JP4963848B2 - 無端管状フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
I.多層無端管状フィルム
本発明の多層無端管状フィルムは、表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μm程度であることを特徴とする。具体的には、無端管状フィルムの内層から外層に向かって、機械特性に優れた基材層、弾性材料で構成された弾性層(中間層)及び表面精度に優れた表面層の順で積層された3層構造の無端管状フィルムである。
本発明の多層無端管状フィルムにおける表面層は、直接トナーを乗せ、重ね合わせた4色のトナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが必要である。そのため、表面層の表面粗さ(Rz)は0.25〜1.5μm、好ましくは0.3〜1.0μm、より好ましくは0.4〜1.0μmである。表面粗さが0.25μm未満の場合は、ロール等摺動する部材と張り付いてしまいやすくなるため駆動時のトルクオーバーの原因となってしまい、1.5μmを越える場合は、トナーの固着の原因や中抜け等の画像欠陥となるため好ましくない。
本発明の多層無端管状フィルムにおける弾性層は、二次転写時のバイアスロールによるニップ圧応力集中をさけるための層である。そのため、ゴム弾性が要求される。
本発明の多層無端管状フィルムにおける基材層は、駆動時にベルトにかかる応力で変形しないようにするための層である。そのため、機械物性が要求される。
II.多層無端管状フィルムの製造方法
本発明の多層無端管状フィルムは、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせ両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする。
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。フッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド等の表面層材料を溶媒に溶解又は微分散した液状原料を、回転ドラム(円筒状金型)の内面にキャストし遠心成型して行う。液状原料で用いる溶媒としては、水;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、或いはこれらの混合溶媒などが用いられる。該液状原料は、不揮発分濃度が5〜60重量%程度であればよい。また、表面層に所望の半導電性を付与するために、必要に応じ、表面層に対して5〜25重量%程度となるように、上記したカーボンブラック等の導電剤を該液状原料に添加しても良い。
基材層の材料としてポリイミドを用いる場合、例えば次のようにして基材層を製膜することができる。上記したポリイミドの原料であるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを溶媒中で反応させて、一旦ポリアミック酸溶液とする。このポリアミック酸溶液は、不揮発分濃度で10〜40重量%程度であればよい。
次に、遠心成型にて別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせる。両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。続いて、両層の間に弾性層材料をインジェクションにて注入して、得られた積層体を加熱処理することにより、表面層の内面と基材層の外面とが弾性層材料に同時に接着された多層無端管状フィルムを得る。
<不揮発分濃度>
試料を金属カップ等の耐熱性容器で精秤し、この時の試料の重量をAgとする。試料を入れた耐熱性容器を電気オーブンに入れて、120℃×12分、180℃×12分、260℃×30分、及び300℃×30分で順次昇温しながら加熱、乾燥し、得られる固形分の重量(不揮発分重量)をBgとする。同一試料について5個のサンプルのA及びBの値を測定し(n=5)、次式(I)にあてはめて不揮発分濃度を求めた。その5個のサンプルの平均値を、本発明における不揮発分濃度として採用した。
<表面粗さ>
表面粗さ(μm)は、JIS B0601-1982に準拠して測定した。測定機は、東京精密(株)製のサーフコム575Aを用いた。測定条件は、CUTOFF 0.25、測定長2.5mm、T-SPEED 0.06mm/sで行った。同一フィルム内で異なる表面部位を5箇所測定し、その十点平均粗さ(Rz)の平均値を表面粗さとした。
<静摩擦係数>
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
<表面抵抗率、体積抵抗率>
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。長さ400mmにカットしたフィルムをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
<画質評価>
管状フィルムを低寸カットし蛇行防止ガイドをつけた後、カラー複写機に装着してプリントテストを行って得られた画質を、目視にて評価した。
△:僅かに濃度ムラあり
×:白抜け、濃度ムラあり
<ブレード鳴き>
管状フィルムを低寸カットし蛇行防止ガイドをつけた後、カラー複写機に装着、駆動し鳴きの有無を確認した。
△:駆動開始30分後にブレード鳴きなし(開始直後はブレード鳴きあり)
×:駆動開始30分以後もブレード鳴きあり
実施例1
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は17000、粘度は35ポイズ、不揮発分濃度は18.0重量%であった。
(2)表面層の製膜
フッ素ゴムコート材(GLS-213F、ダイキン工業(株)製)のA液27gとB液0.8gを混合した原料を次の条件で成型した。
(3)弾性層の製膜と3層化
ドラム内面に製膜した表面層の内面に、接着用プライマーを均一塗布して風乾した。上記(1)で作製したポリイミドフィルム外面にもプライマーを塗布して、これを表面層内面に重ね合わせた。減圧状態でこのフィルム両端部に内側からOリングを押し当てることにより、重ね合わせた表面層及びポリイミド層間を密閉状態とした。
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.52μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.91μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
ドラム内径175.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)1.33μmの回転ドラムを用いた以外は、実施例1と同様にして表面層を製膜した。
実施例1と同様に作製した半導電性管状ポリイミドフィルムを、2本の金属ロールにテンションをかけて設置し、該ポリイミドフィルム外周面に実施例2で使用したカーボン分散液状シリコーンゴムトルエン溶液を、ドクターブレード法にて厚さ200μmになるよう均一に塗布した。この装置上で徐々に加熱することによりトルエン溶媒を揮発除去しながら、シリコーンゴムを硬化させポリイミド層と加硫接着させた。150℃に昇温して、その温度で30分間保持した後、冷却し2層化した管状フィルムをとりだした。
付加型液状シリコーンゴム100重量部に対してカーボンブラックを20部分散したペースト状原料200gを、トルエン溶液400gに溶解させ、シリコーンゴムトルエン溶液原料を作製した。該溶液から210gを採取して回転ドラム内に注入し、次の条件で各々成形した。
Claims (11)
- 表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムであって、全層継目がなく、表面層の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmであり、基材層、弾性層及び表面層の順で積層され、該基材層及び該表面層が該弾性層を介して加硫接着されてなる多層無端管状フィルム。
- 表面層の静摩擦係数が0.35以下である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
- 弾性層の材料がシリコーンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、アクリルゴム及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
- 基材層の材料がポリイミド及び/又はポリアミドイミドである請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層の材料がフッ素ゴム、フッ素樹脂、シロキサン変性ポリイミド及びウレタンゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層の厚さが5〜50μmであり、弾性層の厚さが50〜300μmであり、基材層の厚さが30〜120μmである請求項1〜5のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む請求項1〜6のいずれかに記載の多層無端管状フィルム。
- 中間転写ベルト又は転写定着ベルトとして使用する請求項7に記載の多層無端管状フィルム。
- 表面層、弾性層及び基材層を有する多層無端管状フィルムの製造方法であって、円筒状金型を用いた遠心成型により表面層及び基材層をそれぞれ製膜して、該表面層の内面に該基材層の外面を重ね合わせて、両層の間に弾性層材料を注入し、加熱処理することを特徴とする多層無端管状フィルムの製造方法。
- 表面層、弾性層及び基材層の各層に導電剤を含む請求項9に記載の製造方法。
- 表面層の製膜に用いる円筒状金型内面の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmである請求項9又は10に記載の製造方法。
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