JP5769573B2 - 画像形成装置用ベルト - Google Patents
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Description
項2. 前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤よりなる群から選ばれる、項1記載の画像形成装置用ベルト、
項3. 前記ゴム弾性層中のフィラーの含有量が、体積分率で1.0〜4.0%である、項1または2に記載の画像形成装置用ベルト、
項4. 前記ゴム弾性層の厚みが200〜450μmである項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト、
項5. 前記ゴム弾性層が遠心成型によって製膜されてなる項1〜4のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト、
項6. 遠心成型法における回転速度が、重力加速度の2倍以上の遠心加速度である項5記載の画像形成装置用ベルト。
1.画像形成装置用ベルト
本発明の画像形成装置用ベルトは、樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び樹脂製の表面層(c)を、この順に積層してなり、該ゴム弾性層中にカップリング剤で処理された比表面積1〜20m2/gのフィラーを含み、該フィラーが該ゴム弾性層中の該表面層側に偏在しており、該表面層のテーバー磨耗量(JIS K7204準拠、テーバー磨耗試験機、磨耗輪CS−17、荷重250gにて300回実施)が0.6mg以下であり、表面層側から測定したマルテンス硬さ(ISO14577−1)が、押込み深さ2μmの場合3.2〜6.0N/mm2であって、押し込み深さ10μmの場合1.4N/mm2以下であり、該表面層側から測定したIRHD硬度(JIS K6253)が82 IRHD以下であることを特徴とする。
本発明の画像形成装置用ベルトにおける基材層は、駆動時にかかる応力でベルトの変形を回避するために、機械物性に優れた樹脂で構成される。基材層は、マトリックスの樹脂に導電剤が分散された層であり、樹脂及び導電剤を含む基材層形成用組成物によって形成される。
本発明の画像形成装置用ベルトにおけるゴム弾性層は、主に、紙の凹凸への追従性向上と転写時のトナーへの応力集中によるライン画像中抜けを回避する目的で設けられる。ゴム弾性層は、ゴム又はエラストマー(以下、ゴム材料ということがある)を含む弾性層形成用組成物によって形成される。ゴム弾性層は、マトリクスであるゴム材料中に比表面積1〜20m2/g以下の粒子状または球状のフィラーを含有する層であり、該フィラーは該ゴム弾性層中の該表面層側(該表面層との界面付近に)に偏在している。ゴム弾性層は、単層又は2層以上を積層したものであってもよい。
本発明の画像形成装置用ベルトにおける表面層は、直接トナーを乗せ、トナーを紙へ転写、離型するための層であり、表面精度に優れていることが求められる。表面層は、樹脂が有機溶媒又は水中に溶解又は分散された表面層形成用組成物によって形成される。
本発明の画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)は、以下の諸物性値を有する。
以上のような構成を有する画像形成装置用ベルト(特に、中間転写ベルト)の製造方法については、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
(1)基材層形成用組成物を、遠心成型又は溶融押出成形して基材層を製膜する工程、
(2)表面層形成用組成物を、円筒状金型を用いて遠心成型を行い、表面層を製膜する工程、
(3)上記(2)で得られた表面層の内面に、フィラーを含む弾性層形成用組成物を、遠心成型によってゴム弾性層に製膜し、2層膜とする工程、及び
(4)上記(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜のゴム弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する工程。
基材層は次のようにして製膜することができる。
G(m/s2)=r・ω2=r・(2・π・n)2 (I)
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
表面層は、例えば、次のようにして製膜することができる。
上記工程(2)で得られた表面層の内面に、弾性層形成用組成物を遠心成型して、厚みが200〜450μmの弾性層を製膜し、2層膜とする。
上記工程(1)で得られた基材層の外面と、上記(3)で得られた2層膜(表面層と弾性層)の弾性層の内面とを重ね合わせて、加熱処理する。
上記工程(1)及び(2)に従って別々に製膜した表面層と基材層とを、該表面層の内面と該基材層の外面とが接触するように重ね合わせて、両層の間に弾性層形成用組成物をインジェクションにて注入する。このとき、弾性層の均一化のため、基材層内面の片側端部からもう片側端部へしごきを行うことが好ましい。得られた積層体を加熱処理することにより、画像形成装置用ベルトを得ることができる。なお、両層の重ね合わせ後は、両層の間が密閉状態となるようにすることが好ましい。
各層を形成する樹脂を精秤し、この時の重量をCgとする。電子天秤上で当該樹脂を溶剤に溶かすために、攪拌しながら溶剤を徐々に加え、最終的な溶液重量をDgとしたときの固形分濃度は、次式(II)となる。
固形分濃度=C/D×100(%) (II)
フィラーの比表面積(g/cm3)の測定は、日本ベル株式会社製 自動比表面積測定装置
BELSORP−miniIIを用い、低温窒素吸着によるBET法にて行った。
表面粗さ(μm)は、JIS B0601−1994に準拠して測定した。測定機は、キーエンス製レーザー顕微鏡VK−9700を用い、観察条件は対物レンズ20倍×接眼レンズ50倍の1000倍で行った。観察で得られたベルト表面の画像を用い、線粗さを以下の測定条件で測定した。
傾き補正:面傾き補正(自動)
カットオフ:なし
測定長:0.25mm。
同一ベルト内で異なる表面部位を5箇所測定し、その十点平均粗さ(Rz)の平均値を表面粗さとした。
表面層の厚み(μm)は大塚電子製 MCPD3000を用いて、ピークバレイ法、計算範囲550nm〜700nm、ノイズSH=0.01にて測定した。
幅方向の長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、それぞれ測定し、その平均値で示した。
基材層の厚み(μm)は、株式会社ケツト製 渦電流式膜厚計LH−200Jを用いて測定した。
幅方向の長さ400mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に8カ所の合計24ヶ所について、それぞれ測定し、その平均値で示した。
多層ベルトの総厚みは、(株)ミツヨト製デジマチックインジケータの平面型測定子を用いて幅方向3点、周方向8点の合計24点測定し、その平均値として示した。
静摩擦係数は、新東科学(株)製のHeidon 94iを用いて、同一ベルト内で異なる表面部位を10箇所測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
表面抵抗率(Ω/□)及び体積抵抗率(Ω・cm)は、三菱化学(株)製の抵抗測定器“ハイレスタIP・HRブロ−ブ”を用いて測定した。幅方向の長さ360mmにカットしたベルトをサンプルとし、該サンプルの幅方向に等ピッチで3ヶ所、縦(周)方向に4カ所の合計12ヶ所について、印加電圧100V、10秒後に表面抵抗率及び体積抵抗率をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
ヤング率はJIS K7127に準拠し、(株)島津製作所製 オートグラフAG−Xを用いて測定した。
サンプル片25×250mmの短冊状
引張速度20mm/分
テーバー磨耗量は、JIS K-7204に従って評価した。テーバー磨耗試験機の磨耗輪はCS−17、荷重250gにて300回行った(サンプル数=各5)。
ダイナミック超微小硬度計(DUH−211S(株)島津製作所製)を用いて、押し込み深さ10μmの場合の硬度(ISO14577−1 マルテンス硬さ)を以下の条件にて測定した。この際、押込み深さ2μm丁度のマルテンス硬さデータを得るために、2μm押込み深さの前後2点間のプロットから最小ニ乗法により、直線の傾き、切片を計算し硬度を算出した。
なお、それぞれの押し込み深さの硬度については、同一ベルト内で異なる表面部位を5箇所測定し、その平均値をマルテンス硬さとした。
試験機:島津ダイナミック超微小硬度計DUH−211S
試験モード:負荷−除荷試験
負荷速度:0.1463mN/秒
最小試験力:0.02mN
負荷保持時間:2秒
除荷保持時間:0秒
設定押込み深さ:10μm
試験力レンジ:19.6133mN
Cf−Ap、As補正あり
圧子の種類:Triangular115(稜間角115°ダイアモンド三角すい圧子、バーコビッチ形)
JIS K6253に従い、IRHDマイクロ硬度計(型番:H12型、ウォーレス社製)を用いて、ベルトの表面層側からゴム硬度を測定した。
JIS K6253に従い、デュロメーターAを用いて、弾性層を構成する材料で厚み10mmのバルク(塊)を作成して評価した。
ベルト断面をミクロトームでスライスし、蒸着厚みが5nmになるよう金蒸着を施して、観察用サンプルを作製した。観察用サンプルについて、電子顕微鏡(日立製作所製SEM: S−4800)による断面観察を行った。
ベルト断面をミクロトームでスライスし、蒸着厚みが5nmになるよう金蒸着を施して、観察用サンプルを作製した。観察用サンプルについて、電子顕微鏡(日立製作所製SEM: S−4800)による断面観察を行った。
また、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの質量濃度M1、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ60〜80μmの領域に含まれるフィラーの質量濃度M2、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ120〜140μmの領域に含まれるフィラーの質量濃度M3を、EDX(堀場製作所製エネルギー分散型X線分析装置 EMAX モデル7593H、加速電圧:20kV、照射時間:5分間)により測定し、それぞれの濃度比(M1/M2、M1/M3)を求めた。
ライン画像中抜けの評価は、23℃、55%の環境下にて、用紙走行方向に並行なライン画像のみの画像をA4サイズで10プリントし、ライン画像をルーペで観察し、ラインの中抜けの程度評価した。
ライン画像中抜けは次の基準で評価した。
「○」:中抜け発生が10枚全てのプリント画像で3箇所以下
「△」:中抜け発生が4〜10箇所のプリントが1枚以上発生
「×」:中抜け発生が11箇所以上のプリントが1枚以上発生
複写機の二次転写ロール外面に坪量250g/m2の厚口用紙を巻きつけ、擬似的に連続通紙した状態とし、A4用紙30万枚相当の駆動試験を行った後、黒のハーフトーン画像を印刷し、駆動試験の紙エッジ部と通紙部に相当する位置における画像への影響を確認した。
駆動速度:ベルト外周速度300mm/秒
通電:電源(Trek 610C)によりベルト厚み方向に50μAの定電流を供給
通紙クラック:二次転写ロール外面に15cm幅にカットした厚口用紙を巻きつけ、擬似的に連続通紙した状態を作製
クリーニング機構:ウレタンゴム製クリーニングブレード(ゴム硬度 タイプA 80°)
紙エッジ部クラックの評価は次の基準で評価した。
「○」:画像への影響は全くない
「△」:画像への影響が僅かに認められる
「×」:画像への影響が認められる
A4用紙30万枚相当の駆動試験後の厚口用紙通紙エッジ部クラックを確認した後、引き続き同一条件で、A4用紙100万枚相当になるまで駆動試験を継続し、ベルトの通紙部に相当する部位を顕微鏡で観察してゴム層の露出の有無を確認した。
ゴム層の露出は次の基準で評価した。
「○」:露出は全くない
「△」:画像への影響のないレベルの微小な露出あり
「×」:画像への影響のあるレベルの露出あり
(1)基材層の製膜
窒素流通下、N−メチル−2−ピロリドン488gに、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)47.6gを加え、50℃に保温、撹拌して完全に溶解させた。この溶液に、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)70gを除々に添加し、ポリアミック酸溶液605.6gを得た。このポリアミック酸溶液の数平均分子量は19,000、粘度は43ポイズ、固形分濃度は18.1重量%であった。
次に、このポリアミック酸溶液450gに、酸性カーボンブラック(pH3.0)21gとN−メチル−2−ピロリドン80gを加えて、ボールミルにてカーボンブラック(CB)の均一分散を行った。このマスターバッチ溶液は、固形分濃度18.5重量%、該固形分中のCB濃度は20.4重量%であった。
そして該溶液から273gを採取し、回転ドラム内に注入し、次の条件で成形した。
回転ドラム:内径301.5mm、幅540mmの内面鏡面仕上げの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
加熱温度:該ドラムの外側面に遠赤外線ヒータを配置し、該ドラムの内面温度が120℃に制御されるようにした。
まず、回転ドラムを回転した状態で273gの該溶液をドラム内面に均一に塗布し、加熱を開始した。加熱は1℃/分で120℃まで昇温して、その温度で60分間その回転を維持しつつ加熱した。
回転、加熱が終了した後、冷却せずそのまま回転ドラムを離脱して熱風滞留式オーブン中に静置してイミド化のための加熱を開始した。この加熱も徐々に昇温しつつ320℃に達した。そして、この温度で30分間加熱した後常温に冷却して、該ドラム内面に形成された半導電性管状ポリイミドベルトを剥離し取り出した。なお、該ベルトは厚さ80.1μm、外周長944.2mm、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率1×109〜3×109Ω・cmであった。
ビニリデンフロライド(VdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であるVdF−HFP共重合樹脂(カイナー#2801、アルケマ製:HFP11モル%)100gを、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)900gに溶解させ、固形分濃度10重量%の溶液Aを調製した。
有機変性モンモリロナイト(ルーセンタイトSEN、コープケミカル(株)製)100gを、ジメチルアセトアミド900gに加え、ボールミルにて均一分散を行って固形分濃度10重量%の溶液Bを調製した。
溶液Aと溶液BをA:B=99:1で調合しペイントシェイカーで混合し、固形分濃度10重量%、該固形分中の有機変性モンモリロナイト濃度1重量%の溶液を得た。これをDMAc:酢酸ブチル=1:2の混合溶媒で希釈し、固形分濃度2.0重量%、該固形分中有機変性モンモリロナイト濃度1重量%(表面層の総重量に対するモンモリロナイトの配合割合に相当する)の溶液(以下、表面層形成用組成物ということもある)を調製した。この溶液112gを次の条件で製膜した。
回転ドラム:内径301.0mm、幅540mm、内面十点平均粗さ(Rz)=0.5μmの金属ドラムが2本の回転ローラー上に載置され、該ローラーの回転とともに回転する状態に配置した(例えば、図2参照)。
回転ドラムを回転した状態でドラム内面に均一に塗布し加熱を開始した。加熱は2℃/分で130℃まで昇温して、その温度で20分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面に表面層を形成した後ドラムを常温まで冷却した。
なお、上述の表面層形成用組成物を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗率は4×1012Ω・cm、ヤング率は610MPa、表面層の表面粗さ(Rz)は、0.6μmであった。
キシレン219.58gに真比重1.1g/cm3のブロック型ウレタン用プレポリマー(ウレハイパーRUP1627、DIC(株)製)169.6gを溶解させた溶液に、フィラーとして、3−アミノプロピルトリエトキシシランにて湿式法処理された、比表面積6.3m2/g、平均アスペクト比1.8、真比重5.8g/cm3の無定形粒子状の酸化ジルコニウム(SPZ酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=3.0μm、第一稀元素化学工業(株)製)19.8gを加え、ボールミルにて均一分散を行った。更に、この分散液に脂肪族ジアミン系の硬化剤CLH−5(DIC(株)製)を13.28g添加し撹拌を行った。
このようにして得られた溶液の固形分濃度は55重量%、該固形分中の酸化ジルコニウムは、9.7重量%、体積分率で2.0%であった。この分散液を、先に製膜した表面層内面に回転した状態で均一に塗布し加熱を開始した。加熱は1℃/分で150℃まで昇温して、その温度で30分間その回転を維持しつつ加熱し、ドラム内面にゴム弾性層を形成した。
この加熱段階における回転ドラムの回転速度は重力加速度の5.0倍の遠心加速度であった。一般に、重力加速度(g)は9.8(m/s2)である。
遠心加速度(G)は前述の下記式(I)から導かれる。
G(m/s2)=r・ω2=r・(2・π・n)2 (I)
ここで、rは円筒金型の半径(m)、ωは角速度(rad/s)、nは1秒間での回転数(60秒間の回転数がrpm)を示す。前記式(I)より、円筒状金型の回転条件を適宜設定することができる。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液に、フィラーを加えなかった以外は同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ40°であった。
上記(3)で製膜したゴム弾性層内面にプライマーDY39−067(東レダウコーニング製)を塗布、風乾した後に、ドライラミ接着剤を薄く外面に塗布した(1)のポリイミドベルトを挿入し重ね合わせた。基材層内面から圧着し、加熱(80〜100℃)を行い、張り合わせを完了させた。張り合わせた多層ベルトを金型から剥離し両端部をカットし幅360mmの多層ベルトと電子顕微鏡観察用サンプル片を採取した。
該多層ベルトは、厚さ380.5μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.28、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、表面層のみの厚さは2.53μm、IRHD硬度75.8 IRHD、テーバー摩耗量0.12mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=15.2、M1/M3=19.3であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
ゴム弾性層に配合する酸化ジルコニウムの表面処理を、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランで行った以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ380.0μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.28、表面抵抗率1×1011〜2×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、表面層のみの厚さは2.49μm、IRHD硬度75.3 IRHD、テーバー摩耗量0.14mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=17.3、M1/M3=21.8であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
ゴム弾性層に配合するフィラーを、3−アミノプロピルトリエトキシシランにて湿式法処理された、比表面積2.4m2/g、平均アスペクト比1.9、真比重5.8g/cm3の無定形粒子状の酸化ジルコニウム(SOPT酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=8.7μm、第一稀元素化学工業(株)製)とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ381.3μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.25、表面抵抗率1×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.8μm、表面層のみの厚さは2.55μm、IRHD硬度78.7 IRHD、テーバー摩耗量0.21mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=23.8、M1/M3=40.3であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
ゴム弾性層に配合するフィラーを、3−アミノプロピルトリエトキシシランにて湿式法処理された、比表面積7.9m2/g、平均アスペクト比21.6、真比重3.0g/cm3の針状のホウ酸アルミニウム(アルボレックス、平均粒子径D50=14μm、四国化成(株)製)とし、その量を5.3重量%、体積分率2.0%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ381.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.24、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、表面層のみの厚さは2.42μm、IRHD硬度79.6 IRHD、テーバー摩耗量0.49mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるアルミニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=20.6、M1/M3=23.3であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
ゴム弾性層に配合するフィラーの表面処理を、アルミニウム系カップリング剤であるアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートとした以外は、実施例4と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ381.1μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.25、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜5×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、表面層のみの厚さは2.42μm、IRHD硬度78.8 IRHD、テーバー摩耗量0.58mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるアルミニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=19.9、M1/M3=24.7であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
表面層材料として、エーテル系ウレタン樹脂をバインダーとした水系ウレタン塗料(Emralon345、ヘンケルジャバン株式会社製)と、硬化剤(WH−1、ヘンケルジャパン株式会社製)を主剤:硬化剤:蒸留水=19:1:100(質量比)の割合で調整した溶液120gを用い、使用する回転ドラムを内面十点平均粗さ(Rz)=0.9μmの金属ドラムとした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ380.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.26、表面抵抗率1×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は1.1μm、表面層のみの厚さは4.12μm、IRHD硬度75.5RHD、テーバー摩耗量0.40mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=14.7、M1/M3=18.1であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
なお、上述の表面層形成用組成物を用いて、同一製膜条件で別途10μmの表面層を作製した。その10μmの表面層の体積抵抗率は2×1012Ω・cm、ヤング率は380MPa、表面層の表面粗さ(Rz)は、1.2μmであった。
ゴム弾性層の硬化剤として、CLH−5を7.97g(DIC(株)製)、4,4−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)を3.93g(DIC(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ379.9μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.25、表面抵抗率3×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.8μm、表面層のみの厚さは2.59μm、IRHD硬度81.1 IRHD、テーバー摩耗量0.17mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=15.3、M1/M3=21.0であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液に、フィラーを加えなかった以外は同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ55°であった。
ゴム弾性層の硬化剤として、CLH−5を6.64g(DIC(株)製)、4,4−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)を4.91g(DIC(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ379.6μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.23、表面抵抗率2×1011〜6×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜8×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.8μm、表面層のみの厚さは2.55μm、IRHD硬度81.9 IRHD、テーバー摩耗量0.27mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=16.0、M1/M3=23.8であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液に、フィラーを加えなかった以外は同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ59°であった。
ゴム弾性層に配合する酸化ジルコニウムに表面処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ381.6μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.29、表面抵抗率2×1011〜5×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.9μm、表面層のみの厚さは2.44μm、IRHD硬度76.2 IRHD、テーバー摩耗量0.82mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=19.5、M1/M3=23.3であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出が、通紙部で認められた。
ゴム弾性層に配合する酸化ジルコニウムに表面処理を行わなかった以外は、実施例3と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ382.2μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.27、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜6×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.8μm、表面層のみの厚さは2.51μm、IRHD硬度78.6 IRHD、テーバー摩耗量0.67mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=22.7、M1/M3=無限大であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出が、通紙部で認められた。
ゴム弾性層に配合するホウ酸アルミニウムに表面処理を行わなかった以外は、実施例4と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ381.6μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.25、表面抵抗率3×1011〜7×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.8μm、表面層のみの厚さは2.50μm、IRHD硬度78.7 IRHD、テーバー摩耗量1.23mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるアルミニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=22.1、M1/M3=27.5であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出が、通紙部で認められた。
ゴム弾性層に配合するフィラーを、比表面積26.3m2/g、平均アスペクト比1.9、真比重5.8g/cm3の無定形粒子状の酸化ジルコニウム(EP酸化ジルコニウム、平均粒子径D50=1.1μm、第一稀元素化学工業(株)製)とし、表面処理を行わなかった以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ379.9μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.37、表面抵抗率1×1011〜3×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜5×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.7μm、表面層のみの厚さは2.42μm、IRHD硬度75.3 IRHD、テーバー摩耗量0.26mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=3.3、M1/M3=4.4であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに、表面層の剥離、クラック発生が起こり、画像への影響が明確に確認されたので、ここで耐久テストを終了した。
ゴム弾性層に配合するフィラーを、3−アミノプロピルトリエトキシシランにて湿式法処理された、比表面積0.65m2/g、平均アスペクト比1.3、真比重3.98g/cm3の球状アルミナ(AX3-15アルミナ、平均粒子径D50=3.5μm、(株)マイクロン製)とし、その量を6.8重量%、体積分率2.0%とした以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ380.8μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.26、表面抵抗率2×1011〜4×1011Ω/□、体積抵抗率2×1010〜7×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は0.8μm、表面層のみの厚さは2.51μm、IRHD硬度76.9 IRHD、テーバー摩耗量0.78mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるアルミニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=23.8、M1/M3=30.7であった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜け発生が3箇所以下であり、良好であった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出が、通紙部で認められた。
ゴム弾性層の硬化剤としてCLH−5を5.31g(DIC(株)製)、4,4−メチレンビス(2−メチルシクロヘキサンアミン)を5.89g(DIC(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に多層ベルトを作製した。
得られた多層ベルトは、厚さ381.3μm、外周長945.0mm、静摩擦係数0.24、表面抵抗率3×1011〜8×1011Ω/□、体積抵抗率3×1010〜9×1010Ω・cm、表面粗さ(Rz)は1.0μm、表面層のみの厚さは2.50μm、IRHD硬度83.3RHD、テーバー摩耗量0.33mgであった。電子顕微鏡(SEM)による断面観察とEDXによるジルコニウムの質量濃度比(M1/M2、M1/M3)を測定したところ、M1/M2=14.3、M1/M3=18.4だった。これより、表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ20μmまでの領域に含まれるフィラーの濃度が、ゴム層中央部よりも高濃度になっていることが確認された。
初期画像のライン画像中抜けについては、10枚全てのプリント画像で、中抜けが11箇所以上発生し、実用上問題あるレベルであった。
また、30万枚相当の厚口用紙通紙耐久テスト後のハーフトーン画像を確認したところ、通紙耐久テスト紙エッジ部、通紙部ともに画像への影響は全く認められなかった。さらに100万枚相当の駆動テスト後の表面観察を行ったところ、磨耗によるゴム弾性層の露出は認められなかった。
上記、弾性層用ウレタン原料溶液に、フィラーを加えなかった以外は同様にして製膜したゴム弾性層単膜を10mm厚になるよう重ね合わせ、タイプA硬度を測定したところ62°であった。
B:表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ60〜80μmの領域(図3)
C:表面層とゴム弾性層の界面から基材層側に向かって深さ120〜140μmの領域(図3)
Claims (4)
- 樹脂製の基材層(a)の外周面に、少なくとも1層からなるゴム弾性層(b)、及び樹脂製の表面層(c)を、この順に積層してなる画像形成装置用ベルトであって、該ゴム弾性層中にカップリング剤で処理された比表面積1〜20m2/gのフィラーを含み、該フィラーが該ゴム弾性層中の該表面層側に偏在しており、該表面層のテーバー磨耗量(JIS K7204準拠、テーバー磨耗試験機、磨耗輪CS−17、荷重250gにて300回実施)が0.6mg以下であり、表面層側から測定したマルテンス硬さ(ISO14577−1)が、押込み深さ2μmの場合3.2〜6.0N/mm2であって、押し込み深さ10μmの場合1.4N/mm2以下であり、該表面層側から測定したIRHD硬度(JIS K6253)が82 IRHD以下である画像形成装置用ベルト。
- 前記カップリング剤が、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコニウム系カップリング剤よりなる群から選ばれる、請求項1記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記ゴム弾性層中のフィラーの含有量が、体積分率で1.0〜4.0%である、請求項1または2に記載の画像形成装置用ベルト。
- 前記ゴム弾性層の厚みが200〜450μmである請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置用ベルト。
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