JP5147998B2 - 無端管状フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
電圧の不均一化により画像が悪化したり、トナーがベルト表面に固着しやすくなりフィルミングと呼ばれる画像欠陥として現われてしまう。上記のようなコーティングによる表面層の形成では、ベルト表面の表面粗さを目的の値に制御することが困難であり、ベルト表面の表面粗さ(Rz)を1.5μm以下に制御することは極めて困難であった。
I.多層無端管状フィルム
本発明の多層無端管状フィルムは、表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μm程度であることを特徴とする。具体的には、無端管状フィルムの内層から外層に向かって、機械特性に優れた基材層、弾性材料で構成された弾性層(中間層)及び表面精度に優れた表面層の順で積層された3層構造の無端管状フィルムである。
本発明の多層無端管状フィルムにおける表面層は、直接トナーを乗せ、重ね合わせた4
色のトナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが必要である。そのため、表面層の表面粗さ(Rz)は0.25〜1.5μm、好ましくは0.3〜1.0μm、より好ましくは0.4〜1.0μmである。表面粗さが0.25μm未満の場合は、ロール等摺動する部
材と張り付いてしまいやすくなるため駆動時のトルクオーバーの原因となってしまい、1.
5μmを越える場合は、トナーの固着の原因や中抜け等の画像欠陥となるため好ましくない。
、特に0.2〜0.3であることが好ましい。
ルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX-401161等が例示される。
フルオロプロピレン ビニリデンフルオライド(THV)等が挙げられ、具体的には、3M社製のTHV等が例示される。
共重合体、3.3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸テトラカルボン酸とジアミノポリシロキサンと4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)からなる共重合体等が例示
される。
ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェ
ニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
m、好ましくは5〜30μmである。
により表面層に、中間転写ベルト、転写定着ベルト等に適した導電性が付与される。
本発明の多層無端管状フィルムにおける弾性層は、二次転写時のバイアスロールによるニップ圧応力集中をさけるための層である。そのため、ゴム弾性が要求される。
ルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX-401161等が例示される。
は100〜250μmである。
挙げたものを用いることができる。導電剤を含む場合、その使用量は、通常、弾性層に対して5〜30重量%程度であればよい。これにより弾性層に、中間転写ベルト、転写定着ベ
ルト等に適した導電性が付与される。
本発明の多層無端管状フィルムにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力で変形しないようにするための層である。そのため、機械物性が要求される。
ジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
m、好ましくは50〜100μmである。
ルト等に適した導電性が付与される。
II.多層無端管状フィルムの製造方法
本発明の多層無端管状フィルムは、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材
層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせ両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする。
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。フッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド等の表面層材料を溶媒に溶解又は微分散した液状原料を、回転ドラム(円筒状金型)の内面にキャストし遠心成型して行う。液状原料で用いる溶媒としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、或いはこれらの混合溶媒などが用いられる。該液状原料は、不揮発分濃度が5〜60重量%程度であればよい。また、表面層に所望の
半導電性を付与するために、必要に応じ、表面層に対して5〜25重量%程度となるように
、上記したカーボンブラック等の導電剤を該液状原料に添加しても良い。
〜2時間程度加熱すればよい。これにより、ドラム内面に継目のない(シームレス)管状
の表面層が製膜できる。
基材層の材料としてポリイミドを用いる場合、例えば次のようにして基材層を製膜することができる。上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このポリアミック酸溶液は、不揮発分濃度で10〜40重量%程度であればよい。
重量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤をポリアミック酸溶液に添加しても良い。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。
〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/min程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己
支持性のある管状フィルムを成形する。
添加しても良い。
次に、遠心成型にて別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせる。両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。続いて、両層の間に弾性層材料をインジェクションにて注入して、得られた積層体を加熱処理することにより、表面層の内面と基材層の外面とが弾性層材料に同時に接着された多層無端管状フィルムを得る。
方に架橋剤、もう一方に触媒を混合しており、製膜直前に両液を混合して使用する。シリコーンゴムの架橋剤の量は、主剤に対して5〜20w%程度であればよい。
量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を弾性層材料に添加しても良い。
材層間を密閉状態とする。次に、この両層の隙間に、弾性層材料をインジェクション法にて注入し、基材層内面側から金属ロールを用いて、液状シリコーンゴムを周方向に均一になるように流延する(例えば、図2を参照)。
て、本発明の多層無端管状フィルムを得る。
。しかも、上記したような3層化工程を採用するために、フィルムの平均厚みのばらつきは平均厚みの10%以下と小さくなり、均質なフィルムが製造できる。
を製造することができるようになった。
<不揮発分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を
入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、
及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(不揮発分重
量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて不揮発分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、本発明にお
ける不揮発分濃度として採用した。
<表面粗さ>
表面粗さ(μm)は、JIS B0601-1982に準拠して測定した。測定機は、東京精密(株)
製のサーフコム575Aを用いた。測定条件は、CUTOFF 0.25、測定長2.5mm、T-SPEED 0.06mm/sで行った。同一フィルム内で異なる表面部位を5箇所測定し、その十点平均粗さ(Rz)
の平均値を表面粗さとした。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“
ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。長さ400mmにカットしたフィルムをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
<画質評価>
管状フィルムを低寸カットし蛇行防止ガイドをつけた後、カラー複写機に装着してプリントテストを行って得られた画質を、目視にて評価した。
△:僅かに濃度ムラあり
×:白抜け、濃度ムラあり
<ブレード鳴き>
管状フィルムを低寸カットし蛇行防止ガイドをつけた後、カラー複写機に装着、駆動し
鳴きの有無を確認した。
△:駆動開始30分後にブレード鳴きなし(開始直後はブレード鳴きあり)
×:駆動開始30分以後もブレード鳴きあり
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエー
テル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3
’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリア
ミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は17000、粘度は35
ポイズ、不揮発分濃度は18.0重量%であった。
マスターバッチ溶液は、不揮発分濃度18.3重量%、該不揮発分中のCB濃度は15.6重量%であった。
ラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。
した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された半導電性管状ポリイミドフィルムを剥離し取り出した。なお、該フィルムの厚さは80μmであった。
(2)表面層の製膜
フッ素ゴムコート材(GLS-213F、ダイキン工業(株)製)のA液27gとB液0.8gを混合し
た原料を次の条件で成型した。
ムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置し
た。
(3)弾性層の製膜と3層化
ドラム内面に製膜した表面層の内面に、接着用プライマーを均一塗布して風乾した。上記(1)で作製したポリイミドフィルム外面にもプライマーを塗布して、これを表面層内面に重ね合わせた。減圧状態でこのフィルム両端部に内側からOリングを押し当てること
により、重ね合わせた表面層及びポリイミド層間を密閉状態とした。
ックを25部分散したペースト状原料70gを、インジェクション法にて注入した。ポリイミ
ド層内面側から金属ロールを用いて、液状シリコーンゴムを周方向に均一になるように流延し(図2を参照)、続いて加熱処理をおこない、シリコーンゴムを加硫、硬化させて表面層とポリイミド層をシリコーンゴムに接着させた。加熱処理は2℃/minで200℃まで昇温して、その温度で2時間加熱し続けた。加熱終了後、ドラムを冷却し、3層化された管状ポリイミドフィルムをドラム内面から剥離した。
のばらつきは24μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであっ
た。フィルムの表面抵抗平均値は5.3×1011Ω/□、体積抵抗率は2.4×1011Ω・cmであっ
た。
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.52μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
、幅500mmの芯体外面に被せた。この芯体を、内面に表面層が製膜されている先述のドラ
ム内面に挿入し、芯体とドラムを専用の治具を使用して同心軸上に固定した。
カーボンブラックを25部分散したペースト状原料をインジェクション法にて注入し、反対側から当該付加型液状シリコーンゴムが排出されるのを目視し、充填終了を確認した。尚、ドラムは長手方向左右を前記一対の治具で挟まれて固定しており、治具には付加型液状シリコーンゴムの入り口が設けられ、対するもう一方の治具には出口が設けられている(図3を参照)。出入り口にはいずれも逆止弁を設け、ドラム内に入った付加型シリコーンゴムの圧力を調節できるようにしてある。
ルムは同じくバッチオーブンで200℃、4時間かけてゴムの二次加硫を行った後冷却して完成品とした。
そのばらつきは25μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであ
った。フィルムの表面抵抗平均値は2.3×1011Ω/□、体積抵抗率1.1×1011Ω・cmであっ
た。
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.91μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
施例2と同様にして行った。
そのばらつきは26μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであ
った。フィルムの表面抵抗平均値は4.3×1011Ω/□、体積抵抗率2.4×1011Ω・cmであっ
た。
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)1.33μmの回転ドラムを用いた
以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
そのばらつきは23μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであ
った。フィルムの表面抵抗平均値は2.6×1011Ω/□、体積抵抗率3.0×1011Ω・cmであっ
た。
実施例1と同様に作製した半導電性管状ポリイミドフィルムを、2本の金属ロールにテ
ンションをかけて設置し、該ポリイミドフィルム外周面に実施例2で使用したカーボン分散液状シリコーンゴムトルエン溶液を、ドクターブレード法にて厚さ200μmになるよう均一に塗布した。この装置上で徐々に加熱することによりトルエン溶媒を揮発除去しながら、シリコーンゴムを硬化させポリイミド層と加硫接着させた。150℃に昇温して、その温
度で30分間保持した後、冷却し2層化した管状フィルムをとりだした。
が15μmになるようスプレーガンで均一に塗布した。
μm、そのばらつきは48μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとしては好ましくないものであった。フィルムの表面抵抗平均値は4.5×1011Ω/□、体積抵抗率3.2×1011Ω・cmで
あった。フィルム表面での溶剤蒸発がおこるため、蒸発ムラや乾燥ムラが確認され、表面粗さは大きい値となった。
付加型液状シリコーンゴム100重量部に対してカーボンブラックを20部分散したペース
ト状原料200gを、トルエン溶液400gに溶解させ、シリコーンゴムトルエン溶液原料を作製した。該溶液から210gを採取して回転ドラム内に注入し、次の条件で各々成形した。
。
に達し、この温度で30分間加熱した後、常温に冷却した。
間保持して、フッ素ゴムを加硫、硬化させた。その後冷却し、3層化された管状フィルム
をメッシュ状ドラムから脱型した。
として好ましくないものであった。フィルムの表面抵抗平均値は2.1×1011Ω/□、体積抵抗率1.5×1011Ω・cm、膜厚は290μmであった。
Claims (8)
- 表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層が遠心成型により製膜されたものであり、表面層の材料がフッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmであり、基材層が遠心成型により製膜されたものであり、基材層の材料がポリイミド及び/又はポリアミドイミドである多層無端管状フィルム。
- 表面層の静摩擦係数が0.35以下である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
- 弾性層の材料がシリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の多層無端管状フィルム。
- フィルムの平均厚みが150〜450μmである請求項1〜3のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層の厚さが5〜50μmであり、弾性層の厚さが50〜300μmであり、基材層の厚さが30〜120μmである請求項1〜4のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
- 中間転写ベルト又は転写定着ベルトとして使用する請求項1〜6のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層、弾性層及び基材層を有する、全層継目がない多層無端管状フィルムの製造方法であって、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種の表面層材料を含む液状原料を用いて、内面の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmである円筒状金型を用いた遠心成型により表面層を製膜し、ポリイミド及び/又はポリアミドイミドの基材層材料を用いて、遠心成型により基材層を製膜し、前記表面層の内面に弾性層及び前記基材層を形成することを特徴とする製造方法。
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