JP2004109923A - バイアスロール及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents

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原 幸雄
Koichi Matsumoto
松本 晃一
Tsuyoshi Kawai
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Abstract

【課題】安定的に高画質を得ることのできる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】金属のロール軸と、前記ロール軸の外周面に設けられた連続気泡を有する導電性弾性層と、接着層を介さずに前記導電性弾性層の外周面を被覆する導電性チューブとを有するバイアスロールであって、前記ロール軸と前記導電性弾性層とが前記導電性チューブの内側に圧入され、前記導電性弾性層の弾性反発力が前記導電性チューブの内側表面に常時作用するように構成されていることを特徴とするバイアスロールを、転写ロールとして備えた画像形成装置により課題は解決される。
【選択図】     なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンター等の電子写真方式を用いた画像形成装置に用いられるバイアスロ−ル及びそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用した画像形成装置は、無機または有機材料からなる光導電性感光体からなる像担持体上に一様な電荷を形成し、画像信号を変調したレーザー光等で静電潜像を形成した後、帯電したトナーで前記静電潜像を現像して可視化したトナー像とする。
【0003】
得られたトナー像は、中間転写体を介して、あるいは直接、記録紙等の被転写材に静電的に転写することにより所要の再生画像を得る。
特に、上記像担持体に形成したトナー像を中間転写体に一次転写し、さらに中間転写体上のトナー像を記録紙に二次転写する方式を採用したものでは、導電性または半導電性のバイアスロールを用いて記録媒体に記録紙を押圧し、電界を印加してトナー像を静電的に転写するバイアスロール方式の画像形成装置が知られている。
【0004】
上記方式を採用した画像形成装置が開示されている(例えば特許文献1又は2参照。)。
転写装置における二次転写部のバイアスロールとしては、アルミニウム製の金属ロールが用いられる(例えば、特許文献1参照。)。また、芯金とその外周面を被覆する次の弾性部材で構成されたバイアスロール(転写ロール)を使用した画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。前記弾性部材としては、導電剤を分散した体積固有抵抗を10〜1010Ωcmに設定したEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)からなる弾性体、または、厚さ50μmで体積固有抵抗を10〜10ΩcmのPFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)チューブを被覆した体積固有抵抗が10〜10Ωcmの、エピクロルヒドリンゴムが用いられている。
【0005】
上述した転写工程において、転写効率(転写画質)は、転写ロールと像担持体との間の接触形状、すなわちニップ幅の大きさとニップ幅の均一性に強く依存している。
【0006】
大きなニップ幅を確保するためには、ロール外径を大きくすることにより達成される。しかし、ロール径を大きくすると、製造コストが高くなるだけでなく、大きな配置スペースが必要となる欠点がある。また、ゴム硬度の低いロールを用いることにより大きなニップ幅を得ることができる。しかし、従来のNBRゴムやEPDMゴムにカーボンを添加した導電性ゴムは、導電性を高めるためにカーボンを添加するとゴム硬度が逆に高くなる特性があり、ゴム硬度を低くするには限界があった。
さらに、大きなニップ幅を得るには、感光ドラムに対して一層強い圧接力で転写ロール等を圧接することが考えられる。しかし、圧接力を強くすると、像担持体と転写ロールとの間の機械的な相互作用が無視できなくなり、摩耗や同期ずれ並びに像担持体表面の傷等の問題が生じてしまう。
【0007】
上記対策として、発泡弾性体を用いる方法があるが、この場合には発泡弾性体表面に発泡セルによる凹凸があるために、用紙がバイアスロールを通過してから次の用紙がバイアスロールに搬送される間に、中間転写体に残留したトナーがバイアスロ−ルに転移して、バイアスロ−ルを汚し、さらに、次の用紙の裏面に転移して、用紙の裏面を汚すなどの問題がある。
【0008】
この問題を解消するために、例えば、a)非転写時に、トナーが像坦持体に転移する方向の電界をバイアスロールと像坦持体との間に形成する方法、b)クリーニングブレード等によりバイアスロールをクリーニングする方法、などが提案されている。
【0009】
しかし、トナーが像坦持体に転移する方向の電界をバイアスロールと像坦持体との間に印加する、上記a)の方法は、バイアスロール表面にトナー凝集塊が存在している場合には、充分なクリーニング効果を発揮することができず、トナー凝集塊がない場合でも、充分にクリーニングするにはバイアスロールに高電界が必要となるので好ましくはない。
【0010】
一方、上記b)の方法は、バイアスロールがEPDMやウレタンゴム等の摩擦係数の大きいゴム材料で構成される場合には、ブレードの摺擦によって、バイアスロールを損傷したり、回転トルクが増大する等の理由により実用的ではない(例えば、特許文献2参照。)。
【0011】
用紙の裏汚れの防止対策として、EPDMや、ウレタンゴム等の弾性体にフッ素系樹脂をコーテングする方法がある。例えば、シリコンゴムやウレタンゴムなどの発泡弾性体表面がフッ素樹脂またはシリコン樹脂により、微細な斑状に部分的なコーテングされたバイアスロールが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、低湿度環境下での被帯電体の帯電不均一による網目状画像の発現防止を目的として、導電剤を配合した可溶性のフッ素樹脂により形成された導電膜層でEPDM等の発泡弾性体を被覆したバイアスロールが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。
【0012】
しかしながら、上記発泡弾性体は、いずれも表面に発泡セルの凹凸が残存しているために、表面層が低表面エネルギー状態となり、トナー付着が少ないフッ素系の樹脂をコーテングしても、クリーニングブレードによるスクレーブ作用を充分に発揮することができない等の問題があった。
【0013】
上記対策として、発泡弾性体に弾性体層を設け、更に表面層に、フッ素系の樹脂またはフッ素樹脂粒子を分散した樹脂組成物をコーテングしてなるバイアスロールが提案されている。しかし、上記バイアスロールは、3層構成となるために工数がかかり高価になる。また、発泡弾性体と弾性体層とを同時押出成型法で加工する方法があるが、この場合には、加工を容易にするために弾性体層の厚みを0.1mm以上とする必要がある。しかし、弾性体層が厚くなるに伴って、均一なニップ幅を得るために圧接力を強くすると、像担持体と転写ロールとの間の機械的な相互作用が無視できなくなり、摩耗や同期ずれ並びに像担持体表面の傷等が発生するなどの問題がある。更に、弾性体層の厚みを研磨などによって薄くした場合には、弾性体層の材料の強度不足により、ブレードめくれなどの問題が発生する場合がある。
【0014】
また、バイアスロールのクリーニング方式として、クリーニングブレード方式によるクリーニング方法が提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
しかし、いわゆる球形の重合トナーを使用した場合には、当該方法に使用されるウレタンブレードでは、クリーニング性能を確保することが困難であり、さらに、濃度制御用のパッチをバイアスロール上に形成して、濃度検出可能としたシステムに対しては、充分対応できないなどの問題が発生する場合がある。
【0015】
これに対して、硬質で平滑な転写ロール表面のクリーニング方法として、金属ブレードが有効であることを記載しているが(例えば、特許文献6参照。)、肝心の転写ロールに関する具体的な記述がない。
【0016】
また、転写ロールの従来技術としては、弾性体からなる第一の層とより高抵抗の樹脂からなる第二層を形成してなるものが開示されており(例えば、特許文献7参照。)、表面層の材料としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ナイロン樹脂をベースにしているが、このような樹脂材料に対して、金属ブレードを適用すると、非常に短期間で表面層に傷が発生し、クリーニング不良や濃度制御用パッチの検出不良に至る問題がある(例えば、特許文献6参照。)。
【0017】
上記したように、従来技術においては、少ない圧接力で大きな弾性変形量が均一に得られ、かつ球形の重合トナーを使用した場合でもクリーニング性能、特に金属ブレードによるクリーニング性能を確保することができ、経時での良質な画質を安定して得ることができるバイアスロールを提供することができない。
【0018】
【特許文献1】
特開平6−95521号公報
【特許文献2】
特開平6−124049号公報
【特許文献3】
特開平6−149097号公報
【特許文献4】
特開平6−175470号公報
【特許文献5】
特開平10−111628号公報
【特許文献6】
特開平6−324583号公報
【特許文献7】
特開平3−202885号公報
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、少ない圧接力で大きな弾性変形量が均一に得られ、かつ球形の重合トナーを使用した場合でも、クリーニング性能を確保することができるバイアスロールを提供し、さらにそのバイアスロールを用いた、安定的に高画質を得ることのできる画像形成装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
<1>金属のロール軸と、前記ロール軸の外周面に設けられた連続気泡を有する導電性弾性層と、接着層を介さずに前記導電性弾性層の外周面を被覆する導電性チューブとを有するバイアスロールであって、前記ロール軸と前記導電性弾性層とが前記導電性チューブの内側に圧入され、前記導電性弾性層の弾性反発力が前記導電性チューブの内側表面に常時作用するように構成されていることを特徴とするバイアスロールである。
【0021】
<2>前記導電性弾性層表面と前記導電性チューブの内側表面との間の静止摩擦係数が3以下であることを特徴とする<1>に記載のバイアスロールである。
【0022】
<3>前記導電性弾性層の弾性反発力が0.01〜0.1MPa(0.001〜0.01kgf/mm)であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のバイアスロールである。
【0023】
<4>前記導電性チューブに圧入する前の前記導電性弾性層の外側半径rと、前記導電性チューブの内側半径rとの関係が、下記式1を満たすことを特徴とする<1>乃至<3>のいずれか1つに記載のバイアスロ−ルである。
【0024】
0.99r > r >0.95r   (式1)
【0025】
<5>前記導電性チューブのヤング率が300kg/cm以上であることを特徴とする<1>乃至<4>のいずれか1つに記載のバイアスロールである。
【0026】
<6>前記導電性チューブの厚みが0.02〜0.08mmであることを特徴とする<1>乃至<5>のいずれか1つに記載のバイアスロ−ルである。
【0027】
<7>前記導電性チューブの表面微小硬度が18以上であることを特徴とする<1>乃至<6>のいずれか1つに記載のバイアスロ−ルである。
【0028】
<8>前記導電性チューブが、ポリイミド樹脂であることを特徴とする<1>乃至<7>のいずれか1つに記載のバイアスロ−ルである。
【0029】
<9>少なくとも像担持体と、前記像坦持体表面を均一に帯電する帯電装置と、帯電した前記像坦持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記トナー像を転写体に転写する転写装置とを備える画像形成装置であって、前記転写装置を構成する転写ロールが、<1>乃至<8>のいずれか1つに記載のバイアスロールであることを特徴とする画像形成装置である。
【0030】
<10>前記転写ロール表面に金属ブレードが当接配置された<9>に記載の画像形成装置である。
【0031】
<11>前記金属ブレードの前記転写ロール表面への食込み量が0.1〜2.0mmであることを特徴とする<9>又は<10>に記載の画像形成装置である。
【0032】
<12>前記金属ブレードの前記転写ロール表面への接触角が15〜45°であることを特徴とする<9>乃至<11>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0033】
<13>前記トナーが、形状係数が130以下の球形トナーであることを特徴とする<9>乃至<12>のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
【0034】
【発明の実施の形態】
(バイアスロール)
本発明のバイアスロールは、金属のロール軸と、前記ロール軸の外周面に設けられた連続気泡を有する導電性弾性層と、接着層を介さずに前記導電性弾性層の外周面を被覆する導電性チューブとを有するバイアスロールであって、前記ロール軸と前記導電性弾性層とが前記導電性チューブの内側に圧入され、前記導電性弾性層の弾性反発力が前記導電性チューブの内側表面に常時作用するように構成されていることを特徴とする。
【0035】
バイアスロールの導電性弾性層と導電性チューブとの間で生ずるスリップを防止する必要のある場合、必要に応じて接着層を介在させて両者を接着させることがある。しかし、一般的に接着層が介在すると当該部分が硬くなる傾向にあり、接着層の厚みムラ、接着強度のバラツキによって、接着層が介在する部位が周囲より硬くなり、ロールの硬度が局部的に変化する可能性がある。このようなバイアスロールを備えた画像形成装置では、安定に高画質を得ることが困難な場合がある。
しかし、前記問題は、表面の導電性チューブが接着層を介さずに導電性弾性層の外周面を被覆する構造である本発明のバイアスロールを用いることにより解決される。
【0036】
−導電性弾性層−
本発明のバイアスロールは、導電性弾性層と導電性チューブとの2層構成からなり、内部の導電性弾性層には、連続気泡を有する連泡形のゴムが用いられる。連泡形のゴムは、圧縮された場合内部の気泡の体積は自由に減少でき、中間転写体などに圧接した場合ゴム材料自体の圧縮弾性力だけしか作用せず気泡の圧縮変形による弾性反発力が小さいため、ロールとしての弾性反発力を大幅に低くすることができ、さらにロール硬度を低くすることが可能となる。
【0037】
前記連泡形のゴム材料としては、現在バイアスロールのゴム材料として広く使用されているウレタンゴム、シリコンゴム、EPDMゴム、NBRゴム、ECOゴム等のゴム材料を用いることができる。
【0038】
前記ゴム材料には、所望の電気抵抗値を得るために、必要に応じて、電子伝導性導電剤またはイオン伝導性導電剤が添加される。
前記電子伝導性導電剤としては、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウム、ニッケル、銅合金などの金属または合金、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸カリム、酸化錫−酸化インジウムまたは酸化錫−酸化アンチモン複合酸化物などの金属酸化物などが挙げられる。
前記イオン伝導性導電剤としては、スルホン酸塩やアンモニア塩など、また、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの各種の界面活性剤が挙げられる。さらには、導電剤として導電性ポリマーをブレンドする方法があり、前記導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどをあげることができる。これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、またはドープ状態で用いることができる。上記導電剤または、界面活性剤を1種または2種以上を組み合わせて用いるにより、前記した電気抵抗値を安定して得ることができる。本発明においては、低いロール硬度のバイアスロールを得るために、イオン伝導性導電剤が用いられることが好ましい。
【0039】
ゴム材料中にカーボンを添加すると、ゴム材料自体の硬度が高くなってしまい、低ロール硬度のロールを実現するには限界がある。例えば、EPDMゴムやNBRゴムのようにロール強度を確保するためカーボン等の補強材を添加した場合、ゴム硬度自体が高いため、導電性弾性層表面に導電性チューブを被覆する際に、チューブの被覆作業が困難なもとなってしまう場合がある。このため、本発明では、ゴム材料として、導電剤としてイオン伝導性導電剤を添加してなるウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴムなどが好ましく用いられる。
この結果、バイアスロールに加工した場合、バイアスロールのゴム材質が極めて軟質であり、ゴム硬度が大幅に低くかつ優れた柔軟性を有するバイアスロールを実現することができ、例えばアスカC硬度で10〜40°付近のゴム硬度の導電性弾性層を容易に製造することができる。
これらの理由により、本発明では、導電性弾性層として、連泡形のゴム材料を用い、好ましくはイオン伝導性導電剤の添加されたイオン伝導型の連泡形のゴム材料を用いるものである。
【0040】
前記導電性弾性層に分散させる導電剤の添加量は、連泡形のゴム材料100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは、10〜30質量部とする。5質量部未満の場合には、所望の電気抵抗を安定して得ることができない、50質量部を超える場合には、所望の電気抵抗、ロール硬度を安定して得ることができないなどの問題が生じる場合がある。
前記導電剤を分散させる方法としては、加圧ニーダー、バンバリーミキサー、2本ロール、3本ロール等の方法を適用できる。
【0041】
前記導電性弾性層の厚みは、1〜20mmが好ましく、3〜10mmがより好ましい。1mm未満であるとニップ部におけるニップ圧での変形が少ないために、ニップの安定した形成ができないなどの問題が発生することがある。また、20mmを超える場合には、バイアスロールの外径が40mmより大きくなるために、装置のサイズがおおきくなり、コストアップになるなどの問題が生じる。
【0042】
−導電性チューブ−
本発明のバイアスロールは、導電性チューブにより被覆される。
前記導電性チューブは、バイアスロールの用途に応じて種々の特性のチューブを用いることができる。
本発明に用いられる導電性チューブの厚みは、0.02〜0.08mmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.03〜0.06mmの範囲である。
厚みが0.02mm未満の場合には、厚みが薄いために生ずる強度不足により、金属ブレードによる表面のクリーニングの際のブレードめくれなどの問題が発生する場合がある。また、0.08mmを超える場合には、導電性弾性層の変形に追随させるための圧力が大きくなるなどの問題が生じる場合がある。
なお、導電性チューブの膜厚の測定は、渦電流式の膜厚計(フィッシヤー社製MP30)を用いて容易に行うことができる。
【0043】
前記導電性チューブのヤング率は、300kg/cm以上が好ましく、
特に400kg/cm以上が好ましい。導電性チューブのヤング率が300kg/cm以上であると、金属ブレードによる表面のクリーニングの際のブレードめくれなどの問題は発生しない。
【0044】
前記導電性チューブ表面の表面微小硬度は、18以上であることが好ましく、特に25以上であることが好ましい。前記表面微小硬度が18以上であることによって、本発明のバイアスロールを備えた画像形成装置が球形トナーを使用する場合に、前記バイアスロールをクリーニングするために金属ブレードを用いても、前記バイアスロール表面の磨耗を避けることができる。
【0045】
前記表面微小硬度は、島津ダイナミック超微小硬度計DUH 201Sにて、稜線角度115°による三角錐圧子を用い、試験荷重2.0gf(19.6mN)、負荷速度0.0145gf(0.1421mN)/secによる測定条件下での測定値で規定される。
【0046】
前記導電性チューブの材料としては、例えば、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルファイド、ポリエーテルイミド、ポリアリレートなどの樹脂材料を用いることができる。
これらの中では、強度、耐熱性、寸法安定性の観点からポリイミドが特に好ましい。
より具体的なポリイミド樹脂材料としては、例えば、ポリピロメリット酸イミド系のポリイミド樹脂材料、ポリビフェニルテトラカルボン酸イミド系樹脂材料などの熱硬化性樹脂、ポリベンゾフェノンテトラカルボン酸イミド系樹脂材料、ポリエーテルイミド樹脂などの熱可塑性ポリイミド樹脂をあげることができる。
【0047】
また、前記ヤング率と表面微小硬度との要求を満足すれば、無機系の充填材を添加してなる樹脂組成物を導電性チューブの材料として用いることが可能である。より具体的には、耐摩耗性に向上効果のある無機系の充填材として、層状構造をもつ二硫化モリブデン、マイカ、板状形態をもつグラファイト、窒化ホウ素、チタン酸カリウム繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化けい素繊維などの繊維形状の充填材料などをあげることができる。
前記無機系の充填材を添加されることが可能な樹脂材料としては、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネイト、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアミドなどの熱可塑性樹脂をあげることができる。
【0048】
導電性チューブに添加される導電剤としては、30℃、85%RHの高温高湿の環境と、10℃、15%RHの低温低湿の環境で、電気抵抗値の変動が少ないことを考慮し、電子伝導により導電性を発現する電子伝導性導電剤を用いるのが好ましい。
前記電子伝導性導電剤のpHは、pH5.0以下が好ましく、より好ましくはpH4.0以下である。電子伝導性導電剤のpHが5.0以下であると、表面に付着する酸素含有官能基の効果により、導電性チューブの材料中への分散性が向上し、導電性弾性層の抵抗バラツキを小さくすることができるとともに、電界依存性も小さくなり、転写電流による電界集中が起きずらくなる、また、環境による抵抗変化を少なくすることができる。
【0049】
電子伝導性導電剤としては、pH5.0以下のカーボンブラック(以下、「酸性カーボンブラック」ということがある。)があげられる。
前記酸性カーボンブラックには、必要に応じ、酸化処理することで、表面にカルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等を付与してもよい。前記酸化処理の方法としては、高温雰囲気下で、空気と接触して反応させる空気酸化法、常温下で窒素酸化物やオゾンと反応させる方法、高温下での空気酸化後、低温でオゾン酸化する方法、等をあげることができる。具体的には、酸性カーボンブラックは、コンタクト法により製造することができる。このコンタクト法としては、チャネル法、ガスブラック法等が挙げられる。
【0050】
また、酸性カーボンブラックは、ガスまたはオイルを原料とするファーネスブラック法により製造することもできる。必要に応じて、これらの処理を施した後、硝酸などで液相酸化処理を行ってもよい。ファーネス法では通常、高pH・低揮発分のカーボンブラックしか製造されないが、これに前記液相酸処理を施してpHを調整することができる。このためファーネス法製造により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHを調節することができる。このため、ファーネス法により得られるカーボンブラックで、後工程処理によりpHが5以下となるように調節された酸性カーボンブラックも本発明に好適に用いることができる。
【0051】
カーボンブラックのpHは、カーボンブラックの水性懸濁液を調整し、ガラス電極で測定することで求めることができる。酸性カーボンブラックのpHは、酸化処理工程での処理温度、処理時間等の条件によって、適宜調整することができる。
【0052】
酸性カーボンブラックは、その揮発分が1〜25質量%、好ましくは2〜20質量%、より好ましくは、3.5〜15質量%含まれていることが好適である。前記揮発分が1質量%未満である場合には、表面に付着する酸素含有官能基の効果がなくなり、導電性チューブの材料となる樹脂への分散性が低下することがある。一方、25%より高い場合には、導電性チューブの材料となる樹脂に分散させる際に分解してしまったり、或いは、表面の酸素含有官能基に吸着された水などが多くなるなどによって、得られる成形品の外観が悪くなるといった問題が生じることがある。従って、前記揮発分を前記範囲とすることで、樹脂中への分散をより良好とすることができる。
前記揮発分は、カーボンブラックを950℃で7分間加熱したときに発生する有機揮発成分(カルボキシル基、キノン基、ラクトン基、水酸基等)の割合により求めることができる。
【0053】
酸性カーボンブラックとして具体的には、キャボット社の「REGAL 400R」(pH4.0,揮発分3.5%)、「MONARCH 1300」(pH2.5,揮発分9.5%)、デグサジャパン社の「Color Black FW200」(pH2.5、揮発分20%)、「SPECIAL BLACK 4」(pH3.0%、揮発分14%)、「PRINTEX150T」(pH4.0、揮発分10%)、「PRINTEX140T」(pH5.0、揮発分5%)、「PRINTEX U」(pH5.0、揮発分5%)、等が挙げられる。なお、酸性カーボンブラックは、主たる導電性を発現させる電子伝導性フィラーとして用いておれば、単独で用いても他のカーボンブラックと併用してもよい。
【0054】
前記導電剤の添加量は、導電性チューブの材料となる樹脂100質量部に対して、好ましくは5〜40質量部、より好ましくは。10〜30質量部とする。5質量部未満または40質量部を超えると、所望の電気抵抗を安定して得ることができない場合がある。
前記導電剤を分散させる方法としては、ボ−ルミル、アトライター、サンドミル、加圧ニーダー、バンバリミキサー、2本ロール、3本ロール、エクストルーダー等の方法を適用できる。
【0055】
−ロール軸−
ロール軸は、バイアスロールの電極および支持部材として機能する円柱状の金属性部材であり、その材質として例えば、アルミニウム、鉄、銅合金、SUS等の金属合金又はその表面をクロム、ニッケル等でメッキ処理した金属等の導電性を有する公知のものが挙げられる。
前記ロール軸の外径は、通常6〜20mmの範囲にあるのが好ましい。
前記ロール軸の外周面に、少なくとも導電性弾性層及び導電性チューブが配される。
【0056】
本発明のバイアスロールにおいては、内側の導電性弾性層と外側の導電性チューブとの間の電気的接続が重要な課題である。すなわち、導電性チューブと導電性弾性層との間の電気的接続が不十分であると、不所望な接触抵抗が発生するおそれがある。
そのため、本発明のバイアスロールは、前記ロール軸と前記導電性弾性層とが前記導電性チューブの内側に圧入され、前記導電性弾性層の弾性反発力が前記導電性チューブの内側表面に常時作用するように構成されてなる。
すなわち本発明においては、圧入前の導電性弾性層の外径寸法を導電性チューブの内径寸法よりも大きく設定し、導電性弾性層を導電性チューブの内側に圧入する。これにより、導電性弾性層の弾性反発力が導電性チューブの内側表面に常時作用するため、導電性弾性層と導電性チューブとの間の接触面積及び接触抵抗が安定し、この結果電気的に安定した性能のバイアスロールを実現することができる。
【0057】
本発明のバイアスロールにおいては、前記導電性チューブに圧入する前の前記導電性弾性層の外側半径rと、前記導電性チューブの内側半径rとの関係が、下記式1を満たすことが好ましい。
【0058】
0.99r > r >0.95r   (式1)
【0059】
前記式1を満たすように導電性弾性層の外側半径rと導電性チューブの内側半径rとを設定すれば、安定した電気的特性を得ることができると共に、導電性チューブに座屈等の不具合が生ずることなく比較的容易な装着作業により導電性チューブ内にロール軸と導電性弾性層とを圧入することができる。
【0060】
前記導電性弾性層の弾性反発力は、0.01〜0.1MPa(0.001〜0.01kgf/mm)であることが好ましく、特に0.014〜0.07MPa(0.0014〜0.0071kgf/mm)であることが好ましい。弾性反発力が、0.01MPa未満の場合には、被覆した導電性チューブがウオークして、前記導電性弾性層より外れてくる場合があり、0.1MPaを超える場合には、導電性弾性層の表面を導電性チューブで覆い、固定する作業が困難になる場合がある。また、弾性反発力が前記範囲であれば、バイアスロールに安定した電気的特性を付与することができる。
前記弾性反発力は、引き抜きトルクより数値化することができる。
【0061】
前記導電性弾性層表面と前記導電性チューブの内側表面との間の静止摩擦係数は、3以下であることが好ましく、特に2以下であることが好ましい。静止摩擦係数が3を超える場合は、導電性弾性層の表面を導電性チューブで覆い、固定する作業が困難になる場合がある。
前記静止摩擦係数は、ポリイミドシート上に、導電性弾性層を外周面に設けたロール軸を置き、徐々にポリイミドシートを傾け、前記ロール軸が滑りだす角度のtanより求めることが可能である。
【0062】
−バイアスロールの製造方法−
本発明のバイアスロールは、少なくとも、金属のロール軸の外周に導電性弾性層を形成してなる成形物を得た後、前記成形物を導電性チューブ内に圧入し、前記導電性弾性層の外周面を前記導電性チューブで被覆することにより製造される。
低ロール硬度及び低弾性反発力を達成するため、本発明では、導電性弾性層の材料としてイオン伝導性導電剤を添加してなるウレタンゴムスポンジ又はエピクロルヒドリンゴムなどが好ましく用いられる。
これらイオン伝導性導電剤を添加してなるウレタンゴムスポンジ又はエピクロルヒドリンゴムは、補強材が含まれていないため、優れた柔軟性を有している。従って、前記導電性チューブ内に前記成形物を挿入する際に、導電性弾性層自体が容易に変形し、この結果、真空装置を用いることなく容易に、導電性チューブ内に前記成形物を圧入することができる。そのため、チューブの被覆作業が極めて容易になる。
【0063】
前記導電性弾性層の外周面に導電性チューブを被覆・固定する方法は特に限定されない。
前記方法の例としては、導電性チューブの内側半径をrとした場合に、導電性弾性層の外側半径rが下記式1を満足する成形物を用いて、導電性チューブの内側に空気などの流体を圧入して、導電性チューブを膨らませた状態として、この状態で導電性チューブの内側に前記成形物を挿入し、その後、前記流体の圧入を停止させて導電性チューブを収縮することで、挿入・固定する方法が挙げられる。
【0064】
0.99r > r >0.95r   (式1)
【0065】
他の方法としては、前記成形物を冷却することにより導電性弾性層の外側半径を導電性チューブの内側半径よりも一時的に小さくした状態とし、この状態で前記成形物を導電性チューブの内側に圧入する方法を適用することができる。
【0066】
導電性チューブの内側半径rが0.99rより大きい場合には、導電性チューブの内側表面に導電性弾性層の弾性反発力が作用しなくなり、導電性弾性層と導電性チューブの間のスリップを防止することができなくなる。また、rが0.95rより小さい場合には、前述した方法による前記成形物の挿入が難しい場合がある。
【0067】
図1に本発明のバイアスロールの一例の断面図を示す。図1に示すように本発明のバイアスロールは、円柱形状の金属のロール軸51の外周に、円筒形の導電性弾性層52および導電性チューブ53が順次設けられた構成を有する。
なお、ロール軸51と導電性弾性層52との間には、必要に応じて接着層を設けてもよい。
【0068】
本発明のバイアスロールは、画像形成装置を構成する転写装置における転写ロールとして用いることができる。
転写ロールは画像形成装置を構成する像担持体に対して圧接され所定のニップ幅が形成される。また、トナーの転写効率はニップ幅に対応している。従って、転写ロールと像担持体との間に不均一なニップ幅が形成されると、転写ムラが生じてしまう。
弾性反発力が弱く低硬度である本発明のバイアスロールは安定したニップ幅を得ることができるため、転写ロールとして好適に用いることができる。
また、安定したニップ幅を得ることを要求される帯電ロールとして本発明のバイアスロールを用いることも好ましい。
【0069】
本発明のバイアスロールを転写ロール等として用いる場合、バイアスロールのロール硬度は、アスカCで20°〜70°であることが好ましく、30°〜60°であることがより好ましい。
ロール硬度が20°未満の場合には、バイアスロールのクリーニングブレードによる変形が大きくなり、その変形が転写部のニップ形状に影響を及ぼし安定してニップ幅を得ることができなくなる。また、用紙がバイアスロールと対抗するロール側に沿って剥離するなどの問題が生じる場合がる。
ロール硬度が70°を超えると、転写部で、2mmから4mmのニップ幅を得るためのニップ圧が大きくなり、転写部でのバイアスロールによる押圧力の荷重が集中することになり、ライン画像が中抜けするなどの画質欠陥が発生する場合がある。尚、転写部で、2mmから4mmのニップ幅を得るためのニップ圧を0.3kg/cmから0.6kg/cmの範囲であると転写画質は良好である。
【0070】
本発明のバイアスロールを転写ロール等として用いる場合、バイアスロールの体積抵抗値は、10〜10Ωの範囲であることが好ましく、106.5〜108.5Ωの範囲であることがより好ましい。
バイアスロールの体積抵抗値が、10Ωより低い場合には、単色のみを転写する場合に、転写電界が低くなり、転写不良が発生する。10Ωより高い場合には、一定の転写電界を得るために高電圧を印加する必要があり、高圧電源が必要となり、10℃15%RHの低温低湿環境において、ポストニップ部での剥離放電がおき易くなることにより、白点抜けなどの画質欠陥が発生する。
【0071】
バイアスロールの体積抵抗値(Rv)は、図2に示すようにバイアスロール54を金属板などの導電体55上において、バイアスロールの両端部に各500gの荷重をかけて、バイアスロールに1.0KV(V)の電圧を印加して、10秒後の電流値I(A)を読み取り、下記式2から求める。
【0072】
Rv=V/I   (式2)
【0073】
本発明のバイアスロールを画像形成装置内の転写ロールや帯電ロールとして用いる場合、転写ロールや帯電ロールの表面に金属ブレードが当接配置された態様で用いられてもよい。
特に、前記バイアスロールを被覆する導電性チューブが、ポリイミド樹脂等の表面微小硬度が18以上の樹脂チューブからなる場合には、耐磨耗性に優れているので、金属ブレードを用いてクリーニングすることができる。さらに、クリーニング装置として、金属ブレードを適用することにより、トナーとして球形トナーを用いた場合においても、バイアスロール表面に付着した球形トナーを効果的にクリーニングすることができる。
【0074】
前記球形トナーとは、その形状係数(ML/A)が、130以下であることを意味し、ここで、前記形状係数(ML/A)は、下記式3で規定される係数である。
【0075】
【数1】
Figure 2004109923
【0076】
なお、トナー粒子の絶対最大長、および、トナー粒子の投影面積の測定は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いてスライドガラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、画像処理することにより実施した。
【0077】
(画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、少なくとも像担持体と、前記像坦持体表面を均一に帯電する帯電装置と、帯電した前記像坦持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記トナー像を転写体に転写する転写装置とを備える画像形成装置であって、前記転写装置を構成する転写ロールが、本発明のバイアスロールであることを特徴とする。
前記転写装置としては、前記像坦体上に形成されたトナー像を一旦中間転写体に転写し、さらに前記中間転写体上のトナー像を記録媒体に転写する転写装置であることが好ましい。
【0078】
本発明の画像形成装置としては、転写ロールとして用いられる本発明のバイアスロールの表面に金属ブレードが当接配置されていることが好ましい。前記金属ブレードは、クリーニングブレードとして用いられる。
【0079】
前記金属ブレードの転写ロール表面への食込み量は、0.1〜2.0mmであることが好ましく、特に0.2〜1.0mmであることが好ましい。食込み量が0.1mm以上であることにより、転写ロール表面に付着した前述の球形トナーを効果的にクリーニングすることができる。食込み量が2.0mmを超える場合には、長期間の使用をした場合には、転写ロール表面の樹脂チューブの表面を傷つけてしまいクリーニング不良を発生させるなどの問題を発生させる場合がある。
【0080】
前記金属ブレードの転写ロール表面への接触角は、15〜45°であることが好ましく、特に20〜40°が好ましい。接触角が15〜45°であることにより、転写ロール表面に付着した前述の球形トナーを効果的にクリーニングすることができる。
【0081】
前記金属ブレードの材質は特に限定されないが、例えば、SUS又はりん青銅等が挙げられる。この中でも特に、SUSが好ましい。
【0082】
本発明の画像形成装置に用いられるトナーは、球状係数が130以下の球形トナーであることが好ましい。トナーとして球形トナーを用いることにより、現像性及び転写性を向上させることができる。
【0083】
以下、本発明の画像形成装置を図を用いて説明する。ただし、本発明の画像形成装置は以下に説明する構成のみに限定されるものではない。
図3は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
図3に示す画像形成装置は、像担持体としての感光体ドラム1、中間転写体としての中間転写ベルト2、転写電極である転写ロール3(第二転写手段)、記録媒体である記録紙を供給する用紙トレー4、Bk(ブラック)トナーによる現像装置5、Y(イエロー)トナーによる現像装置6、M(マゼンタ)トナーによる現像装置7、C(シアン)トナーによる現像装置8、中間転写体クリーナー9、剥離爪13、ベルトロール21、23及び24、バックアップロール22、導電性ロール25(第一転写手段)、電極ロール26、転写ロール3表面に当接配置された金属ブレードからなるクリーニングブレード31、記録紙41、ピックアップロール42及びフィードロール43を有し、転写ロール3に本発明のバイアスロールが用いられる。
【0084】
図3において、感光体ドラム1は矢印A方向に回転し、図示しない帯電装置でその表面が一様に帯電される。帯電された感光体ドラム1にレーザー書込み装置等の静電潜像形成装置により第一色(例えば、Bk)の静電潜像が形成される。この静電潜像はブラック現像装置5によってトナー現像されて可視化されたトナー像Tが形成される。トナー像Tは、感光体ドラム1の回転で導電性ロール25(第一転写手段)が配置された一次転写部に到り、導電性ロール25からトナー像Tに逆極性の電界を作用させることにより、上記トナー像Tは、静電的に中間転写ベルト2に吸着されつつ中間転写ベルト2の矢印B方向の回転で一次転写される。
【0085】
以下、同様にして第2色のトナー像、第3色のトナー像、第4色のトナー像が順次形成され、中間転写ベルト2において重ね合わされ、多重トナー像が形成される。中間転写ベルト2に転写された多重トナー像は、中間転写ベルト2の回転で転写ロール3(第二転写手段)が設置された二次転写部に到る。
二次転写部は、中間転写ベルト2のトナー像が担持された表面側に設置された転写ロール3と中間転写ベルト2の裏側から転写ロール3に対向するように配置されたバックアップロール22及びバックアップロール22に圧接して回転する電極ロール26から構成される。
【0086】
記録紙41は、用紙トレー4に収容された記録紙束からピックアップロール42で一枚ずつ取り出され、フィードロール43で二次転写部の中間転写ベルト2と転写ロール3との間に所定のタイミングで給送される。
給送された記録紙41は、転写ロール3及びバックアップロール22による圧接搬送と中間転写ベルト2の回転により、中間転写ベルト2に担持されたトナー像が転写される。
【0087】
トナー像が転写された記録紙41は、最終トナー像の一次転写終了まで退避位置にある剥離爪13を作動せることにより中間転写ベルト2から剥離され、図示しない定着装置に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。尚、多重トナー像の記録紙41への転写の終了した中間転写ベルト2は、二次転写部の下流に設けた中間転写体クリーナ9で残留トナーの除去が行われて次の転写に備える。また、転写ロール3には、クリーニングブレード31が常時当接するように取り付けられており、転写で付着したトナー粒子や紙紛等の異物が除去される。
【0088】
単色画像の転写の場合、一次転写されたトナー像Tを直ちに二次転写して定着装置に搬送するが、複数色の重ね合わせによる多色画像の転写の場合、各色のトナー像が一次転写部で正確に一致するように中間転写ベルト2と感光体ドラム1との回転を同期させて各色のトナー像がずれないようにする。
上記二次転写部では、転写ロール3と中間転写ベルト2を介して対向配置したバックアップロール22に圧接した電極ロール26に、トナー像の極性と同極性の出圧(転写電圧)を印加することで、該トナー像を記録紙41に静電反発で転写する。
【0089】
転写ロール3として本発明のバイアスロールを用いることにより、安定的で高画質の転写画像を得ることが可能となる。
【0090】
【実施例】
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0091】
〔実施例1〕
(導電性弾性層の形成)
ロール軸への導電性弾性層の形成は以下の方法により行った。
エチレンオキサイド基を含有することで、イオン伝導性が高いエピクロルヒドリンゴム(ECO:エピクロマーCG−102:ダイソ−社製)70質量部とアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR:ニポールDN−219:日本ゼオン社製)30質量部とを混合し、これに発泡加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製 200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製 ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤としてベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを添加してオープンロールで混練りした混合物をφ10mmのSUS製のロール軸に巻き付け、160℃で20分間プレス加硫発泡させることにより5mm厚の導電性弾性層を形成した。成形物の体積抵抗値は、7.9logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で、35°であった。ロール外径は、20.45mmであった。
【0092】
(導電性チューブの形成)
導電性チューブは、宇部興産(株)製の耐熱皮膜用ポリイミドUワニスAに酸性カーボンブラック(デグサジャパン(株)製/Special Black 4:pH3.5)を分散させて体積抵抗値が10〜10Ωになるように濃度調整をした塗液を円筒形金型の外周に塗布し、乾燥、硬化して作製した樹脂チューブである。導電性チューブの膜厚は40μm、内径は20.25mmであった。導電性チューブの表面微小硬度は19であった。
【0093】
(バイアスロールの作製)
予め加工した導電性チューブの内部に空気等の流体を注入した状態とし、導電性チューブ内部に前記成形物の先端を挿入することで、ロール軸の表面に形成された導電性弾性層を流体と共に導電性チューブ内に挿入することによりバイアスロールを作製した。このバイアスロールの体積抵抗値は、8.0logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で52°、ロール外径は、20.33mmであった。
【0094】
(評価)
実施例1のバイアスロールの▲1▼ウォーク評価、▲2▼転写性(転写ラチチュード)、▲3▼転写画質ムラ、▲4▼初期のクリーニング性、▲5▼ランニング後の表面キズの発生(クリーニング不良が発生)を測定した。さらに、▲6▼バイアスロールの総合評価を行った。結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法を以下に示す。
【0095】
−ウォーク評価−
バイアスロールに金属ブレード(SUS304、厚み:0.1mm)を接触角が25°、食込み量0.6mmで当て付けたユニットを使用した。該ユニットを形状係数(ML/A)が130以下の球形トナーを用いた画像形成装置に取り付け、30K枚の画像サンプルを出力し、ウォーク(導電性チューブのロール軸方向のズレ)、初期のクリーニング性の評価を行った。
【0096】
ウォーク評価判定
○ : 導電性チューブのウォーク無
△ : システム上使用に問題ないレベルでのウォーク有
× : システム上使用できないレベルのウォーク有
【0097】
−初期のクリーニング性−
1k枚通紙後のクリーニング性を評価した。
評価指標は以下の通りである。
○ : クリーニング問題無
× : クリーニング問題有
【0098】
−転写性(転写ラチチュード)−
転写性は、図3に示す画像形成装置を使用し、実際に印刷を行って評価した。
PK色(イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色 4色の混色)の転写性が得られる転写電流(下限の電流値)とK色(黒色)のリトランスファーに問題がない転写電流(上限の電流値)の範囲が2μA以上である場合を転写性ありと判定した。評価指標は以下の通りである。
○ : 転写電流の範囲が2μA以上
× : 転写電流の範囲が2μA未満
【0099】
−転写画質(画質デフェクト)−
転写画質は、図3に示す画像形成装置を使用し、実際に印刷を行って評価した。
PK色の濃度30%の画質濃度で画質デフェクト(濃度むら)によって判定した。評価指標は以下の通りである。
○ : 画質デフェクト なし
× : 画質デフェクト あり
【0100】
−表面キズの発生−
図3に示す画像形成装置を使用し、30k枚相当までのランニング後において、バイアスロールの表面のキズの発生を、クリーニング不良の発生の有無で判定した。
○ : 表面にキズの発生 なし(クリーニング良好)
× : 表面にキズの発生 あり(クリーニング不良が発生)
【0101】
−総合評価−
バイアスロールの総合評価の基準は以下の通りである。
○ : 使用上の問題なし
× : 使用上の問題あり
【0102】
〔実施例2〕
実施例1と同じ導電性チューブを用い、実施例1と同じ材料構成で、外径20.55mmの成形物を用い、実施例1と同様の方法で圧入することにより実施例2のバイアスロールを形成した。実施例2のバイアスロールの体積抵抗値は、8.0logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で55°、ロール外径は、20.33mmであった。実施例2のバイアスロールを用いて実施例1と同様の評価を行った。
【0103】
〔実施例3〕
実施例1と同じ導電性チューブを用い、実施例1と同じ材料構成で、外径21.32mmの成形物を用い、実施例1と同様の方法で圧入することにより実施例3のバイアスロールを形成した。実施例3のバイアスロールの体積抵抗値は、8.0logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で60°、ロール外径は、20.33mmであった。実施例3のバイアスロールを用いて実施例1と同様の評価を行った。
【0104】
〔実施例4〕
導電性チューブとして、以下の方法によって形成した表面微小硬度18のポリエーテルイミド系樹脂のチュ−ブを用いた。
熱可塑性ポリイミド樹脂のポリエーテルイミド樹脂(日本ジ−イ−プラスチックス(株)製:ウルテム1010)を用い、ポリエーテルイミド樹脂100質量部に、pH4.5の酸性カーボンブラック(デグサジャパン社のPrintex140T)を21質量部添加して、バンバリーミキサーで予備混練後、更に2軸押出機でポリエーテルイミド樹脂にカーボンブラックを混練して、カーボンブラックを21質量部を含有してなるポリエーテルイミド樹脂ペレットを得る。この樹脂ペレットを1軸押出機を用いて、内径20.21mm、厚さ0.08mmのチューブ形状に押出成形した。
実施例1と同じ材料構成で、外径20.40mmの成形物を用い、実施例1と同様の方法で圧入することにより実施例4のバイアスロールを形成した。実施例4のバイアスロールの体積抵抗値は、8.1logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で60°、ロール外径は、20.33mmであった。実施例4のバイアスロールを用いて実施例1と同様の評価を行った。
【0105】
〔比較例1〕
導電性チューブとして、内径30mm、膜厚は50μm、表面微小硬度は8のPFA製の導電性熱収縮チューブ(グンゼ(株)製)を使用した。前記PFAチューブに実施例1と同じ材料構成で、外径が20.25mmの成形物を挿入し、120℃で、10min加熱処理して比較例1のバイアスロールを作製した。比較例1のバイアスロールの体積抵抗値は、8.0logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で45°、ロール外径は、20.33mmであった。比較例1のバイアスロールを用いて実施例1と同様の評価を行った。
【0106】
〔比較例2〕
導電性チューブとして、内径20.12mm、膜厚は100μm、表面微小硬度は12の導電性ナイロンチューブを使用した。SUS製のロール軸の表面にウレタンゴムスポンジロールを用いて導電性弾性層を形成して成形物を得た。導電性弾性層の表面にナイロン系の接着材を塗布し、接着層を部分的に形成した後、成形物を導電性チューブに圧入することにより比較例2のバイアスロールを作成した。成形物の圧入方法は実施例1と同様の方法を用いた。比較例2のバイアスロールの体積抵抗値は、8.1logΩ、ロール硬度は、アスカC硬度で55°、ロール外径は、20.33mmであった。比較例2のバイアスロールを用いて実施例1と同様の評価を行った。
【0107】
実施例1、2、3及び4並びに比較例1及び2のバイアスロールの表面のヤング率、バイアスロールの▲1▼ウォーク評価、▲2▼転写性(転写ラチュチュード)、▲3▼転写画質ムラ、▲4▼初期のクリーニング性、▲5▼ランニング後の表面キズの発生(クリーニング不良が発生)及び▲6▼バイアスロールの総合評価の評価結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
Figure 2004109923
【0109】
比較例1は、初期の段階では、転写性、クリーニング性の問題はないが、1k枚相当のランニングによって、導電性チューブと導電性弾性層との緊迫力不足、導電性チューブの強度不足により、金属ブレードとの圧接力によって、表面層がにしわが発生し、クリーニング不良、転写不良が発生した。
【0110】
比較例2は、導電性チューブと導電性弾性層との間に用いた接着剤による部分的なしこりがあり、転写画質不良が、発生した。また、30k枚相当のランニングによって、金属ブレードとの摩擦摩耗による導電性チューブの膜減りが発生し、クリーニング不良が起こった。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、安定的に高画質を得ることのできる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイアスロールの一例の断面図である。
【図2】バイアスロールの体積抵抗値の計測方法を示す図である。
【図3】本発明の画像形成装置の一例を示す構成概略図である。
【符号の説明】
1 像担持体(感光体ドラム)
2 中間転写体(中間転写ベルト)
3 転写ロール
31 クリーニングブレード
41 記録紙
51 ロール軸
52 導電性弾性層
53 導電性チューブ
54 バイアスロール
55 導電体

Claims (13)

  1. 金属のロール軸と、前記ロール軸の外周面に設けられた連続気泡を有する導電性弾性層と、接着層を介さずに前記導電性弾性層の外周面を被覆する導電性チューブとを有するバイアスロールであって、
    前記ロール軸と前記導電性弾性層とが前記導電性チューブの内側に圧入され、前記導電性弾性層の弾性反発力が前記導電性チューブの内側表面に常時作用するように構成されていることを特徴とするバイアスロール。
  2. 前記導電性弾性層表面と前記導電性チューブの内側表面との間の静止摩擦係数が3以下であることを特徴とする請求項1に記載のバイアスロール。
  3. 前記導電性弾性層の弾性反発力が0.01〜0.1MPa(0.001〜0.01kgf/mm)であることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイアスロール。
  4. 前記導電性チューブに圧入する前の前記導電性弾性層の外側半径rと、前記導電性チューブの内側半径rとの関係が、下記式1を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバイアスロ−ル。
    0.99r > r >0.95r   (式1)
  5. 前記導電性チューブのヤング率が300kg/cm以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバイアスロール。
  6. 前記導電性チューブの厚みが0.02〜0.08mmであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のバイアスロ−ル。
  7. 前記導電性チューブの表面微小硬度が18以上であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバイアスロ−ル。
  8. 前記導電性チューブが、ポリイミド樹脂であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のバイアスロ−ル。
  9. 少なくとも像担持体と、前記像坦持体表面を均一に帯電する帯電装置と、帯電した前記像坦持体表面に画像情報に応じた静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、前記静電潜像をトナーによりトナー像として可視化する現像装置と、前記トナー像を転写体に転写する転写装置とを備える画像形成装置であって、
    前記転写装置を構成する転写ロールが、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のバイアスロールであることを特徴とする画像形成装置。
  10. 前記転写ロール表面に金属ブレードが当接配置された請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記金属ブレードの前記転写ロール表面への食込み量が0.1〜2.0mmであることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成装置。
  12. 前記金属ブレードの前記転写ロール表面への接触角が15〜45°であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  13. 前記トナーが、形状係数が130以下の球形トナーであることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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