JP2015161913A - 画像形成装置 - Google Patents

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Hiroyuki Kageyama
洋行 景山
香川 敏章
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Abstract

【課題】本発明は、感光体表面における通紙領域と非通紙領域でのクリーニングブレードとの摩擦係数差によるブレード反転クリーニング不良を抑制でき、感光体表面の摩耗量が少なく、環境変動があっても転写性が良好で、高生産性かつ高品質の画像を長期に渡り提供できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【解決手段】導電性支持体上に感光層が積層されている感光体ドラムの表面に帯電及び露光を経て形成された静電潜像を外添剤を含むトナーで現像し、形成したトナー像を転写ユニットにより転写材に転写し、転写残トナーを感光体表面から除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニットを感光体の回転方向でみて転写位置の下流側に備えた画像形成装置であって、前記転写ユニットが、転写電流値40〜70μAで使用され、前記感光体ドラムの表層が、フッ素樹脂微粒子を含有することを特徴とする画像形成装置により、上記の課題を解決する。
【選択図】なし

Description

本発明は、画像形成装置に関するものである。より具体的には、本発明は、電子写真方式を採用した画像形成装置に搭載され、感光体ドラムの静電潜像担持体に当接して表面よりトナーを掻き取るブレードを有するクリーニングユニットを備えた画像形成装置に関するものである。
電子写真方式を採用した画像形成装置においては、光導電性物質を利用した電子写真用感光体の表面を一様に帯電させた後、露光により潜像を形成し、形成された潜像を、トナーを用いて現像しトナー画像を形成し、感光体表面のトナー画像を、用紙等の転写材表面に転写し、この転写画像を加熱、加圧、もしくは加熱加圧、あるいは光照射等により定着するという複数の工程を経て、定着画像が形成される。感光体表面に残ったトナーは、必要に応じてクリーニング部材によりクリーニングされ、再び上記の複数の工程に供される。
今日、クリーニング装置としては、省スペース化、設計容易性、機構簡易性等の理由にて、感光体表面に当接してトナーを掻き取るブレード(クリーニングブレード)を用いたタイプが多用されている。
近年、オフィスワークにおける生産性向上および省スペースの観点から、画像形成装置も印字速度の速い小型の装置が求められている。
この、画像形成装置の高速化に伴い、各プロセスについても高速化への対応が必要であるが、転写プロセスにおいても感光体表面のトナー画像の転写材への高速転写化に伴い、転写効率を確保するために転写電界が高く設定される。
一方で、健康的なオフィス環境を確保するため、画像形成装置から発生するオゾン量を低減する取組みも行われており、従来使用されていた帯電装置としてコロトロンやスコロトロン等のコロナ放電器に比較すると小型でオゾン発生量の少ない接触ローラや帯電ブラシ等の接触帯電装置が搭載された画像形成装置も市販されている。
しかしながら、これまで上市された接触帯電器は、接触式でありながらローラやブラシと感光体間の微小空隙での放電により帯電を行うものがほとんどであり、この放電現象に起因する顕著な感光体の表面劣化が問題となっている。
ちなみに、杉本らは、放電により感光体表面に親水性官能基が生成し、表面エネルギーが増加することを報告している(Japan Hardcopy 2003 論文集、61〜64:非特許文献1)。
さらに、画像形成装置において主流となっている高速機やカラー機においては、粒径5〜6μm程度の小さく(小粒径トナー)て、角のない略球形のトナー粒子が用いられてきている。これは形状が略球形であるため、少ない外添剤量で流動性が良く、感光体上へ薄層のトナー像を形成することができ、効率の良い転写により高品質な画像を提供することができる。これらの画像形成過程においてはトナー使用量が抑制されることになり、また転写残トナー量も減少し、トナーボトル、廃トナー容器及び画像形成装置を小型化することができるというメリットを有する。
しかしながら、この粒径が小さいトナー粒子をクリーニングブレードでクリーニングするには、このトナー粒子が感光体表面とクリーニングブレードとの間に入り込むのを防ぐためにもまた、粒径が小さいトナー粒子を完全にクリーニングするためにもクリーニングブレードの線圧を高めに設定する必要があり、その結果クリーニングブレードと感光体表面との摩擦による感光体表面の磨耗(膜減り)が大きくなり部材の寿命を短くしている。
装置の高速化に伴い転写電界を高く設計した場合、転写ローラまたは転写ベルト等の転写部材と感光体との間でも上記接触帯電装置での問題が発生し、感光体と転写部材との微小空隙での放電により感光体表面が劣化されて表面自由エネルギーが増大し、摩擦係数も増大する。その結果、感光体とクリーニングブレードの間の摩擦力が増大し、クリーニングブレードが反転しやすく、クリーニング不良が生じやすくなる。特に感光体ドラムの回転軸線横方向から見た非通紙領域は、ジョブ中に常に放電が生じており、通紙領域よりも感光体表面は大きく劣化するため、初期設定したクリーニングブレード当接条件では耐えられなくなり、クリーニングブレード反転が生じ易くなる。
この問題に対して、クリーニングブレード反転を抑制するためクリーニングブレード線圧を低くすると、環境が変動した場合などにトナーの完全なクリーニングが困難になり得る。これに対してステアリン酸亜鉛などの潤滑剤を感光体表面に供給し、クリーニング性を確保することが考えられるが、その場合装置の大型化したり、潤滑剤によりコストアップすることとなる。そこで、転写電流を低下させて感光体劣化を抑制しようとすると、転写効率が低下し、画質不良となり得る。
特許文献1には、感光体表面の磨耗を抑えるために、ステアリン酸亜鉛(潤滑剤)を感光体表面に供給して、感光体表面の摩擦係数を低下させ、クリーニング性を確保する技術が記載されている。
特許文献1に記載の方法では、トナーのクリーニング性は向上するが、装置の複雑化、大型化、及び潤滑剤によるコストアップとなる。
特許文献2には、感光体の表面にある空隙を充塞するように感光体の最表層にフッ素系樹脂の層を設ける技術が記載されている。
また特許文献2に記載の技術では、感光体の最表層にフッ素樹脂層を形成することによりフッ素樹脂特有の表面自由エネルギーを低下させることができるが、感光体形成工程が複雑となりコストアップになる。さらに露光により発生した正孔の移動による帯電表面電荷の中和潜像形成にはフッソ樹脂を有する最表層の正孔移動性を制御する必要がありさらに複雑な構成となりコストアップに繋がる。
特許文献3には、最外電荷輸送層にフィラー(無機フィラー)を分散してなる感光層を備えた電子写真感光体の表面を、摩擦係数0.2〜0.4に調整する技術が記載されている。
特許文献3では、無機フィラーにより感光層の耐久性を確保し、摩擦係数を調整することで放電生成物を感光体から除去できるために長期に渡り高品質の画質が提供できるとしている。しかし、無機フィラーを感光体表層に充填した場合、硬い無機フィラーによりクリーニングブレードエッジは欠けなどの損傷が激しくなり、感光体の寿命は長いがブレードの寿命が短くなり問題である。さらに小サイズ紙、または縦通紙した場合の感光体ドラムの長手方向での表面劣化とその対策については記載されていない。
特許文献4には、感光体ドラムの通紙領域と非通紙領域の摩耗を抑制するために、感光体ドラムの回転軸線横方向で見た通紙領域の外側領域であって現像幅の内側領域に対する除電光の光量をこの通紙領域の内側に比して弱くする技術が記載されている。
特許文献4では、非通紙領域の除電光の光量を弱くすることで電位は高いレベルに維持されることになり、帯電装置により非通紙領域の現像領域の外側まで長手方向に一様な帯電バイアス印加されると、非通紙領域と通紙領域で帯電レベルが異なる。
特開平10−247050号公報 特開2004−86142号公報 特開2004−233612号公報 特開2011−90215号公報
Japan Hardcopy 2003論文集、61〜64
本発明は、感光体表面における通紙領域と非通紙領域でのクリーニングブレードとの摩擦係数差によるブレード反転クリーニング不良を抑制でき、感光体表面の摩耗量が少なく、環境変動があっても転写性が良好で、高生産性かつ高品質の画像を長期に渡り提供できる画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、感光層とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーを考慮して、感光体にフッ素樹脂微粒子を含有させることで、クリーニングブレードとの摩擦係数を基本的に低減でき、転写電界により非通紙領域の感光体劣化が生じても、非通紙領域のブレードとの摩擦係数アップを抑制することができ、初期設定条件の範囲内でブレードと感光体との摩擦が安定に維持できるため、転写性を低下させることなく、ブレードの反転を生じさせずに感光体及びブレードの長寿命化を図ることができることを見出し本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、導電性支持体上に感光層が積層されている感光体ドラムの表面に帯電及び露光を経て形成された静電潜像を外添剤を含むトナーで現像し、形成したトナー像を転写ユニットにより転写材に転写し、転写残トナーを感光体表面から除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニットを感光体の回転方向でみて転写位置の下流側に備えた画像形成装置であって、前記転写ユニットが、転写電流値40〜70μAで使用され、前記感光体ドラムの表層が、フッ素樹脂微粒子を含有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記感光体ドラムが、表層にフッ素樹脂を含有し、表面自由エネルギー5〜30mJ/m2を有し、該表層とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーが1.0〜10mJ/m2である感光層を有する、前記の画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記転写ユニットが、感光体ドラム表面上のトナー像を記録材上に直接転写する直接転写手段を有し、感光体ドラムと記録材間との周速比0.5〜2%で転写する、前記の画像形成装置が提供される。
また、本発明によれば、前記感光層が、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層からなり、フッ素樹脂微粒子は少なくとも電荷輸送層に含有されている、前記の画像形成装置が提供される。
さらに、本発明によれば、前記フッ素樹脂微粒子が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であって、露光波長に対して1/10〜1/5の粒子径を有する微粒子である前記の画像形成装置が提供される。
本発明によれば、感光体表面の摩耗量が少なく、環境変動があっても転写性が良好で、高生産性かつ高品質の画像を長期に渡り提供できる画像形成装置が提供される。
画像形成装置の外観を表す模式図である。 画像形成装置の断面を表す概略図である。 プロセス及び周辺ユニットの断面を表す概略図である。 感光体ドラムの回転軸線方向における通紙領域を表す模式図である。 オイラーベルト方式による摩擦係数測定機を表す概略図である。 感光体表面の水接触角の測定結果を表す概略図である。
本発明による画像形成装置は、感光体ドラム表面に帯電および露光を経て形成された静電潜像を、外添剤を含むトナーで現像してトナー像を形成し、このトナー像を転写ユニットにより転写材に転写し、転写残トナーを感光体表面から除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニットを備え、前記転写ユニットが転写電流40μAで使用され、前記感光体ドラムが、該ドラム表層にフッ素樹脂微粒子を含有する感光体ドラムを備えることを特徴とする。
また、本発明による画像形成装置は、前記感光体ドラムが、その表層にフッ素樹脂微粒子を含有し、表面自由エネルギー5〜30mJ/m2を有し、該表層とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーが1.0〜10mJ/m2である感光層を有することを特徴とする。
本発明において感光層表面とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーを考慮する理由は、これまで感光層とクリーニングブレードとの関係が、摩擦係数、表面自由エネルギーで論じられてきたが、これはあくまでも感光体表層単独の特性値を用いたものであったからである。
しかし、感光層とクリーニングブレードとの関係で最も重要な摩擦挙動については、両者の間の界面自由エネルギーを論じる必要があるものと考えられる。
なぜならば、感光体表面と、クリーニングブレードのゴムとのスティックスリップ現象については、付着−すべりの繰り返しであることから、感光体とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーを考察することが好ましいと考えられたからである。
接着の場合は界面自由エネルギーがゼロであると考えられるが、界面自由エネルギーが小さいということは付着・接着状態が安定強固であることを意味する。
ブレードのスティックスリップ現象における付着状態が安定強固であると、振動の大きいスティックスリップとなり、トナーのすり抜け、反転などが生じ易くなる。
すなわち、感光体表面とクリーニングブレードとの間の界面自由エネルギーが大きく、不安定な付着状態であるほうがすべりを中心とした滑らかな振動の小さいスティックスリップを行うことができると考えられる。
したがって、転写電界により放電劣化した感光体表面と、クリーニングブレードとの摩擦においてブレードの反転を生じない感光体表面を設計することで信頼性の高い画像形成装置を提供できるものと考えられる。
以下、この発明の複数の実施の形態について説明する。
本発明の実施の一形態である電子写真画像形成装置の外観を図1に、その断面を模式的に示す該略図を図2に示した。
画像形成装置は、読み取った原稿の画像データやネットワーク等を介して送信された画像データに基づいて記録紙に対して多色および単色の画像を形成する装置である。
画像形成装置は、露光ユニット、感光体ドラム、現像装置、帯電ローラ、クリーニングユニット、転写ローラ、レンズ形成装置、定着装置、用紙搬送路、給紙カセット、手差し給紙トレイおよび排紙トレイを備えている。
感光体ドラムは、図示しない駆動部によって軸線周りに回転駆動可能に支持されるローラ状部材である。感光体ドラムは、感光層を含み、該感光層の表面において、静電潜像ひいてはトナー像を担持する像担持体である。
感光体ドラムには、たとえばアルミニウムなどからなる導電性基材と該導電性基材表面に形成される感光層とからなるものを使用できる。導電性基材には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性着体を好ましく使用できる。感光層としては、有機感光層、無機感光層などが挙げられる。
有機感光層としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層体、または、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む樹脂層などが挙げられる1種又は2種以上を含む樹脂層が挙げられる。
導電性基体と感光層との間には、下地層が介在しても良い。
また、感光層の表面には感光層を保護するための表面層(保護層)が設けられても良い。
本発明においては、感光体ドラムは、表層にフッ素樹脂微粒子を含有する感光層を有する感光体ドラムである。
感光体の表面自由エネルギーが5〜30mJ/m2であれば、トナーの感光体への非静電的付着力を低減できるため、低ストレスでのクリーニングが可能となり、装置を大型化することなくロングライフの画像形成装置を提供できるが、表面自由エネルギーが30mJ/m2よりも大きいと基本的な耐久性を維持できない。なお、感光体の表面自由エネルギーが5よりも小さい感光体の作製はコストの観点から困難であり好ましくない。
さらに感光体表面と、クリーニングブレードの間の界面自由エネルギーは、1.0〜10mJ/m2であることが好ましく、この場合ブレード反転を防止できるが、1.0mJ/m2よりも小さいとブレードと感光体は付着しやすい関係にあり、振動の大きいスティックスリップとなり、トナーのすり抜け、ブレードの反転が生じ易い。なお、感光体表面と、クリーニングブレードの間の界面自由エネルギーが10よりも大きいと、スティックスリープをしなくなり、ブレードの機能を発現できないので、好ましくない。
ここで、本発明における表面自由エネルギーγは、表面張力が既知の液体(水、ジヨードメタン、エチレングリコール)を用いた接触角測定から、van Ossの表面自由エネルギー理論による以下の式により算出できる。
γ=γLW+γAB 、〔γAB=(γ+γ-)^0.5〕
[式中、γ:表面自由エネルギー、γLW:酸塩基理論による表面自由エネルギーのLifdhitz − van der Waals(LW)成分、γAB:酸塩基理論による表面自由エネルギーのLewis酸−塩基(acid−base)成分、γ+:酸塩基成分の電子受容成分(または酸性成分)、γ-:酸塩基成分の電子供与成分(または塩基成分)である]
本発明における感光体表面と、クリーニングブレードの間の界面エネルギーは、感光体の表面エネルギーとクリーニングブレードの表面自由エネルギーから結合エネルギーを差し引いて求めることができる。
ここで、本発明における前述の摩擦係数μは、オイラーベルト方式による摩擦係数測定装置により測定されたものであり、当該摩擦係数は下記測定方式で算出できる。
図5に示すように測定用感光体よりなるドラムの像担持体を台座に固定して、幅30mm、長さ297mmにカットした厚み89μmの上質紙(シャープ(株)製SJ紙)を像担持体の周面に90°の角度に亘って巻きかけ、紙端部の一方に重量の無視できる糸を介して0.98N(100g)の分銅を取り付け、もう一方の片端に重量の無視できる糸を介して重量測定用のデジタルプッシュゲージを取り付ける。台上に載せたデジタルプッシュゲージを矢印A方向にゆっくり引き、紙が像担持体上を滑って移動を開始した時の重量F(N)を読み取り、次の式で(静止)摩擦係数を算出する。
μ=[ln(F/W)]/(π/2)
[式中、μ:静止摩擦係数、F;読み取り荷重(N)、W:分銅の重さ(W)、π:円周率である]
また、前記感光層は、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層からなり、フッ素樹脂微粒子は少なくとも電荷輸送層に含有されている。電荷発生層と電荷輸送層とがそれぞれ別の層で形成されており、電荷発生機能と電荷輸送機能とが分離した機能分離構造の感光層を有しているので、摩擦係数及び離型性を向上させるために電荷輸送層にフッ素樹脂微粒子を含有させても光エネルギー吸収効率を低減することがなくキャリアを発生することができる。
前記フッ素樹脂微粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であって、露光波長に対して1/10〜1/5の粒子径を有する微粒子である。フッ素樹脂微粒子は、耐熱性が高く、オゾンやNOxに対する化学的耐性を有しており、表面自由エネルギーの低いポリテトラエチレン(PTFE)を用いることで、転写効率を高めるための離型性を高めることができ、また、クリーニングブレードと感光体との摩擦係数を長期に渡り低減でき、感光体及びクリーニングブレードの摩耗を抑制できるため長寿命で長期に渡り安定した画像を供給できる。露光波長に対して1/10よりも小さいフッ素樹脂微粒子の安定化は難しく、分散安定化剤を使用するとそれによる弊害が生じ両立が難しいので好ましくない。
さらに露光に用いられる光源、例えば半導体レーザー(例えば785nm)の波長の1/5以下の粒子径とすることでレーザー光照射における散乱を抑制でき、正孔が広がらず露光パターンに忠実な潜像を形成することができる。半導体レーザーの波長の1/5以上の粒子径では光の散乱強度が大きくなり、感光層におけるキャリア発生、ホール移動が抑制され、所望の潜像を形成することができないので好ましくない。
帯電部は感光体ドラム表面を所定の極性および電位に帯電させる部材である。帯電部は、感光体ドラムに臨む位置に、感光体ドラムの長手方向に沿って設置される。接触帯電方式の帯電装置の場合、帯電部は、感光体ドラム表面に接するように設置される。非接触帯電方式の帯電装置の場合、帯電部は、感光体ドラム表面から離隔するように設置される。
帯電部としては、ブラシ型帯電装置、コロナ帯電装置、イオン発生装置などを使用できる。ブラシ型帯電装置およびローラ型帯電装置は、接触帯電方式の帯電装置である。ブラシ型帯電方式には、帯電ブラシを用いるもの、磁気ブラシを用いるものなどがある。コロナ放電装置およびイオン発生装置は、非接触帯電方式の帯電装置である。コロナ放電装置には、ワイヤ上の放電電極を用いるもの、鋸歯上の放電電極を用いるもの、針状の放電電極を用いるものなどがある。
光操作ユニットは、帯電状態にある感光体ドラム表面に、デジタル信号からなる画像情報に対応するレーザー光を照射して、感光体ドラム表面に該画像情報に対応する静電潜像を形成する。光操作ユニットには、半導体レーザー装置などを使用できる。本発明においては、785nmの半導体レーザーを用いた。
現像部は、現像ローラと、拡販ローラとを含む。現像ローラは、軸船周りに回転可能に支持されるローラ状部材である。現像ローラは、感光体ドラムに臨む面に形成される開口部から、その一部が外方向に向けて突出して感光体ドラム表面に近接するように設けられている。
現像ローラは、図示しない固定磁極を内包しており、該固定磁極により、現像ローラ表面に現像剤を担持する。現像ローラは現像ローラと感光体ドラムとの近接部(現像ニップ部)において、担持した現像剤を感光体ドラム表面の静電潜像に供給し、感光体ドラム表面にトナー像を形成する。現像ローラは、感光体ドラムと逆方向に回転駆動する。したがって、現像ニップ部においては、現像ローラ表面と感光体ドラム表面とが同じ方向に移動する。
現像ローラは、図示しない電源と接続され、該電源から直流電圧(現像電圧)が印加される。これによって、現像ローラ表面の現像剤は、静電潜像に円滑に供給される。電圧印加は交流を重畳しても良い。
現像器は、感光体ドラムに臨む面に開口部が形成され、内部空間を有する容器状部材である。現臓器は、その内部空間に撹拌ローラを備え、現像材を貯留する。現像剤としては、この分野で常用されるものを使用できる。現像剤は、トナーのみからなる1成分現像剤であっても、トナーとキャリアからなる2成分現像剤であってもよい。
撹拌ローラは、現像器の内部空間において軸線周りに回転可能に指示されるスクリュー状部材である。撹拌ローラは、回転駆動によって、現像器内の現像剤を現像ローラの表面周辺に送給する。
現像剤補給容器は、その内部空間に現像剤を貯留する容器状部材である。現像剤補給容器は、現像剤における現像剤の消費状況に応じて、現像器に現像剤を補給する。
ドラムクリーナは、感光体ドラム表面のトナー像が記録媒体に転写された後に、感光体ドラム表面に残存する現像材を除去、回収する。
感光体除電部は、ドラムクリーナによって現像剤が回収された後の感光体ドラムを除電する。感光体除電部にはランプ、LEDなどの照明を用いることができる。
転写ユニットは、感光体ドラムの表面に担持されたトナー像を転写媒体である用紙上に転写するために、転写ローラ又は転写ベルトを感光体に適度な接触圧力で押し、用紙を搬送するとともに、転写ローラ又は転写ベルトを介して用紙の背面にトナーの帯電極性と逆極性の転写バイアスが定電圧制御によって印加される。これによって、感光体ドラムに形成されたトナー像は、用紙上に転写され、トナー画像が形成される。
転写ローラは、直径8〜10mmのステンレスなどの金属を基材とする軸の表面を導電性の弾性材(たとえばEPDM、発泡ウレタン等)によって被覆して構成されており、導電性の弾性材によって用紙に均一に高電圧を印加する。
本発明においては、感光体ドラムと記録材間の周速比を0.5〜2%に設けて転写する構成となっている。装置が高速化すると転写効率が低下する。また転写において文字や線などの画像において、画像の中央部分が転写されず、白く抜ける場合がある。画像形成装置の高速化においては転写効率確保や転写中抜けを低減するために転写電界を高めるだけでは不十分で、逆に飛び散り等の画像劣化が生じる。このため感光体ドラムと記録材間に速度差を設け、感光体からトナーを脱離しやすくすることで、環境変動及び印字速度が速くても転写中抜けを低減できる。感光体ドラムと記録材間の周速比が0.5よりも小さいと周速差が生じ難いので好ましくない。
本発明においては、感光体ドラムの表層にフッ素樹脂微粒子を含有しているので、感光体からトナーが脱離し易くなっており、速度差を大きく設定する必要が無く、また感光体と記録材の速度差で生じる摩擦力は低減しているため、低い駆動トルクとすることができ、モーターの小型化及び低消費電力の画像形成装置とすることができる。
クリーニングユニットは、感光体ドラム上に残留した現像剤を除去して、感光体ドラム上に新たな画像を記録することができるようにするものである。
なお、このクリーニングユニットにより除去された残留現像剤は、現像ユニットの現像剤供給部に回収され、リサイクルされる場合と、廃トナーボトルに回収する場合がある。なお、本発明の画像形成装置は、残留現像剤をリサイクルするプロセスを備えているものに限定されるものではない。
次に、上記クリーニングユニットについて詳細に説明する。図3に、上記クリーニングユニットを備えたプロセス断面概略構成を示す。図3において、参照符号15bが、感光体表面に残留するトナーを除去するブレード(クリーニングブレード)である。ブレードは、転写ユニットの感光体回転方向下流側でクリーニングユニットに取り付けられ、感光体の軸方向を長手方向とする長尺状のゴム部材を金属などの板金に貼り付けた部材であり、ゴム長辺のエッジ(角)が感光体の表面に接触するよう配置されている。
上記クリーニングユニット内には、ブラシローラとトナー搬送スクリューとが収容されている。ブラシローラは、感光体1表面にあるトナーを散らし(解し)、ブレードによる除去が効率よく行われるようにするものである。また、ブラシローラは、ブレードにて除去されたトナーをブラシ先端の掻き取り力で感光体表面から機械的に除去してケース内へと回収する機能も有している。ブラシローラは、ブラシの先端が感光体表面に接触するように、また、ブレードで除去されたトナーを掃き出し得る位置に配されており、感光体の回転方向と順方向(回転方向は逆)に回転されるようになっている。このようにブラシローラを備えているものに限定されるものではない。
トナー搬送スクリューは、ブレードから除去またはブラシから掃き出されたトナーが搬出されやすい位置に配されており、ユニット外部の図示しない廃トナーボックスへと、回収されたトナーを送り出すものである。なお、ユニットの開口部における感光体の回転方向上流側にはシール材が取り付けら、ユニット内より回収したトナーが再び漏れ出すのを阻止するようになっている。
なお、図3では、ブラシローラが設けられたクリーニング装置を例示したが、本発明は、ブラシローラが設けられていない構成のクリーニング装置であってもよい。
本発明のクリーニングブレードは、例えば、自由長9.5mm、厚み2.0mm、全長(長辺の長さ)340mmのウレタンゴムで形成され、Φ30の感光体に対して線圧25.0gf/cmの定変位方式で、クリーニング角度は8.0°、食い込み量1.6mmとなるように当接設定した。自由長、厚み、クリーニング角度、食込み量は、画像形成装置により適宜設定する。
ブレードのクリーニング角度とは、ブレード板金を通して荷重が負荷されたブレードのエッジが摺動する感光体の表面とブレードの感光体側の面とが、感光体1の回転方向下流側に成す角である。クリーニング角度は、大きいほどブレードにおける感光体と接触する先端部(エッジ部分)の摺動方向への動きの自由度が大きくなるため、スティックスリップ運動にとっては有利であり、なめらかなスティックスリップ運動が実現する。しかしながら、クリーニング角度が大きすぎるとブレードと感光体の面との摩擦があまりにも大きくなるような環境その他の条件では、感光体のトルクの上昇や、ブレードのめくれ現象、或いはブレードのエッジにダメージが生じやすくなる。クリーニング角度としては、3〜30°、食込み量は0.3〜3.0mmとなるよう設定することが好ましい。
そこで、本実施の形態では、クリーニング角度を上記範囲としている。これにより、スティック・スリップ運動を問題なく実現すると共に、ブレードと感光体の面との摩擦が非常に大きくなるような環境その他の条件であっても、上記した不具合の招来を回避することができる。
ブレードの感光体に対する線圧は、10.0〜40.0gf/cmとすることが好ましい。これにより、効果的なスティックスリップ運動を実施しながら、ブレードと感光体との間をトナーが通り抜けることを確実に阻止して、クリーニング性を良好にできる。
線圧は、高いほど感光体の表面に付着した転写残トナーによってブレードが押し上げられ難くなるため、トナーの受ける力反力は確実に生じ、クリーニング性が上がる。しかしながら、線圧が高すぎると、感光体を磨耗させやすくなる。本発明では、自由長を9.5mm、線圧を25.0gf/cmとしているので、クリーニング性を良好とでき、感光体の磨耗も抑えることができる。
トナー像が転写された記録紙は、後述する定着装置に導かれ、定着ローラと、加圧ローラとの間に形成される定着ニップ部を通過して加熱および加圧を受ける。これによって、トナー像が、記録紙の表面に堅牢に定着する。トナー像が定着した記録紙は、排紙ローラによって排紙トレイ上に排出される。
また、画像形成装置には、用紙カセットに収納されている記録紙を、転写ローラと感光体との間および定着装置を経由して、排紙トレイに送るための略垂直方向に延びる用紙搬送路が設けられている。用紙搬送路には、用紙カセット内の記録紙を一枚ずつ用紙搬送路内に繰り出すピックアップローラ、繰り出された記録紙を上方に向けて搬送する搬送ローラ、搬送されてきた記録紙を所定のタイミングで転写ローラと感光体との間に導くレジストローラ、記録紙を排紙トレイに排出する排紙ローラが配置されている。
また、画像形成装置の内部には、手差し給紙トレイからレジストローラに至る間に、ピックアップローラおよび搬送ローラを配置した用紙搬送路が形成されている。さらに、排紙ローラから用紙搬送路におけるレジストローラの上流側に至る間には、用紙搬送路が形成されている。
排紙ローラは、正逆両方向に回転自在にされており、記録紙の片面に画像を形成する片面画像形成時、および、記録紙の両面に画像を形成する両面画像形成における第2面画像形成時に正転方向に駆動されて記録紙を排紙トレイに排出する。一方、両面画像形成における第1面画像形成時には、排出ローラは、用紙の後端が定着装置を通過するまで正転方向に駆動された後、記録紙の後端部を挟持した状態で逆転方向に駆動されて記録紙を用紙搬送路内に導く。これによって、両面画像形成時に片面のみに画像が形成された記録紙は、表裏面および前後端を反転した状態で用紙搬送路に導かれる。
レジストローラは、用紙カセットまたは手差し給紙トレイから給紙され、または、用紙搬送路を経由して搬送された記録紙を、転写ローラの回転に同期したタイミングで転写ローラと感光体との間に導く。このため、レジストローラは、感光体ドラムや転写ローラの動作開始時には回転を停止しており、転写ローラの回転に先立って給紙または搬送された記録紙は、前端をレジストローラに当接させた状態で用紙搬送路内における移動を停止する。この後、レジストローラは、転写ローラと感光体ドラムとが圧接する位置で、記録紙の前端部と感光体上に形成されたトナー像の前端部とが対向するタイミングで回転を開始する。
定着装置は、定着ローラと、加圧ローラとを含んで構成される。定着装置においては、加圧ローラが定着ローラに略平行対向するように配置されている。
定着装置は、ヒータランプが内部又は加熱部材を介して外部に配置されて定着ローラを加熱し、定着ローラと加圧ローラとで形成する定着ニップ部を、所定の定着速度および複写速度で記録媒体である記録紙が通過したとき、記録紙上に担持されている未定着のトナー像を記録紙上に加熱加圧して定着する装置である。
なお、未定着のトナー像は、たとえば、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナーおよびキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)などの現像剤(トナー)によって形成される。また、定着速度とは所謂プロセス速度であり、複写速度とは1分あたりのコピー枚数のことである。また、記録紙が定着ニップ部を通過するときには、加圧ローラは、記録紙のトナー像担持面とは反対側の面に当接するようになっている。
定着ローラは、軸線方向両端を支持され、加圧ローラに圧接することで定着ニップ部を形成すると同時に、加圧ローラに対向しかつ圧接し、軸線まわりに回転自在に設けられている。定着ローラは、加圧ローラの回転に従動して回転方向に回転する。定着ローラは、例えば直径が30mmで、その内側から順に芯金、及び離型層が形成された2層構造、又は芯金、弾性層及び離型層が形成された3層構造からなり、芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。
また、弾性層にはシリコンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性を有するゴム材料が適している。
また、離型層にはPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂微粒子を含むチューブまたはコーティングが適している。定着ローラの内部には、定着ローラを加熱するヒータランプが配置されていている。図示しない主制御部が電源回路からヒータランプに電力を供給(通電)させることによって、ヒータランプが発光し、ヒータランプから赤外線が放射される。これによって、定着ローラの内周面が赤外線を吸収して加熱され、定着ローラ全体が加熱される。
加圧ローラは、図示しない駆動モーター(駆動手段)により軸線まわりに回転方向に回転駆動することによって、定着ローラをギアを介して回転させる。加圧ローラは、その内側から順に芯金、離型層が形成された2層構造からなっている。芯金には、たとえば、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、銅等の金属あるいはそれらの合金等が用いられる。また、離型層にはPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂微粒子を含むチューブまたはコーティングが適している。また、加圧ローラの内部には、加圧ローラを加熱するヒータランプが配置されていてもよい。図示しない主制御部が電源回路からヒータランプに電力を供給(通電)させることによって、ヒータランプが発光し、ヒータランプから赤外線が放射される。これによって、加圧ローラの内周面が赤外線を吸収して加熱され、加圧ローラ全体が加熱される。
また、定着装置においては、温度検出手段として、定着ローラの周面には発熱体側サーミスタ、加圧ローラの周面には加圧ローラ側サーミスタが配設されており、それぞれの表面温度を検出するようになっている。発熱体側サーミスタによって検出された定着ローラの表面温度に基づいて、加熱源に対する通電が制御される。本実施の形態における発熱体側サーミスタは、非接触式の温度検出手段であり、赤外線検知型の温度センサである。接触式の温度検出手段を定着ローラトに接触して配置する構成では、定着ローラと接触する界面において、接触式温度検出手段が定着ローラの表面離型層を摩耗させる場合がある。このようにして定着ローラの表面離型層が損傷、劣化した場合には、画像にその影響を及ぼし、劣悪な画像となる。また、加圧ローラ側サーミスタによって検出された加圧ローラの表面温度に基づいて、ヒータランプに対する通電が制御される。加圧ローラ側サーミスタは、非接触式の温度検出手段とすることもできる。
また、トナー離型性を確保する為に、シリコーンオイル等の離型剤を塗布する構成としてもよい。シリコーンオイルとしては粘度が1,000csから10,000cs程度のオイルを使用することが出来る。
トナーについて次に説明する。
本発明で使用するトナーは、平均円形度が0.93〜0.99である。平均円形度の測定方法は、トナー粒子懸濁液を透明なフローセルに導いて扁平な懸濁液流を形成し、その扁平流に1/30秒間隔でストロボ光を照射し、セルを通過する懸濁液中のトナー粒子を静止画像として、CCDカメラにより撮像し、画像解析により粒子像の撮像面積と周囲長からトナー粒子の円形度および円形度分布を求めるものである。トナーの転写特性は、前記方法で求められる平均円形度に大きく依存しており、円形度が大きいほど転写効率は高い。しかし、球形になるとトナーは転がりやすくなり、ブレード先端部の接触領域をすり抜け易くなるため、ブレードクリーニング性は難しくなるので、両者を考慮して円形度を決定する。
さらに、定着性を向上させる低Tg樹脂で構成される内部と保存性を維持するための硬質シェルからなるカプセル構造を有したトナーを用いることもできる。内部に低温で定着可能な樹脂を有するカプセル構造とすることで、定着装置の小型化及び消費電力量を低減でき、シェルに硬質の樹脂を用いることで現像剤及びトナーの保存および攪拌における融着凝集を防止でき、省エネ且つ環境負荷の少ない画像形成装置とすることができる。トナーは、上記カプセルトナーに限定されるものではない。
用いられる結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンの置換体の単独重合体からなる樹脂、スチレン系モノマーとアクリル系モノマーから重合される共重合体樹脂、アクリル系共重合体樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ノルボルネンとエチレンを共重合体であるシクロオレフィンコポリマー、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
この樹脂の中でも、カプセル構造の内部に構成するコア結着樹脂は、保存性、耐久性などに優れることから、軟化点が80〜150℃、ガラス転移点が40〜80℃である結着樹脂が好ましく、前記の軟化点およびガラス転移点を有するポリエステル樹脂又はチレン系モノマーとアクリル系モノマーから重合される共重合体樹脂が好ましい。
一方、硬質シェルを構成する材料としては、トナーの保存性、耐久性などに優れる、軟化転点100〜200℃、ガラス転移点が60〜100℃である樹脂が好ましく、上記内部の結着樹脂と適度に相溶する樹脂が好ましい。不相溶の組み合わせを選択すると、内部とシェルの界面の接着力が弱くトナーとしての保存性、攪拌時の耐久性が悪くなる。トナーとして低温定着性を発現するには、硬質シェルはできるだけトナー全体の樹脂成分中に占める割合は少ない方が良く、本発明では7.0wt%とした。
離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ワックスを用いることができる。ワックスとしては、この分野で常用されるものを用いることができる。例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、パラフィンワックス、エステルワックス等が挙げられる。
離型剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
結着樹脂、離型剤の他に、帯電制御剤等の一般的なトナー用添加材を含有できる。
帯電制御剤としては、トナーを帯電させるまたはその帯電をコントロールできるものであれば特に限定されるものではない。しかし、トナーの透明性に影響を及ぼさないものであることが好ましい。このような帯電制御材としては、一般的には、例えば、ニグロシン染料、四級アンモニオウム塩、トリフェニルメタン誘導体、サリチル酸亜鉛錯体、ナフトール酸亜鉛錯体、ベンジル酸誘導体の金属酸化物等が挙げられる。これらの帯電制御剤は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上の帯電制御材を併用しても良い。
帯電制御剤の含有量は、通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
カプセルトナーの場合、コア粒子は従来公知のトナー粒子の方法に従って製造することができる。例えば、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法などを挙げることができ、コア粒子にシェルを被覆しカプセル化する方法は、従来公知のカプセル化の方法によって製造することができる。例えば、コア粒子とシェルとなる微粒子状材料を機械的に混合し、コア粒子表面にシェル材料を付着させ、シェル材料を溶剤で溶融及び脱溶剤することでシェル層を形成させることができる。
トナーの体積平均粒子径は、特に限定されるものではないが、2〜10μmであることが好ましい。体積平均粒子径が2μmよりも小さい場合、得られたトナーの流動性が低下する。これによって、現像動作に、トナー補給、撹拌および帯電不十分になり、トナー量不足、逆帯電トナーの増加等が生じる。この結果、良好なトナーの像形成が出来ないなどの問題が発生する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が10μmより大きい場合は、出力画像の高解像度化を阻害するなどの問題が発生する。
外添剤は、トナーに対して、粉体流動性向上、摩擦帯電性向上、耐熱性向上、長期保存性向上、クリーニング性改善、および感光体表面の摩耗特性制御などの機能を付与する目的で添加される。具体的には、この分野で通常用いられる外添剤、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、アクリル樹脂微粒子、金属石鹸微粒子などが用いられる。添加量としても通常用いられる範囲であれば、特に限定されるものではない。
尚、このようにして製造されたトナーは、そのまま一成分現像剤としても通ることも可能であり、キャリア粒子と混合撹拌することで2成分現像剤として用いることができる。
二成分現像剤に用いられるキャリア粒子としては、特に限定されるものではなく、この分野で通常用いられるキャリア粒子を用いることができる。例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性材料;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等からなるキャリア粒子を用いることが好ましい。さらに、これらのキャリア粒子として表面を樹脂材料でコートしたものを用いることもできる。いずれも、トナー成分に応じて適宜選択することが好ましく、1種を単独で用いても良く、また2種以上を併用して用いても良い。キャリア粒子の粒子径は特に限定されるものではないが、均一な帯電と画像を得るには、粒子径が30〜100μmであることが好ましい。
また二成分現像剤の製造方法としては、特限定されるものではなく、従来公知の方法によって製造することが出来る。本発明のトナーは、2成分現像剤全量に対して、3重量%〜20重量%の濃度となるように含まれていることが好ましい。
実施例1
電荷発生層
導電性支持体として直径30mm、長さ336mmのアルミニウム製のドラム状支持体を用いた。
この支持体を、電荷発生物質としてオキチタニウムソフタロシニン2重量部およびバインダ樹脂としてポリビニルブチラール樹脂1重量部を、メチルエチルケトン97重量部に混合し、ペイントシェーカーにて8時間分散処理して調製した電荷発生層形成用塗布液2kgに浸漬し、自然乾燥して膜厚0.4μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送層
次いで、平均粒子径130nmのPTFE微粒子0.32重量部(電荷輸送層用塗布液に対して2wt%)、電荷輸送物質としてN,N−ビス(3−メチルフェニル)−N,N'−ジフェニルベンジジン1重量部および結着樹脂としてビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂1.8重量部を2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.05重量部に混合し、メディアレス分散機にて分散処理して電荷輸送層用塗布液2kgを調製した。
この電荷輸送層形成用塗工液を浸漬法により、先に設けた電荷発生層表面に塗布し、110℃で1時間乾燥して膜厚28μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の積層型感光体を作製した。
感光体の表面自由エネルギー
得られた感光体の表面自由エネルギーを、3種の液体(水、ジヨードメタン、エチレングリコール)をそれぞれ感光体表面に滴下し、形成された各液滴の接触角を、協和界面科学製接触角計DM−501を用いて測定し、van Oss理論から算出した。
用いたプローブ液体の表面自由エネルギー成分は、下記値を用いた。
水 γ:72.8mJ/m2、γLW:21.8mJ/m2、γ+:25.5mJ/m2、γ-:25.5mJ/m2
ジヨードメタン γ:50.8mJ/m2、γLW:50.8mJ/m2、γ+:0.0mJ/m2、γ-:0.0mJ/m2
エチレングリコール γ:47.9mJ/m2、γLW:29.0mJ/m2、γ+:1.9mJ/m2、γ-:47.0mJ/m2
得られたPTFE微粒子を含む実施例1の感光体の表面自由エネルギーは、24.3mJ/m2であった。
クリーニングユニット
感光体表面をクリーニングするためのクリーニングユニットは、クリーニングブレードが感光体に定変位方式で当接し、廃トナー搬送パドル及びスクリューを備えた構成とした。
クリーニングブレードは金属板金に、自由長9.5mm、厚み2.0mmのウレタンゴムシートを貼りつけた構成とした。線圧は25.0gf/cm、クリーニング角度は8.0度、食込み量1.6mmとした。
用いたクリーニングブレードのウレタンゴムの表面自由エネルギーは、上記感光体の表面自由エネルギーを評価した方法と同様に行い算出したところ、41.3mJ/m2であった。
感光体とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーは、感光体のエネルギーとクリーニングブレードの表面自由エネルギーから界面形成エネルギーを差し引くことで算出したところ、実施例1で作製したPTFE微粒子を含む感光体では1.5mJ/m2であった。
本実施例1で作製した感光体ドラム及びクリーニングユニットを、複合機MX−M503F(シャープ製、直接転写方式)に搭載し、転写電流値45μA、温度30℃/湿度85%環境にてB5用紙で印字率5%画像を1.5K及び3K(3,000)枚通紙印字し、以下の各評価項目につい評価した。
実施例2
転写電流値を55μAとした以外は、実施例1と全く同様にした。
比較例1
電荷輸送層用塗布液にPTFE微粒子を添加しなかったこと以外は、実施例1と全く同様にして比較例1の感光体を作製した。
実施例1の感光体の場合と全く同様にして、比較例1の感光体の表面自由エネルギーを測定したところ、PTFE微粒子を含まない比較例1の感光体の表面自由エネルギーは34.1mJ/m2であった。
比較例1で作製した感光体とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーは、0.5mJ/m2であった。
比較例2
転写電流値を35μAとした以外は、実施例1と全く同様にした。
比較例3
転写電流値を μAとした以外は、実施例1と全く同様にした。
実施例3
PTFE微粒子を5wt%添加したこと以外は、実施例1と全く同様にして、表面自由エネルギーは、 mJ/m2で、界面自由エネルギー8mJ/m2の感光体を得た。
実施例4
PTFE微粒子を wt%添加したこと以外は、実施例1と全く同様にして、表面自由エネルギーは、 mJ/m2で、界面自由エネルギー mJ/m2の感光体を得た。
比較例4
PTFE微粒子を0.2wt%添加したこと以外は、実施例1と全く同様にして、表面自由エネルギーは、31mJ/m2で、界面自由エネルギー0.8mJ/m2の感光体を得た。
比較例5
PTFE微粒子を wt%添加したこと以外は、実施例1と全く同様にして、表面自由エネルギーは、 mJ/m2で、界面自由エネルギー mJ/m2の感光体を得た。
実施例5
周速比を とした以外は、実施例1と全く同様にした。
比較例6
周速比を とした以外は、実施例1と全く同様にした。
比較例7
周速比を とした以外は、実施例1と全く同様にした。
感光体摩擦係数の評価
複合機MX−M503F(シャープ製、直接転写方式)に上記感光体ドラム及びクリーニングユニットを搭載し、転写電流45μA、温度30℃/湿度85%環境にてB5用紙で印字率5%画像を1.5K(1,500)および3K(3,000)枚通紙印字した。
1.5Kおよび3K通紙後、感光体ドラムを複合機から取り出し、水を用いた感光体表面の接触角を感光体長手方向について測定した(図6)。
通紙領域及び非通紙領域の水接触角は初期に比べ低下し、非通紙領域は通紙領域よりも水接触角が大きく低下した。感光体表面が親水性になっており、表面自由エネルギーが増大していることがわかった。また、通紙領域と非通紙領域の摩擦係数をオイラーベルト方式による摩擦係数測定装置により測定算出した。
結果を以下の表に示す。
クリ−ニング性および感光体摩耗量の評価
その後、再び感光体ドラムを複合機に装着し、角を切り落としたA3用紙の先端に30mmのべた帯画像を10枚通紙したところ、クリーニング不良は発生しなかった。
別途、印字率5%の画像をB5通紙にて3K枚(3,000枚)、A4通紙にて300K枚(30万枚)の印字(画像形成)を行って、感光体表面にブレードをすり抜けたトナーによる筋の有無を目視により、以下のように評価してクリーニング性を判定した。
G(good):感光体表面に残存するトナー由来の筋は観察できず、クリーニングブレードの反転も見られなかった。
B(bad):感光体表面に残存するトナー由来の筋が観察され、クリーニングブレードの反転も見受けられた。
結果を以下の表に示す。
転写性の評価
転写性は、A4サイズの印字率6%の文字チャートを用いて、白紙に各環境下で、100K(10万)枚の印刷(画像形成)を行った場合の、文字画像の中抜けを目視により、以下のように評価した。
VG(very good):印刷物に中抜けがなく、非常に良好である、
G(good):印刷物に顕著な中抜けが無く実用上問題なく、良好である、
B(bad):印刷物に明らかな中抜けがあり、実用上問題である。
結果を以下の表に示す。
総合評価
G(good):評価項目の評価結果が全てGである、
B(bad):評価項目の評価結果が全てBである。
結果を以下の表に示す。
結果を以下の表に示す。
非通紙領域は通紙領域よりも摩擦係数が増加していた。PTFEを含有する感光体は非通紙領域の摩擦係数は、PTFEを含有していない感光体の通紙領域の摩擦係数よりも小さかった。
また、感光体磨耗性は、100K(10万枚)当たりの磨耗量が2μm以下であって、かつ、傷のないことを確認した。
本発明によれば、感光体表面の摩耗量が少なく、環境変動があっても転写性が良好で、高生産性かつ高品質の画像を長期に渡り提供できる画像形成装置が提供される。
1 感光体
15b クリーニングブレード(ブレード)

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に感光層が積層されている感光体ドラムの表面に帯電及び露光を経て形成された静電潜像を外添剤を含むトナーで現像し、形成したトナー像を転写ユニットにより転写材に転写し、転写残トナーを感光体表面から除去するクリーニングブレードを有するクリーニングユニットを感光体の回転方向でみて転写位置の下流側に備えた画像形成装置であって、
    前記転写ユニットが、転写電流値40〜70μAで使用され、
    前記感光体ドラムの表層が、フッ素樹脂微粒子を含有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記感光体ドラムが、表層にフッ素樹脂微粒子を含有し、表面自由エネルギー5〜30mJ/m2を有し、該表層とクリーニングブレードとの界面自由エネルギーが1.0〜10mJ/m2である感光層を有する、請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記転写ユニットが、感光体ドラム表面上のトナー像を記録材上に直接転写する直接転写手段を有し、感光体ドラムと記録材間との周速比0.5〜2%で転写する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記感光層が、電荷発生機能を有する電荷発生層と電荷輸送機能を有する電荷輸送層からなり、フッ素樹脂微粒子は少なくとも電荷輸送層に含有されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の画像形成装置。
  5. 前記フッ素樹脂微粒子が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であって、露光波長に対して1/10〜1/5の粒子径を有する微粒子であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の画像形成装置。
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