JP5916433B2 - 画像形成装置用ベルト - Google Patents
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Description
項2.前記表面層(c)の厚みが2〜5μmである、項1に記載の画像形成装置用ベルト。
項3.前記表面層(c)がフッ素系樹脂を含む、項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
項4.前記ゴム弾性層(b)がフィラーを含む、項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
1.画像形成装置用ベルト
本発明の画像形成装置用ベルトは、樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び表面層(c)を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、該表面層(c)中に、平均粒子径30〜400nmのフィラーを、フィラー質量濃度1.0〜6.3%で含有することを特徴とする。
本発明の画像形成装置用ベルトにおける基材層は、駆動時にかかる応力でベルトの変形を回避するために、機械物性に優れた樹脂で構成される。基材層は、マトリックスの樹脂に導電剤が分散された層であり、樹脂及び導電剤を含む基材層形成用組成物によって形成される。
本発明の画像形成装置用ベルトにおけるゴム弾性層は、主に、紙の凹凸への追従性向上と転写時のトナーへの応力集中によるライン画像中抜けを回避する目的で設けられる。ゴム弾性層は、ゴム又はエラストマー(以下、ゴム材料ということがある)を含む弾性層形成用組成物によって形成される。ゴム弾性層は、単層又は2層以上を積層したものであってもよい。
本発明の画像形成装置用ベルトにおける表面層は、直接トナーを乗せ、トナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが求められる。表面層は、樹脂又はゴムが、有機溶媒又は水中に溶解又は分散された、表面層形成用組成物によって形成される。
本発明の画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)は、以下の諸物性値を有する。
以上のような構成を有する画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)の製造方法については、特に限定されないが、例えば、遠心成型やディップコーティング法を挙げることができる。
(1)基材層形成用組成物を、遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)フィラーを含む表面層形成用組成物を、円筒状金型を用いて遠心成型を行い、表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、弾性層形成用組成物を、遠心成型によってゴム弾性層に製膜し、2層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜のゴム弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する工程。
基材層は次のようにして製膜することができる。
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。
上記工程(2)で得られた表面層の内面に、弾性層形成用組成物を遠心成型して、厚みが200〜450μmのゴム弾性層を製膜し、2層膜とする。
上記工程(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜(表面層とゴム弾性層)のゴム弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する。
上記工程(1)及び(2)に従って別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間に弾性層形成用組成物をインジェクションにて注入する。このとき、ゴム弾性層の均一化のため、基材層内面の片側端部からもう片側端部へしごきを行うことが好ましい。得られた積層体を加熱処理することにより、画像形成装置用ベルトを得ることができる。なお、両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。
各層を形成する樹脂を精秤し、この時の重量をCgとする。電子天秤上で当該樹脂を溶剤に溶かすために、攪拌しながら溶剤を徐々に加え、最終的な溶液重量をDgとしたときの固形分濃度は、次式(II)となる。
固形分濃度=C/D×100(%) (II)
表面層の厚み(μm)は大塚電子製 MCPD3000を用いて、ピークバレイ法、計算範囲550nm〜700nm、ノイズSH=0.01にて測定した。
幅方向の長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4ヶ所の合計12ヶ所について、それぞれ測定し、その平均値で示した。
基材層の厚み(μm)は、株式会社ケツト製 渦電流式膜厚計LH−200Jを用いて測定した。
幅方向の長さ400mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に8ヶ所の合計24ヶ所について、それぞれ測定し、その平均値で示した。
多層ベルトの総厚みは、(株)ミツヨト製デジマチックインジケータの平面型測定子を用いて幅方向3点、周方向8点の合計24点測定し、その平均値として示した。
静摩擦係数(μs)及び動摩擦係数(μd)は、新東科学(株)製の表面性測定器TYPE:14FW を用いて測定を行った。サンプルを63.5mm×63.5mmにカットし、測定面をアルコールで拭いた。荷重200g、移動速度150mm/min、移動距離30mmの条件下で、サンプルをSUS板上で摩擦させることにより、μs、μdの値を求めた。なお、μs、μdの値は10回の平均値より求めた。1回の測定につき10回サンプルを往復させ、1つのサンプルにつきn=3で測定を実施した。
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。幅方向の長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4ヶ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
表面粗さ(μm)は、JIS B0601−1982に準拠して測定した。測定器は、東京精密(株)製のサーフコム575Aを用いた。測定条件はCUTOFF0.25,測定長2.5mm、T−SPEED 0.06mm/sで行った。同一ベルト内で異なる表面部位を5ヶ所測定し、その十点平均粗さ(Rz)の平均値を表面粗さとした。
フィラーの平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定を行った。測定器は日機装(株)製のマイクロトラック MT3000IIを用いた。平均粒子径は累積が50%の時の粒子径の値(メジアン径:d50)を用いた。
ベルト中央において、2cm角の範囲をサンプリングし、EDX(堀場製作所製エネルギー分散型X線分析装置 EMAX モデル7593H、加速電圧:20kV、照射時間:180秒)により、金蒸着厚み5nm、プロセスタイム5、倍率500倍の条件で測定した。なお、上記2cm角のサンプルについて3ヶ所測定を行い、その平均値をフィラー質量濃度とした。
テーバー磨耗量は、JIS K−7204に従って評価した。テーバー磨耗試験機の磨耗輪はCS−17、荷重250gにて1000回行った(サンプル数=各5)。
回転ドラム内面に表層を製膜した後、目視で分散ムラの確認を行った。
○:表層外観に問題なし
△:表層の所々に、すじ、凝集した後を確認
×:表層全体に、すじ、凝集塊等の跡を確認
<ブレード鳴き>
5000枚毎通紙を実施し、ブレード鳴きや破損を観察した。試験は3万枚の通紙まで行った。
◎:3万枚の通紙までブレード鳴きなし
○:2〜3万枚未満の通紙でブレード鳴きなし
△:1〜2万枚未満の通紙でブレード鳴きなし
×:1万枚未満の通紙でブレード鳴き発生、ブレード破損
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は19,000、粘度は43ポイズ、固形分濃度は18.1重量%であった。
ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2801、アルケマ製:HFP11モル%)100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させ、固形分濃度10重量%の溶液Aを調製した。
キシレン188.7gに真比重1.1g/cm3のブロック型ウレタン用プレポリマー(ウレハイパーRUP1627、DIC(株)製)136.65gを溶解させた溶液に、フィラーとして、アスペクト比1.8の無定形粒子状の酸化ジルコニウム(SPZ酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=3.3μm、第一稀元素化学工業(株)製)を加え、ボールミルにて均一攪拌を行った。更に、この分散液に脂肪族ジアミン系の硬化剤CLH−5を11.73g(DIC(株)製)添加し、撹拌を行った。
G(m/s2)=r・ω2=r・(2・π・n)2 (I)
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
上記(3)で製膜したゴム弾性層内面にプライマーDY39−067(東レダウコーニング製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤を薄く外面に塗布した(1)のポリイミドベルトを挿入し重ね合わせた。基材層内面から圧着し、加熱(80〜100℃)を行い、張り合わせを完了させた。張り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトと電子顕微鏡観察用サンプル片を採取した。
表面層製膜において、平均粒子径300nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)の替わりに、平均粒子径100nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層に配合する酸化珪素として、実施例2と同じものを用い、フッ素系樹脂固形分中の酸化珪素濃度が4.8重量%の表面層形成用組成物とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層に配合する酸化珪素として、実施例2と同じものを用い、フッ素系樹脂固形分中の酸化珪素濃度が6.5重量%の表面層形成用組成物とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層製膜において、平均粒子径300nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)の替わりに、平均粒子径30nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層に配合する酸化珪素として、実施例2と同じものを用い、フッ素系樹脂固形分中の酸化珪素濃度が9.1重量%の表面層形成用組成物とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層に配合する酸化珪素として、実施例1と同じものを用い、フッ素系樹脂固形分中の酸化珪素濃度が9.1重量%の表面層形成用組成物とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層に配合する酸化珪素として、実施例2と同じものを用い、フッ素系樹脂固形分中の酸化珪素濃度が10.7重量%の表面層形成用組成物とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層製膜において、平均粒子径300nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)の替わりに、平均粒子径100nmの酸化亜鉛15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製))を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層にフィラーを配合しなかった以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層製膜において、平均粒子径300nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)の替わりに、平均粒子径500nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層製膜において、平均粒子径300nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)の替わりに、平均粒子径650nmの酸化珪素15重量%が分散したDMAcの溶液(シーアイ化成(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
表面層に配合する酸化珪素として、実施例2と同じものを用い、フッ素系樹脂固形分中の酸化珪素濃度が13.4重量%の表面層形成用組成物とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
Claims (7)
- 樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び表面層(c)を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、
該表面層(c)中に、酸化珪素及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種のフィラーであって、平均粒子径30〜400nmのフィラーを、フィラー質量濃度1.0〜6.3%で含有する、
画像形成装置用ベルト。 - 前記表面層(c)の厚みが2〜5μmである、請求項1に記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記表面層(c)がフッ素系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記表面層(c)の表面粗さ(Rz)が0.25〜1.5μmである、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記ゴム弾性層(b)がフィラーを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記ゴム弾性層(b)に含まれるフィラーの体積平均粒子径が0.4〜8μmである、請求項5に記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記ゴム弾性層(b)に含まれるフィラーが、粒子状の酸化ジルコニウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、球状のシリカ、アルミナ及びガラスビーズから選ばれるフィラーである、請求項5又は6に記載の画像形成装置用ベルト。
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