JP4396096B2 - ポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法、及びポリイミド樹脂製無端ベルト - Google Patents

ポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法、及びポリイミド樹脂製無端ベルト Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真プロセスを利用した画像形成装置において、感光体、帯電ローラ、転写ローラ及び定着ベルトに用い得るポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法、及び該製造方法で好適に製造されるポリイミド樹脂製無端ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスを用いた画像形成装置において、感光体、帯電手段、転写手段、及び定着手段には、金属やプラスティック、又はゴム製の回転体が使用されているが、機器の小型化或いは高性能化のために、これら回転体は変形可能なものが好ましい場合があり、それには肉厚が薄いプラスチック製のフィルムからなるベルトが用いられる。この場合、ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じるので、継ぎ目がない無端ベルトが好ましい。材料としては、強度や寸法安定性、耐熱性等の面でポリイミド樹脂が特に好ましい。
【0003】
ポリイミド樹脂製の無端ベルトを作製するには、例えば、円筒体の内面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、回転しながら乾燥させる遠心成形法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この他に、円筒体内面にポリイミド前駆体溶液を展開する内面塗布法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。但し、これらの内面に成膜する方法では、ポリイミド前駆体の熱硬化の際に、皮膜を円筒体から抜いて外型に載せ換える必要があり、工数がかかるという短所を有している。
【0004】
また、他のポリイミド樹脂製の無端ベルトの製造方法として、例えば、円筒状芯体の表面に、浸漬塗布法によってポリイミド前駆体溶液を塗布して乾燥し、加熱反応させた後、ポリイミド樹脂皮膜を円筒状芯体から剥離する方法もある(例えば、特許文献3参照。)。この方法では、外型に載せ換える工数が不要であるという利点を有している。
但し、ポリイミド樹脂皮膜を形成する際には、加熱反応時の収縮が非常に大きいという性質を有しており、加熱反応時に、皮膜が膜厚方向及び円筒状芯体の軸方向に収縮するが、皮膜の収縮量は円筒上芯体の軸方向位置によって異なるため、皮膜の膜厚が不均一になる問題を有している。
【0005】
また、かかる製造方法のように、加熱反応させた後、ポリイミド樹脂皮膜を円筒状芯体から剥離する際には、ポリイミド樹脂の熱膨張率と、円筒状芯体の熱膨張率の差が大きいことが好ましい。すなわち、上述のように、ポリイミド樹脂皮膜を形成する際には、加熱反応時の収縮力のため、円筒状芯体から抜き取ることが容易ではない。そこで、加熱反応してポリイミド樹脂皮膜を形成させた後、冷却した際に、円筒状芯体がポリイミド樹脂皮膜よりも大きく収縮する現象を利用して剥離することが好ましい。
従って、円筒状芯体の熱膨張率は大きいほど好ましいが、円筒状芯体として使用可能な金属材料の熱膨張率は、アルミニウムが23×10-6/K、18−8SUSが18×10-6/K、銅が17×10-6/K、鉄が12×10-6/K、真鍮が18×10-6/K、ニッケルが15×10-6/K(いずれも常温)と、あまり大きい値ではない。
【0006】
一方、ポリイミド樹脂(皮膜)の熱膨張率は小さいほど好ましい。各種ポリイミド樹脂の熱膨張率は、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、適宜、BPDAと称する。)とp−フェニレンジアミン(以下、適宜、PDAと称する。)からなるポリイミド前駆体を用いたもので12×10-6/K、BPDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリイミド前駆体を用いたもので21×10-6/K、ピロメリット酸二無水物(PMDA)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリイミド前駆体を用いたもので20×10-6/K、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルメタンからなるポリイミド前駆体を用いたもので50×10-6/K、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノベンゾフェノンからなるポリイミド前駆体を用いたもので24×10-6/K、等であり、円筒状芯体材料の熱膨張率を鑑みると、最も大きなアルミニウムと比較しても、これより大幅に小さいものは、BPDAとPDAからなるもの1種類しかない。
【0007】
ところが、ポリイミド樹脂製無端ベルトを使う上では、要求特性や材料価格などに応じられるよう、候補材料は幅広く選択できることが好ましい。ところが、熱膨張率が好ましいと思われる前駆体の材料となるBPDAは、価格が他のモノマーに比べて高く、これを用いたポリイミド樹脂製無端ベルトは高価格になる。BPDAを用いないポリイミド樹脂は、価格が安い点が長所であるが、熱膨張率がアルミニウムより小さくないことが問題点である。
【0008】
【特許文献1】
特開昭57−74131号公報
【特許文献2】
特開昭62−19437号公報
【特許文献3】
特開昭61−273919号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、膜厚の均一性を向上させることが可能であり、かつ、ポリイミド樹脂皮膜の円筒状芯体からの剥離が容易であるポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を提供することを目的する。また、幅広い要求特性及びコストに応じることが可能であるポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を提供することを他の目的する。前記ポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法により製造されたポリイミド樹脂製無端ベルトを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
【0011】
<1> ポリイミド前駆体溶液を、円筒状芯体外周面に塗布し、ポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗膜形成工程と、該ポリイミド前駆体塗膜を加熱乾燥させてから、一旦、その温度を低下させた後、加熱反応させてポリイミド樹脂皮膜を形成するポリイミド樹脂皮膜形成工程と、該ポリイミド樹脂皮膜を前記円筒状芯体から剥離するポリイミド樹脂皮膜剥離工程と、を有することを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
【0012】
<2> 前記ポリイミド樹脂皮膜形成工程において、一旦、その温度を低下させた後で、かつ、加熱反応させる前に、前記円筒状芯体と前記ポリイミド前駆体塗膜との隙間に空気を吹き込むことを特徴とする<1>に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
【0013】
<3> 前記ポリイミド前駆体溶液が、繊維状物質を含有することを特徴とする<1>又は<2>に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
【0014】
<4> 前記繊維状物質が、無機の針状単結晶からなることを特徴とする<3>に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
【0015】
<5> 前記ポリイミド樹脂皮膜剥離工程において、前記ポリイミド樹脂皮膜を吸湿膨張させて剥離することを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法は、ポリイミド前駆体溶液を、円筒状芯体外周面(以下、円筒状芯体の「外周面」を、円筒状芯体の「表面」と称することがある。)に塗布し、ポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗膜形成工程と、該ポリイミド前駆体塗膜を加熱乾燥させてから、一旦、その温度を低下させた後、加熱反応させてポリイミド樹脂皮膜を形成するポリイミド樹脂皮膜形成工程と、該ポリイミド樹脂皮膜を前記円筒状芯体から剥離するポリイミド樹脂皮膜剥離工程と、を要する。また、必要に応じて、他の工程を有していてもよい。
以下、本発明のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を工程毎に分けて詳細に説明する。
【0018】
−ポリイミド前駆体塗膜形成工程−
ポリイミド前駆体塗膜形成工程では、まず、ポリイミド前駆体を非プロトン系極性溶剤に溶解してポリイミド前駆体溶液を調製する。
ポリイミド前駆体としては、前記において列記した種々の組み合せからなるものを用いることができる。また、ポリイミド前駆体は、2種以上を混合して用いてもよいし、酸又はアミンのモノマーを混合して共重合されてもよい。
【0019】
特に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)からなるポリイミド前駆体と、BPDA以外の酸無水物と任意のジアミンからなるポリイミド前駆体と、を混合してなるポリイミド前駆体溶液を用いることが好ましい。かかるポリイミド前駆体を用いることにより、製造されるポリイミド樹脂の熱膨張率を低く保ちつつも、要求物性を変化させることや材料価格を低減させることができる。これは、BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体を用いて製造されたポリイミド樹脂の熱膨張率が、アルミニウム製の円筒状芯体と比較して小さく、その差に余裕があるので、熱膨張率がアルミニウム製の円筒状芯体より小さい範囲で、他のポリイミド前駆体を混合してもよいためである。
【0020】
BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体と併用し得る他のポリイミド前駆体としては、BPDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるもの、ピロメリット酸二無水物(以下、適宜、PMDAと略記する。)と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるもの、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルメタンからなるもの、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノベンゾフェノンからなるもの、等の中から適宜選択すればよいが、PMDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるものが、混合適性や特性面、材料価格等により好ましく使用される。
【0021】
BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体と、他の組成からなるポリイミド前駆体の混合比は、他の組成からなるポリイミド前駆体が多いほど価格の点で好ましいが、多すぎると熱膨張率が大きくなり、円筒状芯体から剥離しずらくなるため、(BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体):(他の組成からなるポリイミド前駆体)=5:5〜1:9程度の範囲から、適宜、調整される。円筒状芯体の外径が大きいほど、その表面に形成されたポリイミド樹脂皮膜との寸法差が大きくなって外れやすくなる傾向があるので、他の組成からなるポリイミド前駆体の混合比を多くすることができる。なお、後述する吸湿膨張によってポリイミド樹脂皮膜を芯体から剥離する場合は、ある程度、熱膨張率が大きくてもよいので、他の組成からなるポリイミド前駆体を多くでき、場合によっては、BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体を使用しなくてもかまわない。
一方、BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体から形成されるポリイミド樹脂皮膜は、機械的強度がポリイミド樹脂の中では最も強いことが知られており、定着ベルトや転写ベルトとして使用した際には、変形しにくい利点がある。反面、転写ベルトのように、感光体の表面に直に接する部材においては、感光体表面を傷付けたり、磨耗させたりすることもあるので、機械的強度はある程度低い方が好ましい場合がある。このような場合にも、BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体と、他の組成からなるポリイミド前駆体を混合して強度を調整することは有効であるほか、BPDAとPDAからなるポリイミド前駆体を使用しなくてもかまわない。
【0022】
また、上記のポリイミド前駆体は、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン系極性溶剤に溶解することで、ポリイミド前駆体溶液が調製される。なお、調製の際におけるポリイミド前駆体の混合比、濃度、粘度等は、適宜選択して行われる。
【0023】
また、本発明において、ポリイミド前駆体溶液には、繊維状物質が含有(添加)されていてもよい。「繊維状物質」とは、本発明において、微小な針状単結晶の物質を指す。具体的には、酸化亜鉛、酸化チタン、チタン酸カリウム、ほう酸アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、グラファイト等からなる微小な針状単結晶がからみあって繊維状になっているものが挙げられる。このように、繊維状物質は、単結晶であるため、強度(引っ張り強度、弾性率等)が非常に強いのが特徴である。
【0024】
ポリイミド前駆体溶液を塗布する工程や、塗膜の厚さを考慮すると、繊維状物質の長さは、1〜50μm、直径は、0.05〜5μm程度が好ましい。また、繊維状物質の添加量は、ポリイミド前駆体溶液の全固形分に対して、1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。
このような繊維状物質を含有したポリイミド前駆体溶液を用いて製造されたポリイミド樹脂は、繊維状物質がポリイミド樹脂中に分散し、樹脂とよくからみあって変形しにくくなり、樹脂の強度が高くなるばかりでなく、熱膨張率を小さく抑えることができる。
【0025】
ここで、調製されたポリイミド前駆体溶液を用いて製造されるポリイミド樹脂(皮膜)の熱膨張率は、同じ製造方法において用いられる円筒状芯体よりも小さければよいが、具体的には、20×10-6/K以下であることが好ましい。
対して、円筒状芯体の熱膨張率は、前記のように調製されたポリイミド前駆体溶液を用いて製造されるポリイミド樹脂(皮膜)の熱膨張率よりも大きければよいが、具体的には、23×10-6/K以上であることが好ましい。
更には、製造されたポリイミド樹脂皮膜の熱膨張率と、円筒状芯体の熱膨張率との差が、7×10-6/K以上であることが好ましく、10×10-6/K以上であることがより好ましい。
一方、ポリイミド樹脂は水分の吸収によって膨張することも知られており、円筒状芯体表面に形成されたポリイミド樹脂皮膜が剥離しずらい場合には、加湿して水分を吸収させることによって皮膜を膨張させ、剥離することもできる。ポリイミド樹脂の材料種類によって、その吸湿膨張率(湿度1%あたりの膨張率)も異なり、例えば、BPDAとPDAからなるポリイミドは11ppm、BPDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるものは22ppm、PMDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるものは22ppmである。
従って、ポリイミド樹脂の吸湿膨張を利用すれば、ポリイミド樹脂の熱膨張率と円筒状芯体のそれとの差が小さくても、ポリイミド樹脂皮膜を円筒状芯体から剥離することができ、この場合は、その差が、7×10-6/K未満であってもかまわない。
【0026】
本発明において、ポリイミド樹脂製無端ベルトの基体となる円筒状芯体としては、例えば、アルミニウムや銅、ステンレス等の金属が好ましく用いることができるが、上述のように、熱膨張率が大きいという観点から、アルミニウムであることがより好ましい。但し、ポリイミド樹脂の吸湿膨張を利用する場合には、アルミニウム以外の金属を用いてもよい。
なお、円筒状芯体がアルミニウムの場合、350℃に加熱すると強度が低下して変形を起こしやすい。このようなアルミニウムの熱変形は、円筒状芯体形状への冷間加工中に歪みが蓄積していると発生しやすい。そのような歪みを取り去るには、アルミニウムを焼鈍(焼きなまし)する方法がある。但し、焼鈍によっても熱変形が起こるので、所定形状への加工は、その後に施す必要がある。焼鈍とは、アルミニウム素材を350〜400℃に加熱し、空気中で自然に冷却する方法である。
【0027】
また、金属製の円筒状芯体表面にポリイミド前駆体の塗布液を直接塗布した場合には、後述するポリイミド樹脂皮膜形成工程において、形成されたポリイミド樹脂皮膜が円筒状芯体表面に接着してしまう可能性が高いため、円筒状芯体の表面には、離型性が付与されていることが更に好ましい。離型性を付与するためには、円筒状芯体表面をクロムやニッケルでメッキしたり、フッ素系樹脂やシリコーン樹脂で表面を被覆したり、或いは表面にポリイミド樹脂が接着しないよう、表面に離型剤を塗布することが有効である。
【0028】
また、乾燥時に残留溶剤を完全に除去できない場合、或いは加熱時に発生する水が除去しきれない場合、ポリイミド樹脂皮膜に膨れが生じることが避けられないことがある。これは特にポリイミド樹脂皮膜の膜厚が50μmを越えるような厚い場合に顕著な問題である。その場合、円筒状芯体の表面を、Ra0.2〜2μm程度に粗面化することが有効である。これにより、ポリイミド樹脂皮膜から生じる残留溶剤又は水の蒸気は、円筒状芯体とポリイミド樹脂皮膜の間にできるわずかな隙間を通って外部に出ることができ、膨れを防止することができる。円筒状芯体表面の粗面化には、ブラスト、切削、サンドペーパーがけ等の方法がある。
【0029】
ポリイミド前駆体塗膜形成工程おいて、前記ポリイミド前駆体溶液を円筒状芯体表面に塗布してポリイミド前駆体塗膜を形成するが、その塗布方法としては、円筒状芯体をポリイミド前駆体溶液に浸漬して引き上げる浸漬塗布法、円筒状芯体を回転させながらその表面にポリイミド前駆体溶液を吐出する流し塗り法、その際にブレードで皮膜をメタリングするブレード塗布法など、既存の公知の方法が採用できる。上記流し塗り法やブレード塗布法では塗布部を水平移動させるので皮膜はらせん状に形成されるが、ポリイミド前駆体溶液は乾燥が遅いために継ぎ目は自然に平滑化される。なお、「円筒状芯体表面に塗布する」とは、円柱も含まれる円筒状芯体の側面の表面、及び該表面に層を有する場合は、その層の表面に塗布することをいう。
【0030】
ポリイミド前駆体塗膜形成工程おいて、ポリイミド前駆体溶液の塗布を浸漬塗布法で行う場合、ポリイミド前駆体溶液は粘度が非常に高いので、膜厚が所望値より厚くなりすぎることがある。その際は、例えば、以下に示す、環状体により膜厚を制御する浸漬塗布法が適用できる。
【0031】
環状体により膜厚を制御する浸漬塗布法を、図1〜3を参照して説明する。
図1は、環状体により膜厚を制御する浸漬塗布法に用いる装置の一例を示す概略構成図である。ただし、図は塗布主要部のみを示し、他の装置は省略する。
図1に示すように、この浸漬塗布法は、塗布槽3に満たされたポリイミド前駆体溶液2に、円筒状芯体1の外径よりも大きな孔を設けた環状体5を浮かべ、該孔を通して円筒状芯体1をポリイミド前駆体溶液2に浸漬し、次いで、引き上げる塗布法である。
【0032】
図2は、図1に示す環状体5の設置状態を説明するための要部拡大斜視図を示す。図2に示すように、ポリイミド前駆体溶液2液面に、円筒状芯体1の外径よりも一定の間隙だけ大きい径を有する孔6を設けた環状体5を浮かべてある。
【0033】
環状体5は、ポリイミド前駆体溶液2液面に浮くもので、その材質は、ポリイミド前駆体溶液2によって侵されないものがよく、例えば、種々の金属、種々のプラスチック等が挙げられる。また、ポリイミド前駆体溶液2液面に浮きやすいように、環状体5の構造は、例えば、中空構造であってもよい。
【0034】
環状体5はポリイミド前駆体溶液2の液面を自由に動くことができる。そこで、環状体5は、溶液2上でわずかの力で動くことができるよう、環状体5を溶液上に浮遊させる方法のほか、環状体5をロールやベアリングで支える方法、環状体5をエア圧で支える方法、などの自由移動可能状態で設置する方法がある。
また、環状体5が塗布槽3の中央部に位置するように、環状体5を一時的に固定する固定手段を設けてもよい。このような固定手段として環状体5に足を設ける手段、塗布槽3と環状体5とを固定する手段などがある。但し、これらの固定手段を用いた場合、後述するように、円筒状芯体1を浸漬した後、引き上げる際に、環状体5が自由に動き得るように、該固定手段は取り外し可能なように配置される。
【0035】
円筒状芯体1の外径と、孔6の径との間隙は、所望の塗布膜厚を鑑みて調整する。所望の塗膜厚、即ち乾燥膜厚は、濡れ膜厚とポリイミド前駆体溶液2の不揮発分濃度の積になる。これから、所望の濡れ膜厚が求められる。また、円筒状芯体1の外径と、孔6の径との間隙は、所望の濡れ膜厚の1倍〜2倍であるのがよい。1倍〜2倍とするのは、ポリイミド前駆体溶液2の粘度及び/又は表面張力などにより、間隙の距離が濡れ膜厚になるとは限らないからである。このように、所望の乾燥膜厚及び所望の濡れ膜厚から、所望の孔6の径が求められる。
【0036】
環状体5に設けられる孔6の壁面は、浮かべるポリイミド前駆体溶液2の液面に対してほぼ垂直となるように構成されてもよい。例えば、図1に示す断面図にある直線状でありかつその直線がポリイミド前駆体溶液の液面に垂直であるものでもよいし、他の形態に構成されてもよい。例えば、図3(a)に示すように、ポリイミド前駆体溶液2に浸る下部が広く、上部が狭い、斜めの直線状7であるもの、又は図3(b)に示すように、ポリイミド前駆体溶液2に浸る下部が広く、上部が狭い、曲線状8であるものが挙げられる。特に、図3(a)又は図3(b)に示すように、ポリイミド前駆体溶液2に浸る下部が広い形状が好ましい。ここで、図3は環状体5に設けられる孔6の壁面の形状を示しており、(a)は直線状の壁面7、(b)は曲線状の壁面8を示す概略断面図である。
【0037】
浸漬塗布を行う際、円筒状芯体1を、孔6を通してポリイミド前駆体溶液2に浸漬する。その際、円筒状芯体1が環状体5に接触しないようにする。次いで、孔6を通して円筒状芯体1を引き上げる。この際、円筒状芯体1と孔6との間隙により塗膜4が形成される。引き上げ速度としては100〜1500mm/min程度であるのが好ましい。この塗布方法に好ましいポリイミド前駆体溶液の固形分濃度は10〜40質量%、粘度は1〜100Pa・sである。
【0038】
円筒状芯体1を、孔6を通して引き上げる際、環状体5は自由移動可能状態であり、更に、環状体の孔6が円形であり、かつ、円筒状芯体1の外周も円形であるため、円筒状芯体1と環状体5との摩擦抵抗が一定になるように、環状体5は動くことができる。即ち、円筒状芯体1を引き上げる際、ある位置で、環状体5と円筒状芯体1との間隙が狭まろうとした場合、狭まろうとした部分では摩擦抵抗が大きくなる。一方、その反対側では摩擦抵抗が小さくなり、一時的に摩擦抵抗が不均一な状態が生じうる。しかしながら、環状体5が自由に動くこと、円筒状芯体1の外周が円形であること、及び、環状体の孔6が円形であることから、そのような摩擦抵抗が不均一な状態から均一な状態になるように、環状体5が動く。従って、環状体5が円筒状芯体1と接触するようなことはない。
【0039】
また、摩擦抵抗が均一となる位置は、円筒状芯体1の外周の円形と、環状体の孔6の円形とがほぼ同心円となる位置である。よって、円筒状芯体1断面の円の中心が、軸方向において、許容範囲内でずれている場合であっても、環状体5はそれに追随するように動く。従って、円筒状芯体1の表面には、一定の濡れ膜厚を有するポリイミド前駆体塗膜4を提供することができる。
【0040】
更に、浸漬塗布法に用いる塗布装置は、円筒状芯体を保持する円筒状芯体保持手段、並びに、所望により、該保持手段を上下方向に移動する第1の移動手段及び/又はポリイミド前駆体溶液を入れる容器を上下方向に移動する第2の移動手段を有してもよい。それらの保持手段、第1の移動手段及び/又は第2の移動手段が、移動の際に引き上げ方向と横断する面でフレを有する場合がある。そのような場合であっても、そのフレに追随して、環状体5は動くことができる。
【0041】
このような、環状体5により膜厚を制御する浸漬塗布法を適用することで、高粘度のポリイミド前駆体溶液を用いることによる、円筒状芯体上端部でのタレは少なくなり、簡易に膜厚を均一にすることができる。
【0042】
なお、ポリイミド前駆体塗膜形成工程おいて、上記の浸漬塗布法を用いる他にも、図4に示すような環状塗布法も適用できる。ここで、図4は、環状塗布法に用いる装置の一例を示す概略構成図である。
図4において、図1との違いは、環状塗布槽3’の底部に、円筒状芯体1を通過させることの可能な環状シール材9が設けられていることである。環状塗布槽3’の底部には環状シール材9が取り付けられ、円筒状芯体1を環状シール材9の中心に挿通させたところに、環状塗布槽3’にポリイミド前駆体溶液2を収容する。これにより、ポリイミド前駆体溶液2が漏れないようになっている。円筒状芯体1は、環状塗布槽3’の下部から上部に順次つき上げられ、環状シール材9を挿通させることにより、表面に塗膜4が行われる。環状体5の機能は、前述と同様である。
このような環状塗布法では、環状塗布槽3’が浸漬塗布槽3よりも小さくできるので、溶液の必要量が少なくても済む利点がある。
【0043】
−ポリイミド樹脂皮膜形成工程−
ポリイミド樹脂皮膜形成工程においては、前記ポリイミド前駆体塗膜を加熱乾燥させてから、一旦、その温度を低下させた後、加熱反応させてポリイミド樹脂皮膜を形成する。
まず、ポリイミド樹脂皮膜形成工程において、ポリイミド前駆体塗膜中に過度に残留する非プロトン系極性溶剤を除去する目的で、静置しても塗膜が変形しない程度の加熱乾燥を行う。加熱条件は、90〜170℃の温度で30〜60分間であることが好ましい。その際、温度が高いほど、加熱時間は短くてよい。また、加熱することに加え、風を当てることも有効である。加熱温度は、非プロトン系極性溶剤の溶存気体が気泡になることを低減させるために、時間内において、段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させてもよい。
なお、ポリイミド前駆体塗膜から非プロトン系極性溶剤を除去させすぎると、ポリイミド前駆体塗膜はまだベルトとしての強度を保持していないので、下記の如く温度を低下させた際、ポリイミド前駆体塗膜が割れることがある。そこで、ある程度(具体的にはポリイミド前駆体塗膜中に15〜45質量%)、溶剤を残留させておく方がよい。
【0044】
次に、本発明においては、ポリイミド前駆体塗膜を加熱乾燥させてから、一旦、その温度を低下させる。ここで、「その温度を低下させる」とは、加熱乾燥により高温状態となっているポリイミド前駆体塗膜を円筒状芯体ごと冷却し、該ポリイミド前駆体塗膜の温度を低下させることをいう。低下させる温度としては、常温まで戻すことが好ましい。具体的には、例えば、5分〜1時間をかけて、ポリイミド前駆体塗膜の温度が23℃(室温)まで低下させる。
【0045】
これにより、ポリイミド前駆体塗膜は、温度の低下により、収縮する。その収縮率はその軸方向で0.5〜2%と小さい範囲であるが、この収縮により、ポリイミド前駆体塗膜と、円筒状芯体と、の境界(円筒状芯体の表面)ではズレが生じ、ポリイミド前駆体塗膜と、円筒状芯体と、の間に隙間が生じることになる。一度、このような隙間が発生することにより、後述のように、加熱反応する際に、ポリイミド前駆体塗膜の収縮率が大きくても、形成されたポリイミド樹脂皮膜は、円筒状芯体からズレることが容易となり、かつ、軸方向の均一に収縮することができるのである。
対して、この、一旦、温度を低下させることをしない場合、加熱反応させる際、ポリイミド前駆体塗膜は円筒状芯体の表面で軸方向の位置において不均一に収縮しやすく、収縮が大きかった部分は膜厚が厚く、逆に収縮の小さかった部分は膜厚が薄いという膜厚の不均一が生じる。特に、ポリイミド前駆体塗膜の端部においては膜厚は厚く、中央部分においては膜厚は薄くなることが多い。
【0046】
なお、温度を低下させた後、かつ、加熱反応を行う前には、ポリイミド前駆体塗膜と、円筒状芯体と、の間の隙間を確実なものとするために、ポリイミド前駆体塗膜と、円筒状芯体と、の間の隙間に空気を吹きこむことが好ましい。空気を吹き込む方法としては、皮膜端部から圧搾空気をエアガン等を用いノズルで送り込む方法や、予め、円筒状芯体に小さな穴を開けておき、そこから圧搾空気を吹き込む方法がある。
なお、ポリイミド樹脂皮膜を吸湿膨張させて剥離する場合には、上記空気の吹き込みはなくてもよい。
【0047】
ポリイミド樹脂皮膜形成工程において、上述のように、ポリイミド前駆体塗膜と、円筒状芯体と、の間の隙間を形成した後、好ましくは300〜450℃、より好ましくは350℃前後で、20〜60分間、ポリイミド前駆体塗膜を加熱反応させることで、ポリイミド樹脂皮膜を形成することができる。加熱反応の際、非プロトン系極性溶剤が残留しているとポリイミド樹脂皮膜に膨れが生じることがあるため、加熱の最終温度に達する前には、完全に残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、加熱前に、200〜250℃の温度で、10〜30分間加熱乾燥して残留溶剤を除去し、続けて、温度を段階的、又は一定速度で上昇させて、加熱してポリイミド樹脂皮膜を形成することが好ましい。
【0048】
なお、本発明におけるポリイミド樹脂皮膜形成工程において、加熱乾燥の前に、ポリイミド前駆体塗膜を、ポリイミド前駆体を溶解せず、かつ、非プロトン系極性溶剤を溶解し得る特定溶剤に接触させる処理を行い、ポリイミド前駆体皮膜を形成する工程を行ってもよい。これにより、ポリイミド前駆体塗膜から非プロトン系極性溶剤が特定溶剤に染み出て、代わりに特定溶剤が浸透する。ここで、ポリイミド前駆体は特定溶剤には不溶なのでポリイミド前駆体は析出し、ポリイミド前駆体塗膜は静置しても塗膜が変形しない程度に固形化され、ポリイミド前駆体皮膜が形成される。その結果、前述の乾燥工程が速やかに行われ、乾燥時間を短縮することができる。
【0049】
ポリイミド前駆体塗膜と特定溶剤との接触は、前記ポリイミド前駆体塗膜形成工程の直後に行うことが好ましい。ポリイミド前駆体溶液塗布後において、塗膜に含まれる溶剤は、前述したように常温では乾燥が遅いため、塗膜はいつまでも濡れたままであり、塗膜は重力の影響を受けて常に下方に垂れる。そこで、ポリイミド前駆体の塗布を行った直後に、ポリイミド前駆体塗膜と特定溶剤との接触を行い、ポリイミド前駆体塗膜を固形化することで、垂れを防止することができる。
【0050】
ポリイミド前駆体塗膜と特定溶剤との接触方法としては、ポリイミド前駆体塗膜を特定溶剤に浸漬する方法が好適であるが、その他、ポリイミド前駆体塗膜に、特定溶剤を流下させたり、吹き付けてもよい。ポリイミド前駆体の塗布方法が遠心成形法の場合、円筒状芯体の回転を止めて特定溶剤に浸してもよいが、円筒状芯体を回転させたまま、内面のポリイミド前駆体の塗膜に特定溶剤を吹きかけてもよい。
【0051】
ポリイミド前駆体を析出させる際、ポリイミド前駆体塗膜を特定溶剤に接触させる時間により、ポリイミド前駆体塗膜からの非プロトン系極性溶剤の溶出量が変化する。塗膜から非プロトン系極性溶剤が完全になくなると、析出して固形化されたポリイミド前駆体皮膜はもろくなってしまう場合があるので、非プロトン系極性溶剤は5〜50質量%程度、残留しているのが好ましい。そのための特定溶剤とのポリイミド前駆体塗膜の接触時間は、ポリイミド前駆体塗膜の膜厚にもよるが、10秒から10分程度が好ましい。ポリイミド前駆体塗膜の膜厚が厚いほど、含まれる溶剤が多くなるので、接触時間は長くすることが好ましい。
【0052】
ポリイミド前駆体塗膜と接触させる特定溶剤としては、ポリイミド前駆体が不溶であり、かつ、非プロトン系極性溶剤を溶解することが可能であるものが用いられる。具体的には、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール等)、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、ケトン類(例えばアセトン、ブタノン等)、エステル類(例えば、酢酸エチル等)を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、混合して用いてもよいが、特に、水、又は、水を含む混合物が最も扱いが簡便で好ましい。
【0053】
このようなポリイミド前駆体皮膜形成工程において、ポリイミド前駆体塗膜と特定溶剤との接触させる処理を行った場合、形成されたポリイミド前駆体皮膜中に浸透した特定溶剤と、残留する非プロトン系極性溶剤を除去する目的で、乾燥を行う。乾燥条件は、50〜120℃の温度で10〜60分間、行うのが好ましい。特定溶剤と非プロトン系極性溶剤とでは、非プロトン系極性溶剤の方が蒸発しにくいので、ポリイミド前駆体皮膜中には非プロトン系極性溶剤が残留した状態が形成される。この状態になることにより、析出したポリイミド前駆体が再び溶解状態になり、透明化される。
その後、ポリイミド前駆体皮膜は、加熱乾燥させてから、一旦、その温度を低下させた後、加熱反応させてポリイミド樹脂皮膜を形成するという、本発明におけるポリイミド樹脂皮膜形成工程に供されることになる。
【0054】
−ポリイミド樹脂皮膜剥離工程−
加熱反応後、形成されたポリイミド樹脂皮膜を円筒状芯体から剥離する工程を経ることで、ポリイミド樹脂製無端ベルトが得られる。ポリイミド樹脂皮膜が円筒状芯体から剥離しにくい場合には、円筒状芯体ごと高湿度環境下に保持して、ポリイミド樹脂皮膜を吸湿膨張させて剥離することもできる。該高湿度環境は、25〜120℃で80%以上の湿度であることが好ましく、保持時間は5〜48時間であるのが好ましい。
かかる無端ベルトには、更に、必要に応じて、端部の切断加工、穴あけ加工、テープ巻き付け加工等が施されることがある。
【0055】
本発明のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法によれば、ポリイミド樹脂皮膜形成工程において、ポリイミド前駆体塗膜を加熱乾燥させた後、かつ、加熱反応させる前に、一旦、ポリイミド前駆体塗膜の温度を低下させることから、円筒状芯体と、ポリイミド前駆体塗膜と、の間に隙間が形成されると共に、その隙間によりポリイミド前駆体塗膜の収縮が均一に行われるため、膜厚の均一性を向上させることが可能であり、かつ、ポリイミド樹脂皮膜の円筒状芯体からの剥離が容易となる。
また、本発明のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法によれば、ポリイミド樹脂皮膜の円筒状芯体からの剥離が容易であることから、円筒状芯体と、ポリイミド樹脂皮膜と、の熱膨張率の差を小さく設定しても、その剥離性が悪化することを防止することができる。従って、ポリイミド樹脂皮膜を得るためのポリイミド前駆体溶液に用いられるポリイミド前駆体の組成(種類や混合率)を変化させることが容易となるため、幅広い要求特性及びコストに応じることが可能となる。
また、前記ポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法により製造されたポリイミド樹脂製無端ベルトは、膜厚が均一であって、幅広い要求特性及びコストに応じられるという優れた効果を有する。
【0056】
本発明の製造方法により得られるポリイミド樹脂製無端ベルトは、電子写真複写機やレーザープリンタ等の画像形成装置における感光体、帯電手段、転写手段、定着手段等に使用することができる。
【0057】
無端ベルトを転写ベルトや、接触帯電フィルムのような帯電体として使用する場合には、樹脂材料の中に必要に応じて導電性物質を分散させる。導電性物質としては、例えば、カーボンブラック、カーボンブラックを造粒したカーボンビーズ、カーボンファイバー、グラファイト等の炭素系物質、銅、銀、アルミニウム等の金属又は合金、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、SnO2−In23複合酸化物等の導電性金属酸化物、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー等が挙げられる。
【0058】
無端ベルトを定着体として使用する場合には、表面に付着するトナーの剥離性の向上のため、ベルト表面に非粘着性の樹脂皮膜を形成することが有効である。その非粘着性の樹脂皮膜の材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素系樹脂が好ましい。また、非粘着性の樹脂皮膜には、耐久性や静電オフセットの向上のためにカーボン粉末が分散されていてもよい。
【0059】
これらフッ素系樹脂皮膜を形成するには、その水分散液を無端ベルトの表面に塗布して焼き付け処理する方法が好ましい。また、フッ素系樹脂皮膜の密着性が不足する場合には、必要に応じて、ベルト表面にプライマー層をあらかじめ塗布形成する方法がある。プライマー層の材料としては、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、ポリイミド及びこれらの誘導体等が挙げられ、更にフッ素系樹脂から選ばれる少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
【0060】
このように、ベルト表面にプライマー層、及びフッ素系樹脂皮膜を形成するには、加熱硬化してポリイミド樹脂皮膜(ベルト)を円筒状芯体の表面に形成してから、これらを塗布してもよいが、ポリイミド前駆体溶液を塗布して水に接触させた後、溶剤を乾燥させてから、又は、溶剤を乾燥させないまま、プライマー層、及びフッ素系樹脂分散液を塗布し、その後に加熱してイミド転化完結反応とフッ素系樹脂皮膜の焼成処理を同時に行ってもよい。この場合、プライマー層がなくてもフッ素系樹脂皮膜の密着性が強固になることもある。
【0061】
無端ベルトを定着体として使用する場合、その厚さとしては25〜500μmの範囲であることが好ましい。必要に応じて設けられるプライマー層の厚さは0.5〜10μmの範囲が好ましい。また、フッ素系樹脂皮膜の厚さは4〜40μmの範囲が好ましい。
なお、プライマー層とフッ素系樹脂皮膜は、ある程度の柔軟性を有しており、膨張や収縮はポリイミド樹脂皮膜に追従することができるので、積層体としての熱膨張率または吸湿膨張率は、ポリイミド樹脂だけの値と同じと見なすことができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0063】
(実施例1)
−ポリイミド前駆体塗膜形成工程−
BPDAとPDAとをN,N−ジメチルアセトアミド中で合成した22質量%濃度のポリイミド前駆体溶液Aを調製した。粘度は35Pa・sである。別途、PMDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとをN,N−ジメチルアセトアミド中で合成した22質量%濃度のポリイミド前駆体溶液Bも調製した。こちらの粘度は28Pa・sである。次に、両前駆体溶液を、ポリイミド前駆体溶液A:ポリイミド前駆体溶液B=3:7の比率(質量比)で混合し、ポリイミド前駆体溶液とした。
【0064】
このポリイミド前駆体溶液を用い、図4に示すような環状塗布法により、ポリイミド前駆体塗膜を形成した。
円筒状芯体1として、外径68mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体は、外径70mm、長さ400mmのアルミニウム製素管を350℃で10分間加熱し、自然に冷却させた後、表面を切削して、外径を68mmにし、更に、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、表面をRa0.8μmに粗面化したものである。その表面には、シリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学(株)製)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理を施した。用いた円筒状芯体1の熱膨張率は、23×10-6/Kであった。
環状体5として、外径110mm、最小部の内径69mm、高さ30mmのアルミニウム製のものを作製した。内壁は傾斜状である。
【0065】
円筒状芯体1を、その底面に内径66mmの中心孔を有するポリエチレン製の環状シール材9が取り付けられている、内径150mm、高さ50mmの環状塗布槽3’に通した。そして、その環状塗布槽3’にポリイミド前駆体溶液2を入れ、環状体5を配置して、円筒状芯体1を0.5m/分で上昇させ、塗布を行った。これにより、円筒状芯体1の表面には濡れ膜厚が約500μmのポリイミド前駆体塗膜4が形成された。
【0066】
−ポリイミド樹脂皮膜形成工程−
次に、円筒状芯体1を水平にして、20rpmで回転させながら、室温で5分間の乾燥後、80℃で20分間、100℃で1時間、加熱乾燥させた。これにより、厚さ約150μmのポリイミド樹脂塗膜を固定化した。次に、ポリイミド前駆体塗膜が形成された円筒状芯体1を室温まで冷却した。この際、ポリイミド前駆体塗膜はその軸方向に1%収縮した。
【0067】
その後、円筒状芯体1の一端部には、幅20mmのポリエステルテープを一周にわたって巻き付けて被覆をした。次に、PFAのディスパージョン水性塗料(商品名:AW5000、ダイキン工業製)を内径90mm、高さ480mmの塗布槽に入れ、その中に円筒状芯体1を、被覆部を下側にして垂直にし、上部のポリイミド前駆体塗膜を5mmだけ残して浸漬した。その後、0.3m/minの速度で引き上げ、PFA塗膜を形成した。80℃で10分間の乾燥後、ポリエステルテープを除去した。更に、150℃で20分間、続いて200℃で20分間、加熱乾燥させた。その後、380℃で30分間加熱して、ポリイミド樹脂皮膜を形成すると共に、PFA塗膜を焼成した。
【0068】
−ポリイミド樹脂皮膜剥離工程−
室温に冷えた後、円筒状芯体1からポリイミド樹脂皮膜を剥離することで、膜厚75μmで、かつ、均一なポリイミド樹脂皮膜上に、膜厚30μmのPFA層を有する無端ベルトを得ることができた。なお、形成されたポリイミド樹脂皮膜の熱膨張率は、15×10-6/Kであった。この工程において、形成されたポリイミド樹脂皮膜は容易に円筒状芯体1から剥離することを確認された。これは、前述したように、本実施例で用いた円筒状芯体1の熱膨張率が23×10-6/Kであり、ポリイミド樹脂皮膜との間に熱膨張率の大きな差があるためである。
得られた実施例1におけるポリイミド樹脂製無端ベルトは、電子写真用定着ベルトとして好適に使用することができた。
【0069】
(実施例2)
実施例1において、ポリイミド前駆体塗膜形成工程におけるポリイミド前駆体溶液を下記に記載する組成に変更した他は、実施例1と同様にして、無端ベルトを作製した。
前記ポリイミド前駆体溶液Aと前記ポリイミド前駆体溶液Bとを、ポリイミド前駆体溶液A:ポリイミド前駆体溶液B=2:8の比率で混合し、更に、それらの固形分に対し10質量%で、チタン酸カリウム繊維(ティスモ:商品名、大塚化学社製)を繊維状物質として加え、ポリイミド前駆体溶液とした。
本実施例において、形成されたポリイミド樹脂皮膜の熱膨張率は、15×10-6/Kであり、円筒状芯体1の熱膨張率は、23×10-6/Kであった。
【0070】
本実施例のポリイミド樹脂皮膜剥離工程において、形成されたポリイミド樹脂皮膜は容易に円筒状芯体1から剥離することを確認された。これは、実施例1と同様に、ポリイミド樹脂皮膜との間に大きな熱膨張率の差があるためである。
このようにして得られた実施例2におけるポリイミド樹脂製無端ベルトも、電子写真用定着ベルトとして好適に使用することができた。
【0071】
(実施例3)
−ポリイミド前駆体塗膜形成工程−
実施例1において、ポリイミド前駆体塗膜形成工程におけるポリイミド前駆体溶液の固形分に対して、14質量%の導電性チタン酸カリウム繊維(デントール:商品名、大塚化学社製)と、4質量%のカーボンブラック(コンダクテックス975、コロンビアカーボン社製)を加え、サンドミルにて分散して、実施例3におけるポリイミド前駆体溶液を調製した。
【0072】
このポリイミド前駆体溶液を用い、図4に示すような環状塗布法により、ポリイミド前駆体塗膜を形成した。
円筒状芯体1として、外径168mm、長さ450mmのアルミニウム製円筒体を用意した。かかるアルミニウム製円筒体の表面に、実施例1と同様に、粗面化処理及びシリコーン系離型剤による処理を施した。用いた円筒状芯体1の熱膨張率は、23×10-6/Kであった。
環状体5として、外径250mm、最小部の内径169mm、高さ40mmのアルミニウム製の中空体を作製した。内壁は傾斜状である。
【0073】
円筒状芯体1を、その底面に内径166mmの中心孔を有するポリエチレン製の環状シール材9が取り付けられている、内径250mm、高さ50mmの環状塗布槽3’に通した。そして、その環状塗布槽3’にポリイミド前駆体溶液2を入れ、環状体5を配置して、円筒状芯体1を0.3m/分で上昇させ、塗布を行った。これにより、円筒状芯体1の表面には濡れ膜厚が約500μmのポリイミド前駆体塗膜4が形成された。
【0074】
−ポリイミド樹脂皮膜形成工程−
次に、円筒状芯体1を水平にして、60rpmで回転させながら、室温で5分間の乾燥後、80℃で20分間、130℃で1時間、加熱乾燥させた。次に、ポリイミド前駆体塗膜が形成された円筒状芯体1を室温まで冷却した。この際、ポリイミド前駆体塗膜はその軸方向に0.5%収縮した。そして、ポリイミド前駆体塗膜の端部から円筒状芯体1との間にエアガンにより圧搾空気を吹き込んだ。これにより、ポリイミド前駆体塗膜と円筒状芯体1との間に空気層が生じ、隙間の形成が確実なものとなった。これにより、厚さ約150μmのポリイミド樹脂塗膜を固定化した。
その後、円筒状芯体1を垂直にして、200℃で30分、380℃で30分加熱反応させ、ポリイミド樹脂皮膜を得た。
【0075】
−ポリイミド樹脂皮膜剥離工程−
室温に冷えた後、円筒状芯体1からポリイミド樹脂皮膜を剥離することで、膜厚70μmで、かつ、均一な無端ベルトを得ることができた。なお、形成されたポリイミド樹脂皮膜の熱膨張率は、16×10-6/Kであった。この工程において、形成されたポリイミド樹脂皮膜は容易に円筒状芯体1から剥離することを確認された。これは、実施例1と同様に、ポリイミド樹脂皮膜との間に大きな熱膨張率の差があるためである。
得られた実施例3におけるポリイミド樹脂製無端ベルトは、体積抵抗率が約109Ω・cmであり、電子写真用転写ベルトとして好適に使用することができた。
【0076】
(比較例1)
実施例3において、ポリイミド前駆体塗膜の加熱乾燥後、室温に冷却することなく、加熱乾燥後、連続的に、200℃で30分、380℃で30分加熱反応させた他は、実施例3と同様にして、比較例1におけるポリイミド樹脂製無端ベルトを製造した。得られたポリイミド樹脂製無端ベルトの膜厚は、端部から8cmの位置で73μm、中央部で68μmであり、不均一であることが明らかとなり、電子写真用転写ベルトとして使用するのは困難であった。
【0077】
(実施例4)
円筒状芯体として、外径68.1mm、長さ400mmのSUS304製円筒を用意した。表面は、球形アルミナ粒子によるブラスト処理により、Ra0.8μmに粗面化した。その表面に、シリコーン系離型剤(実施例1と同じ)を塗布して、300℃で1時間、焼き付け処理を施した。用いた円筒状芯体の熱膨張率は、18×10-6/Kであった。これはアルミニウムに比べて小さい値であるので、加熱時の外径が同じになるよう、実施例1のアルミニウム製芯体より、外径を0.1mm大きくしたのである。
次いで、ポリイミド前駆体塗膜形成工程における環状体の最小部の内径を、芯体外径の拡大に合わせて、69.1mmとし、他は実施例1と同様にして、ポリイミド樹脂皮膜上にPFA層を有する無端ベルトを作製した。
形成されたポリイミド樹脂皮膜の熱膨張率は、15×10-6/Kであった。
次に、円筒状芯体ごとポリイミド樹脂皮膜を、30℃85%RHの高温高湿環境室でまる一日保持し、水分を吸収させた。これにより、ポリイミド樹脂皮膜は約0.1%膨張し、円筒状芯体から容易に剥離することができた。剥離後のポリイミド樹脂皮膜を通常環境に戻すと、ベルト径を含めて、実施例1と同じ結果の無端ベルトが得られた。
【0078】
(実施例5)
BPDAと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとをN−メチルピロリドン中で合成した22質量%濃度のポリイミド前駆体溶液Cを調製した。粘度は40Pa・sである。この溶液に、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で23%混合し、次いでサンドミルにより24時間分散し、さらにアルキル変性シリコーンレベリング剤(商品名:DC3PA、ダウコーニングトーレシリコーン社製)を不揮発分濃度が500ppmになるよう添加した。
一方、外径168mm、長さ400mmのアルミニウム製円筒管の外周面を実施例1と同様に粗面化処理し、シリコーン離型剤層を形成して芯体とした。環状体として、外径200mm、内径180mm、高さ30mmのステンレス製の中空リングを作製し、この内側に、外径が180mmで断面が三角形で、最も狭い部分の内径が169mmのテフロン(R)製リングを嵌合させたものを用意した。次いで、環状体のPI前駆体溶液液面からの上昇高さが停止位置より常に15mm高になるよう、芯体の上昇速度を0.9〜0.7m/minに調整して実施例1と同様に塗布を行った。次いで、実施例1と同様にして乾燥と加熱焼成を行った。
形成されたポリイミド樹脂皮膜の熱膨張率は21×10-6/Kであった。
次に、円筒状芯体ごとポリイミド樹脂皮膜を、35℃90%RHの高温高湿環境室でまる一日保持し、水分を十分に吸収させた。これにより、ポリイミド樹脂皮膜は約0.1%膨張し、円筒状芯体から容易に剥離することができた。
この無端ベルトは、電子写真用転写ベルトとして好適に使用することができた。ベルト表面の硬度はBPDAとPDAからなるポリイミドの半分であり、感光体と当接させても、傷を付けることはほとんどなかった。
【0079】
【発明の効果】
本発明によれば、膜厚の均一性を向上させることが可能であり、かつ、ポリイミド樹脂皮膜の円筒状芯体からの剥離が容易であるポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を提供することができる。また、幅広い要求特性及びコストに応じることが可能であるポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法を提供することもできる。更に、前記ポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法により製造された、膜厚が均一であり、幅広い要求特性及びコストに応じたポリイミド樹脂製無端ベルトを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 環状体により膜厚を制御する浸漬塗布法に用いる装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】 図1に示す環状体の設置状態を説明するための要部拡大斜視図である。
【図3】 環状体に設けられる孔の壁面の形状を示しており、(a)は直線状の壁面、(b)は曲線状の壁面を示す概略断面図である。
【図4】 環状塗布法に用いる装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 円筒状芯体
2 ポリイミド前駆体溶液
3 塗布槽
3’ 環状塗布槽
4 ポリイミド前駆体塗膜
5 環状体
6 環状体の孔
7 傾斜した直線状の環状体内壁
8 曲線状の環状体内壁
9 環状シール材

Claims (5)

  1. ポリイミド前駆体溶液を、円筒状芯体外周面に塗布し、ポリイミド前駆体塗膜を形成するポリイミド前駆体塗膜形成工程と、
    該ポリイミド前駆体塗膜を加熱乾燥させてから、一旦、その温度を低下させた後、加熱反応させてポリイミド樹脂皮膜を形成するポリイミド樹脂皮膜形成工程と、
    該ポリイミド樹脂皮膜を前記円筒状芯体から剥離するポリイミド樹脂皮膜剥離工程と、
    を有することを特徴とするポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
  2. 前記ポリイミド樹脂皮膜形成工程において、一旦、その温度を低下させた後で、かつ、加熱反応させる前に、前記円筒状芯体と前記ポリイミド前駆体塗膜との隙間に空気を吹き込むことを特徴とする請求項1に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
  3. 前記ポリイミド前駆体溶液が、繊維状物質を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
  4. 前記繊維状物質が、無機の針状単結晶からなることを特徴とする請求項3に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
  5. 前記ポリイミド樹脂皮膜剥離工程において、前記ポリイミド樹脂皮膜を吸湿膨張させて剥離することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリイミド樹脂製無端ベルトの製造方法。
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