着装置及び定着ローラーである。

【００１７】（１）互いに圧接して回転する一対のロー
ラー間の圧接ニップ部に未定着画像を形成担持させた記
録材を導入し挟持搬送させて未定着画像を記録材面に定
着させる定着装置において、前記一対のローラーのうち
少なくともいずれか一方のローラーを、芯金の上に、ゴ
ム弾性を有するパーフロロエラストマー、及びシリコン
系かフッ素系の樹脂もしくはゴムの混合物の層を形成し
たローラーとしたことを特徴とする定着装置。

【００１８】（２）前記一対のローラーの少なくとも一
方のローラーが熱源を有することを特徴とする（１）に
記載の定着装置。

【００１９】（３）芯金と、該心金の外周に形成され
た、少なくとも、ゴム弾性を有するパーフロロエラスト
マー、及びシリコン系かフッ素樹脂もしくはゴムの混合
物の層からなることを特徴とする定着ローラー。

【００２０】（４）前記混合物の層がローラーの最外層
を構成していることを特徴とする（３）に記載の定着ロ
ーラー。

【００２１】

【作用】ゴム弾性を有するパーフロロエラストマーを単
体で使用するのではなく、この材料と、シリコン系かフ
ッ素系の樹脂もしくはゴムとをブレンドすることによ
り、パーフロロエラストマーの成形性が改善されて従来
の定着ローラー（ハードローラー・ソフトローラー）・
加圧ローラーと同要領の製造方法により容易に定着ロー
ラー及び／又は加圧ローラーを成形製造できることが判
明した。

【００２２】そして、パーフロロエラストマーと、シリ
コン系かフッ素系の樹脂もしくはゴムとのブレンドによ
り、弾性を持たせる効果、耐熱性・離型性が著しく改善
する効果がみられた。

【００２３】この材料を定着ローラー及び／又は加圧ロ
ーラーの構成材料として使用することにより、定着装置
ないしは定着ローラー・加圧ローラーとして要求され
る、高画質、良好な定着性・優れた耐オフセット性、高
耐久性を満足させることが可能となった。

【００２４】

【実施例】

〈第一の実施例〉（図１） 図１は本実施例の定着装置の概略構成図である。

【００２５】１・２は互いに略並行に上下に所定の押圧
力を持って圧接させた、定着ローラー（加熱ローラー）
と加圧ローラーである。

【００２６】３は定着ローラー１に内装したハロゲンヒ
ーター等の発熱源であり、不図示の定着ローラー温度検
知素子を含む温調回路により通電が制御されて、定着ロ
ーラー１の表面温度が所定の温度に管理される。

【００２７】定着ローラー１は、アルミニウム等の金属
の芯金１ｃの表面に常法に従ってＰＡＩ等のプライマー
層１ｂを塗布し、その上に、ゴム弾性を有するパーフロ
ロエラストマー（デュポン社製、商品名カルレッツ）
と、市販のＰＦＡ樹脂とをブレンドした材料を塗布し焼
成してオフセット防止層１ａを形成して構成したもので
ある。

【００２８】加圧ローラー２は、芯金２ｂにシリコンゴ
ム層２ａを被覆したものである。

【００２９】上記のローラー対１・２は不図示の駆動手
段により所定の速度で回転駆動される。

【００３０】Ｐは不図示の作像手段部にて未定着トナー
画像Ｔを形成担持させた記録材であり、上記ローラー対
１・２の圧接ニップ部（ニップ幅５〜６ｍｍ）Ｎに導入
され、この圧接ニップ部を挟持搬送されていくことで熱
と圧力でトナー画像の定着を受ける。

【００３１】本実施例における前記の定着ローラー１
は、具体的には、直径４０ｍｍのアルミニウムパイプを
芯金１ｃとし、その外周面を＃１０００アルミナ粉でホ
ーニング処理して粗面化し、プライマー層１ｂを１０μ
ｍ程度の厚みで塗布して１５０°Ｃ・１５分の乾燥を行
った後、ゴム弾性を有するパーフロロエチレンエラスト
マーとＰＦＡ樹脂をブレンドした材料を１０μｍ程度の
厚さに塗布して４００°Ｃ・２０分間焼成してオフセッ
ト防止層１ａを形成したものである。

【００３２】本実施例で使用したパーフロロエラストマ
ーの物性を下記する。

【００３３】 １００％モデュラス（Ｋｇｆ／ｃｍ² ）※１ １７２．３ ｐｓｉ ２４５０ 破断時の引張り強さ（Ｋｇｆ／ｃｍ² ）※１ ２２１．５ ｐｓｉ ３１５０ 破断時の伸び ％ ※１ １２５ 硬度、デュロメーターＡ±５ ９０ 圧縮永久ひずみ ％ ※２ 常温で７０時間 ３０ ２０４°Ｃで７０時間 ３５ 脆化点 °Ｃ −３７ ※１ ＡＳＴＭ Ｄ４１２，５００ｍｍ／ｍｉｎ（２０
ｉｎ／ｍｉｎ） ※２ ＡＳＴＭ Ｄ３９５Ｂ ｐｅｌｌｅｔｓ 本実施例に用いられる好適なパーフロロエラストマーは
特開昭５９−８０４５７号公報・特公昭５３−４０３５
号公報・特開平３−１７２３１１号公報等に記載されて
いる。

【００３４】即ち、テトラフルオロエチレン、パーフル
オロアルキルビニルエーテル及びニトリル含有モノマー
の重合単位から製造されるものが好ましい。

【００３５】本実施例の定着ローラー１は、弾性に富む
ため、従来のハードローラーの欠点である弾性不足によ
る画質の劣化及び定着性不良が大巾に改善されてソフト
ローラー並の性能を示した。

【００３６】さらに耐オフセット性、耐久性、耐熱性に
も著しく優れ、総合的に非常に優れた性能の定着装置を
構成することが可能となった。

【００３７】〈第二の実施例〉（図２） 本実施例は前記第一の実施例の定着ローラー１の被覆層
１ａ上にさらにＰＦＡ又はＰＴＦＥ等のフッ素樹脂の単
体のコーティング（オフセット防止層）１ｄを形成した
ものを使用することを特徴とする。

【００３８】すなわち、本実施例における定着ローラー
１は直径４０ｍｍのアルミパイプを芯金１ｃとし、その
外周面を＃１０００アルミナ粉でホーニング処理して粗
面化し、プライマー層１ｂを１０μｍ程度の厚みで塗布
して１５０°Ｃ・１５分の乾燥を行った後、ゴム弾性を
有するパーフロロエラストマーとＰＦＡ樹脂とをブレン
ドした材料を１０μｍ程度の厚さに塗布して被覆層１ａ
を形成して１５０°Ｃ・１５分の乾燥を行い、最後にＰ
ＦＡ樹脂単体を２〜３μｍの厚さに塗布して４００°Ｃ
・２０分焼成してオフセット防止層１ｄを形成した。

【００３９】この定着ローラー１は、弾性に富み、かつ
非常に離型性に優れるため、高画質で優れた定着性能を
示し、さらに耐オフセット性、耐久性、耐熱性にも著し
く優れる定着装置を構成することが可能となった。

【００４０】〈第三の実施例〉（図３） 本実施例は定着ローラー１のオフセット防止層１ａ′を
ゴム弾性を有するパーフロロエラストマーとフッ素ゴム
又はシリコーンゴムの混合物で形成したものである。

【００４１】すなわち、本実施例における定着ローラー
１は、直径４０ｍｍのアルミパイプを芯金１ｃとし、そ
の上にゴム弾性を有するパーフロロエラストマーとフッ
素ゴム又はシリコーンゴムの混合物を積層し、加硫して
オフセット防止層１ａ′を形成した。

【００４２】この定着ローラー１は耐熱性、耐オフセッ
ト性が従来のソフト定着ローラーと比べて著しく改善さ
れ、高画質で優れた定着性能を示し、総合的に著しく優
れる定着装置を構成することが可能となった。

【００４３】〈第四の実施例〉本実施例は、前記第一乃
至第三の実施例において加圧ローラー２を構成する弾性
層２ａとしてシリコーンゴム又はフッ素ゴムとゴム弾性
を有するパーフロロエラストマーの混合物を使用するこ
とを特徴とする。

【００４４】即ち、この加圧ローラー２は、φ３０のＳ
ＵＳ等の芯金２ｂの表面に、シリコーンゴム中にゴム弾
性を有するパーフロロエラストマーを混入して５ｍｍの
厚さに弾性層２ａを積層し、加硫することにより形成さ
れる。

【００４５】この加圧ローラー２はゴム弾性をもつパー
フロロエラストマーの効果としてシリコーンゴムの物性
を改善し、非常に耐熱性及び離型性に優れ、従来の加圧
ローラーのようにＰＦＡチューブを被覆しなくともオフ
セット性に大変優れていた。

【００４６】すなわち、本実施例による加圧ローラー２
と、前記第一乃至第三の実施例による定着ローラー１と
組み合わせることにより、高画質で定着性に優れ、かつ
耐オフセット性、耐久性に優れ、総合的に非常に優れた
定着装置を構成することが可能となった。

【００４７】〈第五の実施例〉（図４） 本実施例は主にフルカラー画像の定着処理に適する定着
装置の構成に関するものである。

【００４８】一般にフルカラー画像は複数の色顕画材
（色トナー）を完全に溶け合わせることにより所望の色
彩を出しているため、その定着に関してはトナーを溶か
して完全に混ぜ合わせて発色させる必要があり、定着ロ
ーラー及び加圧ローラーには加熱の他に弾性を有するこ
とが強く要求される。

【００４９】さらに上記理由により、トナーを完全に溶
かしているためトナーが定着ローラー表面に転移するオ
フセット現象が発生しやすい。したがって、ローラー表
面の離型性も同時に要求されている。

【００５０】これらの問題点を解決するために本実施例
においては、定着ローラー１及び加圧ローラー２の表層
１ａ′・２ａ′を、シリコーンゴム又はフッ素ゴムと、
ゴム弾性を有するパーフロロエラストマーとの混合物の
層にすることにより、非常に弾性及び離型性に優れる定
着ローラー１及び加圧ローラー２を形成し使用した。

【００５１】本実施例においては定着ローラー１及び加
圧ローラー２はいずれも熱源３を内装して熱ローラーと
してある。

【００５２】本実施例による定着ローラー１及び加圧ロ
ーラー２を組み合わせることにより高画質で定着性能に
優れ、耐オフセット性及び耐久性・耐熱性に優れた主に
フルカラー画像の定着に適する定着装置を構成すること
が可能となった。

【００５３】

【発明の効果】以上のように本発明は、優れた諸特性を
有するものの、成形困難な材料であるパーフロロエラス
トマーについてその成形性を改善することで該材料を利
用して従来の定着ローラーのハードローラー及びソフト
ローラーの両者の長所を兼ね備えた定着ローラー及び／
又は加圧ローラー、即ち適度な弾性を具備していて高画
質で定着性能に優れ、かつ耐オフセット性・耐久性・耐
熱性も具備したものを実現できた。

【図面の簡単な説明】

【図１】 第一の実施例の定着装置の構成略図

【図２】 第二の実施例の定着装置の構成略図

【図３】 第三の実施例の定着装置の構成略図

【図４】 第四の実施例の定着装置の構成略図

【符号の説明】

１ 定着ローラー（ヒートローラー） １ａ・１ａ′ オフセット防止層 １ｂ プライマー層 １ｃ 芯金 ２ 加圧ローラー ２ａ・２ａ′ 弾性層 ３ 加熱源 Ｐ 記録材 Ｔ トナー画像

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 互いに圧接して回転する一対のローラー
   間の圧接ニップ部に未定着画像を形成担持させた記録材
   を導入し挟持搬送させて未定着画像を記録材面に定着さ
   せる定着装置において、 前記一対のローラーのうち少なくともいずれか一方のロ
   ーラーを、芯金の上に、ゴム弾性を有するパーフロロエ
   ラストマー、及びシリコン系かフッ素系の樹脂もしくは
   ゴムの混合物の層を形成したローラーとしたことを特徴
   とする定着装置。
2. 【請求項２】 前記一対のローラーの少なくとも一方の
   ローラーが熱源を有することを特徴とする請求項１に記
   載の定着装置。
3. 【請求項３】 芯金と、該心金の外周に形成された、少
   なくとも、ゴム弾性を有するパーフロロエラストマー、
   及びシリコン系かフッ素樹脂もしくはゴムの混合物の層
   からなることを特徴とする定着ローラー。
4. 【請求項４】 前記混合物の層がローラーの最外層を構
   成していることを特徴とする請求項３に記載の定着ロー
   ラー。