JP4963848B2 - 無端管状フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多層無端管状フィルムに関する。具体的には、複写機、プリンター、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置の中間転写ベルト、転写定着ベルト等に関するものである。
中間転写ベルトの高品質化を目的として、例えば、特許文献1には、基材、弾性材料層及び表面層からなる3層構成の中間転写ベルトが提案されている。また、特許文献2には、基材にシート状固形ゴム及びコーティング層とからなる多層の中間転写ベルトが提案されている。
これらのベルトは、ポリイミドフィルムなどの基材の表面に弾性層及び表面層を順次コーティングしたり、或いは基材にキャレンダーロールなどでシーティングしたシートをラミネートして製造されている。
しかし、弾性層や基材層はシーティングしたものを接合して管状にしても、接合部の電気抵抗値が他の部位と異なりやすく、画像ムラなどの原因になりやすい。
また、これらのベルトは、その表面層をスプレー、ロール、ディッピングなどのコーティングで形成するものであり、溶剤蒸発面がベルト表面となるため蒸発ムラや乾燥ムラが発生しやすくなる。表面粗さが1.5μmを越える場合、中間転写ベルトの帯電ムラや転写電圧の不均一化により画像が悪化したり、トナーがベルト表面に固着しやすくなりフィルミングと呼ばれる画像欠陥として現われてしまう。上記のようなコーティングによる表面層の形成では、ベルト表面の表面粗さを目的の値に制御することが困難であり、ベルト表面の表面粗さ(Rz)を1.5μm以下に制御することは極めて困難であった。
一方で、ベルト表面の表面粗さを低くしようとして表面層の研磨、後加工などで鏡面にすると、ベルト表面の静摩擦係数が大きくなり、トナーをクリーニングするクリーニングブレードが異音を発生する、いわゆるブレード鳴き現象が発現してしまうという欠点があった。
特許第3248455号明細書 特開2002-137300号公報
上記した従来技術の問題点に鑑み、本発明は、中間転写ベルト、転写定着ベルト等として好適な表面粗さを有し高品質の画像を形成できる無端管状フィルム、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、基材層及び表面層をそれぞれ遠心成型した後、該基材層の外面と該表面層の内面とを重ねてその間に弾性層を形成することにより、好適な表面粗さを有し高品質の画像を形成できる無端管状フィルムを製造できることを見出した。かかる知見に基づき、さらに研究を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の無端管状フィルム及びその製造方法を提供する。
項1.表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmである多層無端管状フィルム。
項2.表面層の静摩擦係数が0.35以下である項1に記載の多層無端管状フィルム。
項3.弾性層の材料がシリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の多層無端管状フィルム。
項4.基材層の材料がポリイミド及び/又はポリアミドイミドである項1に記載の多層無端管状フィルム。
項5.表面層の材料がフッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の多層無端管状フィルム。
項6.基材層、弾性層及び表面層の順で積層され、該基材層及び該表面層が該弾性層を介して加硫接着されてなる項1〜5のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
項7.表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む項1〜6のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
項8.中間転写ベルト又は転写定着ベルトとして使用する項7に記載の多層無端管状フィルム。
項9.表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムの製造方法であって、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする多層無端管状フィルムの製造方法。
項10.表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む項9に記載の製造方法。
項11.表面層の製膜に用いる円筒状金型内面の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmである項9又は10に記載の製造方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
I.多層無端管状フィルム
本発明の多層無端管状フィルムは、表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μm程度であることを特徴とする。具体的には、無端管状フィルムの内層から外層に向かって、機械特性に優れた基材層、弾性材料で構成された弾性層(中間層)及び表面精度に優れた表面層の順で積層された3層構造の無端管状フィルムである。
表面層
本発明の多層無端管状フィルムにおける表面層は、直接トナーを乗せ、重ね合わせた4色のトナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが必要である。そのため、表面層の表面粗さ(Rz)は0.25〜1.5μm、好ましくは0.3〜1.0μm、より好ましくは0.4〜1.0μmである。表面粗さが0.25μm未満の場合は、ロール等摺動する部材と張り付いてしまいやすくなるため駆動時のトルクオーバーの原因となってしまい、1.5μmを越える場合は、トナーの固着の原因や中抜け等の画像欠陥となるため好ましくない。
また、ブレード鳴きを防ぐ観点から、表面層の静摩擦係数が0.35以下、さらに0.3以下、特に0.2〜0.3であることが好ましい。
表面層の材料としては、非粘着性を有する材料であれば特に限定はないが、例えば、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド、ウレタンゴム等が例示される。
フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX-401161等が例示される。
フッ素樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン ヘキサフルオロプロピレン ビニリデンフルオライド(THV)等が挙げられ、具体的には、3M社製のTHV等が例示される。
シロキサン変性ポリイミドとしては、例えば、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミノポリシロキサンと他の芳香族ジアミンからなる共重合体が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミノポリシロキサンとからなるポリイミドセグメントと、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンからなるポリイミドセグメントがランダム又はブロック的に結合した共重合体が好適である。具体的には、ピロメリット酸二無水物とジアミノポリシロキサンと4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)からなる共重合体、3.3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸テトラカルボン酸とジアミノポリシロキサンと4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)からなる共重合体等が例示される。
シロキサン変性ポリイミドを構成する芳香族テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物が挙げられる。
芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4′−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
ジアミノポリシロキサンとしては、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(10−アミノデカメチレン)テトラメチルジシロキサン、アミノプロピル末端基を有するジメチルシロキサン4〜28量体、ビス(3−アミノフェノキシメチル)テトラメチルジシロキサン等が例示される。
ウレタンゴムとしては、例えば、主鎖がエステル結合のポリエステル系ウレタンゴム(AU)、主鎖がエーテル結合のポリエーテル系ウレタンゴム(EU)などが挙げられる。
表面層の厚さは、ゴム弾性層のゴム弾性を損なわないことを考慮して、通常、5〜50μm、好ましくは5〜30μmである。
表面層には、必要に応じて導電剤を含んでいても良い。導電剤としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト等の導電性炭素系物質;アルミニウム、銅合金等の金属または合金;更には酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物などの1種または2種以上の微粉末が用いられる。導電剤を含む場合、その使用量は、通常、表面層に対して5〜25重量%程度であればよい。これにより表面層に、中間転写ベルト、転写定着ベルト等に適した導電性が付与される。
弾性層
本発明の多層無端管状フィルムにおける弾性層は、二次転写時のバイアスロールによるニップ圧応力集中をさけるための層である。そのため、ゴム弾性が要求される。
弾性層の材料としては、ゴム弾性をもつ材料であれば特に限定はないが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が例示される。
シリコーンゴムとしては、例えば、付加型液状シリコーンゴムが挙げられ、具体的には、信越化学(株)製の、KE-106、KE1300等が例示される。
フッ素ゴムとしては、例えば、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレン系(FEPM)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル系(FFKM)等が挙げられ、具体的には、ダイキン工業(株)製のフッ素ゴムコート材GLS−213F、GLS−223F等、太平化成工業(株)製のフッ素ゴムコート材FFX-401161等が例示される。
ブチルゴムとしては、イソブチレン−イソブレン共重合体が挙げられる。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルの重合、またはそれを主体とする共重合により得ることのできるゴム状弾性体である。
ウレタンゴムとしては、例えば、主鎖がエステル結合のポリエステル系テルウレタンゴム(AU)、主鎖がエーテル結合のポリエーテル系ウレタンゴム(EU)などが挙げられる。
弾性層の厚さは、ニップ圧の応力集中防止を考慮して、通常、50〜300μm、好ましくは100〜250μmである。
弾性層には、必要に応じて導電剤を含んでいても良い。導電剤としては、上記表面層で挙げたものを用いることができる。導電剤を含む場合、その使用量は、通常、弾性層に対して5〜30重量%程度であればよい。これにより弾性層に、中間転写ベルト、転写定着ベルト等に適した導電性が付与される。
基材層
本発明の多層無端管状フィルムにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力で変形しないようにするための層である。そのため、機械物性が要求される。
基材層の材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド等が例示される。
ポリイミドは、通常、モノマー成分としてテトラカルボン酸二無水物とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。
ポリイミドのテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸、2,3,5,6−ビフェニルテトラカルボン酸、2,2′,3,3′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、アゾベンゼン−3,3′,4,4′−テトラカルボン酸、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン、β,β−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等の二無水物が挙げられる。
ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノクロロベンゼン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,4′−ジアミノビフェニル、ベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、3,3′−ジメトキシベンジジン、3,4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、4,4′−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′−ジアミノベンゾフェノン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、4,4′−ジアミノアゾベンゼン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、β,β−ビス(4−アミノフェニル)プロパン等が挙げられる。
前記ジイソシアネートとしては、上記したジアミン成分におけるアミノ基がイソシアネート基に置換した化合物等が挙げられる。
ポリアミドイミドは、トリメリット酸とジアミン又はジイソシアネートとを、公知の方法により縮重合して製造される。この場合、ジアミン又はジイソシアネートは、上記のポリイミドの原料と同じものを用いることができる。
基材層の厚さは、駆動時にベルトにかかる応力と柔軟性を考慮して、通常、30〜120μm、好ましくは50〜100μmである。
基材層には、必要に応じて導電剤を含んでいても良い。導電剤としては、上記表面層で挙げたものを用いることができる。導電剤を含む場合、その使用量は、通常、基材層に対して5〜25重量%程度であればよい。これにより基材層に、中間転写ベルト、転写定着ベルト等に適した導電性が付与される。
II.多層無端管状フィルムの製造方法
本発明の多層無端管状フィルムは、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせ両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする。
表面層の製膜
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。フッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド等の表面層材料を溶媒に溶解又は微分散した液状原料を、回転ドラム(円筒状金型)の内面にキャストし遠心成型して行う。液状原料で用いる溶媒としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、或いはこれらの混合溶媒などが用いられる。該液状原料は、不揮発分濃度が5〜60重量%程度であればよい。また、表面層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、表面層に対して5〜25重量%程度となるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を該液状原料に添加しても良い。
表面層の遠心成型は、例えば、回転ドラム等を用いて次のようにして実施できる。停止している回転ドラムに、最終厚さを得るに相当する量の液状原料を注入した後、遠心力が働く速度にまで徐々に回転速度を上げて遠心力で内面全体に均一に流延する。
回転ドラムは、その内面が所定の表面精度に研磨されており、この回転ドラムの表面状態が、本発明の多層無端管状フィルムの表面層外面に転写される。従って、回転ドラムの内面の表面粗さを制御することにより、表面層の表面粗さを所望の範囲に調節することができる。例えば、回転ドラムの内面の平均表面粗さ(Rz)を、0.25〜1.5μmの範囲で設定すると、ほぼそれに対応した表面粗さ(Rz)0.25〜1.5μmを有する本発明の表面層を形成できる。なお、使用する金型内面の粗度は、内面仕上げ時に使用する研磨紙の番手等により任意に制御できる。
回転ドラムは回転ローラー上に載置し、該ローラーの回転により間接的に回転が行われる。また該ドラムの大きさは、所望する表面層の大きさに応じて適宜選択できる。
加熱は、該ドラムの周囲に、例えば遠赤外線ヒータ等の熱源が配置され外側からの間接加熱が行われる。通常、室温から150〜200℃程度まで徐々に昇温し、昇温後の温度で0.5〜2時間程度加熱すればよい。これにより、ドラム内面に継目のない(シームレス)管状の表面層が製膜できる。
基材層の製膜
基材層の材料としてポリイミドを用いる場合、例えば次のようにして基材層を製膜することができる。上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このポリアミック酸溶液は、不揮発分濃度で10〜40重量%程度であればよい。
溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(以下、「NMP」と呼ぶ。)、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系有機極性溶媒が使用される。これらのうちの1種又は2種以上の混合溶媒であってもよい。特に、NMPが好ましい。
また、基材層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、基材層に対して5〜25重量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤をポリアミック酸溶液に添加しても良い。この場合、ボールミルにてカーボンブラックの均一分散を行ってもよい。
得られたポリアミック酸を、表面層と同じように回転ドラム(円筒状金型)等を用いた遠心成型を行う。加熱は、ドラム内面を徐々に昇温し100〜190℃程度、好ましくは110℃〜130℃程度に到達せしめる(第1加熱段階)。昇温速度は、例えば、1〜2℃/min程度であればよい。上記の温度で20分〜3時間維持し、およそ半分以上の溶剤を揮発させて自己支持性のある管状フィルムを成形する。
次に第2段階加熱として、温度280〜400℃程度(好ましくは300〜380℃程度)で処理してイミド化を完結させる。この場合も、第1段階加熱温度から一挙にこの温度に到達するのではなく、徐々に昇温して、その温度に達するようにするのが良い。なお、第2段階加熱は、無端管状フィルムを回転ドラムの内面に付着したまま行っても良いし、第1加熱段階を終わったら、回転ドラムから無端管状フィルムを剥離し、取り出して別途イミド化のための加熱手段に供して、280〜400℃に加熱してもよい。このイミド化の所用時間は、通常約20分〜3時間程度である。
基材層の材料としてポリアミドイミドを用いる場合も同様にして、ジアミン或いはジアミンから誘導されたジイソシアネートと、トリメリット酸とを溶媒中で反応させて直接ポリアミドイミドとし、これを遠心成型して、継目のない(シームレス)ポリアミドイミドの基材層を製膜できる。また、基材層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、基材層に対して5〜25重量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を添加しても良い。
以上のようにして、継目のないポリイミド又はポリアミドイミドからなる基材層を製膜できる。
弾性層の製膜と3層化
次に、遠心成型にて別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせる。両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。続いて、両層の間に弾性層材料をインジェクションにて注入して、得られた積層体を加熱処理することにより、表面層の内面と基材層の外面とが弾性層材料に同時に接着された多層無端管状フィルムを得る。
ここで、注入される弾性層材料としては、上記したシリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。
例えば、弾性層材料がシリコーンゴムの場合、主剤であるビニル基含有オルガノポリシロキサンと、架橋剤(硬化剤)のハイドロジェンオルガノポリシロキサンとからなり、これらを白金触媒下でヒドロシリル化反応により架橋(硬化)を起させる。通常2液型で一方に架橋剤、もう一方に触媒を混合しており、製膜直前に両液を混合して使用する。シリコーンゴムの架橋剤の量は、主剤に対して5〜20w%程度であればよい。
また、弾性層材料がウレタンゴムの場合、ポリオールとジイソシアネートの重付加反応により作製され、インジェクションで製膜する場合は、製膜直前に両液を混合して使用する。原料であるポリオールとジイソシアネートの混合比は、ポリオールの活性水素1当量に対しジイソシアネートのNCO基が1〜1.2当量程度となるように混合すればよい。或いは、ポリオールとジイソシアネートの重合を進めたプレポリマーを用いることもでき、この場合、さらに硬化剤としてジイソシアネートをプレポリマーに添加しても良い。
また必要に応じ、弾性層に所望の半導電性を付与するために、弾性層に対して5〜30重量%程度になるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を弾性層材料に添加しても良い。
インジェクションにて得られた積層体を、110〜220℃程度に熱処理することにより、弾性層材料が加硫(架橋・硬化)するとともに、表面層と基材層が同時に強固に接着される。
上記3層化工程の具体例を挙げる。
ドラム内面に製膜された表面層内面に、接着用プライマーを均一塗布して風乾する。製膜した基材層外面にもプライマーを塗布して、これを表面層内面に重ね合わせ、減圧状態でこの管状フィルム両端部に内側からOリングを押し当てて、重ね合わせた表面層及び基材層間を密閉状態とする。次に、この両層の隙間に、弾性層材料をインジェクション法にて注入し、基材層内面側から金属ロールを用いて、液状シリコーンゴムを周方向に均一になるように流延する(例えば、図2を参照)。
或いは、ドラム内面に製膜された表面層内面に、接着用プライマーを均一塗布する。また、製膜した基材層外面にもプライマーを塗布した後、これを円柱状の芯体外面に被せる。この芯体を、内面に表面層が製膜されているドラム内面に挿入し、芯体とドラムを同心軸上に固定する。次に、ドラムの片側から、両層の隙間にペースト状弾性層材料をインジェクション法にて注入する。尚、該ドラムは長手方向左右を一対の治具で挟まれて固定したものであり、一方の治具には弾性層材料の入口が設けられ、他方の治具にはその出口が設けられている(例えば、図3を参照)。
3層化した後の加熱処理は、110〜220℃まで徐々に加熱して(例えば、昇温速度1〜3℃/min程度)、その温度で0.5〜4時間処理する。これにより、フィルムの架橋・硬化が完了する。加熱終了後、ドラムを冷却し、3層化された管状フィルムをドラム内面から剥離して、本発明の多層無端管状フィルムを得る。
なお、上記のプライマーの使用は任意であるが、接着強度向上の点から使用するのが好ましい。プライマーとしては、例えば、東レダウコーニング製 プライマーA等が例示される。
かくして得られる本発明の多層無端管状フィルムは表面精度が高く、表面層における表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて0.25〜1.5μm、好ましくは0.3〜1.0μmとなる。
フィルムの平均厚みは、通常、150〜450μm程度、好ましくは200〜300μm程度であり、表面層は5〜50μm程度、弾性層は50〜300μm程度、基材層は30〜120μm程度となる。しかも、上記したような3層化工程を採用するために、フィルムの平均厚みのばらつきは平均厚みの10%以下と小さくなり、均質なフィルムが製造できる。
フィルムの表面の摩擦係数は、0.35以下、特に0.2〜0.3程度となる。
フィルムの表面抵抗率は1×1010〜1×1013Ω/□程度、体積抵抗率は1×108〜1×1013Ω・cm程度となり、各層に添加する導電剤の添加量に応じてこの範囲で可変である。
これらより、本発明の多層無端管状フィルムは、転写ベルト又は定着ベルトとして好適である。
表面層を、ある特定の粗度の金型内面にキャストし遠心成型して製膜することにより、所望の表面平均粗さ(Rz:0.25〜1.5μm)を有する表面精度が高い多層無端管状フィルムを製造することができるようになった。
遠心成型等にて金型内面に表面層をキャストする場合、金型内面の粗さがそのまま、管状フィルム表面の表面粗さとして現われるため、上記の範囲で容易に表面層の粗さを制御できる。
また、本発明の製造方法では、表面層と基材層の間に弾性層材料をインジェクション法により注入し、加熱処理する方法を採用するため、均質な多層無端管状フィルムが製造できる。
本発明の多層無端管状フィルムは、中間転写ベルト、転写定着ベルト等として好適な表面粗さを有し高品質の画像を形成できる。
以下、比較例と共に実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本明細書に記載の下記の評価は、次のようにして行った。
<不揮発分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(不揮発分重量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて不揮発分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、本発明における不揮発分濃度として採用した。
不揮発分濃度=B/A×100(%) (I)
<表面粗さ>
表面粗さ(μm)は、JIS B0601-1982に準拠して測定した。測定機は、東京精密(株)製のサーフコム575Aを用いた。測定条件は、CUTOFF 0.25、測定長2.5mm、T-SPEED 0.06mm/sで行った。同一フィルム内で異なる表面部位を5箇所測定し、その十点平均粗さ(Rz)の平均値を表面粗さとした。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。長さ400mmにカットしたフィルムをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
<画質評価>
管状フィルムを低寸カットし蛇行防止ガイドをつけた後、カラー複写機に装着してプリントテストを行って得られた画質を、目視にて評価した。
○:白抜け、濃度ムラなし
△:僅かに濃度ムラあり
×:白抜け、濃度ムラあり
<ブレード鳴き>
管状フィルムを低寸カットし蛇行防止ガイドをつけた後、カラー複写機に装着、駆動し鳴きの有無を確認した。
○:駆動開始直後からブレード鳴きなし
△:駆動開始30分後にブレード鳴きなし(開始直後はブレード鳴きあり)
×:駆動開始30分以後もブレード鳴きあり
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は17000、粘度は35ポイズ、不揮発分濃度は18.0重量%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボン(pH3.0)15gとN-メチル-2-ピロリドン60gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液は、不揮発分濃度18.3重量%、該不揮発分中のCB濃度は15.6重量%であった。
そして該溶液から178gを採取し、回転ドラム内に注入し、次の条件で成形した。
回転ドラム・・・内径175mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。
加熱温度・・・該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
まず、回転ドラムを回転した状態で178gの該溶液をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は2℃/minで120℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された半導電性管状ポリイミドフィルムを剥離し取り出した。なお、該フィルムの厚さは80μmであった。
(2)表面層の製膜
フッ素ゴムコート材(GLS-213F、ダイキン工業(株)製)のA液27gとB液0.8gを混合した原料を次の条件で成型した。
回転ドラム・・・内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.3μmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。
回転ドラムを回転した状態でドラム内面に均一に塗布し、10分間室温で回転した後、加熱を開始した。加熱は4℃/minで160℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に表面層を形成した。
(3)弾性層の製膜と3層化
ドラム内面に製膜した表面層の内面に、接着用プライマーを均一塗布して風乾した。上記(1)で作製したポリイミドフィルム外面にもプライマーを塗布して、これを表面層内面に重ね合わせた。減圧状態でこのフィルム両端部に内側からOリングを押し当てることにより、重ね合わせた表面層及びポリイミド層間を密閉状態とした。
次に、この両層の隙間に、付加型液状シリコーンゴム100重量部に対してカーボンブラックを25部分散したペースト状原料70gを、インジェクション法にて注入した。ポリイミド層内面側から金属ロールを用いて、液状シリコーンゴムを周方向に均一になるように流延し(図2を参照)、続いて加熱処理をおこない、シリコーンゴムを加硫、硬化させて表面層とポリイミド層をシリコーンゴムに接着させた。加熱処理は2℃/minで200℃まで昇温して、その温度で2時間加熱し続けた。加熱終了後、ドラムを冷却し、3層化された管状ポリイミドフィルムをドラム内面から剥離した。
得られたフィルムの表面さは十点平均粗さ(Rz)にて0.33μm、平均厚みは308μm、そのばらつきは24μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであった。フィルムの表面抵抗平均値は5.3×1011Ω/□、体積抵抗率は2.4×1011Ω・cmであった。
実施例2
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.52μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
このドラム内面に製膜した表面層の内面に、接着用プライマーを均一塗布した。また、実施例1と同様にして作製したポリイミド層外面にもプライマーを塗布し、外径174.0mm、幅500mmの芯体外面に被せた。この芯体を、内面に表面層が製膜されている先述のドラム内面に挿入し、芯体とドラムを専用の治具を使用して同心軸上に固定した。
次に、ドラムの片側から、両層の隙間に付加型液状シリコーンゴム100重量部に対してカーボンブラックを25部分散したペースト状原料をインジェクション法にて注入し、反対側から当該付加型液状シリコーンゴムが排出されるのを目視し、充填終了を確認した。尚、ドラムは長手方向左右を前記一対の治具で挟まれて固定しており、治具には付加型液状シリコーンゴムの入り口が設けられ、対するもう一方の治具には出口が設けられている(図3を参照)。出入り口にはいずれも逆止弁を設け、ドラム内に入った付加型シリコーンゴムの圧力を調節できるようにしてある。
ドラム内の表面層とポリイミド層の間に付加型液状シリコーンゴムを充填した後、バッチオーブンを用いて130℃で20分加硫した後、脱型した。得られた3層化された管状フィルムは同じくバッチオーブンで200℃、4時間かけてゴムの二次加硫を行った後冷却して完成品とした。
得られたフィルムの表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて0.65μm、平均厚みは343μm、そのばらつきは25μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであった。フィルムの表面抵抗平均値は2.3×1011Ω/□、体積抵抗率1.1×1011Ω・cmであった。
実施例3
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.91μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
このドラム内面に製膜した表面層の内面に、接着用プライマーを均一塗布した。また、実施例1と同様に作製したポリイミド層外面にもプライマーを塗布し、外径174.0mm、幅500mmの芯体外面に被せた。この芯体を、内面に表面層が製膜されている先述のドラム内面に挿入し、芯体とドラムを専用の治具を使用して同心軸上に固定した。以後の操作は、実施例2と同様にして行った。
得られたフィルムの表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて0.90μm、平均厚みは320μm、そのばらつきは26μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであった。フィルムの表面抵抗平均値は4.3×1011Ω/□、体積抵抗率2.4×1011Ω・cmであった。
実施例4
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)1.33μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
このドラム内面に製膜した表面層の内面に、接着用プライマーを均一塗布した。また、実施例1と同様に作製したポリイミド層外面にもプライマーを塗布し、外径174.0mm、幅500mmの芯体外面に被せた。この芯体を、内面に表面層が製膜されている先述のドラム内面に挿入し、芯体とドラムを専用の治具を使用して同心軸上に固定した。以後の操作は、実施例2と同様にして行った。
得られたフィルムの表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて1.40μm、平均厚みは319μm、そのばらつきは23μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとして非常に好ましいものであった。フィルムの表面抵抗平均値は2.6×1011Ω/□、体積抵抗率3.0×1011Ω・cmであった。
比較例1
実施例1と同様に作製した半導電性管状ポリイミドフィルムを、2本の金属ロールにテンションをかけて設置し、該ポリイミドフィルム外周面に実施例2で使用したカーボン分散液状シリコーンゴムトルエン溶液を、ドクターブレード法にて厚さ200μmになるよう均一に塗布した。この装置上で徐々に加熱することによりトルエン溶媒を揮発除去しながら、シリコーンゴムを硬化させポリイミド層と加硫接着させた。150℃に昇温して、その温度で30分間保持した後、冷却し2層化した管状フィルムをとりだした。
次に、このフィルムを外径174.3mm、幅500mmの金属ドラムに被せ、スプレーコーティング装置に設置し低速で回転させた。この外面にプライマーを塗布した後、フッ素ゴムコート材(GLS-213F、ダイキン工業(株)製)のA液とB液を20:1で混合した原料を塗布厚みが15μmになるようスプレーガンで均一に塗布した。
得られたフィルムの表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて3.2μmであり、平均厚みは303μm、そのばらつきは48μmであり、転写ベルト又は定着ベルトとしては好ましくないものであった。フィルムの表面抵抗平均値は4.5×1011Ω/□、体積抵抗率3.2×1011Ω・cmであった。フィルム表面での溶剤蒸発がおこるため、蒸発ムラや乾燥ムラが確認され、表面粗さは大きい値となった。
比較例2
付加型液状シリコーンゴム100重量部に対してカーボンブラックを20部分散したペースト状原料200gを、トルエン溶液400gに溶解させ、シリコーンゴムトルエン溶液原料を作製した。該溶液から210gを採取して回転ドラム内に注入し、次の条件で各々成形した。
回転ドラム・・・内径175mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.30μmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した。
加熱温度・・・該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
まず、回転ドラムを回転した状態で210gの該溶液をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/minで90℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつトルエン溶媒を揮発、除去した。更に2℃/minで110℃まで昇温し、その温度で30分間回転を維持しつつ加熱を続け、その後、回転ドラムを冷却した。
ドラム内面に形成されたシリコーンゴム層内面に、プライマーを塗布した後、実施例1と同様に作製したカーボンブラック分散ポリアミック酸原料178gを注入し、加熱を開始した。加熱は2℃/minで110℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱した。更に、2℃/minで180℃まで昇温して溶媒を除去し、その温度で30分間加熱し続けて両層を加硫接着させた後、回転ドラムを冷却してドラムからシリコーンゴムとポリイミドの2層の管状フィルムを剥離した。
これを外径174.0mm、幅500mmの金属メッシュ状ドラム外面に被せ、熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化完結のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ290℃に達し、この温度で30分間加熱した後、常温に冷却した。
次に、表面層を形成するために、このシリコーンゴム、ポリイミド複合フィルムを剥離せず、メッシュ状ドラムをスプレーコーティング装置に設置し低速で回転させた。この外面にプライマーを塗布した後、フッ素ゴムコート材(GLS-213F、ダイキン工業(株)製)のA液とB液を20:1で混合した原料を塗布厚みが15μmになるようスプレーガンで均一に塗布した。
次に、これを熱風滞留式オーブン中に静置して、徐々に昇温して200℃とし同温で60分間保持して、フッ素ゴムを加硫、硬化させた。その後冷却し、3層化された管状フィルムをメッシュ状ドラムから脱型した。
得られたフィルムの表面粗さは十点平均粗さ(Rz)にて2.0μm、平均厚みは320μm、そのばらつきは31μmであり、膜厚精度的には優れているが、表面粗さとしては転写ベルトとして好ましくないものであった。フィルムの表面抵抗平均値は2.1×1011Ω/□、体積抵抗率1.5×1011Ω・cm、膜厚は290μmであった。
上記の実施例1〜4及び比較例1及び2で得られた管状フィルムの評価結果を、表1に示す。
Figure 0004963848
表1より、実施例の管状フィルムの表面粗さは、比較例と比べ顕著に小さくなっており、表面精度が高いことが分かる。しかも、製膜時に用いた円筒状金型の内面の粗面粗さがフィルム外面の表面粗さに転写されていることから、再現性良く表面精度の高い管状フィルムが製造できるといえる。そのため、実施例の管状フィルムを用いた画質評価も優れている。
本発明の多層無端管状フィルムの模式図である。 実施例1におけるインジェクション法に用いた装置の模式図である。 実施例2におけるインジェクション法に用いた装置の模式図である。

Claims (11)

  1. 表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmであり、基材層、弾性層及び表面層の順で積層され、該基材層及び該表面層が該弾性層を介して加硫接着されてなる多層無端管状フィルム。
  2. 表面層の静摩擦係数が0.35以下である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
  3. 弾性層の材料がシリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
  4. 基材層の材料がポリイミド及び/又はポリアミドイミドである請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
  5. 表面層の材料がフッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
  6. 表面層の厚さが5〜50μmであり、弾性層の厚さが50〜300μmであり、基材層の厚さが30〜120μmである請求項1〜5のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
  7. 表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
  8. 中間転写ベルト又は転写定着ベルトとして使用する請求項7に記載の多層無端管状フィルム。
  9. 表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムの製造方法であって、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする多層無端管状フィルムの製造方法。
  10. 表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む請求項9に記載の製造方法。
  11. 表面層の製膜に用いる円筒状金型内面の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmである請求項9又は10に記載の製造方法。
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