JP3721730B2 - 定着用部材、定着用部材の製造方法、定着装置および画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱及び冷却のサイクルや機械的な圧接を常時受ける電子写真方式に用いられる複写装置、プリンターその他の種々の画像形成装置等の定着部等に用いられる加熱ロールやベルト等の定着用部材とこの定着用部材を用いた定着装置、この定着装置を用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式に用いられる複写装置、プリンターその他の種々の画像形成装置等において、用紙上に形成されたトナー像を定着させる方法としては、通常、内部にランプ等の発熱体を配置することによって加熱され、かつ、互いに圧接された二つの回転体対間にトナー像が形成された紙等の担持体を通し、トナー像を支持体上に融着させる方法が採られている。
【0003】
このような方法で用いられる定着装置の例としては、図1に示されるように熱ロール定着装置が挙げられ、この熱ロール定着装置は加熱ロール1と加圧ロール11の一対のロールから構成される。加熱ロール1は、アルミニウム、鉄等の円筒状の中空芯金2の表面にフッ素ゴム、シリコーンゴム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂といった離型性に優れた耐熱性エラストマーまたは耐熱性樹脂からなる最外層4が被覆されている。また、加熱ロール1の内部には、ハロゲンランプ等の発熱体21が配置されてヒートロールの機能を有するようになっている。
【0004】
一方、加圧ロール11は、アルミニウム、鉄等の円筒状の中空芯金12の表面に加熱ロール1と同種または別種の離型性に優れた耐熱性エラストマーまたは耐熱性樹脂からなる最外層14が被覆されている。そして、加熱ロール1と加圧ロール11は、互いにバネ等により圧接されている。なお、図中、27はインレッと、28はアウトレットであり、29は加熱ロール1の表面に離型剤を塗布する離型剤塗布装置である。
【0005】
この熱ロール定着装置においては、表面にトナー像32を有する紙31は、加熱ロール1と加圧ロール11の間に搬送され、トナー像32は紙31上に定着された後、アウトレット28を経て一対のロール間より搬送される。
【0006】
ロール等の担体表面に被覆される定着用部材は、融着したトナー像の一部が回転体側に付着するホットオフセットといった現象や、トナー像が回転体から分離せずに担持体と共に回転体への巻き付きといった現象ができるだけ起こらないことが要求される。
【0007】
その一方で、装置の可動時には設定温度として約200℃の高温に加熱され、かつ停止時には室温まで冷却されるという加熱と冷却のサイクルが繰り返されるため、このサイクルにも耐えられることが要求されている。さらに、回転体の最表面では対向して取り付けられている定着用部材同士が圧接しており、また、用紙の巻きつきを防止するための分離爪が常時圧接している等の過酷な条件にさらされ、常時ストレスが加わっている。
【0008】
したがって、定着装置の回転体上に被覆される離型性に優れた耐熱性エラストマーまたは耐熱性樹脂としては、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フッ素樹脂等のシリコーン系またはフッ素系の高分子材料に限られている。しかし、これらの高分子材料もそれぞれいくつかの問題点を有する。
【0009】
まず、離型材料にフッ素ゴムを使用した場合、次に示す二つの理由からトナーに対する離型性が十分でなくなる。一つは、紙等のトナー像担持体との摩擦に対する耐久性を確保するために、SiO2 等の無機酸化物やカーボンブラック等の無機充填剤が添加されて表面エネルギーが高くなることである。もう一つは、フッ素ゴムは、架橋剤を添加し加熱することで主鎖を架橋させゴム化させるが、未反応の官能基がゴム中に残存し、トナーとゴムとの相互作用が生じることである。
そこで、離型性を確保するために、未定着像に直接圧接する側の加熱回転体の表面に外部からシリコンオイルなどの離型剤を供給し、未定着像と表面の間に形成される離型剤の層を分断して剥離させることが行われている。
【0010】
ところが、離型剤が定着時にトナー像担持体に付着し、その結果紙やOHPフイルムの表面がべとつき、テープ類が付着しないという問題点や外部から離型剤を供給する装置が必要なことから定着装置の小型化及び低コスト化が制約されるという問題を有する。このため、摩擦に対する耐久性を確保しつつ、回転体表面に供給される離型剤の量を減らすか、あるいは離型剤を全く使用しないでトナーに対する離型性を向上させることが要求されている。
【0011】
次に、離型材料にシリコーンゴムを使用した場合、初期の段階ではシリコーンゴム中に含まれるフリーオイルが表面に滲み出してくることから、フッ素ゴムのように離型剤を塗布する必要はないが、長期使用時にはオイルの滲み出しがなくなり、離型性の低下が激しく実際は離型剤を塗布しなければならない上に、離型剤によってはゴムが膨潤して強度が低下する問題がある。また、摩擦に対する耐久性が、フッ素樹脂よりも劣っている。
【0012】
また、離型材料にフッ素樹脂を使用した場合、離型性は十分であることから、離型剤の塗布は必ずしも必要ではない。しかし、フッ素樹脂そのものが弾性に乏しいためトナー像が潰れて均一に定着することができず、高画質適性が低いという問題がある。
【0013】
そこで、フッ素ゴムあるいはシリコーンゴムの耐熱性や弾性に優れるという長所を生かしながらも、離型性や耐摩耗性にも優れる定着部材あるいは定着部材用組成物が、次のように提案されている。
【0014】
例えば、特開昭59−91046号公報、および特公平1−33345号公報では、シリコーンゴムと反応性のあるシラン化合物で処理した無機充填材をシリコーンゴムに混合して担体ロールに塗布後、コア部に磁界をかけて無機充填材を表面近傍よりコア部に多く分布するような傾斜構造を形成させるロールの製造方法が提案されている。この定着部材では、離型性低下の原因となる表面近傍の無機充填材を減らすことで離型性が向上すると考えられる。しかしながら、耐摩耗性が低下する。
【0015】
特開昭60−31855号公報では、フッ素ゴムとフッ素樹脂と硬化剤とシラン系溶剤とを混合した溶液をシリコーンゴム弾性層の上に塗布して焼成を行い、フッ素樹脂が外側に離型層を形成するようなフッ素樹脂層の形成方法が提案されている。しかしながら、この形成方法では、焼成時においてフッ素樹脂層の膜形成のコントロールが難しく、表面近傍のフッ素樹脂が均一に定着部材表面に形成し難い。
【0016】
特開昭60−176073号公報では、フッ素ゴム、フッ素樹脂、アミノシランなどの混合物をシリコーンゴムにブレンドした定着ロール用部材が提案されている。しかしながら、この定着ロール用部材では、フッ素ゴム、フッ素樹脂とシリコーンゴムの相溶性が悪いことと、配合されているアミノシランがトナーとの離型性を損ねる。
【0017】
特開昭63−112674号公報、および特公平6−100876号公報では、ゴム層、フッ素樹脂とフッ素ゴムの混合層、フッ素樹脂層の順で被覆された定着ロールが提案されている。しかしながら、この定着部材では、離型性と弾性、耐摩耗性はあるが、最表面のフッ素樹脂膜が10μmと薄く、塗装・焼成時にフッ素樹脂層の膜厚のコントロールが難しく平滑な膜が作りにくく、平滑にするために磨くと、今度はフッ素ゴムが表面に露出して離型性が落ちる。また、膜厚を厚くすると弾性が損なわれる等の欠点を有している。
【0018】
特開平1−152485号公報、および特公平8−20818号公報では、熱伝導性を有する無機充填材をカップリング剤で処理を行い分散させた耐熱性ゴム弾性層を有する定着ロール用部材が提案されている。しかしながら、充填材を処理するカップリング剤は含フッ素のものではないことからトナーとの離型性を損ねる。
【0019】
特開平2−29463号公報、特開平2−29464号公報、特開平2−170858号公報と特開平3−100057号公報では、シリコーンゴムと反応性のあるシラン化合物と、アルキルシランカップリング剤もしくはフルオロアルキルシランカップリング剤と、シリコーンオイルで処理した合成シリカ微粒子を配合し硬化したシリコーンゴムと、これを用いた定着装置が提案されている。しかしながら、使用するにつれてフリーオイルがシリコーンゴムから抜け出し、離型性や耐摩耗性が低下する欠点を有している。
【0020】
特開平3−61533号公報および特公平6−43118号公報においては、ゴムそのものにパーフルオロアルキルシランカップリング剤をブレンドまたはコーティングした定着装置用ゴム表層材が提案されている。この定着部材は、離型性は問題は無いものの、離型性や耐摩耗性が低下する。
【0021】
特開平4−202258号公報、および特公平7−86175号公報では、含フッ素ハイドロジエンポリシロキサンからなる架橋剤と触媒を配合して架橋させた定着部材用シリコーンゴム組成物が提案されている。これらの組成物は、離型性の維持には優れているが、耐摩耗性が他のシリコーンゴムと同様に低い。
【0022】
以上のように、従来技術では、離型剤の量を減らすか、ほとんど使用しない様な状態で、離型性や耐久性や高画質適性の全てを満たすことは困難であった。そこで、トナーに対する離型性に富み、耐久性に優れ、かつ高画質適性に優れた新たな定着用部材が必要とされていた。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記技術的背景に鑑みてなされたものであって、
本発明の目的は、
(1)離型剤を減らした状態においてもトナーに対する離型性に富み、
(2)磨耗に強く耐久性に優れ、
(3)未定着像を均一に定着でき、定着後の画像表面の平滑性が高く高画質である、
定着用部材と、その定着用部材の製造方法と、このような定着用部材を有する定着装置と、この定着装置を用いる画像形成方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究の結果、担体上に含フッ素エラストマー組成物を塗布し、一次架橋した後、含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で2段階目の架橋を行うことにより、離型剤の量が少ない状況においても、離型性や耐久性、かつ高画質適性に優れた表面材料を形成できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0025】
即ち、本発明は、担体上に層を有し、該層の最外層が含フッ素エラストマーを有してなる定着用部材において、該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、2段階目の架橋が、1段階目の架橋が終了した定着用部材に、該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物を溶解した溶液を塗布又は含浸する処理を行った後に行われてなることを特徴とする定着用部材である。
【0026】
本発明によれば、電子写真方式を用いた複写装置、プリンターその他種々の画像形成装置等に用いられるものであって、特に加熱と冷却のサイクルや機械的な圧接を常時受ける画像定着用ロールやベルト等の定着部材として、好適に使用できる定着用部材が提供される。また、この定着用部材を用いた定着装置、この定着装置を用いる画像形成方法が提供される。
また、本発明の定着用部材は、画像定着用部材と同様の過酷な条件で使用されるローラーやベルト等の部材として幅広く利用することが可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
担体は、無機材料を基材とするものでもよく、また耐熱性樹脂を基材とするものでもよい。無機材料としては熱伝導性の良好なアルミニウムや銅、ニッケル等の金属、ステンレスや銀合金、ニッケル合金等の合金、もしくはセラミックス等が挙げられる。また、耐熱性樹脂としては、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアリーレンスルフィド、ポリエーテル等の耐熱性樹脂が挙げられる。
耐熱性樹脂を基材とする場合、充填剤として金属やSiO2 、TiO2 、Al2 O3 、MgO、CaO、Fe2 O3 などの無機酸化物、SiC(炭化珪素)、BN(窒化ホウ素)の無機材料微粒子を耐熱性樹脂に添加してもよい。
【0028】
無機材料を充填材として耐熱性樹脂に添加する場合、担体における充填材である無機材料の含有量が、0.1重量%以上50重量%以下であることが好ましく、1重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。また、5μm以上の粗大粒子は耐熱性樹脂から粒子が脱落しやすくなることから、無機材料微粒子の平均粒子径は、5μmより小さいことが望ましい。
【0029】
担体が金属等の無機材料から構成される場合は、担体は、たとえば中空芯金等のロールやNi電鋳シート等のベルトといった形態で提供され、担体が無機材料を添加した耐熱性樹脂から構成される場合は、担体は、たとえばポリイミドフィルム等のベルトといった形態で提供されるが、これらに限定されるものではない。担体表面は、含フッ素エラストマー組成物を強固に接着させるために表面処理を行っても良い。例えば、金属表面の場合、有機溶剤等を用いた脱脂処理ならびにサンドブラスト等による粗面化処理を行うことができる。さらに、プライマーを塗布することができる。
【0030】
また、担体表面と含フッ素エラストマー組成物との間には弾性体層を介在させることもできる。弾性体層には、耐熱性エラストマーとしてフッ素ゴム、シリコーンゴム等を用いることができるが、シリコーンゴムが望ましい。
また、担体と含フッ素エラストマー組成物間の接着性を向上させるために、プライマーを弾性体層上に塗布しても構わない。
【0031】
次に、担体上に被覆される含フッ素エラストマー組成物について説明する。
該組成物は、含フッ素ポリマーと、架橋剤、架橋助剤、その他種々の添加剤からなる。
【0032】
含フッ素ポリマーとしては、1)メチレン基(−CH2 −)を分子内に有するモノマーとしてビニリデンフルオライド(VDF)、エチレン、プロピレン等に基づくモノマーの中から選ばれた少なくとも一種と、2)高度にフッ素化されたモノマーとしてテトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、クロロトリフルオロエチレン、VDFに基づくモノマーの中から選ばれた少なくとも一種とを共重合することで生成される共重合体を用いることができる。
これらの共重合体の中では、耐熱性や離型性といった定着部材に必要な性能を満たしているという理由で、VDF−HFP二元系共重合体、VDF−HFP−TFE三元系共重合体、VDF−HFP−PAVE三元系共重合体が望ましい。
【0033】
架橋剤としては、ポリアミン架橋剤もしくはポリオール架橋剤といったフッ素ゴムに用いられるフッ素ゴム用架橋剤が用いられ、一般に市販されているフッ素ゴム用架橋剤も使用可能である。この架橋剤により、一次架橋を行う。
好ましい架橋剤としては、例えば、以下の(1)から(3)のような化合物が挙げられる。
【0034】
(1)トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、エタノールアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサ−2−スピロ[5,5]−ウンデカン、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミン等の脂肪族ポリアミン及びその塩、ジアミノジフェニルメタン、キシリレンジアミン、ペニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン及びその塩、変性ポリアミン、ポリアミドアミン等のポリアミン化合物。
【0035】
(2)ビスフェノールA、ビスフェノールAF、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等のフェノール誘導体、フェノール樹脂等エノール型水酸基を有するポリヒドロキシ化合物及びその金属塩、一般式:HO−CH2 −Rf −CH2 −OH(Rf =2価のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロアルキルジオール等のポリオール化合物。
【0036】
(3)トリアジンチオール、1,6−ヘキサンジチオール、4,4’−ジメルカプトジフェニル、1,5−ナフタレンジチオール等のポリチオール化合物。
【0037】
上記の架橋剤は、含フッ素ポリマー100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜15重量部の割合で配合される。0.1重量部未満では架橋剤として量的に不十分であり、30重量部より多いと配合ならびに混練作業が著しく困難なものになるだけでなく、架橋度の向上の有意性がなく経済的にも不利である。また、担体上に含フッ素エラストマー層を形成させる場合、未架橋状態の含フッ素エラストマー組成物を溶剤や分散液などの媒体に溶解/分散して担体上に塗布または含浸させることから、これらの架橋剤は媒体に可溶もしくは分散しやすい化合物を用いることが望ましい。
【0038】
架橋を促進させるためには、任意的に架橋助剤を用いる。架橋助剤としては、塩化ベンジルジアザビシクロウンデセン等の4級アンモニウム塩、塩化ベンジルトリフェニルホスフィン等の4級ホスホニウム塩を用いることができる。
【0039】
上記の架橋助剤は、含フッ素ポリマー100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合で配合される。0.1重量部未満では架橋助剤として量的に不十分であり、20重量部より多く配合しても架橋の促進の有意性がなく経済的にも不利である。また、担体上に含フッ素エラストマー層を形成させる場合、未架橋状態の含フッ素エラストマー組成物を溶剤や分散易などの媒体に溶解/分散して担体上に塗布または含浸させることから、これらの架橋助剤は溶媒に可溶もしくは分散しやすい化合物を用いることが望ましい。
【0040】
以上の成分のほかに、本発明の定着用部材の最外層を構成する含フッ素エラストマー層には、無機充填材、受酸剤、着色剤、可塑剤、老化防止剤等の一般的なゴム配合剤として公知な種々の無機および有機の添加剤を配合することが可能である。
【0041】
無機充填材は、含フッ素エラストマーの強度向上を、また、熱伝導性の向上を目的として配合される。無機充填材については、例えば、SiO2 、TiO2 、Al2 O3 、MgO、CaO、Fe2 O3 などの無機酸化物、SiC(炭化珪素)、BN(窒化ホウ素)、ケイ酸塩等が挙げられる。これらの無機充填材の平均粒径は、5μm以下の範囲に設定するのが望ましい。平均粒径が5μmより大きい粗大粒子は、脱落しやすくなる可能性が高く、また定着部材表面の平滑性を損ねる恐れがある。
【0042】
前記無機充填材は、含フッ素ポリマー100重量部に対して、0.1〜50重量部、好ましくは1.0〜30重量部の割合で配合される。0.1重量部未満では強度向上、熱伝導性の向上が得られにくく、50重量部より多く配合した場合には、混練作業が著しく困難になり、トナーに対する離型性が低下しやすくなる。
【0043】
受酸剤は、架橋反応によって生成されるフッ酸(HF)を中和するもので、酸化マグネシウム、酸化鉛、水酸化カルシウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。また、着色剤としては、酸化チタン、Fe2 O3 (ベンガラ)、カーボンブラック、フタロシアニン系有機顔料、ペリレン系有機顔料等が挙げられる。しかし、これらの添加剤はトナーに対する表面の離型性を損なわない程度に添加することが必要である。
【0044】
本発明では、まず、担体上に上記含フッ素エラストマー組成物を塗布または含浸後、溶剤や分散液の媒体を乾燥により除去し、焼付等により一次架橋を完了させて担体上に含フッ素エラストマーを有する層を形成させる。
塗布または含浸の方法としては、溶液を用いた塗布または含浸の方法やディスパージョン塗料を用いた塗布方法を用いることができる。
【0045】
溶剤を用いた塗布または含浸の方法としては、含フッ素ポリマー、架橋剤や架橋助剤、無機充填剤や受酸剤や着色料等のその他の添加剤を加えて混練して組成物とした後、この組成物を有機溶剤に溶解させて、含フッ素エラストマー組成物の溶液を作製し、この溶液にスプレー法やディップ法等により塗布または含浸する方法が挙げられる。
【0046】
また、ディスパージョン塗料による塗布方法としては、含フッ素ポリマー、架橋剤や架橋助剤、無機充填剤や受酸剤や着色料等のその他の添加剤を分散液中に混合して界面活性剤等の分散剤を用いて懸濁分散させたディスパージョン塗料を、担体にスプレー法等によって塗布する方法が挙げられる。
【0047】
乾燥は、風乾等の自然乾燥もしくは加熱乾燥で行う。
一次架橋は、100〜200℃の温度で5〜60分の時間で未架橋の含フッ素エラストマー組成物を塗布または含浸した担体を加熱することで行なわれる。加熱は、大気下、もしくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行う。また、架橋反応を進めるために必要に応じて圧力をかけた状態で加熱を行ってもよい。
【0048】
本発明の含フッ素エラストマーを有する層は、一次架橋後の含フッ素エラストマーを有する層を、含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で二次架橋を行うことにより得られる。
【0049】
本発明では、二次架橋を行う際に、分子末端に含フッ素エラストマーと化学反応可能な官能基を1個もしくは2個有する化合物が、未架橋残基と反応して、主に、転写体上のトナー画像に接触する側のフッ素濃度を高める「処理剤」として働く。また、さらに架橋剤を同時に用いることで、転写体上のトナー画像に接触する側の架橋度を高め、処理剤の効果をより大きくすることができる。
【0050】
二次架橋に用いる架橋剤としては、(1)ポリアミン架橋もしくはポリオール架橋フッ素ゴムに用いられるフッ素ゴム用架橋剤、(2)耐熱性を有する含フッ素化合物より構成される主鎖を有し、その主鎖の末端もしくは側鎖に含フッ素エラストマーと反応が可能な官能基を有する化合物が挙げられる。
(1)の場合、一次架橋の項で例示した化合物が好ましい。特に、一次架橋で使用したものと同種の化合物を二次架橋で使用することがより好ましい。また、一般に市販されているフッ素ゴム用架橋剤も使用可能である。
(2)の場合、含フッ素化合物より構成される主鎖と、含フッ素エラストマーと反応が可能な官能基から構成される。官能基は、主鎖に直接結合するか、あるいは、−(CF2)n −、−(CH2)n −、−(CF2 O) n −、−(CH2 O)n −等のスぺーサーを介して結合する。
【0051】
主鎖を形成する耐熱性を有する含フッ素化合物としては、(1)フルオロアルキル、フルオロポリエーテル等のフッ素置換炭化水素を主鎖に有するフッ素化合物、(2)フルオロアルキルポリシロキサン等の含フッ素有機珪素化合物、(3)含フッ素ポリアミド、含フッ素ポリイミド等の主鎖に窒素を含む耐熱性ポリマー等が挙げられる。
【0052】
含フッ素エラストマーと化学反応が可能な官能基としては、−Cl、−Br、−I等のハロゲン基、−OH(水酸基)、−COOH(カルボキシル基)、エポキシ基、−NR1 R2 で表されるアミノ基、−CONRで表されるアミド基、−SH(メルカプト基)、−SO3 H(スルホン基)、−Si(OR)3 で表されるトリアルコキシシラン基等を挙げることができる。−NR1 R2 で表されるアミノ基においては、R1 及びR2 は水素原子もしくは脂肪族または芳香族基を表す。また、R1 とR2 とは互いに異なっていてもよく、また同じであってもよい。−CONRで表されるアミド基において、Rは、水素原子もしくは1価の脂肪族または芳香族基を表す。−Si(OR)3 で表されるトリアルコキシシラン基においては、Rは、1価の脂肪族基を表す。
【0053】
架橋剤として用いる反応性官能基を有する含フッ素化合物は、二次架橋を充分に完結させるため、処理時に含フッ素エラストマー層内部に浸透することが必要である。従って、反応性官能基を有する含フッ素化合物の分子量は50〜10,000の範囲が好ましく、100〜5,000の低分子もしくはオリゴマーとなる範囲がより好ましい。
【0054】
上記の架橋剤は、有機溶媒で0.1〜50重量%の濃度に希釈して用いるのが好ましく、0.5〜20重量%の濃度で用いるのがより好ましい。0.1重量%未満では架橋剤として量的に不十分であり、50重量%より高濃度では、架橋度の向上の有意性がなく経済的にも不利である。
【0055】
転写体上のトナー画像に接触する側のフッ素濃度を高くする処理剤としては、反応性官能基を分子末端に1個もしくは2個有する含フッ素化合物を用いる。該含フッ素化合物は、(1)パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルエーテル基もしくはパーフルオロアルコキシ基のフッ素含有基の中から少なくとも一種と、(2)含フッ素エラストマーと化学反応が可能な官能基と、(3)(1)と(2)をつなぐスペーサーとから構成される。
【0056】
パーフロオロアルキル基は、−Cn F2n+1、もしくは−Cn F2n−(nは1以上の整数)の一般式で表される。直鎖構造あるいは分岐構造のいずれでもよいが、直鎖構造のものが望ましい。また、炭素原子数が7以上、特に7〜20の範囲のものが望ましい。
【0057】
パーフロオロアルキルエーテル基は、−CF2 O−、−CF2 CF2 O−、−CF(CF3 )O−等の繰り返し単位を少なくとも一種含んでおり、直鎖構造あるいは分岐構造のいずれでもよいが、直鎖構造のものが望ましい。また、パーフロオロアルキルエーテル基の炭素原子数は5以上、特に5〜20の範囲のものが望ましい。
特に好適なものとして、下記一般式(1)〜(4)に例示される構造式のものが挙げられる。
【0058】
【化1】
【0059】
また、パーフロオロアルコキシ基は、−OCn F2n+1(nは1以上の整数)の一般式で表される。Cn F2n+1の部分については、直鎖構造あるいは分岐構造のいずれでもよいが、直鎖構造のものが望ましい。また、炭素原子数が7以上、特に7〜20の範囲のものが望ましい。
含フッ素エラストマーと化学反応が可能な官能基としては、二次架橋で用いる架橋剤の項で例示したものが挙げられる。これらの中では、無機材料との反応性も高く、含フッ素エラストマー層に充填剤として無機材料を配合した際にトナーに対する表面の離型性の低下を防ぐという理由でトリアルコキシシラン基が好ましく、反応性が高いという点からRが、CH3 で表されるトリメトキシシラン基がより好ましい。
また、(1)と(2)をつなぐスペーサーとしては、−(CF2 )n −、−(CH2 )n −、−(CF2 O)n −、−(CH2 O)n −、シロキサン結合等が挙げられる。ここで、nは、1以上、特に1〜100の範囲であることが好ましい。
これら反応性官能基を分子末端に1個もしくは2個有する含フッ素化合物としては、次の一般式(5)で表される含フッ素シランカップリング剤や、一般式(6)で表されるフルオロアルキルシロキサンを好適に用いることができる。特に、トナーとの離型性を高くする効果が大きいことから含フッ素シランカップリング剤を用いることがより好ましい。
【0060】
【化2】
【0061】
(式中、Rf は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルエーテル基もしくはパーフルオロアルコキシ基を表す。Xは、含フッ素エラストマーと化学反応が可能な官能基を表す。)
【0062】
【化3】
【0063】
(式中、Rf は、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルエーテル基もしくはパーフルオロアルコキシ基を表す。Rは、一価の脂肪族基を表す。Xは、含フッ素エラストマーと化学反応が可能な官能基を表す。mは2以上の整数を表し、nは1以上の整数を表す。)
【0064】
上記の反応性官能基を有する含フッ素化合物は、有機溶媒で0.1〜50重量%の濃度に希釈して用いるのが好ましく、0.5〜20重量%の濃度で用いるのがより好ましい。0.1重量%未満では処理剤として量的に不十分であり、50重量%より高濃度では、トナーとの離型性の向上の有意性がなく経済的にも不利である。
有機溶媒は、(1)一次架橋された含フッ素エラストマーを溶解しないこと(2)二次架橋に用いる該架橋剤と該フッ素化合物を溶解可能であること(3)二次架橋に用いる該架橋剤と該フッ素化合物と反応を起こさないことという条件を満たすものでなければならない。また、有機溶媒は単一の溶媒を使用してもよく、複数の溶媒を混合して使用しても良い。
【0065】
また、以上の成分のほかに、架橋反応を促進させる種々の無機および有機の化合物を触媒として併せて使用することが可能である。しかし、これらの添加物はトナーに対する表面の離型性を損なわない程度に添加することが必要である。
【0066】
本発明では、一次架橋が終了した定着用部材に、二次架橋用の架橋剤と該フッ素化合物を溶解した溶液を塗布または含浸する処理を行った後、溶媒を乾燥して除去し、加熱等することにより二次架橋を行う。
【0067】
二次架橋前の処理は、例えば、該架橋剤や該フッ素化合物等を混合してもしくは別々に有機溶媒に溶解し、この溶液を一次架橋が終了した定着用部材にスプレー法やディップ法等によって、塗布または含浸することでなされる。二次架橋用の架橋剤と該フッ素化合物を溶解した溶液は、塗布または含浸することにより定着用部材の層表面から浸透していく。そして、二次架橋を行うことにより、一次架橋後の未架橋残基と反応を起こし、含フッ素エラストマー層の転写体上のトナー画像に接触する側のフッ素濃度を高い構造に形成し、なおかつ架橋を促進させる。
【0068】
乾燥は、風乾等の自然乾燥もしくは加熱乾燥で行う。二次架橋は、150〜250℃の温度で1〜4時間の時間で定着用部材を加熱することで行なわれる。加熱は、大気下、もしくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行う。
【0069】
通常、フッ素ゴムは、低温、短時間で加熱して一次架橋を行った後、架橋反応を完結させるために高温、長時間で加熱して二次架橋を行うことでゴムが形成される。しかし、従来技術として説明したように、実際は、二次架橋時に未反応の官能基がゴム中に残存し、これが離型性低下の原因になっている。そこで、架橋剤と該フッ素化合物とにより処理した後に加熱して二次架橋を行うことで、含フッ素エラストマー層の表面部分に浸透した該架橋剤と該フッ素化合物が、エラストマーの未架橋部や配合された無機充填材の反応性基と反応することによって、含フッ素エラストマー層のトナー画像に接触する側のフッ素濃度が高い構造が形成され、なおかつ架橋が促進される。
【0070】
従って、このような含フッ素エラストマーを有する層を形成した定着用部材は、トナーとの離型性が高く、紙などのトナー像支持体との摩擦や、金属や樹脂等のブレードによる機械的ストレスに強く、なおかつ、内部まで架橋が進んでいないために弾性を有し、特に、フルカラー用複写機の定着用部材として優れている。
【0071】
本発明の定着装置は、転写体上のトナー画像を加熱して定着を行う定着装置において、転写体上のトナー画像に接触する定着部材が、担体上に層を有してなり、該層の最外層が、含フッ素エラストマーを含有してなり、該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、2段階目の架橋が該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で行われて得られたものである。
【0072】
本発明の画像形成方法は、潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤を用いて現像する工程、現像剤を転写体上に転写する工程、該現像像を転写体上に定着する工程を有するものである。
【0073】
該現像像を転写体上に定着する工程において、担体上に層を有し、該層の最外層が、含フッ素エラストマーを含有してなり、該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、2段階目の架橋が該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で行われてなる定着部剤を用いていれば、特に制限はない。これらの各工程は、それ自体は一般的な工程であり、たとえば、特開昭56−40868号公報、特開昭49−91231号公報等に記載されている。なお、本発明の画像形成方法は、それ自体公知のコピー機、ファクシミリ機等の画像形成装置を用いて実施することができる。
【0074】
【実施例】
次に、具体的な実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0075】
実施例1
(図2における加熱ロール1の作製)
含フッ素ポリマーであるVDF−HFP−TFE三元系共重合体に、下記式(7)のポリオール架橋剤であるビスフェノールAF、添加剤などを下記の割合で配合し、二本ロールで混練し、含フッ素エラストマー組成物とした。この含フッ素エラストマー組成物を有機溶媒中(メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合溶媒)に混合溶解させて含フッ素エラストマー組成物溶液を得た。
【0076】
含フッ素ポリマー(VDF-HFP-TFE 三元系共重合体) : 100重量部
架橋剤(ビスフェノールAF) : 10重量部
架橋助剤(塩化ベンジルトリフェニルホスフィン) : 5重量部
受酸剤(MgO) : 5重量部
【0077】
【化4】
【0078】
担体として、外径40mmΦのアルミニウム製中空芯金2を用い、担体上に、硬度50度のシリコーンゴムを2.5mmの厚さで弾性層3として被覆したものを用意した。弾性層3の表面に、あらかじめシリコーンゴムと含フッ素エラストマーとの接着性を高めるための接着用プライマーを塗布した後、含フッ素エラストマー組成物溶液中に浸漬させてディップコーティングして、25℃で3時間乾燥し、さらに、150℃で30分間加熱して、一次架橋を行い、一次架橋済みの加熱ロール1を得た。
【0079】
次に、アセトン/メタノール混合溶媒(体積混合比=1:1)に二次架橋用の架橋剤として、ビスフェノールAFと、フッ素濃度を高くする含フッ素化合物処理剤として下記式(8)に示すパーフルオロアルキル基を含むシランカップリング剤である[2−(パーフルオロオクチル)エチル]トリメトキシシランをそれぞれ1重量%の濃度で溶解し、架橋助剤として、塩化ベンジルトリフェニルホスフィンを0.5重量%の濃度で溶解して二次架橋用の架橋剤溶液を得た。
【0080】
【化5】
【0081】
一次架橋済みの加熱ロール1を二次架橋用の架橋剤ならびに処理剤溶液中に4時間浸漬させ、乾燥後、250℃で4時間加熱して二次架橋を行い、含フッ素エラストマーを有する最外層4を形成させた加熱ロール1を作製した。
【0082】
(図2における加圧ロール11の作製)
担体として、外径40mmΦのアルミニウム製中空芯金12を用い、担体上に、硬度50度のシリコーンゴムを1.5mmの厚さで弾性層13として被覆したものを用意した他は、加熱ロール1と同様の方法で加圧ロール11を作製した。
【0083】
(評価試験)
このようにして得られた加熱ロール1と加圧ロール11を図2に示すような構成からなる複写装置「A color 635」(富士ゼロックス社製)を改造して装着した。図2において、図1に示す従来の装置における部材と実質的に同一の部材は、同一符号で示している。
この装置で連続して複写を行い、定着後の画像の平滑性評価をグロスメーター「GM−26D」(村上色彩技術研究所社製)を用いてサンプルへの入射光を75°として行った。条件は以下に示す通りである。
【0084】
トナー:富士ゼロックス社製A color 635用シアントナー
トナー画像:ソリッド像(20cm×5cm)
トナー量:1mg/cm2
紙:富士ゼロックス社製カラー用J紙
搬送速度:100mm/sec
離型剤オイル量:2μl/A4用紙1枚当たり
【0085】
その結果、本発明の定着用ロールの優れた離型性のため、平滑性が高く、定着されても剥離が可能で、鮮明な画像が得られた。画像の発色性はグロス値が40を越えるところで満たされており、その定着温度は125℃から175℃であった。また、複写枚数が17万枚を越えるまでは画像の乱れや定着用ロール上へのオフセット、磨耗は見られなかった。
【0086】
比較例1
加熱ロール1および加圧ロール11の作製において、二次架橋時に架橋剤およびフッ素濃度を高くする含フッ素化合物処理剤を溶解した溶液を塗布せず、250℃で4時間加熱する従来の方法を採った以外は、実施例1と同様の方法で定着用ロールを作製し、評価を行った。
その結果、グロス値が40を越える定着温度は125℃から145℃であり、実施例1の125℃から170℃に比べて劣っていた。また、離型性の劣化が激しく、複写枚数が約5000枚を越えたところで、画像の乱れや加熱ロール1上へのオフセットが観察された。
【0087】
実施例2
(図2における加熱ロール1の作製)
含フッ素エラストマー組成物の調製において、混練時に新たに無機充填材(SiO2 微粒子、平均粒子径0.1μm)を下記の割合で配合し、得られた含フッ素エラストマー組成物を有機溶媒中(メチルエチルケトンとメチルイソブチルケトンの混合溶媒、体積比7:3)に混合溶解させたこと以外は実施例1と同様に加熱ロール1を作製した。
【0088】
含フッ素ポリマー(VDF-HFP-TFE 三元系共重合体) : 100重量部
架橋剤(ビスフェノールAF) : 10重量部
架橋助剤(塩化ベンジルトリフェニルホスフィン) : 5重量部
受酸剤(MgO) : 5重量部
充填材(SiO2 微粒子) :15重量部
【0089】
(図2における加圧ロール11の作製)
担体として、外径40mmΦのアルミニウム製中空芯金12を用い、担体上に、硬度50度のシリコーンゴムを1.5mmの厚さで弾性層13として被覆したものを用意した他は、加熱ロール1と同様の方法で加圧ロール11を作製した。
【0090】
(評価試験)
このようにして得られた加熱ロール1と加圧ロール11を図2に示すような構成からなる複写装置「A color 635」(富士ゼロックス社製)を改造して装着した。図2において、図1に示す従来の装置における部材と実質的に同一の部材は、同一符号で示している。
この装置で連続して複写を行い、実施例1と同様の条件で評価試験を行った。
その結果、本発明の定着用ロールの優れた離型性のため、平滑性が高く、定着されても剥離が可能で、鮮明な画像が得られた。画像の発色性はグロス値が40を越えるところで満たされており、その定着温度は125℃から175℃であった。また、複写枚数が35万枚を越えるまでは画像の乱れや定着用ロール上へのオフセット、磨耗は見られなかった。
【0091】
比較例2
加熱ロール1および加圧ロール11の作製において、二次架橋時に架橋剤およびフッ素濃度を高くする含フッ素化合物処理剤を溶解した溶液を塗布せず、250℃で4時間加熱する従来の方法を採った以外は、実施例2と同様の方法で定着用ロールを作製し、評価を行った。
【0092】
その結果、グロス値が40を越える定着温度は125℃から145℃であり、実施例2の125℃から175℃に比べて劣っていた。また、離型性の劣化が激しく、複写枚数が約1,000枚を越えたところで画像の乱れや定着ロール上へのオフセットが観察された。
【0093】
実施例3
(図2における加熱ロールの作製)
二次架橋において、フッ素濃度を高くする含フッ素化合物処理剤を下記式(9)に示す末端をシラノール基で変性したフルオロアルキルシロキサンを2重量%の濃度でアセトン/メタノール混合溶媒(体積混合比=1:1)に溶解したこと以外は実施例2と同様に加熱ロール1を作製した。
【0094】
【化6】
【0095】
(図2における加圧ロールの作製)
担体として、アルミニウム製中空芯金12を用い、担体上に、硬度50度のシリコーンゴムを1.5mmの厚さで弾性層13として被覆したものを用意した他は、加熱ロール1と同様の方法で加圧ロール11を作製した。
【0096】
(評価試験)
このようにして得られた加熱ロール1と加圧ロール11を図2に示すような構成からなる複写装置「A color 635」(富士ゼロックス社製)を改造して装着した。図2において、図1に示す従来の装置における部材と実質的に同一の部材は、同一符号で示している。
【0097】
この装置で連続して複写を行い、実施例1と同様の条件で評価試験を行った。その結果、本発明の定着用ロールの優れた離型性のため、平滑性が高く、定着されても剥離が可能で、鮮明な画像が得られた。画像の発色性はグロス値が40を越えるところで満たされており、その定着温度は125℃から175℃であった。また、複写枚数が28万枚を越えても画像の乱れや定着用ロール上へのオフセット、磨耗は見られなかった。
【0098】
実施例4
(図3における加熱ベルト6の作製)
含フッ素ポリマーであるVDF−HFP−TFE三元系共重合体のラテックス液(含フッ素ポリマー濃度50重量%)に、無機充填材と界面活性剤、水を下記の割合で配合したものをA液とし、一方、水にポリオール架橋剤、各種添加剤、界面活性剤などを下記の割合で配合したものをB液とした。このA液100重量部に対してB液を28重量部で混合したディスパージョン塗料液を得た。
【0099】
(A液)
含フッ素ポリマー(VDF-HFP-TFE 三元系共重合体)ラテックス液:100重量部
充填材(SiO2 微粒子):15重量部
水:0.1重量部
界面活性剤:0.1重量部
【0100】
(B液)
水:100重量部
架橋剤(ビスフェノールAF):45重量部
架橋助剤(塩化ベンジルトリフェニルホスフィン):15重量部
受酸剤(MgO):15重量部
界面活性剤:0.3重量部
【0101】
担体として、ポリイミド製シート7を用い、担体上に、硬度30度のシリコーンゴムを0.1mmの厚さで弾性層8として被覆したものを用意した。弾性層3の表面に、あらかじめシリコーンゴムと含フッ素エラストマーとの接着性を高めるための接着用プライマーを塗布した後、上記ディスパージョン塗料液をスプレー法で塗布して100℃で30分乾燥し、さらに150℃で30分間加熱して一次架橋を行い、一次架橋済みの加熱ベルト6を得た。
【0102】
次に、二次架橋用の架橋剤ならびに処理剤溶液として実施例1と同様のものを用い、一次架橋済みのベルト6に二次架橋用の架橋剤溶液をスプレーコーティングして架橋剤溶液を浸透させ、5時間乾燥後、250℃で4時間加熱して二次架橋を行い、含フッ素エラストマーを有する最外層9を形成させた加熱ベルト6を作製した。
【0103】
(図3における加圧ロール11の作製)
実施例1に記載の方法と同様の方法で加圧ロール11を作製した。
【0104】
(評価試験)
このようにして得られた定着用ベルトと定着用ロールを、図3に示すような構成からなる複写装置「A color 635」(富士ゼロックス社製)を改造して装着した。図3において、図1に示す従来の装置における部材と実質的に同一の部材は、同一符号で示している。この装置で連続して複写を行い、定着後の画像の平滑性評価を実施例1と同様に行った。
【0105】
その結果、本発明の定着用ベルトと定着用ロールの優れた離型性のため、平滑性が高く、定着されても剥離が可能で、鮮明な画像が得られた。画像の発色性はグロス値が40を越えるところで満たされており、その定着温度は125℃から175℃であった。また、複写枚数が30万枚を越えても画像の乱れや定着用ベルトおよび定着用ロール上へのオフセット、磨耗は見られなかった。
【0106】
比較例3
加熱ベルト6および加圧ロール11の作製において、含フッ素エラストマーディスパージョン塗料液には充填材を配合せず、かつ、二次架橋時に架橋剤およびフッ素濃度を高くする含フッ素化合物処理剤を溶解した溶液を塗布せず、250℃で4時間加熱する従来の方法を採った以外は、実施例4と同様の方法で定着用ロールを作製し、評価を行った。
【0107】
その結果、グロス値が40を越える定着温度は120℃から145℃であり、実施例4の125℃から170℃に比べて劣っていた。また、複写枚数が1,000枚を越えたところで画像の乱れや加熱べルト上へのオフセット、加熱ベルト6および加圧ロール11の表面の摩耗による傷が観察された。
【0108】
実施例5
(図4における加熱ロール1の作製)
担体として、脱脂処理ならびにサンドブラストで粗面化処理した外径50mmΦのアルミニウム製中空芯金12を用意し、弾性層を設けずに、担体の表面に、あらかじめシリコーンゴムと含フッ素エラストマーとの接着性を高めるための接着用プライマーを塗布した後、実施例4と同様のディスパージョン塗料液を用いてスプレー法で塗布を行い、100℃で30分乾燥し、さらに、150℃で30分間加熱して、一次架橋を行い、一次架橋済みの加熱ロール1を得た。
【0109】
次に、二次架橋用の架橋剤ならびに処理剤溶液として実施例1と同様のものを用い、一次架橋済みの加熱ロール1に上記の溶液をスプレーで塗布して浸透・乾燥させ、5時間乾燥後、250℃で4時間加熱して二次架橋を行い、含フッ素エラストマーを有する最外層4を形成させた加熱ロール1を作製した。
【0110】
(図4における加圧ロール11の作製)
担体として、アルミニウム製中空芯金12を用い、担体上に、硬度50度のシリコーンゴムを1.5mmの厚さで弾性層13として被覆し、さらに、PFAからなるフッ素樹脂フィルム15をチュービングによって被膜させて加圧ロール11を作製した。
【0111】
(評価試験)
このようにして得られた加熱ロール1と加圧ロール11を図4に示すような構成からなる複写装置「Vivace500」(富士ゼロックス社製)を改造して装着した。図4において、図1に示す従来の装置における部材と実質的に同一の部材は、同一符号で示している。
この装置で連続して複写を行い、定着温度を変えた場合のソリッド画像の剥離性を評価した。条件は以下に示す通りである。
【0112】
トナー:富士ゼロックス社製Vivace500用黒トナー
トナー画像:ソリッド像(20cm×5cm)
トナー量:1mg/cm2
紙:富士ゼロックス社製白黒用L紙
搬送速度:300mm/sec
離型剤オイル量:なし
【0113】
その結果、本発明の定着用ロールの優れた離型性のため、幅広い温度で剥離が可能で、鮮明な画像が得られた。剥離可能な定着温度は155℃から200℃であった。また、複写枚数が52万枚を越えても画像の乱れや定着ロール上へのオフセット、磨耗は見られなかった。
【0114】
比較例4
加熱ロール1および加圧ロール11の作製において、含フッ素エラストマーディスパージョン塗料液には充填材を配合せず、かつ、二次架橋時に架橋剤およびフッ素濃度を高くする含フッ素化合物処理剤を溶解した溶液を塗布せず、250℃で4時間加熱する従来の方法を採った以外は、実施例5と同様の方法で定着用ロールを作製し、評価を行った。
【0115】
その結果、剥離可能な定着温度は165℃から195℃であり、実施例5の155℃から200℃に比べて劣っていた。また、複写枚数が5万枚を越えたところで画像の乱れや加熱ロール上へのオフセットが観察された。
【0116】
以上の結果から、定着用部材の最外層を形成する含フッ素エラストマーを有する層の2段階目の架橋を該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で行うことにより得られた定着用部材は、離型性、耐久性、高画質適性に優れていることが分かる。
一方、定着用部材の2段階目の架橋を該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で行わなかった場合には、特に、離型性の低下が著しく、剥離可能な定着温度の幅が狭まり、ランニングテストの早い段階で画像の乱れや加熱ロール上へのオフセットが生じてしまうことが分かる。
また、定着用部材の最外層を形成する含フッ素エラストマーを有する層の2段階目の架橋を該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で行うと同時に、含フッ素エラストマーを有する層に無機充填剤を添加すると耐久性が向上することが分かる。一方、2段階目の架橋を該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物の存在下で行わずに、含フッ素エラストマーを有する層に無機充填剤を添加しても、耐久性が向上は見られず、離型性が著しく低下することが分かる。
また、本発明の定着用部材は、カラー画像の定着および白黒画像の定着の両方に使用することができ、優れた効果を発揮することが分かる。
【0117】
【発明の効果】
本発明の定着用部材は、その最外層が一次架橋を行った後、含フッ素エラストマーと反応が可能な官能基を分子中に少なくとも2個有する架橋剤および分子末端に含フッ素エラストマーと反応が可能な官能基を1個もしくは2個有する含フッ素化合物によって処理された後に加熱して二段階目の架橋を行うことを特徴とする含フッ素エラストマー層で構成されることから、離型剤を減らした状況においてもトナーに対する離型性に富み、磨耗に強く耐久性に優れ、未定着像を均一に定着でき、定着後の画像表面の平滑性が高く高画質である。従って、電子写真方式を用いた複写装置、プリンターなどの画像形成装置等の定着装置に用いた場合、維持性が向上し、トナーのオフセット防止や用紙などの巻き付き防止ならびに鮮やかな画像を得ることが可能となる。また、離型剤の使用量が抑えられることで、定着像のべとつきや画像担持体へのテープの付着性が改善されるだけでなく、定着装置の小型化や低コスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の定着装置の例を示す概略的構成図である。
【図2】 本発明の実施例1と実施例2と実施例3における定着方法に使用されたフルカラー複写機用ロール組み込み型定着装置を示す概略的断面図である。
【図3】 (A)は本発明の実施例4における定着方法に使用されたフルカラー複写機用ベルト組み込み型定着装置を示す概略的断面図、(B)は(A)の装置におけるベルトの要部断面図である。
【図4】 本発明の実施例5における定着方法に使用された白黒複写機用ロール組み込み型定着装置を示す概略的断面図である。
【符号の説明】
1,12 加熱ロール
2 中空芯金
3,8,13 弾性層
4,9,14 表面層
6 加熱ベルト
7 耐熱性シート
11 加圧ロール
15 フッ素樹脂製フイルム
21,22,26 ヒーター
23 加圧パッド
24 ベルト駆動ロール
25 ベルト搬送ロール
27 インレット
28 アウトレット
29 離型剤塗布装置
31 紙
32 トナー像
Claims (12)
- 担体上に層を有し、該層の最外層が含フッ素エラストマーを有してなる定着用部材において、
該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、
2段階目の架橋が、1段階目の架橋が終了した定着用部材に、該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物を溶解した溶液を塗布又は含浸する処理を行った後に行われてなることを特徴とする定着用部材。 - 前記2段階目の架橋が、さらに架橋剤を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の定着用部材。
- 前記含フッ素エラストマーが、無機充填材を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の定着用部材。
- 前記無機充填材の含有量が、前記含フッ素エラストマーに対して、0.1重量%以上50重量%以下であることを特徴とする請求項3に記載の定着用部材。
- 前記含フッ素エラストマーと反応が可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物が、含フッ素シランカップリング剤であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載の定着用部材。
- 前記含フッ素シランカップリング剤が、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルエーテル基もしくはパーフルオロアルコキシ基から選ばれる基を有することを特徴とする請求項5に記載の定着用部材。
- 担体上に形成された層の最外層が含フッ素エラストマーを有してなる定着用部材の製造方法において、
該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、
2段階目の架橋が、1段階目の架橋が終了した定着用部材に、該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物を溶解した溶液を塗布又は含浸する処理を行った後に行われてなることを特徴とする定着用部材の製造方法。 - 前記2段階目の架橋が、さらに架橋剤を用いてなることを特徴とする請求項7に記載の定着用部材の製造方法。
- 前記含フッ素エラストマーと反応が可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物が、含フッ素シランカップリング剤であることを特徴とする請求項7または8に記載の定着用部材の製造方法。
- 前記含フッ素シランカップリング剤が、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルエーテル基もしくはパーフルオロアルコキシ基から選ばれる基を有することを特徴とする請求項9に記載の定着用部材の製造方法。
- 転写体上のトナー画像を加熱して定着を行う定着装置において、
転写体上のトナー画像に接触する定着部材が、担体上に層を有してなり、該層の最外層が、含フッ素エラストマーを含有してなり、
該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、
2段階目の架橋が、1段階目の架橋が終了した定着用部材に、該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物を溶解した溶液を塗布又は含浸する処理を行った後に行われてなることを特徴とする定着装置。 - 潜像保持体上に潜像を形成する工程、該潜像を現像剤を用いて現像する工程、現像像を転写体に転写する工程、該現像像を転写体上に定着する工程を有する画像形成方法において、
該定着工程が、担体上に層を有し、該層の最外層が、含フッ素エラストマーを含有してなり、
該含フッ素エラストマーを有する層が、2段階の架橋により得られてなり、
2段階目の架橋が、1段階目の架橋が終了した定着用部材に、該含フッ素エラストマーと反応可能な官能基を分子末端に有する含フッ素化合物を溶解した溶液を塗布又は含浸する処理を行った後に行われてなる定着用部材を用いて、転写体上のトナー画像を接触定着する工程であることを特徴とする画像形成方法。
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