JP2010140002A - 転写ベルト、転写ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂と、導電剤と、酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤の含有量が、外周面122よりも内周面112において高いことを特徴とする転写ベルト100。該転写ベルトを備えた転写ユニット及び画像形成装置。好ましくは、前記導電剤とは別に、粒状、繊維状、及びウィスカー状の少なくとも1種の吸着剤を含み、該吸着剤の含有量が、内周面よりも外周面において高い。
【選択図】図2
Description
さらに、熱可塑性樹脂に酸化防止剤とフッ素樹脂微粒子を添加した中間転写ベルトが提案されている(特許文献10)
請求項1の発明は、樹脂と、導電剤と、酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤の含有量が、外周面よりも内周面において高いことを特徴とする転写ベルトである。
請求項2の発明は、前記導電剤とは別に、粒状、繊維状、及びウィスカー状の少なくとも1種の吸着剤を含み、該吸着剤の含有量が、内周面よりも外周面において高いことを特徴とする請求項1に記載の転写ベルトである。
請求項3の発明は、前記酸化防止剤が、フェノール系化合物、アミン系化合物、リン系化合物、及び硫黄系化合物から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写ベルトである。
請求項4の発明は、前記吸着剤として、酸化チタン、多孔質ポリイミド、絶縁性カーボンブラック、シリカ、カオリン、クレー、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化スズ、酸化セリウム、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、ナイロン、ポリエステル、アラミド、及びカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の転写ベルトである。
請求項5の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、該転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備えることを特徴とする転写ユニットである。
請求項6の発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を転写させる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡すロールを有し、該ロールを回転させることにより前記転写ベルトを駆動する駆動手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を前記転写ベルトに一次転写した後、記録媒体に二次転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項7の発明は、前記駆動手段が、前記転写ベルトを500mm/sec以上で駆動する手段であり、前記転写手段が、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を45μA以上の電流で前記転写ベルトに一次転写した後、該転写ベルトに転写されたトナー像を3kV以上の電圧で前記記録媒体に二次転写する手段であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8の発明は、前記転写手段が、少なくともゴム成分とイオン導電剤とを含有し、前記転写ベルトの内周面と接触するロールを備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、クリーニング性がより確実に抑制される転写ベルトが提供される。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、転写不良及びうろこ状画質がより確実に抑制される転写ベルトが提供される。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、白抜けとクリーニング性が共により確実に満足される転写ベルトが提供される。
請求項5に係る発明によれば、酸化防止剤の含有量が、外周面よりも内周面において高くない転写ベルトを備えた転写ユニットに比べ、白抜けとクリーニング性が共に満足される転写ユニットが提供される。
請求項6に係る発明によれば、酸化防止剤の含有量が、外周面よりも内周面において高くない転写ベルトを備えた画像形成装置に比べ、白抜けとクリーニング性が共に満足される画像形成装置が提供される。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、白抜けとクリーニング性が共に満足された画像を高速で形成が可能な画像形成装置が提供される。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有さない場合に比べて、長期間に渡り、白抜けとクリーニング性が共に満足される画像形成装置が提供される。
また、放電に起因して生成した放電生成物が感光体や中間転写ベルトに付着して画質故障を引き起こす場合もある。しかし、感光体表面や転写ベルト表面(外周面)には通常クリーニング機構を有しており、放電生成物はクリーニング部材によって剥ぎ取られるため大きな問題となることは少ない。
ベルト内周面の帯電電位を低減する方法としては、ベルト内周面の抵抗を低くする方法が有効であると考えられる。具体的には、抵抗を制御するため、二層構成のベルトとし、ベルトの外周面よりも内周面において導電剤の含有量を増やす方法が考えられる。
また、酸化防止剤の含有量がベルトの外周面122よりも内周面112で高くなるように酸化防止剤が局所的に偏在した単層構造のベルトでもよい。ただし、酸化防止剤の含有量が異なる2種類以上の塗布液を用意し、内層110と外層120を順次積層して複層の転写ベルト100を製造する方法が簡便であり、好ましい。
また、上記範囲内の厚みを有する内層110であれば、内層110の形成に用いる液状材料をほぼ均一に塗布して膜厚斑の発生が抑制された内層110が形成される。さらに、内層110の厚みが上記範囲内であれば、内層110に隣接する層(外層又は中間層)との間の界面に蓄積する電荷が外周面122に付着するトナー画質に影響する事が抑制される。
次に、転写ベルト100の構成する各成分等について詳細に説明する。
ベルト内層110に含まれる酸化防止剤は、放電生成物(主に窒素酸化物)の酸化を抑制するものであれば特に限定されない。例えば、好ましいものとして、ヒンダードフェノール系等のフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ジアリルジアミン系、ジアリルアミン系等のアミン系酸化防止剤、チオエーテル類等の硫黄系酸化防止剤、亜燐酸エステル類等のリン系(燐酸系)酸化防止剤が挙げられる。
チオエーテル系として、スミライザーTPS、スミライザーTP−D(住友化学社製)が挙げられる。
亜燐酸エステル系として、マーク2112、マークPEP−8、マークPEP−24G、マークPEP−36、マーク329K、マークHP−10、スミライザーTPS(住友化学社製)、アンチオックスS(日本油脂社製)が挙げられる。
これらから選択される酸化防止剤を一種ないし複数混合して使用する事ができるが、これらは一例であって本実施形態で使用する酸化防止剤を限定するものではない。より好ましい酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系及び燐酸系である。
なお、内周面112又は外周面122における酸化防止剤の含有量は、IR法、UV法、蛍光X線などによって測定される。
ベルト外周面122には放電生成物を吸着する吸着剤(放電生成物吸着剤)が存在することが好ましい。吸着剤は、放電生成物(主に窒素酸化物及び硝酸(塩))を吸着する物質であれば無機物であっても有機物であってもよいが、その形状は、放電生成物をより吸着しやすい観点から、粒状(球状)、繊維状、ウィスカー状(ヒゲ状結晶)であることが好ましい。特に、繊維状又はウィスカー状の吸着剤であれば、放電生成物を吸着する効果のほかに、ベルトの強度を向上させる効果も得られる。
吸着剤として、これらを単独で又は複数の種類を混合して用いてもよい。
また、放電生成物吸着剤の大きさは、粒子状の場合は、最小径が5nm〜500nm、繊維状又はウィスカーの場合は、太さが5nm〜500nmであることが好ましい。放電生成物吸着剤の径が5nm以上であれば、実質的に凝集し難く、微細化する事が容易であり、500nm以下であれば、放電生成物を吸着し易く好ましい。
なお、内周面112又は外周面122における吸着剤の含有量は、X線回折法、微量熱分析(DTG)などによって測定される。
本実施形態に係る転写ベルト100の基材は樹脂で構成される。ベルト基材を構成する樹脂のヤング率は、ベルトの厚みによっても異なるが、好ましくは3500MPa以上、より好ましくは4000MPa以上であれば、ベルトとしての機械特性が満足される。基材となる樹脂としては、上記ヤング率を満たせば特に制限はないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアレレート樹脂、ポリエステル樹脂、又はこれらの樹脂に補強材を添加したものなどが挙げられる。
上記例示した樹脂の中でも、駆動時(支持ロール、クリーニングブレード等の応力)による変形が少なく、色ズレ等の画像欠陥が生じにくい観点から、高ヤング率を有する材料が好ましい。特に、ポリイミド樹脂を用いれば、高ヤング率の転写ベルトが得られ、好ましい。
導電剤としては、導電性又は半導電性の微粉末が使用され、転写ベルトとして所望の電気抵抗が安定して得られれば、導電性に制限はない。ここで、「導電性」とは、体積抵抗率が107 Ωcm未満であることを意味する。また、「半導電性」とは、体積抵抗率が107以上1013 Ωcm以下であることを意味する。
本実施形態に係る転写ベルト100の抵抗値は、外周面122より内周面112で低い事が好ましい。内周面112の表面抵抗率が、例えば9〜12logΩ/□であれば、うろこ状画質故障の発生がより効果的に抑制されるとともに、有効な転写電界が得られ白抜けの発生が抑制され、転写不良の発生が効果的に抑制される。
一方、外周面122の表面抵抗率は、例えば11〜15logΩ/□であれば、細線再現性及び粒状性の悪化が抑制されるとともに、電荷が減衰することが抑制され、除電機構を必ずしも設ける必要がなくなり、設計の容易化や費用の軽減が図られる。
そのため、ベルト内周面112の表面抵抗率が、外周面122の表面抵抗率よりも、0.5logΩ/□以上2.0logΩ/□以下の範囲(望ましくは0.7logΩ/□以上1.5logΩ/□以下の範囲、より望ましくは0.8logΩ/□以上1.0logΩ/□以下の範囲)で低くなるように形成されている事が好ましい。
図3は円形電極の一例を示し、図3(a)は概略平面図であり、図3(b)は概略断面図である。図3に示す円形電極は、第一電圧印加電極Aと板状絶縁体Bとを備える。第一電圧印加電極Aは、円柱状電極部Cと、該円柱状電極部Cの外径よりも大きい内径を有し、且つ、円柱状電極部Cを一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部Dとを備える。
第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと板状絶縁体Bとの間に中間転写ベルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写ベルトTの転写面の表面抵抗率ρs(Ω/□)が算出される。下記式中、d(mm)は円柱状電極部Cの外径を示し、D(mm)はリング状電極部Dの内径を示す。
式:ρs=π×(D+d)/(D−d)×(V/I)
本実施形態に係る中間転写ベルトの体積抵抗率は、500V、10秒印加条件での値である。
体積抵抗率の測定は、表面抵抗率の測定と同様、図3に示すような構成の装置を用いて行われる。但し、図3に示す円形電極において、表面抵抗率測定時の板状絶縁体Bに代えて第二電圧印加電極B’を備える。そして、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部C及びリング状電極部Dと第二電圧印加電極B’との間に中間転写べルトTを挟持し、第一電圧印加電極Aにおける円柱状電極部Cと第二電圧印加電極B’との間に電圧V(V)を印加したときに流れる電流I(A)を測定し、下記式により、中間転写ベルトTの体積抵抗率ρv(Ωcm)が算出される。下記式中、tは半導電性ベルトTの厚さを示す。
式:ρv=19.6×(V/I)×t
次に、導電剤としてカーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液を用いて、本実施形態に係る中間転写ベルトを作製する例を以下に例示するが、これに限定されず、他の方法を採用してもよい。
まず、精製したカーボンブラックを用意し、有機極性溶媒に分散させる。分散方法は、予備攪拌を行った後に分散機、ホモジナイザーにより分散する方法が好ましい。カーボンブラックの精製方法と同様に微細メディアの混入がカーボンブラックの精製効果を低下させてしまうため、メディアを使用しないメディアフリーの分散方法が好ましく、特に高粘度溶液のバラツキを抑制して分散できるジェットミルが好ましい。
カーボンブラックを分散させたポリアミド酸溶液は高粘度溶液であるため、作製時に混入した気泡は自然に抜けることはなく、塗布により気泡に起因するベルトの突起、へこみ、穴等の欠陥が発生する。このため、脱泡することが望ましい。脱泡はできる限り塗布直前に行うことが好ましい。
この装置は、円筒状の芯体40の両端が矢印Aの方向に回転可能な保持部材42A,42Bによって保持されている。また、芯体40の上には、塗布溶液52を芯体40に供給しながら芯体40の軸方向に水平に移動可能な塗布装置48が配置されている。塗布装置48は、塗布溶液52を収容する容器46と、容器46内の塗布溶液を芯体40に向けて吐出するノズル44を備えている。さらに、芯体40の周辺には、芯体40に付着した塗布溶液52を平滑化する板状のへら50が配置されており、へら50は塗布装置48と連動して芯体40の軸方向(矢印Bの方向)に移動する。
なお、塗布装置48とへら50の位置を固定し、芯体40が回転するとともに軸方向に水平に移動する構成としてもよい。
まず、ベルトの内層110を形成するための塗布材料52を塗布装置48から芯体40の一端の表面に供給する。内層用の塗布材料52は、少なくとも樹脂、導電剤、及び酸化防止剤を含むものを用いる。
塗布材料52を供給する際、芯体40を矢印A方向に回転させるとともに、芯体40の回転毎に塗布装置とへら50を芯体40の他方の一端に向けて水平方向(矢印B方向)に徐々に移動させる。芯体表面に供給された塗布材料はへら50と接触して平滑化される。
塗布材料52の供給速度、芯体40の回転速度、芯体40とへら50との間隔などの条件によって塗膜54の厚みが制御される。塗膜54の厚みは乾燥後に得られる層厚に関係しているので、形成すべき内層の厚みに応じて上記条件を設定すればよい。なお、塗布速度Vは、芯体40の外径k、塗布溶液の流下量f、濡れ膜厚tと関係があり、V=f/(t・k・π)の式で表わされる。πは円周率を示す。
内層を形成した後、容器46内の材料を外層用の塗布材料に変更し、内層上に外層を形成する。外層用の塗布材料は、少なくとも樹脂及び導電剤を含み、好ましくはさらに放電生成物吸着剤を含むものを用いる。
このとき、芯体40を回転させるとともに、内層を形成する場合と同様に外層用の塗布材料を塗布装置から供給し、芯体40の回転毎に塗布装置とへら50を芯体40の一端から他の一端に向けて水平方向に移動させる。
上記のようにして内層と外層を順次形成して2層構造の環状体とし、芯体40から取り外し、さらに必要に応じて一定の長さに切断する。これにより図1に示すような転写ベルト100が得られる。
図5は、本実施形態に係る転写ユニットの構成を概略的に示している。この転写ユニット200は、前記実施形態に係る転写ベルト100を備えており、転写ベルト100は対向配置された駆動ロール130及び従動ロール140により張力がかかった状態で掛け渡されている(以下、単に「張架」という場合がある。)。また、図示されていないが、感光体(像保持体)表面のトナー像を転写ベルト100上に1次転写させるためのロールと、転写ベルト100上に転写されたトナー像をさらに記録媒体に2次転写させるためのロールが配置される。なお、ベルト100を張架するロールの数は限定されず、使用態様に応じて配置すればよい。このような構成の転写ユニット200は画像形成装置に組み込まれて使用され、画像形成の際、ロール130,140の回転に伴って転写ベルト100も張架した状態で回転する。
図6は、前記実施形態に係る中間転写ベルト100を備えた画像形成装置の構成の一例を示している。
本実施形態に係る画像形成装置300は、高速で使用され、高速条件で転写を行うことが可能である。高速及び高速条件とは、具体的には、転写ベルト100が500mm/sec以上の移動速度で使用され、定電流で供給される一次転写電流が45μA以上、定電圧で供給される二次転写電圧が3kV以上となる条件である。
そして、二次転写装置30による転写後の記録用紙P(記録媒体)を搬送するための搬送装置34が配置されると共に、搬送装置34による搬送方向下流側に定着装置36が配置されている。
この静電潜像は現像装置18Yにより供給されるトナー(トナーを含む現像剤)によって現像され、可視化されたトナー像が形成される。トナー像は感光体ドラム12Yの回転により一次転写部に到り、一次転写装置20Yからトナー像に逆極性の電界を作用させることにより、トナー像が、反時計方向に回転する中間転写ベルト100に一次転写される。このとき、一次転写装置20Yは、感光体ドラム12Yの表面に形成されたトナー像を、45μA以上の電流で転写ベルト100に一次転写する。
同様にして第2色のトナー像(M)、第3色のトナー像(C)、第4色のトナー像(K)が画像形成ユニット10M,10C,10Kにより順次形成され中間転写ベルト100において重ね合わせられ、多重トナー像が形成される。
供給された記録用紙Pには、二次転写装置30とバックアップロール28による圧接及び転写電圧搬送と、中間転写ベルト100の回転との作用により、中間転写ベルト100に保持されたトナー像が転写される。このとき、二次転写装置30は、中間転写ベルト100に保持されたトナー像を3kV以上の電圧で記録用紙Pに二次転写する。
トナー像が転写された記録用紙Pは、搬送装置34により定着装置36に搬送され、加圧/加熱処理でトナー像を固定して永久画像とされる。
このようにして、本実施形態に係る画像形成装置300では、記録用紙P(記録媒体)に画像が形成される。
一方、外層120には放電生成物吸着剤が含まれている。そのため、放電生成物はベルトの内周面112よりも外周面に吸着し易く、内周面への付着自体が抑制される。すなわち、放電生成物はベルト内周面に付着し難い上、内周面に付着したとしても酸化防止剤によって酸化して硝酸(塩)となることが抑制される。そのため、硝酸(塩)が高湿環境下で解離して部材表面の抵抗が低下することが抑制され、その結果、転写ベルト上で発生する転写不良が抑制される。ベルト外周面に付着した放電生成物はクリーニング機構によって除去されるため、問題ない。
本実施形態に係る画像形成装置300では、転写手段、すなわち、一次転写装置20Y,20M,20C,20K及び二次転写装置30の少なくとも一方が、少なくともゴム成分とイオン導電剤とを含有する転写ロールを備えていることが好ましい。
転写ロールの主材料となる上記ゴム成分としては、エピクロルヒドリンゴム、アクリルニトリル−ブタジエンゴム、ウレタンゴムなどが挙げられる。また、必要に応じて、硬化剤、可塑剤、加硫促進剤、フィラー等、通常、ゴム材料に添加され得る材料を加えてもよい。
さらには、イオン導電剤として導電性ポリマーをブレンドする方法がある。この導電性ポリマーとしては、例えば、カルボキシル基に4級アンモニウム塩基を結合する(メタ)アクリレートとの各種(例えばスチレン)共重合体、4級アンモニウム塩基と結合するマレイミドとメタアクリレートとの共重合体等の4級アンモニウム塩基を結合するポリマー、ポリスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸のアルカリ金属塩を結合するポリマー、分子鎖中に少なくともアルキルオキシドの親水性ユニットを結合するポリマー、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール系ポリアミド共重合体、ポリエチレンオキシド−エピクロルヒドリン共重合体、ポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルを主セグメントとするブロック型のポリマー、さらには、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレンなどが挙げられる。これらの導電性ポリマーを脱ドープ状態、またはドープ状態で用いてもよい。
さらに、空気中の水分から得られるオキソニウムイオンを利用してもよい。
また、一次転写ロール20Y,20M,20C,20K以外にも、例えば、バックアップロール28も転写ベルト100の内周面と接触しているため(図6参照)、上述したゴム成分とイオン導電剤とを含有するバックアップロール28と転写ベルト100を組み合わせる場合も上記と同様の効果が得られる。
−分散液の作製−
(分散液A)
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)を含むポリアミド酸NMP溶液(ユニチカ社製UイミドKX/固形分濃度20質量%)中にカーボンブラック(SPECIAL Black 4、エボニックデグサジャパン社製)を固形分質量比で22質量%投入し、ジェットミル分散機(ジーナス社製:GeanusPY)で分散処理(200N/mm2、5パス)を行った。得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物及びカーボンブラック凝集物を取り除き、分散液Aを作製した。
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)を含むポリアミド酸NMP溶液(ユニチカ社製UイミドKX/固形分濃度20質量%)中にカーボンブラック(SPECIAL Black 4、エボニックデグサジャパン社製)を固形分質量比で18.5質量%投入し、ジェットミル分散機(ジーナス社製:GeanusPY)で分散処理(200N/mm2、5パス)を行った。得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物及びカーボンブラック凝集物を取り除き、分散液Bを作製した。
ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)を含むポリアミド酸NMP溶液(ユニチカ社製UイミドKX/固形分濃度20質量%)中にカーボンブラックA(SPECIAL Black 4、エボニックデグサジャパン社製)を固形分質量比で18.5質量%、及びカーボンブラックB(SPECIAL Black 250、エボニックデグサジャパン社製)を固形分質量比で13質量%投入し、ジェットミル分散機(ジーナス社製:GeanusPY)で分散処理(200N/mm2、5パス)を行った。得られたカーボンブラック分散ポリアミド酸溶液を、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物及びカーボンブラック凝集物を取り除き、分散液Cを作製した。
(塗布液1)
分散液AにIRGANOX1098(チバスペシャルティケミカルズ)を樹脂固形分に対し3質量%添加した後、10分間攪拌し、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物を取り除き、更に真空脱泡して塗布液1を作製した。
分散液Aをステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物を取り除き、更に真空脱泡して塗布液2を作製した。
分散液Bをステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物を取り除き、更に真空脱泡して塗布液3を作製した。
分散液Cをステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物を取り除き、更に真空脱泡して塗布液4を作製した。
分散液BにIRGANOX1098(チバスペシャルティケミカルズ)を樹脂固形分に対し3質量%添加した後、10分間攪拌し、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物を取り除き、更に真空脱泡して塗布液5を作製した。
分散液BにIRGANOX1098(チバスペシャルティケミカルズ)を樹脂固形分に対し1質量%添加した後、10分間攪拌し、ステンレス製20μmメッシュに通過させて、異物を取り除き、更に真空脱泡して塗布液6を作製した。
塗布液1を円筒状金型(外径302mm、長さ500mm、肉厚10mm)の外周面にディスペンサーを介して0.2mmの厚みで塗布し、1500rpmで15分間回転させた後、250rpmで回転させながら、金型の外側より60℃の熱風を30分間あて、150℃で60分間加熱した。再度塗布装置に移し、塗布液3を塗布液1と同様に、ディスペンサーを介して0.4mmの厚みで塗布し、1500rpmで15分間回転させた後、250rpmで回転させながら金型の外側より60℃の熱風を30分間あて、150℃で60分間加熱した。その後、金型を立てて焼成温度(300℃)まで昇温してイミドの転化を行い、ポリイミド無端ベルト1を得た。
無端ベルト1の作製と同様の方法で、塗布液1、次いで塗布液6を塗布して、ポリイミド無端ベルト2を得た。
無端ベルト1の作製と同様の方法で、塗布液1、次いで塗布液4を塗布して、ポリイミド無端ベルト3を得た。
無端ベルト1の作製と同様の方法で、塗布液2、次いで塗布液5を塗布して、ポリイミド無端ベルト4を得た。
無端ベルト1の作製と同様の方法で、塗布液2、次いで塗布液4を塗布して、ポリイミド無端ベルト5を得た。
無端ベルト1の作製と同様の方法で、塗布液1、次いで塗布液5を塗布して、ポリイミド無端ベルト6を得た。
エチレンオキサイド基を含有し、高いイオン伝導性を有するエピクロルヒドリンゴム(ECO:エピクロマーCG−102:ダイソー社製)70質量部と、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR:ニポールDN−219、日本ゼオン社製)30質量部とを混合した。これに発泡加硫剤として、硫黄(鶴見化学工業社製、200メッシュ)1質量部と、加硫促進剤(大内新興化学工業社製、ノクセラ−M)1.5質量部と、発泡剤としてベンゼンスルホニルヒドラジド6質量部とを添加してオープンロールで混練りした。
この混合物を、直径が8mm長さ334.9mmのSUS製のロール軸に巻き付け、160℃で20分間プレス加硫発泡させることにより5mm厚の導電性弾性層を形成した。さらに外層を研磨してロール外径18.7mmの成型物とした。
得られたロールの抵抗値は1000V印加10秒値で6.4logΩ、ロール硬度はアスカーC硬度で35°であった。
得られた各中間転写ベルト及び転写ロールを用い、富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220改造機(プロセス速度500mm/sec、一次転写電流45μA、二次転写電圧3.5kV)で、28℃、RH80%の環境下で、プリント試験を行なった。試験は、富士ゼロックス社製C2紙A4紙を使用し、文字とパッチのある総合パターンを10000枚プリントした。なお、中間転写ベルトの交換と同時に1次転写ロールも交換し、新しい転写ロールを使用した。
クリーニング性は、試験中のプリントサンプルにクリーニング不良による筋が発生するか否かを判定した。判定基準を以下に示す。
◎:試験中、全く筋が発生しなかった。
○:試験中、筋がA4用紙内で回復し、且つ発生枚数が5枚未満であった。
△:試験中、筋がA4用紙内で回復するが、発生枚数が5枚以上50枚以下であった。
◎:ハーフトーンに濃度低下がなく、高い均一性を保っていた。
○:ハーフトーンに濃度低下がわずかにあるが、10枚未満のプリントで回復した。
×:ハーフトーンに濃度低下又は白抜けが見られ、濃度の回復に10枚以上のプリントが必要であった。
抵抗測定
体積抵抗値(Rv)は、10℃15%RH環境下、アルミニウム板上において、ロールシャフト両端部に各500gの荷重をかけて、1000V(V)の電圧を印加し、10秒後までの電流値I(A)を電流計(アドバンテスト社製、R8340A)で読み取り、Rv=V/Iから体積抵抗を算出した。
先に行なった画質評価1で用いた同じ転写ベルトと転写ロールの組み合わせで、富士ゼロックス社製DocuCentreColor2220改造機(プロセス速度500mm/sec、一次転写電流45μA、二次転写電圧3.5kV)内にセットし、10℃15%RH環境下で24時間放置後、ハーフトーン20%、30%、50%のサンプルを採取し、転写性のテストを行った。
判定基準を以下に示す。
○:ハーフトーンは、高い均一性を保っていた。
×:ハーフトーンの濃度が低下し、ムラが発生した。
上記結果から、実施例では、比較例に比べ、白抜け、クリーニング性、うろこ状画質故障、ハーフトーンムラ等を抑制した画像が得られることがわかる。
12Y,12M,12C,12K 感光体ドラム
14Y,14M,14C,14K 帯電装置
16Y,16M,16C,16K 露光装置
18Y,18M,18C,18K 現像装置
20Y,20M,20C,20K 一次転写装置(一次転写ロール)
22Y,22M,22C,22K 感光体ドラムクリーナー
25 ベルト駆動装置
26a 駆動ロール
26b,26d,26e 支持ロール
28 バックアップロール
30 二次転写装置(二次転写ロール)
32 ベルトクリーナー
34 搬送装置
36 定着装置
40 芯体
48 塗布装置
52 塗布溶液
100 中間転写ベルト
110 内層
112 内周面
120 外層
122 外周面
130 駆動ロール
140 従動ロール
200 転写ユニット
300 画像形成装置
P 記録用紙
Claims (8)
- 樹脂と、導電剤と、酸化防止剤とを含み、前記酸化防止剤の含有量が、外周面よりも内周面において高いことを特徴とする転写ベルト。
- 前記導電剤とは別に、粒状、繊維状、及びウィスカー状の少なくとも1種の吸着剤を含み、該吸着剤の含有量が、内周面よりも外周面において高いことを特徴とする請求項1に記載の転写ベルト。
- 前記酸化防止剤が、フェノール系化合物、アミン系化合物、リン系化合物、及び硫黄系化合物から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転写ベルト。
- 前記吸着剤として、酸化チタン、多孔質ポリイミド、絶縁性カーボンブラック、シリカ、カオリン、クレー、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、酸化スズ、酸化セリウム、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、アンチモン酸亜鉛、酸化チタン、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、チタン酸ストロンチウム、ケイ酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、ナイロン、ポリエステル、アラミド、及びカーボンナノチューブから選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の転写ベルト。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、該転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡す複数のロールと、を備えることを特徴とする転写ユニット。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記像保持体の表面の潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を転写させる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の転写ベルトと、
前記転写ベルトを張力がかかった状態で掛け渡すロールを有し、該ロールを回転させることにより前記転写ベルトを駆動する駆動手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー像を前記転写ベルトに一次転写した後、記録媒体に二次転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を定着する定着手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記駆動手段が、前記転写ベルトを500mm/sec以上で駆動する手段であり、
前記転写手段が、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を45μA以上の電流で前記転写ベルトに一次転写した後、該転写ベルトに転写されたトナー像を3kV以上の電圧で前記記録媒体に二次転写する手段であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。 - 前記転写手段が、少なくともゴム成分とイオン導電剤とを含有し、前記転写ベルトの内周面と接触するロールを備えることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の画像形成装置。
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