JP2008165018A - 定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置 - Google Patents

定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】定着部材より発生した摩耗粉が他の部材に付着転移することを防ぎ、摩耗粉に起因する画像欠陥のない画像を形成することができる、定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】基材40Aと表面離型層40Cを有し、前記表面離型層は、第1のフッ素樹脂、第2のフッ素樹脂、及び粒子を含有し、前記第2のフッ素樹脂は、数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレンである、定着部材である。
【選択図】図2

Description

本発明は、定着部材、画像定着装置、及びそれを用いた画像形成装置に関する。
従来、定着装置としては、例えば、加熱源を有する回転可能な加熱定着ロールと、この加熱定着ロールに接触し且つ共に回転移動する無端状の加圧ベルトと、この加圧ベルトの内側に配設されて、加圧ベルトを加熱定着ロールに向けて押圧して当該加圧ベルトと加熱定着ロールとの間に接触部を形成する押圧部材とを備え、この接触部にシートを通過させることで、当該シート上の未定着トナー像を加熱加圧定着するように構成したものが知られている(例えば特許文献1参照)。
上記定着装置の場合には、加熱定着ロールによる加圧ベルトの駆動力に比べて、加圧ベルト及び押圧部材の間の摩擦力が無視できないほど大きくなると、加熱定着ロールと加圧ベルトとの間でスリップが生じることがある。このような条件下で未定着トナー像を保持したシートを接触部に通すと、シート上の未定着トナー像に画像のずれや、更には紙しわを引き起こしてしまうという問題点も見られる。この問題に対しては、フッ素樹脂のみからなる表面離型層材料に新たに無機粒子(フィラー)を配合することによって、摩擦係数を所定の値以下に下げたエンドレスベルトが提案されている(例えば特許文献2参照)。
また電子写真複写機などの画像形成装置においては、一般に、感光体ドラムを帯電する帯電工程、露光により感光体ドラムに静電潜像を形成する露光工程、トナー(現像剤)によって静電潜像を可視像にする現像工程、感光体ドラム上のトナー像を記録媒体に転写する転写工程、記録媒体上のトナー像を定着する定着工程から構成されるが、転写工程において電圧を印加しトナー像を記録媒体に転写する際、記録媒体に電荷が残留している状態で定着工程に入ると、枚数を重ねるごとに定着部材に電荷がたまり、最終的には記録媒体上のトナーが静電気により飛び散ちることによる画像不良や、定着部材にトナーが静電気的に固着することによるオフセット発生などを、引き起こしてしまうという問題点が見られる。これらの問題に対しては、定着部材に、カーボンブラックを始めとする各種導電性粒子などを添加することによって、定着部材表面を半導電性とすることにより、静電気的オフセットを防止することが行われている(例えば特許文献3参照)。
特開平11−24457号公報 特開2005−37829号公報 特許第3215230号
上記従来技術のように、例えば、表面の摩擦係数を所定の値以下にさげるための無機粒子(フィラー)や、加圧ベルト表面への静電気の蓄積を防止するための導電性粒子等を、表面離型層に配合した定着部材を用いた場合には、例えば、記録媒体の通紙を繰り返し、加圧ベルト両端の用紙エッジ部の表面離型層が摩耗すると、その摩耗粉が加熱定着ロール表面に固着堆積し、より大サイズの記録媒体を通紙したときに画像欠陥を生じてしまうという問題があった。
特に、導電性粒子としてカーボンブラックを用いた場合、加圧ベルト両端から発生した摩耗粉が加熱定着ロール表面に黒い筋状となって固着堆積し、上記問題点が顕著となった。
従って、本発明は、前記従来における問題を鑑み、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、定着部材より発生した摩耗粉が他の部材に付着転移することを防ぎ、摩耗粉に起因する画像欠陥のない画像を形成することができる、定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち本発明は、
<1> 少なくとも基材と表面離型層を有し、前記表面離型層は、少なくとも、第1のフッ素樹脂、第2のフッ素樹脂、及び粒子を含有し、前記第2のフッ素樹脂は、数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレンである、定着部材である。
<2> 前記数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレンの含有量は、1質量%以上30質量%以下である、<1>に記載の定着部材である。
<3> 前記第1のフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体である、<1>又は<2>に記載の定着部材である。
<4> 前記粒子は、導電性粒子である、<1>乃至<3>のいずれか1つに記載の定着部材である。
<5> 前記導電性粒子は、カーボンブラックである、<4>に記載の定着部材。
<6> 前記粒子は、無機粒子である、<1>乃至<5>のいずれか1つに記載の定着部材である。
<7> 少なくとも、第1回転体と、前記第1回転体に接離可能に配置される第2回転体と、を備え、前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方は、<1>乃至<6>5のいずれか1つに記載の定着部材である、画像定着装置である。
<8> 前記第1回転体が、加熱ロールであり、前記第2回転体が、加圧ベルトであり、前記加圧ベルトが、<1>乃至<6>のいずれか1項に記載の定着部材である、<7>に記載の画像定着装置である。
<9> 前記加熱ロールが、基材と表面離型層とを有し、前記表面離型層は、ポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を含む、<8>に記載の画像定着装置である。
<10> 静電潜像保持体と、前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記静電潜像保持体表面上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備え、前記定着手段は、<7>乃至<9>のいずれか1つに記載の画像定着装置である、画像形成装置である。
本発明によれば、定着部材より発生した摩耗粉が他の部材に付着転移することを防ぎ、摩耗粉に起因する画像欠陥のない画像を形成することができる、定着部材、画像定着装置、及び画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、同一の作用・機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は省略することがある。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。図2は、本発明の実施形態に係る定着装置を示す概略断面図である。図3は、本発明の実施形態における加圧ベルトを示す概略断面図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図1に示すように、一方向へ(図1において矢印A方向)に回転する円筒状の感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10の周囲には、感光体ドラム10の回転方向上流側から順に、感光体ドラム10の表面を帯電させる帯電装置12と、感光体ドラム10に像光Lを照射して表面に潜像を形成する露光装置14と、感光体ドラム10表面の潜像にトナーを選択的に転移させてトナー画像を形成する現像器16A〜16Dで構成される現像装置16と、感光体ドラム10と対向し、周面が周回可能に支持される無端ベルト状の中間転写体18と、トナー画像の転写後に感光体ドラム10に残留するトナーを除去するクリーニング装置20と、感光体ドラム10の表面を除電する除電露光装置22とが設けられている。
また、中間転写体18の内側には、感光体ドラム10表面に形成されたトナー画像を中間転写体18に一次転写する転写装置24と、2つの支持ロール26A、26Bと、二次転写を行うための転写対向ロール28とが配置されており、これらによって中間転写体18が一方向(図1において矢印B方向)へ周回可能に張架されている。転写対向ロール28と対向する位置には、中間転写体18を介して、中間転写体18の外周面に一次転写されたトナー画像を記録紙(記録媒体)Pに二次転写する転写ロール30が転写対向ロール28に接離可能に設けられており、二次転写の際には転写対向ロール28と転写ロール30との接触部に、記録紙Pが矢印C方向へ送り込まれるようになっている。そして、当該接触部において表面にトナー画像が二次転写された記録紙Pは、そのまま矢印C方向に搬送される。
記録紙Pの搬送方向(矢印C方向)下流側には、記録紙P表面のトナー画像を加熱溶融して記録紙Pに定着する定着装置32が配されており、記録紙Pが搬送ガイド36を経由して送り込まれる。また、中間転写体18の回転方向(矢印B方向)下流に沿った位置には、中間転写体18表面に残留するトナーを除去するクリーニング装置34が設けられている。
次に、本実施形態に係る定着装置について説明する。
本実施形態に係る定着装置32は、図2に示すように、一方向(図2において矢印E方向)へ回転する加熱ロール40(第1回転体)と、加熱ロール40の周面に接触し、一方向(矢印D方向)へ回転する無端状の加圧ベルト38(第2回転体)と、を備えている。
加圧ベルト38の内周側には、加熱ロール40と接触部を形成する押圧部材44と、加圧ベルト38と加熱ロール40との接触部とは反対側に配置されたベルト走行ガイド42と、を備えている。
ベルト走行ガイド42は、押圧部材44のホルダ44Cに固定されており、外側中央部には潤滑剤保持部材54を備えている。潤滑剤保持部材54は、加圧ベルト38と加圧ベルト38の内側に設けられた部材(固定バッド44やベルト走行ガイド42)との摩擦を低減するために用いられている潤滑剤を、保持し必要に応じて排出している。
加熱ロール40は、内部に加熱源46を有するコア40A(基材)に弾性層40Bおよび剥離層40C(表面離型層)が順次形成されて構成されている。
加熱ロール40の周辺には、定着後の用紙を剥離するための剥離部材52、加熱ロール40の表面温度を制御するための温度センサー50が設けられている。剥離部材52は、加圧ベルト38と加熱ロール40との接触部の記録紙Pの搬送方向(矢印F方向)下流側に設けられている。剥離部材52は、一端が固定支持された支持部52Aと、これに支持されている剥離シート52Bとからなり、剥離シート52Bの先端が加熱ロール40に近接又は接触するように配置されている。
まず、加圧ベルト38について説明する。本実施形態における加圧ベルト38は、図3に示すように、基材102と、基材102の外周面に設けられた表面離型層101とで構成され、本発明の定着部材に相当する。
表面離型層101は、少なくとも、第1のフッ素樹脂、第2のフッ素樹脂、及び粒子を含有し、第2のフッ素樹脂は、数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレンである。以下、「ポリテトラフルオロエチレン」を「PTFE」と略す場合がある。
一般の成型品や塗膜として使用されるPTFEは、分子量が2×10以上6×10以下程度のものであり、圧縮成型や押出し成型およびコーティングにより、PTFE単独で機械的強度のある成型品や塗膜を得ることができるものである。しかし、本実施形態で使用される「数平均分子量が1×10以下の低分子量のPTFE」は、脆く柔らかいワックスに近いものであり、PTFE単独で機械的強度を持った成型品や塗膜を得ることができない。よって本実施形態に用いられるPTFEは、一般の成型品や離型性を狙いとしたコーティング塗膜として使用されるPTFEとは、性質が明らかに異なるものである。以下、「数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレン」を「低分子量PTFE」と略す場合がある。
第2のフッ素樹脂に含まれる低分子量PTFEの分子量は、上記の通り1×10以下であり、1×104以上8×105以下が望ましく、2×104以上6×105以下がより望ましい。
ここでPTFEの数平均分子量は、DSC(Differential Scanning Calorimetry)法により求めた。すなわち、示差走査熱量計(株式会社島津製作所製、DSC-60)を用いて+10℃/分の昇温速度、−10℃/分の降温速度でDSC測定を行い、島津熱分析ワークステーション TA−60WSに付属の解析ソフトTA60を用いDSC曲線におけるピーク面積から見積もった低分子量PTFEの結晶化熱ΔHc(J/g)を用いて、下記式(1)より低分子量PTFEの数平均分子量Mnを求めた。
式(1):Mn=3.4×1013×ΔHc(J/g)−5.16
低分子量PTFEとしては、乳化重合などにより数平均分子量が1×10以下に調整されて作られた低分子量PTFEディスパージョンや低分子量PTFE粉末、またはPTFEの融点以上の温度でPTFEを焼成処理した後冷凍粉砕し、更に放射線を照射して数平均分子量が1×10以下に低分子量化した低分子量PTFE粉末などが使用可能で、三井・デュポンフロロケミカル、ダイキン工業、旭硝子などのフッ素樹脂メーカーで製造される各種市販品を使用することが出来る。
低分子量PTFEの含有量は、例えば1質量%以上30質量%以下が望ましく、1.5質量%以上25質量%以下がより望ましく、2質量%以上20質量%以下がさらに望ましい。
低分子量PTFEの含有量が上記範囲であることにより、加圧ベルト38により発生した摩耗粉の付着転移を防ぐと共に、表面離型層101の耐久性を維持し、摩耗粉の発生を抑えることができる。
一方、低分子量PTFEの含有量が1質量%より少ないと、通紙により発生する摩耗粉の加熱ロール40への非粘着性の効果が十分に得られず、30質量%より多いと摩耗粉の加熱ロール40への非粘着性の効果は十分に得られるものの、表面離型層101の耐久性が大幅に低下してしまい、通紙により表面離型層101が基材102から剥離することや、早期に摩滅してしまうこと等の二次障害が発生する可能性がある。
第1のフッ素樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、「PFA」と略す場合がある。)、数平均分子量が1×10より大きいPTFE(以下、高分子量PTFEと略す場合がある。)等が挙げられ、これらを単独または併用して用いることができる。
ここで上記第2のフッ素樹脂である低分子量PTFEは、上述した通り、脆く柔らかいワックスに近いものであり、PTFE単独で機械的強度を持った成型品や塗膜を得ることができない。したがって、第1のフッ素樹脂は、ある程度機械的強度を持ったフッ素樹脂である必要がある。耐摩耗性等の観点より、第1のフッ素樹脂としては、PFA、高分子量PTFEが望ましく、PFAがより望ましい。PFAのパーフルオロアルキル基としてはパーフルオロプロピル基が好ましく、パーフルオロメチル基(MFA)、パーフルオロエチル基(EFA)でも良い。また、パーフルオロアルキル基として単一ではなく、複数の種類が含まれるものも用いることが出来る。
上記第1のフッ素樹脂として用いられるPFAは、分子量等に特に制限はないが、数平均分子量で2×10以上1×10以下のものが好適であり、既存の各種市販品が使用できる。焼成後の表面平滑性、耐久性、上記機械的強度等を考慮するとメルトフローレートが5(g/10min)以上20(g/10min)以下程度のグレードのものが適している。
表面離型層101は、第3のフッ素樹脂等のその他の成分を含んでも良い。第3のフッ素樹脂として具体的には例えば、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。ただし耐熱性及び耐久性の点から添加量は20質量%以下が望ましい。
表面離型層101に含有される粒子としては、例えば、導電性粒子、無機粒子等が挙げられる。
導電性粒子としては、具体的には例えば、カーボンブラック、黒鉛粉末、酸化チタン粉末表面に酸化錫やアンチモンをドーピングしたもの等が挙げられる。この中でも特に、カーボンブラックが望ましい。
カーボンブラックとしては、導電性を付与できるものであれば特に指定は無いが、少量の添加で高い導電性を得ることができるケッチェンブラックなどが最適で、市販されている粉末やベースト状のものが使用可能である。
導電性粒子の添加量は0.5質量%以上2.5質量%以下が望ましい。添加量が0.5質量%より低くなると表面抵抗率は1×10Ω/cmよりも高くなり、加圧ベルトの表面へ静電気が蓄積することにより画像乱れやオフセットが発生してしまうことがある。また導電性粒子の添加量が2.5質量%より多いと、表面離型層101の耐摩耗性及びトナーに対する離型性が低下してしまうことがある。
導電性粒子を含有させた表面離型層101の表面抵抗率は、1×10Ω/cm以上1×10Ω/cm2以下であることが望ましい。カーボンブラックなどの導電性粒子の添加量が同じでもベルトの焼成条件等によって変化し、1×10Ω/cmより低くなると転写工程における転写電流が記録媒体を通ってリークしてしまい転写不良になることがある。また1×10Ω/cmとなる場合には、加圧ベルトの表面へ静電気が蓄積することによる画像乱れやオフセットが発生してしまう。
ここで表面抵抗率は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターUPの「URプローブ」)を用い、JIS K6911(1995)に従って測定することができる。
円形電極は、図4に示すように、第一電圧印加電極200Aと板状絶縁体200Bとを備える。第一電圧印加電極200Aは、円柱状電極部200Cと、該円柱状電極部200Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ円柱状電極部200Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部200Dとを備える。第一電圧印加電極200Aにおける円柱状電極部200C及びリング状電極部200Dと板状絶縁体200Bとの間に測定試料200Tを挟持し、第一電圧印加電極200Aにおける円柱状電極部200Cとリング状電極部200Dとの間に電圧V(V)を印可したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により表面抵抗率ρs(Ω/□)を求めることができる。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
ここで、上記式中、d(mm)は円柱状電極部200Cの外径を示す。D(mm)はリング状電極部200Dの内径を示す。
本発明では、円柱状電極部200Cとリング状電極部200Dとの間に電圧V=100(V)を印加し、10秒後の電流値I(A)を測定し、その電流値から表面抵抗率を計算した。
無機粒子としては、グラフアイト,金属粉末等の導電性粉末、硫酸バリウム、マイカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、酸化珪素、ケイ酸塩化合物等の無機化合物の粉末などが使用可能で、表面を導電化処理したものなども使用可能である。粒子形状は特に指定は無く板状・球状・不定形なものが使用可能である。上記一般市販品が使用可能である。
無機粒子を表面離型層101に含有させることにより、表面離型層101を補強し耐摩耗性を向上させると共に、加圧ベルト38表面の摩擦係数が下がり、画像のずれや紙しわを防ぐことが出来る。この観点から、無機粒子としては、硫酸バリウム、アルミナ、炭化珪素等が望ましい。
無機粒子の体積平均粒径は、1μm以上8μm以下が望ましい。無機粒子の体積平均粒径が1μmより小さくなると、無機粒子による表面離型層101への補強効果が得られなくなり耐摩耗性が低下してしまう。一方無機粒子の体積平均粒径が8μmより大きくなると、補強効果は高くなるものの、記録媒体との摩擦により脱落した際、加圧ベルト38の表面を傷つけてしまう。特に粒径20μm以上の粗大粒子が含まれると、加圧ベルト38の表面を傷つける可能性が高くなるため、篩分などにより除去する必要がある。
ここで、無機粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定することができる。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。
無機粒子の含有量は、5質量%以上25質量%以下が望ましい。無機粒子の含有量が5質量%未満であると、記録紙Pと加圧ベルト38の表面との摩擦係数が高くなり、加圧ベルト38の裏面と低摩擦層44Dとの摺動抵抗が僅かに上昇しただけでも紙シワが発生してしまうことがある。また無機粒子の含有量が25質量%より大きいと、トナーに対する加圧ベルト38の離型性が低下し、加圧ベルト38の表面にトナーが固着し、画像ディフェクトが発生してしまうことがある。
表面離型層101の厚さは、5μm以上40μm以下が望ましい。
基材102は、用途に応じて適したものであれば、制限なく適用することができる。例えば本実施形態における基材102は、加圧ベルト38を張架する支持ロールや圧力ロールを巻回するのに適した強度を有するものであればよく、例えば、高分子フィルム、金属フィルム、セラミックスフィルム、ガラス繊維フィルムあるいはこれらいずれか2種以上を複合して得られた複合化フィルムを使用することができる。
高分子フィルムとしては、耐熱性樹脂材料が望ましい。耐熱性樹脂材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが挙げられる。また、内部に粒状、針状、繊維状等のカーボンブラック、グラファイト、アルミナ、シリコーン、カーバイド、ボロンナイトライド等の熱伝導性向上剤を添加してもよく、必要に応じて導電化剤、帯電防止剤、剥離剤、補強剤等の添加剤を添加してもよい。また前記耐熱性樹脂の外周面にニッケルや銅などの金属やシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを積層することも可能である。
金属フィルムとしては、SUSやニッケルあるいは銅などが挙げられる。また金属フィルムの外周面に耐熱性樹脂やシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性エラストマーあるいは他の金属材料を積層することも可能である。
また基材102には、グラフアイト,金属粉末等の導電性粉末、導電性を有する有機化合物、耐摩耗性を向上するための硫酸バリウム、マイカ、酸化チタン、酸化鉄、酸化アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、ケイ酸塩化合物等の無機化合物の粉末を配合することも可能である。
加圧ベルト38の作製方法は、例えば、基材102に以下の方法により表面離型層101を形成する方法などが挙げられる。
具体的には例えば、上述した第1のフッ素樹脂、第2のフッ素樹脂(低分子量PTFE)、及び粒子等の成分が含まれる塗料を、基材102にスプレー、フロー、またはディップなどの方法によりコーティングした後に乾燥させる方法、あるいは、塗料を静電塗装などによりコーティングした後にフッ素樹脂(第1及び第2のフッ素樹脂)の融点以上の温度で焼成する方法などが挙げられる。
なお、本実施形態における加圧ベルト38は、表面離型層101及び基材102で構成されているが、本発明の定着部材は、少なくとも基材と表面離型層を有していれば、必要に応じて他の層(例えば、基材102と表面離型層101との間に設ける弾性層など)を有していても良い。
次に、加熱ロール40について説明する。
加熱ロール40は、内部に加熱源46を有するコア40Aと、弾性層40Bと、剥離層40Cとで構成されている。
コア40Aの材質としては、特に制限はないが、機械的強度に優れ、伝熱性が良好である材質が望ましい。コア40Aの材質として具体的には例えば、アルミ、SUS、鉄、銅等の金属、合金、セラミックス、FRM(繊維強化メタル)などが挙げられる。
弾性層40Bの材質としては、公知の材質のものの中から必要に応じて選択できるが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。本実施形態においては、これらの材質の中でも、表面張力が小さく、弾性に優れる点でシリコーンゴムが好ましい。該シリコーンゴムとしては、例えば、RTV(室温硬化型)シリコーンゴム、HTV(高温加硫型)シリコーンゴム、LSR(液状)シリコーンゴムなどが挙げられる。
弾性層40Bの厚みとしては、3mm以下が望ましく、より望ましくは0.5mm以上1.5mm以下である。弾性層40Bをコア40Aの表面に形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、公知のコーティング法などが採用できる。
剥離層40Cの材質としては、例えば、PFA等のフッ素樹脂が望ましい。耐久性・耐摩耗性などを向上するためには、複数のフッ素樹脂材料を含有することがより望ましい。
剥離層40Cの厚みとしては、10μm以上100μm以下が望ましく、より望ましくは20μm以上30μm以下である。剥離層40Cを弾性層40Bの表面に形成する方法としては特に制限はなく、例えば押し出し成型によって形成されたチューブを被覆する方法が挙げられる。
なお、加熱ロール40は、加熱源を備えていない加熱ロール、弾性層を備えていない加熱ロール等も、用いることができる。
次に、その他の部材について説明する。
押圧部材44は、記録紙Pの進行方向(矢印F方向)に沿って、異なる硬度の2つの加圧部44A、44Bを有する。加圧部44A、44Bは、ホルダ44Cにより支持され、例えばテフロン(登録商標)を含むガラス繊維シートやフッ素樹脂シートなどの低摩擦層44Dを介して加圧ベルト38内周面から加熱ロール40を押圧している。よって加圧部44A、44Bは、加熱ロール40に向けて加圧ベルト38を押圧するものであれば必要に応じて選定して差し支えないが、耐熱性を具備するもので構成することが好ましい。
例えば、押圧部材44における記録紙P突入側の加圧部44Aをゴム状弾性部材から構成させ、記録紙P排出側の加圧部44Bを金属等の硬い圧力付与部材から構成させ、接触部領域の圧力は記録紙P突入側より記録紙P排出側を高く設定する。この構成により、上述のように記録紙P(特に薄い記録紙)の剥離性が向上される。
低摩擦層44Dとしては、例えばフッ素樹脂シートなどを用いることができる。フッ素樹脂シートとしては、例えば、PTFE、PFA、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等を用いることが可能であるが、摺動摩擦抵抗の点からPTFEが望ましい。また低摩擦層44Dの構造としてはフッ素樹脂繊維からなる織布単層から構成されてもよし、さらにその上に多孔質フッ素樹脂シートを積層することも可能である。また低摩擦層44Dの裏側に配置される加圧部44A、44Bの表面に潤滑剤の透過を防止する潤滑剤透過防止層を有することも好適であり、この潤滑剤透過防止層を設けることで潤滑剤の枯渇をより抑制することができる。潤滑剤透過防止層は、耐熱性があり且つ潤滑剤を透過させない耐熱性樹脂フィルムや金属フィルムから必要に応じて選定して差し支えない。
潤滑剤保持部材54に保持される潤滑剤は、潤滑性が優れているものが望ましい。潤滑性の指標としては、例えば動粘度等がある。また、定着工程において過熱を伴う場合、潤滑剤の耐熱性、揮発性等を考慮する必要がある。これらの観点より、潤滑剤としては、シリコーンオイルが望ましく、濡れ性に優るアミノ変性シリコーンオイルがより望ましい。また、耐熱性により優れた性能が必要な場合、メチルフェニルシリコーンオイルあるいはフッ素オイルなどを使用することも好適である。
以下、本実施形態に係る画像形成装置100の動作について説明する。
まず、感光体ドラム10の表面が帯電装置12により帯電され、次いで露光装置14から像光Lが照射されて感光体ドラム10表面に静電電位の差による潜像が形成される。そして、感光体ドラム10の矢印A方向への回転により、現像装置16の1つの現像器16Aと対向する位置に移動し、現像器16Aから1色目のトナーが転移され、感光体ドラム10表面にトナー画像が形成される。このトナー画像は、感光体ドラム10の矢印A方向への回転により、中間転写体18との対向位置に搬送され、転写装置24によって中間転写体18表面に静電的に一次転写される。
一方、一次転写後に感光体ドラム10表面に残留するトナーがクリーニング装置20により除去され、清浄化後の感光体ドラム10表面は、除電露光装置22により電位的に初期化され、再び帯電装置12との対向位置に移動する。
以後、現像装置16の3つの現像器16B、16C、16Dが順次感光体ドラム10と対向する位置に移動し、同様に2色目、3色目、4色目のトナー画像が感光体ドラム10上に順次形成され、一次転写位置にて中間転写体18上に重ね合わされる。
中間転写体18上に重ね合わされたトナー画像は、中間転写体18の矢印B方向への周回移動により、転写ロール30と転写対向ロール28との対向位置に搬送され、送り込まれた記録紙Pに接触される。転写ロール30と中間転写体18との間には転写用バイアス電圧が印加されており、トナー画像は記録紙P表面に二次転写される。
未定着のトナー画像を保持した記録紙Pは、搬送ガイド36を経由して定着装置32へ搬送される。
次に、本実施形態に係る定着装置32の動作について説明する。
まず、定着装置32では、例えば上記画像形成装置100におけるトナー画像形成動作が開始されると同時に(無論、当然タイムラグがあってもよい。以下、同様である。)、不図示のモータにより加熱ロール40が矢印E方向へ例えば周速200mm/secで回転駆動される。
一方加圧ベルト38は、加熱ロール40に接触されているため、加熱ロール40からの駆動力を受けることにより回転し、ベルト走行ガイド42に沿ってガイドされている。
未定着トナー像Tを表面に保持する記録紙Pは、矢印F方向に、不図示の搬送手段により搬送されて、加圧ベルト38と加熱ロール40とが接触し形成された接触領域に挿通される。この際、記録紙Pの未定着トナー像Tが形成された面と加熱ロール40の表面とが向き合うように、記録紙Pが挿通される。この接触領域を記録紙Pが通過した際に、加熱ロール40内部の加熱源46により熱が記録紙Pに加えられ、同時に圧力も記録紙Pに加えられることにより、未定着トナー像Tが、記録紙Pに定着される。定着後の記録紙は、接触領域を通過後、剥離部材52により加熱ロール40から剥離され、定着装置から排出される。このようにして定着処理が成される。
加圧ベルト38と加熱ロール40とにより形成される接触域に、未定着トナー像Tを保持する記録紙Pが通過する時間(接触時間)は、0.030秒以上であることが望ましい。この接触時間が0.030秒より小さい場合、良好な定着性と、紙しわやカールの発生防止との両立が困難になる為、その分定着温度を上げる必要があり、エネルギーの浪費、部品の耐久性低下、装置の温昇を招く場合がある。なお、接触時間の上限は特に限定されるものではないが、定着処理能力と装置・部材の大きさの兼ね合いから、0.5秒以下が望ましい。
上記のようにして、本実施形態における画像形成装置100を用いることにより、画像形成を行うことができる。
本実施形態における加圧ベルト38においては、表面離型層101が上記のような組成であることにより、表面離型層101と記録紙Pとのすべりによって、加圧ベルト38より発生した摩耗粉が、他の部材に付着転移することを防ぎ、摩耗粉に起因する画像欠陥のない画像を形成することができる。
加圧ベルト38の表面離型層101が低分子量PTFEを含有することにより、加圧ベルト38より発生する摩耗粉の付着転移を防ぐことができる理由に関してはまだ十分に解明されていないが、以下のように推測される。PTFEはフッ素樹脂の中でも最も非粘着性が高く、さらに低分子量PTFEでは高分子量PTFEに比べて溶融粘度や融点が低いためベースフッ素樹脂に均一に溶融混合しやすい。よって、加圧ベルト38の表面離型層101に低分子量PTFEを添加することにより、表面離型層101の非粘着性を高くすることができ、加圧ベルト38から発生した摩耗粉が、他の部材の表面に付着しにくくなると推定される。
一方、PTFEの数平均分子量が1×10より大きくなるに従って溶融粘度が高くなるため、分子量の高いPTFEは他のフッ素樹脂と溶融混合しにくく、発生する摩耗粉の定着ロールへの非粘着性の効果は十分に得られない。
本実施形態に係る加圧ロール38は、第2のフッ素樹脂として低分子量PTFEを用いているため、上記問題を回避しつつ、摩耗粉の付着転移を防止することができる。
また、導電性粒子を表面離型層101に含有させることにより、記録媒体に残留した電荷の蓄積を抑え、静電気によるトナーの飛び散りや固着に起因する画像不良やオフセットの発生を防止することができる。
さらに、無機粒子を表面離型層101に含有させることにより、加圧ベルト38表面の摩擦係数が下がり、摩擦による画像のずれや紙しわの発生を防止することができる。
一方、導電性粒子や無機粒子等の粒子を従来の加圧ベルトに用いると、摩耗粉が発生して他の部材へ付着した場合、画像の品質に与える影響は大きい。特に粒子がカーボンブラック等の着色粒子である場合、着色された摩耗粉が他の部材に付着した場合における画像欠陥は顕著となる可能性がある。
しかし本実施形態における加圧ベルト38は、上記構成により、加圧ベルト38から発生した摩耗粉が他の部材に付着転移することを防ぐことができる。したがって、表面離型層101に上記粒子を含有させた場合、粒子による効果(例えば、静電気による画像不良やオフセットの防止、摩擦による画像ずれや紙しわの防止等)と、低分子量PTFEによる効果(摩耗粉による画像欠陥の防止)とを、両立することができる。
本実施形態における画像定着装置32では、第1回転体として加熱ロール40、第2回転体として加圧ベルト38を適用した、ロール・ベルト方式の定着装置を説明しているが、これに限られず、ロール・ロール方式、ベルト・ロール方式、ベルト・ベルト方式のいずれの方式も適用することができる。またこの際、いずれのロール及びベルトも、本発明の定着部材を適用することができる。
本実施形態の画像形成装置100は、上記構成に限られず、その他公知の構成(例えば、中間転写体を用いない構成、現像器の数を増減させた構成等)を適用することができる。
また本実施形態に係る画像形成装置100は、具体的には例えば、複写機、プリンタ、またはファクシミリ等の画像形成装置に用いることができる。
以下、実施例を交えて本発明を詳細に説明するが、以下に示す実施例のみに本発明は限定されるものではない。
[測定方法]
<表面低効率の測定方法>
表面抵抗率は、23℃、55%RHの環境下で、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターUPの「URプローブ」)を用い、上述の方法により測定し算出したものを表面抵抗率とする。
<無機粒子の体積平均粒径の測定方法>
無機粒子の体積平均粒径は、レーザー回析式粒度分布測定装置(LA−700:堀場製作所製)を用いて測定することができる。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で約2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、約40mlにする。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、約2分待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定する。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とする。
[実施例A−1〜A−6、比較例A−1]
<加圧ベルトの製造>
芯体として、外径30mm、長さ500mm、肉厚2mmのアルミ製円筒を用いる。この表面にブラスト処理を施した後、さらに基材表面にシリコーン離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、280℃で1時間、焼き付け処理を行った。
次に芯体表面へ、PI(ポリイミド)前駆体のN−メチルピロリドン溶液(商品名:Uワニス、宇部興産(株)製、固形分濃度:18%、粘度:約5Pa・s)をフローコーティング法により厚さ150μmに塗布した後、120℃で30分間回転させながら乾燥することにより、乾燥塗膜を得た。
表1に示す組成をもつ塗料を、それぞれ上記乾燥塗膜の表面にスプレーコーティングによりコートして80℃で6分間乾燥し、380℃でまで150分で昇温したのち40分間保持することにより乾燥塗膜と共に表面離型層を焼成し、無端ベルトを得た。
室温に冷却後、無端ベルトを芯体表面から取り外し、両端部をカットすることにより、膜厚80μmの基材(ポリイミド樹脂製)の外周に、膜厚30μmの表面離型層(表1に示す固形分組成に対応したフッ素樹脂層)が形成された、幅255mmの無端状の加圧ベルトを得た。
ここで、上記塗料に含まれる原料(表1に示す原料)は、具体的には以下の通りである。
・PTFE:PTFE粉末(ダイキン工業製、商品名:ルブロンL-5F、分子量:5.8×105、平均粒径:5μm)
・PFA:PFA分散フッ素樹脂溶液(三井・デュポンフロロケミカル社製、商品名:710CL)
・CB:導電性カーボンブラック(ライオン株式会社製、商品名:ケチェンブラックEC600JD)
・無機粒子:硫酸バリウム(堺化学製、商品名:BMH―60、平均粒径:5μm)
<加熱ロールの製造>
加熱ロールは肉厚0.5mm、外径25mmの炭素鋼管からなるパイプの表面上に、厚さ0.6mmのシリコーンゴム(信越化学工業製LSR)が被覆され、さらに最外表面層として厚さ30μmのPFAチューブ(三井・デュポンフロロケミカル社製「950HP―Plus」を押し出し成型し、内面をエキシマレーザー処理したもの)が一体に被覆されるように注入成型を行った。
<その他の部材等>
押圧部材の低摩擦層としては、PTFE含浸ガラスクロス(中興化成工業製、商品名:GタイプファブリックFGF400)を使用した。
潤滑剤保持部材には、潤滑剤として粘度300CSのアミノ変性シリコーンオイル(信越化学製)2gを含浸させた。
<評価方法>
上記加圧ベルト及び各部材を、富士ゼロック製カラープリンターDocuPrintC1616の定着ユニットに組み込み、画像定着装置として実機において評価を行った。
加圧ベルトより発生した摩耗粉の付着転移に関する評価は、富士ゼロックス製P紙を縦送りで1万枚のプリントを行うことにより確認した。
具体的には、黒色のPFA摩耗粉末の付着状況を目視で観察し、次の3段階で評価し、評価結果を表1に示す。
○:付着がまったく観察できない
△:ごく軽微に付着が観察される
×:はっきりと付着が観察される
また同時に、加圧ベルト表面離型層の摩耗量を、渦電流式の膜厚測定器(装置名:ISOSCOPE MP30:株式会社フィッシャーインスツルメンツ製、測定環境:23℃55%RH)により測定する。具体的には、初期の膜厚と1万枚プリント後の膜厚の差をとった値を、摩耗量(μm)とし、表1に示す。
表1の結果より、比較例1の場合には加熱ロールへの黒色摩耗粉の付着がはっきりと観察されたが、一方、実施例1〜6の場合には、加熱ロールへの黒色摩耗粉の付着は全く観察できないか、又はごく軽微に観察されたのみであった。また、実施例6に比べて、実施例1〜5の方が、加圧ベルト表面離型層の摩耗量が小さく抑えられ、摩耗粉の付着転移防止及び表面離型層の耐久性を両立することができた。
[実施例B−1〜B−2、比較例B−1〜B−2]
塗料の組成及び塗料に用いるPTFEの分子量を表2に示すようにした他は、実施例A−1等と同様にして、加圧ベルトの製造を行った。また加熱ロール等のその他の部材、評価方法についても、実施例A−1と同様である。
なお、実施例B−1において使用したPTFEは、低分子量PTFE粉末(ダイキン工業製、ルブロンL―5F、平均粒径:5μm、分子量:5.8×10)であり、実施例B−2において使用したPTFEは、低分子量PTFE粉末(三井デュポンフロロケミカル社製、テフロン(登録商標)MP1100、分子量:9.7×10)であり、比較例B−1において使用したPTFEは、PTFEディスパージョン(三井デュポンフロロケミカル社製、30―J、分子量:1.8×10)であり、比較例B−2において使用したPTFEは、PTFEファインパウダー(ダイキン工業製、ポリフロンTFE、分子量:4.5×10)である。
実施例B−1〜B−2及び比較例B−1〜B−2の評価結果を表2に示す。
表2の結果より、実施例B−1〜B−2場合には加熱ロールへの黒色摩耗粉の付着はまったく見られなかったが、比較例B−1〜B−2の場合には加熱ロールへの黒色摩耗粉の付着の発生が見られた。また、加圧ベルト表面離型層の摩耗量に関しては、いずれも問題は見られなかった。
[実施例C−1〜C−6、比較例C−1]
PFAの代わりに高分子量PTFE(三井デュポンフロロケミカル社製、製品名:30―J、分子量:1.8×10)を用いた他は、実施例A−1〜A−6及び比較例A−1と同様にして、加圧ベルトの製造を行った。また加熱ロール等のその他の部材、評価方法についても、実施例A−1〜A−6及び比較例A−1と同様である。
実施例C−1〜C−6及び比較例C−1の評価結果を表3に示す。
表3の結果より、比較例C-1の場合には加熱ロールへの黒色摩耗粉の付着がはっきりと観察されたが、一方、実施例C-1〜C-6の場合には、加熱ロールへの黒色摩耗粉の付着は全く観察できないか、又はごく軽微に観察されたのみであった。また、実施例C-6に比べて、実施例C-1〜C-5の方が、加圧ベルト表面離型層の摩耗量が小さく抑えられ、摩耗粉の付着転移防止及び表面離型層の耐久性を両立することができた。
本発明の画像形成装置の好適な一実施形態の構造を示す断面図である。 本発明の画像定着装置の好適な一実施形態の構造を示す断面図である。 本発明の加圧ベルトの好適な一実施形態の構造を示す断面図である。 表面抵抗率の測定装置を示す概略構成図であり、(a)は上面図であり、(b)は断面図である。
符号の説明
10…感光体ドラム
12…帯電装置
14…露光装置
16…現像装置
24…転写装置
32…定着装置
38…加圧ベルト
40…加熱ロール
44…押圧部材
100…画像形成装置
101…表面離型層
102…基材
P…記録紙
T…未定着トナー像

Claims (4)

  1. 少なくとも基材と表面離型層を有し、
    前記表面離型層は、少なくとも、第1のフッ素樹脂、第2のフッ素樹脂、及び粒子を含有し、
    前記第2のフッ素樹脂は、数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレンである、定着部材。
  2. 前記数平均分子量が1×10以下のポリテトラフルオロエチレンの含有量は、1質量%以上30質量%以下である、請求項1に記載の定着部材。
  3. 少なくとも、第1回転体と、
    前記第1回転体に接離可能に配置される第2回転体と、を備え、
    前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方は、請求項1又は2に記載の定着部材である、画像定着装置。
  4. 静電潜像保持体と、
    前記静電潜像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    前記静電潜像保持体表面上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備え、
    前記定着手段は、請求項3に記載の画像定着装置である、画像形成装置。
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